説明

コンベヤ潤滑装置

ベルト型コンベヤ(12)上に潤滑剤を分配する、ローラ部材(18、18、20、52)を含むコンベヤ潤滑装置(10)。一実施の形態では、潤滑剤はローラ上に分配され、当該ローラは、ベルト上に潤滑剤を分配するのに用いられる。別の実施の形態では、複合型分配ローラデバイスがコンベヤベルト上に潤滑剤を分配する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合型コンベヤ潤滑装置に関する。特に、本発明は、ローラ部材がコンベヤ表面上に潤滑剤を分配する複合型コンベヤ潤滑装置に関する。
【0002】
[関連出願の相互参照(存在する場合)]
該当なし
【0003】
[連邦政府資金による研究に関する記載]
該当なし
【背景技術】
【0004】
コンベヤ上を輸送されるボトル又は缶のために、コンベヤベルトの表面は、ビン詰めラインを通るその循環が容易になるように、適切に潤滑されなければならない。したがって、このような潤滑は、たとえば、機械の故障又はコンベヤの一時停止によってボトル又は缶が停止した場合に、ボトル又は缶がコンベヤから落下するのを防ぐ。これは、潤滑によって、静止したボトル又は缶を落下させることなく、コンベヤベルトが(摩擦のない状態で)動いて進むためである。
【0005】
しかしながら、適切な潤滑がなければ、コンベヤベルトは故障又は切断される場合があり、これによって、ボトル又は缶が落下し、それらの中身が失われ且つ/又は破損する。さらに、応力に起因して、コンベヤの減速機(motion reducers)が、自身のコイルを破損するか又は焼き切るであろう。したがって、適切に潤滑されなかったコンベヤは、生産の停止を招くおそれがあり、その結果、ビン詰め産業に多大な経済的損失をもたらす。
【0006】
米国特許第6,688,434号に、コンベヤ潤滑装置が開示されている。スプレーノズルが用いられ、潤滑剤組成物をコンベヤ表面上に分配する。
【0007】
潤滑剤組成物用の分配デバイスが、欧州特許第1110025号に記載されている。それは、潤滑剤組成物をチェーン型コンベヤ上に分配するのに、布を用いている。
【0008】
従来技術は、トラック表面、コンベヤガイド、結合ボルト、及びトラックの全ての部品において、長い期間にわたり潤滑の湿潤性及び均一性を制御することができるコンベヤトラック潤滑システムを提供していない。また、従来技術は、ドライ潤滑又はセミドライ潤滑によるコンベヤトラックの洗浄を維持することができる潤滑装置も提供していない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、改良されたコンベヤトラック潤滑装置が必要とされる。
【0010】
それゆえ、本発明の目的は、
a.改良されたコンベヤ潤滑装置を提供すること、
b.潤滑剤の湿潤性及び均一性を制御することができるコンベヤ潤滑装置を提供すること、
c.ドライ潤滑剤又はセミドライ潤滑剤によるトラックの洗浄を維持することができるコンベヤ潤滑装置を提供すること、
d.保守し易い上記タイプのコンベヤ潤滑装置を提供すること、
e.最少の部品で潤滑剤を塗付することができる上記タイプのコンベヤ潤滑装置を提供すること、
である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
一実施の形態では、本発明の複合型コンベヤ潤滑装置によって、上記目的が達成され且つ従来技術の欠点が克服される。本発明の複合型コンベヤ及び潤滑装置は、コンベヤ表面を有するコンベヤを備え、コンベヤ表面は、該コンベヤ表面上で物品を輸送するために構成され且つ配置され、コンベヤは、上流方向から下流方向へ移動する。潤滑剤組成物を分配する少なくとも1つの分配デバイスがある。コンベヤ表面と接する少なくとも1つのローラ部材があり、該ローラ部材は、分配デバイスの下流に位置付けられ、該分配デバイスは、ローラ上に潤滑剤組成物を分配するように位置付けられる。
【0012】
一態様では、コンベヤの幅にわたって連続して位置付けられた複数のローラ部材と、該ローラ部材の上流に位置付けられた複数の分配デバイスとがある。
【0013】
別の態様では、分配デバイスは、ローラ部材から5cmから15cmの範囲内の距離に位置付けられ、ローラ部材は、ロッド部材上に回転可能に位置付けられる。
【0014】
さらに別の態様では、コンベヤはエンドレスコンベヤベルトであり、コンベヤ表面はステンレス鋼から成る。
【0015】
別の実施の形態では、本発明は、複合型コンベヤ潤滑装置を提供する。複合型コンベヤ潤滑装置は、コンベヤ表面を有するコンベヤを備え、コンベヤ表面は、該コンベヤ表面上で物品を輸送するために構成され且つ配置され、コンベヤ表面上に潤滑剤組成物を堆積する少なくとも1つの複合型分配ローラデバイスを備える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1及び図2を参照すると、全体的に10で示す潤滑装置が、多数のベルト部材から成る標準的なエンドレスベルト型コンベヤ12を伴って示されている。それは、駆動ローラ(不図示)によって駆動され、矢印13によって示すように、上流方向から下流方向へ移動する。トラック潤滑分配デバイス(track lubrication dispensing device)14が、潤滑剤組成物を分配するノズル16を備える。ローラ部材18、19及び20がコンベヤ12上に回転可能に位置付けられる。それらは、ロッド部材22上に回転可能に位置付けられ、当該ロッド部材22は、コンベヤレール26及び27と接続する支持体24に固定される。分配ノズル16は、潤滑剤組成物をローラ部材18、19及び20上に分配する。
