コンベヤベルト用スカート
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、コンベヤ装置に用いるコンベヤベルトの上面に配されるコンベヤベルト用スカートの改良に関する。
【0002】
【従来の技術】コンベヤ装置は、粉状、粒状、ゲル状等の搬送物が、吹き出し、荷こぼれ、飛散しないように、ホッパー部やシュート部あるいはキャリヤローラー間において、コンベヤベルト上方の長手方向に沿ってスカートを配している。特に、キャリヤローラー間に配するスカートは、コンベヤベルトに搬送物を積載した際に、キャリアローラー間の搬送物の荷重でコンベアベルトがたわむので、このたわみ部分から搬送物が荷こぼれ、飛散しないように配設される。そこで、たわみが生じたときでもコンベヤベルトの表面に常に無理なく圧接するように配設しなければならない。このため、コンベヤベルトが空荷のときには、コンベヤベルト自体の張力でキャリアローラーの上方へコンベヤベルトが浮き上がり、コンベヤベルトとスカートとが密接な状態で相接するものである。
【0003】そこで、従来のスカートは、空荷のときに生じるコンベヤベルトとスカートとの摩擦でスカートが摩耗しない構造や材質を採用していた。
【0004】そこで従来のスカートは、従来のスカートとコンベヤベルトとは、局部摩擦になる点接触構造ではなく、面接触構造としたものが多く、例えば実開平2-112619号に記載されたスカートゴムでは、スカートの下端に逆T字状を呈する板体を設け、板体とコンベヤベルトとの接触面に、摩擦に強い材質を配することで、スカートの耐磨耗強度を高めようとするものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、このように耐摩耗強度の高いスカートを使用すると、今度は、コンベアベルトの損傷が大きくなる不都合があった。すなわち、コンベアベルトの弛み幅が大きくなるほど、スカートの接触圧力を高める必要があるが、この接触圧力が高まるほど、キャリアローラー上に接するコンベアベルトとの摩擦抵抗が大きくなり、コンベヤベルト及びスカートの寿命を著しく縮めることになる。しかも、摩擦抵抗の高い接触面に耐磨耗強度が更に高い材質を配したりすると、スカート自体の強度を高めることはできても、コンベヤベルトを一層傷付けてしまう不都合がある。
【0006】更に、従来のスカートは、コンベヤベルトに対して逆T字状を呈する板体が面接触するので、コンベアベルトに多量の搬送物を載荷したとき、キャリアローラー間が長い場合、ベルトの緩みに対応できないために荷こぼれが問題となり、スカートとコンベヤベルトとの表面に隙間が生じる結果となり、特に、粉状、ヘドロ状の搬送物の吹き出し、荷こぼれの原因になっている。また、例えばアスファルトの塊など、粒状の搬送物が、この板体とコンベヤベルトとの接触面の間にはさまり易く、板体やコンベヤベルトを傷めるばかりでなく、搬送作業の妨げにもなっていた。
【0007】一方、この接触圧力が低いと、コンベヤベルトの弛みが生じたときに、コンベヤベルトとスカートとの間に間隙が生じ、この間隙から搬送物が荷こぼれする虞があった。
【0008】しかも、従来のスカートは、ホッパー部やシュート部などの配設位置にボルト等を用いて直接取り付ける手段が多く、特に、ホッパー部にスカートを取り付ける作業は、ピット内、ホッパー下、コンベア乗り移り、シュート部下等、手狭で劣悪な作業環境のもと、僅かな間隔で行う作業となり、スカートの着脱が極めて面倒な作業になっている。このため、コンベヤベルトに対するスカートの最適な接触圧を調整することも困難であった。ところが、コンベヤ装置には、コンベヤベルトがフラットな状態で搬送するフラットテーブル形の他に、キャリアローラーにトラフ角が付いた各種のトラフ形ベルトコンベヤがある。この形のコンベヤによると、コンベヤベルトの長手両端が立ち上がっている。したがって、この立上がり部に接触するスカートの位置調整は、トラフ角度に応じて選定及び調整する必要があり、この調整作業に多くの手間を要するものになっていた。
