説明

コンベア装置

【課題】あらゆる形状の搬送物であっても、搬送物および搬送システムを破損させずに、搬送物をスムーズに搬送するコンベア装置を提供する。
【解決手段】搬送コンベア上からの搬送物の脱落を防止するためのコンベア装置1であって、プーリ112Aと、プーリ112Bに巻回されたサイドベルト111とを有し、サイドベルト111の搬送物接触面が搬送面に対し概ね垂直となるよう搬送コンベアの側方に設置され、搬送コンベアの搬送方向と同方向に駆動されるサイドコンベア11と、プーリ112よりも径の小さいプーリ122Aと、プーリ122Bに巻回されたショートベルト121とを有し、ショートベルト121の搬送物接触面が搬送面に対し概ね垂直となるよう、かつ、搬送コンベアの側方であってサイドコンベア11の下流側に近設され、搬送コンベアの搬送方向と同方向に駆動されるショートコンベア12とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンベア装置に関し、特に、幅寄せコンベアのサイドベルトにおける搬送物の噛み込みを防止するコンベア装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、輸送業界では、トラックターミナル等において、集荷した荷物を配送先毎に仕分けして、その後配送先に出荷するための搬送システムが使用されている。
【0003】
図5は、従来の搬送システムの構成の一例を示した平面図である。同図における搬送システム400は、投入コンベア401と、自動整列コンベア402と、幅寄せコンベア403と、中継用コンベア404と、サイドコンベア405と、テーパガイド406とを備える。
【0004】
図5に記載された搬送システム400は、貨物車両などから荷降ろしされた一連の搬送物410を、大きさや配送先などの基準により仕分けする仕分けラインに投入されるまでの搬送ラインである。
【0005】
投入コンベア401は、例えば、貨物車両から荷降ろしされた搬送物410を搬送システム400に投入するためのコンベアである。
【0006】
自動整列コンベア402は、投入コンベア401の下流側に配置され、投入コンベア401で投入された搬送物410を自動整列する。自動整列コンベア402は、搬送速度の異なる一対の斜行コンベアが相隣接するように配置されている。また、自動整列コンベア402の各ローラは、両斜行コンベアの境界へ、かつ、幅寄せコンベア403側へと搬送物410を送り出すように配置されている。この配置により、搬送中の搬送物410に複雑な外力が付加されて、搬送物410は上記両斜行コンベアの境界上を蛇行運動または自転運動することとなる。この運動により、左右に並んで搬送される搬送物410のいずれかが前方に押し出され、搬送物410が整列される。また、搬送物410は、自動整列コンベア402の中央付近に整列されるので、自動整列コンベア402の側方に空きスペースが確保される。よって、投入コンベア401を介し広範囲からの搬送物410の投入が可能となる。
【0007】
幅寄せコンベア403は、自動整列コンベア402の下流側に配置され、搬送物410の搬送方向を変化させることにより、一側方に搬送物410を幅寄せする機能を有する。幅寄せコンベア403は、例えば、幅を寄せる方向にローラを傾かせた斜行コンベアである。また、本搬送システムでは、幅寄せコンベア403の幅寄せする側方には、サイドコンベア405が付設されている。
【0008】
サイドコンベア405は、サイドベルト405Aとその両端のプーリ405Bとから構成され、サイドベルト405Aの搬送物410との接触面は、幅寄せコンベア403の搬送面に対し概ね垂直に配置されている。また、サイドベルト405Aの駆動方向は、搬送物410が搬送される方向と同一である。これにより、サイドコンベア405は、幅寄せコンベア403上からの搬送物410の脱落を防止する機能を有するとともに、傾いた状態で接触してきた搬送物410を旋回させ搬送物410の一辺がサイドコンベア405に沿うように整列する機能を有する。
【0009】
中継用コンベア404は、例えば、搬送面にローラが一定間隔で配置された通常のコンベアであり、幅寄せコンベア403およびサイドコンベア405で整列された搬送物410を受け、以降の各仕分けラインへと搬送する機能を有する。
