説明

コンデンサ用二軸配向ポリエステルフィルムおよびフィルムコンデンサ

【課題】アンチモン化合物を触媒としたポリマを用いてポリエステルフィルムを製造する際に、酸化アンチモン粒子などのアンチモン化合物に由来した異物が発生してフィルムなどの成型品とした際に粗大突起などの欠点が発生する問題点を解決し、コンデンサ用として好適な、触媒起因の異物を低減させた二軸配向ポリエステルフィルムを提供する。
【解決手段】フィルム中に析出する重合触媒の円相当径CTL(dia)(μm)とフィルム厚みFt(μm)が下式(1)を満たすことを特徴とする、コンデンサ用二軸配向ポリエステルフィルムである。
CTL(dia)<Ft × 1.0 ・・・(1)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンデンサ用二軸配向ポリエステルフィルムに関する。更に詳しくは、電気特性に優れ、特に薄膜の誘電体として適した二軸配向ポリエステルフィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、コンデンサの小型化、静電容量の増大の観点より、誘電体の薄膜化が強く求められている。二軸配向ポリエステルフィルムは、熱的特性、機械的特性、および電気的特性に優れており、しかも薄膜化、均質化できるためフィルムコンデンサの誘電体として広く用いられている。
【0003】
しかしながら、フィルムが薄くなるほどフィルムの電気特性に関する問題が生じてくる。
【0004】
例えば、包装用途フィルムなどに用いられるポリエステルを用いてコンデンサ用薄膜フィルムを作った場合、溶融比抵抗が低いために十分な絶縁性が得られずコンデンサの耐電圧特性が悪化することとなる。
【0005】
また、重合触媒であるアンチモン化合物や、特に金属結晶として析出したアンチモン、ゲルマニウム、マグネシウム化合物が含まれていた場合、その部分におけるフィルムの絶縁性が著しく損なわれ絶縁破壊電圧が低下する。このような特性の低下が生じると、コンデンサ素子を作成した際に耐圧特性のばらつきが生じることとなり、製品歩留まりの低下など大きな問題となる。
【0006】
上記のような背景から、重合触媒としての役割をアンチモン系化合物以外の化合物に求める場合、これまではゲルマニウム化合物が用いられることが多かったが、ゲルマニウム化合物は非常に高価であり汎用的に用いることは難しい問題があった。
【0007】
またかかる問題に対し、重合触媒としてチタン系化合物を用いた場合、例えば特許文献1ではアルカリ化合物を含有する水、有機溶媒またはこれらの混合物でチタン化合物を処理してポリエステル重合工程へ添加する方法が、特許文献2では平均一次粒子径が100nm以下である二酸化チタンのポリエステル重合触媒が、特許文献3では高純度のジカルボン酸成分とチタン化合物によるポリエステル組成物が示されている。
【0008】
しかしながらこれら従来の技術では、チタン化合物(ポリエステル重合触媒)がポリエステル重合反応中に変質したり凝集したりして異物となり、アンチモン化合物触媒と同様の問題点を有すこととなり、本発明において求められるコンデンサ用ポリエステルフィルムを得ることは困難であった。
【特許文献1】特開2002−187942号公報([0008]〜[0014]段落)
【特許文献2】特開2000−119383号公報([0009]〜[0010]段落)
【特許文献3】特開2000−17065号公報([0006]〜[0011]段落)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
アンチモン化合物をポリエステルの重合触媒として用いた場合、酸化アンチモン粒子などのアンチモン化合物に由来した異物がフィルムに発生するために、該フィルムを用いたフィルムコンデンサでは、当該異物により絶縁破壊電圧が低下する、コンデンサ素子を作成した際に耐圧特性のばらつきが生じる、製品歩留まりが低下する、などチタン化合物を重合触媒としてポリエステルを重縮合した場合と同様の問題点を有していた。
【0010】
本発明は、上記した従来の問題点を解決し、コンデンサ用として好適な、特に大容量のコンデンサに好適な耐圧のばらつきの小さい、二軸配向ポリエステルフィルムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らはコンデンサ用ポリエステルフィルムの耐電圧性を向上させ、さらにそのポリエステルフィルムを用いて耐電圧性に優れたコンデンサを製造するという課題について鋭意検討した結果、フィルム中の重合触媒の円相当径CTL(dia)(μm)とフィルム厚みFt(μm)が下式(1)を満たすことを特徴とする、コンデンサ用二軸配向ポリエステルフィルムを用いることで、上述した課題を達成することができることを見いだした。。
【0012】
CTL(dia)<Ft × 1.0 ・・・(1)
【発明の効果】
【0013】
本発明により、膜厚の薄いポリエステルフィルムを誘電体として用いたコンデンサの耐圧性を高めることができ、また耐圧のばらつきが極めて少ないコンデンサを得ることもでき、大容量コンデンサの製造において歩留まりを改善することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明のポリエステルフィルムは、フィルム中の原料重合触媒の円相当径CTL(dia)(μm)とフィルムの厚みFt(μm)が以下の式(1)を満たすことが好ましい。
【0015】
CTL(dia)<Ft × 1.0 ・・・式(1)
またより好ましくは、CTL(dia)<Ft×0.5を満たす場合であり、更に好ましくはCTL(dia)<Ft×0.3を満たす場合である。
【0016】
CTL(dia)≧Ft×1.0であった場合、フィルム中の重合触媒が基点となって絶縁破壊を起こしやすくなるため、本発明のポリエステルフィルムをコンデンサ素子とした場合に、素子のBDV平均値(ave)kVと素子のBDV最小値(min)kVの差が大きくなりやすく、本発明において目的とする絶縁破壊電圧の改善および耐圧改善によるコンデンサ素子製造時の歩留まり改善が難しくなるために好ましくない。
【0017】
またこの傾向は、本発明にて好ましく用いられるポリエステルフィルム厚さ0.5〜20μmにて強く発現し、厚さ0.5〜6μmにてより強く、厚さ0.8〜5μmにおいて更に強く、厚さ1〜4μmにおいて特に強く発現する。
【0018】
なお、円相当径CTL(dia)とは、粒子の投影面積粒子に対して光を当てた場合、光軸に直行する平面に投影される粒子の面積に等しい円が有する直径のことである。
【0019】
本発明のフィルムが上記式(1)を満たすためには、重合条件の改善によってポリエステル中への重合触媒の析出を抑制する方法と、析出した重合触媒をポリエステル中から取り除く方法が挙げられる。
【0020】
前者の重合条件の改善によってポリエステル重合時に重合触媒の析出を抑制する方法としては、重合触媒として働く金属化合物の添加量を削減して重合触媒の析出を抑制する方法や、エステル交換反応触媒の一部を失活させるためにリン化合物を添加する方法、グリコールまたはポリエステル系反応系に対する重合触媒の溶解性から粒子径の小さな重合触媒を用いる方法、重合触媒をグリコールに予め溶解して添加する方法が挙げられる。
【0021】
