説明

コンベヤチェーンおよびコンベヤチェーン搬送装置

【課題】螺旋ドラム駆動方式のコンベヤチェーンおよびそれを用いたコンベヤチェーン搬送装置において、螺旋ドラムからコンベヤチェーンが外れにくくかつ幅方向の変更および負荷の増減に柔軟に対応できるコンベヤチェーンおよびそれを用いたコンベヤチェーン搬送装置を提供する。
【解決手段】多数連結された搬送モジュールが螺旋ドラムで駆動されて搬送モジュールの搬送面上に載置した搬送物を所定の搬送経路に沿って搬送し、螺旋ドラム180、190のフライト部180a、190aと係合する凹形状の走行誘導凹部122が、搬送モジュールの裏面に設けられていることによって、上記の課題を解決するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品の搬送や仕分け、工場内における作業員の移動などに用いられるコンベヤチェーンおよびコンベヤチェーン搬送装置に関するものであり、さらに詳しくは、螺旋ドラムにより駆動されるコンベヤチェーンおよびそれを用いたコンベヤチェーン搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンベヤチェーンのリンクに一定間隔毎に走行誘導突起を垂設するとともに、この走行誘導突起の間隔をピッチとした螺旋溝を刻設した螺旋ドラムをコンベヤチェーンの下部に設置し、そして、その螺旋ドラムの螺旋溝に走行誘導突起を螺旋ドラムの回転に従って順次係合するようにしたことによって、コンベヤチェーンを駆動するいわゆる螺旋ドラム駆動方式のコンベヤチェーン搬送装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】実開昭50−128882号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の螺旋ドラム駆動方式によるコンベヤチェーン搬送装置は、走行誘導突起がコンベヤチェーンのリンクから突出した形状になっていたため、螺旋ドラムを回転させて走行誘導突起を螺旋溝に沿って順次進行させる際に、走行用突起が螺旋ドラムのフライト部(螺旋の山)に乗り上げて、コンベヤチェーンが螺旋ドラムから外れる方向(上方向)への力が働きやすいという課題があった。
【0004】
また、従来の螺旋ドラム駆動方式によるコンベヤチェーン搬送装置は、搬送路の幅がコンベヤチェーンに設けられたスラットの幅によって決定されるため、コンベヤチェーン搬送装置の幅を変更することが容易でないだけでなく、負荷に応じて駆動力を増減させることも困難であるという課題があった。
【0005】
そこで、本発明が解決しようとする技術的課題、すなわち、本発明の目的は、螺旋ドラム駆動方式のコンベヤチェーンおよびそれを用いたコンベヤチェーン搬送装置において、コンベヤチェーンが螺旋ドラムから外れにくくするとともに、幅方向の変更および負荷の増減に柔軟に対応できるコンベヤチェーンおよびそれを用いたコンベヤチェーン搬送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
まず、本請求項1に係る発明は、多数連結された搬送モジュールが螺旋ドラムで駆動されて前記搬送モジュールの搬送面上に載置した搬送物を所定の搬送経路に沿って搬送するコンベヤチェーンにおいて、前記螺旋ドラムのフライト部と係合する凹形状の走行誘導凹部が、前記搬送モジュールの裏面に設けられていることにより、前記課題を解決するものである。
ここで、「搬送物」とは、製品や商品などの物品のみならず、作業員なども含んだ搬送することができるすべてのものを含んでいる。
【0007】
そして、本請求項2に係る発明は、請求項1に係るコンベヤチェーンにおいて、走行誘導凹部の開口面が、チェーン走行方向に短辺が平行に向いた長方形の一対の長辺の中点が前記長方形の中央に寄った点対称形状であることにより、前記課題をさらに解決するものである。
【0008】
また、本請求項3に係る発明は、請求項1または請求項2に係るコンベヤチェーンにおいて、走行誘導凹部の底面に複数のリブが、チェーン走行方向と平行に設けられていることにより、前記課題をさらに解決するものである。
【0009】