【0010】
搬送物410は、幅寄せコンベア403により、サイドベルト405Aに接触しながら搬送される。そして、サイドベルト405Aの終端において、搬送物410には、サイドベルト405Aの終端形状に沿って外側に払い出される力が加わる。テーパガイド406は、搬送物410がこの力によって払い出されないように、サイドコンベア405と同じ側方に、かつ、サイドコンベア405に沿うように付設されている。
【0011】
図6は、従来の搬送システムにおけるサイドコンベアおよびテーパガイドの外観斜視図である。
【0012】
テーパガイド406は、例えば、金属板で構成され、搬送物410がサイドコンベア405とテーパガイド406との隙間から脱落しないよう、かつ、サイドベルト405Aと接触しないよう、サイドコンベア405と適切な間隔が確保されて配置されている。また、先端の尖った搬送物などが上記間隔に噛み込むことを抑制するため、テーパガイド406の上流側の端部の搬送物接触面は、テーパガイド406の下流側の搬送物接触面よりも搬送物410の搬送経路から後退させている。
【0013】
以上の構成により、従来の搬送システムでは、搬送物は整列および幅寄せされ、後続する仕分けラインへと搬送される。
【特許文献1】特開2007−153484号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、上述したテーパガイド406は、先鋭形状の搬送物や厚みのない搬送物の場合、サイドコンベア405とテーパガイド406との隙間に当該搬送物の一部がいったん咬持されると、当該搬送物はサイドコンベア405の駆動力により当該隙間部へ噛み込んでしまい、最悪の場合には、搬送物、サイドベルト405Aおよびテーパガイド406を破損してしまうという問題が発生する。
【0015】
本発明は、上記問題に鑑み、あらゆる形状の搬送物であっても、搬送物および搬送システムを破損させずに、搬送物をスムーズに搬送するコンベア装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するために、本発明に係るコンベア装置は、搬送コンベア上からの搬送物の脱落を防止するためのコンベア装置であって、第1のサイドベルトと、前記第1のサイドベルトが巻回され前記第1のサイドベルトの下流端部に配置された第1のプーリとを有し、前記第1のサイドベルトの搬送物接触面が前記搬送コンベアの搬送面に対し概ね垂直となるよう前記搬送コンベアの側方に設置され、前記搬送コンベアの搬送方向と同方向に前記第1のサイドベルトの搬送物接触面が移動するように前記第1のサイドベルトが駆動される第1のサイドコンベアと、第2のサイドベルトと、前記第2のサイドベルトが巻回され前記第2のサイドベルトの上流端部に配置され前記第1のプーリよりも径の小さい第2のプーリとを有し、前記第2のサイドベルトの搬送物接触面が前記搬送コンベアの搬送面に対し概ね垂直となるよう、かつ、前記搬送コンベアの側方であって前記第1のプーリに前記第2のプーリが近接するよう前記第1のサイドコンベアの下流側に設置され、前記搬送コンベアの搬送方向と同方向に前記第2のサイドベルトの搬送物接触面が移動するように前記第2のサイドベルトが駆動される第2のサイドコンベアとを備えることを特徴とする。
【0017】
これにより、下流側に配置されたサイドコンベアの上流側プーリの径が、上流側に配置されたサイドコンベアの下流側プーリの径よりも小さく、かつ、両プーリが近接しているので、ベルトの搬送物接触面を同じように配置する場合は、両サイドコンベア間に形成された隙間を小さくすることが可能となる。よって、搬送物の当該隙間への噛み込みが抑制される。また、下流側に配置されたサイドコンベアのサイドベルトが搬送物の搬送方向と同方向に駆動されるので、搬送物が両サイドコンベア間に形成された隙間へ噛み込もうとしても、搬送物を当該隙間から排出させることが可能となる。よって、搬送物および搬送システムを破損させずに、搬送物をスムーズに搬送することが可能となる。
【0018】
