説明

コンバイン

【課題】外側方へ刈取部を回動させて機体の前方を開放可能としたコンバインを提供すること。
【解決手段】機体フレームの前部に昇降シリンダ74を介して刈取部3を昇降自在に取り付けると共に、同刈取部3は外側部を上下方向の軸線廻りに回動自在に枢支して、同刈取部3を外側方へ回動させることで機体フレームの前方を開放可能としたコンバインにおいて、シリンダ支持体81の一側部は刈取部3の外側部と同軸的に上下方向の軸線廻りに回動自在に枢支すると共に、同シリンダ支持体81の他側部は機体フレームに固定・解除自在として、同シリンダ支持体81と刈取部3との間に昇降シリンダ74を介設している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外側方へ刈取部を回動させて機体の前方を開放可能としたコンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンバインの一形態として、機体の前部に昇降シリンダを介して刈取部を昇降自在に取り付けると共に、同刈取部は外側部である左側部を上下方向の軸線廻りに回動自在に枢支して、同刈取部を外側方へ回動させることで機体の前方を開放可能として、刈取部のメンテナンス作業が容易に行えるようにしたものがある。そして、昇降シリンダは機体と刈取部との間に着脱自在に介設している。また、内側部である右側部に動力取込用の入力プーリを取り付け、同入力プーリとエンジンの出力軸に取り付けた出力プーリとの間に伝動ベルトを巻回して、エンジンからの動力を刈取部の駆動部に伝達するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3540893号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記したコンバインの場合、刈取部を外側方へ回動させる際には、機体と刈取部との間に介設した昇降シリンダを逐一取り外さなければならないという煩雑さがある。また、入力プーリから伝動ベルトを取り外さなければならないという煩雑さもある。特に、入力プーリは刈取部の内側部である右側部に設けているために、かかる入力プーリから伝動ベルトを取り外す作業は非常に手間を要する煩雑な作業である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで、請求項1に記載の発明は、機体の前部に昇降シリンダを介して刈取部を昇降自在に取り付けると共に、同刈取部は外側部を上下方向の軸線廻りに回動自在に枢支して、同刈取部を外側方へ回動させることで機体の前方を開放可能としたコンバインにおいて、前記昇降シリンダは刈取部とシリンダ支持体との間に介設すると共に、同シリンダ支持体は刈取部の外側部と同軸的に上下方向の軸線廻りに回動自在に枢支したことを特徴とするコンバインを提供せんとするものである。
【0006】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、機体に刈取部の外側部として支持体を立設すると共に、同支持体は上下方向の軸線廻りに回動自在とし、同支持体の下部には機体に搭載したエンジから動力を取り込む動力取込部を設けて、同動力取込部から刈取部の駆動部へ動力を伝達するようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
(1)請求項1記載の本発明では、機体の前部に昇降シリンダを介して刈取部を昇降自在に取り付けると共に、同刈取部は外側部を上下方向の軸線廻りに回動自在に枢支して、同刈取部を外側方へ回動させることで機体の前方を開放可能としたコンバインにおいて、前記昇降シリンダは刈取部とシリンダ支持体との間に介設すると共に、同シリンダ支持体は刈取部の外側部と同軸的に上下方向の軸線廻りに回動自在に枢支している。
【0008】
このように、昇降シリンダは刈取部とシリンダ支持体との間に介設すると共に、同シリンダ支持体は刈取部の外側部と同軸的に上下方向の軸線廻りに回動自在に枢支しているため、昇降シリンダを取り外すことなく刈取部を外側方へ回動させることができる。従って、昇降シリンダを逐一取り外す手間や再度取り付ける手間、さらには、取り付ける際の位置合わせ等の煩雑さを解消することができる。その結果、刈取部を外側方へ回動させてメンテナンス作業を行う際の作業性を向上させることができる。
