コンバイン
【課題】前処理部に設けられる駆動スプロケットのキー交換を容易かつ迅速に行えるようにする。
【解決手段】前処理部2の伝動軸25に外嵌される駆動スプロケット24を、過負荷作用時に破断するキー23を介して伝動軸25に連結すると共に、該伝動軸25を伝動下流側に延長して他の駆動体にも動力を伝動し、さらに、伝動軸25の露出部分を、茎稈の巻付を防止する伝動軸カバー26で覆うコンバイン1において、駆動スプロケット24と隣接する伝動軸カバー26を複数の分割カバーで構成すると共に、駆動スプロケット24と隣接する分割カバーを、駆動スプロケット24と隣接する位置から退避可能な可動カバー26aとする。
【解決手段】前処理部2の伝動軸25に外嵌される駆動スプロケット24を、過負荷作用時に破断するキー23を介して伝動軸25に連結すると共に、該伝動軸25を伝動下流側に延長して他の駆動体にも動力を伝動し、さらに、伝動軸25の露出部分を、茎稈の巻付を防止する伝動軸カバー26で覆うコンバイン1において、駆動スプロケット24と隣接する伝動軸カバー26を複数の分割カバーで構成すると共に、駆動スプロケット24と隣接する分割カバーを、駆動スプロケット24と隣接する位置から退避可能な可動カバー26aとする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、茎稈の刈り取りや脱穀、脱穀した穀粒の選別などを行うコンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
茎稈の刈り取りや脱穀、脱穀した穀粒の選別などを行うコンバインが知られている(例えば、特許文献1参照)。通常、このようなコンバインの前処理部では、過負荷が作用する異常状態の発生を予め想定し、異常状態の発生による被害を最小限にとどめるためのフェイルセーフ構造が採用されている。例えば、過負荷が発生し易い株元搬送部では、株元搬送体を駆動させる駆動スプロケットと、この駆動スプロケットに動力を伝動する伝動軸との間に、過負荷作用時に破断するキーを介在させ、過負荷作用時に駆動スプロケットの回転駆動を停止させるようになっている。
【特許文献1】特開2007−35号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、過負荷でキーが破断した場合は、キーを交換しなければ刈り取り作業を再開できないため、キーの交換作業は、容易かつ迅速に行い得ることが望ましい。しかしながら、キーを介して駆動スプロケットが連結された伝動軸を、伝動下流側に延長して他の駆動体(例えば、穂先かき込み部)にも動力を伝動すると共に、伝動軸の露出部分を、茎稈の巻付を防止する伝動軸カバーで覆うようにしたものでは、駆動スプロケットのキー交換に際し、伝動軸カバーが邪魔になって駆動スプロケットを退避操作(スライド操作)できないため、他の駆動体や伝動軸カバーを順番に外す必要がある。そのため、キー交換の作業性に劣るだけでなく、キー交換作業に時間がかかり、刈り取り作業を速やかに再開できないという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、前処理部の伝動軸に外嵌される駆動スプロケットを、過負荷作用時に破断するキーを介して伝動軸に連結すると共に、該伝動軸を伝動下流側に延長して他の駆動体にも動力を伝動し、さらに、伝動軸の露出部分を、茎稈の巻付を防止する伝動軸カバーで覆うコンバインにおいて、前記駆動スプロケットと隣接する伝動軸カバーを複数の分割カバーで構成すると共に、駆動スプロケットと隣接する分割カバーを、駆動スプロケットと隣接する位置から退避可能な可動カバーとしたことを特徴とする。このようにすると、他の駆動体や伝動軸カバーを外すことなく、伝動軸カバーの可動カバー部分を退避操作するだけで、駆動スプロケットの隣接部に、駆動スプロケットの退避空間を確保し、キー交換を容易かつ迅速に行うことが可能になる。
また、前記駆動スプロケットは、茎稈の株元部を挟持搬送する株元搬送部の駆動スプロケットであることを特徴とする。このようにすると、過負荷が発生し易い株元搬送部のキー交換を容易にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