【0009】そこでこの発明は、上述の課題を解消すべく創出されたもので、1.コンベヤベルトの種類に対応して自身の弾性力にて常に一定の圧力で接して搬送物の吹き出し、荷こぼれ、飛散を防止し、2.スカートの接触によるコンベヤベルトの損傷を防止し、3.更には、簡単な作業でスカート取付の巧拙の差をなくし、最適な位置に取り付けることができるコンベヤベルト用スカートの提供を目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成すべく本発明は、コンベヤベルトの上面長手方向に沿って摺接する耐摩耗性弾性材の帯板状スカートであって、このスカートをシリコンオイルを混入した非粘着性ゴム材で形成し、帯板内部に復元力を補強する芯材を埋入し、コンベヤベルトの外側に位置するスカート板面に複数条の弾性溝部を設け、コンベヤベルトとの接触端部にテーパーを設けて尖鋭状の接触端部を設け、スカートの上方に配設してスカートを所定高さに連結支持する固定杆に係止する断面鉤形状の連結部をスカートの上端に設け、スカートの連結部に外嵌してスカートの側面を固定杆に圧接する固定具を設けたことにある。
【0011】
【作用】すなわち本発明によると、芯材5が埋設されたスカート1全体と、スカート1先端部の弾性溝部3が屈曲してスカート1の位置調整を行なう。このとき、芯材5は、自身の弾性力でスカート1全体の位置を調整する。また、弾性溝部3は、スカート1先端部に設けた接触端部4の圧接力を調整する。
【0012】また、テーパーを設けた尖鋭状の接触端部4は、コンベヤベルトPに接する接触端部4の接触圧力を調整するものである。
【0013】所定位置に配設した固定杆Sに連結部6が係止して、この固定杆Sにスカート1が吊り下げられる。そして、固定杆Sに係止した連結部6に固定具7が外嵌してスカート1と固定杆Sとを圧着固定する。
【0014】そして、シリコンオイルを混入した非粘着性ゴム材は、スカート1表面に搬送物が付着するのを防止する。
【0015】
【実施例】以下、図面を参照して、本発明の実施例を詳細に説明する。
【0016】図において示される符号1は、コンベヤベルトPの上面両側縁部に圧接する帯板状のスカートである(図1参照)。このスカート1は、耐摩耗性弾性材1Aの内部に芯材5を埋設することで、安定した適度の圧接力と復元力のバネ効果、及びスカート1自体の強度を高めてある。そして、コンベヤベルトの外側に位置するスカート1板面に複数条の弾性溝部3を設けている。この弾性溝部3は、図1及び図3に示す如く、溝状に形成する外、図9に示す如く切欠状に形成してもよい。このとき、図1及び図3に示す如く、スカート1の接触端部に近付くほど弾性溝部3相互の間隔を小さくすることで、より安定した適度の圧接力と復元力を得ることができる。
【0017】スカート1は、コンベヤベルトPとの接触端部にテーパーを設けて尖鋭状の接触端部4を形成してある。図3に示すスカート1の接触端部4は、夫々搬送物の種類、用途に応じて形状を変えたものである。すなわち、同図(I) 及び(II)のタイプは主に、粉状やゲル状(ヘドロ状)の搬送物に適応し、同図(III) のタイプは、主に、土砂や砕石など粒状や塊状の搬送物に適応する。また、同図(IV)のタイプは、原石、鉱石、砕石など大塊の輸送に適するものである。このようなコンベヤベルトPに使用するスカート1の材質は、耐摩耗性ゴム材の使用が望ましい。また、食品や薬品等の搬送物を扱う軽量なコンベヤベルトPに使用するスカート1の材質は、樹脂製弾性材の使用が適しており、特に、厚生省の食品規格等に適合した材質が望ましいものである。また、樹脂製弾性材を使用するスカート1は、芯材5を埋設しないタイプのものでも使用可能である。
【0018】符号6は、スカート1の上端部に設けた連結部6である。この連結部6は、例えば、ホッパーRなどに配設した固定杆Sに係止する鉤形状を成している。図1に示す連結部6は、ホッパーRがわに屈曲端部を設けている。また、図8に示す如く、ホッパーR以外のコンベヤベルトP全体に配設するスカート1の連結部6は、コンベヤベルトPの外がわに屈曲端部を設けることで、スカート1の装着作業を容易にできる。そして、この連結部6に固定具7を外嵌してスカート1の側面を固定杆Sに圧接している。図示の固定具7は、断面倒コ字状を成した冠着部材7Aの側面に、この冠着部材7Aを貫通する止着ネジ7Bを設け、この止着ネジ7Bの先端で連結部6の側面を押し止めている(図1参照)。