【0009】
(2)請求項2記載の本発明では、機体に刈取部の外側部として支持体を立設すると共に、同支持体は上下方向の軸線廻りに回動自在とし、同支持体の下部には機体に搭載したエンジンから動力を取り込む動力取込部を設けて、同動力取込部から刈取部の駆動部へ動力を伝達するようにしている。
【0010】
このように、刈取部の外側部としての支持体の下部に動力取込部を設けているため、刈取部を外側方へ回動させる際に逐一伝動ベルトを取り外すという従来のような煩雑な手間を必要としない。従って、この点からも刈取部を外側方へ回動させてメンテナンス作業を行う作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】この発明の実施形態におけるコンバインの全体構成を示した側面図である。
【図2】この発明の実施形態におけるコンバインの刈取部の構成を示した正面図である。
【図3】この発明の実施形態におけるコンバインの刈取部の構成を示した側面図である。
【図4】この発明の実施形態におけるコンバインの刈取部の回動後の構成を示した斜視図である。
【図5】この発明の実施形態におけるコンバインの刈取部の回動後の構成を示した平面図である。
【図6】この発明の実施形態におけるコンバインの刈取部の回動前の構成を示した斜視図である。
【図7】この発明の実施形態におけるコンバインの刈取1軸ケースに左側方に設けた連結解除片のロック機構の構成を示した平面図である。
【図8】この発明の実施形態におけるコンバインの刈取1軸ケースに左側方に設けた連結解除片のロック機構の構成を示した正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本実施形態におけるコンバインは、基本的構造として、機体の前部に昇降シリンダを介して刈取部を昇降自在に取り付けると共に、同刈取部は外側部を上下方向の軸線廻りに回動自在に枢支して、同刈取部を外側方へ回動させることで機体の前方を開放可能としている。
【0013】
そして、シリンダ支持体の一側部は刈取部の外側部と同軸的に上下方向の軸線廻りに回動自在に枢支すると共に、同シリンダ支持体の他側部は機体に固定・解除自在として、同シリンダ支持体と刈取部との間に昇降シリンダを介設している。
【0014】
さらに、機体に刈取部の外側部として筒状の支柱を立設すると共に、同支柱は上下方向の軸線廻りに回動自在とし、同支柱の下部には機体に搭載したエンジンから動力を取り込む動力取込部を設けて、同動力取込部から刈取部の駆動部へ動力を伝達するようにしている。
【0015】
以下に、本実施形態におけるコンバインについて図面を参照しながら説明する。図1は、本発明に係るコンバインAを示しており、同コンバインAは、機体フレーム1の下部に左右一対のクローラ式の走行部2,2を配設し、機体フレーム1の前端に刈取部3を昇降自在に取付けるとともに、同刈取部3の直後方位置である機体フレーム1の左側前部に脱穀部4を設け、同脱穀部4の下方位置に選別部5を設け、上記脱穀部4の直後方位置に排藁処理部(図示せず)を設ける一方、機体フレーム1の右側前部に運転部7を設け、同運転部7の直後方位置に穀粒貯溜タンク8を設けている。また、穀粒貯溜タンク8の上方に搬出オーガ9を設けている。
【0016】
さらに、コンバインAは、図1に示すように、脱穀部4に設けた扱胴10の左側方位置にフィードチェン11を配設し、同フィードチェン11の上方位置に挟扼杆12を対向させて配置して、同挟扼杆12とフィードチェン11とが協働して穀稈の株元部を狭持すると共に、同穀稈の穂先部を扱胴10の下側周面に沿わせて前方から後方へ向けて搬送するようにしている。
【0017】
刈取部3は、図1に示すように、機体フレーム1の前部に設けた刈取部支持台51上に左右一対の柱状の支持体41,42を立設して、両支持体41,42間に刈取伝動ケース兼支持フレーム40を架設すると共に昇降自在に取り付けている。そして、刈取伝動ケース兼支持フレーム40に駆動部としての刈刃装置18や搬送機構28を設けている。17は刈取支持フレーム、19は分草体支持体、20は分草体である。
