説明

コンピュータから陽極酸性化および砂目立て処理された導電性版への版セッティングシステムおよび装置

CTP(computer-to-plate)電子写真印刷を導電性版に行う版セッティングシステム及び装置。本装置は、導電性版を受け取る電気的に絶縁された媒体パスを備えるようになっている電子写真印刷器を有しても良い。導電性版は、最終製品として感光性エマルジョン層を有しない陽極酸性化され砂目立て処理されたアルミニウム(AL)を有しても良い。導電性版は、丸められた隅部を有しても良く、先頭に保護端部を有しても良い。導電性版は、放射熱源の吸収光を使用して融着しても良い。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
1978年頃プラハで、アロイス・セネフェルダはソインホーフェンとともに、より安価に銅に画像を彫り込む方法を研究するために、石灰石の実験を行っていた。セネフェルダのレリーフにエッチングを行う実験は失敗したが、レリーフを用いなくても、印刷を行うことができることに気が付いた。この発見は、1800年代の写真の発明とともに、印刷の歴史を塗り替えるものとなった。この発見により、実質的に凸版印刷は時代遅れのものとなり、オフセットリトグラフィー(以後、「オフセット印刷」と呼ぶ。)が20世紀の印刷技術の主流となった。
【0002】
リトグラフィーという言葉は「石版刷り」という意味である。セネフェルダは脂肪性クレヨンを用いて石灰石の表面に図案を描き、この表面をアラビアゴム、水、および数滴の硝酸の溶液で「エッチング」した場合、図案が描かれた領域は脂肪を恒久的に受容可能になることを発見した。図案が描かれていない領域はゴムで脱感され、脂肪を恒久的に受け付けなくなる。後に石灰石を湿らせ、ローラから脂肪性インクを塗布すると、インクは模様のみに貼り付き、模様以外の表面には貼り付かない。こうして、オリジナルの模様の正確な複製として印刷を取り出すことができる。
【0003】
何年もかけて、同様の性質がより扱いやすい亜鉛版やアルミニウム版でも発見された。これらの金属版の限界を克服するため、後にオフセット処理が開発された。オフセット処理は、画像を直接版からではなく、中間のブランケットから取り出すようになっている。
【0004】
オフセット印刷は平版印刷の原理を用いている。画像が最初にゴム製のブランケット(オフセット)に印刷され、このゴム製ブランケットが紙に印刷をすることから「オフセット」と呼ばれるようになった。このオフセット処理にはいくつもの明確な長所がある。金属版は破損しやすいため、画像をゴムにオフセットすることは、金属版を破損から保護することになる。ゴム製ブランケットの弾性により、とても粗い紙やその他の素材、例えばブリキなどにも印刷が可能になる。さらに、印刷を正確にするため、オリジナルの石の模様は、仕上がりの模様の鏡像として描かれる必要があった。しかしながら、この画像は最初にブランケットにオフセット印刷され、次に紙に印刷されるため、オフセット印刷の模様はポジティブで読みやすくなる。
【0005】
リトグラフィーは植字の問題がなければもっと早く普及したであろう。凸版印刷では組まれた活字をまだ湿った紙を用いて刷版に転写することができる。しかし、刷版へ転写する活字の品質が管理できるようになったのは、写真が発明されてからのことである。
【0006】
製版は、図版により、あるいは写真複写に似た写真または静電気を用いた機械的な作業により模様を印刷版に転写する処理である。オフセット刷版は、円筒の周りを覆うことのできる柔軟性と薄さが必要である。従来、金属、プラスチックまたは紙からなる小型の版に感光性エマルジョン、ジアゾ化合物または感光性ポリマーで予め感作していた。紙またはプラスチック(ポリエステル)は、複写の回数が例えば15,000回までの短期的な用途で使用される。紙またはポリエステル版は圧力が加わると延びて歪むため、これらの版はシングルまたはスポットのカラー複写機にのみ適している。紙またはポリエステル版は写真製版用カメラにより露光され、静電気的に「現像」され、熱により定着される。あるいは版を直接図版に接触させて配置し、写真製版転写の生成に類似した写真処理を用いて画像を転写する。
【0007】
金属版は、版に保水性を与え画像に定着させやすい、表面が粒状のアルミニウムからなる。大型機械用の刷版および従来の小型金属版の一部はネガティブフィルムからもポジティブフィルムからの露光が可能である。
【0008】
紫外線光による露光または焼き付けは、平面に直接真空吸着した金属版を保持した印刷下フレームに紫外線により生成される。露光時、紫外線光が照射されたネガティブの作業版のジアゾ感光性エマルジョンまたはポリエステル樹脂の被覆は、化学反応を起こしてインクを吸着しやすくなる。露光された被覆は、版に画像を生成し、これが印刷となる。紫外線に露光されなかった残りの被覆は、その後の処理で洗い落とされる。
【0009】
フレームでポジティブの作業版が露光されると、紫外線光が照射されて感光された感光性ポリマー被覆は、露光により不安定になり、この部分は処理時に除去される。露光されていない領域が印刷される。安定剤が露光されていないエマルジョンに塗布されて硬化される。焼いて画像を「定着」させ硬化させる版もある。特定のインク消しまたは刷毛塗り液体を使用して削除することもできる。例えば、続けて使用されるポスターで日付と会場のみを削除する場合などで有効である。
【0010】
版はすべて摩耗しやすい。例えば、複写の回数が約150,000回を超えると(場合によってはもっと少ない回数であっても)、画像と表面粒子の両方が崩れ始めてくる。特に、複写の回数が800,000回から百万回の長期の印刷用に表面が耐摩耗性クロムの多層金属版が設計されている。
【0011】
ポジティブの作業版はネガティブの作業版より生成するドットゲインが少なく、オフセット輪転マガジン印刷ではよく知られている。ドットゲインの制御ではバイメタル版がさらに優れている。
【0012】
従来、版の主な種類として、静電気(電子写真と呼ばれることもある)型、PS(presensitized)ジアゾ型、感光性ポリマー型、ハロゲン化銀型、バイメタル型、水なし型、感熱型、ハイブリッド型、およびアブレーション型などがあげられる。
【0013】
静電気(電子写真)型では、写真複写機では、ドラムに引き付けられたトナーは他の媒体、通常は紙に転写され、融着されるが、静電気版の場合では、版はドラムと媒体の両方である点以外は、版は写真複写機のドラムなどのように画像が生成される。静電気版の表面は、通常、酸化亜鉛などの感光性被覆で覆われている。まず静電気版の表面が帯電する。写真複写機のように、オリジナルの図版から反射された光に露光すると、反射された光が重なる部分で電荷は放散する。露光されていない領域に残った電荷は反対の極性の電荷に帯電した乾燥トナーまたは液体トナーを引き付ける。引き付けられたトナーは加圧熱で版に融着する。静電気版はまた、従来のレーザプリンタが用いるものと類似したレーザで直接画像を生成することができる。この場合、レーザは直接静電気版に当たり、静電気版の光伝導性被覆から電気的に表面電荷を除去する。その後静電気版は非印刷領域の被膜を除去する化学物質で処理する必要がある。次に版はエッチングとゴムで処理して、水受容性にする。化学的除去処理時にドットが僅かに不揃いになるため、これらの版は従来、細かい網目やプロセスカラーの印刷では使用されていない。これらの静電気版は通常、紙、ポリエステルまたはアルミニウムをベースとしている。これらの静電気版はまた、通常のレーザプリンタを介して搬送することができ、従来、紙で行うようにトナーは版に直接画像を生成することができる。版は、同じ化学物質で処理して不要な被膜を除去する必要がある。この処理は紙またはポリエステルの下地でのみ行うことができる。
