説明

コンバインの前処理部

【課題】前処理部に備える刈取装置と前処理フレームとの間で、穀稈の藁屑を引っ掛かることなく落下させる空間を確保すると共に、株元掻込装置の回転駆動に伴う振動の発生を軽減する。
【解決手段】複数の分草体3を装着する分草体支持フレーム11a,11b,11c,11dを所定の間隔で固設した横フレーム12を設け、該横フレーム12の両端に固設した左右の分草体支持フレーム11a,11dを、前処理フレーム2を構成する縦伝動筒8の前端に横設した横伝動筒9に連結して、該横伝動筒9と横フレーム12及び左右の分草体支持フレーム11a,11dとからなる枠体Bを形成すると共に、各株元掻込装置20L,20R,20Cを構成する掻込スターホイール19b,19c,19d,19eと、掻込みベルト18b,18c,18d,18eとを支持する前低後高状の支持ブラケット51,61を、分草体支持フレーム11b,11cと横伝動筒9に固定した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバインの前処理部におけるフレーム構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンバインの刈取部(前処理部)では、刈刃前方の引起装置下部の分草杆から支持部材を立ち上げ、この支持部材を後方へ延設して刈刃の上側を迂回させ、更に上方へ延設して引起装置の上部側へ連結すると共に、当該支持部材に株元掻込装置と株元側集束搬送装置の挾扼杆とを支持したものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、刈刃の後部に設けた前処理枠と一体な横フレームの横方向に複数の分草フレームを所定の間隔を隔てて突設すると共に、横フレームの両側部上面に上部を中央側に向けて折り曲げた支持フレームを立設し、また横フレームの中央部上面に真直な支持フレームを立設して、更にこれらの支持フレームの上部に設けたブラケットに掻込輪を吊り下げ状に支承したコンバインの刈取装置が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特許第3243810号公報(第2−3頁、図4−図7)
【特許文献2】実公平1−15303号公報(第2頁、第1図、第3図、第4図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述した特許文献1のものは、引起装置下部の分草杆から支持部材を立ち上げ、この支持部材を後方へ延設して刈刃の上側を迂回させると共に、更に支持部材を上方へ延設して引起装置の上部側へと連結してあり、その支間距離が長く、また当該支持部材に株元掻込装置と穂先側搬送装置とを支持しているので、両装置の回転駆動に伴う大きな振動が発生するといった不具合を有していた。
【0005】
また、上述した特許文献2のものは、刈刃と横フレームとの間に落下する藁屑が分草フレームに引っ掛かり易く、このように分草フレームに引っ掛かった藁屑の量が多くなると刈取り穀稈の搬送不良が起こる問題点を有していた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決することを目的としたものであって、機体の左右方向に並設した複数の分草体と、各分草体の後方に設けた分草穀稈を引起す引起装置と、該引起装置の後方に設けた刈取装置と、穀稈の株元を掻込む複数の株元掻込装置と、各株元掻込装置により掻き込んだ穀稈の株元を合流部に集束する複数の株元側集束搬送装置を備えたコンバインの前処理部において、前記複数の分草体を装着する分草体支持フレームを所定の間隔で固設した横フレームを設け、該横フレームの両端部に固設した左右の分草体支持フレームを、前処理フレームを構成する縦伝動筒の前端に横設した横伝動筒と連結して、該横伝動筒と前処理フレーム及び左右の分草体支持フレームからなる枠体を形成すると共に、各株元掻込装置を構成する掻込スターホイールと、掻込みベルトを支持する前低後高状の支持ブラケットを、分草体支持フレームと横伝動筒に固定したことを第1の特徴としている。
【0007】
そして、縦伝動筒に立設した中央の株元側集束搬送装置への伝動筒に支持ブラケットを連結したことを第2の特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
