コンテンツ再生装置、楽曲推薦方法およびコンピュータプログラム
【課題】電子書籍の読書の妨げにならない楽曲を推薦することができるコンテンツ再生装置を提供する。
【解決手段】電子書籍ファイルを再生する電子書籍再生部と、楽曲ファイルを再生する楽曲再生部と、楽曲ファイルの再生中に再生している電子書籍ファイルについて、ページの読み進み具合を示すページ進捗値を算出するページ進捗評価部と、ページ進捗値を用いて楽曲ファイルに対する評価ポイントを算出する楽曲評価部と、楽曲属性テーブルを参照し、楽曲ファイルの評価ポイントと楽曲ファイルの属性値とから、カテゴリ毎の属性値についての評価を行ない、属性値の評価に基づいて楽曲ファイルを推薦する楽曲推薦部とを備えたコンテンツ再生装置。
【解決手段】電子書籍ファイルを再生する電子書籍再生部と、楽曲ファイルを再生する楽曲再生部と、楽曲ファイルの再生中に再生している電子書籍ファイルについて、ページの読み進み具合を示すページ進捗値を算出するページ進捗評価部と、ページ進捗値を用いて楽曲ファイルに対する評価ポイントを算出する楽曲評価部と、楽曲属性テーブルを参照し、楽曲ファイルの評価ポイントと楽曲ファイルの属性値とから、カテゴリ毎の属性値についての評価を行ない、属性値の評価に基づいて楽曲ファイルを推薦する楽曲推薦部とを備えたコンテンツ再生装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子書籍と楽曲を再生可能なコンテンツ再生装置、楽曲推薦方法およびコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ユーザに対して、ユーザの嗜好に即したアイテムを推薦するアイテム推薦装置が数多く提案されており、ユーザが膨大な数のアイテムの中から所望のアイテムを見つけ出すのに有益な装置となっている。
【0003】
例えば、特許文献1には、ユーザの楽曲に対する嗜好と映画や書籍などの異種コンテンツの嗜好とを対応付けることより、ユーザの楽曲視聴履歴に基づいて映画や書籍などの異種コンテンツを推薦するアイテム推薦装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−141746号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年、電子書籍に代表されるように、ディスプレイに文字情報等を表示し、読書を行なえるコンテンツ再生装置が実用化されている。コンテンツ再生装置では、電子書籍を再生しながら楽曲を再生するなど、複数のコンテンツを同時に再生することができるものが多い。このようなコンテンツ再生装置においても、異種コンテンツを推薦する従来の技術を適用することにより、ユーザの電子書籍の読書履歴に基づいて、ユーザの嗜好にあった楽曲を推薦することが考えられる。
【0006】
しかしながら、電子書籍を再生しながら楽曲を再生する場合、嗜好にあった楽曲が再生されると、楽曲に聴き入ってしまい、かえって読書の妨げになってしまうおそれがある。このため従来の技術をそのまま適用することは好ましくない。
【0007】
そこで、本発明は、電子書籍の読書の妨げにならない楽曲を推薦することができるコンテンツ再生装置、楽曲推薦方法およびコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明の第1の態様であるコンテンツ再生装置は、電子書籍ファイルを再生する電子書籍再生部と、楽曲ファイルを再生する楽曲再生部と、楽曲ファイルの再生中に再生している電子書籍ファイルについて、それぞれのページの読み進み具合を示すページ進捗値を算出するページ進捗評価部と、算出したページ進捗値を用いて再生に係る楽曲ファイルに対する評価ポイントを算出する楽曲評価部と、それぞれの楽曲ファイルの属性値を所定のカテゴリ毎に記録した楽曲属性テーブルを参照し、各楽曲ファイルの評価ポイントとそれぞれの楽曲ファイルの属性値とから、カテゴリ毎の属性値についての評価を行ない、属性値の評価に基づいて楽曲ファイルを推薦する楽曲推薦部と、を備えたことを特徴とする。
ここで、前記ページ進捗評価部は、ページを表示した時間と、そのページに含まれる文字数とに基づいて前記ページ進捗値を算出することができる。このとき、ユーザ操作によりページが送られると、前ページについてのページ進捗値を算出することができる。
また、前記楽曲評価部は、ページ進捗値を平均することにより、楽曲読書進捗値を算出し、算出された楽曲読書進捗値に基づいて前記評価ポイントを算出することができる。
このとき、前記楽曲評価部は、前記楽曲読書進捗値を、あらかじめ定められた前記書籍ファイルの属性に基づいて評価することにより前記評価ポイントを算出することができる。
また、前記楽曲推薦部は、楽曲ファイルの評価ポイントを、前記楽曲ファイルの属性値に対して付与し、属性値毎に付与された評価ポイントを平均化した平均評価ポイントを用いて、カテゴリ毎の属性値について評価を行ない、評価の高い属性値を含む楽曲ファイルを推薦することができる。
また、前記楽曲推薦部は、楽曲ファイルの評価ポイントを、前記楽曲ファイルの属性値に対して付与し、属性値毎に付与された評価ポイントを平均化した値を、それぞれの属性値の属性評価値とし、楽曲ファイル毎に属性評価値を合計して、属性評価値合計値の大きい楽曲ファイルを推薦することができる。
上記課題を解決するため、本発明の第2の態様である楽曲推薦方法は、所定のカテゴリ毎に属性値が与えられた楽曲ファイルの再生中に再生している電子書籍ファイルについて、それぞれのページの読み進み具合を示すページ進捗値を算出し、算出したページ進捗値を用いて再生中の楽曲ファイルに対する評価ポイントを算出する楽曲評価ステップと、各楽曲ファイルの評価ポイントとそれぞれの楽曲ファイルの属性値とから、カテゴリ毎の属性値についての評価を行ない、属性値の評価に基づいて楽曲ファイルを推薦する楽曲推薦ステップと、を含むことを特徴とする。
上記課題を解決するため、本発明の第3の態様であるコンピュータプログラムは、所定のカテゴリ毎に属性値が与えられた楽曲ファイルの再生中に再生している電子書籍ファイルについて、それぞれのページの読み進み具合を示すページ進捗値を算出し、算出したページ進捗値を用いて再生中の楽曲ファイルに対する評価ポイントを算出する楽曲評価ステップと、各楽曲ファイルの評価ポイントとそれぞれの楽曲ファイルの属性値とから、カテゴリ毎の属性値についての評価を行ない、属性値の評価に基づいて楽曲ファイルを推薦する楽曲推薦ステップと、を情報処理装置に実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、電子書籍の読書の妨げにならない楽曲を推薦することができるコンテンツ再生装置、楽曲推薦方法およびコンピュータプログラムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本実施形態に係るコンテンツ再生装置の構成を示すブロック図である。
【図2】コンテンツ再生装置の外観を模式的に示す図である。
【図3】楽曲属性テーブルの構成例を示す図である。
【図4】電子書籍属性情報に含まれる、電子書籍属性テーブル、電子書籍ページ情報の構成例を示す図である。
【図5】本実施形態に係るコンテンツ再生装置の楽曲評価動作について説明するフローチャートである。
【図6】楽曲選択を促す表示例を示す図である。
【図7】楽曲再生中の表示部の表示例を示す図である。
【図8】ページ進捗評価部が行なうページ進捗評価処理について説明するフローチャートである。
【図9】ページ毎の開始時刻、終了時刻、滞留時間、ページ進捗値の例を示す図である。
【図10】楽曲評価部が行なう楽曲評価処理の詳細な手順について説明するフローチャートである。
【図11】楽曲読書進捗値が記録された楽曲属性テーブルの例を示す図である。
【図12】書籍ジャンルと楽曲読書進捗値から評価ポイントを求めるテーブルの例を示す図である。
【図13】評価ポイントが記録された楽曲属性テーブルの例を示す図である。
【図14】楽曲推薦部が行なう楽曲推薦処理について説明するフローチャートである。
【図15】各楽曲の属性カテゴリの属性値に付与された評価ポイントを示す図である。
【図16】属性カテゴリ毎に、属性値の平均値を表示した図である。
【図17】推薦楽曲の表示例を示す図である。
【図18】楽曲推薦部が行なう楽曲推薦処理の別例について説明するフローチャートである。
【図19】各楽曲の属性値に対して付与された属性評価値と合計値の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は、本実施形態に係るコンテンツ再生装置の構成を示すブロック図である。本実施形態に係るコンテンツ再生装置は、少なくとも楽曲ファイルおよび電子書籍ファイルを同時再生可能な機器であり、CPUがメモリに格納されたプログラムを実行することにより種々の動作を行なう情報端末装置を用いることができる。具体的には、電子書籍端末、PDA(Personal Digital Assistant)、パーソナルコンピュータ、携帯電話、携帯音楽プレイヤ等とすることができる。
