説明

コンバインの排ワラ処理装置

【課題】排ワラ結束装置全体の構造の簡素化と、その排ワラ結束装置の未刈側での他物との干渉を回避しながら、排ワラ結束装置内に所要機器の配設用スペースを確保する。
【解決手段】入力軸21の下側で結束位置よりも一端側寄りの箇所に株端揃え板52を配設し、結束位置よりも排ワラ結束装置5の他端側寄りで、集束空間S1を挟んで入力軸21と対向する下側位置に下部伝動軸を配設し、入力軸21に常時駆動系の出力部21cを設け、下部伝動軸に伝達された駆動力を、常時駆動系の第1伝動軸と、一回転クラッチ機構を介して接続される間欠駆動系の第2伝動軸24とに分岐伝動し、第1伝動軸に連動させてパッカー51を駆動し、第2伝動軸に連動させて紐供給装置55及び紐結節装置54を駆動し、下部伝動軸とは反対側には、株端揃え板52よりも下方側で結束位置の他端側に所要機器配設用の空きスペースS2を形成してある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自脱型のコンバインにおいて、横倒れ姿勢の排ワラを斜め横後方に搬送する排ワラ搬送装置を備え、この排ワラ搬送装置の搬送方向後方側に排ワラ結束装置を装備させてあるコンバインの排ワラ処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のように、横倒れ姿勢の排ワラを斜め横後方に搬送する排ワラ搬送装置を備え、この排ワラ搬送装置の搬送方向後方側に排ワラ結束装置を装備させてあるコンバインの排ワラ処理装置としては、従来より下記[1]及び[2]に記載の技術が知られている。
【0003】
[1] 株端揃え板として、排ワラの株端側をたたいて揃えるように排ワラ稈身方向で往復移動するたたき揃え部材を用いており、このたたき揃え部材や紐供給装置に対する駆動力を、排ワラ結束装置の一端側の上部から他端側へ向けて延出している。そして、集束空間を挟んで下方側の紐結節装置や放出アームに対する駆動力は、排ワラ結束装置の前記一端側の下部から他端側へ向けて延出した下方側の駆動力で駆動するように構成している(例えば、特許文献1参照)。
[2] 株端揃え板として、排ワラ結束装置に位置固定状態で取り付けられた株端揃え板を用い、集束空間の上下に振り分けられる紐結節装置や紐供給装置の一側に対する駆動力は、排ワラ結束装置の下部側の一端部から他端部へ向けて延出された入力軸を介して行われ、その入力軸の他端側から集束空間を迂回して、排ワラ結束装置の上部側から前記紐結節装置や紐供給装置に対する他側への動力を取り出すように構成している(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平5−60236号公報(段落「0008」、「0009」、図3、図4参照)
【特許文献2】特開平7−250549号公報(段落「0007」、「0008」、図2、図3参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載の構造のものでは、株端揃え板がたたき揃えの機能を有するものであるため、その株端揃え板を駆動するための駆動軸や駆動関連機構を配備する必要があり、排ワラ結束装置全体の構成が複雑であるとともに、紐供給装置に対して供給する結束用の紐を収容する紐ケースの配設スペースが確保しにくいという問題がある。
この特許文献1に記載のものでは、集束空間の上下に振り分けられる紐結節装置や紐供給装置に対する駆動系の連動機構を、集束空間の株端側で連動させるように配置することによって、集束空間の穂先側にスペースを設けて紐ケースの配設スペースを確保しているが、このように集束空間の株端側で連動させると、あまり横幅方向で突出させ得る余裕のない箇所に連動機構を配置することになり、その連動構造部分が機体の未刈茎稈存在側に突出して未刈茎稈と接触するなどの不具合を招く虞がある。
【0006】
上記特許文献2に記載の構造のものでは、株端揃え板として排ワラ結束装置に位置固定状態で取り付けられた株端揃え板を用いたものであるから、この株端揃え板を駆動するための駆動軸や駆動関連機構を配備する必要はなく、構造の簡素化を図る上で有用であるが、この特許文献2に記載のものでは、間欠駆動される紐供給装置や紐結節装置に対する入力軸を、排ワラ結束装置の下部側に設けている。
このため、前記間欠駆動される紐供給装置や紐結節装置を経た後の伝動系の動力では、集束空間の上側に存在して排ワラを掻き寄せるために常時駆動されるパッカーを駆動することができず、排ワラ収集性能の面で改善の余地がある。また、排ワラの株元側が存在する集束空間の上部箇所は各種機器が錯綜して配設される傾向があり、余り空間的余裕がないので、この箇所に紐ケースを配設するためのスペースを確保することは困難であり、別途紐ケースの配設箇所を確保する必要があった。
【0007】
本発明の目的は、排ワラ結束装置全体の構造の簡素化と、その排ワラ結束装置の未刈側での他物との干渉を回避しながら、排ワラ結束装置内に所要機器の配設用スペースを確保できるようにしたコンバインの排ワラ処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために講じた本発明のコンバインの排ワラ処理装置における技術手段は、次の点に構成上の特徴、及び作用効果がある。
