コンバイン
【課題】冷却用ファンを回転させるベルトの摩耗、冷却用ファンの回転速度の変速ができず、冷却用ファンによる冷却効率が悪化する。
【解決手段】走行装置2と刈取装置4とグレンタンク5とキャビン12を設ける。キャビン12は、機体フレーム1よりもはみ出た開放位置にオープンする。エンジン11の冷却用の冷却用ファン28を駆動するファン用無段変速装置33を、正回転駆動する冷却状態と逆回転駆動する除塵状態とに切替自在に構成する。ファン用無段変速装置33は、前記冷却用ファン28の軸心方向視で冷却用ファン28の回転軌跡外であって前記リンク機構15のオープンアーム16と前記エンジン11の上部との間に配置したことを特徴とするコンバイン。
【解決手段】走行装置2と刈取装置4とグレンタンク5とキャビン12を設ける。キャビン12は、機体フレーム1よりもはみ出た開放位置にオープンする。エンジン11の冷却用の冷却用ファン28を駆動するファン用無段変速装置33を、正回転駆動する冷却状態と逆回転駆動する除塵状態とに切替自在に構成する。ファン用無段変速装置33は、前記冷却用ファン28の軸心方向視で冷却用ファン28の回転軌跡外であって前記リンク機構15のオープンアーム16と前記エンジン11の上部との間に配置したことを特徴とするコンバイン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバインに係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来、エンジンの外側にエンジンの冷却用のファンと防塵ネットを有するラジエーターカバーを設け、この冷却用ファンの回転を、二個のテンションプーリとファンベルトとの当接位置を変更することにより正回転と逆回転とに切り替える構成は、公知である(特許文献1)。
また、従来、エンジン冷却用のファンをファン用無段変速装置の出力軸に設け、ファン用無段変速装置により正回転と逆回転とに切り替える構成は、公知である(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−36762号公報
【特許文献2】特開2008−87723号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記公知例のうち前者の構成では、冷却用ファンの回転を、二個のテンションプーリとファンベルトとの当接位置を変更することにより正回転と逆回転とに切り替える構成のため、ベルトの摩耗等の課題がある。
また、エンジンの出力回転速度に対する冷却用ファンの回転速度を変更することができず、エンジンに負荷が掛かり、エンジンの主力回転が低下した場合、冷却用ファンの回転速度もこれに伴って低下し、冷却用ファンによる冷却効率が悪化する問題がある。
前記公知例のうち後者の構成では、冷却用ファンをファン用無段変速装置の出力軸に設け、ファン用無段変速装置により正回転と逆回転とに切り替えるので、前記課題は解決しているが、冷却用ファンとエンジンの間の冷却用ファンの送風範囲内にファン用無段変速装置が設けられることになり、ファン用無段変速装置が冷却用ファンの送風の抵抗となって、冷却効率が低いという課題がある。
本願は、冷却用ファンの回転機構を工夫し、簡単にラジエーターカバーの防塵ネットの付着物を除去すると共に、冷却効率を向上するようにしたものであり、さらに、ファン用無段変速装置33の取付位置を工夫し、キャビンを容易にオープンできるようにしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明は、走行装置2の前方に刈取装置4を設け、走行装置2の上方一側に脱穀装置を設け、走行装置2の上方他側には操縦部6およびグレンタンク5を設け、前記操縦部6は、機体フレーム1上に設けたエンジン11の一部または全部を包囲するエンジンカバー9と一体のキャビン12内に設け、該キャビン12は、グレンタンク5の前側に位置する閉鎖位置と平面視でキャビン12の一部または全部が機体フレーム1よりも側方にはみ出た開放位置とにわたってリンク機構15により移動自在に支持し、該エンジン11の外側にはラジエーター29を設け、該ラジエーター29と前記エンジン11との間に冷却用ファン28を設け、前記ラジエーター29の外側に防塵ネット61を有するラジエーターカバー15を設け、前記エンジン11の駆動力により前記冷却用ファン28を駆動するファン用無段変速装置33は、該冷却用ファン28を機体外部から機体内部方向へ送風するべく正回転駆動する冷却状態と、前記冷却用ファン28を機体内部から機体外部方向へ送風するべく逆回転駆動する除塵状態とに切替自在な構成とし、前記ファン用無段変速装置33は、前記冷却用ファン28の軸心方向視で冷却用ファン28の回転軌跡外であって前記リンク機構15のオープンアーム16と前記エンジン11の上部との間に配置したことを特徴とするコンバインとしたものであり、通常ではエンジン11の駆動回転をファン用無段変速装置33によって変速して冷却用ファン28を正回転駆動して機体外部から機体内部方向へ送風させて、エンジン11およびラジエーター29を冷却する。一方、ファン用無段変速装置33を逆回転出力させて冷却用ファン28を逆回転させると、機体内部から機体外部方向へ送風し、ラジエーターカバー9の防塵ネット31の付着物を除去する。
そして、刈取作業を終了すると、リンク機構15によりキャビン12をオープンさせてメンテナンスを行う。
請求項2の発明は、前記ファン用無段変速装置33は、操縦部6とエンジン11との間に設けた正面視門型の操作フレーム40の左フレーム部41と右フレーム部42と上フレーム部43の夫々の内側に配置したことを特徴とするコンバインとしたものであり、操作フレーム40の左フレーム部41および上フレーム部43がグレンタンク5の前側に位置する閉鎖位置のキャビン12を支持し、操作フレーム40の左フレーム部41と上フレーム部43の内側に配置したファン用無段変速装置33と左フレーム部41および上フレーム部43とを機体側に残してキャビン12をオープンさせる。
請求項3の発明は、前記ラジエーター29の外側にはインタークーラー54を設け、該インタークーラー54と前記エンジン11とを接続するインタークーラーホース55は、インタークーラー54からラジエーター29の前方を迂回させて前記ファン用無段変速装置33の下方を配索したことを特徴とするコンバインとしたものであり、エンジン11に供給される空気はインタークーラー54で冷却され、インタークーラー54からラジエーター29を迂回して配索されたインタークーラーホース55を通ってエンジン11に供給される。
請求項4の発明は、前記ファン用無段変速装置33を変速させる制御モータ39は、前記操縦部6の作業者が立つステップ7の下方空間内に設けたことを特徴とするコンバインとしたものであり、ファン用無段変速装置33の油圧ポンプ34のトラニオン軸60を制御モータ39が回転させて、このファン用無段変速装置33の変速作動を制御する。
請求項5の発明は、前記ファン用無段変速装置33の冷却用ファン28へ出力する出力ギヤケース46にはファン用無段変速装置33へオイルを補充する補充用の配管のポート部47を設け、該ポート部47には該ポート部47と前記ファン用無段変速装置33を接続する補助給油管48と刈取装置4を駆動する専用の無段変速装置への補助給油管49とバルブユニットからの給油管51を接続したことを特徴とするコンバインとしたものであり、ファン用無段変速装置33にてオイルが不足すると、バルブユニットから給油管51を通ってポート部47に至り、ポート部47でファン用無段変速装置33と刈取用専用無段変速装置49とに分岐させて補給する。
請求項6の発明は、前記ファン用無段変速装置33の上部に該ファン用無段変速装置33への補給用のオイルタンク58を設けたことを特徴とするコンバインとしたものであり、ファン用無段変速装置33にてオイルが不足すると、オイルタンク58からファン用無段変速装置33にオイルが補給される。
【発明の効果】
【0006】
請求項1記載の発明では、ファン用無段変速装置33により冷却用ファン28の正回転駆動状態と逆回転駆動状態とに切替え、ラジエーターカバー9の防塵ネット31の付着物を除去することができるものでありながら、ファン用無段変速装置33を冷却用ファン28の送風範囲外に設けているので、冷却風の抵抗となりにくく、冷却効率を低下させず、また、ファン用無段変速装置33を、キャビン12のリンク機構15のオープンアーム16とエンジン11の上部との間に配置しているので、キャビン12のオープンさせる開き量を大きくでき、また、エンジン11やエンジン11周辺に設けたファン用無段変速装置33のメンテナンスを容易に行うことができる。
請求項2記載の発明では、上記請求項1記載の発明の効果に加え、エンジン11にファン用無段変速装置33を取付けた状態で、キャビン12を操作フレーム40に支持して組み立てることができ、組立作業の能率を向上させることができる。