次に、本発明の実施形態について、図面に基づいて説明する。図1において、1はコンバインであって、該コンバイン1は、茎稈を刈り取る前処理部2と、刈り取った茎稈から穀粒を脱穀して選別する脱穀部3と、選別した穀粒を貯留する穀粒タンク4と、脱穀済みの排稈を後処理する後処理部5と、オペレータが乗り込む操作部6と、クローラ式の走行部7とを備えて構成されている。
【0006】
図2に示すように、前処理部2は、茎稈を分草するデバイダ8と、茎稈を引起す引起し装置9と、茎稈の株元を切断する刈刃10と、茎稈の株元側をかき込むスターホイール11及びかき込み搬送部12と、茎稈の穂先側をかき込む上穂先かき込み部13及び下穂先かき込み部14と、茎稈の株元を挟持搬送する株元搬送部15と、茎稈の穂先側を搬送する穂先搬送部16と、扱深さセンサ17による穂先検出に応じて扱深さ調節を行いながら、茎稈の株元を挟持搬送する扱深さ搬送部18とを備えて構成されている。
【0007】
図2及び図3に示すように、前処理部2には、縦伝動筒19、左横伝動筒20、右横伝動筒21、左伝動筒22などの伝動筒が設けられ、これらの伝動筒に内装される伝動軸(図示せず)やベベルギヤ(図示せず)を介して、前処理部2の各部に動力が伝動される。前処理部2では、過負荷が作用する異常状態の発生を予め想定し、異常状態の発生による被害を最小限にとどめるためのフェイルセーフ構造が採用されている。具体的には、伝動軸と駆動スプロケットの連結部、伝動軸とギヤの連結部、伝動軸同士の連結部などに、過負荷作用時に破断するキーを介在させている。
【0008】
過負荷でキーが破断した場合は、キーの交換作業が要求されるが、従来、キー23を介して駆動スプロケット24(例えば、株元搬送部15)が連結された伝動軸25を、伝動下流側に延長して他の駆動体(例えば、上穂先かき込み部13及び下穂先かき込み部14)にも動力を伝動すると共に、伝動軸25の露出部分を、茎稈の巻付を防止する伝動軸カバー26で覆うようにしたものでは、駆動スプロケット24のキー交換に際し、伝動軸カバー26が邪魔になって駆動スプロケット24を退避操作(スライド操作)できないため、他の駆動体や伝動軸カバー26を順番に外す必要があった。
【0009】
一方、本発明に係るコンバイン1では、前処理部2の伝動軸25に外嵌される駆動スプロケット24を、過負荷作用時に破断するキー23を介して伝動軸25に連結すると共に、該伝動軸25を伝動下流側に延長して他の駆動体にも動力を伝動し、さらに、伝動軸25の露出部分を、茎稈の巻付を防止する伝動軸カバー26で覆うにあたり、駆動スプロケット24と隣接する伝動軸カバー26を複数の分割カバーで構成すると共に、駆動スプロケット24と隣接する分割カバーを、駆動スプロケット24と隣接する位置から退避可能な可動カバー26aとしている。このようにすると、他の駆動体や伝動軸カバー26を外すことなく、伝動軸カバー26の可動カバー26a部分を退避操作するだけで、駆動スプロケット24の隣接部に、駆動スプロケット24の退避空間を確保し、キー交換を容易かつ迅速に行うことが可能になる。
【0010】
次に、本発明のキー交換構造を株元搬送部15の駆動スプロケット24に適用した場合の実施形態について、図3〜図5を参照して説明する。これらの図に示すように、株元搬送部15は、左右一対で構成されており、各株元搬送部15の駆動スプロケット24に動力を伝動する伝動軸25は、左伝動筒22に設けられる動力取出ケース27や、縦伝動筒19に設けられる動力取出ケース28から上方に突出している。そして、上方から伝動軸25にスライド状に外嵌された駆動スプロケット24は、キー23を介して伝動軸25と連結されると共に、その後に伝動軸25に装着されるCピン29で上方への移動が規制されるようになっている。
【0011】
伝動軸25の上端部は、継手30を介して延長軸31が接続されている。この延長軸31には、上穂先かき込み部13及び下穂先かき込み部14が連結されており、伝動軸25の動力が上穂先かき込み部13や下穂先かき込み部14にも伝動されるようになっている。
