説明

コンベア装置

【課題】簡単な構造で、コンベアチェーンに載置された輸送物を、効率よく排出口に搬送し排出することができ、適正に排出されずにコンベアチェーンに残留した破片等についても、確実に排出口に向けて搬送することが可能なコンベア装置を提供する。
【解決手段】載置された輸送物11と共に搬入端から搬出端の方向に進行するコンベアチェーン16の往路部分16aの下方近傍に、所定の距離を空けて付設された第一の受け板20aを有する。排出端から搬入端の方向に進行するコンベアチェーン16の復路部分16bの下方近傍に、所定の距離を空けて付設された第二の受け板20bを備える。搬入端側ローラによって復路部分から往路部分に方向転換されるコンベアチェーンの折り返し部分の外側近傍に、所定の距離を空けて付設された第三の受け板54を備える。第二の受け板と前記第三の受け板との境界部分は隙間なく連設している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、金属、木材、プラスチックその他の廃材等を搬送するコンベア装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、金属スクラップ、木材片、プラスチック片、ゴム片及びそれらの混合物に代表される産業廃棄物のコンベア式の搬送システムとして、例えば、図6に示すものがあった。この搬送システム10は、木材片等の輸送物11が投入されるホッパー12と、ホッパー12から落下案内された輸送物11が載置され、搬出口32に向けて搬送する第一のコンベア装置14と、第一のコンベア装置14の下方に配置され、第一のコンベア装置14から落下する輸送物11の破片などを回収し、搬出口へ搬送する第二のコンベア装置24とを備えている。さらに、これら2つのコンベア装置を駆動する駆動装置30と、第一のコンベア装置14の排出端下方に輸送物11を排出する排出口32とを備え、これらが本体34上に一体に組み立てられている。
【0003】
ホッパー12は、後述する第一のコンベア装置14の上方に配置され、上開口部から輸送物11が投入され、輸送物11は落下案内されて下開口部から放出される。また、ホッパー12は、下開口部の排出口30側部分に設けられた流量調節板12aを上げ下げすることによって、放出される輸送物11の量を制御するものである。
【0004】
第一のコンベア装置14は、ドラグチェーン等が無端に接続されたコンベアチェーン16が、一対のローラ18a,18bに掛け渡されている。輸送物11の搬送先の方向に配置された搬出端側ローラ18aはスプロケット形状を有し、その回転軸は、本体34の所定の位置に回転自在に支持されている。そして、搬出端側ローラ18aは駆動装置30によって回転駆動され、コンベアチェーン16を移動させる。
【0005】
一方、輸送物11が載置される側の搬入端側ローラ18bは、コンベアチェーン16が掛け渡しできるように円板形状に形成されている。また、図7に示すように、平行に配置された上金具19aと下金具19bによって長穴19cが形成された軸受部材19が、本体34と一体に組み付けられ、搬入端側ローラ18bの回転軸18cは、その軸受部材19によって、回転自在、かつ、水平方向に移動自在に支持されている。具体的には、回転軸18cは、ボールベアリング19dの内輪に挿入固定され、その外輪が長穴19cを水平方向に摺動可能に軸受部材19に保持されている。
【0006】
また、第一のコンベア装置14は、搬入側ローラ18aの位置をずらして搬出側ローラ18aとの間隔を可変し、コンベアチェーン16のテンションを調整することが可能な構成を有している。テンション調整機構22は、図7に示すように、棒状部材22aと、コイル状のスプリング22bと、ボルト22cとを備えている。ボルト22cの頭部に一体に繋がった棒状部材22aの一端は、搬入端側ローラ18bの回転軸18cを支持する軸受部材19の図示しないナット部材に螺合している。棒状部材22aの他端は、筐体側板34bに形成された透孔に挿通されて筐体外部に突出し、その突出部分にはスプリング22bが挿通されている。そして、スプリング22bは、棒状部材22aの端部のボルト22aの頭部と筐体側板34bの外側面に、圧縮状態で挟持されている。この圧縮の度合いは、ボルト22cの締めつけ量によって調整することができる。