また、前記第2のサイドコンベアは、さらに、前記第2のサイドベルトの下流端部に配置された第3のプーリを備え、前記第2のサイドベルトと前記第2のプーリと前記第3のプーリとで形成された駆動体は、前記第3のプーリの回転軸を支点として揺動可能であり、前記第2のサイドコンベアは、さらに、前記駆動体の上流側を前記搬送コンベアの搬送経路へ近づく方向に付勢する付勢手段を備えることが好ましい。
【0019】
これにより、搬送物が両サイドコンベアの隙間に噛み込もうとした時、下流側のサイドコンベアにおける上流側の位置が後退しつつ、搬送物が搬送経路へ押し戻されるので、搬送物の当該隙間への噛み込みを抑制することが可能となる。
【0020】
また、前記コンベア装置は、さらに、前記第3のプーリを回転させる駆動手段を備え、前記第3のプーリは、前記第2のプーリよりも径が大きいことが好ましい。
【0021】
これにより、下流側のサイドコンベアにおいて、揺動しない下流側プーリを下流側のサイドコンベアの駆動源とするので、簡便な機構にて、駆動手段と当該下流側プーリとを接続することが可能となる。また、第2のサイドコンベアの下流側に配置された第3のプーリの径が上流側に配置された第2のプーリの径よりも大きいので、第2のサイドベルトの速度低下が抑制される。よって、第2のサイドコンベアの搬送物を払い出すための十分な力が得られる。
【0022】
また、前記第2のサイドコンベアは、前記第2のサイドベルトの上流側の搬送物接触面が前記第1のサイドベルトの搬送物接触面よりも前記搬送コンベアの搬送経路から遠ざかるよう配置されていることが好ましい。
【0023】
これにより、下流側のサイドコンベアにおける上流側の搬送物接触面が上流側のサイドコンベアにおける搬送物接触面よりも、搬送経路に対して後退しているので、両サイドベルトの隙間周辺部への搬送物の接触が抑制される。よって、搬送物の両サイドベルト間の隙間への噛み込みを抑制することが可能となる。
【0024】
また、前記第2のサイドコンベアは、さらに、前記搬送物の接触により前記駆動体が前記搬送コンベアの搬送経路から遠ざかる方向へ揺動して所定の位置まで押し込まれたことを検出する検出手段を備え、前記コンベア装置は、前記検出手段により前記駆動体が前記所定の位置まで押し込まれたことが検出されたときに前記第1のサイドコンベアおよび前記第2のサイドコンベアを停止させる停止手段を備えることが好ましい。
【0025】
これにより、コンベア装置は、搬送物が両サイドベルトの隙間への噛み込んだ時に、上流側のサイドコンベアおよび下流側のサイドコンベアの双方の駆動を停止するので、搬送物の噛み込みにより搬送物および搬送システムが破損することを防止することが可能となる。
【発明の効果】
【0026】
本発明により、幅寄せコンベア等を有する搬送システムに必要であるサイドコンベアにおいて、上流側に配置されたサイドコンベアよりもプーリの径が小さいサイドコンベアが下流側に配置されるので、搬送物の両サイドコンベア間の隙間への噛み込みが抑制される。よって、搬送物が両サイドコンベア間に形成された隙間へ噛み込もうとしても、搬送物を当該隙間から排出させることができ、搬送物および搬送システムを破損させずに、搬送物をスムーズに搬送することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本実施の形態におけるコンベア装置は、搬送コンベアの一側方に付設された第1のサイドコンベアと第1のサイドコンベアの下流側に近設された第2のサイドコンベアとを備える。第1のサイドコンベアは、第1のプーリと、第1のプーリに巻回された第1のサイドベルトとを有し、搬送コンベアの搬送方向と同方向に駆動し、第2のサイドコンベアは、第1のプーリよりも径の小さい第2のプーリと、第2のプーリに巻回された第2のサイドベルトとを有し、搬送コンベアの搬送方向と同方向に駆動する。これにより、両サイドコンベア間に形成された隙間を小さくすることができ、搬送物の当該隙間への噛み込みが抑制される。また、搬送物が両サイドコンベア間に形成された隙間へ噛み込もうとしても、搬送物を当該隙間から排出させることが可能となる。よって、搬送物および搬送システムを破損させずに、搬送物をスムーズに搬送することができる。
【0028】