【0019】図1及び図2に示す固定杆Sは、ホッパーRの側面にネジ止めしたものである。このとき、固定杆Sは、図4に示す如く、ホッパーRの下端を屈曲加工してホッパーRと一体に形成したものや、あるいは、図5に示す如く、ホッパーRの側面に溶着してもよい。
【0020】また、図6及び図7に示す固定杆Sは、長孔状の挿通孔を装着位置の高さ調整を自在にしたものである。すなわち、この固定杆Sの側面に、上下に延びる長孔状の挿通孔S1を開穿し、ホッパーRの側面等に固着した固定ネジS2とこの挿通孔S1との固定位置を調整できるようにしている。
【0021】更に、図8に示す固定杆Sは、ホッパーR以外のコンベヤベルトP全体に配設するタイプの固定杆Sを示している。この固定杆Sは、コンベヤベルトPの長手側面に沿って立設した複数本の支柱Tに、断面L字形状を成した軌条状の固定杆Sを架設している。
【0022】
【発明の効果】本発明は、上述の如く構成したことにより、当初の目的を達成する。
【0023】すなわち、スカート1の弾性溝部3と接触端部4とがスカート1を屈曲せしめてスカート1とコンベヤベルトPとの接触圧力を弱め、スカート1の摩擦抵抗の軽減を図る。しかも、芯材5がスカート1の復元力を補強するから、水平型や各種トラフ角型ベルトコンベヤの種類に対応して、搬送物の吹き出し、荷こぼれ、飛散等を防止することができるものである。
【0024】特に、帯板内部に復元力を補強する芯材5を埋入し、コンベヤベルトPの外側に位置するスカート1板面に複数条の弾性溝部3を設け、コンベヤベルトPとの接触部にテーパーを設けて尖鋭状の接触端部4を設けているから、芯材5の張力によるスカート1の復元力と、複数条の弾性溝部3による屈曲性とが、一体となって尖鋭状の接触端部4に作用するから、搬送種類に対応して常に一定の圧力で接して搬送物の吹き出し、荷こぼれ、飛散を防止するものになっている。
【0025】また、弾性溝部3の数を適宜変更することで、接触端部4の接触圧力を自在に調整することが可能になる。
【0026】そして、接触端部4は、自身の長さを長く形成することで、より大きな弛みに対応できるものになる。したがって、図9に示す如く、キャリアローラーP1のスパンを広くしたときのコンベヤベルトPの弛みまで対応できるから、キャリアローラーP1の設置コストを低減することが可能になった。
【0027】また、スカート1の取り付けや取り外しが容易になり、スカート取り付けの巧拙の差をなくし、だれでも最適な位置にスカート1を着脱することが可能になった。
【0028】更に、スカート1の上方に配設してスカート1を所定高さに連結支持する固定杆Sに係止する断面鉤形状の連結部6をスカート1の上端に設け、スカート1の連結部6に外嵌してスカートの側面を固定杆Sに圧接する固定具7を設けているから、スカート1の着脱が容易で、しかも、一旦装着したスカート1を、固定具7が確実に固定するから、簡単な作業でスカート取付の巧拙の差をなくし、最適な位置に取り付けることができる。
【0029】そして、シリコンオイルを混入した非粘着性ゴム材は、例えばアスファルトなどの搬送物や、ゴミ処理場、下水処理場、製鉄工場等の搬送物等を搬送した際に、これらの搬送物がスカート1に付着するのを防止し、メンテナンスを容易にするものである。
【0030】しかも、スカート1を、シリコンオイルを混入した非粘着性ゴム材で形成しているから、シリコンゴムを張り付けた層が脱落するようなおそれは全くなく、常に安定した付着防止手段として使用することができる。
【0031】このように本発明によると、1.コンベヤベルトの水平型や各種トラフ角型の搬送方法、用途の種類に対応して、搬送種類に対応して常に一定の圧力で接して搬送物の吹き出し、荷こぼれ、飛散を防止し、2.スカートの接触によるコンベヤベルトの損傷を防止し、3.更には、簡単な作業でスカート取付の巧拙の差をなくし、最適な位置に取り付けることができるなどといった産業上有益な種々の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の使用例を示す断面図。
【図2】この発明の装着使用状態を示す斜視図。
【図3】接触端部の他の実施例を示す要部側面図。
【図4】固定杆の他の実施例を示す要部断面図。
【図5】固定杆の他の実施例を示す要部断面図。
【図6】固定杆の他の実施例を示す一部正面図。