粒子径の小さな重合触媒を用いる方法としては、触媒の粒径が0.001μm〜0.1μmのものを用いる方法が挙げられる。当該触媒は粉体状で重合反応開始前に加えることもできるが、溶解性を高めた効果をより引き出すためにグリコールに予め溶解して添加する方法がより好ましい。
【0022】
重合触媒をポリエステル中から取り除く方法としては、重合後の濾過に用いるフィルタを目の細かいフィルタにする方法、フィルムを製造する際の押出機〜口金間に濾過工程を設け、該工程に用いるフィルタを目の細かいフィルタにする方法などが挙げられる。重合後の濾過に用いるフィルタを目の細かいフィルタにする方法としては、例えば、金属繊維を焼結したフィルタを用いる方法、金属粉末を焼結したフィルタを用いる方法が挙げられる。本発明においては、フィルム中の重合触媒を取り除くことが肝要であることからより高い精度(目の細かい)を有する金属繊維を焼結したフィルタを用いる方法が好ましい。濾過精度としてはより高いものが好ましいが、目が細かすぎるフィルタを用いた場合、圧力損失が増大するため製造速度が制限されるなど弊害が生じるため、適切な濾過精度のものを選択することが重要となる。本発明においては、公称濾過精度(95%カット)が0.5〜10μmのフィルタを用いることが好ましく、より好ましくは1〜5μm以下、更に好ましくは2〜3μmのフィルタを用いることが好ましい。なお、フィルタの濾材は濾過の対象とするものに合わせて1種類以上の層を設けることが好ましく、例えば、粗大粒子のカットを目的とした10〜30μmカットの濾過精度を持つ層と本特許にて対象とする重合触媒を取り除くための0.5〜10μmカットの濾過精度を持つ層とを、それぞれ1種類以上組み合わせて使用することが好ましい。
【0023】
フィルムを製造する際の押出機〜口金間に濾過工程を設け、該工程に用いるフィルタを目の細かいフィルタにする方法としては、例えば、金属繊維を焼結したフィルタを用いる方法、金属粉末を焼結したフィルタを用いる方法が挙げられる。重合後の濾過とは異なり、当該工程においてはポリエステル中にフィルムの表面形成に必要な粒子が添加されていることから、添加粒子の粒径に合わせて適切な濾過精度のフィルタを用いる必要がある。本発明においては、公称濾過精度(95%カット)が1〜20μmのフィルタを用いることが好ましく、フィルタの濾材としては金属繊維、金属粉末を焼結したものを各々、もしくは、組み合わせ用いることができる。
【0024】
本発明においては、ポリエステルフィルムが上記式(1)を満たすため、これらの方法を各々、もしくは、組み合わせ重合を行うことができる。
【0025】
本発明のポリエステルフィルムは、円相当径CTL(dia)(μm)が1μm以上の重合触媒を含有する粒子の個数密度が、ポリエステル樹脂組成物1mg中に換算した場合に5000個/mg未満であることが好ましい。該粒子の個数密度が5000個/mg以上である場合、ポリエステルフィルムとした際に表面粗さが粗くなり、コンデンサ素子を作成したときにコンデンサ特性が損なわれることがある。また、該粒子が絶縁破壊の原因物となることがある。本発明においては絶縁破壊の改善がその目的であることから、円相当径CTL(dia)(μm)が1μm以上の重合触媒を含有する粒子の個数密度は、より好ましくは2000個/mg、更に好ましくは1000個/mgである。
【0026】
本発明のポリエステルフィルムの、円相当径CTL(dia)(μm)が1μm以上の重合触媒を含有する粒子の個数密度に特に下限はなく、個数密度は小さいほど好ましく、0個/mgであることが最も好ましい。
【0027】
円相当径CTL(dia)(μm)が1μm以上の重合触媒を含有する粒子の個数密度が、本発明のポリエステルフィルムを構成するポリエステル樹脂1mg中に換算した場合に5000個/mg未満とする方法としては、上述のように重合条件の改善によって重合触媒の析出を抑制する方法と、析出した重合触媒をポリエステル中から取り除く方法を各々、もしくは、組み合わせる方法を行うことができる。
【0028】
ここで、本発明のポリエステルの重合触媒として、アンチモン化合物を用いた場合は、上述の円相当径CTL(dia)(μm)が1μm以上の重合触媒を含有する粒子を、アンチモン元素含有粒子という。
【0029】
本発明のポリエステルフィルムの、円相当径CTL(dia)(μm)が1μm以上の重合触媒を含有する粒子の個数密度を、ポリエステル樹脂1mg中に換算した場合に5000個/mg未満とするためには、上述した重合条件の改善によって重合触媒の析出を抑制する方法や、析出した重合触媒をポリエステル中から取り除く方法が挙げられる。
【0030】
本発明のポリエステルフィルムの厚さは、素子サイズと製膜安定性の点から0.5〜20.0μm(重量法による厚み)が好ましく、より好ましくは0.5〜6.0μmであり、更に好ましくは0.8〜5.0μm、特に好ましくは1.0〜4.0μmである。
【0031】
本発明のフィルムが0.5μmより薄い場合、非常に破れやすくなるために製造が極めて困難になるために、工業的に好ましくない。また、本発明のフィルムが20μmより厚い場合、当該フィルムを用いたコンデンサの厚さが非常に厚くなり、適用できる機器が限られたり、その部品の大きさが回路設計に支障を来すため電子部品として好ましくない。
【0032】
本発明のフィルムを構成するポリエステルは、触媒としてアンチモン化合物を使用することが好ましい。そのためポリエステルに対するアンチモン元素の量で1〜300ppmのアンチモン元素を含有することが好ましい。より好ましくは1〜200ppmである。
【0033】
ここで本発明のフィルムに含有されるアンチモン化合物は、実質上粒径をもたないアンチモン化合物であることが好ましい。この「実質上粒径をもたない」とは、通常の酸化アンチモンのような固体の粒子状形状をもつ化合物ではない。「実質上粒径をもたない」化合物とは、ポリエステル内に分子状に均一に微分散している化合物であって、即ち、ポリエステル内に、異物として、あるいは表面突起を形成する粒子状としては存在しない化合物のことをさす。より具体的な本発明でいう「実質上粒径をもたない」化合物とは、コンデンサ用二軸配向ポリエステルフィルムの表面突起の形成に寄与しない40〜50nm以下の化合物を指す。
【0034】
本発明のポリエステルは、分子配向により高強度フィルムとなるポリエステルであれば特に限定されないが、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレートが好ましく用いられる。特に、その構成成分の80%以上がエチレンテレフタレートであるポリエチレンテレフタレート、又はその構成成分の80%以上がエチレンナフタレートであるポリエチレン−2,6−ナフタレートが好ましい。エチレンテレフタレート、エチレンナフタレート以外の共重合体成分としては、例えばグリコール成分として、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリエチレングリコール、p−キシリレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどを挙げることができ、ジカルボン酸成分としては、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸などが挙げられ、さらにトリメリット酸、ピロメリット酸などの多官能ジカルボン酸成分、p−オキシエトキシ安息香酸などを用いることができる。