以下、本発明に係るコンベア装置の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0029】
図1は、本発明の実施の形態におけるコンベア装置を含む搬送システムの一例を示す斜視図である。同図における搬送システムは、コンベア装置1と、幅寄せコンベア2と、中継用コンベア3とを備える。
【0030】
投入コンベアや自動整列コンベア等から搬送されてきた搬送物4は、幅寄せコンベア2により、コンベア装置1が配置されている側方へ幅寄せされながら、中継用コンベア3へ搬送される。中継用コンベア3の下流には、例えば、搬送物4の大きさや配送先などの基準により搬送物4を仕分けする仕分けラインが設置されており、搬送物4はこの仕分けラインへと搬送される。
【0031】
コンベア装置1は、サイドコンベア11とショートコンベア12とを備え、幅寄せコンベア2および中継用コンベア3に対して搬送物4が幅寄せされる側に配置されている。また、サイドコンベア11の有するサイドベルト111とショートコンベア12の有するショートベルト121の各々と搬送物4との接触面は、いずれも搬送システムの設置面に対し概ね垂直方向となっている。また、サイドコンベア11とショートコンベア12とは、搬送物4の搬送方向と同方向に駆動している。よって、搬送物4が両サイドコンベア間に形成された隙間へ噛み込もうとしても、搬送物4を当該隙間から排出させることが可能となる。また、ショートベルト121が巻回された上流側プーリ122Aおよび下流側プーリ122Bは、サイドベルト111が巻回された下流側プーリ112Bよりも径が小さい。よって、サイドコンベア11とショートコンベア12との間に形成された隙間を小さくすることができるので、搬送物4の当該隙間への噛み込みが抑制される。ここで、上述したサイドコンベア11とショートコンベア12との間に形成された隙間について図2を用いて説明する。
【0032】
図2(a)は、サイドコンベアの下流側プーリとショートコンベアの上流側プーリとの径が等しいコンベア装置の上面図であり、図2(b)は、ショートコンベアの上流側プーリの径が、サイドコンベアの下流側プーリの径よりも小さいコンベア装置の上面図である。上述した隙間とは、サイドコンベアに接触して搬送されてきた搬送物が、サイドコンベアとショートコンベアとの近接部に進入し得る領域である。つまり、この領域とは、サイドコンベアとショートコンベアとの最近接部分、ショートコンベアの搬送面を含む平面、サイドベルトの外周面、およびショートベルトの外周面で囲まれた領域である。図2(a)に記載されたコンベア装置では上記隙間は領域Aであり、図2(b)に記載されたコンベア装置では上記隙間は領域Bである。両領域を比較すると、サイドコンベアとショートコンベアとのプーリピッチを小さく設定できる図2(b)に記載されたコンベア装置の方が、上記隙間を狭く設定することがわかる。
【0033】
幅寄せコンベア2は、例えば、幅を寄せる方向にローラを傾かせた斜行コンベアである。幅寄せコンベア2は、搬送物4の搬送方向を変化させることにより、一側方に搬送物4を幅寄せする機能を有する。
【0034】
中継用コンベア3は、例えば、搬送面にローラが一定間隔で配置された通常のコンベアであり、幅寄せコンベア2で整列された搬送物4を受け、以降の各仕分けラインへと搬送する機能を有する。
【0035】
なお、ショートコンベア12は、必ずしも中継用コンベア3の側方に付設される必要はない。中継用コンベア3がない搬送システムにおいては、幅寄せコンベア2に後続する仕分けコンベアやその他の機能を有するコンベアの側方にショートコンベア12が付設されてもよい。
【0036】
次に、コンベア装置1の機能構成について図3を用いて説明する。
【0037】
図3は、本発明の実施の形態にかかるコンベア装置の機能構成図である。同図におけるコンベア装置1は、サイドコンベア11と、ショートコンベア12と、停止部13と、タイミングベルト14とを備える。
【0038】
サイドコンベア11は、第1のサイドコンベアであり、サイドベルト111と、プーリ112と、駆動部113とを備える。サイドコンベア11は、幅寄せコンベア2により一側方へと整列された搬送物4の脱落を防止する機能を有する。
【0039】
