説明

コンベヤ移載ローラ及び乾燥食品等の製造ライン

【課題】コンベヤ上に付着し易い性質の乾燥食品等を無理なく円滑に剥離して後続のコンベヤに受け渡すことのできるコンベヤ移載ローラを提供する。
【解決手段】本発明のコンベヤ移載ローラ21は、搬送方向Aに沿うように直列的に接続される第1コンベヤ15と第2コンベヤ17の接続部19における前記第1コンベヤ15の終端巻回部15bに隣接する位置に配設され、前記第1コンベヤ15の幅寸法とほぼ同じ範囲に作用する円筒ブラシ65をローラ軸63の周面に設けたブラシローラ71を備えることによって構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アジの開きやサンマのみりん干しなどの乾燥食品等を製造する製造ラインにおいて、中間製造品をコンベヤ間で移載するのに使用されるコンベヤ移載ローラ及び該コンベヤ移載ローラを備えた乾燥食品等の製造ラインに関する。
【背景技術】
【0002】
アジの開きなどの乾燥食品等を製造ラインで製造する場合には、原料となるアジ等を下処理し、粗目の金網等によって載置面が形成されている第1コンベヤ上に整列配置させる。そして、第1コンベヤ上に整列配置された原料は、所定の速度で搬送されながら、途中、複数の乾燥室を通過させることによって所定の水分量になるまで乾燥される。
【0003】
また、所定の水分量になるまで乾燥された中間製造品は、第1コンベヤの終端に配置されているコンベヤ移載ローラによって第1コンベヤから剥離されて第2コンベヤに受け渡される。そして、第2コンベヤ上に移載された中間製造品は第2コンベヤによって所定の速度で搬送されながら、冷凍室を通過させることによって冷凍され、袋詰め、梱包等の工程を経て製品として出荷される。
そして、前記コンベヤ移載ローラ101としては、図8に示すように搬送方向Aに並設された複数本の金属製のローラ103A、103B、103Cが使用されており、第1コンベヤ105の終端巻回部107に隣接する金属製のローラ103Aが第1コンベヤ105上に付着している中間製造品W1の剥離作用を担っていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、中間製造品の中には、たれを付けたものや油分を多く含んだもの等があり、第1コンベヤに強固に付着していて、前記金属製のローラによっては剥離できない場合があった。また、魚のひれ等が金網の網目に挟まって第1コンベヤからの円滑な移載ができない場合もあり、このような場合に無理に中間製造品を引張って剥離しようとすると、魚のひれ等が取れて商品価値を失ってしまう。
【0005】
本発明は、このような点に基づいてなされたものでその目的とするところは、コンベヤ上に付着し易い性質の乾燥食品等を無理なく円滑に剥離して後続のコンベヤに受け渡すことのできるコンベヤ移載ローラ及び該コンベヤ移載ローラを備えた乾燥食品等の製造ラインを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するべく本発明の請求項1によるコンベヤ移載ローラは、搬送方向に沿うように直列的に接続される第1コンベヤと第2コンベヤの接続部に配置されるコンベヤ移載ローラにおいて、前記コンベヤ移載ローラは、前記第1コンベヤの終端巻回部に隣接する位置に配設され、前記第1コンベヤの幅寸法とほぼ同じ範囲に作用する円筒ブラシをローラ軸の周面に設けたブラシローラを備えることによって構成されていることを特徴とするものである。
【0007】
また、請求項2によるコンベヤ移載ローラは、請求項1記載のコンベヤ移載ローラにおいて、前記ブラシローラは、前記第1コンベヤ上に載置されて搬送される乾燥食品等を第1コンベヤ上から掻き取る方向に回転駆動されていることを特徴とするものである。
【0008】
また、請求項3によるコンベヤ移載ローラは、請求項1または2記載のコンベヤ移載ローラにおいて、前記第1コンベヤは、乾燥食品等の載置面が粗目の金網によって形成されているネットコンベヤであり、前記ブラシローラは、円筒ブラシの毛先の一部が前記ネットコンベヤの網目内に進入するように配設されていることを特徴とするものである。
【0009】
