説明

コンベアチエインを構成するチエインユニット

【課題】1種類のチエインユニットで多種多様なベルト幅に対応可能なコンベアチエインのチエインユニットを提供する。
【解決手段】チエインユニットU1,U2は、リブ10から交互に延びて他のユニットの隣り合う突出部11に組み合わされる突出部11を有し、突出部11は、他のユニットと連結するための連結棒3を挿通できるように当該突出部11を横方向に延びた貫通孔を有し、この貫通孔につながる開口部13が、一例では全部の突出部11に形成され、連結棒3の抜けを制止するプラグ4を開口部13に挿入して係止可能となっている。ユニットの何処でカットしたとしても、ユニット端部に位置する突出部11には必ず開口部13があることになり、脱落防止用プラグ4を嵌め込むことができるので、同一形状のユニットを1つの金型で作成しておけば、適宜カットして幅を調整し、所望のベルト幅のコンベアチエイン1をつくることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のチエインユニットをベルト幅方向に連結することにより、ベルト幅を適宜変更できるようにしたコンベアチエインに関する。
【背景技術】
【0002】
コンベアチエインの進行方向に対して横方向に延びたリブをもち、該リブから進行方向前後に交互に突出部が形成され、この突出部を、進行方向前後の他のチエインユニットの突出部に組み合わせて連結することで構成されたコンベアチエインが知られている。このようなコンベアチエインは、そのチエインユニットを複数、ベルト幅方向(横方向)に同軸連結することで、ベルト幅を可変とすることが可能となっている。この種のコンベアチエインとしては特許文献1や特許文献2のようなものが知られている。
【特許文献1】特開昭63−258306号公報
【特許文献2】特開平6−227633号公報 しかしこれら特許文献1、2のようなコンベアチエインは、コンベアチエイン端部用チエインユニットは、チエインユニットを連結する連結棒の脱落制止用のプラグを挿入・係止する機能を端部突出部に持たせる為に、その端部突出部の形状がその他の突出部と異なっていて、端部用と中間部用との共用が不可能となり、コンベアチエインを構成するのに必要なチエインユニットの点数が多くなり、組み立てに際しても細心の注意と煩雑な手間を要する等の不具合があった。その対策として、特許文献3、4の如く、チエインユニット端部の連結棒制止用プラグ係止の形状を改善して共用可能とし、部品点数を低減したコンベアチエインが発案された。
【特許文献3】実開平7−009821号公報
【特許文献4】特開平10−157822号公報 これら特許文献3、4の技術の場合、チエインユニットの両端部の突出部はプラグ係止機能を有し、しかも中間部に組み込みが可能で、コンベアチエイン端部用にも中間部用にも共用でき、チエインユニット部品数は低減され、1チエインユニットの幅の倍数単位でベルト幅を規定することができる。しかしながら、そのユニット幅倍数以外のベルト幅を構成することはできず、未だベルト幅規定の自由度について改善の余地が残されている。すなわち、多種多様な搬送品に対応するためにはベルト幅も制限なく多種設定可能なほうが好ましいが、特許文献3,4のような従来技術の場合、幅の異なるチエインユニットを多種類製造しなければ対応できない。このような多品種生産は、成形の金型を多種類用意しなければならないので、コスト的に割に合わない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記背景に着目して本発明は、1種類のチエインユニットで多種多様なベルト幅に対応可能なコンベアチエインのチエインユニットと、このようなチエインユニットの提供方法を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
このような課題を解決するため、本発明に係るコンベアチエインを構成するチエインユニットは、コンベアチエインの進行方向に対し横方向に延びたリブと、当該リブから進行方向前後に交互に延びて前後に連結することとなる他のチエインユニットの隣り合う突出部に組み合わされるようにした突出部と、を有し、その突出部は、他のチエインユニットと相互に連結するための連結棒を挿通できるように、当該突出部を横方向に延びた貫通孔を有し、さらに、この貫通孔につながって形成された開口部が、ユニット端部の突出部及びこれ以外の突出部の一部又は全部に形成され、突出部の貫通孔に挿通された連結棒が当該貫通孔から抜けることを制止するためのプラグが、その開口部に挿入されて貫通孔に干渉する位置で係止されるようにしたことを特徴とする。
【0005】
この本発明のチエインユニットによれば、ユニット端部以外の突出部にもプラグ係止用の開口部が形成されているので、たとえば突出部の全部に開口部を有する態様の場合、リブのどの位置で切断しても、切断後の端部となる突出部には開口部が必ずあることになり、プラグを係止させて連結棒抑止を行える。したがってチエインユニットは、リブを切断することにより、さらに小さいチエインユニットに分割して提供することができる。その分割されたチエインユニットの最小単位は、リブの一方に2つの突出部と他の一方に1つの突出部の3つの突出部から構成されたものとできる。つまり、1種類のチエインユニットさえあれば、その突出部のピッチ単位で切断して幅調整を行えるので、多種多様なベルト幅に対応可能である。その結果、成型用の金型も1種類つくればよく、経済的である。