【図7】図6で示す固定杆の縦断面図。
【図8】固定杆の他の実施例の使用状態を示す要部斜視図。
【図9】弾性溝部の他の実施例を示す要部側面図。
【図10】コンベヤベルトとキャリアローラーとの位置関係を示す要部側面図。
【符号の説明】
P コンベヤベルト P1 キャリアローラー
R ホッパー
S 固定杆 S1 挿通孔
S2 固定ネジ
T 支柱
1 スカート
3 弾性溝部
4 接触端部
5 芯材
6 連結部
7 固定具 7A 冠着部材
7B 止着ネジ
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、コンベヤ装置に用いるコンベヤベルトの上面に配されるコンベヤベルト用スカートの改良に関する。
【0002】
【従来の技術】コンベヤ装置は、粉状、粒状、ゲル状等の搬送物が、吹き出し、荷こぼれ、飛散しないように、ホッパー部やシュート部あるいはキャリヤローラー間において、コンベヤベルト上方の長手方向に沿ってスカートを配している。特に、キャリヤローラー間に配するスカートは、コンベヤベルトに搬送物を積載した際に、キャリアローラー間の搬送物の荷重でコンベアベルトがたわむので、このたわみ部分から搬送物が荷こぼれ、飛散しないように配設される。そこで、たわみが生じたときでもコンベヤベルトの表面に常に無理なく圧接するように配設しなければならない。このため、コンベヤベルトが空荷のときには、コンベヤベルト自体の張力でキャリアローラーの上方へコンベヤベルトが浮き上がり、コンベヤベルトとスカートとが密接な状態で相接するものである。
【0003】そこで、従来のスカートは、空荷のときに生じるコンベヤベルトとスカートとの摩擦でスカートが摩耗しない構造や材質を採用していた。
【0004】そこで従来のスカートは、従来のスカートとコンベヤベルトとは、局部摩擦になる点接触構造ではなく、面接触構造としたものが多く、例えば実開平2-112619号に記載されたスカートゴムでは、スカートの下端に逆T字状を呈する板体を設け、板体とコンベヤベルトとの接触面に、摩擦に強い材質を配することで、スカートの耐磨耗強度を高めようとするものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、このように耐摩耗強度の高いスカートを使用すると、今度は、コンベアベルトの損傷が大きくなる不都合があった。すなわち、コンベアベルトの弛み幅が大きくなるほど、スカートの接触圧力を高める必要があるが、この接触圧力が高まるほど、キャリアローラー上に接するコンベアベルトとの摩擦抵抗が大きくなり、コンベヤベルト及びスカートの寿命を著しく縮めることになる。しかも、摩擦抵抗の高い接触面に耐磨耗強度が更に高い材質を配したりすると、スカート自体の強度を高めることはできても、コンベヤベルトを一層傷付けてしまう不都合がある。
【0006】更に、従来のスカートは、コンベヤベルトに対して逆T字状を呈する板体が面接触するので、コンベアベルトに多量の搬送物を載荷したとき、キャリアローラー間が長い場合、ベルトの緩みに対応できないために荷こぼれが問題となり、スカートとコンベヤベルトとの表面に隙間が生じる結果となり、特に、粉状、ヘドロ状の搬送物の吹き出し、荷こぼれの原因になっている。また、例えばアスファルトの塊など、粒状の搬送物が、この板体とコンベヤベルトとの接触面の間にはさまり易く、板体やコンベヤベルトを傷めるばかりでなく、搬送作業の妨げにもなっていた。
【0007】一方、この接触圧力が低いと、コンベヤベルトの弛みが生じたときに、コンベヤベルトとスカートとの間に間隙が生じ、この間隙から搬送物が荷こぼれする虞があった。
【0008】しかも、従来のスカートは、ホッパー部やシュート部などの配設位置にボルト等を用いて直接取り付ける手段が多く、特に、ホッパー部にスカートを取り付ける作業は、ピット内、ホッパー下、コンベア乗り移り、シュート部下等、手狭で劣悪な作業環境のもと、僅かな間隔で行う作業となり、スカートの着脱が極めて面倒な作業になっている。このため、コンベヤベルトに対するスカートの最適な接触圧を調整することも困難であった。ところが、コンベヤ装置には、コンベヤベルトがフラットな状態で搬送するフラットテーブル形の他に、キャリアローラーにトラフ角が付いた各種のトラフ形ベルトコンベヤがある。この形のコンベヤによると、コンベヤベルトの長手両端が立ち上がっている。したがって、この立上がり部に接触するスカートの位置調整は、トラフ角度に応じて選定及び調整する必要があり、この調整作業に多くの手間を要するものになっていた。
