説明

コンベア・ベルト・モジュール

【課題】 コンベア・ベルト・セグメントを簡単且つ迅速に交換できる構成を提供する。
【解決手段】 本発明のコンベア・ベルト・モジュールは、(A)本体10と、(B)前記本体10の上に、回転可能に配置された方向変換ローラ22と方向変換シャフト26と、(C)前記方向変換ローラ22と方向変換シャフト26にガイドされるコンベア・ベルト12と、(D)前記方向変換ローラ22を駆動する手段と、(E)前記コンベア・ベルト・モジュールをコンベアシステムに連結する機械的且つ電気的な要素32,34,36と、(F)前記コンベア・ベルト12の下に配置されるセンサとを有する。前記コンベア・ベルト12上で運搬されるワークピース・キャリア50は、前記センサで検知される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンベア・ベルトモジュールに関し、特にコンベア・システム又は製造ライン、特にモジュール搬送用の製造ラインと一体にされたコンベアベルトモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
コンベアベルトモジュールは特許文献1に開示されている。コンベアベルトを具備した製造ラインは、現在あらゆる産業、特に電子機器産業、自動車産業、更には時計製造産業で使用されている。
【0003】
通常製造ラインでは、複数のコンベア・ベルト・セグメントが使用され、これ等はコンベア・ベルトとして組み立てられている。コンベア・ベルトが、回転可能な方向変換ローラーの周りを走る。この方向変換ローラーの少なくとも1個が駆動される。製造ラインの種類によっては、搭載ユニット、部品を供給する供給ユニット、センサ、中央制御装置が具備され、これ等はコンベア・ベルトと一体に作動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】ヨーロッパ特許出願第07123174号明細書
【特許文献2】ドイツ特許出願第10 2006 038 185.8号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
コンベア・ベルトは、摩耗の兆候が現れた時に、定期的に交換しなければならない。この交換は、従来の製造ラインでは複雑な作業で、且つコストのかかるものであり、修理の間、製造ライン全体を停止してコンベア・ベルトを交換しなければならない。
【0006】
本発明の目的は、コンベア・ベルト・セグメントを簡単且つ迅速に交換できる構成を提供することである。
本発明の更なる目的は、コンベア・ベルト・セグメントを交換を容易にする構成を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の解決法は請求項1に記載されている。本発明のコンベア・ベルト・モジュールは、(A)本体10と、(B)前記本体10の上に、回転可能に配置された方向変換ローラ22と方向変換シャフト26と、(C)前記方向変換ローラ22と方向変換シャフト26にガイドされるコンベア・ベルト12と、(D)前記方向変換ローラ22を駆動する手段と、(E)前記コンベア・ベルト・モジュールをコンベアシステムに連結する機械的且つ電気的な要素32,34,36と、(F)前記コンベア・ベルト12の下に配置されるセンサとを有する。前記コンベア・ベルト12上で運搬されるワークピース・キャリア50は、前記センサで検知される。
【0008】
この機械的且つ電気的な接続手段はブッシングである。このブッシング内に電気接触プラグが挿入される。本発明のモジュールはこの接続要素を介して電力が供給される。コマンド信号が外部装置からコンベア・ベルト・モジュールに送信される。同時にモジュールに一体に組み込まれたセンサにより検出された信号が、外部制御装置に伝達される。
【0009】
モジュールのコンベア・ベルト或いは他の構成要素を置換するときにはモジュール全体を僅かな操作で置換することができる。機械的連結を電気的連結から分離して古いモジュールを取り外し、新たなモジュールを入れて新たなモジュールで接続を再び行う。このプロセスの間製造ラインは必ず停止しなければならない。
【0010】
製造ラインから取り外したモジュールをその後時間を掛けて修理し、搭載されたコンベア・ベルトは新たなコンベア・ベルトを分解し新たなコンベア・ベルトで置換する。