【0012】
本図に示すようにコンテンツ再生装置100は、楽曲格納部10、電子書籍格納部20、楽曲再生部30、音声出力部32、電子書籍再生部40、表示部42、操作受付部50、ページ進捗評価部60、時計部64、楽曲評価部70、評価用パラメータ格納部72、楽曲推薦部80を備えている。
【0013】
コンテンツ再生装置100は、例えば、図2に示すような外観をしており、液晶ディスプレイ装置や有機ELディスプレイ装置等により構成される表示部42と、操作キー等により構成される操作受付部50とが表面に配置されている。表示部42に、静電容量センサーデバイス、感圧式センサーデバイス等のタッチパネル方式を採用することで、操作受付部50としても機能させるようにしてもよい。
【0014】
図1において、楽曲格納部10は、ハードディスクドライブやフラッシュメモリ等を用いて構成され、MP3等の音声フォーマットで記録された楽曲ファイル11を格納する。また、楽曲格納部10は、楽曲ファイル11の関連情報として楽曲属性テーブル12も格納する。
【0015】
図3は、楽曲属性テーブル12の構成例を示す図である。本図に示すように、楽曲属性テーブル12は、「タイトル」「アーティスト」「アルバム」「テンポ」「楽曲ジャンル」「雰囲気」「再生回数」「楽曲読書進捗値」「評価ポイント」を楽曲ファイル11毎に記憶する。
【0016】
以下では、「タイトル」「アーティスト」「アルバム」「テンポ」「楽曲ジャンル」「雰囲気」を属性カテゴリと称するものとする。属性カテゴリは、例えば、楽曲情報として楽曲ファイル11に付随している情報を用いたり、自動的あるいはユーザの操作等により収集・記録すること等により楽曲属性テーブル12に記録することができる。あるいは、公知の楽曲分析技術等を用いて楽曲ファイルの内容を判断して記録するようにしてもよい。
【0017】
本実施形態では、属性カテゴリのうち「テンポ」「楽曲ジャンル」「雰囲気」で楽曲の特性を判断する。このため、これらの属性カテゴリを示す属性値は、用語を統一する等によって予め一般化しておくことが望ましい。本図の例では、「テンポ」は、1分間の拍数で属性値を示し、「楽曲ジャンル」は、「Pop」「Rock」「Jazz」等の用語で属性値を示し、「雰囲気」は、「さわやか」「パワフル」「クール」「ハード」等の表現で属性値を示すようにしている。もちろんこれらは例示であり、他の属性カテゴリや属性値を用いるようにしてもよい。
【0018】
「再生回数」は、初期値を0とし、対応する楽曲ファイルがコンテンツ再生装置100で再生される度に増分する。「楽曲読書進捗値」「評価ポイント」は、楽曲評価部70によって算出された楽曲読書進捗値、評価ポイントが記録される。
【0019】
図1の説明に戻って、電子書籍格納部20は、ハードディスクドライブやフラッシュメモリ等を用いて構成され、所定のフォーマットで記録された電子書籍ファイル21を格納する。また、電子書籍格納部20は、電子書籍ファイル21の関連情報として、電子書籍属性情報22も格納する。電子書籍属性情報22は、電子書籍属性テーブル22aと、電子書籍ページ情報22bとを含んでいる。
【0020】
図4は、電子書籍属性情報22に含まれる、電子書籍属性テーブル22a、電子書籍ページ情報22bの構成例を示す図である。図4(a)に示すように、電子書籍属性テーブル22aは、「書籍名」「総ページ数」「著者」「書籍ジャンル」を電子書籍ファイル毎に記憶する。これらは、例えば、電子書籍情報として電子書籍ファイル21に付随している情報を用いたり、自動的あるいはユーザの操作等により収集・記録すること等により電子書籍属性テーブル22aに記録することができる。
【0021】
本実施形態では、「書籍ジャンル」で電子書籍の特性を判断する。このため、「書籍ジャンル」を示す属性値は、用語を統一する等によって予め一般化しておくことが望ましい。本図の例では、「エッセイ」「哲学」「歴史」「心理学」等の用語で属性値を示すようにしている。
【0022】
図4(b)に示すように、電子書籍ページ情報22bは、「書籍」「ページ」「文字数」「行数」「段落数」を電子書籍毎に記憶する。すなわち、電子書籍ページ情報22bを参照することで、電子書籍のページ毎の文字数、行数、段落数を取得することができる。
【0023】
図1の説明に戻って、楽曲再生部30は、操作受付部50からの楽曲再生指示に従って、楽曲格納部10に格納された楽曲ファイル11の再生を行なう。再生された音声は、スピーカー、出力端子等により構成される音声出力部32によって外部に出力される。楽曲再生部30は、楽曲ファイル11の再生を行なうと、楽曲属性テーブル12のその楽曲ファイル11に対応する「再生回数」を1増分する。また、楽曲再生部30は、再生する楽曲ファイルを自動的に選択することもでき、この場合、「再生回数」が少ない楽曲ファイル11を優先的に選択する。
【0024】
電子書籍再生部40は、操作受付部50からの電子書籍再生指示に従って、電子書籍格納部20に格納された電子書籍ファイル21の再生を行なう。再生された文字情報等は、表示部42に表示される。操作受付部50は、ユーザから各種入力操作を受け付ける。
【0025】
ページ進捗評価部60は、電子書籍と楽曲とを同時に再生しているときに、再生中の電子書籍のページが送られると、時計部64が出力する時刻情報を記録し、前ページを読むのに費やした時間を算出する。そして、電子書籍ページ情報22bを参照して、前ページに含まれる文字数を取得し、単位時間当りに読み進んだ文字数を示すページ進捗値を算出する。
【0026】
楽曲評価部70は、ページ進捗値を平均することにより、読書中に再生していた楽曲に対する楽曲読書進捗値を算出し、楽曲属性テーブル12の「楽曲読書進捗値」に記録する。さらに、楽曲読書進捗値に基づいて楽曲の評価ポイントを算出し、楽曲属性テーブル12の「評価ポイント」に記録する。評価ポイントの算出に際しては、評価用パラメータ格納部72に格納されている評価用パラメータを使用する。評価ポイントは、その楽曲を再生しているときの読書の進み具合を指標化したものである。すなわち、評価ポイントが高い楽曲は、読書がはかどる性質の楽曲として捉えることができる。
【0027】
楽曲推薦部80は、楽曲属性テーブル12に記録されている「評価ポイント」に基づいて、電子書籍の再生時に適した楽曲を推薦する。電子書籍の再生時に適した楽曲は、読書がはかどると想定される楽曲である。本実施形態では、評価ポイントと、属性カテゴリ「テンポ」「楽曲ジャンル」「雰囲気」の属性値との関連性を分析することにより、推薦する楽曲を抽出する。
【0028】
次に、本実施形態に係るコンテンツ再生装置100の楽曲評価動作について図5のフローチャートを参照して説明する。
【0029】
楽曲評価動作は、電子書籍再生部40が、操作受付部50を介して、ユーザから電子書籍再生指示を受け付けることで開始される(S101)。電子書籍再生指示の操作に際しては、再生対象となる電子書籍ファイル21が指定される。また、文字の大きさ等の表示に関する指示を含めるようにしてもよい。
【0030】
楽曲再生部30は、電子書籍再生指示に併せて、楽曲再生の指示もあったかどうかを判断する(S102)。楽曲再生指示がない場合(S102:No)は、ユーザから自動選曲の指示があったかどうかを判断する。自動選曲有無の指示は、あらかじめ設定できるものとする。
【0031】
自動選曲の指示があったときには(S103:Yes)、楽曲再生部30は、楽曲格納部10に格納されている楽曲ファイル11から再生対象とする楽曲ファイル11を自動的に選択する(S104)。この際に、楽曲再生部30は、「再生回数」が少ない楽曲ファイル11を優先的に選択する。これは、なるべく多くの楽曲を評価対象とするためである。
【0032】
自動選曲の指示がなかったときには(S103:No)、楽曲再生部30は、例えば、図6に示すような表示を行なって、ユーザに楽曲の選択を促す(S105)。図6の例では、「再生する曲を選んでください」というメッセージを表示して、楽曲の選択を促すようにしている。このとき、再生対象の電子書籍の文書に半透過する態様で楽曲の選択を促すメッセージを表示している。ただし、この表示例は一例であり、表示されるメッセージ内容や表示の形態はこれに限定されるものではない。
【0033】
そして、電子書籍再生部40が、ユーザによって指定された電子書籍の再生を行ない、楽曲再生部30が、ユーザによって指定された楽曲あるいは楽曲再生部30が選択した楽曲を再生する(S106)。図7は、楽曲再生中の表示部42の表示例を示す図である。本図に示すように、楽曲再生中は、電子書籍の表示領域を狭め、楽曲再生情報42aや再生コントロール操作部42bを表示させることができる。このとき、楽曲再生操作受付後、所定時間経過後に、楽曲再生情報42aや再生コントロール操作部42bを消去して、電子書籍の表示領域を拡大するようにしてもよい。
【0034】