【0009】
〔解決手段1〕
本発明は、横倒れ姿勢の排ワラを斜め横後方に搬送する排ワラ搬送装置を備え、この排ワラ搬送装置の搬送方向後方側に排ワラ結束装置を装備させてあるコンバインの排ワラ処理装置であって、
前記排ワラ結束装置は、前記排ワラ搬送装置から供給される搬送排ワラを集束空間へ掻き込む掻き込みパッカーと、前記排ワラ搬送装置から集束空間に送り込まれる搬送排ワラの株端に対向して摺接するように取付位置に固定された株端揃え板と、前記集束空間に送り込まれた排ワラが所定量に達したことを検出する感知ドアと、その感知ドアの作動に伴って集束空間に存在する排ワラ束を結束するための紐を紐結節装置に対して供給する紐供給装置と、供給された紐を結節する紐結節装置とを備え、
前記紐結節装置と紐供給装置とを、前記集束空間を挟んでその上下に振り分け配置して、排ワラ稈身方向での中間位置に設定された結束位置で排ワラを結束するように構成してあるとともに、この排ワラ結束装置の入力軸を、その排ワラ結束装置の上部における一端側から前記結束位置を越えて他端側にわたって架設し、
前記入力軸の下側で前記結束位置よりも前記一端側寄りの箇所に前記株端揃え板を配設し、前記結束位置よりも排ワラ結束装置の前記他端側寄りで、前記集束空間を挟んで前記入力軸と対向する下側位置に下部伝動軸を配設し、
前記入力軸に常時駆動系の動力を取り出す出力部を設けるとともに、前記下部伝動軸に伝達された入力軸からの駆動力を、常時駆動系の第1伝動軸と、一回転クラッチ機構を介して接続される間欠駆動系の第2伝動軸とに分岐伝動し、前記常時駆動系の第1伝動軸に連動させてパッカーを駆動し、前記間欠駆動系の第2伝動軸に連動させて紐供給装置及び紐結節装置を駆動するように構成し、
前記排ワラ結束装置の前記下部伝動軸が配設された側とは反対側には、前記株端揃え板よりも下方側で前記結束位置の前記他端側に所要機器配設用の空きスペースを形成してあることを特徴とする。
【0010】
〔解決手段1にかかる発明の作用及び効果〕
上記解決手段1で示した本発明の構成によると、排ワラ結束装置の株端揃え板として、排ワラの株端をたたき揃えるように駆動されるものではなく、搬送排ワラの株端に対向して摺接するように取付位置に対して固定された構造のものを採用したので、この株端揃え板を駆動するための駆動軸や駆動関連機構を用いる必要が無く、この点での構造の簡素化を図ることができる。
【0011】
そして、集束空間を挟んでその上側には入力軸が配備され、集束空間の下側で結束位置よりも株端揃え板が存在する側とは反対側寄りの位置には前記入力軸の動力が伝達される下部伝動軸を配設してあって、集束空間の上部側の入力軸には常時駆動系の出力部が備えられるとともに、下部伝動軸から常時駆動系の動力と間欠駆動系の動力とを分岐させるように構成してあるので、集束空間の上下何れの側にも動力を伝達する軸が存在しており、駆動対象装置の近く位置から駆動力を導き易く、伝動機構の小型化や構造の簡素化を図る上で有効である。また、集束空間の上部側及び下部側の何れの側でも、常時駆動系の動力で駆動されるパッカーによる排ワラの収集や、間欠駆動系の動力で駆動される紐供給装置及び紐結節装置での排ワラ結束作業が良好に行われやすい。
【0012】
前記集束空間の下側に配設される下部伝動軸には、排ワラ結束位置よりも、株端揃え板が存在する側とは反対側寄りの位置に配置された状態で上側の入力軸の動力が伝達されるものであるから、この排ワラ結束装置における集束空間の上下に位置する軸同士を連動させるための連結構造は、前記株端揃え板が存在する側とは反対側寄りの排ワラ結束装置の端部側、つまり既刈り側の端部寄りに設けられる。このため、前記集束空間の上下に位置する軸同士を連動させるための連結構造が、排ワラ結束装置の未刈側の端部に配設されることはなく、この連結構造が未刈側の茎稈に接触するなどの不具合を回避し易い点で有利である。
【0013】
排ワラ結束装置において、入力軸の下側で、結束位置の一端側に配置された株端揃え板が存在する箇所よりも既刈り側には排ワラの集束空間が存在し、その集束空間の下側で結束位置よりも既刈り側には下部伝動軸が配設されているが、前記株端揃え板よりも下方側で前記結束位置よりも排ワラ結束装置の他端側、つまり前記下部伝動軸よりも未刈側の箇所には所要機器配設用の空きスペースが形成してある。
したがって、この空きスペースを利用して、紐ケースなどの所要の機器の配設スペースを確保できる。
これによって、紐ケースなどの所要の機器を排ワラ結束装置の外部で未刈側や既刈り側に設ける場合のように排ワラ結束装置全体の長さが長くなったり、排ワラ結束装置の外部で下方側に設ける場合に比べて、排ワラ結束装置箇所の地上高が低くなりすぎるような不具合を回避できる利点がある。
【0014】
〔解決手段2〕
上記課題を解決するために講じた本発明の他の技術手段は、請求項2に記載のように、下部伝動軸から分岐伝動される常時駆動系の第1伝動軸は、集束空間の下側に配設された下部伝動軸と一体に形成されていて、集束空間の下側に配設されたパッカーを駆動するように構成してあり、前記下部伝動軸から一回転クラッチ機構を介して接続される間欠駆動系の第2伝動軸は、前記集束空間の下側に配設されたニードル駆動軸によって構成され、かつ、そのニードル駆動軸の結束位置から遠い側の端部に連動するチェーン伝動機構を介して前記集束空間の上側に配設された紐結節部駆動軸に動力を伝達するように構成されている点に特徴がある。