請求項3記載の発明では、上記請求項1または請求項2記載の発明の効果に加え、ラジエーター29の前側を迂回してインタークーラーホース55を配置しているので、インタークーラーホース55のメンテナンスを容易にできる。
請求項4記載の発明では、上記請求項1または請求項2または請求項3記載の発明の効果に加え、ファン用無段変速装置33の制御モータ39を操縦部6の作業者が立つステップ7の下方空間内に設けているので、制御モータ39をエンジンルームの外側に配置でき、エンジン11からの熱気の影響を抑制でき、メンテナンスを容易にできる。また、ファン用無段変速装置33の近傍に制御モータ39を配置できるので、制御モータ39とファン用無段変速装置33とを接続する作動機構を簡素に構成でき、組立およびメンテナンスを容易にする。
請求項5記載の発明では、上記請求項1または請求項2または請求項3または請求項4記載の発明の効果に加え、ファン用無段変速装置33および刈取装置4を駆動する専用の無段変速装置へのオイルの補給が確実に行われ、ファン用無段変速装置33の作動の確実性を向上させることができ、また、このポート部47はファン用無段変速装置33の出力ギヤケース46に設けているので、各部品を集約して設けることができ、部品点数を削減し、組立性を向上させることができ、また、ポート部47からファン用無段変速装置33への補助給油管48の長さを短くでき、コンパクトに収めることができる。
請求項6記載の発明では、上記請求項1または請求項2または請求項3または請求項4記載の発明の効果に加え、ファン用無段変速装置33へのオイルの補給を確実にでき、ファン用無段変速装置33へのオイル補給構成を簡素にできる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】コンバインの側面図。
【図2】キャビンの外側移動機構の平面図。
【図3】冷却用ファンの回転伝動機構の概略模式図。
【図4】エンジン周辺の一部省略正面図。
【図5】同側面図。
【図6】エンジン周辺の一部省略正面図。
【図7】エンジン周辺の一部省略正面図。
【図8】エンジン周辺の一部省略側面図。
【図9】同正面図。
【図10】エンジン周辺の一部省略側面図。
【図11】同正面図。
【図12】エンジン周辺の一部省略側面図。
【図13】同正面図。
【図14】エンジン周辺の一部省略側面図。
【図15】同正面図。
【図16】ラジエーターとインタークーラーの平面図。
【図17】同側面図。
【図18】ラジエーターとインタークーラーの他の実施例の側面図。
【図19】ラジエーターとインタークーラーの他の実施例の側面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の実施例を図面により説明すると、1はコンバインの機体フレーム、2は走行装置、3は走行装置2の上方の一側に設けた脱穀装置、4は刈取装置、5は脱穀装置4の側方に設けたグレンタンク、6は操縦部である。
操縦部6には作業者の立つステップ7および作業者の着座する運転座席8および運転座席8の前側に設けたスイッチやレバー類を有する操作ボックス8A等により構成する。
前記操縦部6は機体フレーム1の上方に設けたエンジン11の一部または全部を包囲するエンジンカバー(ラジエターカバー)9と一体の任意形状のキャビン12内に設ける。
キャビン12は、グレンタンク5の前側に位置する閉鎖位置と平面視キャビン12の一部または全部が機体フレーム1の側部よりも側方にはみ出た開放位置との間、リンク機構15により移動自在に構成する(図2)。
【0009】
前記リンク機構15の一例を示すと、内側オープンアーム16と外側オープンアーム17の二本のアームにより構成し、内側オープンアーム16および外側オープンアーム17の基部は前記エンジン11よりも後方の機体フレーム1の任意の固定部に内側基部取付軸18と外側基部取付軸19で回動自在に取付ける。
内側オープンアーム16と外側オープンアーム17の先端は、それぞれ運転座席8よりも前方に位置させ、キャビン12の所定部分に内側先端取付軸21と外側先端取付軸22により回動自在に取付ける。
そのため、内側基部取付軸18および外側基部取付軸19と内側先端取付軸21および外側先端取付軸22の四点を回動中心とするリンク機構15によりキャビン12が移動するように構成されることになり、エンジン11の後側まで略開放できて、メンテナンス作業が容易になる。
【0010】
前記内側オープンアーム16は後述の操作フレーム40の上フレーム部43に支持されて移動する。前記外側オープンアーム17は、前記機体フレーム1に出入り自在に設けた支持アーム25により支持するように構成する。
支持アーム25は、前記機体フレーム1の左右方向の横枠26内に左右方向に摺動自在に内蔵し、キャビン12が閉鎖位置のときは横枠26内に収納し、キャビン12を開放位置に外側回動させるとき、横枠26から支持アーム25を手作業により引き出して外側オープンアーム17を支持する。
そのため、外側オープンアーム17を下方から支持アーム25が支持するので、外側オープンアーム17の変形を防止でき、キャビン12の外側オープン時の支持強度を向上させる。
【0011】
しかして、操縦部6の運転座席8の下方(後側)付近には周囲を包囲されたエンジンルーム27を形成し、エンジンルーム27内にエンジン11を設ける。エンジン11の外側(右側)にはエンジン冷却用ファン28を設ける(図2)。冷却用ファン28の外側にラジエーター29を設け、ラジエーター29の外側にはラジエーターカバー9を設ける。ラジエーターカバー9に設けた開口部30には防塵ネット31を設ける(図1)。
前記冷却用ファン28はエンジン11の駆動回転を無段階に変速するファン用無段変速装置(H.S.T)33により正逆駆動回転させる。ファン用無段変速装置33は、油圧ポンプ34と油圧モータ35を有して構成する。
【0012】
前記ファン用無段変速装置33は、前記冷却用ファン28の送風範囲外に設けると共に、該ファン用無段変速装置33は、前記冷却用ファン33を機体外部から機体内部方向へ送風するべく正回転駆動する冷却状態と、前記冷却用ファン33を機体内部から機体外部方向へ送風するべく逆回転駆動する除塵状態とに切替自在に構成する。
即ち、ファン用無段変速装置33は、通常作業時で冷却用ファン28を、機体外部から機体内部方向へ送風する正回転させ、所定の場合に、ファン用無段変速装置33から逆回転を出力して冷却用ファン28を機体内部から機体外部方向へ送風する逆回転させ、ラジエーターカバー9の防塵ネット31の表側に付着している藁屑や塵埃等の付着物を吹散させて除去する。
ファン用無段変速装置33は、冷却用ファン28の送風範囲外に設けているので、ファン用無段変速装置33の存在が冷却用ファン28の送風の抵抗とならず、冷却効率を低下させない。
【0013】
前記ファン用無段変速装置33は、リンク機構15のオープンアーム(内側オープンアーム)16とエンジン11との間に配置する。
そのため、オープンアーム16の移動路からファン用無段変速装置33が外れるため、ファン用無段変速装置33の存在がキャビン12を機体フレーム1の側部よりも側方にはみ出た開放位置にオープンさせる際に邪魔にならず、キャビン12をオープンさせる開き量を大きくできる。
その結果、本来のキャビン12をオープンさせる目的であるエンジン11やエンジン11周辺に設けたファン用無段変速装置33のメンテナンスを容易に行うことができる。
この場合、前記キャビン12を回動させてオープン状態にさせたときには、前記ファン用無段変速装置33は冷却用ファン28への回転出力を停止させる。
【0014】
そのため、キャビン12をオープン状態にしてメンテナンス作業のときには、冷却用ファン28を回転停止させ、安全性を確保する。
キャビン12のオープン状態の冷却用ファン28を停止させる構成は任意であるが、例えば、キャビン12のオープン状態を検出する任意の検出装置と後述するファン用無段変速装置33の作動を制御する制御モータ39とを接続すればよい。
また、前記ファン用無段変速装置33は、操縦部6の門型の操作フレーム40の左フレーム部41と右フレーム部42と上フレーム部43の夫々の内側に配置する(図5,図6)。
そのため、エンジン11を搭載して操作フレーム40を組み付け、キャビン12を支持する操作フレーム40を含めて操縦部6の組立作業全般に対して、ファン用無段変速装置33の存在が邪魔にならず、作業性を向上させられる。
なお、理解を容易にするため、図5において、操作フレーム40に斜線を付しているが、これによって構成は限定されない。
【0015】
前記ファン用無段変速装置33には、冷却用ファン28へ出力する出力ギヤケース46を取付け、出力ギヤケース46にはファン用無段変速装置33へオイルを補充する補充用の配管のポート部47を設ける(図7)。ポート部47にはポート部47とファン用無段変速装置33を接続する補助給油管48と刈取装置4の専用の無段変速装置(図示省略)への刈取用補助給油管50とバルブユニット(図示省略)からの給油管51を接続している。