【0014】
PS型は、有機化合物で被膜されており、有効期間は約1年である。プリンタで被膜されたワイプオン版の有効期間は1〜2週間である。その多くはネガティブのもので、一旦露光してから、ラッカーおよびゴムエッチを含む酸性溶液からなるエマルジョン現像液で処理される。露光されていないジアゾは溶液に溶けるため、ゴムは水溶性の非印刷領域に沈殿し、ラッカーは露光画像に沈殿してこれをインク受容性にする。現像されると、版は水で洗われ、アラビアゴム溶液で被膜される。これらは加版(additive plates)と呼ばれ、例えば、50,000回使用可能である。一部のジアゾ版は予めラッカーで処理して、例えば、250,000回使用可能にしている。これらの版は特別な溶液を用いて現像され、減版(subtractive plates)と呼ばれている。
【0015】
感光性ポリマー版は、不活性で耐摩耗性の有機化合物で被覆されており、例えば、250,000回までのプレスが可能になっている。これらはネガティブの作業版としてもポジティブの作業版としても利用可能である。処理後に焼くことにより百万回以上のプレスを可能にすることができる感光性ポリマー版もある。CTP(computer-to-plate)版システムでは、レーザにより露光することもできる色素増感感光性ポリマーが使用される。
【0016】
ハロゲン化銀版は、スロー写真フィルムに似た写真感光性化合物で被膜されている。エマルジョンは青色に対する感光性が強いため、エマルジョンは黄色でフィルタ処理した光で扱う必要がある。被膜はレーザによりデジタルでまたはネガティブを用いて光学的に露光することができる。処理用の溶液は、破棄する前に銀回収化学物質で処理をする必要のある重金属汚染物質(銀)を含んでいる。
【0017】
バイメタル版は、1つの金属の下地に1つ以上の金属をコーティングしたPS(presensitized)被膜を使用している。従来使用されているものとして、ステンレス鋼またはアルミニウムの下地に銅をコーティングしたもの、クロムの下地に銅をコーティングしたもの、さらにこれらを第3の金属の下地にコーティングしたものなどがある。これらはほとんど頑丈で、ドットの制御に優れ、百万回の使用にも耐えられる。バイメタル版はまた、最も高価である。
【0018】
水無し版は、画像領域用のアルミニウム上のインクと、非印刷領域用のシリコンゴムから構成される。シリコンゴムは、表面張力がとても弱いためインクをはじく。しかしながら、印刷の圧力と熱で、標準的なリトグラフィーインクは、シリコンの上を汚し、地汚れの原因となる。従って、水無し印刷は特殊なインクの使用と温度制御が必要である。この技術はまた、ブランケットに砕片が残らないようにするために高品質の紙を必要とする。
【0019】
感熱版は、光よりも熱に反応するポリマーから生成されている。このように、感熱版は、日光または人工光で処理することがでる。感熱版は、特殊なイメージセッターで赤外線光レーザダイオードを用いて露光し、水溶液で処理する。焼き付けで、感熱版は百万回以上が可能である。
【0020】
ハイブリッド版は金属版上に形成された底部被覆と上部被膜の2つの写真感光性被膜を用い、従来の感光性ポリマーの底部被覆上のハロゲン化銀被膜を光学的に露光してフィルムを生成するか、あるいはレーザによりデジタル式に露光する。上部被膜が処理される際に底部被膜は紫外線光に露光される。その後、上部被膜を除去して感光性ポリマー(底部)被膜を印刷に使用する。
【0021】
アブレーション版はレーザにより極めて小さな孔を選択的にポリエステルまたは金属のベースの被膜に焼き付けて生成される。これらはデジタル式に行われるため、化学処理を必要とせず、水なしに印刷が可能である。一つのジョブのすべての版は直接プレス上とレジスタに同時に画像を生成することができる。
【0022】
上記の説明から理解できるように、ほとんどの版被膜は、レーザによりデジタルで画像を生成することができる。高速色素増感感光性ポリマー、ハロゲン化銀、電子写真およびアブレーション版はデジタルシステムと結合して、CTP(computer to plate)システムを可能とした。このため、プレートセッターがイメージセッターに代わることができる。従来から、可視光感光性版を使用するべきか赤外線撮像を使用するべきかの議論が行われている。
【0023】
1950年代、アルミニウム(AL)オフセット刷版は、世界的にオフセットプリンタのマスターとして広く使用されるようになった。アルミニウムオフセット版は、例えば、ベルギー国のAgfa−Gevaert of Mortse、Agfa社、日本国東京の富士、米国ニューヨーク州ロチェスターのコダックポリクローム社、日本国東京の三菱製紙株式会社、三菱などの会社で製造されている。図1は、「刷版」または「リト版」とも一般的に呼ばれる従来のアルミニウムオフセット刷版100の断面図である。アルミニウムオフセット版100は、アルミニウム基部102、電気機械的砂目立て処理部104、陽極酸化処理被膜106および感光性エマルジョン108を有している。砂目立てでは、ブラッシングまたは研磨剤の使用により機械的に、または化学的処理により微視的な粒状部を生成することができる。アルミニウムオフセット版の感光性被膜を、透明フィルムのポジティブまたはネガティブのマスター画像をフィルタとして用いて紫外線光源に露光してアルミニウムオフセット版に画像を生成する。版には顧客の好みに応じて、ポジティブまたはネガティブのフィルムに反応するエマルジョンと呼ばれる感光性被膜が利用可能である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0024】
撮像処理は、超高品質な画像を生成するが、有害な化学物質、処理に多くの手間がかかる、処理が遅いなど、いくつかの欠点もある。
【0025】
1970年以前まで刷版は、版下の写真複写により画像を生成していた。従来の撮像処理はマスターの写真をとることで始まり、特に限定されないが、例えば、静止カメラで写真をとって、ネガティブ(またはポジティブ)フィルムを現像して、印刷を行ってきた。フィルムは、刷版に対して固定して配設され、通常2分間紫外線光源に露光され、感光性エマルジョンを硬化(またはポジティブではエマルジョンを軟化)させる。版は、いわゆる現像液、洗浄剤で洗浄され、エマルジョンの露光されていない部分(ポジティブフィルムでは露光部分)が取り除かれる。その後版は、印刷のためオフセットプレスに取り付けられる。印刷する画像を表す残ったエマルジョンは、インクを引き付け、水を弾く。粒状のアルミニウム基部は、水を保持してインクが転写されないようにしている。
【0026】