また、請求項4によるコンベヤ移載ローラは、請求項1〜3のいずれかに記載のコンベヤ移載ローラにおいて、前記ブラシローラは、前記第1コンベヤの終端巻回部に対して搬送方向の前後方向と上下方向とに取付け位置を調整し得る支持アームを介して取り付けられていることを特徴とするものである。
【0010】
また、請求項5によるコンベヤ移載ローラは、請求項1〜4のいずれかに記載のコンベヤ移載ローラにおいて、前記ブラシローラの円筒ブラシは、ナイロン製で外径が70〜90mm、毛先の長さが20〜30mmであることを特徴とするものである。
【0011】
また、請求項6による乾燥食品等の製造ラインは、下処理された原料を載置して搬送する第1コンベヤと、前記第1コンベヤによって搬送される原料に遠赤外線ヒータからの輻射熱と除湿ファンによって生起される風の流れとを作用させて所定水分量の中間製造品に加工する乾燥機と、前記所定水分量に乾燥された中間製造品を載置して搬送する第2コンベヤと、前記第2コンベヤによって搬送される中間製造品を冷却し、冷凍状態にして乾燥食品等に加工する冷凍機と、前記第1コンベヤと第2コンベヤの接続部に配置されるコンベヤ移載ローラと、を具備する乾燥食品等の製造ラインにおいて、前記コンベヤ移載ローラは、請求項1〜5のいずれかに記載のコンベヤ移載ローラであることを特徴とするものである。
【0012】
そして、前記手段によって以下のような作用が得られる。まず、コンベヤ移載ローラを第1コンベヤの終端巻回部に隣接する位置に配設したブラシローラを備えることによって構成したことにより、乾燥食品等を傷付けることなく、確実に第1コンベヤ上から剥離して第2コンベヤ上に移載することが可能になる。
また、ブラシローラをローラ軸の周面に第1コンベヤの幅寸法とほぼ同じ範囲に作用する円筒ブラシを設けたことによって構成したことにより、ローラ軸に過度の負荷抵抗を掛けることなく、円滑にブラシローラを回転させて第1コンベヤの幅方向に整列配置されている乾燥食品等を無理なく第1コンベヤ上から剥離することが可能になる。
【0013】
また、前記ブラシローラを、第1コンベヤ上に載置されて搬送される乾燥食品等を第1コンベヤ上から掻き取る方向に回転駆動させた場合には、第1コンベヤ上に強固に付着している乾燥食品等であっても確実に第1コンベヤ上から剥離して第2コンベヤ上に移載することが可能になる。
【0014】
また、前記第1コンベヤを、乾燥食品等の載置面が粗目の金網によって形成されているネットコンベヤによって構成し、前記ブラシローラを円筒ブラシの毛先の一部が前記ネットコンベヤの網目内に進入するように配設した場合には、第1コンベヤの通気性が向上して乾燥食品等の乾燥が促進される。また、円筒ブラシの毛先がネットコンベヤに対して深く作用するようになるため、乾燥食品等の第1コンベヤからの剥離性も向上する。
【0015】
また、前記ブラシローラを、前記第1コンベヤの終端巻回部に対して搬送方向の前後方向と上下方向とに取付け位置を調整し得る支持アームを介して取り付けた場合には、ブラシローラを第1コンベヤの終端巻回部に対して搬送方向の前後方向と上下方向に接近させたり、離反させることが可能になる。従って、乾燥食品等の種類、形状、大きさあるいは状態等に応じて適宜、コンベヤ移載ローラを位置調整することによって、乾燥食品等の効果的な剥離性と、ブラシローラの円滑な回転とが実現される。
【0016】
また、前記ブラシローラの円筒ブラシをナイロン製とし、外径を70〜90mm、毛先の長さが20〜30mmに設定した場合には、乾燥食品等を剥離するのに最適な柔軟性と掻き取り効果が得られ、必要な耐久性も得られる。
【0017】
また、前記コンベヤ移載ローラを乾燥機と冷凍機が第1コンベヤと第2コンベヤの2組のコンベヤによって接続されている乾燥食品等の製造ラインの前記接続部に適用した場合には、乾燥によって強固に第1コンベヤに対して付着した中間製造品を確実に剥離してロスなく第2コンベヤに移載することが可能になる。従って、乾燥から冷凍に至る一連の乾燥食品等の製造工程の円滑化が図れ、乾燥食品等の生産性と加工品質が向上する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によるコンベヤ移載ローラ及び乾燥食品等の製造ラインによると、コンベヤ上に付着し易い性質の乾燥食品等を無理なく円滑に剥離して後続のコンベヤに受け渡すことが可能になり、乾燥食品等の円滑な搬送により、効率的で無駄のない乾燥食品等の製造が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施の形態を示す図で、乾燥食品等の製造ラインを示す平面図である。