そのため、出力ギヤケース46にポート部47を設けているので、各部品を集約して設けることができ、部品点数を削減し、組立性を向上させられる。
また、ポート部47からファン用無段変速装置33への補助給油管48の長さを短くでき、コンパクトに収められる。
なお、図示は省略するが、所定位置に設けた油圧ポンプから前記バルブユニットに送油され、バルブユニットから各部に送油する構成とし、バルブユニットは操縦部6の作業者が立つステップ7の下方空間に設けている。
【0016】
しかして、前記冷却用ファン28の外側には、インタークーラー54や油圧機器を冷却するオイルクラー(図示省略)を設ける(図8、図9)。インタークーラー54とエンジン11とはインタークーラーホース55により接続する。
インタークーラーホース55は、インタークーラー54からラジエーター29の前方を迂回させて前記ファン用無段変速装置33の下方を配索して、エンジン11の上面部の所定部分に接続する。
そのため、インタークーラー54とインタークーラーホース55とが重ならず、インタークーラーホース55のメンテナンスを容易にする。
また、インタークーラーホース55やオイルクーラーに接続したオイルホースをラジエーター29の前方に集中させて設けられ、組立を容易にし、メンテナンスを容易にする。
また、図10、11はファン用無段変速装置33の他の実施例を示し、前記ファン用無段変速装置33の上部に補給用のオイルタンク58を設ける。
【0017】
そのため、ファン用無段変速装置33のオイルが不足すると、オイルタンク58からファン用無段変速装置33へオイルが補給される。
したがって、他の油圧ポンプ等からのファン用無段変速装置33への補給用の油圧配管を不要にし、コンパクトにする。また、組立およびメンテナンスを容易にする。
前記ファン用無段変速装置33の制御モータ39は、操縦部6の作業者が立つステップ7の下方空間内に設ける(図12)。
そのため、制御モータ39はエンジンルームの外側に配置でき、エンジン11からの熱気の影響を抑制する。
ファン用無段変速装置33の近傍に制御モータ39を配置でき、制御モータ39とファン用無段変速装置33とを接続する作動機構を簡素に構成でき、組立およびメンテナンスを容易にする。
また、ステップ7の下方に制御モータ39を設けているので、制御モータ39のメンテナンスを容易にする。
また、制御モータ39は、ステップ7の下方空間の開口部59から手の届く位置に設けると、一層、メンテナンスを容易にする。
【0018】
60はファン用無段変速装置33のトラニオン軸60、61はトラニオンアーム61、62はロッド62、63はロッド62の他端を取付けるアーム63である。アーム63は図示省略を省略するが、分割して形成した一方アーム部と他方アーム部との基部を重ねて軸により回動自在に取付け、一方アーム部と他方アーム部との間に一体回動させる付勢バネを設け、付勢バネは、制御モータ制御モータ39からの作動をファン用無段変速装置33の油圧ポンプ34のトラニオン軸60に伝達させるが、所定以上の負荷が掛かると、アーム63の他方アーム部と一方アーム部40とを軸の部分で折れ曲げさせて、負荷を吸収する。
64Aは制御モータ制御モータ39の出力軸、64Bはアーム、64Cはピンである。
【0019】
しかして、前記冷却用ファン28のファン回転軸65は、前記エンジン11の所定位置に設けたウォーターポンプ66のポンプ入力軸67に二重軸状態に軸装する。前記冷却用ファン28のファン回転軸65には入力プーリー68を設け、前記油圧モータ35の回転が出力される出力プーリー69との間にベルト70を掛け回す(図3)。
したがって、エンジン11に軸装したファン回転軸65の軸心から外れた位置にファン用無段変速装置33を設け、冷却用ファン28の送風範囲外に設置する。
71はウォーターポンプ66のポンプ入力軸67に設けたエンジン11の回転を入力する入力プーリー、72は前記エンジン11の出力軸73に設けた出力プーリー、72Aはベルト、74はエンジン11からの駆動が伝達された中間出力プーリー、75は油圧ポンプ34の入力プーリー、76はベルト、77は入力軸、78は出力軸である。
したがって、エンジン11の出力プーリー72の回転がベルト71を介して入力プーリー71に伝達されて、ポンプ入力軸67を常時正回転させる。
【0020】
一方、エンジン11からの回転をベルト76によりファン用無段変速装置33の入力プーリー75に伝達し、ファン用無段変速装置33は出力プーリー69とベルト70により冷却用ファン28のファン回転軸65の入力プーリー68を正転駆動回転させ、冷却用ファン28によりエンジン11を冷却し、反対に、ファン用無段変速装置33が逆回転を出力すると、冷却用ファン28のファン回転軸65をウォーターポンプ66のポンプ入力軸67に対して反対回転となる逆駆動回転させ、冷却用ファン28を逆転させてラジエーターカバー9の防塵ネット31の付着物を吹き飛ばして除去する。
それゆえ、ウォーターポンプ66と冷却用ファン28は同一軸心で支持され、ウォーターポンプ66と冷却用ファン28の支持構成を兼用する。
この場合、ファン用無段変速装置33の油圧ポンプ34の入力軸77には、ファン用無段変速装置33を冷却するファン用冷却ファン80を設ける(図14、図15)。
【0021】
そのため、高温となるエンジンルーム内にファン用無段変速装置33を設置しても、ファン用冷却ファン80によりファン用無段変速装置33を冷却し、ファン用無段変速装置33の作動精度を低下させない。
80Aはファン用冷却ファン80のケーシングである。
このファン用冷却ファン80は、冷却用ファン28とは重ならない位置に設けると、冷却用ファン28によるエンジン11の冷却効率を低下させずに、一層、ファン用冷却ファン80によりファン用無段変速装置33を冷却する。
なお、ファン用無段変速装置33を冷却できる程、冷却用ファン28の径を大きくすると、ラジエーター29やインタークーラーホース55あるいはオイルクーラーに接続したオイルホースの取付スペースを小さくし、メンテナンスを困難にしてしまうが、ファン用冷却ファン80によりファン用無段変速装置33を冷却することで、メンテナンスも容易にする。
【0022】
しかして、図16、図17は、前記インタークーラー54の他の実施例を示し、ラジエーター29の側方に枠体84を設け、該枠体84内にインタークーラー54を位置させる。インタークーラー54の上部には前後一対の接続ホース85を取付ける取付部86を設け、取付部86に可撓性を有する前記接続ホース85の下部を接続し、バンド87により固定する。接続ホース85の上部には金属製取付部材88を取付け、金属製取付部材88と配管89とを夫々に設けたフランジ部90を接合させてボルト91により固定する。
そのため、接続ホース85と配管89との接続部分は、金属製取付部材88と配管89のフランジ部90により取り付けているので、振動等に起因して接続ホース85の接続部分が外れるのを防止する。
【0023】
即ち、前記枠体84の上部枠92に前記接続ホース85を嵌合させる切欠部(図示省略)を形成し、この切欠部を利用して接続ホース85を上方へ屈曲させて、インタークーラー54およびラジエーター29の簡易のメンテナンスを行うことがあるが、このとき、接続ホース85の接続部分をフランジ部90の結合により接続しているので、接続が外れるのを防止できる。
また、フランジ部90の接合部分で着脱できるので、インタークーラー54の着脱を容易にし、メンテナンスを容易にする。
また、枠体84の外側上方部分にフランジ部90を位置させているので、フランジ部90より下側の部材を取り外すことにより、開放部を大きくする。
【0024】
しかして、図18は、前記インタークーラー54の他の実施例を示し、前記配管89の下部は下方に延長させて前記枠体84内に位置させ、枠体84内にて接続ホース85と配管89をフランジ部90により接続している。
そのため、枠体84より外側に露出する部分は金属製の配管89となり、接続ホース85は露出しないので、接続ホース85の損傷を抑制する。
また、枠体84の内側で接続ホース85の接続部分を外せるので、配管89は枠体84に挿通するだけでよく、枠体84の外面(境界部分)の構成を簡素にする。
また、インタークーラー54の着脱は、フランジ部90の部分で行えるので、接続ホース85と金属製取付部材88との接続部分を外さなくて済み、接続ホース85と金属製取付部材88との接続部分のバンド87の締め付けトルク管理を不要にでき、着脱を容易にする。
【0025】
しかして、図19は、前記インタークーラー54の他の実施例を示し、前記配管89と金属製取付部材88のフランジ部90により枠体84の上部枠上部枠92を上下に挟持して共締めして取り付けている。
そのため、フランジ部90を利用して枠体84への取付け構成も兼用でき、合理的構成となる。
【0026】
(実施例の作用)
エンジン11を始動して、走行装置2により走行し、走行中に刈取装置4で刈取った穀稈を脱穀装置で脱穀する。