【0015】
〔解決手段2にかかる発明の作用及び効果〕
上記のように、解決手段2にかかる本発明のコンバインの排ワラ処理装置では、下部伝動軸から分岐伝動される常時駆動系の第1伝動軸は、集束空間の下側に配設された下部伝動軸と一体に形成されているので、この第1伝動軸を下部伝動軸とは別軸で構成する場合に比べて、構造の簡素化を図ることができる。
そして、下部伝動軸から一回転クラッチ機構を介して接続される間欠駆動系の第2伝動軸は、集束空間の下側に配設されたニードル駆動軸によって構成され、そのニードル駆動軸の結束位置から遠い側の端部に連動するチェーン伝動機構を介して集束空間の上側に配設された紐結節部駆動軸に動力を伝達するように構成されているので、ニードル駆動軸をチェーン伝動機構に対する中間の伝動軸として兼用することにより、部品点数を削減して構造の簡素化を図っている。
また、集束空間の上側に配設された紐結節部駆動軸に対する動力伝達をチェーン伝動機構で行うように構成したことにより、この箇所における動力伝達のための機構を、ニードル駆動軸や紐結節部駆動軸の軸芯周りで回動するチェーン伝動機構の回転軸芯方向の厚さ程度の軸芯方向長さを有したもので構成でき、排ワラ結束装置全体としては機体横幅方向での長さの増大を避けながら、排ワラ稈長方向で集束空間を広く確保できる利点がある。
【0016】
〔解決手段3〕
上記課題を解決するために講じた本発明の他の技術手段は、請求項3に記載のように、所要機器配設用の空きスペースに結束用の紐を収容する紐ケースを設けてある点に特徴がある。
【0017】
〔解決手段3にかかる発明の作用及び効果〕
上記のように、解決手段3にかかる本発明のコンバインの排ワラ処理装置では、所要機器配設用の空きスペースを結束用の紐を収容する紐ケースの設置箇所として用いたことにより、紐ケースを排ワラ結束装置の外部に設ける必要がなく、排ワラ結束装置のコンパクト化を図り得る利点がある。
【0018】
〔解決手段4〕
上記課題を解決するために講じた本発明の他の技術手段は、請求項4に記載のように、紐ケースの上面側に、株端揃え板で案内される排ワラの株元側を下方側で受け止め支持する受け台を設けてあることを特徴とする。
【0019】
〔解決手段4にかかる発明の作用及び効果〕
上記のように、解決手段4にかかる本発明のコンバインの排ワラ処理装置では、所要機器配設用の空きスペースに設けられた紐ケースの上面側に、排ワラの株元側を下方側で受け止め支持する受け台を設けたので、前記紐ケースを、株端揃え板で案内される排ワラの株元側を下方側で受け止め支持する受け台を設置するための取付部材として活用することができる。
つまり、排ワラ結束装置の内部に紐ケースの設置箇所を確保するにともなって、その紐ケースが集束空間に集められる排ワラを支持するための受け台の取付部材としての役割も果たすことになり、スペースを有効利用できることに加えて、部材の兼用化にともなう構造の簡素化をも図り得る利点がある。
【0020】
〔解決手段5〕
上記課題を解決するために講じた本発明の他の技術手段は、請求項5に記載のように、株端揃え板の基端側を、紐ケースの上面側に設けられた受け台から立設した固定ブラケットに取り付けてあることを特徴とする。
【0021】
〔解決手段5にかかる発明の作用及び効果〕
上記のように、解決手段5にかかる本発明のコンバインの排ワラ処理装置では、株端揃え板の取り付け箇所として、紐ケースの上面側に設けられた受け台から立設した固定ブラケットを用いたものであるから、前記受け台を脱着する際に株端揃え板も一体的に脱着することができる。
したがって、メンテナンス作業の際に作業空間を広くして作業し易いという利点があるほか、株端揃え板と受け台や紐ケースを予め組み付けてから、排ワラ結束装置に対して組み込むというように、組み付け分解作業を広い空間で行い易いという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】コンバインの全体側面図
【図2】排ワラ処理装置の平面図
【図3】排ワラ処理装置の左側面図
【図4】排ワラ結束装置の背面図
【図5】排ワラ結束装置の右側面図
【図6】排ワラ結束装置の左側面図
【図7】排ワラ結束装置の伝動構造の一部を示す断面図
【図8】伝動系統を示す説明図
【図9】株端揃え板の取り付け構造を示す左側面図
【図10】株端揃え板の取り付け構造を示す分解斜視図
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態の一例を図面の記載に基づいて説明する。
【0024】
〔コンバインの全体構成〕
まず、本発明を適用したコンバインの全体構成について説明する。
図1には自脱形コンバインの全体側面が示されている。このコンバインは、機体フレーム1の下部に左右一対のクローラ式走行装置10を装備し、機体フレーム1の前方及び左前部には昇降揺動可能に連結した刈取前処理装置11が設けられている。
前記刈取前処理装置11で刈り取られた穀稈は機体フレーム1の左後部に設けられた脱穀装置12で脱穀処理され、脱穀された穀粒が、脱穀装置12に右側に配設された穀粒タンク13に回収され、脱穀処理後の排ワラAは脱穀フィードチェーン14を介して後方の排ワラ処理装置2に受け渡されるように構成されている。前記機体フレーム1の右前部には原動部(図示せず)が設けられ、原動部の上方側に搭乗運転部15が備えられている。