1970年代になると、写真用イメージセッターは最初に低出力レーザを最初に使用してデジタルコンピュータファイルから直接フィルムを生成した。低出力レーザフィルムの生成処理によりフィルムを生成するカメラ工程は不要となり、実質的に品質を向上させた。低出力レーザフィルム生成処理は、それ以前の処理と同様に有害な化学物質を使用する。さらに、低出力レーザフィルム処理は通常、とても遅く、一枚のフィルムを生成するために数分間の時間を要することがある。
【0027】
また、1970年代にポリエステル印刷版が初めて販売された。ポリエステル印刷版の処理は、米国ニューヨーク州ロチェスターのゼロックス社製などの従来の電子写真複写機を使用してポリエステル版にトナーで画像を生成する工程を有する。ポリエステル版は極めて低品質の作業には十分であるが、従来から利用可能な電子写真技術と対比して画像品質がとても低く、使用可能回数も少ないため、極めて低品質の作業には適しているが、印刷業のほとんどの仕事には適していない。写真複写機が紙を受け付けるように設計されていることから、ポリエステルは印刷技術の基部として使用された。紙と同じようにポリエステルは絶縁体であるため、複写機は紙と同様の方法でポリエステル版にトナーの画像を生成することができる。残念ながら従来の電子写真複写機は、金属に直接画像を生成することはできない。
【0028】
1990年代初期にポリエステルをベースにした版がレーザプリンタに導入され、未だにこれらの製品は存在している。レーザプリンタを使用してポリエステル版に印刷する処理は、電子写真複写機の処理に似ているが、レーザプリンタの方が複写機の処理よりも品質が遙かに向上していた。直接画像ポリエステル版が今日利用可能であるが、通常のアルミニウムオフセットプリンタには、いくつかの理由から金属製マスターが好ましい。金属は、例えば、ポリエステルよりも遙かに安定性が高い。ポリエステル版と異なり、金属はオフセットプレスで引き伸ばされない。また、ポリエステルよりも様々なプレスおよび化学処理、インクで使用可能である。金属版は、ポリエステル版よりも遙かに過酷なプレスにも耐えられる。金属版はより高品質の画像とより多くの使用可能回数を実現する。残念ながら従来の金属版は従来のレーザプリンタまたは複写機で使用することはできない。
【0029】
1990年代後半、米国ニューヨーク州ハドソンのプレステック社、ベルギー国のAgfa−Gevaert of Mortse、Agfa社、米国イリノイ州ナイルズのABディック社などの会社で金属プレートセッターの販売が開始された。金属プレートセッターは高エネルギーレーザを使用して画像をアルミニウム金属版に焼き付ける。金属プレートセッター処理を使用する場合、高エネルギーレーザで加熱すると版に微視的な爆発を生じる材料でアルミニウム版は被覆する(図2を参照)。図2は、特に限定されないが、例えば、アルミニウム基部202、インク受容性被膜204、爆発層被膜206、透明水受容性層208を有した高エネルギーレーザ対応感光性金属版200の断面図である。爆発層206の上部には、特に限定されないが、例えば、シリコンなどの透明な被膜である水受容性被膜208が形成されている。この高エネルギーが高度に集中したレーザが透明な被膜208を介して爆発層206を加熱すると、微視的な爆発により版200の表面から透明被膜208を吹き飛ばし、下部のインク受容性層204を露光する。その後マスターをプレスに載せて複写しても良い。この技術の課題として、処理に使用する撮像機器および版の材料のコストが高いこと、処理に関わる速度が遅いことがあげられる。
【0030】
金属版の利点、およびレーザプリンタ撮像の利便性および環境に対する保全性を高める改善された印刷器および改善された刷版を提供することが必要である。
【課題を解決するための手段】
【0031】
本発明に係わる、コンピュータから金属への版セッティングを可能にする様々な典型的なシステム、装置、および導電性版について以下に説明する。本発明に係わる典型的な実施の形態として、導電性媒体を受けるための電気的に絶縁された媒体パスを提供する電子写真印刷器を備えた装置が提供される。
【0032】
典型的な実施の形態では、電子写真印刷器は媒体接触部を有し、前記媒体接触部のすべては電気的に絶縁されていても良い。
【0033】
別の典型的な実施の形態として、前記導電性媒体は、前記電気的に絶縁された媒体パス内の場合、アースされていない、帯電していない、および/または電源に接触していない。典型的な実施の形態で、媒体接触部は、絶縁体、非導電性材料、非導電性連結部、非導電性ネジ、非導電性ワッシャおよび/または絶縁性テープを有しても良い。
【0034】
別の典型的な実施の形態では、前記電子写真印刷器は、非導電性媒体とともに使用する場合、従来の電子写真印刷器に関する従来の印刷エンジンの速度と比較して減速した印刷エンジンの速度で作動することもできる。一つの典型的な実施の形態では、前記減速した印刷エンジンの速度はおよそ、3.33PPM、4PPM、5PPM、20PPM以下、28インチ/分、34インチ/分、および/または44インチ/分であっても良い。
【0035】
別の典型的な実施の形態では、前記電子写真印刷器は、非導電性媒体とともに使用する場合、従来の電子写真印刷器に関する従来の融着温度と比較して高温の融着温度を提供しても良い。他の典型的な実施の形態では、前記高温の融着温度は、約華氏400度でも良い。
【0036】
他の典型的な実施の形態では、前記電気的に絶縁された媒体パスは、丸められたパス、鋭い隅部を除去している、鋭い反りを除去している、バリを取っている、障害物を除去している、の少なくとも一つの構成を有しても良い。
【0037】
他の典型的な実施の形態では、前記導電性媒体は、金属、アルミニウムおよび/またはリトグレード(lithograde)アルミニウムを含んでも良い。
【0038】
他の典型的な実施の形態では、電子写真処理の使用に適した導電性材料を含むことを特徴とする版が提供される。
【0039】
他の典型的な実施の形態では、前記導電性材料はアルミニウムを含んでも良い。一つの典型的な実施の形態では、前記導電性材料は、リトグレードアルミニウムを含んでも良い。一つの典型的な実施の形態では、前記リトグレードアルミニウムは厚さが5ミル、6ミル、8ミル、10ミルおよび/または12ミルでも良い。
【0040】
他の典型的な実施の形態では、前記版は、非直角の隅部を少なくとも一つ有しても良い。一つの典型的な実施の形態では、前記非直角の隅部は、丸められた隅部、返り取りされた隅部および/または面取りされた隅部の少なくとも一つであっても良い。さらに別の実施の形態では、前記非直角の隅部は、複数の角度で形成されても良い。一つの典型的な実施の形態では、前記複数の角度はそれぞれ60度以下であっても良い。
【0041】
さらに本発明に係わる別の典型的な実施の形態では、前記版は、保護端部を有しても良い。ある典型的な実施の形態では、前記保護端部は、特に限定されないが、例えば、マスキングテープなどのテープ、薄い高温プラスチックスリーブまたはその他の部材、ディップワックス(dipped wax)またはその他の物質、バリのない端部および/または鈍い端部の少なくとも一つを有しても良い。
【0042】