エンジン11を始動すると、エンジン11の回転がファン用無段変速装置33に伝達され、ファン用無段変速装置33が無段階に変速して冷却用ファン28を正回転させ、ラジエーターカバー9の防塵ネット31から外気を吸引し、吸引した外気はラジエーター29を通過してエンジン11の冷却用の冷却水を冷却すると共に、エンジン11の外周を冷却しながら吹き抜ける。
刈取脱穀作業を続けると、ラジエーターカバー9の防塵ネット31の表側に藁屑や塵埃等の付着物が付着するので、ファン用無段変速装置33により冷却用ファン28を逆回転させて、機体内部から機体外部方向へ送風させ、吹散させて除去する。
ファン用無段変速装置33は、リンク機構15のオープンアーム(内側オープンアーム)16の下方に配置し、オープンアーム16とエンジン11との間に位置しているので、オープンアーム16の移動路からファン用無段変速装置33が外れるため、ファン用無段変速装置33の存在がキャビン12を機体フレーム1の側部よりも側方にはみ出た開放位置にオープンさせる際に邪魔にならず、キャビン12をオープンさせる開き量を大きくできる。
【0027】
その結果、本来のキャビン12をオープンさせる目的であるエンジン11やエンジン11周辺に設けたファン用無段変速装置33のメンテナンスを容易に行うことができる。
また、ファン用無段変速装置33は、操縦部6の門型の操作フレーム40の左右フレーム部40、41と上フレーム部43の夫々の内側に配置しているので、キャビン12を支持する操作フレーム40を含めて操縦部6の組立作業全般に対して、ファン用無段変速装置33の存在が邪魔にならず、作業性を向上させられる。
ファン用無段変速装置33には、冷却用ファン28へ出力する出力ギヤケース46を取付け、出力ギヤケース46にはファン用無段変速装置33へオイルを補充する補充用の配管のポート部47を設け、ポート部47にはポート部47とファン用無段変速装置33を接続する補助給油管48と刈取用専用無段変速装置への補助給油管49とバルブユニットからの給油管51を接続しているので、バルブユニットからファン用無段変速装置33および刈取用専用無段変速装置49へオイルが補給され、作動を確実にする。
【0028】
このポート部47は出力ギヤケース46に設けているので、各部品を集約して設けることができ、部品点数を削減し、組立性を向上させられる。
また、ポート部47からファン用無段変速装置33への補助給油管48の長さを短くでき、コンパクトに収められる。
冷却用ファン28の外側にはインタークーラー54を設け、インタークーラー54とエンジン11とはインタークーラーホース55により接続し、インタークーラーホース55はラジエーター29の側面より立ち上げてエンジン11の上面部の所定部分に接続しているので、インタークーラー54の側面(正面)とインタークーラーホース55とが重ならず、インタークーラーホース55のメンテナンスを容易にする。
また、ラジエーター29のホース56をインタークーラーホース55を設けた側に設けているので、インタークーラーホース55とあわせてホース56をラジエーター29の側面に集中させて設けられ、組立を容易にし、メンテナンスを容易にする。
【0029】
前記ファン用無段変速装置33の制御モータ39は、操縦部6の作業者が立つステップ7の下方空間内に設けているので、制御モータ39はエンジンルームの外側に配置でき、エンジン11からの熱気の影響を抑制する。また、ファン用無段変速装置33の近傍に制御モータ39を配置でき、制御モータ39とファン用無段変速装置33とを接続する作動機構を簡素に構成でき、組立およびメンテナンスを容易にする。また、ステップ7の下方に制御モータ39を設けているので、制御モータ39のメンテナンスを容易にする。
次に、ファン用無段変速装置33の作動を説明すると、制御モータ47にコントローラから信号が送出され、制御モータ47の出力軸64Aが回転し、出力軸64Aはアーム64Bを回動させ、アーム64Bはピン64Cを介してアーム63を回動させ、アーム63はロッド62を上下動させ、ロッド62はトラニオンアーム61を回動させてトラニオン軸60を回転させて、ファン用無段変速装置33の出力回転を変更する。
なお、前記した各実施例は、理解を容易にするために、個別または混在させて図示および説明しているが、これらの各図の実施例は夫々種々組合せ可能であり、一部図示を他の実施例と共用している場合もあり、これらの表現によって、構成・作用等が限定されるものではなく、また、相乗効果を奏する場合も勿論存在する。
【符号の説明】
【0030】
1…機体フレーム、2…走行装置、3…脱穀装置、4…刈取装置、5…グレンタンク、6…操縦部、7…ステップ、8…運転座席、9…エンジンカバー、11…エンジン、12…キャビン、15…リンク機構、16…内側アーム、17…外側アーム、18…内側基部取付軸、19…外側基部取付軸、21…内側先端取付軸、22…外側先端取付軸、25…支持アーム、26…横枠、27…エンジンルーム、28…冷却用ファン、29…ラジエーター、30…開口部、31…防塵ネット、33…ファン用無段変速装置、34…油圧ポンプ、35…油圧モータ、39…制御モータ、40…操作フレーム、41…左フレーム部、42…右フレーム部、43…上フレーム部、46…出力ギヤケース、47…ポート部、48…補助給油管、51…給油管、54…インタークーラー、55…インタークーラーホース、58…オイルタンク、60…トラニオン軸、61…トラニオンアーム、62…ロッド、63…アーム、65…ファン回転軸、66…ウォーターポンプ、67…ポンプ入力軸、68…入力プーリー、69…出力プーリー、70…ベルト、71…入力プーリー、72…出力プーリー、75…入力プーリー、80…ファン用冷却ファン、84…枠体、85…接続ホース、86…取付部、88…金属製取付部材、89…配管、90…フランジ部、92…上部枠。
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバインに係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来、エンジンの外側にエンジンの冷却用のファンと防塵ネットを有するラジエーターカバーを設け、この冷却用ファンの回転を、二個のテンションプーリとファンベルトとの当接位置を変更することにより正回転と逆回転とに切り替える構成は、公知である(特許文献1)。
また、従来、エンジン冷却用のファンをファン用無段変速装置の出力軸に設け、ファン用無段変速装置により正回転と逆回転とに切り替える構成は、公知である(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−36762号公報
【特許文献2】特開2008−87723号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記公知例のうち前者の構成では、冷却用ファンの回転を、二個のテンションプーリとファンベルトとの当接位置を変更することにより正回転と逆回転とに切り替える構成のため、ベルトの摩耗等の課題がある。
また、エンジンの出力回転速度に対する冷却用ファンの回転速度を変更することができず、エンジンに負荷が掛かり、エンジンの主力回転が低下した場合、冷却用ファンの回転速度もこれに伴って低下し、冷却用ファンによる冷却効率が悪化する問題がある。
前記公知例のうち後者の構成では、冷却用ファンをファン用無段変速装置の出力軸に設け、ファン用無段変速装置により正回転と逆回転とに切り替えるので、前記課題は解決しているが、冷却用ファンとエンジンの間の冷却用ファンの送風範囲内にファン用無段変速装置が設けられることになり、ファン用無段変速装置が冷却用ファンの送風の抵抗となって、冷却効率が低いという課題がある。
本願は、冷却用ファンの回転機構を工夫し、簡単にラジエーターカバーの防塵ネットの付着物を除去すると共に、冷却効率を向上するようにしたものであり、さらに、ファン用無段変速装置33の取付位置を工夫し、キャビンを容易にオープンできるようにしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明は、走行装置2の前方に刈取装置4を設け、走行装置2の上方一側に脱穀装置を設け、走行装置2の上方他側には操縦部6およびグレンタンク5を設け、前記操縦部6は、機体フレーム1上に設けたエンジン11の一部または全部を包囲するエンジンカバー9と一体のキャビン12内に設け、該キャビン12は、グレンタンク5の前側に位置する閉鎖位置と平面視でキャビン12の一部または全部が機体フレーム1よりも側方にはみ出た開放位置とにわたってリンク機構15により移動自在に支持し、該エンジン11の外側にはラジエーター29を設け、該ラジエーター29と前記エンジン11との間に冷却用ファン28を設け、前記ラジエーター29の外側に防塵ネット61を有するラジエーターカバー15を設け、前記エンジン11の駆動力により前記冷却用ファン28を駆動するファン用無段変速装置33は、該冷却用ファン28を機体外部から機体内部方向へ送風するべく正回転駆動する冷却状態と、前記冷却用ファン28を機体内部から機体外部方向へ送風するべく逆回転駆動する除塵状態とに切替自在な構成とし、前記ファン用無段変速装置33は、前記冷却用ファン28の軸心方向視で冷却用ファン28の回転軌跡外であって前記リンク機構15のオープンアーム16と前記エンジン11の上部との間に配置したことを特徴とするコンバインとしたものであり、通常ではエンジン11の駆動回転をファン用無段変速装置33によって変速して冷却用ファン28を正回転駆動して機体外部から機体内部方向へ送風させて、エンジン11およびラジエーター29を冷却する。一方、ファン用無段変速装置33を逆回転出力させて冷却用ファン28を逆回転させると、機体内部から機体外部方向へ送風し、ラジエーターカバー9の防塵ネット31の付着物を除去する。
