説明

コンピュータ

【目的】ローカルエリアネットワーク(以下LANと呼ぶ)に接続されるコンピュータにおいて、LAN制御部のみをホットスタンバイ状態にし、LANからの要求でコンピュータの電源立ち上げを行う。
【構成】コンピュータ本体とは別電源を供給されるLAN制御部4と、LAN2からの電源立ち上げ要求を監視するファームウェアと、ソフトウェアで制御可能な電源装置5と、LAN制御部4と電源装置5を結ぶ信号線により構成される。
【効果】LANに接続されたコンピュータの電源制御を他のコンピュータより自由に行うことができるため、機能分散環境において電源の立ち上がっていないコンピュータの機能を容易に利用することができる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はLANとのインタフェースをもつコンピュータに関する。
【0002】
【従来の技術】従来のこの種のコンピュータには、LANとは別の電源制御用ケーブルを設けてリモートでの電源制御を可能にしたものがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】この従来のコンピュータでは、LANとは別に電源制御用ケーブルを設けているため、コンピュータの設置上大きな負担となる。また、電源制御用ケーブルを使用しない場合には、LANにつながれた別のコンピュータからシャットダウンのコマンドを投入することにより電源を落とすことは可能であっても、電源を立ち上げることは出来なかった。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明のコンピュータは、本体の電源が落ちている状態においても電源供給されており、ローカルエリアネットワークを介して投入される電源立ち上げのコマンドを検出すると、電源装置を立ち上げるLAN制御部を設けたことを特徴とする。
【0005】
【実施例】次に、図面を参照しながら本発明の詳細を説明する。図1は本発明における一実施例のブロック図である。図中において、1は電源立ち上げコマンドを投入するコンピュータ,2はローカルエリアネットワーク(LAN),3はLAN制御部ホットスタンバイ方式のコンピュータである。
【0006】まず、コンピュータ3の電源が落ちていて、LAN制御部ホットスタンバイ機能が動作している場合を考える。この場合、通常電源11,12は供給されず、ホットスタンバイ電源9のみが供給されている。LAN制御部4は、常時LAN2を流れるパケットを監視するファームウェアを動作させる。
【0007】LAN2がEthernet(IEEE802.3)の場合、TCP/IPのパケットはEthernetフレームの宛先アドレスとしてMACアドレス、IPヘッダの宛先アドレスとしてインタネットアドレスを備えている。
【0008】インタネットアドレスを識別するためにはTCP/IPドライバを備えたオペレーティングシステムが動作している必要があるが、I/O制御部6と内蔵周辺装置7は動作していないため、コンピュータ3は自分のインタネットアドレスを識別することはできない。
【0009】そのため電源立ち上げコマンドのパケットはLAN制御部4だけで認識可能なMACアドレスを使用し、自分に対する電源立ち上げコマンドのパケットを監視するファームウェアをLAN制御部4で動作させておく。
【0010】次に、コンピュータ1よりコンピュータ3に対する電源立ち上げコマンドのパケットが発生した場合を考える。LAN制御部4はこのパケットを捕られ、MACアドレスよりコンピュータ3への電源立ち上げコマンドであることを認識する。そこで、電源立ち上げ信号8を発生して電源装置5に対して通常電源11および12を供給させる。これにより、システム全体が立ち上がる。
【0011】システム立ち上げ後は、オペレーションシステムまたはオペレーションシステムのブートプログラムにてLAN制御部4に対し、通常のLAN制御部として動作させるためのファームェアを実行させる。
【0012】電源を落とす場合には、コンピュータ3においてソフトウェアで電源を落とす機能が実現されていれば、通常のTCP/IPプロトコルでコンピュータ1よりコンピュータ3へのシャットダウンコマンド等の電源立ち下げコマンドを投入すればよい。
【0013】LAN制御ホットスタンバイの状態に移行するためには、電源立ち下げコマンドにてLAN制御部4に対し、電源立ち上げコマンドのパケットを監視するファームウェアを実行させる。
【0014】LAN2からの電源立ち上げを必要としない場合には、ホットスタンバイ電源9を供給する必要はない。この場合には、電源装置5を完全に落とすことが可能になる。
【0015】LAN制御部4で動作させるファームウェアは、自分に対する電源立ち上げコマンドのパケットを監視する他に他のコンピュータからの問い合わせ対し、LAN制御ホットスタンバイ方式を備えていることを通知する機能を備えていると有効である。これにより、LAN制御部ホットスタンバイ方式を備えているコンピュータとLAN制御部ホットスタンバイ方式を備えていないコンピュータを容易に識別することができる。
【0016】コンプータ3がLAN制御部ホットスタンバイの状態にあるときにはAddress Resolution ProtocolでインタネットアドレスからMACアドレスの求める問い合わせを受けてもコンピュータ3が答えることは出来ない。そのため、あらかじめコンピュータ1はシステム管理者がコンピュータ3のMACアドレスを登録しておく必要がある。
【0017】
【発明の効果】本発明ではLANとは別に電源制御用ケーブルを設けることなく、LANにつながれた他のコンピュータより電源制御を行うことが可能になるため、これにより機能分散されたネットワークコンピューティング環境において、1台のコンピュータの前に居ながらにして電源の立ち上がっていない他のコンピュータを立ち上げ、そのコンピュータの機能を利用することが出来るようになる。
【0018】さらにファイルサーバ,プリンタサーバ,通信サーバ,計算サーバなどが存在する複雑なネットワークコンピューティング環境において、コンピュータ利用者が自分の業務に必要なコンピュータを完全に把握することは容易ではないが、このような場合においてもLANを介してコンピュータの電源度ち上げを行うことが可能であれば、システム管理者の設定により業務に必要なコンピュータの自動立ち合げを実現することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例のブロック図である。
【符号の説明】
1 コンピュータ
2 ローカルエリアネットワーク(LAN)
3 コンピュータ
4 LAN制御部
5 電源装置
6 I/O制御部等
7 内蔵周辺装置
8 電源立ち上げ信号
9 ホットスタンバイ電源
10 通常電源
11 通常電源

【特許請求の範囲】
【請求項1】 本体の電源が落ちている状態においても電源供給されており、ローカルエリアネットワークを介して投入される電源立ち上げのコマンドを検出すると、電源装置を立ち上げるLAN制御部を設けたことを特徴とするコンピュータ。

【図1】
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