サイドベルト111は、第1のサイドベルトであり、プーリ112の回転により作動する。また、サイドベルト111の作動方向は、搬送物4が搬送される方向と同一である。これにより、サイドベルト111は、傾いた状態で接触してきた搬送物4を旋回させ搬送物4の一辺がサイドベルト111に沿うように整列する機能を有する。
【0040】
プーリ112は、第1のプーリである上流側プーリ112Aと、下流側プーリ112Bとを備え、サイドベルト111が巻回されており、それぞれサイドベルト111の上流端部および下流端部に配置され、回転することによりサイドベルト111が作動する。プーリ112は、例えば、直径が170mmである。
【0041】
駆動部113は、プーリ112を回転駆動させる駆動手段であり、例えば、モータと、当該モータとプーリ112とを接続する駆動ベルトまたはギア等とで構成される。また、駆動部113は、例えば、下流側プーリ112Bと下流側プーリ122Bとをタイミングベルト14で接続することにより、後述するショートコンベア12の下流側プーリ122Bも回転駆動させる機能を有する。
【0042】
なお、駆動部113は、サイドコンベア11内に配置されなくてもよい。ショートコンベア12内に配置されていてもよく、または、両サイドコンベア外に配置されていてもよい。
【0043】
ショートコンベア12は、第2のサイドコンベアであり、ショートベルト121と、プーリ122と、付勢部123と、検出部124と、固定板125とを備える。ショートコンベア12は、サイドコンベア11と同じ側で、かつ、サイドコンベア11の下流側に近接して配置される。
【0044】
ショートベルト121は、第2のサイドベルトであり、下流側プーリ122Bの回転駆動により作動する。また、ショートベルト121の作動方向は、搬送物4が搬送される方向と同一である。これにより、ショートベルト121は、搬送物4がサイドコンベア11とショートコンベア12との間に形成された隙間へ噛み込もうとしても、搬送物4を当該隙間から排出し、搬送物4の当該隙間への噛み込みを抑制する機能を有する。
【0045】
プーリ122は、第2のプーリである上流側プーリ122Aと、第3のプーリである下流側プーリ122Bとを備える。プーリ122には、ショートベルト121が巻回されており、上流側プーリ122Aは、ショートベルト121の上流端部に、また、下流側プーリ122Bは、ショートベルト121の下流端部に配置されている。前述したように、駆動部113が下流側プーリ122Bを回転駆動させることにより、ショートベルト121が作動し、それに連動して上流側プーリ122Aが回転する。
【0046】
また、プーリ122は、プーリ112よりも径が小さい。これにより、プーリ112と同じ径を有するプーリをショートコンベア12のプーリとして使用した場合に比べ、サイドコンベア11とショートコンベア12との間に形成された隙間が縮小される。この隙間とは、前述した隙間と同様に、図2に記載された領域AおよびBを用いて定義されるものである。よって、搬送物4の当該隙間への噛み込みが抑制される。プーリ122は、例えば、上流側プーリ112Aおよび下流側プーリ112Bの直径が170mmである場合、上流側プーリ122Aの直径が15mmで、下流側プーリ122Bの直径が30mm〜50mmであることが好ましい。
【0047】
ショートコンベア12は、サイドコンベア11よりもプーリの径が小さく、タイミングベルト14を介してサイドコンベア11のプーリ112と連動しているため、サイドコンベア11よりもベルトの駆動速度が小さい。一般に、ベルトの駆動速度が小さいと搬送物を払い出す力は小さくなる。よって、上述した各プーリの寸法例のように、ショートコンベア12の上流側プーリ122Aの径は小さくして上記隙間を小さくし、タイミングベルト14が巻回されている下流側プーリ122Bの径は大きくして、ショートベルト121の速度低下を抑えることが好ましい。
【0048】
また、この場合、ショートコンベア12の長さは、200mmとなる。一般に、搬送コンベアが一定の駆動力を確保するためは、コンベアが長くなるにつれ、プーリの径を大きくすることが必要となる。
【0049】