そして、刈取作業を終了すると、リンク機構15によりキャビン12をオープンさせてメンテナンスを行う。
請求項2の発明は、前記ファン用無段変速装置33は、操縦部6とエンジン11との間に設けた正面視門型の操作フレーム40の左フレーム部41と右フレーム部42と上フレーム部43の夫々の内側に配置したことを特徴とするコンバインとしたものであり、操作フレーム40の左フレーム部41および上フレーム部43がグレンタンク5の前側に位置する閉鎖位置のキャビン12を支持し、操作フレーム40の左フレーム部41と上フレーム部43の内側に配置したファン用無段変速装置33と左フレーム部41および上フレーム部43とを機体側に残してキャビン12をオープンさせる。
請求項3の発明は、前記ラジエーター29の外側にはインタークーラー54を設け、該インタークーラー54と前記エンジン11とを接続するインタークーラーホース55は、インタークーラー54からラジエーター29の前方を迂回させて前記ファン用無段変速装置33の下方を配索したことを特徴とするコンバインとしたものであり、エンジン11に供給される空気はインタークーラー54で冷却され、インタークーラー54からラジエーター29を迂回して配索されたインタークーラーホース55を通ってエンジン11に供給される。
請求項4の発明は、前記ファン用無段変速装置33を変速させる制御モータ39は、前記操縦部6の作業者が立つステップ7の下方空間内に設けたことを特徴とするコンバインとしたものであり、ファン用無段変速装置33の油圧ポンプ34のトラニオン軸60を制御モータ39が回転させて、このファン用無段変速装置33の変速作動を制御する。
請求項5の発明は、前記ファン用無段変速装置33の冷却用ファン28へ出力する出力ギヤケース46にはファン用無段変速装置33へオイルを補充する補充用の配管のポート部47を設け、該ポート部47には該ポート部47と前記ファン用無段変速装置33を接続する補助給油管48と刈取装置4を駆動する専用の無段変速装置への補助給油管49とバルブユニットからの給油管51を接続したことを特徴とするコンバインとしたものであり、ファン用無段変速装置33にてオイルが不足すると、バルブユニットから給油管51を通ってポート部47に至り、ポート部47でファン用無段変速装置33と刈取用専用無段変速装置49とに分岐させて補給する。
請求項6の発明は、前記ファン用無段変速装置33の上部に該ファン用無段変速装置33への補給用のオイルタンク58を設けたことを特徴とするコンバインとしたものであり、ファン用無段変速装置33にてオイルが不足すると、オイルタンク58からファン用無段変速装置33にオイルが補給される。
【発明の効果】
【0006】
請求項1記載の発明では、ファン用無段変速装置33により冷却用ファン28の正回転駆動状態と逆回転駆動状態とに切替え、ラジエーターカバー9の防塵ネット31の付着物を除去することができるものでありながら、ファン用無段変速装置33を冷却用ファン28の送風範囲外に設けているので、冷却風の抵抗となりにくく、冷却効率を低下させず、また、ファン用無段変速装置33を、キャビン12のリンク機構15のオープンアーム16とエンジン11の上部との間に配置しているので、キャビン12のオープンさせる開き量を大きくでき、また、エンジン11やエンジン11周辺に設けたファン用無段変速装置33のメンテナンスを容易に行うことができる。
請求項2記載の発明では、上記請求項1記載の発明の効果に加え、エンジン11にファン用無段変速装置33を取付けた状態で、キャビン12を操作フレーム40に支持して組み立てることができ、組立作業の能率を向上させることができる。
請求項3記載の発明では、上記請求項1または請求項2記載の発明の効果に加え、ラジエーター29の前側を迂回してインタークーラーホース55を配置しているので、インタークーラーホース55のメンテナンスを容易にできる。
請求項4記載の発明では、上記請求項1または請求項2または請求項3記載の発明の効果に加え、ファン用無段変速装置33の制御モータ39を操縦部6の作業者が立つステップ7の下方空間内に設けているので、制御モータ39をエンジンルームの外側に配置でき、エンジン11からの熱気の影響を抑制でき、メンテナンスを容易にできる。また、ファン用無段変速装置33の近傍に制御モータ39を配置できるので、制御モータ39とファン用無段変速装置33とを接続する作動機構を簡素に構成でき、組立およびメンテナンスを容易にする。
請求項5記載の発明では、上記請求項1または請求項2または請求項3または請求項4記載の発明の効果に加え、ファン用無段変速装置33および刈取装置4を駆動する専用の無段変速装置へのオイルの補給が確実に行われ、ファン用無段変速装置33の作動の確実性を向上させることができ、また、このポート部47はファン用無段変速装置33の出力ギヤケース46に設けているので、各部品を集約して設けることができ、部品点数を削減し、組立性を向上させることができ、また、ポート部47からファン用無段変速装置33への補助給油管48の長さを短くでき、コンパクトに収めることができる。
請求項6記載の発明では、上記請求項1または請求項2または請求項3または請求項4記載の発明の効果に加え、ファン用無段変速装置33へのオイルの補給を確実にでき、ファン用無段変速装置33へのオイル補給構成を簡素にできる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】コンバインの側面図。
【図2】キャビンの外側移動機構の平面図。
【図3】冷却用ファンの回転伝動機構の概略模式図。
【図4】エンジン周辺の一部省略正面図。
【図5】同側面図。
【図6】エンジン周辺の一部省略正面図。
【図7】エンジン周辺の一部省略正面図。
【図8】エンジン周辺の一部省略側面図。
【図9】同正面図。
【図10】エンジン周辺の一部省略側面図。
【図11】同正面図。
【図12】エンジン周辺の一部省略側面図。
【図13】同正面図。
【図14】エンジン周辺の一部省略側面図。
【図15】同正面図。
【図16】ラジエーターとインタークーラーの平面図。
【図17】同側面図。
【図18】ラジエーターとインタークーラーの他の実施例の側面図。
【図19】ラジエーターとインタークーラーの他の実施例の側面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の実施例を図面により説明すると、1はコンバインの機体フレーム、2は走行装置、3は走行装置2の上方の一側に設けた脱穀装置、4は刈取装置、5は脱穀装置4の側方に設けたグレンタンク、6は操縦部である。
操縦部6には作業者の立つステップ7および作業者の着座する運転座席8および運転座席8の前側に設けたスイッチやレバー類を有する操作ボックス8A等により構成する。
前記操縦部6は機体フレーム1の上方に設けたエンジン11の一部または全部を包囲するエンジンカバー(ラジエターカバー)9と一体の任意形状のキャビン12内に設ける。
キャビン12は、グレンタンク5の前側に位置する閉鎖位置と平面視キャビン12の一部または全部が機体フレーム1の側部よりも側方にはみ出た開放位置との間、リンク機構15により移動自在に構成する(図2)。
【0009】
前記リンク機構15の一例を示すと、内側オープンアーム16と外側オープンアーム17の二本のアームにより構成し、内側オープンアーム16および外側オープンアーム17の基部は前記エンジン11よりも後方の機体フレーム1の任意の固定部に内側基部取付軸18と外側基部取付軸19で回動自在に取付ける。
内側オープンアーム16と外側オープンアーム17の先端は、それぞれ運転座席8よりも前方に位置させ、キャビン12の所定部分に内側先端取付軸21と外側先端取付軸22により回動自在に取付ける。
そのため、内側基部取付軸18および外側基部取付軸19と内側先端取付軸21および外側先端取付軸22の四点を回動中心とするリンク機構15によりキャビン12が移動するように構成されることになり、エンジン11の後側まで略開放できて、メンテナンス作業が容易になる。
【0010】