【0035】
さらに、上記のポリエステルは、他にポリエステルと非反応性のスルホン酸のアルカリ金属塩誘導体、該ポリエステルに実質的に不溶なポリアルキレングリコールなどの少なくとも一つを5重量%を越えない程度に混合してもよい。
【0036】
またリン化合物を、本発明のポリエステルフィルムを構成するポリエステル樹脂に対するリン化合物の量で0.2〜200ppm含有し、アンチモン化合物の量がポリエステル樹脂に対するアンチモン元素の量で1〜300ppmであり、ゲルマニウム化合物の量がポリエステル樹脂に対するゲルマニウム元素の量で0〜2ppmであることが好ましい。さらに、アンチモン化合物とリン化合物の比率が、アンチモン化合物とリン化合物のモル比率を、(アンチモン化合物のモル数)/(リン化合物のモル数)=M/P、として、M/P=0.1〜10が好ましく、より好ましくはM/P=0.2〜5である。M/Pが0.1より小さい場合、触媒作用が低減されて重合反応が進まない、もしくは重合反応の進行が遅くなり工業的に有益でない等の問題が生じることがあり、またM/Pが10より大きい場合、重合反応の制御が困難になる、ポリエステルフィルムの耐熱性が悪化する(熱劣化しやすくなる)等の問題が生じることがある。
【0037】
このようなポリエステルで構成されるフィルムとするためには、重合時の触媒としてアンチモン化合物触媒を用いて重合されたポリエステルを、フィルム製造用の原料とすることが好ましい。
【0038】
ポリエステル中に触媒残渣として存在するアンチモン化合物は、実質上粒径をもたないアンチモン化合物であることが好ましく、その量は一般的に極力少ない方が好ましいが、アンチモン化合物による触媒効果を発揮させるためには、ある程度以上の触媒量が必要であるので、少なくするにも限度がある。即ち、重合時のポリエステル樹脂中に、アンチモン元素の量が1ppm未満の場合、ポリエステルの重合時間が長くなりすぎて、ポリエステルが熱劣化してポリエステル内に熱劣化物が生成されることがある。逆にアンチモン元素の量として、重合時のポリエステル中に200ppmを上回るほど触媒残渣のアンチモン化合物が多いと、ポリエステル中に重合触媒を含有する粒子が析出しやすくなり、ポリエステル内異物が増加することがある。特に300ppmを上回るほどに触媒残渣のアンチモン元素が多い場合、ポリエステル内で重合触媒を含有する粒子が析出しやすくなり、ポリエステル内異物が増加しやすくなるために好ましくない。
【0039】
また、ポリエステル樹脂中のリン化合物の量が、ポリエステル樹脂に対するリン化合物の量で0.2ppmを下回る場合、ポリエステルを重合する際に、ポリエステルが熱劣化してポリエステル内に熱劣化物が生成しやすくなる。
【0040】
逆にポリエステル樹脂に対するリン化合物の量が200ppmを上回る場合、リン化合物がポリエステル内で析出しやすくなり、ポリエステル内にリン化合物に由来する異物が増加しやすくなる。そのため、ポリエステル中のアンチモン化合物とリン化合物は、モル比率でM/P=0.1〜10が好ましく、M/Pがこの範囲内であるとポリエステルの熱安定性が良好となり、ポリエステルが製膜されるときに、特にポリエステルチップを溶融押し出しする際の熱劣化を防止できることがある。
【0041】
ポリエステル中にはチタン化合物、ゲルマニウム化合物は実質的に存在しないこと(0ppm)が好ましいが、たとえ存在する場合でもポリエステル樹脂に対する化合物の量で各々2ppm以下とすることが好ましい。チタン化合物、ゲルマニウム化合物の存在量がポリエステル樹脂に対して2ppmを超えると、ポリエステルフィルムの製造工程、特に押し出し工程においてチタン金属、ゲルマニウム金属として析出しがちとなり、ポリエステルフィルム中の異物が増加することがあるために、このフィルムから製造されたコンデンサの絶縁欠陥個数が増大しがちとなるので好ましくない。
【0042】
本発明で用いるポリエステルは、アンチモン化合物を触媒として用いる次の重合方法によって製造することができる。具体例として、ポリエチレンテレフタレートの場合を例にとって説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0043】
ポリエチレンテレフタレートは通常、次のいずれかの重合プロセスで製造される。すなわち、(a)テレフタル酸とエチレングリコールを原料とし、直接エステル化反応によって低重合体を得、さらにその後の重縮合反応によって高分子量ポリマーを得るプロセス、もしくは(b)ジメチルテレフタレートとエチレングリコールを原料とし、エステル交換反応によって低重合体を得、さらにその後の重縮合反応によって高分子量ポリマーを得るプロセスである。
【0044】
ここでエステル化反応は、触媒無添加の場合でも反応は進行するが、好ましくは触媒を添加した場合である。またエステル交換反応においては、触媒を添加して反応を進行させ、またエステル交換反応が実質的に完結した後には、反応に用いた触媒を不活性化する目的でリン化合物を添加することが行われる。上記の反応は、回分式、半回分式あるいは連続式等のいずれの形式で行ってもよい。
【0045】
本発明で用いるポリエステルは、上記(a)または(b)の一連の反応の任意の段階で、好ましくは上記(a)または(b)の一連の反応の前半段階で得られた低重合体に、必要に応じて各種の添加物を添加した後、アンチモン化合物触媒を重合触媒として添加して重合反応を行い、高分子量のポリエチレンテレフタレートを得る方法が好ましい。
【0046】
ポリエステルの重合工程において添加するアンチモン化合物重合触媒及びリン化合物は、ポリエステル反応系中にそのまま添加してもよいが、予めグリコール系の溶媒を加えて調製した溶液又はスラリーを、反応系中に添加することが、ポリマー中での異物生成をより抑制できるために好ましい。グリコール系の溶媒を加えて調整した溶液又はスラリーは、アンチモン化合物触媒やリン化合物を、エチレングリコールやプロピレングリコール等のポリエステル形成性グリコール成分を含む溶媒と混合して溶液状又はスラリー状とした後、必要に応じて、アンチモン化合物触媒やリン化合物の合成時に用いたアルコール等の低沸点成分を除去することにより調製することができる。
【0047】
これらアンチモン化合物触媒等の添加時期は、エステル化反応触媒やエステル交換反応触媒として添加する場合には、原料添加直後でもよいし、又は原料と同伴させての添加でもよい。また、重合反応触媒として添加する場合には、実質的に重合反応開始前であればよく、エステル化反応やエステル交換反応の前に、あるいはそれらの反応終了後に、また重合反応が開始される前に、添加すればよい。
【0048】
この場合において、アンチモン化合物とリン化合物が接触することによる重合触媒の失活を抑制するための手段としては、異なる反応槽においてアンチモン化合物とリン化合物を添加する方法が挙げられる。さらにアンチモン化合物とリン化合物の接触による重合触媒の失活を抑制するための別の手段として、同一の反応槽においてアンチモン化合物とリン化合物を添加する場合には、それらの添加時期をアンチモン化合物を先に反応槽に投入した後、リン化合物の投入を1〜15分間ずらす方法や、添加位置を離す方法があげられる。
【0049】