【0007】
この状態において、スプリング22bの弾発力は、搬入側ローラ18bを筐体側板34b側に引き寄せる方向に作用し、ボルト22aの螺合位置を変更すると、搬入端側ローラ18bは、回転軸18cが支持されている軸受19の長穴19cの長さの範囲内で水平方向に移動する。例えば、スプリング22bの圧縮量を増やして弾発力を強くすることによって、搬入端側ローラ18bを筐体側板34b側により強く引き寄せ、コンベアチェーン16のテンションを強くすることができる。テンション調整機構22は、複数本のチェーンコンベア16の水平方向に並列に設けられたコンベア装置の場合、チェーンコンベア16毎に設けられている。そして、長期間の稼働によってコンベアチェーン16に緩みが生じた場合などに、チェーンコンベア16毎に、ボルト22cの締めつけ量を可変して、コンベアチェーン16のテンションを適正な状態に調整する。
【0008】
また、第一のコンベア装置14は、輸送物11が載置されて搬出端側に進行するコンベアチェーン16の往路部分16aの下方に、コンベアチェーン16よりもやや幅広の第一の受け板20aが付設されている。第一の受け板20aは、コンベアチェーン16に接触してその進行を妨げることがない程度に僅かな空間を置いて配置されている。
【0009】
同様に、コンベアチェーン16が排出端側から搬入端側の方向に進行する復路部分16bの下方には、コンベアチェーン16よりもやや幅広の第二の受け板20bが付設されている。第二の受け板20bは、第一の受け板20aと同様に、コンベアチェーン16に接触してその進行を妨げることがない程度に僅かな空間を置いて配置されている。
【0010】
第一のコンベア装置14の下方に配置された第二のコンベア装置24は、図6に示すように、表面に所定の間隔でスクレーパ26cが取り付けられた無端のコンベアベルト26を、一対のローラに掛け渡したものである。搬出口側ローラ28aは、第一のコンベア装置14の搬出端側ローラ28aの下方に配置され、後述する駆動装置30によって回転駆動され、コンベアベルト26を移動させる。一方、折り返し側ローラ28bは、第一のコンベア装置14の搬入端側ローラ18bの下方に配置され、回転自在に支持されている。
【0011】
また、コンベアベルト26は、第一のコンベア装置から落下した輸送物11の破片等を受け止め、折り返し側ローラ28bの方向に搬送する往路部分26aと、折り返しローラ28bで折り返され、排出口側ローラ28aの方向に移動する復路部分26bにより構成されている。復路部分26bは、スクレーパ26cの高さと同程度の距離を空けて筐体底板34aと対向している。このような構造であるため、第一のコンベア装置14からの落下物は、往路部分26bによって折り返し側ローラ28b部分まで搬送されると、筐体底板34a上に落下し、復路部分26bに取着されたスクレーパ26cによって掻き出されるように筐体底板34a上を移動し、やがて排出口32に排出される。
【0012】
ホッパー12側方の筐体34c上には、モーターを備えた駆動装置30が設置されている。そして、駆動装置30は、第一のコンベア装置14の搬出端側ローラ18aと、第二のコンベア装置24の排出側ローラ28aに接続され、各ローラ18a,28aが所定の速度で回転するよう駆動制御されている。
【0013】
以上のように、従来の搬送システム10は、第一のコンベア装置14に加えて第二のコンベア装置24を備え、第一のコンベア装置14から落下する輸送物11の破片等を回収し、本来排出されるべき排出口32に搬送して排出する構造である。
【0014】
また、特許文献1に開示されているように、切削加工によって発生する切屑を、加工テーブルの下方に設けたチップコンベアを用いて排出する切屑排出手段を備えた工作機械が提案されている。このチップコンベアは、前述した搬送システム10が備える第二のコンベア装置24と類似の構成を有しており、上方から落下する切屑をコンベアの往路部分で受け止め、折り返し部分で切屑を金属板(トラフ)上に落下させ、コンベアの復路部分表面に取着したスクレーパで切屑を排出口に搬送する動作も、ほぼ同様である。