前記内側オープンアーム16は後述の操作フレーム40の上フレーム部43に支持されて移動する。前記外側オープンアーム17は、前記機体フレーム1に出入り自在に設けた支持アーム25により支持するように構成する。
支持アーム25は、前記機体フレーム1の左右方向の横枠26内に左右方向に摺動自在に内蔵し、キャビン12が閉鎖位置のときは横枠26内に収納し、キャビン12を開放位置に外側回動させるとき、横枠26から支持アーム25を手作業により引き出して外側オープンアーム17を支持する。
そのため、外側オープンアーム17を下方から支持アーム25が支持するので、外側オープンアーム17の変形を防止でき、キャビン12の外側オープン時の支持強度を向上させる。
【0011】
しかして、操縦部6の運転座席8の下方(後側)付近には周囲を包囲されたエンジンルーム27を形成し、エンジンルーム27内にエンジン11を設ける。エンジン11の外側(右側)にはエンジン冷却用ファン28を設ける(図2)。冷却用ファン28の外側にラジエーター29を設け、ラジエーター29の外側にはラジエーターカバー9を設ける。ラジエーターカバー9に設けた開口部30には防塵ネット31を設ける(図1)。
前記冷却用ファン28はエンジン11の駆動回転を無段階に変速するファン用無段変速装置(H.S.T)33により正逆駆動回転させる。ファン用無段変速装置33は、油圧ポンプ34と油圧モータ35を有して構成する。
【0012】
前記ファン用無段変速装置33は、前記冷却用ファン28の送風範囲外に設けると共に、該ファン用無段変速装置33は、前記冷却用ファン33を機体外部から機体内部方向へ送風するべく正回転駆動する冷却状態と、前記冷却用ファン33を機体内部から機体外部方向へ送風するべく逆回転駆動する除塵状態とに切替自在に構成する。
即ち、ファン用無段変速装置33は、通常作業時で冷却用ファン28を、機体外部から機体内部方向へ送風する正回転させ、所定の場合に、ファン用無段変速装置33から逆回転を出力して冷却用ファン28を機体内部から機体外部方向へ送風する逆回転させ、ラジエーターカバー9の防塵ネット31の表側に付着している藁屑や塵埃等の付着物を吹散させて除去する。
ファン用無段変速装置33は、冷却用ファン28の送風範囲外に設けているので、ファン用無段変速装置33の存在が冷却用ファン28の送風の抵抗とならず、冷却効率を低下させない。
【0013】
前記ファン用無段変速装置33は、リンク機構15のオープンアーム(内側オープンアーム)16とエンジン11との間に配置する。
そのため、オープンアーム16の移動路からファン用無段変速装置33が外れるため、ファン用無段変速装置33の存在がキャビン12を機体フレーム1の側部よりも側方にはみ出た開放位置にオープンさせる際に邪魔にならず、キャビン12をオープンさせる開き量を大きくできる。
その結果、本来のキャビン12をオープンさせる目的であるエンジン11やエンジン11周辺に設けたファン用無段変速装置33のメンテナンスを容易に行うことができる。
この場合、前記キャビン12を回動させてオープン状態にさせたときには、前記ファン用無段変速装置33は冷却用ファン28への回転出力を停止させる。
【0014】
そのため、キャビン12をオープン状態にしてメンテナンス作業のときには、冷却用ファン28を回転停止させ、安全性を確保する。
キャビン12のオープン状態の冷却用ファン28を停止させる構成は任意であるが、例えば、キャビン12のオープン状態を検出する任意の検出装置と後述するファン用無段変速装置33の作動を制御する制御モータ39とを接続すればよい。
また、前記ファン用無段変速装置33は、操縦部6の門型の操作フレーム40の左フレーム部41と右フレーム部42と上フレーム部43の夫々の内側に配置する(図5,図6)。
そのため、エンジン11を搭載して操作フレーム40を組み付け、キャビン12を支持する操作フレーム40を含めて操縦部6の組立作業全般に対して、ファン用無段変速装置33の存在が邪魔にならず、作業性を向上させられる。
なお、理解を容易にするため、図5において、操作フレーム40に斜線を付しているが、これによって構成は限定されない。
【0015】
前記ファン用無段変速装置33には、冷却用ファン28へ出力する出力ギヤケース46を取付け、出力ギヤケース46にはファン用無段変速装置33へオイルを補充する補充用の配管のポート部47を設ける(図7)。ポート部47にはポート部47とファン用無段変速装置33を接続する補助給油管48と刈取装置4の専用の無段変速装置(図示省略)への刈取用補助給油管50とバルブユニット(図示省略)からの給油管51を接続している。
そのため、出力ギヤケース46にポート部47を設けているので、各部品を集約して設けることができ、部品点数を削減し、組立性を向上させられる。
また、ポート部47からファン用無段変速装置33への補助給油管48の長さを短くでき、コンパクトに収められる。
なお、図示は省略するが、所定位置に設けた油圧ポンプから前記バルブユニットに送油され、バルブユニットから各部に送油する構成とし、バルブユニットは操縦部6の作業者が立つステップ7の下方空間に設けている。
【0016】
しかして、前記冷却用ファン28の外側には、インタークーラー54や油圧機器を冷却するオイルクラー(図示省略)を設ける(図8、図9)。インタークーラー54とエンジン11とはインタークーラーホース55により接続する。
インタークーラーホース55は、インタークーラー54からラジエーター29の前方を迂回させて前記ファン用無段変速装置33の下方を配索して、エンジン11の上面部の所定部分に接続する。
そのため、インタークーラー54とインタークーラーホース55とが重ならず、インタークーラーホース55のメンテナンスを容易にする。
また、インタークーラーホース55やオイルクーラーに接続したオイルホースをラジエーター29の前方に集中させて設けられ、組立を容易にし、メンテナンスを容易にする。
また、図10、11はファン用無段変速装置33の他の実施例を示し、前記ファン用無段変速装置33の上部に補給用のオイルタンク58を設ける。
【0017】
そのため、ファン用無段変速装置33のオイルが不足すると、オイルタンク58からファン用無段変速装置33へオイルが補給される。
したがって、他の油圧ポンプ等からのファン用無段変速装置33への補給用の油圧配管を不要にし、コンパクトにする。また、組立およびメンテナンスを容易にする。
前記ファン用無段変速装置33の制御モータ39は、操縦部6の作業者が立つステップ7の下方空間内に設ける(図12)。
そのため、制御モータ39はエンジンルームの外側に配置でき、エンジン11からの熱気の影響を抑制する。
ファン用無段変速装置33の近傍に制御モータ39を配置でき、制御モータ39とファン用無段変速装置33とを接続する作動機構を簡素に構成でき、組立およびメンテナンスを容易にする。
また、ステップ7の下方に制御モータ39を設けているので、制御モータ39のメンテナンスを容易にする。
また、制御モータ39は、ステップ7の下方空間の開口部59から手の届く位置に設けると、一層、メンテナンスを容易にする。
【0018】
60はファン用無段変速装置33のトラニオン軸60、61はトラニオンアーム61、62はロッド62、63はロッド62の他端を取付けるアーム63である。アーム63は図示省略を省略するが、分割して形成した一方アーム部と他方アーム部との基部を重ねて軸により回動自在に取付け、一方アーム部と他方アーム部との間に一体回動させる付勢バネを設け、付勢バネは、制御モータ制御モータ39からの作動をファン用無段変速装置33の油圧ポンプ34のトラニオン軸60に伝達させるが、所定以上の負荷が掛かると、アーム63の他方アーム部と一方アーム部40とを軸の部分で折れ曲げさせて、負荷を吸収する。
64Aは制御モータ制御モータ39の出力軸、64Bはアーム、64Cはピンである。
【0019】
しかして、前記冷却用ファン28のファン回転軸65は、前記エンジン11の所定位置に設けたウォーターポンプ66のポンプ入力軸67に二重軸状態に軸装する。前記冷却用ファン28のファン回転軸65には入力プーリー68を設け、前記油圧モータ35の回転が出力される出力プーリー69との間にベルト70を掛け回す(図3)。
したがって、エンジン11に軸装したファン回転軸65の軸心から外れた位置にファン用無段変速装置33を設け、冷却用ファン28の送風範囲外に設置する。
71はウォーターポンプ66のポンプ入力軸67に設けたエンジン11の回転を入力する入力プーリー、72は前記エンジン11の出力軸73に設けた出力プーリー、72Aはベルト、74はエンジン11からの駆動が伝達された中間出力プーリー、75は油圧ポンプ34の入力プーリー、76はベルト、77は入力軸、78は出力軸である。
したがって、エンジン11の出力プーリー72の回転がベルト71を介して入力プーリー71に伝達されて、ポンプ入力軸67を常時正回転させる。
【0020】