【0025】
脱穀装置12は、刈取前処理装置11から受け渡された刈取穀稈の株元側を挟持して前後方向に搬送するフィードチェーン14を備え、そのフィードチェーン14で株元側を挟持搬送される穀稈の穂先側を扱き処理する扱胴(図示せず)、ならびに脱穀処理後の処理物を選別する選別装置(図示せず)などを備えた周知の構造によって構成されている。
前記穀粒タンク13には、回収された穀粒を機外へ搬出するための起伏揺動自在な穀粒排出用オーガ16を備えてある。
【0026】
〔排ワラ処理装置〕
図1乃至図3に示すように、脱穀フィードチェーン14の後端側には、脱穀フィードチェーン14が脱穀装置12から後方に搬出した脱穀処理後の排ワラAを受け取り、横倒れ状態で穂先側に寄せながら機体後方に搬送する排ワラ搬送装置3が配設されている。
この排ワラ搬送装置3と、その下方側に位置して、排ワラ搬送装置3の端部から落下供給された排ワラAを切断する排ワラ細断装置4と、排ワラ細断装置4の後方側に装備された排ワラ結束装置5とから前記排ワラ処理装置2が構成されている。
【0027】
〔排ワラ搬送装置〕
排ワラ搬送装置3は、搬送排ワラAの穂先側を係止して搬送する係止搬送装置30と、搬送排ワラAの株元側を挟持して搬送する挟持搬送装置31との対で構成され、これらは、排ワラAを搬送しながら未刈側から既刈り側へ移行させるように、機体進行方向に対して右斜め後方に向けて延出されている。
係止搬送装置30は、回転駆動される無端帯状の搬送ベルトの外周側に多数の係止爪を外向きに立設して構成されている。この係止搬送装置30は、その係止爪が排ワラAの穂先側に上側から接触して、係止爪に引っ掛かった排ワラAを排ワラ細断装置4や排ワラ結束装置5が存在する後方側へ向けて、押し込むように搬送するものである。
【0028】
図2及び図3に示すように、挟持搬送装置31は、回転駆動される搬送チェーン32、搬送チェーン32の下側に沿って配置された始端側の第1レール33a、及び終端側の第2レール33b等を備えている。
この挟持搬送装置31は、搬送チェーン32と第1レール33a及び第2レール33bとの間に排ワラAの株元側を挟持して搬送するように構成されたものであり、フィードチェーン14で株元側が挟持された横倒れ姿勢で脱穀装置4から搬送されてくる排ワラAを受け継いで挟持し、後方に搬送するように構成されている。
【0029】
この挟持搬送装置31は、図2に示すように斜め右後方に延出されているので、挟持搬送装置31の第2レール33bを伸縮操作して、挟持搬送装置31の搬送終端位置を搬送方向に沿って変更することにより、挟持搬送装置31の搬送終端位置から供給される排ワラAの位置を、機体前後方向、及びその機体前後方向に対して直交する排ワラ稈身方向に変更することができる。
つまり、位置固定の第1レール33aに対して、第2レール33bが伸縮自在に構成されており、その第2レール33bを伸縮操作することにより、挟持搬送装置31による搬送終端位置を搬送方向に沿って変更することができるように構成されている。したがって、排ワラAの落下位置を、排ワラ細断装置4に対して排ワラ供給するに適した前寄り位置と、排ワラ結束装置5に対して排ワラ供給するに適した後寄り位置とに、前後方向で位置変更自在である。
また、排ワラ供給するに適した後寄り位置においても、排ワラAが長稈である場合と短稈である場合とで、前記第2レール33bによる搬送終端位置を変更調節して、排ワラ稈長方向でも位置変更することができるように構成されている。
【0030】
〔排ワラ細断装置〕
排ワラ細断装置4は、図2及び図3に示すように、カッターケース40内に、多数の円板刃を一対のカッター軸に取り付けて構成されるところの、供給刃41と切断刃42との組み合わせによって構成された周知の構造のものである。
前記カッターケース40の上方箇所に設けた投入口43には、開閉蓋44が横軸45の軸芯P1周りで開閉操作自在に支持されている。
【0031】
この開閉蓋44を図3に仮想線で示すように開放姿勢にすると、排ワラ搬送装置3の搬送終端から落下供給される排ワラAは、前記投入口43から前記供給刃41と切断刃42との間に供給され、細断されてカッターケース40の下方から機外へ放出される細断放出状態となる。このとき、前記挟持搬送装置31の第2レール33bは最収縮位置(図3の紙面左方)に収縮操作されている。
前記開閉蓋44を図3に実線で示すように前記投入口43の上方を覆う閉塞姿勢に切り換えると、排ワラ搬送装置3の搬送終端から落下供給される排ワラAは、開閉蓋44の上方側に備えた案内板44aの上面側を移動して機体後方側の排ワラ結束装置5へ送り込まれる。このとき、前記挟持搬送装置31の第2レール33bは伸長方向に操作され、挟持搬送装置31の搬送終端位置を排ワラ結束装置5に対して排ワラAを供給するに適した後方伸長位置(図3の紙面右方)に操作される。
【0032】
上記の開閉蓋44は図示しない蓋操作装置によって開閉操作され、前記挟持搬送装置31の第2レール33bは図示しないレール操作装置によって伸縮操作されるように構成してあり、かつ、蓋操作装置及びレール操作装置のそれぞれが電動モータを備えていて、互いに連係作動するように構成されている。