本発明に係わる典型的な実施の形態では、版はアルミニウム基部、電気機械的砂目立て、陽極酸化被膜により構成されても良い。
【0043】
本発明に係わる他の典型的な実施の形態では、版は基本的にアルミニウム基部、陽極酸化被膜、電気機械的砂目立てにより構成されても良い。
【0044】
さらに本発明に係わる他の典型的な実施の形態では、版は感光性エマルジョン無しにアルミニウム基部、電気機械的砂目立て、陽極酸化被膜により構成されても良い。
【0045】
さらに本発明に係わる他の典型的な実施の形態では、版は切り出しし、袋詰めにして完成パッケージ製品として出荷されても良い。
【0046】
さらに本発明に係わる他の典型的な実施の形態では、前記版は、非直角の隅部および先頭の保護端部を有し、および/またはパッケージ製品の一部を構成しても良い。
【0047】
さらに本発明に係わる他の典型的な実施の形態では、前記版は、ルミニウム製基部および吸水性被膜を有し、感光性エマルジョンの無い構成を有しても良い。
【0048】
さらに本発明に係わる他の典型的な実施の形態では、前記導電性材料は金属版を有しても良い。一つの典型的な実施の形態では、前記版はさらに吸水性層を有しても良い。
【0049】
さらに本発明に係わる他の典型的な実施の形態では、前記版は、金属版、電気機械的砂目立て、および陽極酸化被膜を有しても良い。
【0050】
さらに本発明に係わる他の典型的な実施の形態では、前記版は、基本的に金属版、電気機械的砂目立て、および陽極酸化被膜から構成されても良い。
【0051】
さらに本発明に係わる他の典型的な実施の形態では、前記版は、金属版、電気機械的砂目立て、陽極酸化被膜を有し、感光性エマルジョンの無い構成を有しても良い。
【0052】
さらに本発明に係わる他の典型的な実施の形態では、前記版は、前記導電性材料の砂目立ておよび陽極酸化の後直ちにパッケージ製品として仕上げられる構成を有しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0053】
本発明の様々な典型的な特徴および長所は、以下の詳細な説明と添付の図面を参照して明らかになる。参照番号は同一の、機能的に類似した、および/または類似した構成要素には同一の参照番号を付している。参照番号の左端の数字は構成要素が最初に示された図番を示している。
【図1】本発明に係わる典型的な実施の形態の従来のアルミニウム刷版の断面図である。
【図2】本発明に係わる典型的な実施の形態の高エネルギーレーザ対応感光性金属版の断面図である。
【図3】本発明に係わる典型的な実施の形態の電子写真印刷器を説明するブロック図である。
【図4】本発明に係わる典型的な実施の形態の電子写真印刷器の詳細を説明するブロック図である。
【図5】本発明に係わる典型的な実施の形態で使用可能な典型的な媒体パスを説明する電子写真印刷器の断面図である。
【図6】本発明に係わる典型的な実施の形態の丸められた隅部を有したアスペン設計の導電性版と従来の刷版を比較する図である。
【図7】本発明に係わる典型的な実施の形態の導電性版の前方の端部のマスキングテープ防護部を示す図である。
【図8】本発明に係わる典型的な実施の形態の導電性版を示す図である。
【図9】本発明に係わる典型的な実施の形態の版にトナーを付着させるために使用することができる高輝度光源を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0054】
以下、本発明に係わる実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0055】
(第1の実施の形態)
本発明に係わる好ましい実施の形態について詳細に説明する。複数の実施の形態について具体的に説明をするが、以下の説明は例示的なものであり、本発明に係わる精神と範囲を逸脱しない限りにおいて様々な変形形態を想到可能であることが当業者には理解される。
【0056】
本発明は、金属版への画像の電子写真複写を可能にするシステムに関するものである。本発明はアルミニウムをベースとした低コストで環境に優しく、高速な版セッティングシステムである。
【0057】
典型的な環境として、米国アラバマ州のXante'Corporation of Mobileから市販されているIMPRESSIATMプレートセッター版セッティングシステムが含まれる。本発明に係わる典型的な実施の形態は、解像度が、特に限定されないが、例えば、2400ドットパーインチ(dpi)以上の、特に限定されないが、例えば、日本国東京の富士ゼロックス社から市販されている、富士ゼロックス社製Max電子写真印刷エンジンなどの電子写真印刷エンジンなどをベースにすることができる。
【0058】
通常、レーザプリンタと呼ばれる電子写真印刷器は、一続きのドットを印刷媒体に印刷することにより画像を生成するように設計されている。この画像は、通常、ドラムと呼ばれる写真感光材の荷電表面を特定の速度で走査する高度に収束された光源により生成される。この光源は、露光される領域と露光されない領域を設けて写真感光材に所定のパターンを形成するように変調されている。光源により感光された領域は、写真感光材に印刷する画像に応じた荷電パターンを帯電させる。感光材の感光領域にトナー粒子が引き付けられ、このトナーが印刷媒体に転写されることにより、最終的な印刷物が生成される。
【0059】
電子写真印刷エンジンの多くは、例えば、日本国東京のキャノン社、日本国東京の富士ゼロックス社、米国ケンタッキー州のレキシントン、レクスマーク社、日本国東京のミノルタ社、日本国東京の東芝社など、いくつかの大手メーカによって開発されている。図3および図4を参照して、マーキングエンジンに印刷するページを電子フォーマットで記載するグラフィックコントローラ302を備えた電子写真印刷エンジンを追加した一般的なレーザプリンタについて説明する。重要な顧客のニーズは最高品質のポジティブ出力であるため、これらの機器はそれぞれ、可能な限り最良のポジティブの紙出力を生成するように工場出荷時に設定されている。これらのベンダーは固体レーザを使用して、レーザ強度をわずかに変更させることもできる。
【0060】
上述のように、使用可能なOEM(相手先ブランド製造)の印刷エンジンが多く存在する。プリンタコントローラ開発者は、コントローラ302、303をこれらのOEM印刷エンジンに統合して印刷を差別化し、市場シェアを拡大しようとしている。一般的に機能は、エミュレーション、フォント、処理性能などコントローラに依存している。電子写真プリンタで、RAMをベースとする印刷するページの画像は、グラフィックコントローラ302でマーキングエンジンの解像度で生成しても良い。グラフィックコントローラ302は、マーキングエンジンの機械的な部分を制御することができる他のコントローラ303と通信するようになっている。この機械部コントローラ303は通常、直流(DC)コントローラ303と呼ばれ、他のタスクの中で、特にエンジンの2つのキー要素の一次制御を有している。メインモータは、マーキングエンジンのあらゆる媒体の動きに反応して動作するようになっている。レーザスキャナ305は、レーザビームを反射するために用いられる回転ミラーの回転に反応して動作しても良いため、移動する写真感光性ドラムを介してレーザビームを走査しても良い。
