説明

コンベアチェーン装置

【課題】パネルの取付長さを軌跡の直線部及び円周部ともに一定に保持することにより、リンク長さが伸縮するような複雑な構造を採用することなく、長いパネルをチェーンに容易に取り付けることができるコンベアチェーン装置を提供すること。
【解決手段】長円状の軌跡でチェーン2を駆動するとともに、対向するチェーン2の間に搬送パーツ3を架設するようにしたコンベアチェーン装置において、1つのリンクに少なくとも3個のローラ5を、各ローラ5が前記軌跡の円周部に沿う円弧状に配列されるように、リンクプレート6に配設する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下水処理や河川排水処理を始めとして、各種産業機械に使用し得るコンベアチェーン装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、コンベアチェーン装置を用いた下水道の濾面循環式除塵機は、並設した長円状のレールに沿ってチェーンを駆動するとともに、対向するチェーンの間に複数のスクリーンパネルを架設し、該チェーンでスクリーンパネルを循環移動させることにより、スクリーンパネルで濾過したし渣を上部位置でホッパに回収するようにしている。
【0003】
このようなコンベアチェーン装置において、図5に示すように、複数のリンクに亘ってスクリーンパネル3を取り付ける場合、スクリーンパネル3の取付長さLは一定であるのに対し、レールの円周部ではチェーンが屈曲するため、この取付長さLが小さくなって取付長さL’となる(L’<L)。
なお、この従来のコンベアチェーン装置では、図において斜線で示すように、1リンクは1つのリンクプレートで構成されており、スクリーンパネル3は、3つのリンクに跨るように架設されている。
【0004】
したがって、従来のコンベアチェーン装置では、通常は複数リンクに亘ってスクリーンパネル等を取り付ける構造にできず、どうしても複数リンクに亘って取り付ける場合は、取付長さLからL’への変化に合わせて、リンク長さが伸縮するような構造が必要であった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記従来のコンベアチェーン装置が有する問題点に鑑み、パネルの取付長さを軌跡の直線部及び円周部ともに一定に保持することにより、リンク長さが伸縮するような複雑な構造を採用することなく、長いパネルをチェーンに容易に取り付けることができるコンベアチェーン装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明のコンベアチェーン装置は、長円状の軌跡でチェーンを駆動するとともに、対向するチェーンの間に搬送パーツを架設するようにしたコンベアチェーン装置において、1つのリンクに少なくとも3個のローラを、各ローラが前記軌跡の円周部に沿う円弧状に配列されるように、リンクプレートに配設したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明のコンベアチェーン装置によれば、長円状の軌跡でチェーンを駆動するとともに、対向するチェーンの間に搬送パーツを架設するようにしたコンベアチェーン装置において、1つのリンクに少なくとも3個のローラを、各ローラが前記軌跡の円周部に沿う円弧状に配列されるように、リンクプレートに配設したことから、パネルに合わせてリンクを長く形成し、パネルを1リンクで架設することができ、これにより、パネルの取付長さを軌跡の直線部及び円周部ともに一定に保持せしめて、リンク長さが伸縮するような複雑な構造を採用することなく、長いパネルをチェーンに容易に取り付けることができる。
また、1つのリンクでローラの個数を増やすことにより、ピッチを小さくして、駆動用スプロケットの径を小さくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明のコンベアチェーン装置の実施の形態を、図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0009】
図1〜図4に、本発明のコンベアチェーン装置の一実施例を示す。
このコンベアチェーン装置は、図4に示すように、例えば、下水道の濾面循環式除塵機に使用することができ、並設した長円状のレール1に沿ってチェーン2を駆動するとともに、対向するチェーン2の間に複数のスクリーンパネル3を架設し、該チェーン2でスクリーンパネル3を循環移動させることにより、スクリーンパネル3で濾過したし渣を上部位置でホッパ4に回収するようにしている。