つまり、挟持搬送装置31の第2レール33bが最収縮位置に収縮操作されている状態では、供給刃41と切断刃42が駆動されると開閉蓋44が強制的に開放姿勢に操作されるように構成してあり、この供給刃41と切断刃42が駆動されて開閉蓋44が開放姿勢に操作されている状態では、前記第2レール33bを後方伸長位置に操作できないように牽制されている。
そして、供給刃41と切断刃42の駆動を停止して、開放姿勢の開閉蓋44が閉塞姿勢側に切り換え操作された後に、前記第2レール33bが後方伸長位置に操作されるように構成してある。
【0033】
上記の開閉蓋44は、図2及び図4に示すように、切断対象の排ワラAの最も株元側に位置する株元側蓋部分と、排ワラAの中間部に対応する位置の中間蓋部分と、最も穂先側に位置する穂先側蓋部分とに3分割されている。
これらの各蓋部分は、共通の前記横軸45に取り付けられていて、その横軸45が蓋操作装置の電動モータで回動されるにともなって、それぞれが同時に前記開放姿勢と閉塞姿勢とに姿勢切り換え操作されるように構成されている。
【0034】
前記各蓋部分は、それぞれが案内板44a,44b,44cを備えている。このうち、株元側蓋部分に備えられる株元側案内板44aと中間蓋部分に備えられる中間案内板44bとは、図2及び図3に示すように、排ワラ細断装置4の上側に存在していて、前記閉塞姿勢であるときに、排ワラ搬送装置3側から送り込まれた排ワラAを、水平に近い上面側で案内して排ワラ結束装置5側へ移行させる際の受け面を構成している。
そして、前記穂先側蓋部分に備えられる穂先側案内板44cは、図2及び図5に示されているように、排ワラ細断装置4の上側のみならず、排ワラ結束装置5の集束空間S1の下部後端にまで入り込むように、機体後方側へ長く形成されている。したがって、この穂先側蓋部分に備えられる穂先側案内板44cは、前記閉塞姿勢では、排ワラ搬送装置3側から送り込まれた排ワラAを、水平に近い上面側で案内して排ワラ結束装置5の集束空間S1にまで送り込む際の受け面を構成している。
【0035】
このとき、前記穂先側蓋部分に備えられる穂先側案内板44cは、閉塞姿勢であるときと、開放姿勢であるときとで、図5に示すように、穂先側蓋部分に対する相対角度が変化するが、板金製の薄板材で構成してあり、穂先側蓋部分に対する取り付け箇所から結束伝動ケース20上の接触箇所までの距離が長いので、開放姿勢では、その穂先側案内板44c自体の弾性変形によって穂先側蓋部分に対する相対角度を拡開し、閉塞姿勢に戻るともとの姿勢に弾性復帰する。
尚、図2乃至図5における符号46は、開閉蓋44の閉塞姿勢で、株元側蓋部分と一体の株元側案内板44aの下面側を支持するように、後述する排ワラ結束装置5の結束フレーム50に取り付けられた株元側サポート部材である。
また、図2乃至図5における符号47は、開閉蓋44の閉塞姿勢で、穂先側蓋部分と一体の穂先側案内板44cの下面側を支持するように、後述する排ワラ結束装置5の結束フレーム50に取り付けられた穂先側サポート部材である。
【0036】
〔排ワラ結束装置〕
次に、排ワラ結束装置5について説明する。
図2乃至図6に示すように、排ワラ結束装置5は、前記排ワラ搬送装置3から供給される搬送排ワラAを集束空間S1へ掻き込むための掻き込みパッカー51と、前記排ワラ搬送装置3から集束空間S1に送り込まれる搬送排ワラAの株端に対向して摺接するように取付位置に固定された株端揃え板52と、前記集束空間S1に送り込まれた排ワラAが所定量に達したことを検出する感知ドア53と、その感知ドア53の作動に伴って集束空間S1に存在する排ワラAを結束するための紐6aを紐結節装置54に対して供給するニードル55(紐供給装置)と、供給された紐6aを結節する紐結節装置54とを備え、これらを結束フレーム50に取り付けてある。
【0037】
結束フレーム50は、図2乃至図6に示すように、断面角筒状の上フレーム50aと、断面角筒状の下フレーム50bと、それらの上フレーム50aと下フレーム50bとを走行機体の未刈側である左側方で連結する左縦フレーム50cと、前記上フレーム50aと下フレーム50bとを走行機体の既刈り側である右側方で連結する右縦フレーム50dとを備えて、走行機体の背面視における形状が矩形状であるように形成されている。
さらに、前記下フレーム50bに直交する水平方向で、前記右縦フレーム50dが存在する側の端部に、後述する結束伝動ケース20の下端側を下方から支える状態で連結するための下部後方フレーム50eが機体後方側へ向けて延出してある。この下部後方フレーム50eとは逆に機体前方側へ向けて前記右縦フレーム50dの中間部を膨出させるように湾曲形状に形成してある。
前記下部後方フレーム50eは、図4に示すように下向き開放の断面チャンネル状に形成してあり、その下部後方フレーム50eの下側には、図4,5に示すように、後端側を下部後方フレーム50eのチャンネル状断面の内側の横側面及び下向き面に溶接連結し、前端側を下フレーム5bの下側に溶接連結した側面視でU字状のパイプフレーム50gが設けてある。また、図2及び図4に示すように、前記下部後方フレーム50eの後端側の横側外面と、前記下フレーム50bの横側面とにわたって平面視L字状のパイプフレーム50hを溶接連結してある。