【0009】そこでこの発明は、上述の課題を解消すべく創出されたもので、1.コンベヤベルトの種類に対応して自身の弾性力にて常に一定の圧力で接して搬送物の吹き出し、荷こぼれ、飛散を防止し、2.スカートの接触によるコンベヤベルトの損傷を防止し、3.更には、簡単な作業でスカート取付の巧拙の差をなくし、最適な位置に取り付けることができるコンベヤベルト用スカートの提供を目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成すべく本発明は、コンベヤベルトの上面長手方向に沿って摺接する耐摩耗性弾性材の帯板状スカートであって、このスカートをシリコンオイルを混入した非粘着性ゴム材で形成し、帯板内部に復元力を補強する芯材を埋入し、コンベヤベルトの外側に位置するスカート板面に複数条の弾性溝部を設け、コンベヤベルトとの接触端部にテーパーを設けて尖鋭状の接触端部を設け、スカートの上方に配設してスカートを所定高さに連結支持する固定杆に係止する断面鉤形状の連結部をスカートの上端に設け、スカートの連結部に外嵌してスカートの側面を固定杆に圧接する固定具を設けたことにある。
【0011】
【作用】すなわち本発明によると、芯材5が埋設されたスカート1全体と、スカート1先端部の弾性溝部3が屈曲してスカート1の位置調整を行なう。このとき、芯材5は、自身の弾性力でスカート1全体の位置を調整する。また、弾性溝部3は、スカート1先端部に設けた接触端部4の圧接力を調整する。
【0012】また、テーパーを設けた尖鋭状の接触端部4は、コンベヤベルトPに接する接触端部4の接触圧力を調整するものである。
【0013】所定位置に配設した固定杆Sに連結部6が係止して、この固定杆Sにスカート1が吊り下げられる。そして、固定杆Sに係止した連結部6に固定具7が外嵌してスカート1と固定杆Sとを圧着固定する。
【0014】そして、シリコンオイルを混入した非粘着性ゴム材は、スカート1表面に搬送物が付着するのを防止する。
【0015】
【実施例】以下、図面を参照して、本発明の実施例を詳細に説明する。
【0016】図において示される符号1は、コンベヤベルトPの上面両側縁部に圧接する帯板状のスカートである(図1参照)。このスカート1は、耐摩耗性弾性材1Aの内部に芯材5を埋設することで、安定した適度の圧接力と復元力のバネ効果、及びスカート1自体の強度を高めてある。そして、コンベヤベルトの外側に位置するスカート1板面に複数条の弾性溝部3を設けている。この弾性溝部3は、図1及び図3に示す如く、溝状に形成する外、図9に示す如く切欠状に形成してもよい。このとき、図1及び図3に示す如く、スカート1の接触端部に近付くほど弾性溝部3相互の間隔を小さくすることで、より安定した適度の圧接力と復元力を得ることができる。
【0017】スカート1は、コンベヤベルトPとの接触端部にテーパーを設けて尖鋭状の接触端部4を形成してある。図3に示すスカート1の接触端部4は、夫々搬送物の種類、用途に応じて形状を変えたものである。すなわち、同図(I) 及び(II)のタイプは主に、粉状やゲル状(ヘドロ状)の搬送物に適応し、同図(III) のタイプは、主に、土砂や砕石など粒状や塊状の搬送物に適応する。また、同図(IV)のタイプは、原石、鉱石、砕石など大塊の輸送に適するものである。このようなコンベヤベルトPに使用するスカート1の材質は、耐摩耗性ゴム材の使用が望ましい。また、食品や薬品等の搬送物を扱う軽量なコンベヤベルトPに使用するスカート1の材質は、樹脂製弾性材の使用が適しており、特に、厚生省の食品規格等に適合した材質が望ましいものである。また、樹脂製弾性材を使用するスカート1は、芯材5を埋設しないタイプのものでも使用可能である。