そして、このコンベアチェーン装置は、1つのリンク(図1斜線部)に4個のローラ5を、各ローラ5がレール1の円周部1aに沿う円弧状に配列されるように、リンクプレート6に配設し、スクリーンパネル3を該リンクプレート6の両端に架設している。
【0010】
レール1は、パネル幅の間隔を開けて対向するように並設された1対のものからなり、各レール1は、上下の円周部1aと左右の直線部1bとで形成されている。
直線部1bでは、ローラ5の内側と外側にレール1、1’が敷設されるとともに、円周部1aでは、ローラ5の下側に1本のレール1が敷設されている。
【0011】
チェーン2は、その外側に駆動用スプロケット7を配設し、該駆動用スプロケット7がローラ5に噛合することにより駆動する。
ローラ5は、山型に形成したリンクプレート6に4個配設されるとともに、各ローラ5がレール1の円周部1aに沿う円弧状に配列されるように、リンクプレート6に配設するようにしている。
ローラ5は、レール1の直線部1bでは、両端の2個が内側のレール1上を転動し、中央の2個が外側のレール1’上を転動する。そして、レール1の円周部1aでは、すべてのローラ5が1本の同じレール1上を転動する。
【0012】
かくして、本実施例のコンベアチェーン装置は、長円状のレール1でチェーン2を駆動するとともに、対向するチェーン2の間にスクリーンパネル3を架設するようにしたコンベアチェーン装置において、1つのリンクに少なくとも3個のローラ5を、各ローラ5が前記レール1の円周部1aに沿う円弧状に配列されるように、リンクプレート6に配設することから、スクリーンパネル3に合わせてリンクを長く形成し、スクリーンパネル3を1リンクで架設することができ、これにより、スクリーンパネル3の取付長さをレール1の直線部1b及び円周部1aともに一定に保持せしめて、リンク長さが伸縮するような複雑な構造を採用することなく、長いスクリーンパネル3をチェーン2に容易に取り付けることができる。
また、1つのリンクでローラ5の個数を増やすことにより、ピッチを小さくして、駆動用スプロケット7の径を小さくすることができる。
【0013】
以上、本発明のコンベアチェーン装置について、その実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施例に記載した構成に限定されるものではなく、例えば、搬送パーツはスクリーンパネル以外のものも自由に採用し得るなど、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【0014】
本発明のコンベアチェーン装置は、パネルの取付長さを軌跡の直線部及び円周部ともに一定に保持することにより、リンク長さが伸縮するような複雑な構造を採用することなく、長いパネルをチェーンに容易に取り付けられるという特性を有していることから、河川や下水処理・浄水処理の除塵、搬送設備の用途に好適に用いることができるほか、例えば、一般産業・食品関連の除塵、搬送設備の用途にも好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明のコンベアチェーン装置の一実施例を示す部分正面図である。
【図2】同コンベアチェーン装置のチェーンを示し、(a)は(b)のA矢視図、(b)はチェーンの平面図、(c)は(b)のB矢視図、(d)はチェーンの底面図である。
【図3】同チェーンを示し、(a)は図2(b)のC矢視図、(b)は同D矢視図、(c)は同E矢視図である。
【図4】同コンベアチェーン装置を用いた濾面循環式除塵機を示す斜視図である。
【図5】従来のコンベアチェーン装置を示す正面図である。
【符号の説明】
【0016】
1 レール
1a 円周部
1b 直線部
2 チェーン
3 スクリーンパネル(搬送パーツ)
4 ホッパ
5 ローラ
6 リンクプレート
7 駆動用スプロケット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長円状の軌跡でチェーンを駆動するとともに、対向するチェーンの間に搬送パーツを架設するようにしたコンベアチェーン装置において、1つのリンクに少なくとも3個のローラを、各ローラが前記軌跡の円周部に沿う円弧状に配列されるように、リンクプレートに配設したことを特徴とするコンベアチェーン装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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