説明

コンベアマット用モジュールと組み立てコンベアマット

コンベアマット用モジュール1は、本体2を備え、本体2には、その前後3,6において搬送方向Pを横切る方向に延在し、互いに中間距離4A,4Bだけ離間したヒンジループ5A,5Bと、ガイドウェイと協働する底面7とが設けられる。底面7には、ガイド部材を受けるための、下方に延在する取付フレーム11が設けられている。 モジュール1は、搬送方向に連続する複数のモジュールを備える組み立てコンベアマットに含まれてもよい。各モジュールは、搬送方向の前方および後方にそれぞれ延びるヒンジループを有して、搬送方向を横切るように延在する本体を備え、連続するモジュールのヒンジループは、ヒンジピンによって結合されて協働し、複数のモジュールのうちの少なくとも一つは、取付フレームを有するように設計される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンベアマット用モジュールに関する。コンベアマット用モジュールは本体を備え、本体には、その前後において搬送方向を横切る方向に延在し、互いに離間したヒンジループと、ガイドウェイと協働する底面とが設けられている。
【背景技術】
【0002】
このようなモジュールは一般に、複数のモジュールが搬送方向に連続して構成される組み立てコンベアマットに利用されるものとして知られている。連続したモジュールにおいて、ヒンジループは搬送方向の前後のモジュールまでそれぞれ伸び、搬送方向を横切る方向に延在するヒンジピンにより連結されて協働する。
【0003】
モジュールの底面にガイド部材が設けられることもある。使用中、ガイド部材はコンベア軌道上のガイドと協働する。ガイドは、例えばコンベア軌道に配置されたウェアストリップの側面または下面によって形成される。
【0004】
ガイド部材はガイドと協働し、例えば、コンベアマットにおいて物品が滑ることによって搬送方向を横切る方向の力が与えられる部分で、コンベア軌道に沿ってコンベアマットをまっすぐに誘導する。
【0005】
さらに、ガイド部材を用いることによって、搬送面における湾曲部を通過する際に、マットが径方向内側に引っ張られてしまうことを防止できる。また、マットが湾曲部を通過するとき、ガイド部材により、マットの径方向外側に設けられた部材がコンベア軌道から外れてしまうことを防止できる。
【0006】
さらに、コンベアマットが循環式のものである場合、このようなガイド部材をコンベア軌道の下にぶら下がる復帰部分の誘導に役立てることができる。
【0007】
コンベア軌道の種類に応じて、ガイド部材を種々の方法で設計することができる。例えば、ガイド部材を、底面を横切るように、または底面から下に向かって斜めに延在する誘導面を有するカムとして設計してもよい。さらに、ガイド部材が底面に平行に離間して延在するフック部分を備えるように設計してもよい。なお、ガイド部材を転動体として設計してもよい。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
一般的に、モジュールは射出成形によって製造されるので、装置にかかるコストの観点から、実際にはガイド部材の種類を自由に選択することは不可能であり、1,2種類のガイド部材を有するモジュールのみが商業的に入手可能である。
【0009】
本発明の目的は、冒頭で述べた種類のモジュールを、ガイド部材の選択自由度を広くしながら、装置コストを高くすることなく提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
このため、本発明によるモジュールは、本体に、下方向に延在してガイド部材を受ける取付フレームが設けられていることを特徴とする。底面に対して下方に延びる取付フレームを使用することにより、製造後にモジュールに所望のガイド部材を取り付けることができる。これにより、モジュール用のモールドを調整することなく、ガイド部材を自由に選択することができる。さらに、製造完了まではクライアント毎のモジュールを形成する必要がなく、製造計画と在庫管理を簡素化できる。その上、モジュールとガイド部材について異なる材料を選択することができる。例えば、モジュールの材料を張力が最適なものを選択し、ガイド部材の材料を滑り特性と耐摩耗性が最適なものを選択できる。
【0011】
取付フレームは、モジュールと一体的に形成されるという利点があり、例えば、取付フレームをプラスチック材料としてモジュールを射出成形する。
【0012】
本発明はまた、一つ以上のモジュールを備えた組み立てコンベアマットに関する。モジュールは、本体の底面に、下方に延在してガイド部材を受ける取付フレームを備えている。
【0013】
本発明のさらなる有効な実施の形態は、従属する請求項に記載されている。
【0014】
これより図面を参照して本発明の実施の形態をさらに詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、取付フレームを備えたモジュールの底面の概略斜視図である。
【図2】図2は、図1のモジュールの概略側面図である。
【図3】図3は、図1のモジュールの概略正面図である。
【図4】図4は、図1のモジュールにガイド部材を取り付ける様子を示す図である。
【図5】図5は、ガイド部材を取り付けた状態の図4の詳細を示す図である。