電子書籍の再生中に、電子書籍再生部40が、操作受付部50を介して、ユーザからページ送り指示を受け付けると(S107:Yes)、ページ進捗評価部60が、読んでいたページに対するページ進捗評価を行なう(S108)。ページ進捗評価は、楽曲の再生が終了するか、電子書籍の再生が終了するまで、ページが送られる度に行なう。楽曲の再生あるいは電子書籍の再生が終了すると(S109:Yes)、楽曲評価部70が、再生された楽曲についての評価を行なう(S110)。楽曲の再生終了は、楽曲が最後まで再生されたことや、ユーザによって再生が停止されたことを検出することで判定できる。また、電子書籍の再生終了は、電子書籍が最後まで読まれたこと、ユーザによって再生が停止されたこと等を検出することで判定ができる。また、コンテンツ再生装置100がカメラ等を備えていれば、ユーザの顔を撮像して、ユーザの視線が表示部42から所定時間以上離れたことを検出することにより電子書籍の再生終了を検知するようにしてもよい。なお、電子書籍の再生は終了したが、楽曲の再生は終了していない場合には、楽曲再生部30は、電子書籍の再生終了時点での楽曲の再生経過時間を一時的に保持しておく。
【0035】
楽曲の再生は終了したが、電子書籍の再生が継続している場合には(S111:Yes)、楽曲再生部30が、別の楽曲の再生を行なって、上記の処理を電子書籍の再生が終了するまで繰り返す(S111:No)。
【0036】
次に、ページ進捗評価部60が行なうページ進捗評価処理(S108)の詳細な手順について、図8のフローチャートを参照して説明する。
【0037】
ページ進捗評価処理(S108)では、ページ送りが行なわれた際の時刻を時計部64から取得して、前ページの終了時刻、現ページの開始時刻として記録する(S401)。そして、前ページの開始時刻が記録されているかどうかを判断する(S402)。
【0038】
前ページの開始時刻が記録されている場合(S402:Yes)は、前ページの終了時刻と開始時刻との差分から、前ページの滞留時間、すなわち、前ページを読むのに費やした時間を算出して、中間データとして記録する(S403)。そして、前ページの電子書籍ページ情報22bを参照して、前ページに含まれる文字数を取得する(S404)。
【0039】
次いで、取得した文字数を算出した滞留時間で割ることにより、前ページについて単位時間当りに読んだ文字数であるページ進捗値を算出し(S405)、中間データとして記録する(S406)
【0040】
一方、前ページの開始時刻が記録されていない場合(S402:No)には、前ページの進捗値は算出しない。例えば、前ページから読み始めた場合には、前ページの開始時刻は記録されていないことになる。電子書籍の再生開始時を前ページの開始時刻と見なすようにしてもよいが、前ページの途中から読み始める場合もあるため、ここでは除外するものとする。また、読み終わりのページもページ送りが行なわれないため、ページの進捗値を算出しないものとする。
【0041】
図9は、ページ毎の開始時刻、終了時刻、滞留時間、ページ進捗値の例を示す図である。本図の例では、書籍Aの20ページ目から45ページ目まで読み進んでおり、開始ページの20ページ目と終了ページの45ページ目を除いた各ページについて開始時刻、終了時刻、滞留時間、ページ進捗値が記録されている。ページ進捗値は、ここでは1秒当りの文字数で表わしているが、これに限られず、例えば、1分当りの文字数としたり、1文字当りの秒数等としてもよい。
【0042】
次に、楽曲評価部70が行なう楽曲評価処理(S110)の詳細な手順について、図10のフローチャートを参照して説明する。
【0043】
楽曲評価処理(S110)では、まず、処理(S109)で再生が終了した楽曲についてのページ進捗値を取得する(S501)。そして、取得したページ進捗値を平均し、すなわち、ページ進捗値の合計値をページ数で割ることによって得られた値を楽曲読書進捗値として(S502)、楽曲属性テーブル12の「楽曲読書進捗値」に記録する(S503)。楽曲読書進捗値が大きければ、電子書籍が読みやすかったことを示しているため、楽曲の評価にプラスに働く。図11は、楽曲読書進捗値が記録された楽曲属性テーブル12の例を示す図である。
【0044】
次に、電子書籍属性情報22の電子書籍属性テーブル22aを参照して再生した電子書籍の書籍ジャンルを取得する(S504)。これは、一般に、書籍ジャンルによって難解さが異なり、電子書籍の読みやすさに差が生じることを考慮するためである。つまり、同じ楽曲読書進捗値であったとしても、難解なジャンルの電子書籍を読んでいれば、書籍ジャンル毎にあらかじめ設定された難易度に基づき、平易なジャンルの電子書籍を読んでいるときよりも当該楽曲の評価を高くする処理に用いるものである。
【0045】
そして、楽曲読書進捗値と、書籍ジャンルとからその楽曲に対する評価ポイントを算出する(S505)。評価ポイントの算出は、例えば、図12に示すようなテーブルを用いて行なうことができる。このテーブルは、あらかじめ作成しておき、評価用パラメータ格納部72に格納しておく。本図の例では、書籍ジャンルと楽曲読書進捗値とに対応して評価ポイントが定められたものであり、同じ書籍ジャンルであれば、楽曲読書進捗値が大きいほど評価ポイントが高くなるように定められており、同じ楽曲読書進捗値であれば、難解と考えられる書籍ジャンルほど評価ポイントが高くなるように定められている。
【0046】
以上の手順により評価ポイントを算出すると、楽曲属性テーブル12の「評価ポイント」に記録する(S506)。図13は、それぞれの楽曲に評価ポイントが記録された楽曲属性テーブル12の例を示している。なお、同じ楽曲が複数回再生されている場合には、それぞれについての評価ポイントを平均すればよい。
【0047】
次に、楽曲推薦部80が行なう楽曲推薦処理について、図14のフローチャートを参照して説明する。楽曲推薦処理は、評価ポイントを用いて行なうため、上記の楽曲評価により、評価ポイントが記録された楽曲数がある程度以上になった場合に行なうことが望ましい。楽曲推薦処理は、例えば、操作受付部50を介して、ユーザから楽曲推薦指示を受け付けた場合に行なうことができる。また、ユーザからの楽曲推薦指示に限らず、ユーザが電子書籍再生操作を行なったときや、定期的あるいは不定期的に行なうようにしてもよい。
【0048】
楽曲推薦処理では、評価ポイントが記録された楽曲属性テーブル12を参照する(S201)。そして、評価ポイントが記録された各楽曲について、評価ポイントの値を、楽曲属性テーブル12の所定の属性カテゴリの属性値に対して付与する(S202)。ここで、所定の属性カテゴリは、「テンポ」「楽曲ジャンル」「雰囲気」とする。なお、ここでは前述の3つの属性カテゴリを評価ポイント付与の対象としているが、これに限らず楽曲属性テーブル12に楽曲の特徴を示す他の属性カテゴリが記録されている場合には、それらを対象に含めてもよい。
【0049】
例えば、図13の例では、「楽曲A」の「評価ポイント」として80が記録されている。このポイント80を、属性カテゴリ「テンポ」の属性値「120」、属性カテゴリ「楽曲ジャンル」の属性値「Pop」、属性カテゴリ「雰囲気」の属性値「さわやか」にそれぞれ付与する。
【0050】
この結果、各楽曲の属性カテゴリの属性値について、図15に示すような評価ポイントが付与されることになる。例えば、「楽曲A」においては、属性カテゴリ「テンポ」の属性値「120」に80ポイント付与され、「楽曲D」においては、同じ属性カテゴリ「テンポ」の属性値「120」に20ポイント付与されている。これは、「楽曲A」自体の評価ポイントが80であり、「楽曲D」自体の評価ポイントが20だからである。
【0051】
このように、同一の属性値について複数の評価ポイントが付与される場合があるため、各属性値について、評価ポイントを平均化する(S203)。図16は、属性カテゴリ毎に、属性値の平均評価ポイントを表示したものである。なお、テンポのように属性値が数値である場合には、所定の範囲でまとめて評価ポイントの平均値を算出することが望ましい。
【0052】
そして、楽曲推薦部80は、属性カテゴリ毎に、平均評価ポイントが最も高い順に属性値を抽出し、属性カテゴリ毎の上位属性値を決定する(S204)。例えば、図16を例にすると、属性カテゴリ「テンポ」では、属性値「106−120」が平均評価ポイント85で最も高く、属性カテゴリ「楽曲ジャンル」では、属性値「Jazz」が平均評価ポイント72で最も高く、属性カテゴリ「雰囲気」では、属性値「クール」が平均評価ポイント82で最も高くなっている。このため、属性値「106−120」「Jazz」「クール」をそれぞれの属性カテゴリの上位属性に決定する。
【0053】
ただし、例えば、上位3つまでを上位属性とするなど、所定の数を設定しておき、上位属性を決定してもよい。さらに、図15に示した楽曲別の各属性値に対する評価ポイントを用いて分散分析やt検定などを行ない、評価ポイントの平均値の差を属性値間で比較し、有意差が認められた属性値のみを上位属性として扱うなどの処理をしてもよい。
【0054】