請求項1の発明によれば、複数の分草体を装着する分草体支持フレームを所定の間隔で固設した横フレームを設け、該横フレームの両端部に固設した左右の分草体支持フレームを、前処理フレームを構成する縦伝動筒の前端に横設した横伝動筒と連結して、該横伝動筒と横フレーム及び左右の分草体支持フレームとからなる枠体を形成することにより、刈取装置と横伝動筒との間に、刈取り穀稈の藁屑を引っ掛かることなく落下させることができる空間を確保すると共に、各株元掻込装置を構成する掻込スターホイールと、掻込みベルトとを支持する前低後高状の支持ブラケットを、分草体支持フレームと横伝動筒に固定したことによって、前記支持ブラケットの一側を前処理フレームを構成する強固な横伝動筒に固定し、且つその支間距離を短く構成することができるので、当該支持ブラケットに支持する株元掻込装置を構成する掻込スターホイールと、掻込みベルトの回転駆動に伴う振動の発生を軽減させることができるようになる。
【0009】
そして、請求項2の発明によれば、縦伝動筒に立設した中央の株元側集束搬送装置への伝動筒に支持ブラケットを連結したことによって、当該支持ブラケットを更に強固に固定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明に係る6条刈りコンバインにおける前処理部1の左側面図、図2は、同じく平面図であって、前処理部1は、従来と同様に前処理フレーム2に、分草体3、引起装置4、刈取装置6、及び穀桿搬送部7等を設けて構成されている。
【0011】
更に詳しくは、前処理フレーム2は、主フレームとして機体の前後方向に向く縦伝動筒8と、この縦伝動筒8の前端に設けた機体の左右方向に向く横伝動筒9を備えている。そして、図3〜図5に示すように、横伝動筒9の前方には、複数の分草体3を装着する分草体支持フレーム11a,11b,11c,11dを所定の間隔で固設した横フレーム12を設けている。この横フレーム12の両端に固設した分草体支持フレーム11a,11d
の基端部は、横伝動筒9の両端に連結してあって、これら横伝動筒9と横フレーム12及び左右の分草体支持フレーム11a,11dとからなる枠体Bを形成している。
【0012】
即ち、上述の如く横伝動筒9と横フレーム12及び左右の分草体支持フレーム11a,11dとからなる枠体Bを形成することによって、刈取装置6と横伝動筒9との間に、刈取り穀稈の藁屑を引っ掛からせずに落下させることができる空間Sを確保している。
【0013】
そして、各分草体支持フレーム11a,11b,11c,11dの先端に刈り取り穀稈を分草する複数の分草体3を取り付けると共に、この分草体3の後方には、該分草体3により分草された後の穀稈を引き起す引起装置4と、該引起装置4により引き起こされた穀稈の株元を切断する刈刃6aを備えた刈取装置6を横フレーム12の前側に横設している。
【0014】
また、横伝動筒9の一端からは、各引起装置4に駆動力を伝達する引起伝動筒13を上方に向けて立設している。そして、縦伝動筒8の基端部は、コンバインの機体に昇降自在に軸支してあり、縦伝動筒8の下面と機体との間に介装した図示しない油圧シリンダを伸縮作動させることにより前処理部1の昇降を可能にしている。
【0015】
また、図6に示す伝動図のように、縦伝動筒8内には縦伝動軸14を内装している。そして、横伝動筒9内には、縦伝動軸14から駆動力を伝達する横伝動軸15を内装している。また、縦伝動軸14には、縦伝動筒8の基端部側に設けた入力プーリ16から駆動力が入力されるようになっている。更に、引起伝動筒13内には、横伝動軸15から駆動力を伝達する引起伝動軸17を内装しており、上述した縦伝動軸14、横伝動軸15、及び引起伝動軸17を介して前処理部1の各部に駆動力が入力されるようになっている。
【0016】
そして、穀稈搬送部7は、引起装置4によって引き起こされた穀稈を掻き込む掻込みベルト18a,18b,18c,18d,18e,18fと、これら掻込みベルト18a,18b,18c,18d,18e,18fに対応する掻込スターホイール19a,19b,19c,19d,19e,19fを備える左右及び中央(複数)の株元掻込装置20L,20R,20Cと、刈刃6aにより切断された後の穀稈の株元を搬送する左右及び中央の株元側集束搬送装置21L,21R,21Cと、刈刃6aにより切断された後の穀稈の穂側を搬送する左右及び中央の穂先側搬送装置22L,22R,22Cと、両搬送装置21L,21R,21C,22L,22R,22Cにより搬送される穀稈の稈長を検出して自動的に適正な扱ぎ深さに調節する扱深搬送装置23と、該扱深搬送装置23から穀稈の株元側を受け継いで図示しないフィードチェンに搬送する中継株元搬送チェン24を備えている。