【0018】符号6は、スカート1の上端部に設けた連結部6である。この連結部6は、例えば、ホッパーRなどに配設した固定杆Sに係止する鉤形状を成している。図1に示す連結部6は、ホッパーRがわに屈曲端部を設けている。また、図8に示す如く、ホッパーR以外のコンベヤベルトP全体に配設するスカート1の連結部6は、コンベヤベルトPの外がわに屈曲端部を設けることで、スカート1の装着作業を容易にできる。そして、この連結部6に固定具7を外嵌してスカート1の側面を固定杆Sに圧接している。図示の固定具7は、断面倒コ字状を成した冠着部材7Aの側面に、この冠着部材7Aを貫通する止着ネジ7Bを設け、この止着ネジ7Bの先端で連結部6の側面を押し止めている(図1参照)。
【0019】図1及び図2に示す固定杆Sは、ホッパーRの側面にネジ止めしたものである。このとき、固定杆Sは、図4に示す如く、ホッパーRの下端を屈曲加工してホッパーRと一体に形成したものや、あるいは、図5に示す如く、ホッパーRの側面に溶着してもよい。
【0020】また、図6及び図7に示す固定杆Sは、長孔状の挿通孔を装着位置の高さ調整を自在にしたものである。すなわち、この固定杆Sの側面に、上下に延びる長孔状の挿通孔S1を開穿し、ホッパーRの側面等に固着した固定ネジS2とこの挿通孔S1との固定位置を調整できるようにしている。
【0021】更に、図8に示す固定杆Sは、ホッパーR以外のコンベヤベルトP全体に配設するタイプの固定杆Sを示している。この固定杆Sは、コンベヤベルトPの長手側面に沿って立設した複数本の支柱Tに、断面L字形状を成した軌条状の固定杆Sを架設している。
【0022】
【発明の効果】本発明は、上述の如く構成したことにより、当初の目的を達成する。
【0023】すなわち、スカート1の弾性溝部3と接触端部4とがスカート1を屈曲せしめてスカート1とコンベヤベルトPとの接触圧力を弱め、スカート1の摩擦抵抗の軽減を図る。しかも、芯材5がスカート1の復元力を補強するから、水平型や各種トラフ角型ベルトコンベヤの種類に対応して、搬送物の吹き出し、荷こぼれ、飛散等を防止することができるものである。
【0024】特に、帯板内部に復元力を補強する芯材5を埋入し、コンベヤベルトPの外側に位置するスカート1板面に複数条の弾性溝部3を設け、コンベヤベルトPとの接触部にテーパーを設けて尖鋭状の接触端部4を設けているから、芯材5の張力によるスカート1の復元力と、複数条の弾性溝部3による屈曲性とが、一体となって尖鋭状の接触端部4に作用するから、搬送種類に対応して常に一定の圧力で接して搬送物の吹き出し、荷こぼれ、飛散を防止するものになっている。
【0025】また、弾性溝部3の数を適宜変更することで、接触端部4の接触圧力を自在に調整することが可能になる。
【0026】そして、接触端部4は、自身の長さを長く形成することで、より大きな弛みに対応できるものになる。したがって、図9に示す如く、キャリアローラーP1のスパンを広くしたときのコンベヤベルトPの弛みまで対応できるから、キャリアローラーP1の設置コストを低減することが可能になった。
【0027】また、スカート1の取り付けや取り外しが容易になり、スカート取り付けの巧拙の差をなくし、だれでも最適な位置にスカート1を着脱することが可能になった。
【0028】更に、スカート1の上方に配設してスカート1を所定高さに連結支持する固定杆Sに係止する断面鉤形状の連結部6をスカート1の上端に設け、スカート1の連結部6に外嵌してスカートの側面を固定杆Sに圧接する固定具7を設けているから、スカート1の着脱が容易で、しかも、一旦装着したスカート1を、固定具7が確実に固定するから、簡単な作業でスカート取付の巧拙の差をなくし、最適な位置に取り付けることができる。
【0029】そして、シリコンオイルを混入した非粘着性ゴム材は、例えばアスファルトなどの搬送物や、ゴミ処理場、下水処理場、製鉄工場等の搬送物等を搬送した際に、これらの搬送物がスカート1に付着するのを防止し、メンテナンスを容易にするものである。
【0030】しかも、スカート1を、シリコンオイルを混入した非粘着性ゴム材で形成しているから、シリコンゴムを張り付けた層が脱落するようなおそれは全くなく、常に安定した付着防止手段として使用することができる。
【0031】このように本発明によると、1.コンベヤベルトの水平型や各種トラフ角型の搬送方法、用途の種類に対応して、搬送種類に対応して常に一定の圧力で接して搬送物の吹き出し、荷こぼれ、飛散を防止し、2.スカートの接触によるコンベヤベルトの損傷を防止し、3.更には、簡単な作業でスカート取付の巧拙の差をなくし、最適な位置に取り付けることができるなどといった産業上有益な種々の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の使用例を示す断面図。