そして、図2乃至図4に示すように、前記L字状のパイプフレーム50hの前後方向での中間位置と、左縦フレーム50cの下部とにわたって、機体後方側からの背面視でU字状の金属製パイプからなる支え部材50fを溶接して連結してある。
【0038】
前記結束フレーム50のうち、左縦フレーム50cには、排ワラ結束装置5に駆動力を伝達する入力用スプロケット21aを軸端に備えた入力軸21の左側端部が支持されている。
この入力軸21の右側端部は、上端側が前記上フレーム50aに連結され、下端側が前記下フレーム50dに連結された結束伝動ケース20によって支持されており、入力軸21の前記入力用スプロケット21aが備えられた左側の端部とは反対側の端部には、伝動用のベベルギヤ21bが装備されている。
【0039】
前記結束伝動ケース20は、図4、図5、図7、及び図8に示すように、後述する縦伝動軸22を内装する縦ケース20Aと、後述するチェーン伝動機構27を内装する迂回駆動ケース20Bと、後述する下部伝動軸23やニードル駆動軸24、及びドア軸25を、集束空間S1の下側で支持する下部ケース20C、及び、前記集束空間S1の上側で紐結節装置54を駆動する紐結節部駆動軸26を支持する上部ケース20Dとで構成されている。
【0040】
前記結束伝動ケース20の縦ケース20A内には、前記入力軸21の右端部に備えられたベベルギヤ21bに噛合するベベルギヤ22aを上端側に備え、下端側には、後述する下部伝動軸23の右端部に備えられたベベルギヤ23aを噛合するベベルギヤ22bを備えた縦伝動軸22が内装されている。
【0041】
前記下部ケース20Cには、その下端部に前記縦伝動軸22の下端側のベベルギヤ22bと噛合するベベルギヤ23aを右端部に備えた下部伝動軸23が軸支されている。この下部伝動軸23の左側端部は前記下部ケース20Cから外部へ露出させてあり、その端部に設けたクランク軸部23bに、集束空間S1に対して下側から掻き込み作動する掻き込みパッカー51のうちの下部パッカー51Aが取り付けてある。したがって、入力軸21の回動にともなって前記縦伝動軸22を介して伝達される動力によって、下部伝動軸23が回転駆動され、その左側端部のクランク軸部23bの作動に伴って下部パッカー51Aが集束空間S1へ排ワラAを掻き込み作動するように構成されている。
【0042】
前記下部伝動軸23に伝達された駆動力は、次のようにして常時駆動系の動力と間欠駆動系の動力とに分岐して伝達される。
つまり、図7及び図8に示すように、前記下部伝動軸23の途中位置に設けた伝動ギヤ23cが、下部ケース20C内に配備されているニードル駆動軸24に相対回転自在に装着された伝動ギヤ24aに伝達され、このニードル駆動軸24の右端部に一体回転可能に装備させた第1スプロケット24bとの間に一回転クラッチ機構28を介装してある。
この一回転クラッチ機構28が入り切り作動することによって、前記下部伝動軸23の駆動力を、常時駆動系の第1伝動軸として用いられている前記下部駆動軸23に伝達する状態と、間欠駆動系の第2軸として用いられるニードル駆動軸24にも分岐して伝達する状態とに、動力伝達状態を切り換え自在に構成してある。
【0043】
上記の一回転クラッチ機構28は、図7で仮想線で示し、図8で位置を示しているが、集束空間S1内で排ワラAの集束圧が所定以上に高まると、その集束圧の上昇を感知する感知ドア53を備えたドア軸25が所定回転角度以上に回動し、これに伴ってクラッチ入り状態となり、ニードル駆動軸24を所定回転角度だけ回動駆動するように構成された周知の構造のものである。
そして、そのニードル駆動軸24の回動によって、周知の紐供給装置であるニードル55による紐供給作動が行われ、さらに、前記ニードル55の作動とともに、前記ニードル駆動軸24の軸端部の第1スプロケット24bからチェーン伝動機構27を介して紐結節部駆動軸26に間欠駆動力を伝え、この紐結節部駆動軸26を所定回転角度だけ回動させて、周知のビル、ホルダを備える紐結節装置54を作動させて紐結節作動が行われるように構成してある。
【0044】
前記集束空間S1の後端側で、集束空間S1内で排ワラAの集束圧の上昇を感知する感知ドア53は、図3及び図4に示すように、集束空間S1の下方側から集束空間S1の後部に突出して排ワラAの集束圧を感知する状態と、集束圧が所定圧以上に達すると後方下方側に回転して集束空間S1の下方側へ引退する状態とに姿勢を切り換えられるように構成してある。
この感知ドア53は、ニードル55による排ワラ結束位置に対して、排ワラAの稈身方向での株元側及び穂先側に振り分けて配備された左右一対の感知ドア53からなり、図7に示すようにドア軸25に一体回動自在に取り付けてある。この左右一対の感知ドア53のうち、穂先側に位置する感知ドア53は、株元側に位置する感知ドア53よりも排ワラAの集束方向で少し前方側に位置させて、排ワラAのボリュームが株元側に比べては少ない傾向を有した穂先側での感知ドア53の感度低下を改善するように構成してある。
【0045】
ニードル駆動軸24の前記第1スプロケット24bを設けた側とは反対側である左端部は下部ケース20Cの左側面から外部に露出されており、その左端部に設けたクランク軸部24cを介してニードル55に間欠駆動力が伝達されるように構成してある。