【0061】
グラフィックコントローラ302がDCコントローラと通信して印刷処理を開始すると、DCコントローラ303はメインモータ304およびレーザスキャナモータ305をスタートするようになっている。紙はこの時点で移動を開始する、またはメインモータ304により移動を制御されるようになっている。ページのデジタル画像は感光性ドラムに転写されるようになっている。この転写が行われる速度は、マーキングエンジンの速度と比例しても良い。ドラムはトナー容器を介して回転し、トナーがドラムの感光領域に引き付けられるようになっている。従来、トナーは、媒体の後部に配設された高電荷ローラに引き付けられてドラムから離脱し、媒体に遮られ、通常は紙に転写されるようになっている。この媒体はその後、フュージングローラ、すなわちフューザ306により加熱され、トナーは紙に融着する。
【0062】
本発明を、例えばレーザビームプリンタなどの電子写真印刷に適用した場合について図3、図4及び図5を参照して説明する。また、本発明はLEDプリンタなど、その他の形式の電子写真印刷にも適用可能であることが理解される。LEDプリンタにはレーザスキャナ部が存在しない。ドラム表面に画像を生成するレーザの代わりに、一連のLEDがドラム表面を横切って配置されており、一つ一つのLEDがそれぞれドットパーインチ(dpi)の解像度を有している。この場合、品質の良い画像を生成するためにすべてのLEDの電力は同時に調整される。電子写真印刷では、画像は最初にコンピュータで生成されても良い。コンピュータのユーザは、希望するプリンタの印刷能力に合った適切なドライバソフトウェアをホストソフトウェアへインストールしても良い。印刷時、ドライバは印刷を希望する画像を、印刷デバイスのコントローラが解釈可能な言語(例えばPostScript TMなど)の言語のデータに変換しても良い。データは、通常、プリンタに常駐しているインテリジェントグラフィックコントローラ302に転送されるようになっている。このデータからグラフィックコントローラ302は、特に限定されないが、例えば、デジタルランダムアクセスメモリ(DRAM)415などのそのメモリに印刷するページの正確な画像を生成する。
【0063】
グラフィックコントローラ302は、ホストコンピュータから特定のインタフェースを介してデータを受信する機能、データを印刷するページを表す電子画像に翻訳する機能、および画像データをマーキングエンジンに転送する機能の3つの主な機能を有するようになっている。グラフィックコントローラ302は、中央処理部(CPU)408により制御されるようになっている。CPU408は、リセットジェネレータ409からリセット信号を受け取るようになっている。CPU408は、CPU水晶振動子410からクロック入力を受け取る。CPU408自体は、メモリ、特に限定されないが、例えば、リードオンリメモリ(ROM)411に保存された命令を実行する、特に限定されないが、例えば、32ビットマイクロプロセッサでも良い。ROM411は、文字を生成するデータ、ホストコンピュータからの情報を翻訳するデータ、CPU408の命令を保存するために使用されるようになっている。グラフィックコントローラ302はまた、例えば、ユーザにより指定されたセットアップ情報、ページカウント情報などを停電時でも消えることのないように保存する、別のメモリ、特に限定されないが、例えば、不揮発性RAM(NVRAM)412を備えている。フロントパネルインタフェース413を用いて、特に限定されないが、例えば、セットアップ情報をグラフィックコントローラ302に入力するために使用するボタンキーやプリンタの状態を表示するLCDモジュールなどと通信するようになっている。メインデコーダおよびコントロール414はCPU408の実行サイクル時に周辺回路へのアクセスの許可不許可を判断し、それぞれの周辺回路が要求するタイミング特性に応じて制御信号を供給するようになっている。CPU408はDRAM415を使用して、CPU408の現在の実行パラメータに関する情報を保存しても良く、ホストコンピュータからのデータを保存しても良く、また生成し、印刷するページのビットマップ画像を保存しても良い。パラレルインタフェース416は、ホストコンピュータからグラフィックコントローラ302へのこのインタフェースを介してデータ転送を制御するようになっている。シリアルインタフェース417は、ホストコンピュータがデータを直列に転送する場合に、グラフィックコントローラ302とホストコンピュータの間のデータ転送を制御しても良い。当然のことながら、当業者には自明のように、特に限定されないが、例えば、ユニバーサルシリアルバス(USB)などの代替のインタフェースバスを使用しても良い。小型コンピュータシステムインタフェース(SCSI)インタフェース418を使用して、特に限定されないが、例えば、ホストコンピュータからのフォントを記憶するハードディスク、メインDRAM415の拡張メモリなどの記憶装置を制御しても良い。DRAM415のメモリ空間が枯渇した時、速度は遅くなるがハードディスクを使用しても良い。イーサネットまたは代替のネットワークを介して転送することが望まれる場合、特に限定されないが、例えば、イーサネットインタフェースなどのネットワークインタフェース419を使用してホストコンピュータからのデータを制御しても良い。エンジン制御およびステータス回路420は、DCコントローラ303との双方向通信に反応して動作するようになっている。ビデオデータ制御回路421は、ページの印刷時、DCコントローラ303にデータが転送される際の画像データの適切な生成およびタイミングに反応して動作するようになっている。画像データの転送速度は、ビデオクロック振動子422のクロックレートで指定しても良い。
【0064】
グラフィックコントローラ302はプリンタ内部に配設された別のコントローラと通信し、例えばプリンタが印刷の開始準備を完了したなどの情報をやりとりしても良い。通常、DCコントローラ303と呼ばれる、第2コントローラは、特に限定されないが、例えば、紙詰まり、紙のサイズ、オプションのトレイ、溶融温度など、検出されたエラーをレポートしても良い、メインモータ304、スキャンモータ305、フューザ306、各種センサ307の制御に反応して動作しても良い。
【0065】
DCコントローラ303は、メインモータ304およびスキャナーモータ305に回転開始の信号を送るようになっている。この時、静電気ドラム426の表面全体はクリーニングされ、再び帯電されても良い。クリーニングは、ドラム526の表面をかき落として、トナー粒子の残りを取り除くラバークリーニングブレード533を用いて行っても良い。ドラム526の表面はまた、特に限定されないが、例えば、数百ボルトの電磁場などを用いた荷電の消去により静電気でクリーニングしても良い。DCコントローラ303により適度な速度と紙の動きが検出されると、コントローラはグラフィックコントローラ302にプリンタがページの画像化開始準備ができたことを通知するようになっている。グラフィックコントローラ302は、通常、ビデオデータと呼ばれるデータをDCコントローラ303へ、1ラインずつ増加しながらレーザプリンタの速度に比例した所定の速度で転送する処理を開始するようになっている。同時に、DCコントローラ303はビデオデータをレーザ523に送り、DRAM415の印刷しているページの画像に応じてレーザ523にオンオフのパルスを送るようになっている。