また重合触媒として、アンチモン化合物触媒を予めリン化合物と反応させた化合物を用いることもできる。この場合には次の(c)または(d)のような反応方法をとればよい。
(c)アンチモン化合物触媒を溶媒に混合して、その一部または全部を溶媒中に溶解させた溶液に、リン化合物を原液で又は溶媒に溶解希釈させた液を滴下して反応させる。
(d)ヒドロキシカルボン酸系化合物や多価カルボン酸系化合物等のアンチモン化合物の配位子を用いる場合は、アンチモン化合物または配位子化合物を溶媒に混合して、その一部または全部を溶媒中に溶解させた溶液に、配位子化合物またはアンチモン化合物を原液で又は溶媒に溶解希釈させた液を滴下する。さらに、この混合溶液にリン化合物を原液でまたは溶媒に溶解希釈させた液を滴下して反応させる。
【0050】
(c)の方法と比べて、(d)の方法の方が、ポリエステルの熱安定性及び色調改善の観点から好ましい。
【0051】
上記重合反応の反応条件は0〜200℃の温度で1分以上、好ましくは20〜100℃の温度で2〜100分間加熱することによって行われる。この際の反応圧力には特に制限はなく、常圧でもよい。また、ここで用いる溶媒としては、アンチモン化合物、リン化合物及びカルボニル基含有化合物の一部または全部を溶解し得るものから選択すればよいが、好ましくは、水、メタノール、エタノール、エチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ベンゼン、キシレンから選ばれる溶媒が挙げられる。
【0052】
本発明で用いるポリエステルを製造する際に用いる、重合触媒用のアンチモン化合物としては、置換基が下記の式1〜式6で表される官能基のうちの少なくとも1種を含むアンチモン化合物類(アンチモン酸化物も含む)が挙げられる。
【0053】
【化1】

【0054】
(式1〜式6中、R〜Rはそれぞれ独立に、水素、炭素数1〜30の炭化水素基、アルコキシ基、水酸基、カルボニル基、アセチル基、カルボキシル基、エステル基もしくはアミノ基を有する炭素数1〜30の炭化水素基を表す。)
上記式1としては、エトキシド、プロポキシド、イソプロポキシド、ブトキシド、2−エチルヘキソキシド等のアルコキシ基、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸等のヒドロキシ多価カルボン酸系化合物からなる官能基が挙げられる。
【0055】
また、上記式2としては、アセチルアセトン等のβ−ジケトン系化合物、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル等のケトエステル系化合物からなる官能基が挙げられる。
また、上記式3としては、フェノキシ、クレシレイト、サリチル酸等からなる官能基が挙げられる。
【0056】
また、上記式4としては、ラクテート、ステアレート等のアシレート基、フタル酸、トリメリット酸、トリメシン酸、ヘミメリット酸、ピロメリット酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸、シクロヘキサンジカルボン酸またはそれらの無水物等の多価カルボン酸系化合物、エチレンジアミン四酢酸、ニトリロ三プロピオン酸、カルボキシイミノ二酢酸、カルボキシメチルイミノ二プロピオン酸、ジエチレントリアミノ五酢酸、トリエチレンテトラミノ六酢酸、イミノ二酢酸、イミノ二プロピオン酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、ヒドロキシエチルイミノ二プロピオン酸、メトキシエチルイミノ二酢酸等の含窒素多価カルボン酸からなる官能基が挙げられる。
【0057】
また、上記式5としては、アニリン、フェニルアミン、ジフェニルアミン等からなる官能基が挙げられる。
【0058】
中でも、式1の官能基及び/又は式4の官能基が含まれるアンチモン化合物重合触媒が、ポリエステルの熱安定性及び色調の観点から好ましい。
【0059】
具体的なアンチモン化合物重合触媒としては、これら式1〜式6の置換基の2種以上を含んでなるアンチモンジイソプロポキシビスアセチルアセトナートやアンチモントリエタノールアミネートイソプロポキシド等が挙げられる。また、アンチモン酸化物系の重合触媒としては、主たる金属元素がアンチモン及びケイ素からなる複合酸化物や超微粒子酸化アンチモンが挙げられる。
【0060】
これらアンチモン化合物重合触媒は、ジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体とグリコール又はそのエステル形成性誘導体とから合成されるポリエステルを製造する重合工程において、以下の(e)〜(g)の反応(全て又は一部の素反応)を促進させるために実質的に寄与する触媒機能を発揮するものである。
【0061】
(e)ジカルボン酸成分とグリコール成分との反応であるエステル化反応。
【0062】
(f)ジカルボン酸のエステル形成性誘導体成分とグリコール成分との反応であるエステル交換反応。
【0063】
(g)実質的にエステル反応またはエステル交換反応が終了し、得られたポリエチレンテレフタレート低重合体を脱グリコール反応にて高重合度化せしめる重縮合反応。
【0064】
またポリエステル中に、所定量のリン化合物を含有させるためには、ポリエステルの製造工程でリン化合物を添加すればよい。このリン化合物としては、リン酸系、亜リン酸系、ホスホン酸系、ホスフィン酸系、ホスフィンオキサイド系、亜ホスホン酸系、亜ホスフィン酸系、ホスフィン系の化合物のいずれでもよく、それらの1種または2種を用いればよい。特にポリエステルの熱安定性及び色調改善の観点から、リン酸系及び/又はホスホン酸系の化合物であることが好ましい。
【0065】
本発明のポリエステルフィルムは、二軸方向に延伸することで配向させた二軸配向フィルムである。フィルムを二軸延伸する場合の方法は、逐次二軸延伸法、同時二軸延伸法のいずれの方法であってもよい。逐次二軸延伸法の場合、例えば、熱可塑性樹脂をTダイ押し出し法によってキャストドラム上に押し出すことによって未延伸フィルムとし、次いで、長手方向、巾方向の順に延伸するのが一般的であるが、逆に巾方向、長手方向の順に延伸してもよい。同時二軸延伸法の場合、例えば、インフレーション同時二軸延伸法、ステンター同時二軸延伸法等いずれの延伸方式を採用しても良いが、製膜安定性、厚み均一性の点からステンター同時二軸延伸法が好ましい。
【0066】
延伸温度は、延伸に用いるポリエステルのガラス転移温度(Tg)と昇温結晶化温度(Tcc)との間の温度が好ましい。具体的には70℃〜160℃が好ましく用いられる。
延伸倍率は、特に限定されるものでもなく、用いるポリエステルフィルムの種類によって適宜決定されるが、好ましくは長手、巾方向それぞれ2〜8倍、より好ましくは3〜8倍が適当である。
【0067】
また二軸延伸後、長手または巾方向、あるいは長手・巾両方向に再延伸してもかまわない。
【0068】
さらに、二軸延伸後のフィルムを熱処理してもよい。熱処理温度は、フィルムの温度にして180℃〜240℃の範囲で、2〜30秒間行うのが、耐電圧向上の点で好ましい。熱処理に引き続き、弛緩処理を1〜10%の範囲で行なっても良い。
【0069】
熱処理したフィルムをいったん室温程度まで冷却した後、さらに40〜90℃の比較的低温で、5秒から1週間程度エージングすることもできる。エージングを行なうことで、残留応力を緩和させることができ、耐電圧性をさらに良好とすることができる。このエージングは、後述する金属化後に行なっても良い。