【0012】
伝動軸25及び延長軸31の露出部分、つまり、駆動スプロケット24の上端から下穂先かき込み部14の下端に至る範囲は、茎稈の巻付を防止する伝動軸カバー26で覆われている。ここで、本発明に係る伝動軸カバー26は、複数の分割カバーで構成されており、下穂先かき込み部14と隣接する上側の分割カバーは、下穂先かき込み部14側に固定された固定カバー26b(本実施形態では軸受ケース及び継手ケースに兼用)とする一方、駆動スプロケット24と隣接する下側の分割カバーは、駆動スプロケット24と隣接する位置から退避可能な可動カバー26aとしている。この可動カバー26aは、通常時、ボルト32を介して固定カバー26bに固定されているが、キー交換時には、ボルト32を外すことにより可動状態となり、駆動スプロケット24と隣接する位置から退避させることが可能になる。
【0013】
次に、キー交換手順について、図6〜図10を参照して説明する。まず、可動カバー26aを固定カバー26bに固定しているボルト32を外し(図6参照)、可動カバー26aを持ち上げる(図7参照)。可動カバー26aを持ち上げた状態でCピン29を外し(図8参照)、駆動スプロケット24を持ち上げる(図9参照)。これにより、破断したキー23が露出し、新しいキー23との交換が可能になる(図10参照)。そして、キー23を交換した後は、上記と逆の手順を実行し、通常時の状態に戻す(図5参照)。
【0014】
叙述の如く構成された本実施形態によれば、前処理部2の伝動軸25に外嵌される駆動スプロケット24を、過負荷作用時に破断するキー23を介して伝動軸25に連結すると共に、該伝動軸25を伝動下流側に延長して他の駆動体にも動力を伝動し、さらに、伝動軸25の露出部分を、茎稈の巻付を防止する伝動軸カバー26で覆うコンバイン1において、駆動スプロケット24と隣接する伝動軸カバー26を複数の分割カバーで構成すると共に、駆動スプロケット24と隣接する分割カバーを、駆動スプロケット24と隣接する位置から退避可能な可動カバー26aとしたので、他の駆動体や伝動軸カバー26を外すことなく、伝動軸カバー26の可動カバー26a部分を退避操作するだけで、駆動スプロケット24の隣接部に、駆動スプロケット24の退避空間を確保し、キー交換を容易かつ迅速に行うことが可能になる。
【0015】
また、本発明のキー交換構造が適用された本実施形態の駆動スプロケット24は、茎稈の株元部を挟持搬送する株元搬送部15の駆動スプロケット24であるため、過負荷が発生し易い株元搬送部15のキー交換を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】コンバインの全体構成を示す左側面図である。
【図2】前処理部の内部構成を示す左側面図である。
【図3】前処理部の要部斜視図である。
【図4】本発明のキー交換構造を示す要部断面図である。
【図5】本発明のキー交換構造を示す要部斜視図である。
【図6】キー交換手順1を示す要部斜視図である。
【図7】キー交換手順2を示す要部斜視図である。
【図8】キー交換手順3を示す要部斜視図である。
【図9】キー交換手順4を示す要部斜視図である。
【図10】キー交換手順5を示す要部斜視図である。
【符号の説明】
【0017】
1 コンバイン
2 前処理部
13 上穂先かき込み部
14 下穂先かき込み部
15 株元搬送部
23 キー
24 駆動スプロケット
25 伝動軸
26 伝動軸カバー
26a 可動カバー
26b 固定カバー
29 Cピン
30 継手
31 延長軸
32 ボルト
【技術分野】
【0001】
本発明は、茎稈の刈り取りや脱穀、脱穀した穀粒の選別などを行うコンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
茎稈の刈り取りや脱穀、脱穀した穀粒の選別などを行うコンバインが知られている(例えば、特許文献1参照)。通常、このようなコンバインの前処理部では、過負荷が作用する異常状態の発生を予め想定し、異常状態の発生による被害を最小限にとどめるためのフェイルセーフ構造が採用されている。例えば、過負荷が発生し易い株元搬送部では、株元搬送体を駆動させる駆動スプロケットと、この駆動スプロケットに動力を伝動する伝動軸との間に、過負荷作用時に破断するキーを介在させ、過負荷作用時に駆動スプロケットの回転駆動を停止させるようになっている。