さらに、本請求項4に係る発明は、多数の搬送モジュールが連結されたコンベヤチェーンと該コンベヤチェーンを駆動する螺旋ドラムとで構成されて前記コンベヤチェーンの搬送面上に載置した搬送物を所定の搬送経路に沿って搬送するコンベヤチェーン搬送装置において、前記螺旋ドラムのフライト部と係合する凹形状の走行誘導凹部が前記搬送モジュールの裏面に設けられ、前記走行誘導凹部のチェーン走行方向に沿った垂直断面形状が凹部開口側から凹部底面側に向けて拡幅した逆テーパ形状であるとともに、前記螺旋ドラムのフライト部の軸方向断面形状がチェーン走行方向に傾倒した形状であることにより、前記課題を解決するものである。
【発明の効果】
【0010】
本請求項1に係る発明によれば、多数連結された搬送モジュールが螺旋ドラムで駆動されて前記搬送モジュールの搬送面上に載置した搬送物を所定の搬送経路に沿って搬送するコンベヤチェーンにおいて、螺旋ドラムのフライト部と係合する凹形状の走行誘導凹部が、搬送モジュールの裏面に設けられていることよって、コンベヤチェーンのピッチライン付近に螺旋ドラムからの駆動力が伝達されるため、コンベヤチェーンが搬送面側へ逃げる力が働きにくい。そのため、駆動力の伝達ロスも低減し、円滑なチェーン走行が実現できる。
【0011】
さらに小さな搬送モジュールを多数連結することによってコンベヤチェーンを構成しているため、搬送モジュール製造用の金型を縮小することができ、部品製作コストの削減が実現できる。
【0012】
しかも、連結する搬送モジュールの数を変えることによりコンベヤチェーンの幅を変更することができるとともに、コンベヤチェーンの幅に応じて螺旋ドラムの数を変更することができるため、コンベヤチェーンおよびコンベヤチェーン搬送装置の使用上の自由度向上が実現できる。
【0013】
また、本請求項2に係る発明によれば、請求項1に係るコンベヤチェーンにおいて、走行誘導凹部の開口面が、チェーン走行方向に短辺が平行に向いた長方形の一対の長辺の中点が長方形の中央に寄った点対称形状であることにより、搬送モジュールの向きに左右されることなくコンベヤチェーンを編成することができるため、部品点数の削減およびコンベヤチェーンの組立作業負担の軽減が実現できる。
【0014】
さらに走行誘導凹部が、螺旋ドラムの螺旋の向き影響されることなく右巻きおよび左巻きのどちらの螺旋ドラムにも係合するので、コンベヤチェーンの使用上の自由度向上が実現できる。
【0015】
また、本請求項3に係る発明によれば、請求項1または請求項2に係るコンベヤチェーンにおいて、走行誘導凹部の底面に複数のリブが、チェーン走行方向と平行に設けられていることにより、肉薄となる走行誘導凹部の強度が補強されるため、コンベヤチェーンの耐荷重性能向上および引張強度の向上が実現できる。
【0016】
そして、本請求項4に係る発明によれば、多数の搬送モジュールが連結されたコンベヤチェーンとこのコンベヤチェーンを駆動する螺旋ドラムとで構成されてコンベヤチェーンの搬送面上に載置した搬送物を所定の搬送経路に沿って搬送するコンベヤチェーン搬送装置において、螺旋ドラムのフライト部と係合する凹形状の走行誘導凹部が搬送モジュールの裏面に設けられ、走行誘導凹部のチェーン走行方向に沿った垂直断面形状が凹部開口側から凹部底面側に向けて拡幅した逆テーパ形状であるとともに、螺旋ドラムのフライト部の軸方向断面形状がチェーン走行方向に傾倒した形状であることにより、走行誘導凹部と螺旋ドラムのフライト部とが噛み合うことにより、コンベヤチェーンを螺旋ドラム側へ引き寄せる方向の力が生じるため、コンベヤチェーンが螺旋ドラム上を通過するときに浮き上がることなく、円滑なチェーン走行が実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明のコンベヤチェーンは、多数連結された搬送モジュールが螺旋ドラムで駆動されて、この搬送モジュールの搬送面上に載置した搬送物を所定の搬送経路に沿って搬送するものであって、螺旋ドラムのフライト部と係合する凹形状の走行誘導凹部が、搬送モジュールの裏面に設けられていることによって、螺旋ドラムからコンベヤチェーンが外れにくくかつ幅方向の変更および負荷の増減に柔軟に対応できるものであれば、その具体的な実施の態様は、如何なるものであっても何ら構わない。
【0018】