【0066】
レーザビーム523は、電力の供給または停止によりオンオフされる固体レーザにより生成されても良い。レーザ523により生成される光は、コリメータレンズ524(図示されていない)によりスキャナーモータ305上部の回転ミラー525(図示されていない)に高度に収束されても良い。回転ミラー525は、写真感光性円筒形ドラム526の表面を横断する高度に収束されたレーザ523ビームをスウィープできるように、6面の回転多角形ミラーでも良い。レーザ523により帯電していないドラム526の領域は、特に限定されないが、例えば、−600ボルトのポテンシャルに留まっても良い。レーザ523により帯電したドラム526の領域は、特に限定されないが、例えば、−100ボルトであっても良い。
【0067】
印刷処理時、DCコントローラ303は、紙528の動きを追跡するプリンタ内の各種センサ307をモニタするようになっている。DCコントローラ303は、エンジンの速度およびどのセンサ307が印刷処理のどの時点で紙を検出するかに関する情報でプログラムされても良い。該当するセンサ307が、プリンタの速度と合った時間フレームで紙検出をレポートしない場合、DCコントローラ303は、メインモータ303とスキャンモータ305の動きを停止し、エラーレポートをグラフィックコントローラ302にレポートするようになっている。
【0068】
印刷処理時にエラーが検出されなかった場合、レーザ423は、電子写真ドラム526の表面に正しい電力レベルで希望する印刷出力の正確な複製の画像を生成するようになっている。
【0069】
ドラム526はメインモータ304により速度制御されて現像液527(図示されていない)を介して回転するようになっている。トナーと呼ばれる現像液527の物質は、ドラム526の現在のポテンシャルが、例えば−100ボルトの領域に付着し、例えば−600ボルトの領域には付着しないようになっている。トナーは、特に限定されないが、例えば、6ミクロンから12ミクロンの間のサイズに粉砕された黒色のプラスチック樹脂で、鉄粒子と結合したものでも良い。鉄粒子は、現像液部527内に配設されて回転する円筒形磁石に引き付けられるようになっている。トナー粒子は、負のDC電源電圧に接続した円筒部に接触させて負に帯電させても良い。トナー粒子の負の電荷は、レーザビーム523により露光されたドラム526の領域に引き付けられる。
【0070】
紙は、電子写真ドラム526と同じ速度で移動しながら、ドラム526の表面に接触する。転写帯電ローラ534は、紙がドラム526を横切って移動する際に強い正の電荷を紙の裏面に付与する。正の帯電が強いほど、トナーはドラム527から紙に引かれていく。紙は、DCコントローラ303により制御される内部加熱ランプにより予め華氏360度に加熱され、紙とドラム526と同じ速度で回転するテフロンドラムのあるフューザ306へ移動し、トナーが溶けて、柔らかいバックローラの力でトナーは紙に押しつけられる。
【0071】
DCコントローラ303はレーザプリンタの機械的機能を制御するようになっている。プリンタは、水晶振動子のタイミングにより制御されるCPU428、ROM429、エンジン機能を検出し、スキャンモータ305を駆動する信号を制御する各種センサ307、メインモータ304、およびレーザビーム523を備えている。
【0072】
本発明に係わる典型的な実施の形態では、プリンタエンジン530(図示されていない)は、アラバマ州モービル群のXante' CorporationによりIMPRESSIAという製品名で販売されている、グラフィックコントローラ302を内蔵した富士ゼロックス社製20ページ/分レーザプリンタでも良い。
【0073】
レーザプリンタとも呼ばれる電子写真プリンタは従来、紙またはその他の非導電性材料に印刷を行うように設計されている。紙は電気絶縁体であるため、通常トナーが紙媒体に付着することを阻害し、画像品質を劣化させる静電荷に紙が帯電される場合がある。ポリエステル版媒体も絶縁体で、同様に静電荷に帯電される場合がある。電子写真は、電気的に帯電したトナーの移動をベースにしている。このため、品質の高い画像を生成するためには、紙から静電荷を除去する必要がある。静電荷を除去するためには適切に紙をアースしなければならない。ポリエステル版の場合も同様に、コンピュータがポリエステル版撮像を行う際、印刷媒体はアースをしてポリエステル版印刷媒体から静電荷を除去しなければならない。このため、従来の電子写真プリンタは、印刷媒体に接触して印刷媒体をアースする金属製のアースブラシなどを備えている。
【0074】
本発明に係わる典型的な実施の形態で、非絶縁体と定義された導電性版が使用される。典型的な導電性版は、特に限定されないが、例えば、アルミニウム(AL)版などの金属版を含む。典型的な実施の形態では、アルミニウム版は、特に限定されないが、例えば、Agfa社、富士社、コダックポリクローム社および三菱などのメーカから入手可能な改良版などのリトグレードアルミニウム版などの「リトグレード」アルミニウム版で良い。従来のリトグレードアルミニウム版を図1に示す。リトグレードアルミニウムは、例えば、日本国東京の三菱アルミニウム株式会社、ドイツ国のHydro Aluminium社などのメーカから入手可能な、超高純度(例えば純度99.9%)のロールを用いて製造しても良い。リトグレードアルミニウムは、感光性エマルジョン層に沿って砂目立て処理されて陽極酸化されたタイプの超高純度アルミニウムを有している。砂目立て処理されて陽極酸化され、感光性エマルジョン層で被覆された超高純度アルミニウムのロールは、従来、長方形の版に切り出され、袋詰めされ、包装されて完成品として出荷された。本発明に係わる導電性版は、従来の包装されたリトグレード版とは異なり、感光性エマルジョン層を有していない。本発明は、感光性エマルジョンのない砂目立て処理されて陽極酸化されたアルミニウム版を切り出し、端部を保護し、袋詰めにして完成品として出荷する。リトグレードアルミニウムには特に限定されないが、例えば、5、6、8、10、12ミルなどの厚さのものがある。本発明に係わる典型的な実施の形態では、6ミル(0.15ミリ)のアルミニウム版が使用可能である。
【0075】
本発明に係わるリトグレードアルミニウム版などの導電性版では、従来の絶縁性印刷媒体とは異なり、電荷を通電し、静電気を保持しない。導電性版は、従来のようにアースされた場合、撮像ドラムから導電性版の表面まで高品質にトナーを転写できない。本発明に係わる典型的な実施の形態では、導電性版を受ける完全に電気的に絶縁された媒体パスを有した電子写真プリンタを含み、トナーは撮像処理の間中転写されるようになっている。本発明に係わる電子写真プリンタは、媒体パスを電気的に絶縁するため、導電性版を絶縁してトナーを転写できるようにしている。特に、典型的な実施の形態では、従来の媒体パスのすべての金属部材は非導電性部材に交換されても良い。例えば、金属製のネジとワッシャは、絶縁体、特に限定されないが、例えば、プラスチック製のネジとワッシャに交換されても良い。あるいは、部材をその他の非導電性材料から製造しても良い。媒体パスを介した導電性版の処理が行われている間、導電体もまた電気的に絶縁されていない限り、導電性版は導電体と接触してはいけない。導電性版の一部がフューザを通過してトナーが導電性版に融着している間に、同じ導線性版の他の部分に画像が生成されることに注意する必要がある。このため、本発明は、導電性版を受け取る完全に電気的に絶縁された媒体パスを備えた電子写真プリンタを提供する。