【特許文献1】特開2001−62667号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、従来の搬送システム10にあっては、第一のコンベア装置14から落下した輸送物11の破片等を、第二のコンベア装置24により回収する構造であるため、構造が複雑で大型化するという問題があった。従って、搬送システム自体のコストが増加する他、消耗品や動力確保のためのコストも増加する。また、2つのコンベア装置が縦方向に重ねて配置される構成であるため、ホッパーを含めた搬送装置の高さが高くなる。そして、ホッパーの上開口部の位置が高すぎると、ショベルカー等の重機では輸送物11を投入できないという問題が生じる場合があった。また、2つのコンベア装置が収納された筐体内部に落下物が飛散するので、装置各部が汚れ易く、清掃その他のメンテナンスを頻繁に行う必要があり、非常に煩雑であった。
【0016】
一方、特許文献1に開示された工作機械の切屑排出手段が備えるコンベア装置の場合、金属類の切削加工によって生じる切粉のように小型の金属屑であれば搬送可能であるが、数10センチメートルから数メートル程度の大きさの金属スクラップや木材片等の搬送には適さない搬送機構である。すなわち、この搬送機工を大型の輸送物を搬送するシステムに適用するには、搬送システムの大型化、装置各部の強度アップ、駆動装置のパワーアップをしなければならず、現実的なものではなかった。
【0017】
この発明は、上記背景技術の問題点に鑑みてなされたもので、簡単な構造でコンベアチェーンに載置された輸送物を効率よく排出口に搬送し排出することができ、適正に排出されずにコンベアチェーンに残留した破片等についても、確実に排出口に向けて搬送することが可能なコンベア装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
この発明は、一対のローラで駆動される無端のコンベアチェーンに載置された輸送物を排出口に搬送するコンベア装置であって、載置された輸送物と共に搬入端から搬出端の方向に進行するコンベアチェーンの往路部分の下方近傍に、所定の距離を空けて付設された第一の受け板と、排出端から搬入端の方向に進行するコンベアチェーンの復路部分の下方近傍に、所定の距離を空けて付設された第二の受け板と、搬入端側ローラによって前記復路部分から往路部分に方向転換されるコンベアチェーンの折り返し部分の外側近傍に、所定の距離を空けて付設された第三の受け板とを備え、前記第一の受け板と前記第三の受け板との境界部分及び第二の受け板と前記第三の受け板との境界部分は、各々垂直方向の投影状態で水平方向に隙間なく連設されているコンベア装置である。
【0019】
また、前記一対のローラを構成する搬入端側ローラと搬出端側ローラの間隔を可変して、コンベアチェーンのテンションを調整するテンション調整機構を備え、前記第三の受け板は、前記テンション調整機構によって、前記搬入端側ローラと一体に位置変更されるコンベア装置である。
【0020】
さらに、前記コンベアチェーンの往路部分の下方近傍であって、前記第一の受け板の搬入端側の終端箇所から前記搬入端側ローラの上頂点までの位置に、前記折り返し部分に繰り上げられる輸送物を前記コンベアチェーン往路部分に誘導する第四の受け板が付設され、前記第一の受け板と前記第四の受け板との境界部分及び第三の受け板と前記第四の受け板との境界部分は、各々垂直方向の投影状態で水平方向に隙間なく連設されているコンベア装置である。
【0021】
そして、好ましくは、前記一対のローラを構成する搬入端側ローラと搬出端側ローラの間隔を可変して、チェーンコンベアのテンションを調整するテンション調整機構を備え、前記第三の受け板および前記第四の受け板は、前記テンション調整機構によって、前記搬入端側ローラと一体に位置変更にされるコンベア装置である。
【発明の効果】
【0022】
