説明

コンバイン

【課題】機体フレームに溶接される取付部材の数を削減する。
【解決手段】機体フレーム7に各種の部品を組付けて構成されるコンバイン1において、機体フレーム7は、パイプ材を溶接して組まれたパイプフレーム13と、プレート材を絞り加工して成形されたプレートフレーム14とを組み合せて構成される。また、プレートフレーム14は、機体フレーム7の前側に配置するものとし、プレート材の絞り加工で成形されたエンジン取付部13dなどの取付部を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、茎稈の刈り取り、穀粒の脱穀及び選別などを行うコンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
茎稈の刈り取り、穀粒の脱穀及び選別などを行うコンバインが広く普及している。この種のコンバインは、機体フレームに各種の部品(アッセンブリやユニットを含む)を組付けて構成されており、機体フレームには、各種の部品を組付けるための取付部が形成されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
例えば、図8に示すように、従来の機体フレーム100は、パイプ材を溶接して組まれたパイプフレーム101からなり、該パイプフレーム101に、取付部材102〜109を溶接して各種部品の取付部を構成している。具体的には、操縦部取付部材102、穀粒タンク取付部材103、脱穀部取付部材104、リフトフレーム取付部材105、リフトシリンダ取付部材106、エンジン取付部材107、オイルタンク取付部材108、搬送系変速ケース取付部材109などがパイプフレーム101に溶接されている。
【特許文献1】特開2006−94724号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の機体フレームは、取付部材の数が多いため、形状が複雑なだけでなく、溶接箇所が多くコストアップを招くという問題がある。特に、機体フレームの前側は、リフトフレーム、リフトシリンダ、エンジン、オイルタンク、搬送系変速ケースなどの多くの部品が組み付けられるため、取付部材の数が多くなっており、形状が複雑であった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、機体フレームに各種の部品を組付けて構成されるコンバインにおいて、前記機体フレームは、パイプ材を溶接して組まれたパイプフレームと、プレート材を絞り加工して成形されたプレートフレームとを組み合せて構成されることを特徴とする。
このようにすると、プレートフレームに絞り加工で複数の部品取付部を形成することができるので、機体フレームに溶接される取付部材の数を削減することができる。その結果、機体フレームの形状を簡略化できるだけでなく、溶接箇所を減らして機体フレームのコストダウンが図れる。
また、前記プレートフレームは、機体フレームの前側に配置するものとし、少なくとも、プレート材の絞り加工で成形されたエンジン取付部を有することを特徴とする。
このようにすると、多くの部品(エンジンを含む)が取付けられる機体フレームの前側がプレートフレームで構成されるので、機体フレームに溶接される取付部材の数を効率的に削減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
次に、本発明の実施形態について、図面に基づいて説明する。図1において、1はコンバインであって、該コンバイン1は、茎稈を刈り取る前処理部2と、刈り取った茎稈から穀粒を脱穀して選別する脱穀部3と、選別した穀粒を貯留する穀粒タンク4と、オペレータが乗車する操縦部5と、クローラ式の走行部6とを備えて構成されている。
【0007】
図2〜図7は、コンバイン1の機体フレーム7を示している。図2に示すように、機体フレーム7には、前述した脱穀部3、穀粒タンク4、操縦部5及び走行部6に加えて、リフトフレーム8、リフトシリンダ9、エンジン10、オイルタンク11、搬送系変速ケース12などの多くの部品が組み付けられる。
【0008】
本発明の機体フレーム7は、パイプ材を溶接して組まれたパイプフレーム13と、プレート材を絞り加工して成形されたプレートフレーム14とを組み合せて構成されている。図3に示すように、パイプフレーム13は、メインフレーム部13aとトラックフレーム部13bを一体的に備えており、メインフレーム部13aには、脱穀部3、穀粒タンク4、操縦部5などが搭載され、トラックフレーム部13bには、走行部6が組付けられるようになっている。
【0009】
図3〜図5に示すように、プレートフレーム14は、機体フレーム7の前側に配置されている。プレートフレーム14には、プレート材の絞り加工で成形された複数の部品取付部が形成されており、これらの部品取付部に各種の部品が組付けられるようになっている。
【0010】
プレートフレーム14は、パイプフレーム13の前側に上方から重合され、溶接などの固定手段を用いてパイプフレーム13と一体化されている。本実施形態のプレートフレーム14には、パイプフレーム13の前側に上方から重合した際、パイプフレーム13のパイプ材に前後方向から当接して、プレートフレーム14の前後位置を決める前後位置決め部14aと、パイプフレーム13のパイプ材に左右方向から当接して、プレートフレーム14の左右位置を決める左右位置決め部14bとが形成されており、パイプフレーム13に対するプレートフレーム14の位置決めが容易となっている。
【0011】
次に、機体フレーム7に形成される各種部品の取付部について順次説明する。
【0012】
脱穀部取付部材16及び穀粒タンク取付部17は、パイプフレーム13に溶接されており、これらの取付部材16、17に脱穀部3及び穀粒タンク4が組付けられる。
【0013】
操縦部取付フレーム18、リフトシリンダ取付部材19及びオイルタンク取付部材20は、プレートフレーム14に溶接されており、これらの取付部材18〜20に操縦部5、リフトシリンダ9及びオイルタンク11が組付けられる。尚、プレートフレーム14に対する取付部材18〜20の溶接は、プレートフレーム14をパイプフレーム13に固定する以前、以降のいずれであっても良い。