【図2】本発明の実施の形態を示す図で、乾燥食品等の製造ラインを示す側面図である。
【図3】本発明の実施の形態を示す図で、乾燥機の内部構造を示す図2中のA―A断面図である。
【図4】本発明の実施の形態を示す図で、第1コンベヤと第2コンベヤの接続部の構造を示す側断面図である。
【図5】本発明の実施の形態を示す図で、第1コンベヤの構造を示す図4中のB−B断面図である。
【図6】本発明の実施の形態を示す図で、第1コンベヤのローラチェーンと、支持ローラと、搬送ネットとの接続状態を示す側面図(a)と、(a)図中のb―b断面図(b)である。
【図7】本発明の実施の形態を示す図で、第1コンベヤと第2コンベヤの接続部を示す斜視図である。
【図8】従来の実施の形態を示す図で、第1コンベヤの終端巻回部とコンベヤ移載ローラを示す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図1〜7に示す実施の形態を例にとって、本発明を実施するための形態を説明する。
尚、以下の発明では、最初に本発明の乾燥食品等の製造ラインの概略について説明し、続いて前記乾燥食品等の製造ラインの特徴的構成である本発明のコンベヤ移載ローラの構成と、当該コンベヤ移載ローラが配設される第1コンベヤと第2コンベヤの接続部の構成について説明する。
【0021】
本実施の形態による乾燥食品等の製造ライン1は、アジの開きやサンマのみりん干し等の乾燥食品等W2を効率良く製造するためのラインである。具体的には、投入側に第1乾燥室3、第2乾燥室5、第3乾燥室7の3つの乾燥室を備える乾燥機9を配設し、排出側にトンネル状の冷凍室11を備える冷凍機13を配設すると共に、前記3つの乾燥室3、5、7を搬送方向Aに貫く第1コンベヤ15と、前記冷凍室11を搬送方向Aに貫く第2コンベヤ17と、前記第1コンベヤ15と第2コンベヤ17の接続部19に配置される本発明のコンベヤ移載ローラ21とを具備することによって乾燥食品等の製造ライン1は、基本的に構成されている。
【0022】
乾燥機9は、搬送方向Aに長い矩形筺体状の乾燥室を有し、当該乾燥室を上流側に配置される第1乾燥室3と、中間に配置される第2乾燥室5と、下流側に配置される第3乾燥室7と、に区画することによって構成されている。
前記各乾燥室3、5、7には、図3に示すように投入された原料W0に遠赤外線による輻射熱を作用させて乾燥を促す一例として3基の遠赤外線ヒータ23と、乾燥によって原料W0から発散される水蒸気等を外部に放出する複数の除湿ファン25と、冷却コイル27及び再熱コイル29とを備える除湿装置31と、がそれぞれ設けられている。
【0023】
一方、冷凍機13は、前記乾燥機9によって原料W0を所定の水分量になるまで乾燥させた中間製造品W1を冷却し、冷凍状態にして乾燥食品等W2等に加工する機械である。具体的には、上述したトンネル状の冷凍室11と、該冷凍室11内に冷気を供給するための図示しない冷却装置及び冷却ファン等を備えることによって構成されている。
尚、本明細書では本発明の移載、搬送、加工対象である乾燥食品等W2を総称的に言う場合に乾燥食品等W2の語を使用し、各加工段階の状態を厳格に区別する場合に乾燥機9に投入する前のものを原料W0、前記乾燥機9によって所定の水分量に乾燥されたものを中間製造物W1、前記冷凍機13によって冷凍されたものを乾燥食品等W2として、これらを識別する。
【0024】
第1コンベヤ15と第2コンベヤ17は、基本的に同様の構成を有しており、乾燥食品等Aの載置面が、粗目の無端帯状のステンレス製金網によって形成されている搬送ネット33を備えるネットコンベヤ18によって構成されている。