【0070】
ポリエステルの溶融比抵抗は、1×10〜5×1010Ω・cmであることが好ましい。1×10Ω・cm未満の場合、コンデンサとしての耐電圧が悪化することがあり、5×1010Ω・cmを超える場合、フィルムキャスト時の静電印加性が悪く、破れや印加ムラ欠点等フィルム製膜安定性が悪化することがあり好ましくない。
【0071】
本発明のコンデンサ用ポリエステルフィルムには、電気伝導性のイオンなどが少ないことが、絶縁抵抗および耐電圧性の観点から好ましい。ポリエステルを重合する際の重合触媒として、金属化合物を添加する必要があるが、これら金属化合物に由来する金属イオンはリン化合物によって失活されるので、アンチモン化合物とリン化合物の比率が、前述したアンチモン化合物とリン化合物のモル比率から表せるM/Pなる量を指標として制御することができる。つまりこの金属イオンのモル比率(M/P)は、0.1〜10であることが、ポリエステルフィルム中の電気伝導性を有するイオン量を減少させることができ、結果として絶縁抵抗や耐電圧性を向上することから好ましい。
【0072】
また、本発明のポリエステルフィルムの加熱収縮率は、長手方向で0.5〜5.0%、巾方向で−1.0〜2.5%であることが、耐電圧性の観点から好ましい。より好ましくは、長手方向で1.0〜5.0%、巾方向で0〜2.5%の範囲である。ここでマイナスの数値は、フィルムが伸びることを意味している。加熱収縮率が長手方向で0.5〜5.0%、巾方向で−1.0〜2.5%の範囲であると、蒸着加工時のキャンとの密着性がより良好となり加工性がよい。長手方向で1.0〜5.0%、巾方向で0〜2.5%の加熱収縮率の範囲内で、特に、巾方向の加熱収縮率が長手方向の加熱収縮率の0.7倍以下であると蒸着加工時のハンドリングが良くコンデンサ用ポリエステルフィルムとして好適である。
【0073】
また、本発明の二軸配向ポリエステルフィルムとは、面配向係数fnが0.150〜0.175であることが好ましい。面配向係数fnを0.150〜0.175とすることで耐電圧性を向上することができるために好ましい。特に好ましいのは、面配向係数fnが0.163〜0.175の範囲である。面配向係数fnが0.163〜0.175の範囲であると、より耐電圧性が良好となる。
【0074】
本発明のポリエステルフィルムは、少なくとも一方のフィルム表面が、平均表面粗さRaで0.02〜0.12μmであることが好ましい。少なくとも一方のフィルム表面粗さRaが0.02〜0.12μmから外れる場合、フィルム製膜の巻き取り工程において、しわ等の欠点や摩擦帯電による製品欠点の原因となることがあり、製膜安定性に対して悪影響を及ぼすことがある。また、蒸着加工工程においても加工性の悪化、素子加工時のしわ等欠点による耐電圧の低下となることがある。本発明のフィルムの少なくとも一方のフィルム表面粗さRaが0.02〜0.12μmとすることで製膜安定性、生産性、加工性に優れた小型大容量コンデンサ用ポリエステルフィルムを得ることができるようになる。
本発明のポリエステルフィルムを、フィルム表面粗さRaが0.02〜0.12μmとするための手段は、例えば、ポリエステルフィルム中に不活性粒子を添加する方法が挙げられる。添加する不活性粒子としては、シリカ、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、アルミナなどがある。さらに架橋高分子粒子などを用いることもできる。これらの粒子の粒径は、目的とするフィルムの厚みや製造条件に合わせて適宜選択することが好ましく、0.1〜5μmの範囲のものを少なくとも一種類以上、各々、もしくは組み合わせて用いることができる。重合段階でこれらの粒子を添加する場合、分散が良好でないとフィルム表面の粗大突起の原因となり、絶縁抵抗、耐電圧性に悪影響を及ぼすことがある。少なくとも一方のフィルム表面の平均表面粗さRaを0.02〜0.12μmとするためには、ジェットアジタによる分散やメディヤ分散を行なう方法が効果的である。
【0075】
本発明のポリエステルフィルムを、金属化ポリエステルフィルムとする場合には、ポリエステルフィルムの少なくとも片面に、アルミニウムを蒸着してコンデンサの内部電極となるアルミニウム蒸着膜等の金属化膜を設けるが、このときアルミニウムと同時あるいは逐次に、例えば、ニッケル、銅、金、銀、クロム、亜鉛などの他の金属成分を蒸着することもできる。また、蒸着膜上にオイルなどで保護層を設けることもできる。
【0076】
なお、本発明のポリエステルフィルムの金属化する面は、フィルム表面の平均表面粗さRaが0.02〜0.12μmとなっている面を金属化することが好ましい。
【0077】
アルミニウム蒸着膜などの金属化膜の厚さは、コンデンサの電気特性とセルフヒール性の点から20〜100nm(または表面電気抵抗で1〜20Ω/□)であることが望ましい。
【0078】
また、金属化フィルムを用いてなるフィルムコンデンサの素子容量は、小型で大容量のコンデンサ用途に好適な特性を満足するために、20〜2000μFであることが望ましい。フィルム厚みを極力薄くし素子サイズの小型化を図り、なおかつ巻回を繰り返すことで大容量化を達成することができる。
【0079】
本発明では必要により、蒸着後の金属化フィルムを特定の温度でエージング処理を行なったり、再度オフラインで熱処理を行なったりすることができる。また、絶縁もしくは他の目的で、この金属化フィルムの少なくとも片面にコーティングを施すこともできる。
【0080】
このようして得られた金属化フィルムは、公知の方法で積層もしくは巻回してフィルムコンデンサとすることができる。巻回型フィルムコンデンサを例示するならば、金属化するフィルムの両面にアルミニウムを真空蒸着する。その際、長手方向に走るマージン部を有するストライプ状に蒸着する(表面と裏面のパターンは交互になるようにずらして蒸着する)。次に、表面の各蒸着部の中央と各マージン部の中央に刃を入れてスリットし、表面が一方にマージンを有し、裏面が反対側にマージンを有するような、テープ状の巻取リールにする。得られたリールと、金属化しない合わせフィルム各1本ずつを、幅方向に金属化フィルムが合わせフィルムよりはみ出すように2枚重ね合わせて巻回し、巻回体を得る。この巻回体から芯材を抜いてプレスし、両端面にメタリコンを溶射して外部電極とし、メタリコンにリード線を溶接して巻回型フィルムコンデンサ素子を得る。
【実施例】
【0081】
[特性の測定方法]
(1)フィルム厚み
フィルム厚みは、重量法によって求めた厚みを用いた。測定法は、測定試料の重量を測定し、下記計算式によって求めた。
【0082】
重量法厚みt2(μm)=フィルム重量(g)/(フィルム幅(μm)×フィルム長さ(μm)×密度(g/μm3))
但し、ポリエチレンテレフタレートの密度を1.4×10−12(g/μm3)とする。
(2)2軸配向性の確認
アタゴ社のアッベの屈折率計を用い、光源をナトリウムとして、フィルムの屈折率(フィルムの長手方向の屈折率をna、フィルムの幅方向の屈折率をnb、とした。)を測定した。本発明では、前記na、nbのいずれもが1.56を超えるものを2軸配向フィルムと判断した。
【0083】