【0017】
上述したように、本実施形態の前処理部1は6条刈りであり、左右方向に並設した6個の掻込スターホイール19a,19b,19c,19d,19e,19fの上方には、左右一対毎に前方に向かって略ハの字状に拡開する掻込みベルト18a,18b,18c,18d,18e,18fを設けている。これらの掻込みベルト18a,18b,18c,18d,18e,18fは、駆動プーリ25及び図示しない従動プーリに巻回してあり、当該駆動プーリ25の回転駆動により穀稈の搬送方向に回転する。
【0018】
そして、右側にある穂先側搬送装置22Rを前処理部1の後端まで延出すると共に、この穂先側搬送装置22Rと左側にある穂先側搬送装置22Lとを平面視で略y字状をなすように配置している。(図2参照)一方、中央にある穂先側搬送装置22Cと左側にある穂先側搬送装置22Lとは、右側にある穂先側搬送装置22Rと比較して穀稈の搬送距離が短く、中央にある穂先側搬送装置22Cは、左右の穂先側搬送装置22L,22Rの合流部Mの近傍まで延出させてある。
【0019】
また、扱深搬送装置23は、その前端部23aを支点として上下揺動自在に設けてあり、当該扱深搬送装置23により扱ぎ深さが調節された後の穀稈は、その株元側が扱深搬送装置23から中継株元搬送チェン24に受け継がれる。但し、穂先側は右側にある穂先側搬送装置22Rによって継続的に搬送される。
【0020】
尚、扱深搬送装置23と、左右及び中央の株元側集束搬送装置21L,21R,21C、及び中継株元搬送チェン24は、駆動力が入力される図示しない駆動スプロケットと従動スプロケットとの間に搬送チェンを掛け回した構造となっており、これらの搬送チェンと該搬送チェンに対向して設けた挟持レールとの間に穀稈の株元を挟持しながら、当該穀稈の株元側を後方に搬送することができるように構成している。
【0021】
一方、左右及び中央の穂先側搬送装置22L,22R,22Cは、駆動力が入力される図示しない駆動スプロケットと従動スプロケットとの間に、穀稈の穂先側を受け継ぐ樹脂製の起伏可能な搬送爪を複数取り付けた搬送チェンを掛け回した構造となっており、前処理フレーム2に支持した搬送レールと前記搬送爪との間に穀稈の穂先側を保持しながら、当該穀稈の穂先側を後方に搬送することができるように構成している。
【0022】
そして、上述した掻込スターホイール19a,19b,19c,19d,19e,19fは、前処理フレーム2に固定または回転自在に設けた支軸26a,26b,26c,26d,26e,26fに一体的または回転自在に軸支している。詳述すると、図6に示すように、左最外側の掻込スターホイール19aを軸支した支軸26aを、前処理フレーム2に固定した筒軸27aに回転自在に内挿すると共に、当該支軸26aには、左側の株元側集束搬送装置21Lの従動スプロケット28aを回転自在に取り付けている。尚、支軸26aの上端には、該支軸26aと一体回転するように左側の株元掻込装置20Lに備える掻込みベルト18aの駆動プーリ25を取り付けている。
【0023】
また、左側の株元側集束搬送装置21Lの駆動スプロケット29Lは、引起伝動筒13から突出する左駆動軸31に軸支すると共に、この左駆動軸31の先端には、左側にある穂先側搬送装置22Lの駆動スプロケット32Lも軸支している。そして、左駆動軸31によって左側にある穂先側搬送装置22Lの駆動スプロケット32Lと左側の株元側集束搬送装置21Lの駆動スプロケット29Lに駆動力が伝達されると、左側にある穂先側搬送装置22Lと左側の株元側集束搬送装置21Lが駆動する。
【0024】
一方、右最外側の掻込スターホイール19fは、前処理フレーム2に固設した支軸26fに回転自在に外嵌する筒軸27fの下部に固設されると共に、この筒軸27fには、右側の株元側集束搬送装置21Rの従動スプロケット28fを一体回転可能に取り付けている。そして、筒軸27fは、従動スプロケット28fの上方位置に右側の株元掻込装置20Rに備える掻込みベルト18f用の駆動プーリ25を一体回転可能に取り付けている。尚、右側の株元側集束搬送装置21Rの駆動スプロケット29Rは、縦伝動筒8から突出する右駆動軸33に軸支してある。