【図6】図6は、組み立てコンベアマットの底面の概略斜視図であり、説明のために、連続するモジュールにそれぞれ異なる種類のガイド部材を取り付けたものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図面は本発明の実施の形態を概略的に表すのみであり、実施の形態はこれらの図面に限定されない。各図面において、同一もしくは対応する部材には同一の参照符号を付している。
【0017】
図面、とくに図1〜3には、コンベアマットのモジュール1が示されている。モジュールは本体2を備え、本体の前側3には矢印Pで示す搬送方向を横切る方向に延在し、互いに中間距離4Aだけ離間したヒンジループ5Aが設けられている。本体2の後側6にはさらに、同様に搬送方向Pを横切る方向に、互いに中間距離4Bだけ離間したヒンジループ5Bが設けられている。
【0018】
モジュール1の本体2は、実質的に平坦な底面7を備え、底面はガイドウェイのウェアストリップの上面と協働する。本体2はさらに、搬送面を形成する上面8を備えている。
【0019】
とくに図6には、搬送方向Pに連続する3つのプラスチック製モジュール1から構成される組み立てコンベアマット9が示されている。連続するモジュール1のヒンジループ5Aは、それぞれ搬送方向の前方に延び、搬送方向の後方に延びるヒンジループ5Bと協働する。連続するモジュールのヒンジループ5Aと5Bは、ヒンジ穴10を通るヒンジピンによって連結される。
【0020】
モジュール1の底面7には、底面から下方に延在し、ガイド部材12を受ける取付フレーム11が設けられている。取付フレーム11は、モジュール1の本体2と一体的に形成され、モジュール1はプラスチック材料を用いて単一の射出成形物として製造される。
【0021】
取付フレーム11は、ガイド部材12を受け入れるための収容開口13を形成する。図6に示すように、ガイド部材12は要求に応じて、カム12A、ガイドカム12B、あるいは転動体12Cとして設計することができる。カム12Aは、モジュール1の底面7を実質的に横切るように下方に延在する誘導面14を備えている。ガイドカム12Bは、モジュール1の底面7に対して実質的に斜めになるように下方に延在する誘導面15を備えている。
【0022】
なお、当然のように、通常は、それぞれ同じ種類のガイド部材12を連続する取付フレームに装着する。
【0023】
取付フレーム11は、モジュール1の底面から下方に延在するキャリヤ部16と、底面から離間して底面に平行に延在し、キャリア部16につながるフック部17とを備えている。
【0024】
図3に示すように、取付フレーム11は、正面から見て実質的にL字型をしている。これにより、ガイド部材12を収容していないときであっても、取付フレームはいわゆるガイドタブとして機能することができる。このとき、フック部17はコンベア軌道のウェアストリップの下面と協働して、コンベア軌道に対するモジュールの上方への移動を防止する。さらに、以下に詳細を説明するように、取付フレームに収容されたガイド部材12をフック部17で支持することができる。
【0025】
取付フレーム11は、側面から見て実質的にU字型をしており、「U」の両足の上端部はモジュール1の本体と合流して一体化している。これにより、取付フレームのキャリア部16が底面7の一部とともに収容開口13を囲んで環状とし、ガイド部材を確実に収容開口13に収容することができる。
【0026】
ガイド部材12は着脱可能に収容開口13に収容されることが望ましい。例えば、図4に示すように、ガイド部材はブロック型の取付部22により矢印Q方向に収容開口内へ押し込まれる。例えば、スナップ機構を設けて、ガイド部材12が収容開口13内で固定されるようにしてもよい。図5にスナップ機構18を示す。スナップ機構は、例えば取付ブロックに設けられ、U字型のキャリア部の底に設けられた凹部18Bと協働できるようにした凸部18Aとして形成することができる。凹部を図示のような貫通孔として形成する代わりに、転動体12Cのローラ20用のピボットが通るようにすることもできる。ピボット19の安定性を高めるために、モジュール1の本体2の底面7の対向する部分に、これに対応する止り穴を設け、例えばピボットの他端を受けるようにしてもよい。
【0027】
図6に示すように、ガイド部材12Bは、モジュール1の底面7に対して斜め下方に延在する誘導面15を備えるガイドカムとして形成される。このように斜めに切り落とされたカムは、当業者には「べベル(先端面取り部)」と呼ばれている。一方、ガイドカム12Aは、搬送面を実質的に横切るように延在し、フック部17よりも若干内側に入った誘導面14を備えている。これにより、依然としてフック部17はタブとして機能することができる。ガイド部材12Aの寸法を変更することにより、誘導面14を、フック部17の端面と揃えたり、若干外側に出したりできることは明らかである。ガイド部材12Aにおいて、搬送方向の前方および後方を向く各面には、モジュール1の中央に向かって先細りするような斜面21が設けられている。これにより、比較的大きな誘導面14を設けながら、連続したモジュール1が相対的に比較的大きな角度まで回動することができる。モジュール1は、例えば、POM、PAまたはPBTなどの工業プラスチックから製造されることが望ましい。ガイド部材は、例えばUHMWPEや、良好な滑り特性を有する他の耐摩耗性材料から形成してもよい。
【0028】