また、本発明のコンベヤチェーン搬送装置は、多数の搬送モジュールが連結されたコンベヤチェーンとコンベヤチェーンを駆動する螺旋ドラムとで構成されてコンベヤチェーンの搬送面上に載置した搬送物を所定の搬送経路に沿って搬送するものであって、螺旋ドラムのフライト部と係合する凹形状の走行誘導凹部が、搬送モジュールの裏面に設けられ、走行誘導凹部のチェーン走行方向に沿った垂直断面形状が凹部開口側から凹部底面側に向けて拡幅した逆テーパ形状であるとともに、螺旋ドラムのフライト部の軸方向断面形状がチェーン走行方向に傾倒した形状であることによって、螺旋ドラムからコンベヤチェーンが外れにくくかつ幅方向の変更および負荷の増減に柔軟に対応できるものであれば、その具体的な実施の態様は、如何なるものであっても何ら構わない。
【実施例1】
【0019】
そこで、本発明のコンベヤチェーンおよびコンベヤチェーン搬送装置の実施例1について、図1ないし図5に基づいて説明する。図1は、実施例1によるコンベヤチェーン100およびコンベヤチェーン搬送装置の一部を搬送面側から見たときの外観を示した上面図であり、図2は、コンベヤチェーン100を構成する搬送モジュールの一つである螺旋ドラム噛み合いモジュール120を裏面から見たときの平面図であり、図3は、図2のIII−III線で切断したときの断面図であり、図4は、コンベヤチェーン100を構成する搬送モジュールの一つであるセンターモジュール140を裏面から見たときの平面図であり、図5は、コンベヤチェーン100を構成する搬送モジュールの一つであるフルサイズエンドモジュール150を裏面から見たときの平面図である。
【0020】
本実施例のコンベヤチェーン100は、図1に示すように、螺旋ドラム噛み合いモジュール120と、センターモジュール140と、モジュール列の一列置きにコンベヤチェーン100の両端に交互に配設されるセンターモジュール140と同じ長さのフルサイズエンドモジュール150と、その半分の長さのハーフサイズエンドモジュール160とからなる4種類の搬送モジュールが、チェーン幅方向およびチェーン長手方向にレンガ状に編成されている。なお、図1においては、各搬送モジュールの境界を明らかに示すために、各搬送モジュールの裏側にチェーンの走行方向に平行に形成されているリブの記載は省略し、後述する走行誘導凹部122およびリブ非形成部142のみを点線で示している。
【0021】
ここで、本発明における「レンガ状に編成されている」とは、ある列の搬送モジュールの境界の位置と隣接する列の搬送モジュールの境界が同一にならないように編成することを意味している。なお、本実施例においては、図1に示すように、ある列の搬送モジュールの境界の位置に、隣接する列の搬送モジュールの中央がくるように編成している。このようにすることによって、必要とされる搬送モジュールの種類を少なくすることができるため好ましい。
【0022】
螺旋ドラム噛み合いモジュール120は、図2に示すように、その裏面中央に、開口面がチェーン走行方向に短辺122aが平行に向いた長方形であって、その長方形の一対の長辺122bの中点が長方形の中央に寄った点対称形状の走行誘導凹部122を有している。本実施例では、走行誘導凹部122の外形形状は、直線で形成され6つの角を有している鼓形状であるが、この直線を後述する螺旋ドラムのフライト部の螺旋面に沿うような曲線で形成すると螺旋ドラムのフライト部と走行誘導凹部122との接触が滑らかになるため好ましい。
【0023】
さらに、本実施例では、走行誘導凹部122の底面にチェーン走行方向に平行に複数の補強用のリブ122cが設けられている。これらのリブ122cは、図3に示すように、螺旋ドラムのフライト部との係合に支障を来たさないように、他の補強用のリブ128の高さより、十分に低く形成されている。
【0024】
そして、コンベヤチェーンの進行方向と直交する相対する側面のそれぞれに凹凸部が形成されており、前方側の側面に形成された凹凸部が前方に隣接するセンターモジュール140の後方側の側面に形成された凹凸に係合するとともに、後方側の側面に形成された凹凸部が後方に隣接するセンターモジュール140の前方側の側面に形成された凹凸部に係合している。そして、この凹凸部に串刺し状に設けられたピン穴124、126に連結ピンを挿通することによって、前後のモジュールが屈曲可能に連結されている。さらに、この螺旋ドラム噛み合いモジュール120は、それ自身の中心を基点として、点対称、すなわち、180°回転させた時に全く同じ形状となるように形成されている。そのため、モジュールの向きを考慮することなくコンベヤチェーン100を編成することができる。