【0076】
紙またはポリエステルを用いた従来の電子写真処理は、アルミニウム版などの導電性版上にトナー融着を起こさない。アルミニウムおよびその他の導電性版は熱伝導性であるが、紙やポリエステルは絶縁体であるため、トナーは、絶縁性媒体に使用するのと同様のレベルの熱および加熱時間では溶解しないことがわかっている。トナーの画像を導電性版に融着させるためには、融着時間を長くして、融着温度を高くすることが望ましかった。本発明に係わる典型的な実施の形態では、典型的な0.15ミリ(6ミル)のアルミニウム版を使用してトナーを導電性媒体に融着させる場合、従来の絶縁性媒体で使用した場合よりも多くの熱量と多くの加熱時間を用いる。特に、一つの典型的な実施の形態では、印刷エンジンの速度を、特に限定されないが、例えば、3.33ページ/分(PPM)(約28インチ/分(ipm))、5ページ/分(約44ipm)、または4PPM(約34ipm)に落とし、融着温度、特に限定されないが、例えば、約華氏400度となるようにして、トナーをアルミニウム版に融着するようにしても良い。これに対して、従来のレーザプリンタは温度を華氏400度とした場合、40PPMの速度で絶縁性媒体に画像を生成することができる。別の典型的な実施の形態では、本発明を組み合わせた融着後処理を行う。融着後処理は、従来のオーブンに相当する外部の焼き付け器で版上のトナーを華氏400度で焼くようにしても良い。
【0077】
図9は、本発明に係わる典型的な実施の形態のトナーを版に付着するために使用可能な機器の図である。本発明に係わる典型的な実施の形態では、高輝度光源(例えばハロゲン球など)を囲むか、あるいは部分的にミラー付きのチャンバで版に沿って部分的に囲み、引き付けられたトナーを使用してトナーを金属版に付着させても良い。典型的な実施の形態では、部屋は、光源からの光を集中させるか、あるいは導いて、熱をトナーの方向に放射する2枚の反射板を備えても良い。一つの典型的な実施の形態では、版は放射熱源の吸収熱を使用して融着しても良い。典型的な実施の形態では、放射融着を用いてトナーを金属に付着させても良い。光源は熱を放射してトナーを融着させる。一つの典型的な実施の形態では、鏡を用いて光を特定の方向に集中または導いても良い。
【0078】
本発明に係わる別の典型的な実施の形態では、各種の特徴を有した導電性版を提供することができる。従来、刷版は常に、上部に所定の種類の感光性エマルジョンを有した砂目立て処理された陽極酸化アルミニウムのベースで製造された。本発明に係わる典型的な実施の形態のアルミニウム版は、砂目立て処理された陽極酸化アルミニウムの上に感光性エマルジョン(LSE)層を有していない。本発明によると、電子写真レーザ印刷エンジンによりトナーに画像を生成して融着させる代わりに、導電性版のインク受容性層を用いる。本発明に係わる導電性版は、砂目立て処理された陽極酸化アルミニウムのみを有しても良い。陽極酸化処理はリトグレードアルミニウムに強度を付加する。砂目立て処理により吸水性被覆を生成することができる。以前、砂目立て処理は、アルミニウム版の表面を切削して行っていた。現在、砂目立て処理は、アルミニウムの表面に溝を生成する化学処理により行われている。別の典型的な実施の形態ではアルミニウムと吸水性被覆を使用しても良い。
【0079】
別の典型的な実施の形態では、上述した本発明に係わる電子写真から金属への処理(ETM: electrophotography to metal)またはコンピュータから金属への処理(CTM:computer to metal)を用いてアルミニウム以外の別の導電性導電性材料に画像を生成しても良い。従来、インクをインクジェットプリンタから金属に付着させてサインを生成することもあった。本発明を用いると、電子写真を用いて金属またはその他の導電体にトナーを付着させることができる。本発明を用いて、例えば、トナーで金属に画像を生成してサインを生成しても良い。
【0080】
別の本発明に係わる典型的な実施の形態は、電子写真レーザ印刷処理で使用する感光性電子写真ドラムの破損を回避する版を提供する。従来の公知の金属性オフセット版はすべて、図6に示すように鋭い90度の隅部を有した長方形の形状である。図6の図600は、90度(直角)の隅部606を有した従来の導電性版602を示している。図6はまた、丸められた隅部608を有したアスペン(Aspen)版設計と呼ばれる改良型導電性版設計604を有した本発明に係わる典型的な実施の形態も示している。従来の隅部606は曲がりやすい。隅部606は折れ曲がると、電子写真印刷ドラムまたはフューザの表面に傷を付けやすくなり、多大の費用がかかることがある。この従来の導電性版の問題を解決するため、図6に示すように、少なくとも先頭の隅部、可能な場合はすべての隅部608を丸くする、またはそれぞれが60度以下の複数の角度で形成されることが良い。アスペン版604の丸められた隅部608は、従来の直角の隅部606と比較して遙かに強度を増し、ドラムまたはフューザの破損の発生を低減する。
【0081】
図7の図700は、本発明に係わる別の典型的な実施の形態のアスペン版設計の保護スリーブ702を示している。アスペン版604は丸められた隅部608と版の少なくとも先頭の端部に保護被覆702を有して示されている。保護スリーブ702は版前方の端部を鈍くしているため、プリンタ媒体パスを介した搬送をスムーズにしている。媒体パスを介した搬送時に版604の前方の端部は保護されるため、例えば、バリなどが当たって版の搬送が妨げられるなど、鋭い端部を有した版604による紙詰まりの発生を防止している。保護スリーブ702はさらに、ドラムまたはフューザに傷が付くことを防止している。版604の先頭の鋭い端部を鈍くすることにより、搬送時に版が擦られたり、媒体パスの凹凸部により引っかからないようにしている。いくつかの典型的な実施の形態で、保護スリーブは、特に限定されないが、例えば、薄い高温保護プラスチックスリーブ、テープ、電気テープ、マスキングテープ、ディップワックス(dripped wax)、プラスチックまたはその他の材料で先頭の端部を被覆しても良い。典型的な実施の形態では、図700に示すように、スリーブ702は1/4インチ幅で、版の横幅全体を覆うようにしても良い。また、当業者には自明なその他の保護被覆を使用しても良いことは言うまでもない。
【0082】
図8は、本発明に係わる典型的な実施の形態の導電性版800を示す図である。導電性版800は、導電性基部と吸水性層を有している。一つの典型的な実施の形態では、導電性版800は、アルミニウム基部802、砂目立て層804および陽極酸化層806を有している。アルミニウム基部層802は公知の各種処理を用いて陽極酸化処理しても良い。アルミニウム基部層802は公知の各種処理を用いて電気化学的に砂目立てを行っても良い。