【特許文献1】特開2007−35号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、過負荷でキーが破断した場合は、キーを交換しなければ刈り取り作業を再開できないため、キーの交換作業は、容易かつ迅速に行い得ることが望ましい。しかしながら、キーを介して駆動スプロケットが連結された伝動軸を、伝動下流側に延長して他の駆動体(例えば、穂先かき込み部)にも動力を伝動すると共に、伝動軸の露出部分を、茎稈の巻付を防止する伝動軸カバーで覆うようにしたものでは、駆動スプロケットのキー交換に際し、伝動軸カバーが邪魔になって駆動スプロケットを退避操作(スライド操作)できないため、他の駆動体や伝動軸カバーを順番に外す必要がある。そのため、キー交換の作業性に劣るだけでなく、キー交換作業に時間がかかり、刈り取り作業を速やかに再開できないという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、前処理部の伝動軸に外嵌される駆動スプロケットを、過負荷作用時に破断するキーを介して伝動軸に連結すると共に、該伝動軸を伝動下流側に延長して他の駆動体にも動力を伝動し、さらに、伝動軸の露出部分を、茎稈の巻付を防止する伝動軸カバーで覆うコンバインにおいて、前記駆動スプロケットと隣接する伝動軸カバーを複数の分割カバーで構成すると共に、駆動スプロケットと隣接する分割カバーを、駆動スプロケットと隣接する位置から退避可能な可動カバーとしたことを特徴とする。このようにすると、他の駆動体や伝動軸カバーを外すことなく、伝動軸カバーの可動カバー部分を退避操作するだけで、駆動スプロケットの隣接部に、駆動スプロケットの退避空間を確保し、キー交換を容易かつ迅速に行うことが可能になる。
また、前記駆動スプロケットは、茎稈の株元部を挟持搬送する株元搬送部の駆動スプロケットであることを特徴とする。このようにすると、過負荷が発生し易い株元搬送部のキー交換を容易にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
次に、本発明の実施形態について、図面に基づいて説明する。図1において、1はコンバインであって、該コンバイン1は、茎稈を刈り取る前処理部2と、刈り取った茎稈から穀粒を脱穀して選別する脱穀部3と、選別した穀粒を貯留する穀粒タンク4と、脱穀済みの排稈を後処理する後処理部5と、オペレータが乗り込む操作部6と、クローラ式の走行部7とを備えて構成されている。
【0006】
図2に示すように、前処理部2は、茎稈を分草するデバイダ8と、茎稈を引起す引起し装置9と、茎稈の株元を切断する刈刃10と、茎稈の株元側をかき込むスターホイール11及びかき込み搬送部12と、茎稈の穂先側をかき込む上穂先かき込み部13及び下穂先かき込み部14と、茎稈の株元を挟持搬送する株元搬送部15と、茎稈の穂先側を搬送する穂先搬送部16と、扱深さセンサ17による穂先検出に応じて扱深さ調節を行いながら、茎稈の株元を挟持搬送する扱深さ搬送部18とを備えて構成されている。
【0007】
図2及び図3に示すように、前処理部2には、縦伝動筒19、左横伝動筒20、右横伝動筒21、左伝動筒22などの伝動筒が設けられ、これらの伝動筒に内装される伝動軸(図示せず)やベベルギヤ(図示せず)を介して、前処理部2の各部に動力が伝動される。前処理部2では、過負荷が作用する異常状態の発生を予め想定し、異常状態の発生による被害を最小限にとどめるためのフェイルセーフ構造が採用されている。具体的には、伝動軸と駆動スプロケットの連結部、伝動軸とギヤの連結部、伝動軸同士の連結部などに、過負荷作用時に破断するキーを介在させている。
【0008】