【0025】
この右駆動軸33によって右側の株元側集束搬送装置21Rの駆動スプロケット29Rに駆動力が伝達されると、右側の株元側集束搬送装置21Rが駆動すると共に、右最外側の掻込スターホイール19fと該掻込スターホイール19fの上方に位置する掻込みベルト18fが駆動する。そして、右最外側の掻込スターホイール19fと該掻込スターホイール19fに隣接して歯合する掻込スターホイール19eを配置している。
【0026】
そして、掻込スターホイール19eを軸支する支軸26eは、詳細は後述する支持ブラケット61の機体外側に固設した筒軸27eに回転自在に内挿してあり、当該支軸26eには、筒軸27eの下方位置に掻込スターホイール19eを固設すると共に、筒軸27eの上方位置には、右側の株元掻込装置20Rに備える掻込みベルト18e用の駆動プーリ25を取り付けてある。したがって、右最外側の掻込スターホイール19fが回転駆動すると、このスターホイール19fに歯合する機体の中央側の掻込スターホイール19eが回転駆動すると共に、該掻込スターホイール19eの上方に位置する掻込みベルト18eも駆動する。
【0027】
次に、機体の中央側に配置されているその他(3個)の掻込スターホイール19b,19c,19dと、左最外側の掻込スターホイール19aへの動力伝達構造について説明する。
【0028】
上述した縦伝動筒8の前端近傍には、上方に向く中伝動筒34が突出しており、この中伝動筒34内には、縦伝動軸14から駆動力が伝達される伝動軸36を内装すると共に、当該中伝動筒34の端部にギヤ37,38を収容したギヤケース39を備えている。そして、ギヤケース39からは、機体の略中央に相当する位置に配置した株元側集束搬送装置21Cの駆動スプロケット29Cを軸支した中駆動軸41が突出している。
【0029】
即ち、中駆動軸41には、前記伝動軸36に伝達された駆動力がギヤ37,38を介して伝達されると共に、機体の略中央に配置した株元側集束搬送装置21Cの駆動スプロケット29Cの上方位置には、該駆動スプロケット29Cと中央の穂先側搬送装置22Cの駆動スプロケット32Cが一体回転するように取り付けてあり、両駆動スプロケット29C,32Cに駆動力が伝達されると中央の株元側集束搬送装置21Cと穂先側搬送装置22Cが駆動する。
【0030】
また、縦伝動筒8の基端部側からは、右側の穂先側搬送装置22Rの駆動スプロケット32Rと,中継株元搬送チェン24の駆動スプロケット42を一体回転するように取り付けた駆動軸43と、扱深搬送装置23の駆動スプロケット44を一体回転するように取り付けた駆動軸46が突出しており、右側の穂先側搬送装置22R、中継株元搬送チェン24、及び扱深搬送装置23は、駆動軸43または駆動軸46によって駆動するようになっている。
【0031】
また、左側から2番目と3番目の掻込スターホイール19b,19cは、前処理フレーム2を構成する横伝動筒9と、分草体支持フレーム11bに対して前低後高状に固定した支持ブラケット51に取り付けてある。この支持ブラケット51は、側面視で縦伝動筒8と略同傾斜の前低後高状となるように、先端側を分草体支持フレーム11bに螺設した縦(角)パイプ52と、該縦パイプ52の後端下部に固設した支持(丸)パイプ53の下端を横伝動筒9に螺設すると共に、当該縦パイプ52の中間部に横設した横(角)パイプ54を備えている。
【0032】
そして、左側から3番目の掻込スターホイール19cを、上述した支持ブラケット51を構成する横パイプ54の機体内側に固設した支軸26cに対し、回転自在に外嵌させた筒軸27cの下部に間座S1を介して固設すると共に、当該掻込スターホイール19cの上方には、所定の間隔を隔てて伝動手段Dを構成する伝動スターホイール19Cを筒軸27cの下部に該筒軸27cと同軸心で固設している。更に、筒軸27cの上部には、中央の株元側集束搬送装置21C用の従動スプロケット28cを一体回転可能に取り付けると共に、筒軸27cは、従動スプロケット28cの上方位置に中央の株元掻込装置20Cに備える掻込みベルト18c用の駆動プーリ25を一体回転可能に取り付けている。
【0033】