【0018】
搬送機構28は、刈刃装置18の前方上部に穀稈引起し装置21を配設し、刈刃装置18の上方に株元搬送装置22と穂先搬送装置23とを上下に配設し、これらの株元搬送装置22及び穂先搬送装置23の後方に縦搬送装置24と上部搬送装置25と補助搬送装置26を配設して構成している。
【0019】
ここで、穀稈引起し装置21は、穀稈を引起しながら刈刃装置18に向けて搬送するものである。株元搬送装置22は、穀稈の株元を挾扼しながら刈刃装置18から後方に向けて搬送するものである。穂先搬送装置23は、穀稈の穂先を挾扼しながら刈刃装置18から後方に向けて搬送するものである。縦搬送装置24は、穀稈の株元を挾扼しながら脱穀部4に向けて搬送するものである。上部搬送装置25は、穀稈の穂先を脱穀部4に向けて搬送するものである。補助搬送装置26は、穀稈を脱穀部4に向けて搬送するものである。
【0020】
このようにして、刈取部3に設けた刈刃装置18により圃場に植生している穀稈を刈り取り、この刈り取った穀稈を刈取部3に設けた搬送機構28により後上方へ搬送してフィードチェン11に受け渡し、同フィードチェン11と挟扼杆12とにより穀稈の株元部を狭持すると共に、穀稈の穂先部を扱胴10の下側周面に沿わせて前方から後方へ向けて搬送して、同扱胴10により脱穀し、この脱穀した穀粒を選別部5により選別して、選別した清粒を穀粒貯溜タンク8に搬送して貯留する一方、排藁を排藁処理部6において排藁処理するようにしている。
【0021】
また、刈取部3の刈取伝動ケース兼支持フレーム40は、前記刈取部支持台51上に立設した左右一対の支持体41,42間に昇降自在に取り付けると共に、昇降シリンダ74を介して昇降可能としている。そして、左側の支持体41は上下方向の軸線廻りに回動自在となして、左側の支持体41の上端部に刈取伝動ケース兼支持フレーム40の外側部である左側部を取り付けて、左側の支持体41を中心に刈取伝動ケース兼支持フレーム40を外側方である左側方へ回動させることで機体の前方を開放(オープン)可能としている。
【0022】
刈取伝動ケース兼支持フレーム40は、図2〜図6に示すように、左右一対の支持体41,42間に左右幅方向に伸延させて形成した刈取1軸ケース65を横架し、同刈取1軸ケース65の中途部に前後方向に伸延させて形成した刈取2軸ケース69の基端部を連通連設し、同刈取2軸ケース69の先端部に左右方向に伸延させて形成した刈取3軸ケース80(図1参照)の中途部を連通連設している。
【0023】
図2に示すように、刈取1軸ケース65は、左右方向に伸延する円筒形状に形成して、同刈取1軸ケース65内に左右方向に伸延する刈取1軸64を軸架している。刈取2軸ケース69は、前後方向に伸延する円筒形状に形成して、刈取1軸ケース65の中途部に基端部を連通連結し、同刈取2軸ケース69内に前後方向に伸延する刈取2軸68を軸架している。
【0024】
そして、刈取1軸64の中途部に設けた第3出力ベベルギヤ66と、刈取2軸68の基端部に設けた第3入力ベベルギヤ67とを噛合させて、両軸66,68を連動連結している。刈取3軸ケース80は、左右方向に伸延する円筒形状に形成して、同刈取3軸ケース80内に左右方向に伸延する刈取3軸76を軸架している。そして、刈取3軸76の中途部は刈取2軸68の先端部に連動連結し、同刈取3軸76の先端部には刈刃装置18及び穀稈引起し装置21等を連動連結している。
【0025】
左側の支持体41は、図2〜図6に示すように、刈取部支持台51上の左側部に上下方向に伸延する中空四角形箱型の下部支持片52を立設し、同下部支持片52の上端部に上下方向に伸延する円筒状の上部支持片55の下端部を上下方向の軸線廻りに同軸的に回動自在に取り付けている。そして、上部支持片55の上端には直交状態に横方向へ軸線を向けた円筒状の上端支持片59を一体的に連通連設している。53は上部支持片55の中途部を回動自在に支持する中途支持片である。56は中途支持片53の上端部と係合する膨出状の係合部である。57は下部支持片52の左側壁中途部に中途支持片53を貫通させて突設した円筒状の入力片であり、同入力片57は左右方向に軸線を向けている。