【0011】
本発明の一実施例によれば、コンベア・ベルト・モジュールは複数のセンサを有する。その内の1つのセンサはRFIDリーダである。RFIDトランスポンダが作業部品のキャリア上に搭載されるか或いは作業部品そのものに搭載される。このトランスポンダには製造に関連するデータが記憶されている。RFIDリーダはこれ等のデータを読み取ってこのデータを外部制御ユニットに送信する。この外部制御ユニットがこれ等のデータに基づいた指示をコンベア・ベルト・モジュール、このコンベア・ベルト・モジュール上に配置されたゲート、又は製造ラインに送信する。
【0012】
書き込みユニットをコンベア・ベルト・モジュール内に一体に組み込むことができる。この書き込みユニットは作業部品に組み込まれたメモリ内に記憶されているデータを修正することができる。
【0013】
本発明の一実施例によれば、前記方向変換シャフトは、前記コンベア・ベルトの外側で、その両側で本体にクランプされる。離間して配置されたスライドするブッシングが、前記方向変換シャフトの上に回転可能に搭載される。前記方向変換シャフトは、前記2つのスライドするブッシングの間の支持用上に支持される。このようなコンベア・ベルトの方向変換は特許文献2に開示されている。離間し回転可能に搭載されたスライドするブッシングとそれ等の間の支持要素を具備する方向変換シャフトの方向変換により、小さな半径での方向変換が可能となり、確実な方向変換と少ない摩耗を達成できる。
【0014】
スライドするブッシングは、プラスチック製、PTFEでコーティングした金属製、グラファイト製、又はブロンズ製のいずれかである。
【0015】
本発明の一実施例によれば、本発明のコンベア・ベルト・モジュールは、第2の方向変換ローラと第2の方向変換シャフトとを更に有する。前記第2の方向変換ローラと第2の方向変換シャフトとに第2のコンベア・ベルトが、ガイドされる。前記第2のコンベア・ベルトは、前記第1のコンベア・ベルトと並行して走る。これによりダブルトラックのコンベア・ベルト・モジュールが可能となる。この構成は、ある種のアプリケーションでは利点がある。好ましくは個々の駆動手段は、これ等2つのコンベア・ベルトにそれぞれ設けることもできる。原理的に共通の駆動手段で、2つのコンベア・ベルトを同時に駆動することもできる。この場合、結合手段を具備して様々な駆動方向或いは様々なバンドスピード或いはその両方が可能となる。
【0016】
原理的には、第一の駆動手段のみ成らず選択的事項としての第二の駆動手段も1つの駆動モータで構成することもできる。この駆動モータが一定速度で運搬ベルトを駆動する。この駆動手段は可変の速度或いは順方向逆方向への駆動も提供できる。2個の並列に配置されたコンベア・ベルトも可能であり、その場合2個のコンベア・ベルトは反対方向に駆動することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】モジュール製造ラインに組み込まれた本発明のコンベア・ベルト・モジュールを上から見た斜視図。
【図2】モジュール製造ラインに組み込まれた本発明のコンベア・ベルト・モジュールを下から見た斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1において、コンベア・ベルト・モジュールは本体10を有する。本体10は長手方向に2個の側壁11,13は境界を決める。図1,2に示すコンベア・ベルト・モジュールは、ダブルトラック型である。即ち互いに平行で且つ側壁11,13に沿って走る2本のコンベア・ベルト12,14を有する。
【0019】
図1には、3個のワークピース・キャリア50が示されている。このワークピース・キャリア50は、四角の底の表面を囲むフレームを有するプレートである。ワークピース・キャリア50は、コンベア・ベルト12,14の上を運搬される。各コンベア・ベルト12,14は、ちょうどワークピース・キャリア50の幅を有する。コンベア・ベルト12,14の外側では、境界棒16,18が、それぞれコンベア・ベルト12,14のワークピース・キャリア50をガイドしている。
【0020】