また長手方向と幅方向の向きが分からない場合は、任意の一方向をnaとして、同一面内に位置するnaから90°方向をnbとして、この2方向の屈折率が1.56を越えた場合を2軸配向フィルムと判断した。
(3)アンチモン化合物の存在
蛍光X線(FLX)法により、蛍光X線元素分析装置(堀場製作所社製、MESA−500W型)を用い、ポリエステルフィルム中のポリエステルに含まれるアンチモン元素(Sb)の量を定量した。なお、添加剤や被膜中にそれら元素が含まれない場合にはフィルム全体を試料にして測定すればよい。
(4)ポリエステル樹脂組成物中の重合触媒を含有する粒子の円相当径CTL(dia)(μm)
測定にはハイビジョン画像解析装置を適用し、測定装置として、ハイビジョンパーソナル画像解析システム(株)ピアス製PIAS−IV、光学顕微鏡としてLeitz社製Metaloplanを使用して、下記(a)〜(c)の手順で測定した。
【0084】
(A)プレパラート作製
ポリエステルチップを希塩酸で洗浄し、その後、精製水で洗浄した後、スライドグラスの上に試料0.2mgを乗せ、280℃にて溶融した後、挟み込むようにカバーグラスをその上に置く。試料はスライドガラスとカバーグラス間で引き延ばされた状態になり、この後カバーガラスをスライドさせながら相互に剥離した。このようにしてカバーガラス上にポリマー薄膜が形成されたプレパラートを作成した。プレパラート上のポリマー薄膜には鋭利なカミソリにて10行×10列の切れ込みを入れ、合計100個の升目を作成した。
【0085】
(B)調整法および測定条件
光学顕微鏡の対物レンズを32倍に設定して、暗視野法で検鏡し、画像解析装置のハイビジョンモニターにその画像を取り込む。このとき、対物レンズが高倍率であり焦点深度が小さくなるため、上側の面にピントを合わせると上側の表層約1μm程度の部分を観察することになる。
【0086】
また、このとき、モニター上での観察倍率は1,560倍となる。画像を入力する場合は白黒画像で、入力した画像は二値化を行って輝度変換する。このときの濃度レベルを表す輝度値は160に設定する。設定前は、あらかじめブランク値として試料をセットしない条件で測定したときの輝度平均値が183になるように、光学顕微鏡の絞り等の明るさを調節する。
【0087】
(C)測定
二値化して得られた画素の等価円の直径を粒子径とした。
【0088】
プレパラートは、ポリマー薄膜部のプラズマ灰化処理を施した後にカーボン蒸着をおこない、光学顕微鏡で1μm以上とカウントされた粒子の存在する升目をSEM−XMAにて観察し、該当粒子に含有されるアンチモン元素の有無を確認した。
(5)ポリエステル樹脂組成物中の円相当径CTL(dia)(μm)が1μm以上の重合触媒を含有する粒子の個数密度
上述した(4)の(A)、(B)に記載の方法で試料を作成し、下記(C)の方法にて測定した。
【0089】
(C)測定
二値化して得られた画素の等価円の直径を粒子径とし、1μm以上の粒子個数をカウントし、その粒子位置を升目から読みとった。
【0090】
プレパラートは、ポリマー薄膜部のプラズマ灰化処理を施した後にカーボン蒸着をおこない、光学顕微鏡で1μm以上とカウントされた粒子の存在する升目をSEM−XMAにて観察し、該当粒子に含有されるアンチモン元素の有無を確認した。このようにしてアンチモン元素を含有する1μm以上の粒子個数をポリエステル1mg当たりに換算した数値を粒子個数密度とした。
(6)フィルムを構成するポリエステル内に含まれるリン、アンチモン、ゲルマニウムの量
蛍光X線(FLX)法により、蛍光X線元素分析装置(堀場製作所社製、MESA−500W型)を用い、ポリエステルフィルム中のポリエステルに含まれる,P、Sb、Geの量を定量した。なお、添加剤や被膜中にそれら元素が含まれない場合にはフィルム全体を試料にして測定すればよい。
(7)加熱収縮率
JIS−C2318に従って測定した。
(8)面配向係数fn
アタゴ社のアッベの屈折率計を用い、光源をナトリウムとして、フィルムの屈折率(長手方向na、幅方向nb、厚さ方向nc)を測定し、次式により求めた。
【0091】
fn=0.5×(na+nb)−nc。
【0092】
また長手方向と幅方向が分からない場合は、任意の一方向をnaとして、同一面内に位置するnaから90°方向をnbとして測定した。
(9)フィルムの表面粗さ(Ra)
JIS B0601に従い、(株)小坂研究所製の高精度薄膜段差測定器ET−10を用いて下記の条件にて測定した。
【0093】
触針先端径 :0.5μm
触針加重 :5mg
測定長 :1mm
カットオフ値:0.08mm
上記の条件で、位置xについて粗さ曲線f(x)が得られたとき、表面粗さRaは、下記の式で与えられる。
【0094】
【数1】

【0095】
(10)金属化フィルムの製造法と金属化フィルムの蒸着率
ポリエステルフィルムの表面粗さを測定した面に表面抵抗が2Ω/□となるようにアルミニウムを真空蒸着して、金属化フィルムを製造した。その際、長手方向に走るマージン部を有するストライプ状に蒸着した(蒸着部の幅8mm、マージン部の幅1mmの繰り返し)。
【0096】
この金属化フィルムを製造した際に、蒸着始めから終わりまでを目視で観察し、しわやずれが発生したものを不合格とし、不合格となったものの数の製造数全体に対する割合を百分率で示し金属化フィルムの製造に関する指標とした(この指標を以下、蒸着率と称する)。蒸着率は高いほど好ましい。
【0097】
金属化フィルムの蒸着率を、以下の基準で評価した。
○(良):蒸着率95%以上100%以下
△(可):90%以上95%未満
×(不可):90%未満
(11)フィルムコンデンサ素子の製造
上記(10)に従って金属化フィルムを製造した後、各蒸着部の中央と各マージン部の中央に刃を入れてスリットし、左もしくは右に0.5mmのマージンを有する全幅4.5mmのテープ状に巻取リールにした。得られたリールの左マージン及び右マージンのもの各1本ずつを、幅方向に蒸着部分がマージン部より0.5mmはみ出すように2枚重ね合わせて巻回し、静電容量約0.5μFおよび50μFの巻回体を得た。素子巻回には皆藤製作所製KAW−4NHBを用いた。この巻回体から芯材を抜いて、そのまま150℃、10kg/cm2 の温度、圧力で5分間プレスした。この両端面にメタリコンを溶射して外部電極とし、メタリコンにリード線を溶接して巻回型フィルムコンデンサ素子を得た。
(12)フィルムコンデンサ素子製造時の加工性
上記(11)によるフィルムコンデンサ素子の製造の際、巻き始めから巻き終わりまでを目視で観察し、しわやずれが発生したものを不合格とし、不合格となったものの数の製造数全体に対する割合を百分率で示し加工性の指標とした(この加工性を以下、素子巻収率と称する)。素子巻収率は高いほど好ましい。
【0098】
フィルムコンデンサ素子製造時の加工性を評価するにあたって、以下の基準で評価した。
○(良):素子巻収率が95%以上100%以下
△(可):素子巻収率が90%以上95%未満
×(不可):素子巻収率が90%未満
(13)絶縁抵抗
125℃雰囲気下で、上記(11)の方法で得たフィルムコンデンサ素子を、100Vにて1分荷電後の抵抗値を超絶縁計(東亜DKK製:SM−8220)を用いて測定した。単位:MΩ。本抵抗値は高いほど好ましく、ポリエステル中のアンチモン元素やリン元素の含有量に影響される。
本発明においては
◎(優良):10000MΩ以上