この発明によるコンベア装置によれば、金属スクラップ、木材片、プラスチック片、ゴム片及びそれらの混合物に代表される廃棄物が投入されると、排出口に向けて効率よく搬送して排出することができる。また、適正に排出されずにコンベアチェーンに残留した破片についても、下方に落下させことなく回収して当初の輸送物の投入箇所に戻し、再度、排出口に向けて搬送して確実に排出することができる。従って、破片回収用のコンベア装置等の特別な装置が不要な上、追加する受け板などの設置についても広いスペースを必要としないので、コンベア装置が小型化し、低コスト化が可能である。さらに、装置の筐体内部に落下物が飛散することなく、清掃その他のメンテナンスが容易である。
【0023】
また、コンベアチェーンのテンション調整において、コンベア装置の複数対のローラの間隔を一体に調整可能であり、テンション調整作業を短時間で容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、この発明のコンベア装置を含む搬送システムの一実施形態について、図1〜図5に基づいて説明する。ここで、上記搬送システム10と同様の構成は、同一の符号を付して説明を省略する。この実施形態の搬送システム50は、図1、図2に示すように、輸送物11が投入されるホッパー12と、ホッパー12から落下案内された輸送物11が載置され、搬出口に向けて搬送するコンベア装置52と、コンベア装置52を駆動する駆動装置30と、コンベア装置52の排出端下方に輸送物11を排出する排出口32とを備え、これらが本体34上に一体に組み付けられている。
【0025】
搬送システム50におけるホッパー12と駆動装置30は、従来の搬送システム10のものと同様の動作を行うので、説明を省略する。
【0026】
コンベア装置52は、ドラグチェーン等が無端に接続された1本のコンベアチェーン16が、一対のローラに掛け渡されて1つの搬送レーンを構成し、その搬送レーンが4つ並列に設けられ、1つの幅広の搬送レーンを形成している。各搬送レーンの搬出端側ローラ18aは、図3に示すように、各々スプロケット形状を有し、1本の回転軸に一体に取り付けられ、本体34の所定の位置に回転自在に支持されている。そして、搬出端側ローラ18aは、駆動装置30によって回転駆動され、各搬送レーンのコンベアチェーン16を同時に移動させる。
【0027】
一方、各搬送レーンの搬入端側ローラ18bは、図3、図4に示すように、各々コンベアチェーン16の掛け渡しができるように円板形状に形成されて、1本の回転軸18cに一体に取り付けられている。また、図5に示すように、回転軸18cの両端は、図示しないボールベアリング19dの内輪に挿入固定され、その外輪が長穴19cを水平方向に摺動可能な構造となっている。
【0028】
また、コンベア装置52は、図5に示すように、搬入側ローラ18bの位置をずらして搬出側ローラ18aとの間隔を可変し、コンベアチェーン16のテンションを調整することが可能な構成を有している。テンション調整機構22の動作は、上述の第一のコンベア装置24が備えるものと同様であるが、この実施形態では、複数の搬入側ローラ18bに対して1本の回転軸18cが固定され、図1に示すように、回転軸18cの両端部にテンション調整機構22が設けられている。このテンション調整機構22によれば、例えば長期間の稼働によって各コンベアチェーン16に緩みが生じた場合などに、ボルト22cの締めつけ量を増減し、各コンベアチェーン16のテンションを同時に適正な状態に調整することができる。
【0029】
また、コンベア装置52は、輸送物11が載置されて搬出端側に進行する各コンベアチェーン16の往路部分16aの下方近傍に、4列分の搬送レーンよりもやや幅広の第一の受け板20aが付設され、コンベアチェーン16の搬送面を支持している。
【0030】
ここで、従来の搬送システム10の説明で述べたように、往路部分16aで搬送された輸送物11のほとんどは、搬出端から排出されるが、輸送物11の破片等がチェーンコンベア16の隙間部分等に噛み込んだり引掛かる等して、そのまま往路部分16aに搬入される場合がある。第二の受け板20b、第三の受け板54及び第四の受け板56は、この適切に排出されなかった破片等を落下させることなく回収する役割を果たすものである。以下、その詳細を説明する。