以下、第1コンベヤ15を例にとって説明すると、搬送方向Aに長い一例としてステンレス製のコンベヤフレーム35と、第1コンベヤ15の始端側巻回部15aに配設される左右一対のステンレス製の従動スプロケット37、37と、第1コンベヤ15の終端側巻回部15bに配設される左右一対のステンレス製の駆動スプロケット39、39と、前記従動スプロケット37と駆動スプロケット39の中間に配設される左右一対の複数のステンレス製のテンションスプロケット41、41、…と、前記従動スプロケット37、駆動スプロケット39及びテンションスプロケット41との間に巻回されている左右一対のローラチェーン43、43と、前記駆動スプロケット39に動力を伝達する駆動モータ45及び伝達チェーン47と、前記左右一対のローラチェーン43、43間に所定のピッチ間隔で架け渡されている複数本の支持ローラ49、49、…と、前記複数本の支持ローラ49、49、…に巻回される無端帯状の前記搬送ネット33と、を具備することによって第1コンベヤ15は基本的に構成されている。
【0025】
このうち、ローラチェーン43は、図6に示すように内側に配置されているチェーンリンク51の下縁部がそれぞれ内側に水平に張り出すように延長形成されていてローラ支持部53を形成している。そして、前記ローラ支持部53には、支持ローラ49をローラチェーン43に接続するためのボルト55の軸部を挿嵌するための穴部59が形成されている。
また、支持ローラ49は、円管状のローラ本体部49aと、該ローラ本体部49aの両端部を平坦に押し潰すことによって形成されている取付け部49bとを備えることによって構成されている。
【0026】
そして、前記取付け部49bには、前記ボルト55の軸部を挿嵌するための取付け穴61が前記穴部59と軸心を一致させた位置に設けられており、ボルト55の軸部を前記穴部59と取付け穴61に挿嵌してナット57を締め付けることによって前記支持ローラ49が前記左右一対のローラチェーン43、43間に架け渡された状態で固定され、ローラチェーン43、43と一体になって移動できるようになっている。
また、前記搬送ネット33は、所定のピッチ間隔で配置されている前記複数本の支持ローラ49に対して隙間を有する状態で緩く巻回されており、図示しないリングバンド等を使用して取り付けられている。
【0027】
本発明のコンベヤ移載ローラ21は、搬送方向Aに沿うように直列的に接続されている上述した第1コンベヤ15と第2コンベヤ17との接続部19に配置されている。
具体的には、前記コンベヤ移載ローラ21は、図4、7に示すように前記第1コンベヤ15の終端巻回部15bに配設されている駆動スプロケット39に隣接する位置に配設されている。
【0028】
また、図示のコンベヤ移載ローラ21は、前記第1コンベヤ15のコンベヤフレーム35を利用して取り付けられており、前記コンベヤフレーム35の左右の側部フレーム間に架け渡されるステンレス製のローラ軸63と、該ローラ軸63の周面に設けられる前記第1コンベヤ15の搬送ネット33の幅寸法とほぼ同じ範囲に作用する円筒ブラシ65とを備えるブラシローラ71によってコンベヤ移載ローラ21は基本的に構成されている。
【0029】
また、前記ローラ軸63の一端には駆動スプロケット67が取り付けられており、前記第1コンベヤ15の駆動モータ45の回転が伝達チェーン69を介して前記駆動スプロケット67にも伝達されるようになっている。これにより、前記ブラシローラ71は、前記第1コンベヤ15上に載置されて搬送される乾燥食品等W2を第1コンベヤ15上から掻き取る方向に回転駆動される。
【0030】
また、前記円筒ブラシ65は、ナイロン製で外径が70〜90mm、毛先の長さが20〜30mmの範囲のものが望ましく、本実施の形態では、外径が78mm、毛先の長さが26.5mmのナイロン製の円筒ブラシ65を一例として使用した。
そして、前記円筒ブラシ65の毛先の一部は、ネットコンベヤ18である前記第1コンベヤ15における搬送ネット33の網目33a内に進入するように配設されており、乾燥食品等W2の搬送ネット33からの剥離が確実に実行されるように構成されている。
【0031】
また、前記ブラシローラ71は、前記第1コンベヤ15の終端巻回部15bに対して搬送方向Aの前後方向A、―Aと上下方向Zとに取付け位置を調整し得る2本の支持アーム73、75を介して取り付けられている。
また、前記2本の支持アーム73、75には、長穴77、79が形成されており、長穴77、79の長さの範囲で前記2本の支持アーム73、75の位置調整と角度調整とができるようになっている。
【0032】