【0025】
また、センターモジュール140は、図1および図4に示すように、その裏面に補強用のリブ148が、センターモジュール140の中央部にのみ形成されており、両端側には、リブが形成されていないリブ非形成部142を有している。このような形状にしたことによって、図1に示すように、モジュール列の一列おきに配列される螺旋ドラム噛み合いモジュール120の走行誘導凹部122との間に、2つのセンターモジュール140のリブ非形成部142が連接されたリブのない領域が形成され、螺旋ドラム180、190のフライト部180a、190aが、螺旋ドラム噛み合いモジュール120と螺旋ドラム噛み合いモジュール120との間に存在するセンターモジュール140のリブと干渉しないようになっている。なお、センターモジュール140の外形は、螺旋ドラム噛み合いモジュール120と同じ形状をしているとともに、それ自身の中心を基点として、点対称形状に形成されている。そのため、螺旋ドラム噛み合いモジュール120と同様に、モジュールの向きを考慮することなくコンベヤチェーン100を編成することができる。
【0026】
さらに、フルサイズエンドモジュール150は、センターモジュール140と同じ外形を有しているが、図5に示すように、センターモジュール140のようにリブ非形成部142を有しておらず、補強用のリブ158が等間隔に形成されている。また、ハーフサイズエンドモジュール160は、フルサイズエンドモジュール150の半分の長さであり、コンベヤチェーン100の両端にフルサイズエンドモジュール150と交互に配設されている。また、ハーフサイズサイズエンドモジュール160も、その外形が、それ自身の中心を基点として、点対称形状に形成されている。そのため、コンベヤチェーン100の右端に配設されるものと左端に配設されるものとを区別する必要がなく、部品点数のの削減および組立作業負担の軽減が図られる。なお、フルサイズエンドモジュール150とセンターモジュール140とは、前述のようにリブ非形成部部の有無を除いて同じ外形をしているので、強度的に余裕がある場合には、フルサイズエンドモジュール150に替えてセンターモジュール140を用いることも可能であり、これによって部品点数をさらに削減することができる。
【0027】
本実施例のコンベヤチェーン搬送装置は、図1に示すように、フルサイズエンドモジュール150と螺旋ドラム噛み合いモジュール120とセンターモジュール140と螺旋ドラム噛み合いモジュール120とフルサイズエンドモジュール150がコンベヤチェーン100の幅方向に連結されたモジュール列Aと、両端に配設された2つのハーフサイズエンドモジュール160と4つのセンターモジュール140とがコンベヤチェーン100の幅方向に連結されたモジュール列Bとが交互にコンベヤチェーン100の長手方向に連結されたコンベヤチェーン100を搬送媒体としており、このコンベヤチェーン100が循環状に敷設されることにより搬送経路を構成している。
【0028】
このコンベヤチェーン100は、前述のような構成をしているため、螺旋ドラム噛み合いモジュール120の長さの5倍の幅を有するとともにモジュール列の1列おきに2つの螺旋ドラム噛み合いモジュール120を有するモジュール列Aが配設される。その結果、コンベヤチェーン100の進行方向の中心線を挟んで平行かつモジュール列の1列おきに走行誘導凹部122が配列される。そして、この走行誘導凹部122が並んだラインに沿って搬送経路上の直線軌道の一部にコンベヤチェーン100に推進力を与える一対の螺旋ドラム180、190が、コンベヤチェーン100の裏面側に設置されている。この螺旋ドラム180、190は、走行誘導凹部122のピッチの半分の螺旋ピッチを有している。したがって、螺旋ドラム180、190が2回転することによって、コンベヤチェーン100が走行誘導凹部122のピッチ分、すなわち、2つのモジュールの幅分、進行する。
【0029】