また、サイドコンベア11とショートコンベア12との間隔は、サイドベルト111とショートベルト121とが接触しない範囲内でできる限り小さくすることが好ましいが、搬送物4の大きさや形状によって最適化されてもよい。
【0050】
また、プーリ122とショートベルト121とで構成される駆動体は、下流側プーリ122Bの回転軸が、固定板125に固定されており、当該回転軸を支点とし、上流側プーリ122Aの回転軸が幅寄せコンベア2や中継用コンベア3の搬送面と平行方向に円弧を描くように揺動するようになっている。
【0051】
付勢部123は、図1には図示されていないが、固定板125と上流側プーリ122Aとの間に配置され、上記駆動体の揺動に付勢力を与える機能を有する付勢手段であり、例えば、スプリングなどの弾性体で構成される。搬送物4が、上記駆動体の上流側部分に接触したとき、当該駆動体は搬送物4の搬送経路から遠ざかる方向に揺動する構造となっている。この時、付勢部123は、上記駆動体を搬送経路に近づく方向に付勢する付勢力を当該駆動体に与え、搬送物4を搬送経路に近づく方向へと押し戻す。
【0052】
上記駆動体の揺動および付勢部123により、搬送物が両サイドコンベアの隙間に噛み込もうとした時、当該駆動体の上流側が搬送経路から後退しつつ、搬送物4が搬送経路側へ押し戻されるので、搬送物4の当該隙間への噛み込みが抑制される。
【0053】
検出部124は、図1には図示されていないが、固定板125上に配置され、上記駆動体が所定の位置まで押し込まれたことを検出する検出手段であり、例えば、近接センサや接触センサから構成される。検出部124は、上記駆動体が所定の位置まで押し込まれたことを検出すると、停止部13へ検出信号を送信する。
【0054】
停止部13は、図1には図示されていないが、サイドコンベア11の駆動とショートコンベア12の駆動とを停止させる機能を有する停止手段であり、例えば、CPUなどで構成される。停止部13は、検出部124からの検出信号を受信すると、例えば、駆動部113の有する駆動モータへの電源供給を停止させる。
【0055】
検出部124および停止部13により、搬送物4がサイドコンベア11とショートコンベア12との間の隙間へ噛み込んだ時に、サイドコンベア11およびショートコンベア12の双方が駆動停止されるので、搬送物4の噛み込みによる搬送物4および搬送システムの破損を防止することが可能となる。
【0056】
タイミングベルト14は、例えば、下流側プーリ112Bと下流側プーリ122Bとを連結するベルトであり、サイドコンベア11およびショートコンベア12の双方を駆動部113に駆動させる機能を有する。
【0057】
これにより、ショートコンベア12を駆動するための駆動手段を別途設ける必要がないので、省スペース化やコストダウンが図られる。
【0058】
次に、本発明の実施の形態におけるコンベア装置1の動作について説明する。
【0059】
図4(a)は、搬送物が接触していない場合の本発明の実施の形態におけるコンベア装置の上面図であり、図4(b)は、搬送物が接触している場合の本発明の実施の形態におけるコンベア装置の上面図である。コンベア装置1の構成要素については、図3の機能構成図に記載された構成要素と同様である。
【0060】
図4(a)において、駆動部113によりサイドコンベア11およびショートコンベア12は搬送方向と同じ方向に駆動している。また、搬送物4は、ショートベルト121の上流側には接触しておらず、ショートコンベア12は初期状態の位置となっている。従って、搬送物4は、搬送経路に従ってスムーズに搬送されている。
【0061】
ショートコンベア12は、初期状態において、ショートベルト121の上流側部分の搬送物接触面がサイドベルト111の搬送物接触面よりも搬送経路に対して後退しているように配置されている。これにより、ショートベルト121の上流側への搬送物4の接触が抑制される。よって、搬送物4の両サイドベルト間の隙間への噛み込みが抑制される。
【0062】
この初期状態においては、付勢部123には外力が付加されておらず、また、ショートベルト121の検出部124への近接または接触がない状態である。従って、検出部124は検出信号を停止部13には送信しないので、停止部13はサイドコンベア11およびショートコンベア12を停止させない。
【0063】