一方、エンジン11からの回転をベルト76によりファン用無段変速装置33の入力プーリー75に伝達し、ファン用無段変速装置33は出力プーリー69とベルト70により冷却用ファン28のファン回転軸65の入力プーリー68を正転駆動回転させ、冷却用ファン28によりエンジン11を冷却し、反対に、ファン用無段変速装置33が逆回転を出力すると、冷却用ファン28のファン回転軸65をウォーターポンプ66のポンプ入力軸67に対して反対回転となる逆駆動回転させ、冷却用ファン28を逆転させてラジエーターカバー9の防塵ネット31の付着物を吹き飛ばして除去する。
それゆえ、ウォーターポンプ66と冷却用ファン28は同一軸心で支持され、ウォーターポンプ66と冷却用ファン28の支持構成を兼用する。
この場合、ファン用無段変速装置33の油圧ポンプ34の入力軸77には、ファン用無段変速装置33を冷却するファン用冷却ファン80を設ける(図14、図15)。
【0021】
そのため、高温となるエンジンルーム内にファン用無段変速装置33を設置しても、ファン用冷却ファン80によりファン用無段変速装置33を冷却し、ファン用無段変速装置33の作動精度を低下させない。
80Aはファン用冷却ファン80のケーシングである。
このファン用冷却ファン80は、冷却用ファン28とは重ならない位置に設けると、冷却用ファン28によるエンジン11の冷却効率を低下させずに、一層、ファン用冷却ファン80によりファン用無段変速装置33を冷却する。
なお、ファン用無段変速装置33を冷却できる程、冷却用ファン28の径を大きくすると、ラジエーター29やインタークーラーホース55あるいはオイルクーラーに接続したオイルホースの取付スペースを小さくし、メンテナンスを困難にしてしまうが、ファン用冷却ファン80によりファン用無段変速装置33を冷却することで、メンテナンスも容易にする。
【0022】
しかして、図16、図17は、前記インタークーラー54の他の実施例を示し、ラジエーター29の側方に枠体84を設け、該枠体84内にインタークーラー54を位置させる。インタークーラー54の上部には前後一対の接続ホース85を取付ける取付部86を設け、取付部86に可撓性を有する前記接続ホース85の下部を接続し、バンド87により固定する。接続ホース85の上部には金属製取付部材88を取付け、金属製取付部材88と配管89とを夫々に設けたフランジ部90を接合させてボルト91により固定する。
そのため、接続ホース85と配管89との接続部分は、金属製取付部材88と配管89のフランジ部90により取り付けているので、振動等に起因して接続ホース85の接続部分が外れるのを防止する。
【0023】
即ち、前記枠体84の上部枠92に前記接続ホース85を嵌合させる切欠部(図示省略)を形成し、この切欠部を利用して接続ホース85を上方へ屈曲させて、インタークーラー54およびラジエーター29の簡易のメンテナンスを行うことがあるが、このとき、接続ホース85の接続部分をフランジ部90の結合により接続しているので、接続が外れるのを防止できる。
また、フランジ部90の接合部分で着脱できるので、インタークーラー54の着脱を容易にし、メンテナンスを容易にする。
また、枠体84の外側上方部分にフランジ部90を位置させているので、フランジ部90より下側の部材を取り外すことにより、開放部を大きくする。
【0024】
しかして、図18は、前記インタークーラー54の他の実施例を示し、前記配管89の下部は下方に延長させて前記枠体84内に位置させ、枠体84内にて接続ホース85と配管89をフランジ部90により接続している。
そのため、枠体84より外側に露出する部分は金属製の配管89となり、接続ホース85は露出しないので、接続ホース85の損傷を抑制する。
また、枠体84の内側で接続ホース85の接続部分を外せるので、配管89は枠体84に挿通するだけでよく、枠体84の外面(境界部分)の構成を簡素にする。
また、インタークーラー54の着脱は、フランジ部90の部分で行えるので、接続ホース85と金属製取付部材88との接続部分を外さなくて済み、接続ホース85と金属製取付部材88との接続部分のバンド87の締め付けトルク管理を不要にでき、着脱を容易にする。
【0025】
しかして、図19は、前記インタークーラー54の他の実施例を示し、前記配管89と金属製取付部材88のフランジ部90により枠体84の上部枠上部枠92を上下に挟持して共締めして取り付けている。
そのため、フランジ部90を利用して枠体84への取付け構成も兼用でき、合理的構成となる。
【0026】
(実施例の作用)
エンジン11を始動して、走行装置2により走行し、走行中に刈取装置4で刈取った穀稈を脱穀装置で脱穀する。
エンジン11を始動すると、エンジン11の回転がファン用無段変速装置33に伝達され、ファン用無段変速装置33が無段階に変速して冷却用ファン28を正回転させ、ラジエーターカバー9の防塵ネット31から外気を吸引し、吸引した外気はラジエーター29を通過してエンジン11の冷却用の冷却水を冷却すると共に、エンジン11の外周を冷却しながら吹き抜ける。
刈取脱穀作業を続けると、ラジエーターカバー9の防塵ネット31の表側に藁屑や塵埃等の付着物が付着するので、ファン用無段変速装置33により冷却用ファン28を逆回転させて、機体内部から機体外部方向へ送風させ、吹散させて除去する。
ファン用無段変速装置33は、リンク機構15のオープンアーム(内側オープンアーム)16の下方に配置し、オープンアーム16とエンジン11との間に位置しているので、オープンアーム16の移動路からファン用無段変速装置33が外れるため、ファン用無段変速装置33の存在がキャビン12を機体フレーム1の側部よりも側方にはみ出た開放位置にオープンさせる際に邪魔にならず、キャビン12をオープンさせる開き量を大きくできる。
【0027】
その結果、本来のキャビン12をオープンさせる目的であるエンジン11やエンジン11周辺に設けたファン用無段変速装置33のメンテナンスを容易に行うことができる。
また、ファン用無段変速装置33は、操縦部6の門型の操作フレーム40の左右フレーム部40、41と上フレーム部43の夫々の内側に配置しているので、キャビン12を支持する操作フレーム40を含めて操縦部6の組立作業全般に対して、ファン用無段変速装置33の存在が邪魔にならず、作業性を向上させられる。
ファン用無段変速装置33には、冷却用ファン28へ出力する出力ギヤケース46を取付け、出力ギヤケース46にはファン用無段変速装置33へオイルを補充する補充用の配管のポート部47を設け、ポート部47にはポート部47とファン用無段変速装置33を接続する補助給油管48と刈取用専用無段変速装置への補助給油管49とバルブユニットからの給油管51を接続しているので、バルブユニットからファン用無段変速装置33および刈取用専用無段変速装置49へオイルが補給され、作動を確実にする。
【0028】
このポート部47は出力ギヤケース46に設けているので、各部品を集約して設けることができ、部品点数を削減し、組立性を向上させられる。
また、ポート部47からファン用無段変速装置33への補助給油管48の長さを短くでき、コンパクトに収められる。
冷却用ファン28の外側にはインタークーラー54を設け、インタークーラー54とエンジン11とはインタークーラーホース55により接続し、インタークーラーホース55はラジエーター29の側面より立ち上げてエンジン11の上面部の所定部分に接続しているので、インタークーラー54の側面(正面)とインタークーラーホース55とが重ならず、インタークーラーホース55のメンテナンスを容易にする。
また、ラジエーター29のホース56をインタークーラーホース55を設けた側に設けているので、インタークーラーホース55とあわせてホース56をラジエーター29の側面に集中させて設けられ、組立を容易にし、メンテナンスを容易にする。
【0029】
前記ファン用無段変速装置33の制御モータ39は、操縦部6の作業者が立つステップ7の下方空間内に設けているので、制御モータ39はエンジンルームの外側に配置でき、エンジン11からの熱気の影響を抑制する。また、ファン用無段変速装置33の近傍に制御モータ39を配置でき、制御モータ39とファン用無段変速装置33とを接続する作動機構を簡素に構成でき、組立およびメンテナンスを容易にする。また、ステップ7の下方に制御モータ39を設けているので、制御モータ39のメンテナンスを容易にする。
次に、ファン用無段変速装置33の作動を説明すると、制御モータ47にコントローラから信号が送出され、制御モータ47の出力軸64Aが回転し、出力軸64Aはアーム64Bを回動させ、アーム64Bはピン64Cを介してアーム63を回動させ、アーム63はロッド62を上下動させ、ロッド62はトラニオンアーム61を回動させてトラニオン軸60を回転させて、ファン用無段変速装置33の出力回転を変更する。
なお、前記した各実施例は、理解を容易にするために、個別または混在させて図示および説明しているが、これらの各図の実施例は夫々種々組合せ可能であり、一部図示を他の実施例と共用している場合もあり、これらの表現によって、構成・作用等が限定されるものではなく、また、相乗効果を奏する場合も勿論存在する。