【0006】
本発明のチエインユニットにおける開口部は、搬送面上方、下方、突出部先端の少なくともいずれかに設ければよく、突出部の壁面から貫通孔に至る切り込みによって形成したものとすることができる。あるいは、突出部をリブから延びた2つの側壁から形成すると共にその2つの側壁の間が開口部を規定するものとしてもよい。この側壁の間を開口部とする態様の場合、搬送面上下や前後からでもプラグの抜き差しを行え、メンテナンス性に優れる。
【0007】
本発明では、このようなコンベアチエインを構成するチエインユニットを提供するための方法として、コンベアチエインの進行方向に対して横方向に延びたリブと、当該リブから進行方向前後に交互に延びて前後の他のチエインユニットの突出部に組み合わされるようにした突出部とを有し、その突出部は、他のチエインユニットと相互に連結するための連結棒を挿通できるように、当該突出部を横方向に延びた貫通孔が形成され、さらに、この貫通孔につながって形成された開口部が、ユニット端部の突出部及びこれ以外の突出部の一部又は全部に形成され、突出部の貫通孔に挿通された連結棒が当該貫通孔から抜けることを制止するためのプラグが、その開口部に挿入されて貫通孔に干渉する位置で係止されるようにしたチエインユニットを形成し、目的とするコンベアチエインの幅に応じて、リブを切断してさらに小さいチエインユニットに分割して提供できるようにしたことを特徴とするチエインユニットの提供方法を提案する。
【0008】
この場合、コンベアチエインの横方向最端位置にあるチエインユニットの当該最端位置の突出部が開口部を有する突出部となるようにチエインユニットを分割して提供する。開口部を全ての突出部に形成すれば、コンベアチエインを構成する横方向に並べられた複数のチエインユニットのいずれでも最端のチエインユニットとして使用することができるので好ましい。
【発明の効果】
【0009】
従来のチエインユニット1つの幅は76.2mmや85.0mm等が多用されており、このユニット単位の幅の倍数でしかベルト幅調整を行えなかったが、本発明によれば、チエインユニットに形成された突出部のピッチ単位で調整を行えるようになり、より微細な幅構成が可能となる。たとえば、少なくとも突出部は前後合計で3本(一方に2本、他方に1本)あればユニットの前後連結が可能なので、最小単位はたとえばその3本分のサイズである25mm程度とすることができ、従来の1/3以下の最小単位が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1〜図4に、本発明の好適な実施例を一つ示してある。この例のコンベアチエイン1は、幅の異なるチエインユニットU1,U2を横方向に並べることでベルト幅Wが規定され、これらチエインユニットU1,U2からなるユニット2を、コンベアチエイン進行方向に連結棒3で多数連結することで構成されている。連結棒3は、ベルト幅方向に貫通するようにして、隣接するユニット2の連結部にそれぞれ1本ずつ挿通されている。そして、その端部、つまり各ユニット2の最端位置にプラグ4が設置されて、連結棒3が制止され脱落が防止される。
【0011】
チエインユニットU1,U2は、進行方向に対し横方向、つまり幅方向に延設されたリブ10と、該リブ10から進行方向前後へ交互に延設された突出部11とから構成される。突出部11は、リブ10から延びて対向する2つの側壁12から形成され、その側壁12の間が開口部13となっている。また、側壁12の中央部分には、連結棒3を挿通させるための貫通孔14が開けられている(図3の断面図及び図4の斜視図参照)。
【0012】
連結棒3を制止するプラグ4は、幅方向最端に位置する突出部11の開口部13に係止される。そのプラグ4を係止させる方式は、係止凸部(図4のプラグ4参照)を使う等の各種方式が知られており、そのいずれかを採用すれば良い。本例のように突出部11が2つの側壁12からなる場合、当該コンベアチエイン1の搬送面の上下、前後のいずれの方向からでもプラグ4の着脱を行えるので、メンテナンス等に際しての作業性に優れる。ただし、突出部11と開口部13の構造はこの他にも、実開平7−9821号公報にあるようなスリット状装入溝式、つまり、貫通孔14につながるように形成されたスリット状の開口部13とし、これにプラグ4を係止させる構造も可能である。この場合の開口部13は、搬送面上方、下方、あるいは突出部先端の少なくとも一つに設けることができる。もちろん、上下両方に設けたりすることも可能である。
【0013】
各チエインユニットU1,U2は、図2に示すように、1種類の金型で成形された同形状のモジュールを、必要な幅でカットすることで作成されている。カットするときの最小単位は、進行方向前後の一方に2つ、他方に1つの計3つの突出部11からなる単位Usで、これを基準に、突出部11のピッチに該当する単位で幅を調整してカットすることができる。図示の例では、最小単位Usの幅が25mmあり、これから突出部11のピッチ8.5mmの単位でカットすることが可能となっている。
【0014】
本例の場合、突出部11が2つの側壁12からなり且つその間に開口部13が形成される構造なので、全部の突出部11にプラグ4を係止させるための開口部13をもつことになる。したがって、チエインユニットの何処でカットしたとしても、ユニット端部に位置する突出部11には必ず開口部13があることになり、連結棒3の脱落防止用プラグ4を嵌め込むことができる。つまり、同一形状のチエインユニットを1つの金型で作成しておけば、適宜カットして幅を調整し、所望のベルト幅のコンベアチエイン1をつくることができる。