このように提供されるコンベアマット用モジュールは、本体を備え、本体には、その前後において搬送方向を横切る方向に延在し、互いに中間距離だけ離間したヒンジループと、ガイドウェイと協働する底面とが設けられている。底面には、下方に延在するガイド部材を受けるための取付フレームが設けられている。モジュールは、組み立てコンベアマットに用いられるものでもよく、コンベアマットは複数のモジュールが搬送方向に連続して構成される。各モジュールは、搬送方向を横切るように延在する本体を備え、搬送方向の前方および後方にはそれぞれヒンジループが延在している。連続するモジュールのヒンジループは、ヒンジピンによって連結され、協働する。そして、少なくとも一つのモジュールは、取付フレームを備えるように形成される。
【0029】
本発明は上述した実施の形態には限定されず、種々の変形が可能であることは明らかである。
【0030】
例えば、ここで説明したようなジグザグ状の基本的な形状の代わりに、ブロック型の本体や、波形状の本体、あるいは板状の本体等を選択することも可能である。モジュールの上面によって形成される搬送面を、例えば少なくとも部分的に閉塞させてもよい。さらに、前方および/または後方に延びるループのヒンジ穴を、スロット状の穴として形成してもよく、この場合、対応するヒンジループが互いに摺動して出たり入ったりすることにより、マットが搬送面中の湾曲部を通過することができる。
【0031】
さらに、搬送方向を横切る方向に、複数のモジュールを並べて配置してもよい。これらのモジュールは例えばレンガを積むように互い違いに配置してもよい。
【0032】
取付フレームを備えるモジュールと取付フレームを備えないモジュールを、搬送方向に沿って交互に並べてもよい。通常、取付フレームはマットの長手方向の端部に、例えば長手方向の一端、あるいは両端に沿って搬送方向に延びる直線上に、設けられる。取付フレームはコンベアマットの中央近くに配置されてもよい。さらに、複数の取付フレームを備えた単一のモジュールを提供することもできる。例えば、モジュールの端部近傍に、対向する2つの取付フレームを設ける。
【0033】
これらの変形例も当業者には明らかであり、特許請求の範囲に記載の本発明の範囲内に属すると理解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体を備え、前記本体には、その前後において搬送方向を横切る方向に延在し、互いに中間距離だけ離間したヒンジループと、ガイドウェイと協働する底面とが設けられ、前記底面には、ガイド部材を受けるための、下方に延在する取付フレームが設けられていることを特徴とするコンベアマット用モジュール。
【請求項2】
請求項1に記載のモジュールにおいて、
前記取付フレームは前記本体と一体に形成されることを特徴とするモジュール。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のモジュールにおいて、
前記取付フレームは、収容開口を形成することを特徴とするモジュール。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のモジュールにおいて、
前記取付フレームは、前記モジュールの前記底面から下方に延在するキャリア部を備え、前記キャリア部は、前記底面から離間して前記底面に平行に延在するフック部に接続することを特徴とするモジュール。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のモジュールにおいて、
前記取付フレームは正面から見て実質的にL字型であることを特徴とするモジュール。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のモジュールにおいて、
前記取付フレームは、側面からみて実質的にU字型であることを特徴とするモジュール。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のモジュールにおいて、
前記取付フレームにはガイド部材が収容されることを特徴とするモジュール。
【請求項8】
請求項7に記載のモジュールにおいて、
前記ガイド部材は、ガイドブロックまたは転動体であることを特徴とするモジュール。
【請求項9】
請求項7または請求項8に記載のモジュールにおいて、
前記ガイド部材は前記取付フレームに着脱可能に収容されることを特徴とするモジュール。
【請求項10】
組み立てコンベアマットは、搬送方向に連続する複数のモジュールを備え、各モジュールは、搬送方向の前方および後方にそれぞれ延びるヒンジループを有して、前記搬送方向を横切るように延在する本体を備え、連続するモジュールの前記ヒンジループは、ヒンジピンによって結合されて協働し、前記複数のモジュールのうちの少なくとも一つは、請求項1から請求項9のいずれか1項に記載のものであることを特徴とする組み立てコンベヤマット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2007−537113(P2007−537113A)
【公表日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−513086(P2007−513086)
【出願日】平成17年5月11日(2005.5.11)
【国際出願番号】PCT/NL2005/000356
【国際公開番号】WO2005/110897
【国際公開日】平成17年11月24日(2005.11.24)
【出願人】(505416555)