前記第1スプロケット24bから紐結節部駆動軸26に間欠駆動力を伝えるチェーン伝動機構27は、その第1スプロケット24bと中継軸29に備えた第1中継スプロケット29aとに掛張された第1伝動チェーン27Aと、前記中継軸29に備えた第2中継スプロケット29bと紐結節部駆動軸26の右軸端部に取り付けられた第2スプロケット26aとに掛張された第2伝動チェーン27Bとで構成され、図3乃至図5に示すように、前記結束伝動ケース20の屈曲した形状の迂回駆動ケース20Bに内装されている。
【0046】
前記入力軸21には、図4及び図8に示すように、その軸線方向での中間位置に、常時駆動系の動力を取り出すための出力部として、この入力軸21と一体回転する出力スプロケット21cを設けてある。
この出力スプロケット21cには、図4及び図8に示すように、出力チェーン21dを介して補助パッカーとしての上部パッカー51Bが連動連結されている。この上部パッカー51Bは、前記下部パッカー51Aよりも排ワラ搬送方向での上流側に作用領域を備えていて、排ワラ搬送装置3から供給される排ワラAを、排ワラ細断装置4の上方位置から集束空間S1側へ掻き込むように作用する。
【0047】
図2乃至図4に示すように、集束空間S1の株元側には株端揃え板52が設けられている。
この株端揃え板52は、排ワラAの稈身方向での株端側に相当する側の端部が、固定ブラケット56に固定され、他端側は自由端になっていて、適度な弾性を有した板バネ材で構成されている。
この株端揃え板52の下方側には、前記排ワラ結束装置5の前記下部伝動軸23が配設された側とは反対側で、排ワラ稈身方向で前記結束位置よりも株端側寄り位置における所要機器配設用の空きスペースS2が形成されている。
【0048】
この空きスペースS2には、下フレーム50bに支え部材50fを介して取り付けられた紐ケース6を配設してあり、この紐ケース6の上部に幅広の受け台57を紐ケース6に支持させて設けてある。
そして、前記固定ブラケット56は、前記受け台57に対して固定してあり、紐ケース6を前記支え部材50fから取り外すと、前記受け台57及び株端揃え板52も取り外すことができるように構成されている。
上記紐ケース6は、前記支え部材50fに下側を支持させて株端揃え板52の配設箇所の下側に配設することにより、ニードル55へ結束紐6aを案内する紐供給管61の入り口よりも、結束紐6aの取り出し位置60の高さを高くした状態に設けることができる。
【0049】
前記受け台57の上面は、図4に示すように、排ワラAの穂先側が存在する集束空間S1の穂先側相当部分の下面、つまり、前述した排ワラ細断装置4の開閉蓋44の穂先側案内板44cの上面が位置する高さに比べて、少し低く高さ設定してある。これは、排ワラAの株元側が穂先側に比べて嵩高いものであることと、株元側での排ワラAの摺接抵抗を少なくすることで、株端揃え板52に接当した排ワラAの稈身方向の動きをスムースに行わせるためである。
また、前記受け台57の上面は、図3に示すように、排ワラAの流れ方向での下流側が低くなるように、少し後下がりの傾斜面に形成してある。これは、排ワラAの集束空間S1側への移動を抵抗少なく行わせるためである。
【0050】
前記株端揃え板52は、排ワラAが接触していない自由状態で図2に実線で示すように、固定ブラケット56への固定位置から、遊端側が排ワラAの稈身方向で最も大きく離れて位置する状態から、株端揃え板52の背面側が固定ブラケット56に接当して前記遊端側が固定ブラケット56に最大限近接する位置にわたって弾性変形可能に構成してある。また、排ワラAの流れ方向での上流側よりも下流側で上下方向の寸法が大きくなるように、遊端側ほど上下幅の広い株端揃え板52に形成してある。
この株端揃え板52の固定ブラケット56への取り付け箇所近く位置で、上下方向寸法の小さい部分では、図9及び図10に示すように、株端揃え板52の弾性復元力を増強するように補助の板バネ58を設けてある。
【0051】
この株端揃え板52の固定ブラケット56に対する固定位置は、図2、図3、及び図9に示すように、排ワラ結束装置5の結束フレーム50が排ワラ細断装置4の背面に接当する位置よりも機体前方側へ寄り、排ワラ細断装置4の上方側に位置しているが、前記開閉蓋44の開放姿勢への姿勢変更時に開閉蓋44と接当しないように、上端側を開閉蓋44の開放姿勢への姿勢変更時の上限高さよりも高く位置させてある。
このように株端揃え板52の固定ブラケット56に対する固定位置を、排ワラ結束装置5の結束フレーム50が排ワラ細断装置4の背面に接当する位置よりも機体前方側へ寄せているのは、株端揃え板52が排ワラAと接当して排ワラ稈身方向で変位する範囲を、排ワラAの流れ方向でできるだけ上流側に寄せることにより、早い時期から株端揃えの機能が発揮されるようにするためである。
【0052】
前記入力軸21の左側端部には、その入力軸21に相対回転自在に装備させてある入力用スプロケット21aに対して係脱することにより、入力用スプロケット21aに伝達される外部から駆動力を入力軸21に対して断続操作可能な結束部クラッチ7が装備されている。この結束部クラッチ7を切り操作することで排ワラ結束装置5のすべての駆動を断つことができる。
【0053】