また、掻込スターホイール19cの左側に隣接して歯合する掻込スターホイール19bを軸支する支軸26bは、支持ブラケット51を構成する横パイプ54の機体外側に固設した筒軸27bに回転自在に内挿してあり、この掻込スターホイール19bを支軸26bの下部に間座S1を介して固設すると共に、当該掻込スターホイール19bの上方には、所定の間隔を隔てて上述の伝動手段Dを構成する伝動スターホイール19Bを支軸26bに該支軸26bと同軸心で固設している。更に、支軸26bの上部には、左側の株元掻込装置20Lに備える掻込みベルト18b用の駆動プーリ25を一体回転可能に取り付けている。
【0034】
そして、中央側に配置されている株元掻込装置20Cに備える掻込スターホイール19b,19cは互いに歯合しているが、両掻込スターホイール19b,19cは、その上方に同軸心で、且つ穀稈の通過しない位置に設けた互いに歯合する伝動スターホイール19B,19Cからなる伝動手段Dを介して回転駆動するようになっている。
【0035】
即ち、上述した伝動手段Dを、左側の株元掻込装置20Lに備える二つの掻込スターホイール19a,19bのうち、右側の掻込スターホイール19bの上方で、該掻込スターホイール19bと同軸心に設けた伝動スターホイール19Bと、中央の株元掻込装置20Cに備える中央の掻込スターホイール19cの上方で、該掻込スターホイール19cと同軸心に設けた伝動スターホイール19Cにより構成すると共に、互いに歯合する両伝動スターホイール19B,19Cを、その下方の掻込スターホイール19b,19cよりも歯厚が大きく且つ大径ホイールに形成してあって、当該伝動スターホイール19B,19Cを介して駆動力を左右に分岐すると共に、その噛み合い率を向上させて掻込スターホイール19b,19cへの確実且つ安定した動力伝達を可能にしている。
【0036】
また、左側から4番目と5番目の掻込スターホイール19d,19eは、前処理フレーム2を構成する横伝動筒9と、分草体支持フレーム11cに対して前低後高状に固定した支持ブラケット61に取り付けてある。この支持ブラケット61は、側面視で縦伝動筒8と略同傾斜の前低後高状となるように、先端側を分草体支持フレーム11cに螺設した縦(角)パイプ62と、該縦パイプ62の後端下部に固設した図示しない支持パイプ(支持ブラケット51の支持パイプ53に相当)の下端を横伝動筒9に螺設すると共に、当該縦パイプ62の中間部に横設した横(角)パイプ64を備えている。
【0037】
そして、左側から3番目の掻込スターホイール19cの右側に隣接して歯合する掻込スターホイール19dを軸支する支軸26dは、上述した支持ブラケット61を構成する横パイプ64の機体内側に固設した筒軸27dに回転自在に内挿してあり、当該支軸26dには、筒軸27dの下方位置に掻込スターホイール19dを固設すると共に、筒軸27dの上方位置に中央の株元掻込装置20Cに備える掻込みベルト18d用の駆動プーリ25を取り付けてある。したがって、掻込スターホイール19cが回転駆動すると、この掻込スターホイール19cの右側に隣接して歯合する掻込スターホイール19dが回転駆動すると共に、該掻込スターホイール19dの上方に位置する掻込みベルト18dも駆動する。
【0038】
一方、掻込スターホイール19bの左側に隣接して歯合する左最外側の掻込スターホイール19aは、上述の如く前処理フレーム2に固定した筒軸27aに回転自在に内挿されている支軸26aに軸支してあって、掻込スターホイール19bが回転駆動すると、このスターホイール19bに歯合する掻込スターホイール19aが回転駆動すると共に、該掻込スターホイール19aの上方に位置する掻込みベルト18aも駆動するようになっている。
【0039】
また、上述したように、各株元掻込装置20L,20R,20Cを構成する掻込スターホイール19b,19c,19d,19eと、掻込みベルト18b,18c,18d,18eとを支持する前低後高状の支持ブラケット51,61を、分草体支持フレーム11b,11cと横伝動筒9に固定したことによって、前記支持ブラケット51,61の一側、
即ち後端側を前処理フレーム2を構成する強固な横伝動筒9に固定し、且つその支間距離を短く構成することができるので、当該支持ブラケット51,61に支持する株元掻込装置20L,20R,20Cを構成する掻込スターホイール19b,19c,19d,19eと、掻込みベルト18b,18c,18d,18eの回転駆動に伴う振動の発生を軽減させることができるようになる。