一方、図4(b)においても、駆動部113によりサイドコンベア11およびショートコンベア12は搬送方向と同じ方向に駆動されている。しかし、搬送物4のコーナー部が両コンベア間の隙間に入り込んで、プーリ122とショートベルト121とで構成される駆動体の上流側部分が、搬送経路から遠ざかる方向へ押し込まれている。付勢部123は、搬送物4による上記駆動体の押し込みに対して、当該駆動体を搬送経路側へ押し戻そうとする付勢力を当該駆動体へ与えている。このとき、ショートベルト121の搬送方向への作動および上記駆動体の上流側の搬送経路からの後退により、搬送物4が搬送経路へ復帰することができる場合と、当該駆動体がさらに搬送経路から遠ざかる方向へ押し込まれる場合とが想定される。
【0064】
後者の場合には、図4(b)に記載されたように、固定板125に設置された検出部124に上記ショートコンベア駆動体が近接または接触することにより、検出部124が停止部13に対して検出信号を送信する。検出部124からの検出信号を受信した停止部13は、駆動部113の駆動を停止させることにより、両コンベアの駆動を停止させる。
【0065】
これにより、搬送物4が両コンベア間に形成された隙間へ噛み込むことが防止されるので、搬送物4およびコンベア装置1の破損が未然に防止される。
【0066】
以上説明したように、本実施の形態におけるコンベア装置によれば、ショートコンベアのプーリの径が、サイドコンベアのプーリの径よりも小さいので、両サイドコンベア間に形成された隙間を小さくすることが可能となる。よって、搬送物の当該隙間への噛み込みが抑制される。また、ショートベルトが搬送物の搬送方向と同方向に駆動するので、搬送物が両コンベア間に形成された隙間へ噛み込もうとしても、搬送物を当該隙間から排出させることが可能となる。
【0067】
また、両コンベアは共通の駆動手段により駆動するので、省スペース化やコストダウンが図られる。
【0068】
また、搬送物が両コンベア間に形成された隙間に噛み込もうとした時、ショートコンベアのプーリとショートベルトとで形成された駆動体の上流側が搬送経路から後退しつつ、搬送物が搬送経路へ押し戻されるので、搬送物の当該隙間への噛み込みが抑制される。
【0069】
また、ショートコンベアにおける上流側の搬送物接触面がサイドコンベアにおける搬送物接触面よりも、搬送経路に対して後退しているので、両サイドベルトの隙間周辺部への搬送物の接触が抑制される。
【0070】
また、搬送物が両コンベア間に形成された隙間への噛み込んだ時に、両コンベアの駆動が停止されるので、搬送物の噛み込みによる搬送物および搬送システムの破損を未然に防止することが可能となる。
【0071】
以上により、本発明のコンベア装置は、搬送物および搬送システムを破損させずに、搬送物をスムーズに搬送することが可能となる。
【0072】
以上、本発明に係るコンベア装置について、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、この実施の形態に限定されるものではない。
【0073】
例えば、上述した実施の形態では、停止部13と駆動部113とは独立した構成要素としているが、停止部13と駆動部113とは制御部として共通化されていてもよい。この場合には、制御部内のCPUが、検出部124からの検出信号の受信有無により、駆動モータへの電源供給の有無を制御する。これにより、サイドコンベア11およびショートコンベア12の駆動および停止が制御される。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明は、荷物搬送のためのコンベアシステムに有用であり、特に、幅寄せコンベアを有するコンベアシステムのコンベア装置として用いるのに最適である。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明の実施の形態におけるコンベア装置を含む搬送システムの一例を示す斜視図である。
【図2】(a)サイドコンベアの下流側プーリとショートコンベアの上流側プーリとの径が等しいコンベア装置の上面図である。(b)ショートコンベアの上流側プーリの径が、サイドコンベアの下流側プーリの径よりも小さいコンベア装置の上面図である。