排ワラ結束装置5に対する伝動形態は、図8に示すように常時駆動系と間欠駆動系とに分岐して伝動される。図中の「常」は常時駆動系の動力が伝達される箇所であり、「間」は間欠駆動系の動力が伝達される箇所を示している。
【0054】
〔別実施形態〕
排ワラ結束装置5の株端揃え板52よりも下方側に設けられる空きスペースS2に配設される所要機器としては、実施形態で示したような紐ケース6に限らず、コンバインに備えていて便利に用いることのできるものであれば良く、例えば、工具や備品を収容する工具箱であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明のコンバインの排ワラ処理装置は、自脱型コンバインで、実施形態で示したように穀粒タンク13を備えて穀粒排出用オーガ16によって穀粒を取り出す構造のものに限らず、自脱型コンバインで穀粒貯留用ホッパー(図示せず)と袋詰め装置(図示せず)とを備えて、穀粒を袋詰めして取り出すようにした構造のものにも適用することができる。
【符号の説明】
【0056】
2 排ワラ処理装置
3 排ワラ搬送装置
4 排ワラ細断装置
5 排ワラ結束装置
6 紐ケース
6a 紐
20 結束伝動ケース
21 入力軸
21c 出力部(出力スプロケット)
23 下部伝動軸(第1伝動軸)
24 ニードル駆動軸(第2伝動軸)
26 紐結節部駆動軸
27 チェーン伝動機構
28 一回転クラッチ機構
50 結束フレーム
51 掻き込みパッカー
52 株端揃え板
53 感知ドア
54 紐結節装置
55 ニードル(紐供給装置)
56 固定ブラケット
57 受け台
A 排ワラ
S1 集束空間
S2 空きスペース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
横倒れ姿勢の排ワラを斜め横後方に搬送する排ワラ搬送装置を備え、この排ワラ搬送装置の搬送方向後方側に排ワラ結束装置を装備させてあるコンバインの排ワラ処理装置であって、
前記排ワラ結束装置は、前記排ワラ搬送装置から供給される搬送排ワラを集束空間へ掻き込む掻き込みパッカーと、前記排ワラ搬送装置から集束空間に送り込まれる搬送排ワラの株端に対向して摺接するように取付位置に固定された株端揃え板と、前記集束空間に送り込まれた排ワラが所定量に達したことを検出する感知ドアと、その感知ドアの作動に伴って集束空間に存在する排ワラ束を結束するための紐を紐結節装置に対して供給する紐供給装置と、供給された紐を結節する紐結節装置とを備え、
前記紐結節装置と紐供給装置とを、前記集束空間を挟んでその上下に振り分け配置して、排ワラ稈身方向での中間位置に設定された結束位置で排ワラを結束するように構成してあるとともに、この排ワラ結束装置の入力軸を、その排ワラ結束装置の上部における一端側から前記結束位置を越えて他端側にわたって架設し、
前記入力軸の下側で前記結束位置よりも前記一端側寄りの箇所に前記株端揃え板を配設し、前記結束位置よりも排ワラ結束装置の前記他端側寄りで、前記集束空間を挟んで前記入力軸と対向する下側位置に下部伝動軸を配設し、
前記入力軸に常時駆動系の動力を取り出す出力部を設けるとともに、前記下部伝動軸に伝達された入力軸からの駆動力を、常時駆動系の第1伝動軸と、一回転クラッチ機構を介して接続される間欠駆動系の第2伝動軸とに分岐伝動し、前記常時駆動系の第1伝動軸に連動させてパッカーを駆動し、前記間欠駆動系の第2伝動軸に連動させて紐供給装置及び紐結節装置を駆動するように構成し、
前記排ワラ結束装置の前記下部伝動軸が配設された側とは反対側には、前記株端揃え板よりも下方側で前記結束位置の前記他端側に所要機器配設用の空きスペースを形成してあることを特徴とするコンバインの排ワラ処理装置。
【請求項2】
下部伝動軸から分岐伝動される常時駆動系の第1伝動軸は、集束空間の下側に配設された下部伝動軸と一体に形成されていて、集束空間の下側に配設されたパッカーを駆動するように構成してあり、
前記下部伝動軸から一回転クラッチ機構を介して接続される間欠駆動系の第2伝動軸は、前記集束空間の下側に配設されたニードル駆動軸によって構成され、かつ、そのニードル駆動軸の結束位置から遠い側の端部に連動するチェーン伝動機構を介して前記集束空間の上側に配設された紐結節部駆動軸に動力を伝達するように構成されている請求項1記載のコンバインの排ワラ処理装置。
【請求項3】
所要機器配設用の空きスペースに結束用の紐を収容する紐ケースを設けてある請求項1又は2記載のコンバインの排ワラ処理装置。
【請求項4】
紐ケースの上面側に、株端揃え板で案内される排ワラの株元側を下方側で受け止め支持する受け台を設けてある請求項3記載のコンバインの排ワラ処理装置。
【請求項5】
株端揃え板の基端側を、紐ケースの上面側に設けられた受け台から立設した固定ブラケットに取り付けてある請求項4記載のコンバインの排ワラ処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−206022(P2011−206022A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−79634(P2010−79634)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】