そして、螺旋ドラム180は右巻きで右回転、螺旋ドラム190は左巻きで左回転している。螺旋ドラム噛み合いモジュール120に設けた走行誘導凹部122は、図2に示すように、開口面がチェーン走行方向に短辺122aが平行に向いた長方形の一対の長辺122bの中点が長方形の中央に寄った点対称形状をしているため、図1に示すように右巻きの螺旋ドラム180に対しても左巻きの螺旋ドラム190に対しても同様に係合させることができる。そのため、螺旋ドラム180、190の巻回方向および回転方向に関係なく使用可能である。さらに、本実施例のコンベヤチェーン搬送装置では、右巻きの螺旋ドラム180を右回転させた場合には、コンベヤチェーン100を進行方向に対して右方向に、左巻きの螺旋ドラム190を左回転させた場合には、コンベヤチェーン100を進行方向に対して左方向に斜行させる作用が生じるが、一対の螺旋ドラム180、190の巻回方向および回転方向を逆方向にすることによって、前述の作用が互いに相殺され、コンベヤチェーン100は、斜行することなく、進行方向に対して左右に引っ張られた状態で、すなわち、搬送面に弛みが生じない状態で円滑に走行する。
【実施例2】
【0030】
次に、本発明のコンベヤチェーンおよびコンベヤチェーン搬送装置の別の実施の態様である実施例2について、図6ないし図11に基づいて説明する。図6は、実施例2によるコンベヤチェーン200およびコンベヤチェーン搬送装置の一部を搬送面側から見たときの外観を示した上面図であり、図7は、コンベヤチェーン200を構成する搬送モジュールの一つである螺旋ドラム噛み合いモジュール220を裏面から見たときの平面図であり、図8は、別の形状の螺旋ドラム噛み合いモジュール270を裏面から見たときの平面図であり、図9は、図7のIX−IX線で切断したときの断面図であり、図10は、図6のX−X線で切断したときの断面図であり、図11は、図10のXI部の拡大図である。なお、図6においては、各搬送モジュールの境界を明らかに示すために、各搬送モジュールの裏側にチェーンの走行方向に平行に形成されているリブの記載は省略し、後述する走行誘導凹部222のみ点線で示している。
【0031】
本発明の実施例2のコンベヤチェーンおよびコンベヤチェーン搬送装置は、前述した本発明の実施例1のコンベヤチェーンおよびコンベヤチェーン搬送装置と、基本的な装置の構成、機能は同一であるので、対応する部材に付した符号の100番台を200番台に書き換えることにより、その説明を省略する。
【0032】
本実施例のコンベヤチェーン200は、図7に示すように、螺旋ドラム噛み合いモジュール220に設けられた走行誘導凹部222が、モジュールの中央ではなく片側に寄せて設けられている。そして、図6に示すように、この螺旋ドラム噛み合いモジュール220を走行誘導凹部222が一直線上に並ぶように各モジュール列毎に向きを180°反転させてレンガ状に編成することにより、各モジュール列毎に螺旋ドラム噛み合いモジュール220が配設されるようになっている。なお、図8に示すように、螺旋ドラム噛み合いモジュール270の左右に走行誘導凹部272を設けることによって、各モジュール列毎に向きを180°反転させることなくコンベヤチェーンを編成することができ組立作業負担を軽減させることができる。
【0033】
すなわち、図6に示すように、フルサイズエンドモジュール250と螺旋ドラム噛み合いモジュール220とセンターモジュール240と螺旋ドラム噛み合いモジュール220とフルサイズエンドモジュール250がコンベヤチェーン200の幅方向に連結されたモジュール列Cと、ハーフサイズエンドモジュール260と螺旋ドラム噛み合いモジュール220と2つのセンターモジュール240と螺旋ドラム噛み合いモジュール220とハーフサイズエンドモジュール250とがコンベヤチェーン200の幅方向に連結されたモジュール列Dとが、交互にコンベヤチェーン200の長手方向に連結されたコンベヤチェーン200を搬送媒体としており、このコンベヤチェーン200が循環状に敷設されることにより搬送経路を構成している。なお、センターモジュール240には、実施例1のセンターモジュール140のようにリブ非形成部を設ける必要がなく、フルサイズエンドモジュール250と同形状とすることができるため、部品点数の削減を図ることができる。
【0034】