過負荷でキーが破断した場合は、キーの交換作業が要求されるが、従来、キー23を介して駆動スプロケット24(例えば、株元搬送部15)が連結された伝動軸25を、伝動下流側に延長して他の駆動体(例えば、上穂先かき込み部13及び下穂先かき込み部14)にも動力を伝動すると共に、伝動軸25の露出部分を、茎稈の巻付を防止する伝動軸カバー26で覆うようにしたものでは、駆動スプロケット24のキー交換に際し、伝動軸カバー26が邪魔になって駆動スプロケット24を退避操作(スライド操作)できないため、他の駆動体や伝動軸カバー26を順番に外す必要があった。
【0009】
一方、本発明に係るコンバイン1では、前処理部2の伝動軸25に外嵌される駆動スプロケット24を、過負荷作用時に破断するキー23を介して伝動軸25に連結すると共に、該伝動軸25を伝動下流側に延長して他の駆動体にも動力を伝動し、さらに、伝動軸25の露出部分を、茎稈の巻付を防止する伝動軸カバー26で覆うにあたり、駆動スプロケット24と隣接する伝動軸カバー26を複数の分割カバーで構成すると共に、駆動スプロケット24と隣接する分割カバーを、駆動スプロケット24と隣接する位置から退避可能な可動カバー26aとしている。このようにすると、他の駆動体や伝動軸カバー26を外すことなく、伝動軸カバー26の可動カバー26a部分を退避操作するだけで、駆動スプロケット24の隣接部に、駆動スプロケット24の退避空間を確保し、キー交換を容易かつ迅速に行うことが可能になる。
【0010】
次に、本発明のキー交換構造を株元搬送部15の駆動スプロケット24に適用した場合の実施形態について、図3〜図5を参照して説明する。これらの図に示すように、株元搬送部15は、左右一対で構成されており、各株元搬送部15の駆動スプロケット24に動力を伝動する伝動軸25は、左伝動筒22に設けられる動力取出ケース27や、縦伝動筒19に設けられる動力取出ケース28から上方に突出している。そして、上方から伝動軸25にスライド状に外嵌された駆動スプロケット24は、キー23を介して伝動軸25と連結されると共に、その後に伝動軸25に装着されるCピン29で上方への移動が規制されるようになっている。
【0011】
伝動軸25の上端部は、継手30を介して延長軸31が接続されている。この延長軸31には、上穂先かき込み部13及び下穂先かき込み部14が連結されており、伝動軸25の動力が上穂先かき込み部13や下穂先かき込み部14にも伝動されるようになっている。
【0012】
伝動軸25及び延長軸31の露出部分、つまり、駆動スプロケット24の上端から下穂先かき込み部14の下端に至る範囲は、茎稈の巻付を防止する伝動軸カバー26で覆われている。ここで、本発明に係る伝動軸カバー26は、複数の分割カバーで構成されており、下穂先かき込み部14と隣接する上側の分割カバーは、下穂先かき込み部14側に固定された固定カバー26b(本実施形態では軸受ケース及び継手ケースに兼用)とする一方、駆動スプロケット24と隣接する下側の分割カバーは、駆動スプロケット24と隣接する位置から退避可能な可動カバー26aとしている。この可動カバー26aは、通常時、ボルト32を介して固定カバー26bに固定されているが、キー交換時には、ボルト32を外すことにより可動状態となり、駆動スプロケット24と隣接する位置から退避させることが可能になる。
【0013】
次に、キー交換手順について、図6〜図10を参照して説明する。まず、可動カバー26aを固定カバー26bに固定しているボルト32を外し(図6参照)、可動カバー26aを持ち上げる(図7参照)。可動カバー26aを持ち上げた状態でCピン29を外し(図8参照)、駆動スプロケット24を持ち上げる(図9参照)。これにより、破断したキー23が露出し、新しいキー23との交換が可能になる(図10参照)。そして、キー23を交換した後は、上記と逆の手順を実行し、通常時の状態に戻す(図5参照)。
【0014】
叙述の如く構成された本実施形態によれば、前処理部2の伝動軸25に外嵌される駆動スプロケット24を、過負荷作用時に破断するキー23を介して伝動軸25に連結すると共に、該伝動軸25を伝動下流側に延長して他の駆動体にも動力を伝動し、さらに、伝動軸25の露出部分を、茎稈の巻付を防止する伝動軸カバー26で覆うコンバイン1において、駆動スプロケット24と隣接する伝動軸カバー26を複数の分割カバーで構成すると共に、駆動スプロケット24と隣接する分割カバーを、駆動スプロケット24と隣接する位置から退避可能な可動カバー26aとしたので、他の駆動体や伝動軸カバー26を外すことなく、伝動軸カバー26の可動カバー26a部分を退避操作するだけで、駆動スプロケット24の隣接部に、駆動スプロケット24の退避空間を確保し、キー交換を容易かつ迅速に行うことが可能になる。