【図2】この発明の装着使用状態を示す斜視図。
【図3】接触端部の他の実施例を示す要部側面図。
【図4】固定杆の他の実施例を示す要部断面図。
【図5】固定杆の他の実施例を示す要部断面図。
【図6】固定杆の他の実施例を示す一部正面図。
【図7】図6で示す固定杆の縦断面図。
【図8】固定杆の他の実施例の使用状態を示す要部斜視図。
【図9】弾性溝部の他の実施例を示す要部側面図。
【図10】コンベヤベルトとキャリアローラーとの位置関係を示す要部側面図。
【符号の説明】
P コンベヤベルト P1 キャリアローラー
R ホッパー
S 固定杆 S1 挿通孔
S2 固定ネジ
T 支柱
1 スカート
3 弾性溝部
4 接触端部
5 芯材
6 連結部
7 固定具 7A 冠着部材
7B 止着ネジ
【特許請求の範囲】
【請求項1】 コンベヤベルトの上面長手方向に沿って摺接する耐摩耗性弾性材の帯板状スカートであって、このスカートをシリコンオイルを混入した非粘着性ゴム材で形成し、帯板内部に復元力を補強する芯材を埋入し、コンベヤベルトの外側に位置するスカート板面に複数条の弾性溝部を設け、コンベヤベルトとの接触端部にテーパーを設けて尖鋭状の接触端部を設け、スカートの上方に配設してスカートを所定高さに連結支持する固定杆に係止する断面鉤形状の連結部をスカートの上端に設け、スカートの連結部に外嵌してスカートの側面を固定杆に圧接する固定具を設けたことを特徴とするコンベヤベルト用スカート。
【請求項1】 コンベヤベルトの上面長手方向に沿って摺接する耐摩耗性弾性材の帯板状スカートであって、このスカートをシリコンオイルを混入した非粘着性ゴム材で形成し、帯板内部に復元力を補強する芯材を埋入し、コンベヤベルトの外側に位置するスカート板面に複数条の弾性溝部を設け、コンベヤベルトとの接触端部にテーパーを設けて尖鋭状の接触端部を設け、スカートの上方に配設してスカートを所定高さに連結支持する固定杆に係止する断面鉤形状の連結部をスカートの上端に設け、スカートの連結部に外嵌してスカートの側面を固定杆に圧接する固定具を設けたことを特徴とするコンベヤベルト用スカート。
【図4】
【図5】
【図7】
【図6】
【図10】
【図1】
【図2】
【図8】
【図3】
【図9】
【図5】
【図7】
【図6】
【図10】
【図1】
【図2】
【図8】
【図3】
【図9】
【特許番号】第2646327号
【登録日】平成9年(1997)5月9日
【発行日】平成9年(1997)8月27日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平5−152882
【出願日】平成5年(1993)5月31日
【公開番号】特開平7−2333
【公開日】平成7年(1995)1月6日
【出願人】(593018699)昭和ゴム機材株式会社 (4)
【参考文献】
【文献】実開 昭57−62716(JP,U)
【文献】実開 昭62−124915(JP,U)
【文献】実開 昭62−116010(JP,U)
【文献】実開 昭51−60088(JP,U)
【文献】実公 昭60−19055(JP,Y2)
【文献】実公 昭52−37423(JP,Y2)
【文献】実公 昭53−3569(JP,Y2)
【登録日】平成9年(1997)5月9日
【発行日】平成9年(1997)8月27日
【国際特許分類】
【出願日】平成5年(1993)5月31日
【公開番号】特開平7−2333
【公開日】平成7年(1995)1月6日
【出願人】(593018699)昭和ゴム機材株式会社 (4)
【参考文献】
【文献】実開 昭57−62716(JP,U)
【文献】実開 昭62−124915(JP,U)
【文献】実開 昭62−116010(JP,U)
【文献】実開 昭51−60088(JP,U)
【文献】実公 昭60−19055(JP,Y2)
【文献】実公 昭52−37423(JP,Y2)
【文献】実公 昭53−3569(JP,Y2)
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