このコンベヤチェーン200は、前述のような構成をしているため、螺旋ドラム噛み合いモジュール220の長さの5倍の幅を有するとともに各モジュール列毎に2つの螺旋ドラム噛み合いモジュール220が配設される。その結果、コンベヤチェーン200の進行方向の中心線を挟んで平行かつモジュール列毎に2つの走行誘導凹部222が配列される。そして、この走行誘導凹部222が並んだラインに沿って搬送経路上の直線軌道の一部にコンベヤチェーン200に推進力を与える一対の螺旋ドラム280、290が、コンベヤチェーン200の裏面側に設置されている。この螺旋ドラム280、290は、走行誘導凹部222のピッチと同じ螺旋ピッチを有している。したがって、螺旋ドラム280、290が1回転することによって、コンベヤチェーン200が走行誘導凹部222のピッチ分、すなわち、1つのモジュールの幅分、進行する。
【0035】
また、螺旋ドラム噛み合いモジュール220に設けた走行誘導凹部222は、図9に示すように、チェーン走行方向に沿った垂直断面形状が、凹部開口222e側から凹部底面222d側に向けて拡幅した逆テーパ形状であり、凹部底面222dが、コンベヤチェーンのピッチラインPよりも搬送面側に位置するように成形されている。さらに、図10に示すように、螺旋ドラム280のフライト部280aは、その軸方向断面形状がチェーン走行方向に傾倒した形状をしている。そして、図11に示したように走行誘導凹部222のテーパ角θ1よりも螺旋ドラム280のフライト部280の傾倒角θ2の方が鋭角になるように形成されている。走行誘導凹部222と螺旋ドラム280、290のフライト部280a、290aとをこのような形状にしたことによって、走行誘導凹部222の側面と螺旋ドラム280、290のフライト部280a、290aの側面とが、コンベヤチェーンのピッチラインPよりも搬送面側で接触する。したがって、その接触部には、水平方向よりもやや下を向いた力F0が作用する。この力F0は、水平方向の力F1と垂直下向きの力F2に分解することができ、F1が、コンベヤチェーンを推進させるチェーン駆動力となるとともに、F2がチェーンの浮き上がりを防止する力として作用する。
【0036】
なお、螺旋ドラム280のフライト部280aの軸方向断面形状をチェーン走行方向に傾倒角θ2で傾倒させた形状にするだけでなく、図11に点線で示したように、チェーン走行方向と逆方向にも同じ傾倒角θ2で傾倒させた形状にすることによって、すなわち、フライト部の頭部の幅を根元の幅よりも大きくなるような形状にすることによって、螺旋ドラムを逆回転させてコンベヤチェーンの走行方向を逆向きにすることにも対応させることができる。
【実施例3】
【0037】
次に、本発明のコンベヤチェーンおよびコンベヤチェーン搬送装置のさらに別の実施の態様である実施例3について、図12に基づいて説明する。図12は、実施例3によるコンベヤチェーン300およびコンベヤチェーン搬送装置の一部を搬送面側から見たときの外観を示した上面図である。なお、図12においては、各搬送モジュールの境界を明らかに示すために、各搬送モジュールの裏側にチェーンの走行方向に平行に形成されているリブの記載は省略し、走行誘導凹部322のみを点線で示している。
【0038】
本発明の実施例3のコンベヤチェーンおよびコンベヤチェーン搬送装置は、前述した本発明の実施例1のコンベヤチェーンの幅および螺旋ドラムの数を2倍にした以外は、基本的な装置の構成、機能は同一であるので、対応する部材に付した符号の100番台を300番台に書き換えることにより、その説明を省略する。
【0039】
本実施例のコンベヤチェーン300は、図12に示すように、1つのフルサイズエンドモジュール350と1つの螺旋ドラム噛み合いモジュール320と2つのセンターモジュール340と2つの螺旋ドラム噛み合いモジュール320と2つのセンターモジュール340と1つの螺旋ドラム噛み合いモジュール320と1つのフルサイズエンドモジュール350の合計10個の搬送モジュールがコンベヤチェーン300の幅方向に連結されたモジュール列Eと、1つのハーフサイズエンドモジュール360と9つのセンターモジュール240と1つのハーフサイズエンドモジュール360の合計11個の搬送モジュールがコンベヤチェーン300の幅方向に連結されたモジュール列Fとが交互にコンベヤチェーン300の長手方向に連結されている。そして、このコンベヤチェーン300が循環状に敷設されることにより搬送経路を構成している。
【0040】