【図3】本発明の実施の形態にかかるコンベア装置の機能構成図である。
【図4】(a)搬送物が接触していない場合の本発明の実施の形態におけるコンベア装置の上面図である。(b)搬送物が接触している場合の本発明の実施の形態におけるコンベア装置の上面図である。
【図5】従来の搬送システムの構成の一例を示した平面図である。
【図6】従来の搬送システムにおけるサイドコンベアおよびテーパガイドの外観斜視図である。
【符号の説明】
【0076】
1 コンベア装置
2、403 幅寄せコンベア
3、404 中継用コンベア
4、410 搬送物
11、405 サイドコンベア
12 ショートコンベア
13 停止部
14 タイミングベルト
111、405A サイドベルト
112、122、405B プーリ
112A、122A 上流側プーリ
112B、122B 下流側プーリ
113 駆動部
121 ショートベルト
123 付勢部
124 検出部
125 固定板
400 搬送システム
401 投入コンベア
402 自動整列コンベア
406 テーパガイド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送コンベア上からの搬送物の脱落を防止するためのコンベア装置であって、
第1のサイドベルトと、前記第1のサイドベルトが巻回され前記第1のサイドベルトの下流端部に配置された第1のプーリとを有し、前記第1のサイドベルトの搬送物接触面が前記搬送コンベアの搬送面に対し概ね垂直となるよう前記搬送コンベアの側方に設置され、前記搬送コンベアの搬送方向と同方向に前記第1のサイドベルトの搬送物接触面が移動するように前記第1のサイドベルトが駆動される第1のサイドコンベアと、
第2のサイドベルトと、前記第2のサイドベルトが巻回され前記第2のサイドベルトの上流端部に配置され前記第1のプーリよりも径の小さい第2のプーリとを有し、前記第2のサイドベルトの搬送物接触面が前記搬送コンベアの搬送面に対し概ね垂直となるよう、かつ、前記搬送コンベアの側方であって前記第1のプーリに前記第2のプーリが近接するよう前記第1のサイドコンベアの下流側に設置され、前記搬送コンベアの搬送方向と同方向に前記第2のサイドベルトの搬送物接触面が移動するように前記第2のサイドベルトが駆動される第2のサイドコンベアとを備える
ことを特徴とするコンベア装置。
【請求項2】
前記第2のサイドコンベアは、さらに、
前記第2のサイドベルトの下流端部に配置された第3のプーリを備え、
前記第2のサイドベルトと前記第2のプーリと前記第3のプーリとで形成された駆動体は、前記第3のプーリの回転軸を支点として揺動可能であり、
前記第2のサイドコンベアは、さらに、
前記駆動体の上流側を前記搬送コンベアの搬送経路へ近づく方向に付勢する付勢手段を備える
ことを特徴とする請求項1記載のコンベア装置。
【請求項3】
前記コンベア装置は、さらに、
前記第3のプーリを回転させる駆動手段を備え、
前記第3のプーリは、前記第2のプーリよりも径が大きい
ことを特徴とする請求項2記載のコンベア装置。
【請求項4】
前記第2のサイドコンベアは、前記第2のサイドベルトの上流側の搬送物接触面が前記第1のサイドベルトの搬送物接触面よりも前記搬送コンベアの搬送経路から遠ざかるよう配置されている
ことを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか1項に記載のコンベア装置。
【請求項5】
前記第2のサイドコンベアは、さらに、
前記搬送物の接触により前記駆動体が前記搬送コンベアの搬送経路から遠ざかる方向へ揺動して所定の位置まで押し込まれたことを検出する検出手段を備え、
前記コンベア装置は、
前記検出手段により前記駆動体が前記所定の位置まで押し込まれたことが検出されたときに前記第1のサイドコンベアおよび前記第2のサイドコンベアを停止させる停止手段を備える
ことを特徴とする請求項1〜4のうちいずれか1項に記載のコンベア装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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