次に、それぞれの属性カテゴリの上位属性の平均評価ポイントの大きい順に、属性カテゴリの優先度を設定する(S205)。図16に示した例では、属性カテゴリ「テンポ」の上位属性である「106−120」が平均評価ポイント85で最も大きいため、属性カテゴリ「テンポ」を第1優先カテゴリとする。以下、平均評価ポイントの大きさに従って、属性カテゴリ「雰囲気」を第2優先カテゴリとし、属性カテゴリ「楽曲ジャンル」を第3優先カテゴリとする。
【0055】
なお、この属性カテゴリの順位付けとして、各属性カテゴリの上位属性の数を1とした場合を例に説明したが、各属性カテゴリの上位属性の数を複数とした場合は、上位属性の属性値の評価ポイントの合計値や平均値など用いて順位付けを行なうこともできる。
【0056】
次に、楽曲推薦部80は、楽曲属性テーブル12を参照して、楽曲格納部10に格納されている楽曲ファイル11のうち、第1優先カテゴリとなった属性カテゴリで、上位属性となっている属性値が記録されている楽曲を抽出する(S206)。例えば、第1優先カテゴリが「テンポ」で、上位属性が「106−120」の場合、属性カテゴリ「テンポ」の属性値が「106−120」である楽曲を抽出する。
【0057】
抽出された楽曲の数が、推薦曲数として適切な範囲であれば(S207:Yes)、抽出された楽曲を推薦楽曲として表示部42に表示させる(S209)。図17は、表示部42に表示された推薦楽曲の例を示している。ユーザは、電子書籍を読む際に、推薦された楽曲を再生することで、読書をはかどらすことが期待される。なお、推薦曲数として適切な範囲は、予め設定しておいてもよいし、ユーザから指示を受け付けるようにしてもよい。また、例えば、楽曲を再生しない状態でのユーザの読書進捗値を評価して、この評価より悪い評価ポイントの楽曲は推薦対象から除外するようにしてもよい。
【0058】
一方、抽出された楽曲の数が、推薦曲数として適切な範囲でなければ(S207:No)、優先カテゴリの上位属性の条件を変更して、再度楽曲の抽出を行なう(S208)。具体的には、抽出された楽曲の数が、適切な範囲よりも大きい場合には、次の優先カテゴリの上位属性をAND条件で用いることにより、推薦楽曲の絞り込みを行なう。例えば、第2優先カテゴリが「雰囲気」で、上位属性が「クール」の場合、属性カテゴリ「テンポ」の属性値が「106−120」かつ属性カテゴリ「雰囲気」の属性値が「クール」である楽曲を抽出する。
【0059】
逆に、抽出された楽曲の数が、適切な範囲よりも小さい場合には、次の優先カテゴリの上位属性をOR条件で用いることにより、推薦楽曲の再抽出を行なう。例えば、第2優先カテゴリが「雰囲気」で、上位属性が「クール」の場合、属性カテゴリ「テンポ」の属性値が「106−120」または属性カテゴリ「雰囲気」の属性値が「クール」である楽曲を抽出する。
【0060】
再抽出の結果、抽出された楽曲の数が、推薦曲数として適切な範囲であれば(S207:Yes)、抽出された楽曲を推薦楽曲として表示部42に表示させる(S209)。推薦曲数として適切な範囲でなければ(S207:No)、優先カテゴリの上位属性の条件を変更した楽曲の再抽出を繰り返す(S208)。なお、本例では、上位属性の条件変更の際に優先カテゴリを変更したが、優先カテゴリ内の属性値を変更してもよい。
【0061】
以上説明したように、本実施形態のコンテンツ再生装置100は、再生楽曲と読書進捗状況とを関連付けて楽曲の評価を行ない、さらに、楽曲の属性と評価とを関連付けて推薦楽曲を決定するため、電子書籍の読書の妨げとならない楽曲を推薦することが可能となる。
【0062】
次に、楽曲推薦部80が行なう楽曲推薦処理の別例について、図18のフローチャートを参照して説明する。楽曲推薦処理の別例では、各属性値について、評価ポイントを平均化するまでの処理は、上記の楽曲推薦処理と同様である。
【0063】
すなわち、評価ポイントが記録された楽曲属性テーブル12を参照し(S301)、評価ポイントが記録された各楽曲について、評価ポイントの値を、楽曲属性テーブル12の所定の属性カテゴリの属性値に対して付与する(S302)。そして、各属性値について、評価ポイントを平均化する(S303)。この結果、図16に示したような属性カテゴリ毎の属性値の平均評価ポイントが得られる。
【0064】
次に、図13に示した各楽曲の属性カテゴリの属性値に対して、図16に示したような平均評価ポイントを属性評価値として付与する(S304)。そして、付与された属性評価値を合計する(S305)。図19は、各楽曲の属性値に対して付与された属性評価値と合計値の例を示している。
【0065】
属性値に対して付与された属性評価値の合計を各楽曲の推薦評価値とし、上位から推薦楽曲数分抽出することで、推薦楽曲を決定する(S306)。推薦楽曲数は、予め設定しておいてもよいし、ユーザから指示を受け付けるようにしてもよい。そして、抽出された楽曲を推薦楽曲として表示部42に表示させる(S307)。
【0066】
本別例においても、楽曲の属性と評価とを関連付けて推薦楽曲を決定するため、電子書籍の読書の妨げとならない楽曲を推薦することが可能となる。なお、本発明において、楽曲を推薦するとは、推薦楽曲を自動的に再生することも含むものとする。
【符号の説明】
【0067】
10…楽曲格納部
11…楽曲ファイル
12…楽曲属性テーブル
20…電子書籍格納部
21…電子書籍ファイル
22…電子書籍属性情報
22a…電子書籍属性テーブル
22b…電子書籍ページ情報
30…楽曲再生部
32…音声出力部
40…電子書籍再生部
42…表示部
50…操作受付部
60…ページ進捗評価部
64…時計部
70…楽曲評価部
72…評価用パラメータ格納部
80…楽曲推薦部
100…コンテンツ再生装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子書籍と楽曲を再生可能なコンテンツ再生装置、楽曲推薦方法およびコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ユーザに対して、ユーザの嗜好に即したアイテムを推薦するアイテム推薦装置が数多く提案されており、ユーザが膨大な数のアイテムの中から所望のアイテムを見つけ出すのに有益な装置となっている。
【0003】
例えば、特許文献1には、ユーザの楽曲に対する嗜好と映画や書籍などの異種コンテンツの嗜好とを対応付けることより、ユーザの楽曲視聴履歴に基づいて映画や書籍などの異種コンテンツを推薦するアイテム推薦装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−141746号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年、電子書籍に代表されるように、ディスプレイに文字情報等を表示し、読書を行なえるコンテンツ再生装置が実用化されている。コンテンツ再生装置では、電子書籍を再生しながら楽曲を再生するなど、複数のコンテンツを同時に再生することができるものが多い。このようなコンテンツ再生装置においても、異種コンテンツを推薦する従来の技術を適用することにより、ユーザの電子書籍の読書履歴に基づいて、ユーザの嗜好にあった楽曲を推薦することが考えられる。
【0006】
しかしながら、電子書籍を再生しながら楽曲を再生する場合、嗜好にあった楽曲が再生されると、楽曲に聴き入ってしまい、かえって読書の妨げになってしまうおそれがある。このため従来の技術をそのまま適用することは好ましくない。
【0007】
そこで、本発明は、電子書籍の読書の妨げにならない楽曲を推薦することができるコンテンツ再生装置、楽曲推薦方法およびコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明の第1の態様であるコンテンツ再生装置は、電子書籍ファイルを再生する電子書籍再生部と、楽曲ファイルを再生する楽曲再生部と、楽曲ファイルの再生中に再生している電子書籍ファイルについて、それぞれのページの読み進み具合を示すページ進捗値を算出するページ進捗評価部と、算出したページ進捗値を用いて再生に係る楽曲ファイルに対する評価ポイントを算出する楽曲評価部と、それぞれの楽曲ファイルの属性値を所定のカテゴリ毎に記録した楽曲属性テーブルを参照し、各楽曲ファイルの評価ポイントとそれぞれの楽曲ファイルの属性値とから、カテゴリ毎の属性値についての評価を行ない、属性値の評価に基づいて楽曲ファイルを推薦する楽曲推薦部と、を備えたことを特徴とする。
ここで、前記ページ進捗評価部は、ページを表示した時間と、そのページに含まれる文字数とに基づいて前記ページ進捗値を算出することができる。このとき、ユーザ操作によりページが送られると、前ページについてのページ進捗値を算出することができる。
また、前記楽曲評価部は、ページ進捗値を平均することにより、楽曲読書進捗値を算出し、算出された楽曲読書進捗値に基づいて前記評価ポイントを算出することができる。
このとき、前記楽曲評価部は、前記楽曲読書進捗値を、あらかじめ定められた前記書籍ファイルの属性に基づいて評価することにより前記評価ポイントを算出することができる。
また、前記楽曲推薦部は、楽曲ファイルの評価ポイントを、前記楽曲ファイルの属性値に対して付与し、属性値毎に付与された評価ポイントを平均化した平均評価ポイントを用いて、カテゴリ毎の属性値について評価を行ない、評価の高い属性値を含む楽曲ファイルを推薦することができる。