以上のように本発明のコンベヤチェーンおよびコンベヤチェーン搬送装置は、連結する搬送モジュールの枚数を変えることにより、幅および長さを自由に変更することができるとともに、螺旋ドラム噛み合いモジュールの配列を変えることにより、コンベヤチェーンに駆動力を与える螺旋ドラムの数を変えることができるため、要求される駆動力や搬送物の大きさに応じて、コンベヤチェーンの幅や駆動力を柔軟に対応させることができる。
【0041】
加えて、本発明のコンベヤチェーンおよびコンベヤチェーン搬送装置は、螺旋ドラムのフライト部と搬送モジュールの裏面に設けた走行誘導凹部を係合させることによってコンベヤチェーンに駆動力を伝達させるため、コンベヤチェーンが螺旋ドラム上を通過するときに、コンベヤチェーンが浮き上がることを防止することができるため、安定した搬送物の搬送が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】実施例1のコンベヤチェーンおよびコンベヤチェーン搬送装置の上面図。
【図2】実施例1の螺旋ドラム噛み合いモジュールを裏面から見た時の平面図。
【図3】図2のIII−III線で切断したときの断面図。
【図4】実施例1のセンターモジュールを裏面から見た時の平面図。
【図5】実施例1のフルサイズエンドモジュールを裏面から見た時の平面図。
【図6】実施例2のコンベヤチェーンおよびコンベヤチェーン搬送装置の上面図。
【図7】実施例2の螺旋ドラム噛み合いモジュールを裏面から見た時の平面図。
【図8】実施例2の別の螺旋ドラム噛み合いモジュールを裏面から見た時の平面図。
【図9】図7のIX−IX線で切断したときの断面図。
【図10】図6のX−X線で切断したときの断面図。
【図11】図10のXI部の拡大図。
【図12】実施例3のコンベヤチェーンおよびコンベヤチェーン搬送装置の上面図。
【符号の説明】
【0043】
100、200、300 ・・・ コンベヤチェーン
120、220、270、320 ・・・ 螺旋ドラム噛み合いモジュール
122、222、272、322 ・・・ 走行誘導凹部
124、126、144、146、154、156、224、226 ・・・ ピン穴
128、148、158 ・・・ リブ
140、240、340 ・・・ センターモジュール
142 ・・・ (センターモジュールの)リブ非形成部
150、250、350 ・・・ フルサイズエンドモジュール
160、260、360 ・・・ ハーフサイズエンドモジュール
180、190、280、290、380、390 ・・・ 螺旋ドラム
180a、190a、280a、290a ・・・ (螺旋ドラムの)フライト部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数連結された搬送モジュールが螺旋ドラムで駆動されて前記搬送モジュールの搬送面上に載置した搬送物を所定の搬送経路に沿って搬送するコンベヤチェーンにおいて、
前記螺旋ドラムのフライト部と係合する凹形状の走行誘導凹部が、前記搬送モジュールの裏面に設けられていることを特徴とするコンベヤチェーン。
【請求項2】
前記走行誘導凹部の開口面が、チェーン走行方向に短辺が平行に向いた長方形の一対の長辺の中点が前記長方形の中央に寄った点対称形状であることを特徴とする請求項1記載のコンベヤチェーン。
【請求項3】
前記走行誘導凹部の底面に複数のリブが、チェーン走行方向と平行に設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2記載のコンベヤチェーン。
【請求項4】
多数の搬送モジュールが連結されたコンベヤチェーンと該コンベヤチェーンを駆動する螺旋ドラムとで構成されて前記コンベヤチェーンの搬送面上に載置した搬送物を所定の搬送経路に沿って搬送するコンベヤチェーン搬送装置において、
前記螺旋ドラムのフライト部と係合する凹形状の走行誘導凹部が前記搬送モジュールの裏面に設けられ、
前記走行誘導凹部のチェーン走行方向に沿った垂直断面形状が凹部開口側から凹部底面側に向けて拡幅した逆テーパ形状であるとともに、前記螺旋ドラムのフライト部の軸方向断面形状がチェーン走行方向に傾倒した形状であることを特徴とするコンベヤチェーン搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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