【0026】
入力片57内には左右方向に伸延する横軸58を軸架している。横軸58の内側端には第1出力ベベルギヤ60を下部支持片52内に位置させて取り付けている。横軸の外側端には動力取込部としての入力プーリ54を左側外方に位置させて取り付けている。そして、入力プーリ54には、エンジンEからの動力を、カウンターケース90左側部に配設された伝動プーリ91に巻回された伝動ベルト92を介して伝達するようにしている。上部支持片55の上端部と下部支持片52の上端部との間には上下方向に伸延する縦軸45を軸架している。縦軸45の下端部には第1入力ベベルギヤ61を下部支持片52内に位置させて取り付けて、同第1入力ベベルギヤ61と上記第1出力ベベルギヤ60とを噛合させて連動連結している。縦軸45の上端部には第2出力ベベルギヤ62を上端支持片59内に位置させて取り付けている。上端支持片59内には前記刈取1軸64の左側端部を軸架している。刈取1軸64の左側部には第2入力ベベルギヤ63を上端支持片59内に位置させて取り付けて、同第2入力ベベルギヤ63と上記第2出力ベベルギヤ62とを噛合させて連動連結している。ここで、上端支持片59の右側端部は前記刈取1軸ケース65の左側端部に嵌合させて同軸的に連通連結し、上端支持片59内と刈取1軸ケース65内にわたって刈取1軸64を軸架している。しかも、刈取1軸ケース65の左側端部は上端支持片59の右側端部に同一軸線廻りに回動自在に嵌合支持させている。
【0027】
右側の支持体42は、図2〜図6に示すように、刈取部支持台51上の右側部に上下方向に伸延する四角形柱状の支持本片75を立設し、同支持本片75の上端部に連結解除片70を設けている。連結解除片70は固定側連結片77と可動側連結片78と両連結片77,78を着脱自在に連結する連結ピン88とから形成している。固定側連結片77は上端面に固定側半円弧凹状部89を形成し、同半円弧凹状部85の前端部に半円弧状に形成して内側周面に固定側半円弧凹状部89を形成した可動側連結片78の基端部を左右方向に軸線を向けた枢支ピン86を介して枢支している。そして、固定側半円弧凹状部89の後端部に左右方向に開口するピン挿通孔87を形成する一方、可動側連結片78の先端部に左右方向に開口するピン孔84を形成して、同ピン孔84をピン挿通孔87に符合させて前記連結ピン88を左右方向から抜き差し自在に挿通して連結可能としている。
【0028】
ここで、固定側連結片77の固定側半円弧凹状部89は前上方へ向けて開口させる一方、同固定側半円弧凹状部89に刈取1軸ケース65の右側端部に段付き小径状の連結端部83を形成している。そして、刈取伝動ケース兼支持フレーム40を左側の支持体41を中心に前方から後方へ水平に回動移動させることで、刈取1軸ケース65の連結端部83が固定側半円弧凹状部89に係合し、可動側連結片78の先端部を固定側半円弧凹状部89の後端部に連結ピン88を介して連結することで、刈取1軸ケース65の連結端部83を囲繞状態に連結・固定することができる。
【0029】
この際、刈取1軸ケース65は上端支持片59の右側端部と連結解除片70とに左右方向に伸延する軸線廻りに回動自在に支持される。また、反対の操作をたどって連結を解除し、さらに、刈取伝動ケース兼支持フレーム40を上下方向に軸線を向けた左側の支持体41を中心に係合状態から前方へ水平に回動移動させることで、固定側半円弧凹状部89から刈取1軸ケース65の連結端部83を離脱させることができて、刈取伝動ケース兼支持フレーム40を機体の左側外方へスムーズに回動させることができる。
【0030】
このようにして、図2に示すように、エンジンEの動力が以下のようにして刈取部3の各伝動機構に伝達される。すなわち、エンジンEからの動力は、エンジンE→カウンターケース90→入力プーリ54→横軸58→第1出力ベベルギヤ60→第1入力ベベルギヤ→縦軸45→第2出力ベベルギヤ62→第2入力ベベルギヤ63→刈取1軸64→第3出力ベベルギヤ→第3入力ベベルギヤ→刈取2軸68→刈取3軸76→上記刈刃装置18及び穀稈引起し装置21等に動力を伝達するようにしている。