また、前記楽曲推薦部は、楽曲ファイルの評価ポイントを、前記楽曲ファイルの属性値に対して付与し、属性値毎に付与された評価ポイントを平均化した値を、それぞれの属性値の属性評価値とし、楽曲ファイル毎に属性評価値を合計して、属性評価値合計値の大きい楽曲ファイルを推薦することができる。
上記課題を解決するため、本発明の第2の態様である楽曲推薦方法は、所定のカテゴリ毎に属性値が与えられた楽曲ファイルの再生中に再生している電子書籍ファイルについて、それぞれのページの読み進み具合を示すページ進捗値を算出し、算出したページ進捗値を用いて再生中の楽曲ファイルに対する評価ポイントを算出する楽曲評価ステップと、各楽曲ファイルの評価ポイントとそれぞれの楽曲ファイルの属性値とから、カテゴリ毎の属性値についての評価を行ない、属性値の評価に基づいて楽曲ファイルを推薦する楽曲推薦ステップと、を含むことを特徴とする。
上記課題を解決するため、本発明の第3の態様であるコンピュータプログラムは、所定のカテゴリ毎に属性値が与えられた楽曲ファイルの再生中に再生している電子書籍ファイルについて、それぞれのページの読み進み具合を示すページ進捗値を算出し、算出したページ進捗値を用いて再生中の楽曲ファイルに対する評価ポイントを算出する楽曲評価ステップと、各楽曲ファイルの評価ポイントとそれぞれの楽曲ファイルの属性値とから、カテゴリ毎の属性値についての評価を行ない、属性値の評価に基づいて楽曲ファイルを推薦する楽曲推薦ステップと、を情報処理装置に実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、電子書籍の読書の妨げにならない楽曲を推薦することができるコンテンツ再生装置、楽曲推薦方法およびコンピュータプログラムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本実施形態に係るコンテンツ再生装置の構成を示すブロック図である。
【図2】コンテンツ再生装置の外観を模式的に示す図である。
【図3】楽曲属性テーブルの構成例を示す図である。
【図4】電子書籍属性情報に含まれる、電子書籍属性テーブル、電子書籍ページ情報の構成例を示す図である。
【図5】本実施形態に係るコンテンツ再生装置の楽曲評価動作について説明するフローチャートである。
【図6】楽曲選択を促す表示例を示す図である。
【図7】楽曲再生中の表示部の表示例を示す図である。
【図8】ページ進捗評価部が行なうページ進捗評価処理について説明するフローチャートである。
【図9】ページ毎の開始時刻、終了時刻、滞留時間、ページ進捗値の例を示す図である。
【図10】楽曲評価部が行なう楽曲評価処理の詳細な手順について説明するフローチャートである。
【図11】楽曲読書進捗値が記録された楽曲属性テーブルの例を示す図である。
【図12】書籍ジャンルと楽曲読書進捗値から評価ポイントを求めるテーブルの例を示す図である。
【図13】評価ポイントが記録された楽曲属性テーブルの例を示す図である。
【図14】楽曲推薦部が行なう楽曲推薦処理について説明するフローチャートである。
【図15】各楽曲の属性カテゴリの属性値に付与された評価ポイントを示す図である。
【図16】属性カテゴリ毎に、属性値の平均値を表示した図である。
【図17】推薦楽曲の表示例を示す図である。
【図18】楽曲推薦部が行なう楽曲推薦処理の別例について説明するフローチャートである。
【図19】各楽曲の属性値に対して付与された属性評価値と合計値の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は、本実施形態に係るコンテンツ再生装置の構成を示すブロック図である。本実施形態に係るコンテンツ再生装置は、少なくとも楽曲ファイルおよび電子書籍ファイルを同時再生可能な機器であり、CPUがメモリに格納されたプログラムを実行することにより種々の動作を行なう情報端末装置を用いることができる。具体的には、電子書籍端末、PDA(Personal Digital Assistant)、パーソナルコンピュータ、携帯電話、携帯音楽プレイヤ等とすることができる。
【0012】
本図に示すようにコンテンツ再生装置100は、楽曲格納部10、電子書籍格納部20、楽曲再生部30、音声出力部32、電子書籍再生部40、表示部42、操作受付部50、ページ進捗評価部60、時計部64、楽曲評価部70、評価用パラメータ格納部72、楽曲推薦部80を備えている。
【0013】
コンテンツ再生装置100は、例えば、図2に示すような外観をしており、液晶ディスプレイ装置や有機ELディスプレイ装置等により構成される表示部42と、操作キー等により構成される操作受付部50とが表面に配置されている。表示部42に、静電容量センサーデバイス、感圧式センサーデバイス等のタッチパネル方式を採用することで、操作受付部50としても機能させるようにしてもよい。
【0014】
図1において、楽曲格納部10は、ハードディスクドライブやフラッシュメモリ等を用いて構成され、MP3等の音声フォーマットで記録された楽曲ファイル11を格納する。また、楽曲格納部10は、楽曲ファイル11の関連情報として楽曲属性テーブル12も格納する。
【0015】
図3は、楽曲属性テーブル12の構成例を示す図である。本図に示すように、楽曲属性テーブル12は、「タイトル」「アーティスト」「アルバム」「テンポ」「楽曲ジャンル」「雰囲気」「再生回数」「楽曲読書進捗値」「評価ポイント」を楽曲ファイル11毎に記憶する。
【0016】
以下では、「タイトル」「アーティスト」「アルバム」「テンポ」「楽曲ジャンル」「雰囲気」を属性カテゴリと称するものとする。属性カテゴリは、例えば、楽曲情報として楽曲ファイル11に付随している情報を用いたり、自動的あるいはユーザの操作等により収集・記録すること等により楽曲属性テーブル12に記録することができる。あるいは、公知の楽曲分析技術等を用いて楽曲ファイルの内容を判断して記録するようにしてもよい。
【0017】
本実施形態では、属性カテゴリのうち「テンポ」「楽曲ジャンル」「雰囲気」で楽曲の特性を判断する。このため、これらの属性カテゴリを示す属性値は、用語を統一する等によって予め一般化しておくことが望ましい。本図の例では、「テンポ」は、1分間の拍数で属性値を示し、「楽曲ジャンル」は、「Pop」「Rock」「Jazz」等の用語で属性値を示し、「雰囲気」は、「さわやか」「パワフル」「クール」「ハード」等の表現で属性値を示すようにしている。もちろんこれらは例示であり、他の属性カテゴリや属性値を用いるようにしてもよい。
【0018】
「再生回数」は、初期値を0とし、対応する楽曲ファイルがコンテンツ再生装置100で再生される度に増分する。「楽曲読書進捗値」「評価ポイント」は、楽曲評価部70によって算出された楽曲読書進捗値、評価ポイントが記録される。
【0019】
図1の説明に戻って、電子書籍格納部20は、ハードディスクドライブやフラッシュメモリ等を用いて構成され、所定のフォーマットで記録された電子書籍ファイル21を格納する。また、電子書籍格納部20は、電子書籍ファイル21の関連情報として、電子書籍属性情報22も格納する。電子書籍属性情報22は、電子書籍属性テーブル22aと、電子書籍ページ情報22bとを含んでいる。
【0020】
図4は、電子書籍属性情報22に含まれる、電子書籍属性テーブル22a、電子書籍ページ情報22bの構成例を示す図である。図4(a)に示すように、電子書籍属性テーブル22aは、「書籍名」「総ページ数」「著者」「書籍ジャンル」を電子書籍ファイル毎に記憶する。これらは、例えば、電子書籍情報として電子書籍ファイル21に付随している情報を用いたり、自動的あるいはユーザの操作等により収集・記録すること等により電子書籍属性テーブル22aに記録することができる。
【0021】
本実施形態では、「書籍ジャンル」で電子書籍の特性を判断する。このため、「書籍ジャンル」を示す属性値は、用語を統一する等によって予め一般化しておくことが望ましい。本図の例では、「エッセイ」「哲学」「歴史」「心理学」等の用語で属性値を示すようにしている。
【0022】
図4(b)に示すように、電子書籍ページ情報22bは、「書籍」「ページ」「文字数」「行数」「段落数」を電子書籍毎に記憶する。すなわち、電子書籍ページ情報22bを参照することで、電子書籍のページ毎の文字数、行数、段落数を取得することができる。
【0023】
図1の説明に戻って、楽曲再生部30は、操作受付部50からの楽曲再生指示に従って、楽曲格納部10に格納された楽曲ファイル11の再生を行なう。再生された音声は、スピーカー、出力端子等により構成される音声出力部32によって外部に出力される。楽曲再生部30は、楽曲ファイル11の再生を行なうと、楽曲属性テーブル12のその楽曲ファイル11に対応する「再生回数」を1増分する。また、楽曲再生部30は、再生する楽曲ファイルを自動的に選択することもでき、この場合、「再生回数」が少ない楽曲ファイル11を優先的に選択する。
【0024】