【0031】
コンベアチェーン16が排出端側から搬入端側の方向に進行する復路部分16bの下方近傍には、4つ分の搬送レーンよりもやや幅広の第二の受け板20bが付設されている。第二の受け板20bも、第一の受け板20aと同様に、戻り側のコンベアチェーン16の下面を支持する。
【0032】
また、搬入端側ローラ18bによって、コンベアチェーン16が復路部分16bから往路部分16aに方向転換される折り返し部分の外側に、4つ分の搬送レーンよりもやや幅広でU字形状の第三の受け板54が付設されている。第三の受け板54は、コンベアチェーン16と接触してその進行を妨げることがない程度に僅かな空間を置いて配置されている。
【0033】
さらに、第一の受け板20aの搬入端側の終端箇所から搬入端側ローラ18bの上頂点付近の位置にかけて、第四の受け板56が付設されている。第四の受け板は56は、図1に示すように、4つ分の搬送レーンよりもやや幅広の形状で、搬入端側ローラ18b側端部には、各搬入端側ローラ18bとの干渉を避ける切り込みが入れられ、その切り込みによって舌片56aが形成されている。この舌片56aは、搬入端側ローラ18bの軸方向にやや屈曲しており、搬入端ローラ18bの軸方向に付着した輸送物の破片を掻き出すと共に、コンベアチェーン16から回転軸18cへ落下する輸送物の破片と合わせて往路部分16aに誘導する。
【0034】
各受け板は、第二の受け板20bと第三の受け板54との境界部分、第三の受け板54と第四の受け板56との境界部分及び第四の受け板56と第一の受け板20aとの境界部分は、各々垂直方向の投影状態で重なりをもたせて隙間なく設置されている。従って、各受け板とコンベアチェーン16とが一体になって構成する各搬送面は、切れ目なく連設される形態となり、輸送物11の破片等は、各搬送面に沿って脱落することなく連続移動することができ、輸送物11が載置される往路部分16aに戻される。
【0035】
なお、輸送物11の破片の形状や大きさによっては、第四の受け板56を省略しても差し支えない場合がある。その場合は、第一の受け板56を搬入端側ローラ18bの上頂点付近まで延設し、第三の受け板54と第一の受け板56との境界部分が、水平方向に重なりをもたせるとよい。
【0036】
以上説明したように、コンベア装置52によれば、コンベアチェーン16の往路部分16aに載置された輸送物は、排出口32に向けて効率よく搬送して排出することができる。また、適正に排出されずにコンベアチェーンに残留した破片についても下方に落下させことなく回収して当初の輸送物の投入箇所に戻し、再度、排出口に向けて搬送して排出することができる。
【0037】
また、第三の受け板54及び第四の受け板56は、搬入端側ローラ18bの回転軸18cを支えるボールベアリングの外輪と一体に取り付けられているので、テンション調整機構22の動作によって搬入端側ローラ18bの位置が移動したときでも、第三の受け板54及び第四の受け板56も一体に移動し、コンベアチェーン16との間の距離は変化しない。また、各受け板の境界は、搬入端側ローラ18bの水平方向に移動可能な距離を超える重なりをもたせて設置されているので、所定の受け板が移動しても、各境界部分に隙間が生じることはない。従って、第三の受け板54及び第四の受け板56とコンベアチェーン16とで形成される搬送面の状態は常に最適な設定が維持され、コンベアチェーン16のテンション調整をする度に周辺各部の位置を再度設定する手間が生じない。
【0038】
なお、本発明は、上記実施形態に限定するものではなく、コンベアチェーンは、輸送物11の大きさや形態に応じて、ドラグチェーン等の汎用コンベアチェーン、粉体搬送用コンベアチェーン、水処理用コンベアチェーンなど、自由に選択できる。また、搬送レーンの数は4本に限定するものではなく、輸送物11の量、作業場のスペース、1本のコンベアチェーン16の幅等に鑑みて、1以上の本数を任意に設定すればよい。また、コンベアの搬送距離は任意に設定できる。搬送距離を長くする場合は、往路部分16bが連続的に形成されるように複数のコンベア装置54を直列に配置してもよい。また、コンベアチェーン16の往路部分16a及び復路部分16bの搬送面は、進行方向に対して水平である必要はなく、上り勾配や下り勾配をもたせてもよい。