【0031】
ここで、従来のコンバインは、例えば上記特許文献1に記載のように、刈取1軸64の右側部に入力プーリ54を設け、その入力プーリ54に伝動ベルトを介して、エンジンEからの動力が伝達される構成を有するものであるため、刈取部3をオープンさせるには入力プーリ54から逐一伝動ベルトを取り外さなければならないという煩雑さがあった。
【0032】
これに対して、本実施形態におけるコンバインAは、刈取部3の各伝動機構にエンジンEの動力を伝達する入力プーリ54を、支柱とする上部支持片55側に配設している。この上部支持片55は刈取部3を回動する枢支軸となるが、入力プーリ54は、その上部支持片55の下部であって、縦軸45周りの刈取部支持台51に固定された中途支持片53に配設しているので、刈取部3を外側方へ回動させる際にも固定した位置に配設される。
【0033】
このように、入力プーリ54が固定された位置に位置するので、刈取部3を外側方へ回動させる際にも、従来のような入力プーリ54から逐一伝動ベルトを取り外す必要性がない。従って、この点からも刈取部3を外側方へ回動させてメンテナンス作業を行う作業性を向上させることができる。
【0034】
上記のような構成において、本発明の要旨は、前記昇降シリンダ74は刈取部3とシリンダ支持体81との間で前後方向に伸縮自在に介設すると共に、同シリンダ支持体81は刈取部3の外側部である左側の支持体41と同軸的に上下方向の軸線廻りに回動自在に枢支したことにある。
【0035】
すなわち、シリンダ支持体81は、上部支持片55の中途部と刈取1軸ケース65の右側部との間に介設して、刈取伝動ケース兼支持フレーム40と一体的に回動自在となしている。そして、シリンダ支持体81の中途部には刈取部支持台51の上面に沿って水平に伸延する水平伸延部71を形成している。水平伸延部71の右側部には基端側枢支片73を介して昇降シリンダ74の基端部を左右方向に軸線を向けた枢支ピン82により枢支している。
【0036】
また、刈取2軸ケース69の中途部には先端側枢支片79を介して昇降シリンダ74の先端部を左右方向に軸線を向けた枢支ピン86により枢支している。このようにして、昇降シリンダ74を前後方向に伸縮させることにより、上記刈取1軸ケース65を回動支軸として刈取伝動ケース兼支持フレーム40を上下方向に昇降させることができる。
【0037】
また、刈取部支持台51上にはシリンダ支持体81の後方への回動を規制する規制片72を突設している。ここで、規制片72の前面には水平伸延部71の右側部の後面が、刈取1軸ケース65を左右側の支持体41,42間に架設した状態で前方から当接するようにしている。そして、規制片72が昇降シリンダ74の基端部を支持している水平伸延部71の右側部を背後から補強支持している。従って、昇降シリンダ74による刈取部3の昇降動作を良好に確保することができる。
【0038】
また、刈取部3を左側外方に回動させる際には、昇降シリンダ74の基端部を堅実に支持するシリンダ支持体81の水平伸延部71は、刈取部支持台51上を左側外方へ摺動させながら規制片72からスムーズに離隔させることができる。この際、シリンダ支持体81から昇降シリンダ74を取り外することなく、刈取部3の刈取伝動ケース兼支持フレーム40を回動させることができる。すなわち、昇降シリンダ74をシリンダ支持体81に取り付けた状態で、シリンダ支持体81の左側端部を連設している上部支持片55を回動支軸として、刈取伝動ケース兼支持フレーム40を左側外方に回動させることができる。
【0039】
このようにして、昇降シリンダ74をシリンダ支持体81から取り外すことなく刈取部3を左側外方に回動させることができるので、昇降シリンダ74を逐一取り外す手間や再度取り付ける手間、さらには、取り付ける際の位置合わせ等の煩雑さを解消することができる。その結果、刈取部3を外側方へ回動させてメンテナンス作業を行う際の作業性を向上させることができる。
【0040】