【0040】
更に、支持ブラケット51を構成する横パイプ54の右端(機体内側の端部)には、後方の縦伝動筒8に立設した中央の株元側集束搬送装置21Cへの伝動筒34に連結する支持ステー(丸パイプ)55を設けてあり、それによって、当該支持ブラケット51を更に強固に固定することができるようになっている。
【0041】
そして、図4に示すように、支持ブラケット51には、左側の株元側集束搬送装置21Lに対向して設ける挟持レール71を取り付けると共に、支持ブラケット61には、機体の略中央に配置した株元側集束搬送装置21Cに対向して設ける挟持レール72と、右側の株元側集束搬送装置21Rに対向して設ける挟持レール73とを取り付けている。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】前処理部の要部側面図。
【図2】前処理部の要部平面図。
【図3】支持ブラケットの構成を示す要部側面図。
【図4】各穂先側搬送装置を除いた状態の前処理部の要部平面図。
【図5】支持ブラケットの構成を示す要部斜視図。
【図6】前処理部の要部伝動図。
【符号の説明】
【0043】
3 分草体
4 引起装置
6 刈取装置
8 縦伝動筒
9 横伝動筒
11a 分草体支持フレーム
11b 分草体支持フレーム
11c 分草体支持フレーム
11d 分草体支持フレーム
12 横フレーム
18b 左側の株元掻込装置に備える右側の掻込みベルト
18c 中央の株元掻込装置に備える左側の掻込みベルト
18d 中央の株元掻込装置に備える右側の掻込みベルト
18e 右側の株元掻込装置に備える左側の掻込みベルト
19b 左側の株元掻込装置に備える右側の掻込スターホイール
19c 中央の株元掻込装置に備える左側の掻込スターホイール
19d 中央の株元掻込装置に備える右側の掻込スターホイール
19e 右側の株元掻込装置に備える左側の掻込スターホイール
20C 株元掻込装置(中央)
20L 株元掻込装置(左側)
20R 株元掻込装置(右側)
21C 株元側集束搬送装置(中央)
21L 株元側集束搬送装置(左側)
21R 株元側集束搬送装置(右側)
34 伝動筒
51 支持ブラケット
61 支持ブラケット
B 枠体
M 合流部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体の左右方向に並設した複数の分草体(3)と、各分草体(3)の後方に設けた分草穀稈を引起す引起装置(4)と、該引起装置(4)の後方に設けた刈取装置(6)と、穀稈の株元を掻込む複数の株元掻込装置(20L,20R,20C)と、各株元掻込装置(20L,20R,20C)により掻き込んだ穀稈の株元を合流部(M)に集束する複数の株元側集束搬送装置(21L,21R,21C)を備えたコンバインの前処理部において、前記複数の分草体(3)を装着する分草体支持フレーム(11a,11b,11c,11d)を所定の間隔で固設した横フレーム(12)を設け、該横フレーム(12)の両端に固設した左右の分草体支持フレーム(11a,11d)を、前処理フレーム(2)を構成する縦伝動筒(8)の前端に横設した横伝動筒(9)に連結して、該横伝動筒(9)と横フレーム(12)及び左右の分草体支持フレーム(11a,11d)とからなる枠体(B)を形成すると共に、各株元掻込装置(20L,20R,20C)を構成する掻込スターホイール(19b,19c,19d,19e)と、掻込みベルト(18b,18c,18d,18e)とを支持する前低後高状の支持ブラケット(51,61)を、分草体支持フレーム(11b,11c)と横伝動筒(9)に固定したことを特徴とするコンバインの前処理部。
【請求項2】
縦伝動筒(8)に立設した中央の株元側集束搬送装置(21C)への伝動筒(34)に支持ブラケット(51)を連結した請求項1に記載のコンバインの前処理部。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−252235(P2007−252235A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−78181(P2006−78181)
【出願日】平成18年3月22日(2006.3.22)
【出願人】(000001878)三菱農機株式会社 (1,502)
【Fターム(参考)】