【0015】
最小単位のチエインユニットUsを連結して作成した場合のコンベアチエインの例を図3に示している。このチエインユニットUsは、上記のように進行方向前後の一方に2つ、他方に1つの計3つの突出部11を備えており、これを連結棒3で前後に多数連結することで構成される。連結棒3は、両端の突出部11の開口部13に係止されたプラグ4により制止され脱落が防止されている。
【0016】
図5に、その他の例を示してある。このチエインユニットU3は、リブ20がオフセット、つまり中央からずらして形成され、進行方向前後の一方の側の突出部21が他方の側の突出部22よりも長く形成されたアンバランス構造をもつ。各突出部21,22は上記同様に2つの側壁23,24とその間の開口部25,26からなり、連結棒を通す貫通孔が開けられている。連結棒を制止するプラグも上記同様のものを使用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係るチエインユニットを使用してなるコンベアチエインの実施例を示した平面図。
【図2】本発明に係るチエインユニットの幅調整について示した説明図。
【図3】本発明に係るチエインユニットの最小単位を示した部分断面図。
【図4】本発明に係るチエインユニットの斜視図。
【図5】本発明に係るチエインユニットの他の例を示した平面図。
【符号の説明】
【0018】
1 コンベアチエイン
2 幅方向の1ユニット
U1,U2,Us チエインユニット
3 連結棒
4 プラグ
10 リブ
11 突出部
12 側壁
13 開口部
14 貫通孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンベアチエインを構成するチエインユニットであって、
前記コンベアチエインの進行方向に対し横方向に延びたリブと、当該リブから進行方向前後に交互に延びて前後に連結することとなる他のチエインユニットの隣り合う突出部に組み合わされるようにした突出部と、を有し、
前記突出部は、他のチエインユニットと相互に連結するための連結棒を挿通できるように、当該突出部を横方向に延びた貫通孔を有し、
さらに、前記貫通孔につながって形成された開口部が、ユニット端部の前記突出部及びこれ以外の前記突出部の一部又は全部に形成され、前記貫通孔に挿通された連結棒が当該貫通孔から抜けることを制止するためのプラグが、前記開口部に挿入されて前記貫通孔に干渉する位置で係止されるようにしたことを特徴とする、チエインユニット。
【請求項2】
前記開口部は、搬送面上方、下方、突出部先端の少なくともいずれかに設けられていることを特徴とする請求項1に記載のチエインユニット。
【請求項3】
前記突出部は前記リブから延びた2つの側壁から形成され、その2つの側壁の間が前記開口部を規定することを特徴とする請求項1に記載のチエインユニット。
【請求項4】
前記開口部は、前記突出部の壁面から前記貫通孔に至る切り込みによって形成されていることを特徴とする請求項1に記載のチエインユニット。
【請求項5】
前記チエインユニットは、前記リブを切断することにより、さらに小さいチエインユニットに分割して提供できるようにした、ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のチエインユニット。
【請求項6】
分割されたチエインユニットの最小のユニットが前記リブの一方に2つの前記突出部と他の一方に1つの前記突出部の3つの前記突出部から構成されている、ことを特徴とする請求項5に記載のチエインユニット。
【請求項7】
コンベアチエインを構成するチエインユニットを提供するための方法であって、
前記コンベアチエインの進行方向に対して横方向に延びたリブと、当該リブから進行方向前後に交互に延びて前後の他のチエインユニットの突出部に組み合わされるようにした突出部とを有し、前記突出部は、他のチエインユニットと相互に連結するための連結棒を挿通できるように、当該突出部を横方向に延びた貫通孔が形成され、さらに、前記貫通孔につながって形成された開口部が、ユニット端部の前記突出部及びこれ以外の前記突出部の一部又は全部に形成され、前記貫通孔に挿通された連結棒が当該貫通孔から抜けることを制止するためのプラグが、前記開口部に挿入されて前記貫通孔に干渉する位置で係止されるようにしたチエインユニットを形成し、目的とするコンベアチエインの幅に応じて、前記リブを切断してさらに小さいチエインユニットに分割して提供できるようにしたことを特徴とする、チエインユニットの提供方法。
【請求項8】
前記コンベアチエインの横方向最端位置にあるチエインユニットの当該最端位置の前記突出部が前記開口部を有する突出部となるようにチエインユニットを分割して提供することを特徴とする、請求項7に記載のチエインユニットの提供方法。
【請求項9】
前記開口部を全ての前記突出部に形成させ、コンベアチエインを構成する横方向に並べられた複数のチエインユニットのいずれでも最端のチエインユニットとして使用できるようにしたことを特徴とする、請求項7に記載のチエインユニットの提供方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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