電子書籍再生部40は、操作受付部50からの電子書籍再生指示に従って、電子書籍格納部20に格納された電子書籍ファイル21の再生を行なう。再生された文字情報等は、表示部42に表示される。操作受付部50は、ユーザから各種入力操作を受け付ける。
【0025】
ページ進捗評価部60は、電子書籍と楽曲とを同時に再生しているときに、再生中の電子書籍のページが送られると、時計部64が出力する時刻情報を記録し、前ページを読むのに費やした時間を算出する。そして、電子書籍ページ情報22bを参照して、前ページに含まれる文字数を取得し、単位時間当りに読み進んだ文字数を示すページ進捗値を算出する。
【0026】
楽曲評価部70は、ページ進捗値を平均することにより、読書中に再生していた楽曲に対する楽曲読書進捗値を算出し、楽曲属性テーブル12の「楽曲読書進捗値」に記録する。さらに、楽曲読書進捗値に基づいて楽曲の評価ポイントを算出し、楽曲属性テーブル12の「評価ポイント」に記録する。評価ポイントの算出に際しては、評価用パラメータ格納部72に格納されている評価用パラメータを使用する。評価ポイントは、その楽曲を再生しているときの読書の進み具合を指標化したものである。すなわち、評価ポイントが高い楽曲は、読書がはかどる性質の楽曲として捉えることができる。
【0027】
楽曲推薦部80は、楽曲属性テーブル12に記録されている「評価ポイント」に基づいて、電子書籍の再生時に適した楽曲を推薦する。電子書籍の再生時に適した楽曲は、読書がはかどると想定される楽曲である。本実施形態では、評価ポイントと、属性カテゴリ「テンポ」「楽曲ジャンル」「雰囲気」の属性値との関連性を分析することにより、推薦する楽曲を抽出する。
【0028】
次に、本実施形態に係るコンテンツ再生装置100の楽曲評価動作について図5のフローチャートを参照して説明する。
【0029】
楽曲評価動作は、電子書籍再生部40が、操作受付部50を介して、ユーザから電子書籍再生指示を受け付けることで開始される(S101)。電子書籍再生指示の操作に際しては、再生対象となる電子書籍ファイル21が指定される。また、文字の大きさ等の表示に関する指示を含めるようにしてもよい。
【0030】
楽曲再生部30は、電子書籍再生指示に併せて、楽曲再生の指示もあったかどうかを判断する(S102)。楽曲再生指示がない場合(S102:No)は、ユーザから自動選曲の指示があったかどうかを判断する。自動選曲有無の指示は、あらかじめ設定できるものとする。
【0031】
自動選曲の指示があったときには(S103:Yes)、楽曲再生部30は、楽曲格納部10に格納されている楽曲ファイル11から再生対象とする楽曲ファイル11を自動的に選択する(S104)。この際に、楽曲再生部30は、「再生回数」が少ない楽曲ファイル11を優先的に選択する。これは、なるべく多くの楽曲を評価対象とするためである。
【0032】
自動選曲の指示がなかったときには(S103:No)、楽曲再生部30は、例えば、図6に示すような表示を行なって、ユーザに楽曲の選択を促す(S105)。図6の例では、「再生する曲を選んでください」というメッセージを表示して、楽曲の選択を促すようにしている。このとき、再生対象の電子書籍の文書に半透過する態様で楽曲の選択を促すメッセージを表示している。ただし、この表示例は一例であり、表示されるメッセージ内容や表示の形態はこれに限定されるものではない。
【0033】
そして、電子書籍再生部40が、ユーザによって指定された電子書籍の再生を行ない、楽曲再生部30が、ユーザによって指定された楽曲あるいは楽曲再生部30が選択した楽曲を再生する(S106)。図7は、楽曲再生中の表示部42の表示例を示す図である。本図に示すように、楽曲再生中は、電子書籍の表示領域を狭め、楽曲再生情報42aや再生コントロール操作部42bを表示させることができる。このとき、楽曲再生操作受付後、所定時間経過後に、楽曲再生情報42aや再生コントロール操作部42bを消去して、電子書籍の表示領域を拡大するようにしてもよい。
【0034】
電子書籍の再生中に、電子書籍再生部40が、操作受付部50を介して、ユーザからページ送り指示を受け付けると(S107:Yes)、ページ進捗評価部60が、読んでいたページに対するページ進捗評価を行なう(S108)。ページ進捗評価は、楽曲の再生が終了するか、電子書籍の再生が終了するまで、ページが送られる度に行なう。楽曲の再生あるいは電子書籍の再生が終了すると(S109:Yes)、楽曲評価部70が、再生された楽曲についての評価を行なう(S110)。楽曲の再生終了は、楽曲が最後まで再生されたことや、ユーザによって再生が停止されたことを検出することで判定できる。また、電子書籍の再生終了は、電子書籍が最後まで読まれたこと、ユーザによって再生が停止されたこと等を検出することで判定ができる。また、コンテンツ再生装置100がカメラ等を備えていれば、ユーザの顔を撮像して、ユーザの視線が表示部42から所定時間以上離れたことを検出することにより電子書籍の再生終了を検知するようにしてもよい。なお、電子書籍の再生は終了したが、楽曲の再生は終了していない場合には、楽曲再生部30は、電子書籍の再生終了時点での楽曲の再生経過時間を一時的に保持しておく。
【0035】
楽曲の再生は終了したが、電子書籍の再生が継続している場合には(S111:Yes)、楽曲再生部30が、別の楽曲の再生を行なって、上記の処理を電子書籍の再生が終了するまで繰り返す(S111:No)。
【0036】
次に、ページ進捗評価部60が行なうページ進捗評価処理(S108)の詳細な手順について、図8のフローチャートを参照して説明する。
【0037】
ページ進捗評価処理(S108)では、ページ送りが行なわれた際の時刻を時計部64から取得して、前ページの終了時刻、現ページの開始時刻として記録する(S401)。そして、前ページの開始時刻が記録されているかどうかを判断する(S402)。
【0038】
前ページの開始時刻が記録されている場合(S402:Yes)は、前ページの終了時刻と開始時刻との差分から、前ページの滞留時間、すなわち、前ページを読むのに費やした時間を算出して、中間データとして記録する(S403)。そして、前ページの電子書籍ページ情報22bを参照して、前ページに含まれる文字数を取得する(S404)。
【0039】
次いで、取得した文字数を算出した滞留時間で割ることにより、前ページについて単位時間当りに読んだ文字数であるページ進捗値を算出し(S405)、中間データとして記録する(S406)
【0040】
一方、前ページの開始時刻が記録されていない場合(S402:No)には、前ページの進捗値は算出しない。例えば、前ページから読み始めた場合には、前ページの開始時刻は記録されていないことになる。電子書籍の再生開始時を前ページの開始時刻と見なすようにしてもよいが、前ページの途中から読み始める場合もあるため、ここでは除外するものとする。また、読み終わりのページもページ送りが行なわれないため、ページの進捗値を算出しないものとする。
【0041】
図9は、ページ毎の開始時刻、終了時刻、滞留時間、ページ進捗値の例を示す図である。本図の例では、書籍Aの20ページ目から45ページ目まで読み進んでおり、開始ページの20ページ目と終了ページの45ページ目を除いた各ページについて開始時刻、終了時刻、滞留時間、ページ進捗値が記録されている。ページ進捗値は、ここでは1秒当りの文字数で表わしているが、これに限られず、例えば、1分当りの文字数としたり、1文字当りの秒数等としてもよい。
【0042】
次に、楽曲評価部70が行なう楽曲評価処理(S110)の詳細な手順について、図10のフローチャートを参照して説明する。
【0043】
楽曲評価処理(S110)では、まず、処理(S109)で再生が終了した楽曲についてのページ進捗値を取得する(S501)。そして、取得したページ進捗値を平均し、すなわち、ページ進捗値の合計値をページ数で割ることによって得られた値を楽曲読書進捗値として(S502)、楽曲属性テーブル12の「楽曲読書進捗値」に記録する(S503)。楽曲読書進捗値が大きければ、電子書籍が読みやすかったことを示しているため、楽曲の評価にプラスに働く。図11は、楽曲読書進捗値が記録された楽曲属性テーブル12の例を示す図である。
【0044】
次に、電子書籍属性情報22の電子書籍属性テーブル22aを参照して再生した電子書籍の書籍ジャンルを取得する(S504)。これは、一般に、書籍ジャンルによって難解さが異なり、電子書籍の読みやすさに差が生じることを考慮するためである。つまり、同じ楽曲読書進捗値であったとしても、難解なジャンルの電子書籍を読んでいれば、書籍ジャンル毎にあらかじめ設定された難易度に基づき、平易なジャンルの電子書籍を読んでいるときよりも当該楽曲の評価を高くする処理に用いるものである。
【0045】