図1の右側即ち奥のコンベア・ベルト14は、左側即ち手前のコンベア・ベルト12よりも長い。コンベア・ベルト12,14の両方とも、図1の左側の搬送方向F1,F2に直交して終了しているが、長いコンベア・ベルト14は、短いコンベア・ベルト12よりも突出している。当然のことながら、同じ長さの2本のベルト或いは異なる長さの2本のベルトからなる他の構成も、ダブルトラック用のコンベア・ベルト・モジュール用に選択することもできる。
【0021】
コンベア・ベルト12,14の両方とも、方向変換ローラ22,24の周りで(図1の右側で)それぞれ駆動される。方向変換ローラ22,24は、本体10の上に回転可能に搭載される。
【0022】
反対の側(図1の左側)で、コンベア・ベルト12,14の両方とも、方向変換シャフト26,28の周りで駆動される。方向変換シャフト26,28は、方向変換ローラ22,24に比較して極めて細い。これは、その上に回転可能に搭載されたブッシング(図示せず)を具備する。その結果、移送用舌状部材20,21がそれぞれ形成される。方向変換シャフト26,28は、本体10の上に回転可能に搭載されず、本体10にクランプして固定される。具体的には、方向変換シャフト26は、本体10の側壁11と中央の壁との間にクランプされる。また方向変換シャフト28は、本体10の側壁13と中央の壁との間にクランプされる。離間して配置された複数個のスライドするブッシング(図示せず)が、方向変換シャフト26,28の上に、回転可能に搭載される。スライド可能なブッシングの間に、支持用素(図示せず)が配置され、方向変換シャフト26,28が曲がるのを阻止する。この構成は、特許文献2に開示されている。支持された方向変換シャフトの軸径が小さいために、コンベア・ベルト・モジュール上の小さな部品が、それぞれのコンベア・ベルトの方向変換点の間の隙間に落ちることなく、他のコンベア・ベルト・モジュールに転送することができる。
【0023】
方向変換ローラ22,24は、それぞれ駆動手段(図示せず)により駆動され、本体10内に収納される。駆動手段は、パワーを伝達する手段を具備するモータからなる。図1の搬送方向F1,F2で示すように、2個のコンベア・ベルト12,14は反対方向に駆動される。この駆動手段は方向変換できるよう設計することもできる。
【0024】
少なくとも2個のRFIDリーダー(図示せず)が、更にコンベア・ベルト・モジュール内に組み込まれる。図1に於いては、2個の読みとりヘッド(RFIDリーダー)が配置される上の領域を、センサ配置場所44と称する。1個の読みとりヘッドが、それぞれコンベア・ベルト12,14の下に配置され、その結果、読みとりヘッドは、ワークピース・キャリア50がコンベア・ベルト12,14のの上を通り過ぎる時に、データを、RFIDトランスポンダ(ワークピース・キャリア50に取り付けられている)から読み取ることができる。RFID読み取りヘッドの代わりに他のセンサも、コンベア・ベルト・モジュール内に組み込むことができる。例えば誘導性又は容量性のセンサ、光センサとを組み込むことができる。
【0025】
図2に連結プレート30が示される。連結プレート30は、本体10の側壁11から側壁13に向かって、両方のコンベア・ベルトを跨いで横方向に伸びる。この連結プレート30上に、様々な要素である連結ピン32,中心決めブッシング34,36が配置形成される。これ等の要素を介して、コンベア・ベルト・モジュールは、コンベアシステム或いは製造ラインに接続される。連結ピン32と中心決めブッシング34を用いて、機械的接続を確立し、モジュールを他の類似のモジュールと正しく整合させたり、或いは製造ラインの様々な要素と整合させる。更に電気接点プラグ36が設けられる。この電気接点プラグ36は、ネットワークへの接続のみならず、エネルギー供給例えば駆動用のエネルギー供給の機能をする。
【0026】
斯くして、コンベア・ベルト・モジュールには外部からエネルギー供給される。又このコンベア・ベルト・モジュールには、ネットワークを介して他の製造ラインの要素と或いは外部の制御ユニットと情報と制御信号を交換する。
【0027】
本発明のコンベア・ベルト・モジュールは、必ずしも2個のコンベア・ベルトを有する必要はない。1個のコンベア・ベルトを具備するモジュール、或いは1個の方向変換ローラーの周りでのみ駆動されたり、他の変更要素を具備し、例えば上記の方向変換シャフトを具備する構成も、本発明の範囲に入る。
【0028】