【0015】
また、本発明のキー交換構造が適用された本実施形態の駆動スプロケット24は、茎稈の株元部を挟持搬送する株元搬送部15の駆動スプロケット24であるため、過負荷が発生し易い株元搬送部15のキー交換を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】コンバインの全体構成を示す左側面図である。
【図2】前処理部の内部構成を示す左側面図である。
【図3】前処理部の要部斜視図である。
【図4】本発明のキー交換構造を示す要部断面図である。
【図5】本発明のキー交換構造を示す要部斜視図である。
【図6】キー交換手順1を示す要部斜視図である。
【図7】キー交換手順2を示す要部斜視図である。
【図8】キー交換手順3を示す要部斜視図である。
【図9】キー交換手順4を示す要部斜視図である。
【図10】キー交換手順5を示す要部斜視図である。
【符号の説明】
【0017】
1 コンバイン
2 前処理部
13 上穂先かき込み部
14 下穂先かき込み部
15 株元搬送部
23 キー
24 駆動スプロケット
25 伝動軸
26 伝動軸カバー
26a 可動カバー
26b 固定カバー
29 Cピン
30 継手
31 延長軸
32 ボルト
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前処理部の伝動軸に外嵌される駆動スプロケットを、過負荷作用時に破断するキーを介して伝動軸に連結すると共に、該伝動軸を伝動下流側に延長して他の駆動体にも動力を伝動し、さらに、伝動軸の露出部分を、茎稈の巻付を防止する伝動軸カバーで覆うコンバインにおいて、
前記駆動スプロケットと隣接する伝動軸カバーを複数の分割カバーで構成すると共に、駆動スプロケットと隣接する分割カバーを、駆動スプロケットと隣接する位置から退避可能な可動カバーとしたことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
前記駆動スプロケットは、茎稈の株元部を挟持搬送する株元搬送部の駆動スプロケットであることを特徴とする請求項1記載のコンバイン。
【請求項1】
前処理部の伝動軸に外嵌される駆動スプロケットを、過負荷作用時に破断するキーを介して伝動軸に連結すると共に、該伝動軸を伝動下流側に延長して他の駆動体にも動力を伝動し、さらに、伝動軸の露出部分を、茎稈の巻付を防止する伝動軸カバーで覆うコンバインにおいて、
前記駆動スプロケットと隣接する伝動軸カバーを複数の分割カバーで構成すると共に、駆動スプロケットと隣接する分割カバーを、駆動スプロケットと隣接する位置から退避可能な可動カバーとしたことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
前記駆動スプロケットは、茎稈の株元部を挟持搬送する株元搬送部の駆動スプロケットであることを特徴とする請求項1記載のコンバイン。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2008−228672(P2008−228672A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−73935(P2007−73935)
【出願日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【出願人】(000001878)三菱農機株式会社 (1,502)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【出願人】(000001878)三菱農機株式会社 (1,502)
【Fターム(参考)】
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