また、機体側からエンジンEの動力が入力される入力プーリ54は、回動支軸となる下部支持片52に連動連結しているため、刈取部3を左外側方へ回動させる際に、入力プーリ54から逐一伝動ベルトを取り外す作業が不要となる。その結果、この点からも刈取部3を外側方へ回動させてメンテナンス作業を行う際の作業性を向上させることができる。
【0041】
さらに、上記実施形態では、連結解除片70は、連結ピン88の着脱により固定側連結片77と可動側連結片78とを固定・解除していたが、その連結ピン88の代わりに、刈取1軸ケース65の左側方にロック機構100を設けて固定・解除することもできる。すなわち、図7及び図8に示すように、刈取1軸ケース65の左側に配設した上端支持片59の上部に、連結解除片70の固定側連結片77と可動側連結片78との連結をロックするロック機構100を設けている。
【0042】
ロック機構100は、上端支持片59の上部に配設したレバー支持体101と、同レバー支持体101に並設させたピン基端側支持体102と、刈取1軸ケースの上部に配設したピン先端側支持体103と、ロックピン104とで構成される。レバー支持体101には、左側に解除用溝105が、右側に固定用溝106が刻設されている。ロックピン104は棒状のピン本体部107とレバー部108とで構成され、レバー部108はピン本体部107の基端側をL字状に折曲して構成している。109はレバー部の把持部である。ロックピン104は、レバー支持体101上部の解除用溝105または固定用溝106に係合されている。また、ロックピン104のピン本体部107は、ピン基端側支持体102及びピン先端側支持体103の挿通孔110に摺動自在に配設されている。
【0043】
そして、レバー支持体101の解除用溝105に係合していたレバー部108を時計回りに回動することで解除用溝105から離脱させ、把持部109を上方に向けた状態でピン本体部107の先端側を右方向に移動させて、その後、レバー部108を反時計回りに回動させてレバー支持体101の固定用溝106に係合させる。これにより、連結解除片70の固定側連結片77と可動側連結片78とが連結した状態で、ピン本体部107の先端部を固定側連結片77と可動側連結片78とのピン挿通孔87に挿通させることにより、連結解除片70の固定側連結片77と可動側連結片78との固定が可能となる。
【0044】
このように、刈取部3の回動を固定・解除するロック機構100を左側方に設けているので、手が届きやすい左側方から連結解除片70の解除・固定を容易に操作することが可能である。
【符号の説明】
【0045】
A コンバイン
3 刈取部
51 刈取部支持台
55 縦支柱
54 入力プーリ(動力取込部)
71 シリンダ支持体
74 昇降シリンダ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体の前部に昇降シリンダを介して刈取部を昇降自在に取り付けると共に、同刈取部は外側部を上下方向の軸線廻りに回動自在に枢支して、同刈取部を外側方へ回動させることで機体の前方を開放可能としたコンバインにおいて、
前記昇降シリンダは刈取部とシリンダ支持体との間に介設すると共に、同シリンダ支持体は刈取部の外側部と同軸的に上下方向の軸線廻りに回動自在に枢支したことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
機体に刈取部の外側部を支持する支持体を立設すると共に、同支持体は上下方向の軸線廻りに回動自在とし、同支持体の下部には機体に搭載したエンジンから動力を取り込む動力取込部を設けて、同動力取込部から刈取部の駆動部へ動力を伝達するようにしたことを特徴とする請求項1記載のコンバイン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−41497(P2011−41497A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−191033(P2009−191033)
【出願日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】