以上の説明は、本発明の一実施例に関するもので、この技術分野の当業者であれば、本発明の種々の変形例を考え得るが、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。特許請求の範囲の構成要素の後に記載した括弧内の番号は、図面の部品番号に対応し、発明の容易なる理解の為に付したものであり、発明を限定的に解釈するために用いてはならない。また、同一番号でも明細書と特許請求の範囲の部品名は必ずしも同一ではない。これは上記した理由による。用語「又は」に関して、例えば「A又はB」は、「Aのみ」、「Bのみ」ならず、「AとBの両方」を選択することも含む。特に記載のない限り、装置又は手段の数は、単数か複数かを問わない。
【符号の説明】
【0029】
10 本体
11 側壁
12 コンベア・ベルト
13 側壁
14 コンベア・ベルト
16 境界棒
20,21 移送用舌状部材
22,24 方向変換ローラ
26,28 方向変換シャフト
30 連結プレート
32 連結ピン
34 中心決めブッシング
44 センサ配置場所
50 ワークピース・キャリア
F1,F2 搬送方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンベア・ベルト・モジュールにおいて、
(A)本体(10)と、
(B)前記本体(10)の上に、回転可能に配置された方向変換ローラ(22)と方向変換シャフト(26)と、
(C)前記方向変換ローラ(22)と方向変換シャフト(26)にガイドされるコンベア・ベルト(12)と、
(D)前記方向変換ローラ(22)を駆動する手段と、
(E)前記コンベア・ベルト・モジュールをコンベアシステムに連結する機械的且つ電気的な要素(32,34,36)と、
(F)前記コンベア・ベルト(12)の下に配置されるセンサと
を有し、
前記コンベア・ベルト(12)上で運搬されるワークピース・キャリア(50)は、前記センサで検知される
ことを特徴とするコンベア・ベルト・モジュール。
【請求項2】
前記センサは、RFIDリーダーである
ことを特徴とする請求項1記載のコンベア・ベルト・モジュール。
【請求項3】
前記コンベア・ベルト(12)は、前記方向変換シャフト(26)の周りに巻かれ、
前記方向変換シャフト(26)の直径は、前記方向変換ローラ(22)の直径に比較して細く、
前記方向変換ローラ(22)は、前記モジュールの少なくとも一方の上に有り、移送用舌状部材(20)を形成する
ことを特徴とする請求項2記載のコンベア・ベルト・モジュール。
【請求項4】
前記方向変換シャフト(26)は、前記コンベア・ベルト(12)の外側で、その両側で本体(10)にクランプされ、
離間して配置されたスライドするブッシングが、前記方向変換シャフト(26)の上に回転可能に搭載され、
前記方向変換シャフト(26)は、前記2つのスライドするブッシングの間の支持用上に支持される
ことを特徴とする請求項3記載のコンベア・ベルト・モジュール。
【請求項5】
前記スライドするブッシングは、プラスチック製、PTFEでコーティングした金属製、グラファイト製、又はブロンズ製のいずれかである
ことを特徴とする請求項4記載のコンベア・ベルト・モジュール。
【請求項6】
第2の方向変換ローラ(24)と第2の方向変換シャフト(28)とを更に有し、
前記第2の方向変換ローラ(24)と第2の方向変換シャフト(28)とに第2のコンベア・ベルト(14)が、ガイドされ、
前記第2のコンベア・ベルト(14)は、前記第1のコンベア・ベルト(12)と並行して走る
ことを特徴とする請求項1−5のいずれかに記載のコンベア・ベルト・モジュール。
【請求項7】
前記第2のコンベア・ベルト(14)の第2の方向変換ローラ(24)を駆動する第2の駆動手段
を更に有する
ことを特徴とする請求項6記載のコンベア・ベルト・モジュール。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−126367(P2010−126367A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−266951(P2009−266951)
【出願日】平成21年11月25日(2009.11.25)
【出願人】(505072926)イーティーエー エスエー マニュファクチュア ホルロゲア スイス (61)