【符号の説明】
【0030】
1…機体フレーム、2…走行装置、3…脱穀装置、4…刈取装置、5…グレンタンク、6…操縦部、7…ステップ、8…運転座席、9…エンジンカバー、11…エンジン、12…キャビン、15…リンク機構、16…内側アーム、17…外側アーム、18…内側基部取付軸、19…外側基部取付軸、21…内側先端取付軸、22…外側先端取付軸、25…支持アーム、26…横枠、27…エンジンルーム、28…冷却用ファン、29…ラジエーター、30…開口部、31…防塵ネット、33…ファン用無段変速装置、34…油圧ポンプ、35…油圧モータ、39…制御モータ、40…操作フレーム、41…左フレーム部、42…右フレーム部、43…上フレーム部、46…出力ギヤケース、47…ポート部、48…補助給油管、51…給油管、54…インタークーラー、55…インタークーラーホース、58…オイルタンク、60…トラニオン軸、61…トラニオンアーム、62…ロッド、63…アーム、65…ファン回転軸、66…ウォーターポンプ、67…ポンプ入力軸、68…入力プーリー、69…出力プーリー、70…ベルト、71…入力プーリー、72…出力プーリー、75…入力プーリー、80…ファン用冷却ファン、84…枠体、85…接続ホース、86…取付部、88…金属製取付部材、89…配管、90…フランジ部、92…上部枠。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行装置(2)の前方に刈取装置(4)を設け、走行装置(2)の上方一側に脱穀装置を設け、走行装置2の上方他側には操縦部(6)およびグレンタンク(5)を設け、前記操縦部(6)は、機体フレーム(1)上に設けたエンジン(11)の一部または全部を包囲するエンジンカバー(9)と一体のキャビン(12)内に設け、該キャビン(12)は、グレンタンク(5)の前側に位置する閉鎖位置と平面視でキャビン(12)の一部または全部が機体フレーム(1)よりも側方にはみ出た開放位置とにわたってリンク機構(15)により移動自在に支持し、該エンジン(11)の外側にはラジエーター(29)を設け、該ラジエーター(29)と前記エンジン(11)との間に冷却用ファン(28)を設け、前記ラジエーター(29)の外側に防塵ネット(61)を有するラジエーターカバー(15)を設け、前記エンジン(11)の駆動力により前記冷却用ファン(28)を駆動するファン用無段変速装置(33)は、該冷却用ファン(28)を機体外部から機体内部方向へ送風するべく正回転駆動する冷却状態と、前記冷却用ファン(28)を機体内部から機体外部方向へ送風するべく逆回転駆動する除塵状態とに切替自在な構成とし、前記ファン用無段変速装置(33)は、前記冷却用ファン(28)の軸心方向視で冷却用ファン(28)の回転軌跡外であって前記リンク機構(15)のオープンアーム(16)と前記エンジン(11)の上部との間に配置したことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
請求項1記載の発明において、前記ファン用無段変速装置(33)は、操縦部6とエンジン(11)との間に設けた正面視門型の操作フレーム(40)の左フレーム部(41)と右フレーム部(42)と上フレーム部(43)の夫々の内側に配置したことを特徴とするコンバイン。
【請求項3】
請求項1または請求項2記載の発明において、前記ラジエーター(29)の外側にはインタークーラー(54)を設け、該インタークーラー(54)と前記エンジン(11)とを接続するインタークーラーホース(55)は、インタークーラー(54)からラジエーター(29)の前方を迂回させて前記ファン用無段変速装置(33)の下方を配索したことを特徴とするコンバイン。
【請求項4】
請求項1または請求項2または請求項3記載の発明において、前記ファン用無段変速装置(33)を変速させる制御モータ(39)は、前記操縦部(6)の作業者が立つステップ(7)の下方空間内に設けたことを特徴とするコンバイン。
【請求項5】
請求項1または請求項2または請求項3または請求項4記載の発明において、前記ファン用無段変速装置(33)の冷却用ファン(28)へ出力する出力ギヤケース(46)にはファン用無段変速装置(33)へオイルを補充する補充用の配管のポート部(47)を設け、該ポート部(47)には該ポート部(47)と前記ファン用無段変速装置(33)を接続する補助給油管(48)と刈取装置(4)を駆動する専用の無段変速装置への補助給油管(49)とバルブユニットからの給油管(51)を接続したことを特徴とするコンバイン。
【請求項6】
請求項1または請求項2または請求項3または請求項4記載の発明において、前記ファン用無段変速装置(33)の上部に該ファン用無段変速装置(33)への補給用のオイルタンク(58)を設けたことを特徴とするコンバイン。
【請求項1】
走行装置(2)の前方に刈取装置(4)を設け、走行装置(2)の上方一側に脱穀装置を設け、走行装置2の上方他側には操縦部(6)およびグレンタンク(5)を設け、前記操縦部(6)は、機体フレーム(1)上に設けたエンジン(11)の一部または全部を包囲するエンジンカバー(9)と一体のキャビン(12)内に設け、該キャビン(12)は、グレンタンク(5)の前側に位置する閉鎖位置と平面視でキャビン(12)の一部または全部が機体フレーム(1)よりも側方にはみ出た開放位置とにわたってリンク機構(15)により移動自在に支持し、該エンジン(11)の外側にはラジエーター(29)を設け、該ラジエーター(29)と前記エンジン(11)との間に冷却用ファン(28)を設け、前記ラジエーター(29)の外側に防塵ネット(61)を有するラジエーターカバー(15)を設け、前記エンジン(11)の駆動力により前記冷却用ファン(28)を駆動するファン用無段変速装置(33)は、該冷却用ファン(28)を機体外部から機体内部方向へ送風するべく正回転駆動する冷却状態と、前記冷却用ファン(28)を機体内部から機体外部方向へ送風するべく逆回転駆動する除塵状態とに切替自在な構成とし、前記ファン用無段変速装置(33)は、前記冷却用ファン(28)の軸心方向視で冷却用ファン(28)の回転軌跡外であって前記リンク機構(15)のオープンアーム(16)と前記エンジン(11)の上部との間に配置したことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
請求項1記載の発明において、前記ファン用無段変速装置(33)は、操縦部6とエンジン(11)との間に設けた正面視門型の操作フレーム(40)の左フレーム部(41)と右フレーム部(42)と上フレーム部(43)の夫々の内側に配置したことを特徴とするコンバイン。
【請求項3】
請求項1または請求項2記載の発明において、前記ラジエーター(29)の外側にはインタークーラー(54)を設け、該インタークーラー(54)と前記エンジン(11)とを接続するインタークーラーホース(55)は、インタークーラー(54)からラジエーター(29)の前方を迂回させて前記ファン用無段変速装置(33)の下方を配索したことを特徴とするコンバイン。
【請求項4】
請求項1または請求項2または請求項3記載の発明において、前記ファン用無段変速装置(33)を変速させる制御モータ(39)は、前記操縦部(6)の作業者が立つステップ(7)の下方空間内に設けたことを特徴とするコンバイン。
【請求項5】
請求項1または請求項2または請求項3または請求項4記載の発明において、前記ファン用無段変速装置(33)の冷却用ファン(28)へ出力する出力ギヤケース(46)にはファン用無段変速装置(33)へオイルを補充する補充用の配管のポート部(47)を設け、該ポート部(47)には該ポート部(47)と前記ファン用無段変速装置(33)を接続する補助給油管(48)と刈取装置(4)を駆動する専用の無段変速装置への補助給油管(49)とバルブユニットからの給油管(51)を接続したことを特徴とするコンバイン。
【請求項6】
請求項1または請求項2または請求項3または請求項4記載の発明において、前記ファン用無段変速装置(33)の上部に該ファン用無段変速装置(33)への補給用のオイルタンク(58)を設けたことを特徴とするコンバイン。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2013−9605(P2013−9605A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−142707(P2011−142707)
【出願日】平成23年6月28日(2011.6.28)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月28日(2011.6.28)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
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