【0017】
分配デバイス14は、コンベヤレール26及び27と接続する支持体31を有するマニホールド29を備える。供給ライン37が、潤滑材料34をマニホールド29内に供給する。導管33が、孔35によって、潤滑材料34をマニホールド29からノズル16へ運搬する。
【0018】
図2で最も良く分かるように、コンベヤローラ41が、支持ロッド39によって回転可能に支持されている。それは、ナット40によってレール26及び27に接続される。当該ナット40のうちの1つを図1に示す。分配デバイス14がコンベヤベルト12の、下位位置から上位位置に引き継ぐ部分に位置付けられることも図2から分かるであろう。
【0019】
潤滑装置の代替的な実施形態を、図3及び図4において全体的に50で示す。この実施形態は、潤滑材料34が中空ロッドの形態の導管54によってローラ52の内側に導入されるという点において、実施形態の10とは異なる。コンベヤ12上へ通るため、ローラ52内に潤滑材料の通路がもたらされるように、導管54には穴57がある。ローラ52及び導管54は、レール26及び27と接続する支持体24上に、回転可能且つシール可能に支持される。実施形態の50は、分配ノズル16が必要とされない点で、実施形態の10よりも簡略化した構成であることが理解されるであろう。
【0020】
潤滑材料をマニホールド29及び導管23、並びにローラ52内の導管54内に導入する制御システムは、PLC、ポンプ、電気バルブ及び分配制御によって制御される標準的潤滑機器である。
【0021】
[作用]
潤滑装置10及び50は、それらの作用を説明することでより良く理解されるであろう。図1及び図2を参照すると、コンベヤ12は、コンベヤベルト12をコンベヤローラ41上で移動させる通常の駆動ローラ(不図示)によって動かされる。この移動はまた、ローラ18、19及び20を回転させる。潤滑材料34は、供給ライン37、マニホールド29、導管33、孔35を通り、ノズル16を通って出るように、加圧下で供給される。図2において最も良く分かるように、潤滑材料は、ノズル16からローラ18、19及び20上に噴霧される。ローラ18、19及び20は、潤滑材料34をコンベヤベルト12上に均一に拡げる。
【0022】
実施形態の50の作用は、潤滑材料34が、ノズル16並びにローラ18、19及び20を用いて外部から塗布されるのではなく、ローラ52の内部からローラ52に塗付されるという点において、実施形態の10とは異なる。
【0023】
ローラ18、19、20及び52を使用する点における重要な特徴は、ローラが、吸収性材料から成り、潤滑溶液を保持し且つそれがベルト12に向かって流れるように、長い期間にわたり潤滑の湿潤性及び均一性を制御することにある。別の重要な特徴は、ドライ潤滑又はセミドライ潤滑におけるトラックの洗浄を維持することにある。長い期間にわたりベルト12に汚れが蓄積されるのを回避するように、潤滑溶液と組み合わせたローラ運動によって、これは達成される。
【0024】
潤滑装置10及び50は、ドライ潤滑剤、セミドライ潤滑剤、及び標準的潤滑剤と共に使用することができる。本発明に従って使用することのできる潤滑剤組成物は、分配デバイス14によって分配することができ、且つローラ部材18、19、20及び52によってベルト表面上に拡げることができる任意の潤滑剤組成物であり得る。好適な潤滑材料は、中和した脂肪酸(neutralized fatty acids)、非イオン界面活性剤、キレート剤、抗菌剤、及びシリコン分散液の組合せとして考えられる。しかしながら、以下の潤滑剤を用いることもできる:単独又は異なる組合せで使用される、オイル分散液、テフロン系製剤(Teflon based formulations)、合成洗剤、中和した脂肪酸配合物又は中和していない脂肪酸製剤(fatty acid formulations with or without neutralization)、ワックス分散液、イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、イオン界面活性剤、両性界面活性剤等の界面活性剤、中和剤、耐摩耗剤、抗菌剤、泡調整剤、粘度調整剤、キレート剤、分散剤、及び担体。
【0025】
ローラ18、19及び20を作製するのに好適な材料は、ポリウレタンである。しかしながら、他に使用してもよい材料は、天然スポンジ、布(fabrics)、コットン、ポリエステルスポンジ、ポリスルホン膜、及びポリアミド膜等である。
【0026】
潤滑装置10は、ローラ18、19及び20と共に図示された。トラックのサイズに応じて、任意の本数のローラを用いることができる。ローラのサイズも、トラックのサイズに応じて、調整することができる。本発明の精神内のこのような修正及び他の修正の全てが、添付の特許請求の範囲によって規定される範囲に入ることを意図される。
【0027】