そして、楽曲読書進捗値と、書籍ジャンルとからその楽曲に対する評価ポイントを算出する(S505)。評価ポイントの算出は、例えば、図12に示すようなテーブルを用いて行なうことができる。このテーブルは、あらかじめ作成しておき、評価用パラメータ格納部72に格納しておく。本図の例では、書籍ジャンルと楽曲読書進捗値とに対応して評価ポイントが定められたものであり、同じ書籍ジャンルであれば、楽曲読書進捗値が大きいほど評価ポイントが高くなるように定められており、同じ楽曲読書進捗値であれば、難解と考えられる書籍ジャンルほど評価ポイントが高くなるように定められている。
【0046】
以上の手順により評価ポイントを算出すると、楽曲属性テーブル12の「評価ポイント」に記録する(S506)。図13は、それぞれの楽曲に評価ポイントが記録された楽曲属性テーブル12の例を示している。なお、同じ楽曲が複数回再生されている場合には、それぞれについての評価ポイントを平均すればよい。
【0047】
次に、楽曲推薦部80が行なう楽曲推薦処理について、図14のフローチャートを参照して説明する。楽曲推薦処理は、評価ポイントを用いて行なうため、上記の楽曲評価により、評価ポイントが記録された楽曲数がある程度以上になった場合に行なうことが望ましい。楽曲推薦処理は、例えば、操作受付部50を介して、ユーザから楽曲推薦指示を受け付けた場合に行なうことができる。また、ユーザからの楽曲推薦指示に限らず、ユーザが電子書籍再生操作を行なったときや、定期的あるいは不定期的に行なうようにしてもよい。
【0048】
楽曲推薦処理では、評価ポイントが記録された楽曲属性テーブル12を参照する(S201)。そして、評価ポイントが記録された各楽曲について、評価ポイントの値を、楽曲属性テーブル12の所定の属性カテゴリの属性値に対して付与する(S202)。ここで、所定の属性カテゴリは、「テンポ」「楽曲ジャンル」「雰囲気」とする。なお、ここでは前述の3つの属性カテゴリを評価ポイント付与の対象としているが、これに限らず楽曲属性テーブル12に楽曲の特徴を示す他の属性カテゴリが記録されている場合には、それらを対象に含めてもよい。
【0049】
例えば、図13の例では、「楽曲A」の「評価ポイント」として80が記録されている。このポイント80を、属性カテゴリ「テンポ」の属性値「120」、属性カテゴリ「楽曲ジャンル」の属性値「Pop」、属性カテゴリ「雰囲気」の属性値「さわやか」にそれぞれ付与する。
【0050】
この結果、各楽曲の属性カテゴリの属性値について、図15に示すような評価ポイントが付与されることになる。例えば、「楽曲A」においては、属性カテゴリ「テンポ」の属性値「120」に80ポイント付与され、「楽曲D」においては、同じ属性カテゴリ「テンポ」の属性値「120」に20ポイント付与されている。これは、「楽曲A」自体の評価ポイントが80であり、「楽曲D」自体の評価ポイントが20だからである。
【0051】
このように、同一の属性値について複数の評価ポイントが付与される場合があるため、各属性値について、評価ポイントを平均化する(S203)。図16は、属性カテゴリ毎に、属性値の平均評価ポイントを表示したものである。なお、テンポのように属性値が数値である場合には、所定の範囲でまとめて評価ポイントの平均値を算出することが望ましい。
【0052】
そして、楽曲推薦部80は、属性カテゴリ毎に、平均評価ポイントが最も高い順に属性値を抽出し、属性カテゴリ毎の上位属性値を決定する(S204)。例えば、図16を例にすると、属性カテゴリ「テンポ」では、属性値「106−120」が平均評価ポイント85で最も高く、属性カテゴリ「楽曲ジャンル」では、属性値「Jazz」が平均評価ポイント72で最も高く、属性カテゴリ「雰囲気」では、属性値「クール」が平均評価ポイント82で最も高くなっている。このため、属性値「106−120」「Jazz」「クール」をそれぞれの属性カテゴリの上位属性に決定する。
【0053】
ただし、例えば、上位3つまでを上位属性とするなど、所定の数を設定しておき、上位属性を決定してもよい。さらに、図15に示した楽曲別の各属性値に対する評価ポイントを用いて分散分析やt検定などを行ない、評価ポイントの平均値の差を属性値間で比較し、有意差が認められた属性値のみを上位属性として扱うなどの処理をしてもよい。
【0054】
次に、それぞれの属性カテゴリの上位属性の平均評価ポイントの大きい順に、属性カテゴリの優先度を設定する(S205)。図16に示した例では、属性カテゴリ「テンポ」の上位属性である「106−120」が平均評価ポイント85で最も大きいため、属性カテゴリ「テンポ」を第1優先カテゴリとする。以下、平均評価ポイントの大きさに従って、属性カテゴリ「雰囲気」を第2優先カテゴリとし、属性カテゴリ「楽曲ジャンル」を第3優先カテゴリとする。
【0055】
なお、この属性カテゴリの順位付けとして、各属性カテゴリの上位属性の数を1とした場合を例に説明したが、各属性カテゴリの上位属性の数を複数とした場合は、上位属性の属性値の評価ポイントの合計値や平均値など用いて順位付けを行なうこともできる。
【0056】
次に、楽曲推薦部80は、楽曲属性テーブル12を参照して、楽曲格納部10に格納されている楽曲ファイル11のうち、第1優先カテゴリとなった属性カテゴリで、上位属性となっている属性値が記録されている楽曲を抽出する(S206)。例えば、第1優先カテゴリが「テンポ」で、上位属性が「106−120」の場合、属性カテゴリ「テンポ」の属性値が「106−120」である楽曲を抽出する。
【0057】
抽出された楽曲の数が、推薦曲数として適切な範囲であれば(S207:Yes)、抽出された楽曲を推薦楽曲として表示部42に表示させる(S209)。図17は、表示部42に表示された推薦楽曲の例を示している。ユーザは、電子書籍を読む際に、推薦された楽曲を再生することで、読書をはかどらすことが期待される。なお、推薦曲数として適切な範囲は、予め設定しておいてもよいし、ユーザから指示を受け付けるようにしてもよい。また、例えば、楽曲を再生しない状態でのユーザの読書進捗値を評価して、この評価より悪い評価ポイントの楽曲は推薦対象から除外するようにしてもよい。
【0058】
一方、抽出された楽曲の数が、推薦曲数として適切な範囲でなければ(S207:No)、優先カテゴリの上位属性の条件を変更して、再度楽曲の抽出を行なう(S208)。具体的には、抽出された楽曲の数が、適切な範囲よりも大きい場合には、次の優先カテゴリの上位属性をAND条件で用いることにより、推薦楽曲の絞り込みを行なう。例えば、第2優先カテゴリが「雰囲気」で、上位属性が「クール」の場合、属性カテゴリ「テンポ」の属性値が「106−120」かつ属性カテゴリ「雰囲気」の属性値が「クール」である楽曲を抽出する。
【0059】
逆に、抽出された楽曲の数が、適切な範囲よりも小さい場合には、次の優先カテゴリの上位属性をOR条件で用いることにより、推薦楽曲の再抽出を行なう。例えば、第2優先カテゴリが「雰囲気」で、上位属性が「クール」の場合、属性カテゴリ「テンポ」の属性値が「106−120」または属性カテゴリ「雰囲気」の属性値が「クール」である楽曲を抽出する。
【0060】
再抽出の結果、抽出された楽曲の数が、推薦曲数として適切な範囲であれば(S207:Yes)、抽出された楽曲を推薦楽曲として表示部42に表示させる(S209)。推薦曲数として適切な範囲でなければ(S207:No)、優先カテゴリの上位属性の条件を変更した楽曲の再抽出を繰り返す(S208)。なお、本例では、上位属性の条件変更の際に優先カテゴリを変更したが、優先カテゴリ内の属性値を変更してもよい。
【0061】
以上説明したように、本実施形態のコンテンツ再生装置100は、再生楽曲と読書進捗状況とを関連付けて楽曲の評価を行ない、さらに、楽曲の属性と評価とを関連付けて推薦楽曲を決定するため、電子書籍の読書の妨げとならない楽曲を推薦することが可能となる。
【0062】
次に、楽曲推薦部80が行なう楽曲推薦処理の別例について、図18のフローチャートを参照して説明する。楽曲推薦処理の別例では、各属性値について、評価ポイントを平均化するまでの処理は、上記の楽曲推薦処理と同様である。
【0063】
すなわち、評価ポイントが記録された楽曲属性テーブル12を参照し(S301)、評価ポイントが記録された各楽曲について、評価ポイントの値を、楽曲属性テーブル12の所定の属性カテゴリの属性値に対して付与する(S302)。そして、各属性値について、評価ポイントを平均化する(S303)。この結果、図16に示したような属性カテゴリ毎の属性値の平均評価ポイントが得られる。
【0064】
次に、図13に示した各楽曲の属性カテゴリの属性値に対して、図16に示したような平均評価ポイントを属性評価値として付与する(S304)。そして、付与された属性評価値を合計する(S305)。図19は、各楽曲の属性値に対して付与された属性評価値と合計値の例を示している。
【0065】
属性値に対して付与された属性評価値の合計を各楽曲の推薦評価値とし、上位から推薦楽曲数分抽出することで、推薦楽曲を決定する(S306)。推薦楽曲数は、予め設定しておいてもよいし、ユーザから指示を受け付けるようにしてもよい。そして、抽出された楽曲を推薦楽曲として表示部42に表示させる(S307)。
【0066】
本別例においても、楽曲の属性と評価とを関連付けて推薦楽曲を決定するため、電子書籍の読書の妨げとならない楽曲を推薦することが可能となる。なお、本発明において、楽曲を推薦するとは、推薦楽曲を自動的に再生することも含むものとする。