【0014】
リフトフレーム取付部14c、エンジン取付部14d及び搬送系変速ケース取付部14eは、プレートフレーム14に絞り加工で成形されており、これらの取付部14c〜14eにリフトフレーム8(前処理部連結フレーム)、エンジン10及び搬送系変速ケース12が組付けられる。なお、本実施形態のコンバイン1は、左右一対のリフトフレーム8L、8Rを備えると共に、右側のリフトフレーム8Rを搬送系変速ケース12の支持部材に兼用しているので、右側のリフトフレーム取付部14cは、搬送系変速ケース取付部14eとしても機能することになる。
【0015】
さらに、本実施形態のプレートフレーム14には、リフトフレーム8L、8Rに作用する後方への荷重に対抗し、リフトフレーム8L、8R及びプレートフレーム14の後方への倒れを防ぐ補強部14fが一体成形されている。具体的には、プレートフレーム14におけるリフトフレーム取付部14cの形成領域から後方に向けて補強部14fを延長状に形成し、該補強部14fをパイプフレーム13に上方から重合(嵌合)させることにより、リフトフレーム8L、8Rに作用する後方への荷重に対抗する。このようにすると、前処理部2が土中などに突っ込み、リフトフレーム8L、8Rに後方向きの大きな荷重が作用したとしても、この荷重を補強部14fで受止めることにより、リフトフレーム8L、8R及びプレートフレーム14の後方への倒れを防ぐことができる。
【0016】
なお、本実施形態のプレートフレーム14には、各種の部品を組付けるための取付部14c〜14eが一体成形されているが、部品の一部をプレートフレーム14に一体成形するようにしても良い。例えば、脱穀部3の枠部や穀粒タンク4の下部をプレート材の絞り加工で成形し、プレートフレーム14と一体化することができる。このようにすると、部品点数や組立工数を削減してコストダウンが図れるだけでなく、立体的な構造部の付加によりプレートフレーム14の強度も向上させることができる。
【0017】
また、パイプフレーム13においても必要に応じて補強を行うことができる。例えば、パイプフレーム13(パイプ材)の端部を塞ぎ、パイプ材の中空部に発泡ウレタンを注入する。このようにすると、パイプフレーム13の重量増加を抑えつつ、パイプフレーム13の強度アップが図れる。
【0018】
叙述の如く構成された本実施形態によれば、機体フレーム7に各種の部品を組付けて構成されるコンバイン1において、機体フレーム7は、パイプ材を溶接して組まれたパイプフレーム13と、プレート材を絞り加工して成形されたプレートフレーム14とを組み合せて構成されるので、プレートフレーム14に絞り加工で複数の部品取付部を形成することにより、機体フレーム7に溶接される取付部材の数を削減することができる。その結果、機体フレーム7の形状を簡略化できるだけでなく、溶接箇所を減らして機体フレーム7のコストダウンが図れる。
【0019】
また、プレートフレーム14は、機体フレーム7の前側に配置するものとし、少なくとも、プレート材の絞り加工で成形されたエンジン取付部13dを有するので、多くの部品(エンジン10を含む)が取付けられる機体フレーム7の前側をプレートフレーム14で構成し、機体フレーム7に溶接される取付部材の数を効率的に削減することができる。
【0020】
また、プレートフレーム14は、パイプフレーム13の前側に上方から重合され、溶接などでパイプフレーム13と一体化されるのであり、本実施形態のプレートフレーム14には、パイプフレーム13の前側に上方から重合した際、パイプフレーム13のパイプ材に前後方向から当接して、プレートフレーム14の前後位置を決める前後位置決め部14aと、パイプフレーム13のパイプ材に左右方向から当接して、プレートフレーム14の左右位置を決める左右位置決め部14bとが形成されているので、パイプフレーム13に対するプレートフレーム14の位置決めが容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】コンバインの側面図である。
【図2】各種の部品が搭載された機体フレームを斜め上方から見た斜視図である。
【図3】機体フレームを斜め上方から見た分解斜視図である。
【図4】トラックフレームを除く機体フレームを斜め下方から見た斜視図である。
【図5】機体フレームを斜め上方から見た斜視図である。
【図6】機体フレームのA−A断面図である。
【図7】リフトフレームが取付けられたプレートフレームを後方から見た斜視図である。
【図8】従来例に係る機体フレームを斜め上方から見た斜視図である。
【符号の説明】
【0022】
1 コンバイン
2 前処理部
3 脱穀部
4 穀粒タンク
5 操縦部
6 走行部
7 機体フレーム
8 リフトフレーム
9 リフトシリンダ
10 エンジン
11 オイルタンク
12 搬送系変速ケース
13 パイプフレーム
14 プレートフレーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体フレームに各種の部品を組付けて構成されるコンバインにおいて、
前記機体フレームは、パイプ材を溶接して組まれたパイプフレームと、プレート材を絞り加工して成形されたプレートフレームとを組み合せて構成されることを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
前記プレートフレームは、機体フレームの前側に配置するものとし、少なくとも、プレート材の絞り加工で成形されたエンジン取付部を有することを特徴とする請求項1記載のコンバイン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−125061(P2009−125061A)
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−307078(P2007−307078)
【出願日】平成19年11月28日(2007.11.28)
【出願人】(000001878)三菱農機株式会社 (1,502)
【Fターム(参考)】