【0083】
本発明に係わる様々な実施の形態について説明したが、上記説明は例示的なものであり、本発明を限定するものではない。したがって、本発明の範囲は、上記の実施形態ではなく、特許請求の範囲およびその同等物によってのみ定義される。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性媒体を受け取るための電気的に絶縁された媒体パスを有した電子写真印刷器を備えた装置。
【請求項2】
前記電子写真印刷器は媒体接触部を有し、前記媒体接触部のすべては電気的に絶縁されていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記導電性媒体は、前記電気的に絶縁された媒体パス内の場合、アースされていない、帯電していない、電源に接触していない、の少なくとも一つであることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記電子写真印刷器は、非導電性媒体とともに使用する場合、従来の電子写真印刷器に関する従来の印刷エンジンの速度と比較して減速した印刷エンジンの速度で作動することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記減速した印刷エンジンの速度はおよそ、3.33PPM、4PPM、5PPM、20PPM以下、28インチ/分、34インチ/分、および44インチ/分の少なくとも一つであることを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記電子写真印刷器は、非導電性媒体とともに使用する場合、従来の電子写真印刷器に関する従来の融着温度と比較して高温の融着温度を有することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記高温の融着温度は、約華氏400度であることを特徴とする請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記電子写真印刷器は、トナーを媒体に完全に付着するために必要な温度と比較して低温の融着温度を有し、その後媒体は焼き付け器の内側におかれてトナーの媒体への融着処理を完成することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記電子写真印刷器は、高輝度光源による放射融着でトナーを媒体に付着させることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記電気的に絶縁された媒体パスは、丸められたパス、鋭い隅部を除去している、鋭い反りを除去している、バリを取っている、障害を除去している、の少なくとも一つの構成を有していることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記導電性媒体は、金属、アルミニウムおよびリトグレード(lithograde)アルミニウムの少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項12】
電子写真処理の使用に適した導電性材料を含むことを特徴とする版。
【請求項13】
前記導電性材料は、アルミニウムを含むことを特徴とする請求項12に記載の版。
【請求項14】
前記導電性材料は、リトグレードアルミニウムを含むことを特徴とする請求項12に記載の版。
【請求項15】
前記リトグレードアルミニウムは厚さが5ミル、6ミル、8ミル、10ミル、12ミルの少なくとも一つであることを特徴とする請求項14に記載の版。
【請求項16】
前記版は、非直角の隅部を少なくとも一つ有することを特徴とする請求項12に記載の版。
【請求項17】
前記非直角の隅部は、丸められた隅部、返り取りされた隅部および面取りされた隅部の少なくとも一つであることを特徴とする請求項16に記載の版。
【請求項18】
前記非直角の隅部は、複数の角度で形成されることを特徴とする請求項16に記載の版。
【請求項19】
前記複数の角度はそれぞれ60度以下であることを特徴とする請求項18に記載の版。
【請求項20】
前記版は、保護端部を有することを特徴とする請求項12に記載の版。
【請求項21】
前記保護端部は、テープ、マスキングテープ、薄い高温プラスチックスリーブ、ディップワックス(dipped wax)、バリのない端部、鈍い端部の少なくとも一つを有することを特徴とする請求項20に記載の版。
【請求項22】
アルミニウム基部、電気機械的砂目立て、陽極酸化被膜により構成されることを特徴とする請求項12に記載の版。
【請求項23】
基本的にアルミニウム基部、陽極酸化被膜、電気機械的砂目立てにより構成されることを特徴とする請求項12に記載の版。
【請求項24】
感光性エマルジョン無しにアルミニウム基部、電気機械的砂目立て、陽極酸化被膜により構成されることを特徴とする請求項12に記載の版。
【請求項25】
前記版は、切り出しし、袋詰めにして完成パッケージ製品として出荷されることを特徴とする請求項24に記載の版。
【請求項26】
前記版は、非直角の隅部および先頭の保護端部を有し、パッケージ製品の一部を構成することを特徴とする請求項24に記載の版。
【請求項27】
前記版は、ルミニウム製基部および吸水性被膜を有し、感光性エマルジョンの無いことを特徴とする請求項12に記載の版。
【請求項28】
前記導電性材料は金属版を有することを特徴とする請求項12に記載の版。
【請求項29】
さらに吸水性層を有することを特徴とする請求項28に記載の版。
【請求項30】
前記版は、金属版、電気機械的砂目立て、および陽極酸化被膜を有することを特徴とする請求項12に記載の版。
【請求項31】
前記版は、基本的に金属版、電気機械的砂目立て、および陽極酸化被膜から構成されることを特徴とする請求項12に記載の版。
【請求項32】
前記版は、金属版、電気機械的砂目立て、陽極酸化被膜を有し、感光性エマルジョンの無いことを特徴とする請求項12に記載の版。
【請求項33】
前記版は、前記導電性材料の砂目立ておよび陽極酸化の後直ちにパッケージ製品として仕上げられることを特徴とする請求項12に記載の版。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2007−536596(P2007−536596A)
【公表日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−513112(P2007−513112)
【出願日】平成16年6月25日(2004.6.25)
【国際出願番号】PCT/US2004/020389
【国際公開番号】WO2005/114321
【国際公開日】平成17年12月1日(2005.12.1)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.イーサネット
2.テフロン
【出願人】(503181244)シャンテ コーポレーション (1)
【Fターム(参考)】