○(良):1000MΩ以上10000MΩ未満
△(可):1000MΩ未満
とした。
(14)絶縁破壊電圧(素子BDV:素子Break Down Voltage)
(11)のフィルムコンデンサ素子の製造方法で得たフィルムコンデンサ素子を試料とし、春日製高電圧直流電源を用いて、100V/sの速度で昇圧しながら電圧を印加し、10mA以上流れた時に絶縁破壊したものとした。絶縁破壊電圧は50個の測定結果の平均値として求めた。
(15)絶縁欠陥個数
(14)の絶縁破壊電圧を測定した際に、耐電圧0.25kV/μm未満となるものを不良とし、その数をカウントした。
【0099】
次に実施例に基づき、本発明を説明する。
(実施例1)
[ポリエチレンテレフタレートの製造方法]
高純度テレフタル酸(三井化学(株)製)100kgとエチレングリコール(日本触媒(株)製)45kgのスラリーを、予めビス(ヒドロキシエチル)テレフタレート約123kgが仕込まれ、温度250℃、圧力1.2×10Paに保持されたエステル化反応槽に4時間かけて順次供給し、供給終了後もさらに1時間かけてエステル化反応を行い、得られたエステル化反応生成物123kgを重縮合槽に移送した。
【0100】
引き続いて、エステル化反応生成物が移送された重縮合反応槽に、エチレングリコールを、得られるポリエステルポリマーに対して0.3重量%添加した。5分間撹拌した後、酢酸コバルト及び酢酸マンガンのエチレングリコール溶液を、得られるポリマーに対してそれぞれ30ppm、15ppmとなるように加えた。更に5分間撹拌した後、アンチモンアルコキシド化合物の2重量%エチレングリコール溶液を、得られるポリマーに対して150ppmとなるように添加した。このアンチモン化合物の重合触媒は、触媒残渣となることを防ぎ、また、析出を抑制するため、グリコールまたはポリエステル系反応系に対する重合触媒の溶解性から粒子径の小さな重合触媒を用いることが好ましく、触媒の粒径が0.001μm〜0.1μmのものを用い、溶解性を高めた効果をより引き出すためにグリコールに予め溶解して添加する方法を用いた。
【0101】
ポリエステルの重合工程において添加するリン化合物は、ポリエステル反応系中にそのまま添加してもよいが、予めグリコール系の溶媒を加えて調製した溶液又はスラリーを、反応系中に添加することが、ポリマー中での異物生成をより抑制できるために好ましく、本発明においては、ジエチルホスホノ酢酸エチルの10重量%エチレングリコール溶液を用いた。アンチモン化合物とリン化合物の接触による重合触媒の失活を抑制するための手段として、それらの添加時期をアンチモン化合物を先に反応槽に投入した後、リン化合物の投入を1〜15分間ずらす方法や、添加位置を離す方法があげられ、本実施例においては、上記アンチモン化合物の重合触媒を反応槽に投入した5分後、ジエチルホスホノ酢酸エチルの10重量%エチレングリコール溶液を、得られるポリマーに対して5ppmとなるように添加した。
【0102】
その後、低重合体を30rpmで攪拌しながら、反応系を250℃から285℃まで徐々に昇温するとともに、圧力を40Paまで下げた。最終温度、最終圧力到達までの時間はともに60分とした。所定の攪拌トルクとなった時点で反応系を窒素パージし常圧に戻し重縮合反応を停止し、冷水にストランド状に吐出、直ちにカッティングしてポリエチレンテレフタレートのペレットとした。ストランド状に吐出する際、ポリエステル中の重合触媒(未溶融であったり、重合過程において析出したもの)や異物を取り除くため、粗大粒子のカットを目的とした公称濾過精度(95%カット)20μmカットの濾過精度を持つ層を濾過の一次側に、本特許にて対象とする重合触媒を取り除くための公称濾過精度(95%カット)8μmカットの濾過精度を持つ層を濾過の2次側に組み合わせて成る金属繊維フィルタを用いてポリマーを濾過した。なお、減圧開始から所定の撹拌トルク到達までの時間は3時間であった。
【0103】
得られたポリエステルポリマーのIVは0.66、ポリエステルポリマーの融点は259℃、溶液ヘイズは0.7%であった。また、ポリエステルポリマーから測定したアンチモン触媒由来のアンチモン元素の含有量は150ppm、リン化合物の含有量は10ppmであり、M/P=3.8であり、ゲルマニウム化合物の含有量は検出下限以下の実質0ppmであることを確認した。
〔重合触媒であるアンチモンアルコキシド化合物の製造方法〕
撹拌機、凝縮器及び温度計を備えた2Lのフラスコ中に撹拌されているチタンテトライソプロポキシド(285g、1.00モル)に、滴下漏斗からエチレングリコール(496g、8.00モル)を加えた。添加速度は、反応熱によってフラスコ内容物が添加速度は、反応熱によってフラスコ内容物が45℃〜53℃の範囲内となるように調節された。
【0104】
その反応フラスコに、NaOH(125g、1.00モル)の32重量%水溶液を滴下漏斗によりゆっくり加えて反応させ、透明な黄色の液体状のアンチモンアルコキシド化合物を生成させた。
[ポリエステルフィルムの製造方法]
上記した方法により重合して得られ、実質的に不活性粒子を含有しないポリエチレンテレフタレート100重量部に、平均粒径2.4μmの凝集シリカ粒子(この凝集シリカ粒子の平均粒径とは、凝集体の円相当径を指す)を0.15重量部含有させて溶融押出し、冷却ドラムに密着させシート化し、ロール延伸法により120℃で5.7倍に縦延伸した。なお、ポリエチレンテレフタレートの溶融押出工程には12μmカット(95%カット径)の性能を有する金属粉末焼結フィルタを設け、ポリエチレンテレフタレートポリマーの濾過を行い、混入した異物や粗大粒子の除去を行った。
【0105】
その後、ステンターにて横方向に105℃で3.5倍に延伸し、230℃で熱処理し中間スプールに巻き、スリッターで小幅にスリットし、円筒コアーにロール状に巻取り、厚さ3μmのポリエステルフィルムとした。
【0106】
得られたポリエステルフィルム及びそれを用いたコンデンサ素子の特性を表1に示す。
(実施例2)
実施例1のポリエステルフィルム製造において、ポリエチレンテレフタレートの重合工程にて用いる金属繊維焼結フィルタに公称濾過精度:5μmのものを用いたこと以外は実施例1と同様にしてポリエステルフィルムを作製し、さらに、実施例1と同様にフィルムコンデンサを製作した。
【0107】
得られたポリエステルフィルム及びそれを用いたコンデンサ素子の特性を表1に示す。
(実施例3)
実施例2のポリエステルフィルム製造における、ポリエチレンテレフタレートの重合工程にてポリエステル中のアンチモン元素含有量が250ppm、リン化合物の含有量が48ppmとなるように、アンチモンアルコキシド化合物の2重量%エチレングリコール溶液の添加量とジエチルホスホノ酢酸エチルの10重量%エチレングリコール溶液の添加量を調整したこと以外は実施例2と同様にしてポリエステルフィルムを作製し、さらに、実施例1と同様にフィルムコンデンサを製作した。
【0108】
得られたポリエステルフィルム及びそれを用いたコンデンサ素子の特性を表1に示す。
(実施例4)
実施例2のポリエステルフィルム製造における、ポリエチレンテレフタレートの重合工程にてポリエステル中のアンチモン元素含有量が180ppm、リン化合物の含有量が200ppmとなるように、アンチモンアルコキシド化合物の2重量%エチレングリコール溶液の添加量とジエチルホスホノ酢酸エチルの10重量%エチレングリコール溶液の添加量を調整したこと以外は実施例2と同様にしてポリエステルフィルムを作製し、さらに、実施例1と同様にフィルムコンデンサを製作した。