【符号の説明】
【0067】
10…楽曲格納部
11…楽曲ファイル
12…楽曲属性テーブル
20…電子書籍格納部
21…電子書籍ファイル
22…電子書籍属性情報
22a…電子書籍属性テーブル
22b…電子書籍ページ情報
30…楽曲再生部
32…音声出力部
40…電子書籍再生部
42…表示部
50…操作受付部
60…ページ進捗評価部
64…時計部
70…楽曲評価部
72…評価用パラメータ格納部
80…楽曲推薦部
100…コンテンツ再生装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子書籍ファイルを再生する電子書籍再生部と、
楽曲ファイルを再生する楽曲再生部と、
楽曲ファイルの再生中に再生している電子書籍ファイルについて、それぞれのページの読み進み具合を示すページ進捗値を算出するページ進捗評価部と、
算出したページ進捗値を用いて再生に係る楽曲ファイルに対する評価ポイントを算出する楽曲評価部と、
それぞれの楽曲ファイルの属性値を所定のカテゴリ毎に記録した楽曲属性テーブルを参照し、各楽曲ファイルの評価ポイントとそれぞれの楽曲ファイルの属性値とから、カテゴリ毎の属性値についての評価を行ない、属性値の評価に基づいて楽曲ファイルを推薦する楽曲推薦部と、
を備えたことを特徴とするコンテンツ再生装置。
【請求項2】
前記ページ進捗評価部は、ページを表示した時間と、そのページに含まれる文字数とに基づいて前記ページ進捗値を算出することを特徴とする請求項1に記載のコンテンツ再生装置。
【請求項3】
前記ページ進捗評価部は、ユーザ操作によりページが送られると、前ページについてのページ進捗値を算出することを特徴とする請求項2に記載のコンテンツ再生装置。
【請求項4】
前記楽曲評価部は、ページ進捗値を平均することにより、楽曲読書進捗値を算出し、算出された楽曲読書進捗値に基づいて前記評価ポイントを算出することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のコンテンツ再生装置。
【請求項5】
前記楽曲評価部は、前記楽曲読書進捗値を、あらかじめ定められた前記書籍ファイルの属性に基づいて評価することにより前記評価ポイントを算出することを特徴とする請求項4項に記載のコンテンツ再生装置。
【請求項6】
前記楽曲推薦部は、
楽曲ファイルの評価ポイントを、前記楽曲ファイルの属性値に対して付与し、属性値毎に付与された評価ポイントを平均化した平均評価ポイントを用いて、カテゴリ毎の属性値について評価を行ない、評価の高い属性値を含む楽曲ファイルを推薦することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のコンテンツ再生装置。
【請求項7】
前記楽曲推薦部は、
楽曲ファイルの評価ポイントを、前記楽曲ファイルの属性値に対して付与し、属性値毎に付与された評価ポイントを平均化した値を、それぞれの属性値の属性評価値とし、楽曲ファイル毎に属性評価値を合計して、属性評価値合計値の大きい楽曲ファイルを推薦することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のコンテンツ再生装置。
【請求項8】
所定のカテゴリ毎に属性値が与えられた楽曲ファイルの再生中に再生している電子書籍ファイルについて、それぞれのページの読み進み具合を示すページ進捗値を算出し、算出したページ進捗値を用いて再生中の楽曲ファイルに対する評価ポイントを算出する楽曲評価ステップと、
各楽曲ファイルの評価ポイントとそれぞれの楽曲ファイルの属性値とから、カテゴリ毎の属性値についての評価を行ない、属性値の評価に基づいて楽曲ファイルを推薦する楽曲推薦ステップと、を含むことを特徴とする楽曲推薦方法。
【請求項9】
所定のカテゴリ毎に属性値が与えられた楽曲ファイルの再生中に再生している電子書籍ファイルについて、それぞれのページの読み進み具合を示すページ進捗値を算出し、算出したページ進捗値を用いて再生中の楽曲ファイルに対する評価ポイントを算出する楽曲評価ステップと、
各楽曲ファイルの評価ポイントとそれぞれの楽曲ファイルの属性値とから、カテゴリ毎の属性値についての評価を行ない、属性値の評価に基づいて楽曲ファイルを推薦する楽曲推薦ステップと、を情報処理装置に実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項1】
電子書籍ファイルを再生する電子書籍再生部と、
楽曲ファイルを再生する楽曲再生部と、
楽曲ファイルの再生中に再生している電子書籍ファイルについて、それぞれのページの読み進み具合を示すページ進捗値を算出するページ進捗評価部と、
算出したページ進捗値を用いて再生に係る楽曲ファイルに対する評価ポイントを算出する楽曲評価部と、
それぞれの楽曲ファイルの属性値を所定のカテゴリ毎に記録した楽曲属性テーブルを参照し、各楽曲ファイルの評価ポイントとそれぞれの楽曲ファイルの属性値とから、カテゴリ毎の属性値についての評価を行ない、属性値の評価に基づいて楽曲ファイルを推薦する楽曲推薦部と、
を備えたことを特徴とするコンテンツ再生装置。
【請求項2】
前記ページ進捗評価部は、ページを表示した時間と、そのページに含まれる文字数とに基づいて前記ページ進捗値を算出することを特徴とする請求項1に記載のコンテンツ再生装置。
【請求項3】
前記ページ進捗評価部は、ユーザ操作によりページが送られると、前ページについてのページ進捗値を算出することを特徴とする請求項2に記載のコンテンツ再生装置。
【請求項4】
前記楽曲評価部は、ページ進捗値を平均することにより、楽曲読書進捗値を算出し、算出された楽曲読書進捗値に基づいて前記評価ポイントを算出することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のコンテンツ再生装置。
【請求項5】
前記楽曲評価部は、前記楽曲読書進捗値を、あらかじめ定められた前記書籍ファイルの属性に基づいて評価することにより前記評価ポイントを算出することを特徴とする請求項4項に記載のコンテンツ再生装置。
【請求項6】
前記楽曲推薦部は、
楽曲ファイルの評価ポイントを、前記楽曲ファイルの属性値に対して付与し、属性値毎に付与された評価ポイントを平均化した平均評価ポイントを用いて、カテゴリ毎の属性値について評価を行ない、評価の高い属性値を含む楽曲ファイルを推薦することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のコンテンツ再生装置。
【請求項7】
前記楽曲推薦部は、
楽曲ファイルの評価ポイントを、前記楽曲ファイルの属性値に対して付与し、属性値毎に付与された評価ポイントを平均化した値を、それぞれの属性値の属性評価値とし、楽曲ファイル毎に属性評価値を合計して、属性評価値合計値の大きい楽曲ファイルを推薦することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のコンテンツ再生装置。
【請求項8】
所定のカテゴリ毎に属性値が与えられた楽曲ファイルの再生中に再生している電子書籍ファイルについて、それぞれのページの読み進み具合を示すページ進捗値を算出し、算出したページ進捗値を用いて再生中の楽曲ファイルに対する評価ポイントを算出する楽曲評価ステップと、
各楽曲ファイルの評価ポイントとそれぞれの楽曲ファイルの属性値とから、カテゴリ毎の属性値についての評価を行ない、属性値の評価に基づいて楽曲ファイルを推薦する楽曲推薦ステップと、を含むことを特徴とする楽曲推薦方法。
【請求項9】
所定のカテゴリ毎に属性値が与えられた楽曲ファイルの再生中に再生している電子書籍ファイルについて、それぞれのページの読み進み具合を示すページ進捗値を算出し、算出したページ進捗値を用いて再生中の楽曲ファイルに対する評価ポイントを算出する楽曲評価ステップと、
各楽曲ファイルの評価ポイントとそれぞれの楽曲ファイルの属性値とから、カテゴリ毎の属性値についての評価を行ない、属性値の評価に基づいて楽曲ファイルを推薦する楽曲推薦ステップと、を情報処理装置に実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2012−174230(P2012−174230A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−38901(P2011−38901)
【出願日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【出願人】(308036402)株式会社JVCケンウッド (1,152)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【出願人】(308036402)株式会社JVCケンウッド (1,152)
【Fターム(参考)】
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