さらに、ステンレス鋼から成るコンベヤベルトが、潤滑装置と共に使用するために言及されてきた。しかしながら、鉄及びプラスチック材料といった一般的に用いられる他の材料を用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の潤滑装置を組み込んだコンベヤの上面斜視図である。
【図2】図1に示す潤滑装置の部分拡大側面図である。
【図3】コンベヤを伴う、本発明の潤滑装置の代替的な実施形態の上面斜視図である。
【図4】図3に示す潤滑装置の拡大断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンベヤ表面を有するコンベヤを備え、
前記コンベヤ表面は、該コンベヤ表面上で物品を輸送するために構成され且つ配置され、
前記コンベヤは、上流方向から下流方向へ移動し、
潤滑剤組成物を分配する少なくとも1つの分配デバイスを備え、
前記コンベヤ表面と接する少なくとも1つのローラ部材を備え、
前記ローラ部材は、前記分配デバイスの下流に位置付けられ、
前記分配デバイスは、前記ローラ上に前記潤滑剤組成物を分配するように位置付けられる、複合型コンベヤ潤滑装置。
【請求項2】
前記コンベヤの幅にわたって連続して位置付けられた複数のローラ部材がある、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記ローラ部材の上流に位置付けられた複数の分配デバイスがある、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記分配デバイスは、前記ローラ部材から5cmから15cmの範囲内の距離に位置付けられる、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記ローラ部材は、ロッド部材上に回転可能に位置付けられる、請求項2に記載の装置。
【請求項6】
前記ローラ部材は、ポリウレタンから成る、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記コンベヤは、ローラ上で回転するエンドレスコンベヤベルトであり、前記分配デバイスは、該ベルトの、下位位置から上位位置に引き継ぐ部分に位置付けられる、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記コンベヤベルトは、複数のベルト部材から成る、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記コンベヤ表面は、ステンレス鋼から成る、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記潤滑剤組成物は、中和した脂肪酸、非イオン界面活性剤、キレート剤、抗菌剤、及びシリコン分散液の組合せから成る、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
コンベヤ表面を有するコンベヤを備え、
前記コンベヤ表面は、該コンベヤ表面上で物品を輸送するために構成され且つ配置され、
前記コンベヤ表面上に潤滑剤組成物を堆積する少なくとも1つの複合型分配ローラデバイスを備える、複合型コンベヤ潤滑装置。
【請求項12】
複数の複合型分配ローラデバイスがある、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記複合型分配ローラデバイスは、該ローラデバイスに前記潤滑剤組成物を供給する開口を有する中空ロッドを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記ローラデバイスは、ポリウレタンから成る、請求項11に記載の装置。
【請求項15】
前記コンベヤは、エンドレスコンベヤベルトである、請求項11に記載の装置。
【請求項16】
前記コンベヤベルトは、複数のベルト部材から成る、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記コンベヤ表面は、ステンレス鋼から成る、請求項11に記載の装置。
【請求項18】
前記潤滑剤組成物は、中和した脂肪酸、非イオン界面活性剤、キレート剤、抗菌剤、及びシリコン分散液の組合せである、請求項11に記載の装置。
【請求項19】
請求項1の装置を用いて潤滑剤をコンベヤ表面に塗付する方法。
【請求項20】
請求項11の装置を用いて潤滑剤をコンベヤ表面に塗付する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2009−524565(P2009−524565A)
【公表日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−543555(P2008−543555)
【出願日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【国際出願番号】PCT/US2006/060955
【国際公開番号】WO2007/065057
【国際公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
2.TEFLON
【出願人】(398061050)ジョンソンディバーシー・インコーポレーテッド (101)
【住所又は居所原語表記】8310 16th Street,Sturtevant,Wisconsin 53177−0902,United States of America