【0039】
また、コンベアチェーン16が掛け渡される一対のローラ18a,18bの間隔は、各搬送レーン毎に独立に設定できるよう構成してもよい。さらに、各受け板は、必ずしも専用の板材である必要はなく、コンベア装置の筐体やカバー等の構造物の表面を利用して構成したものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】この発明の一実施形態のコンベア装置を含む搬送システムの上面図である。
【図2】本搬送システムの部分断面を含む側面図である。
【図3】本搬送システムの構成と動作を説明する模式図である。
【図4】図3の搬入端側ローラの周辺部分の構成を説明するA部拡大図である。
【図5】図3のテンション調整機構の動作を説明するA部拡大図である。
【図6】従来のコンベア装置を含む搬送システムの構成と動作を説明する模式図である。
【図7】図6のテンション調整機構の動作を説明するB部拡大図である。
【符号の説明】
【0041】
11 搬送物
12 ホッパー
16 コンベアチェーン
16a 往路部分
16b 復路部分
18a 搬出端側ローラ
18b 搬入端側ローラ
19 軸受部材
20a 第一の受け板
20b 第二の受け板
22 テンション調整機構
30 駆動装置
32 排出口
34 本体
50 搬送システム
52 コンベア装置
54 第三の受け板
56 第四の受け板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対のローラで駆動される無端のコンベアチェーンに載置された輸送物を排出口に搬送するコンベア装置において、
載置された輸送物と共に搬入端から搬出端の方向に進行するコンベアチェーンの往路部分の下方近傍に、所定の距離を空けて付設された第一の受け板と、
排出端から搬入端の方向に進行するコンベアチェーンの復路部分の下方近傍に、所定の距離を空けて付設された第二の受け板と、
搬入端側ローラによって前記復路部分から往路部分に方向転換されるコンベアチェーンの折り返し部分の外側近傍に、所定の距離を空けて付設された第三の受け板とを備え、
前記第二の受け板と前記第三の受け板との境界部分は、水平方向に隙間なく連設されていることを特徴とするコンベア装置。
【請求項2】
前記一対のローラを構成する搬入端側ローラと搬出端側ローラの間隔を可変して、コンベアチェーンのテンションを調整するテンション調整機構を備え、前記第三の受け板は、前記テンション調整機構によって、前記搬入端側ローラと一体に位置変更されることを特徴とする請求項1記載のコンベア装置。
【請求項3】
前記コンベアチェーンの往路部分の下方近傍であって、前記第一の受け板の搬入端側の終端箇所から前記搬入端側ローラの上頂点までの位置に、前記折り返し部分に繰り上げられる輸送物を前記コンベアチェーン往路部分に誘導する第四の受け板が付設され、前記第一の受け板と前記第四の受け板との境界部分及び第三の受け板と前記第四の受け板との境界部分は、各々垂直方向の投影状態で隙間なく位置していることを特徴とする請求項1記載のコンベア装置。
【請求項4】
前記一対のローラを構成する搬入端側ローラと搬出端側ローラの間隔を可変して、チェーンコンベアのテンションを調整するテンション調整機構を備え、前記第三の受け板および前記第四の受け板は、前記テンション調整機構によって、前記搬入端側ローラと一体に位置変更にされることを特徴とする請求項3記載のコンベア装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−196722(P2009−196722A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−36945(P2008−36945)
【出願日】平成20年2月19日(2008.2.19)
【出願人】(505477327)株式会社丸和 (2)
【Fターム(参考)】