【0109】
得られたポリエステルフィルム及びそれを用いたコンデンサ素子の特性を表1に示す。
(実施例5)
実施例2のポリエステルフィルム製造における、ポリエチレンテレフタレートの重合工程にてポリエステル中のアンチモン元素含有量が400ppm、リン化合物の含有量が10ppmとなるように、アンチモンアルコキシド化合物の2重量%エチレングリコール溶液の添加量とジエチルホスホノ酢酸エチルの10重量%エチレングリコール溶液の添加量を調整したこと以外は実施例2と同様にしてポリエステルフィルムを作製し、さらに、実施例1と同様にフィルムコンデンサを製作した。
【0110】
得られたポリエステルフィルム及びそれを用いたコンデンサ素子の特性を表1に示す。
(実施例6)
実施例3のポリエステルフィルム製造における、ポリエチレンテレフタレートの重合工程にてポリエステル中のリン化合物の含有量が320ppmとなるようにジエチルホスホノ酢酸エチルの10重量%エチレングリコール溶液の添加量を調整したこと以外は実施例3と同様にしてポリエステルフィルムを作製し、さらに、実施例1と同様にフィルムコンデンサを製作した。
【0111】
得られたポリエステルフィルム及びそれを用いたコンデンサ素子の特性を表1に示す。
(実施例7)
実施例2のポリエステルフィルム製造において、ポリエチレンテレフタレートの重合工程にて重合触媒としてアンチモンアルコキシド化合物に変わりゲルマニウム化合物を用いたこと以外は実施例2と同様にしてポリエステルフィルムを作製し、さらに、実施例1と同様にフィルムコンデンサを製作した。
【0112】
得られたポリエステルフィルム及びそれを用いたコンデンサ素子の特性を表1に示す。
(実施例8)
実施例7のポリエステルフィルム製造において、ポリエチレンテレフタレート100重量部に、平均粒径0.3μmのシリカ粒子を0.15重量部含有させて溶融押出ししたこと以外は実施例2と同様にしてポリエステルフィルムを作製し、さらに、実施例1と同様にフィルムコンデンサを製作した。
【0113】
得られたポリエステルフィルム及びそれを用いたコンデンサ素子の特性を表1に示す。
(実施例9)
実施例2のポリエステルフィルム製造において、ロール延伸法により120℃で2.25倍に縦延伸し、その後、ステンターにて横方向に105℃で3倍に延伸し、230℃で熱処理し中間スプールに巻き、スリッターで小幅にスリットし、円筒コアーにロール状に巻取り、厚さ3μmのポリエステルフィルムとした。さらに、実施例1と同様にフィルムコンデンサを製作した。
【0114】
得られたポリエステルフィルム及びそれを用いたコンデンサ素子の特性を表1に示す。
(実施例10)
実施例2のポリエステルフィルム製造において、ロール延伸法により115℃で6.2倍に縦延伸し、その後、ステンターにて横方向に103℃で3.7倍に延伸し、230℃で熱処理し中間スプールに巻いた。安定してフィルムを製造することができず、金属化フィルム製造に必要な製品長さを得ることはできたものの、横延伸においてフィルムの破断が多発するなど安定してフィルムを製造することができなかった。
【0115】
得られたポリエステルフィルムの特性を表1に示す。
(比較例1)
実施例1のポリエステルフィルム製造において、ポリエチレンテレフタレートの重合工程にて用いる金属繊維焼結フィルタとして、公称濾過精度(95%カット)8μmカットのフィルタに代えて公称濾過精度(95%カット)15μmのフィルタを用いたこと以外は実施例1と同様にしてポリエステルフィルムを作製し、さらに、実施例1と同様にフィルムコンデンサを製作した。
【0116】
得られたポリエステルフィルム及びそれを用いたコンデンサ素子の特性を表1に示す。
【0117】
【表1】

【0118】
表1の特性から明らかな様に、本発明によるポリエステルフィルムおよび当該フィルムを用いて製造されたコンデンサは、薄いポリエステルフィルムを誘電体として用いたコンデンサの耐圧性を高めるとともに、耐圧のばらつきが極めて少ないコンデンサを得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0119】
本発明によるポリエステルフィルムおよび当該フィルムを用いて製造されたコンデンサは、薄いポリエステルフィルムを誘電体として用いたコンデンサの耐圧性を高めるとともに、耐圧のばらつきが極めて少ないコンデンサを得ることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルム中の重合触媒の円相当径CTL(dia)(μm)とフィルム厚みFt(μm)が下式(1)を満たすことを特徴とする、コンデンサ用二軸配向ポリエステルフィルム。
CTL(dia)<Ft × 1.0 ・・・(1)
【請求項2】
円相当径CTL(dia)(μm)が1μm以上の重合触媒を含有する粒子の個数密度が、ポリエステル樹脂1mg中に換算した場合に5000個/mg未満であることを特徴とする、請求項1に記載のコンデンサ用二軸配向ポリエステルフィルム。
【請求項3】
フィルム厚みFt(μm)が0.5〜20μm以下であることを特徴とする、請求項1または2に記載のコンデンサ用二軸配向ポリエステルフィルム。
【請求項4】
ポリエステル樹脂に対してアンチモン元素を1〜300ppm含有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のコンデンサ用二軸配向ポリエステルフィルム。
【請求項5】
アンチモン化合物とリン化合物のモル比率(アンチモン化合物のモル数/リン化合物のモル数=M/P)が0.1〜10であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載のコンデンサ用二軸配向ポリエステルフィルム。
【請求項6】
面配向係数fnが0.150〜0.175であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載のコンデンサ用二軸配向ポリエステルフィルム。
【請求項7】
少なくとも一方のフィルム表面が、平均表面粗さRa0.02〜0.12μmであることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載のコンデンサ用二軸配向ポリエステルフィルム。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルムの片面を金属化したことを特徴とする金属化フィルム。
【請求項9】
請求項8に記載の金属化フィルムの金属化層上に、絶縁体層もしくは誘電体層を設けることを特徴とする、金属化フィルム。
【請求項10】
請求項8または9に記載の金属化フィルムを用いてなるフィルムコンデンサ。

【公開番号】特開2008−239737(P2008−239737A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−80982(P2007−80982)
【出願日】平成19年3月27日(2007.3.27)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】