次に、このようにして構成される本実施の形態による乾燥食品等の製造ライン1を使用して行う乾燥食品等W2の製造の流れを(1)乾燥時と、(2)移載時と、(3)冷凍時とに分けて説明する。
(1)乾燥時
下処理された原料W0を第1コンベヤ15始端の搬送ネット33上に整列状態で載置する。前記搬送ネット33上に載置された原料W0は、駆動モータ45の回転に伴なって所定の速度で搬送方向Aに向けて搬送され、第1乾燥室3、第2乾燥室5及び第3乾燥室7の順で通過し、段階的に水分量が引き下げられて乾燥が進行する。
【0033】
各乾燥室3、5、7では、前記第1コンベヤ15によって搬送される原料W0に対して遠赤外線ヒータ23からの輻射熱と除湿ファン25によって生起される風の流れとを作用させて所定の水分量の中間製造品W1に加工する。
そして、所定の水分量になるまで乾燥された中間製造品W1は、第3乾燥室7を出て、第1コンベヤ15の終端巻回部15bに到達する。
【0034】
(2)移載時
第2コンベヤ15の終端巻回部15bに到達した中間製造品W1は、搬送ネット33と共に前記終端巻回部15bに沿って下方に回り込もうとするが、当該終端巻回部15bに隣接するように配設されている前記本発明のコンベヤ移載ローラ21の掻き取り方向の回転によって、前記搬送ネット33上から剥離されて、第2コンベヤ17の始端側巻回部17aに移載される。
【0035】
具体的には、コンベヤ移載ローラ21の円筒ブラシ65の毛先の一部が搬送ネット33の網目33a内に進入し、搬送ネット33の上面に付着している中間製造品W1に対して、前記搬送ネット33から剥離する上方に向けての力を作用させることによって中間製造品W1を搬送ネット33上から剥がし取る。
そして、第1コンベヤ15から分離された中間製造品W1は、コンベヤ移載ローラ21の回転によって、第2コンベヤ15の始端側巻回部17a上に移載される。
【0036】
(3)冷凍時
第2コンベヤ17の始端側巻回部17a上に移載された中間製造品W1は、第2コンベヤ17の搬送ネット33と共に搬送方向Aに向けて所定の速度で搬送され、トンネル状の冷凍室11内に導かれる。そして、前記中間製造品W1は、冷凍室11内を通過することによって冷却され、冷凍状態の乾燥食品等W2になって第2コンベヤ17の図示しない終端側巻回部に取り出される。
そして、第2コンベヤ17の終端側巻回部に取り出された乾燥食品等W2は、検品、袋詰め、梱包等の工程を経て製品として出荷される。
【0037】
また、別の乾燥食品等W2を製造する場合には、当該乾燥食品等W2の種類や大きさ、形状等によって前記2本の支持アーム73、75の接続状態を変えて、当該乾燥食品等W2に最適なコンベヤ移載ローラ21の取付け位置に調整する。
そして、このようにして製造された乾燥食品等Aは外観品質に優れ、第1コンベヤ15と第2コンベヤ17間の円滑な移載によって乾燥食品等の製造時間を短縮して生産性を向上させることができる。
【0038】
尚、本発明のコンベヤ移載ローラ21及びコンベヤ移載ローラ21を備えた本発明の乾燥食品等の製造ライン1は、前記の実施の形態のものに限定されず、その発明の要旨内での設計変更が可能である。例えば、本発明のコンベヤ移載ローラ21は、乾燥食品等の製造ライン1に限らず、搬送方向Aに沿うように直列的に接続されている第1コンベヤ15と第2コンベヤ17を有する種々の製造、加工ライン等に適用可能である。
【0039】
また、コンベヤ移載ローラ21は1本のみ設ける他、複数本設けることも可能であり、1本のローラ軸63に対して複数の円筒ブラシ65を連続して、あるいは一定間隔ごとに配設することも可能である。
また、コンベヤ移載ローラ21の動力を別途独立して設けられる駆動モータから得るようにすることも可能であり、その場合には、乾燥食品等W2の種類等に応じて回転数を調整することも可能である。
【0040】
この他、円筒ブラシ65の材質はナイロンに限らず、同様の柔軟性と耐久性を備え、所望の掻き取り作用を発揮できる種々の材質が適用可能であり、円筒ブラシ65の外径と毛先の長さも前記実施の形態のものに限らず、種々の外径と毛先の長さの円筒ブラシ65が採用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明のコンベヤ移載ローラは、搬送方向に沿うように直列的に接続されている第1コンベヤと第2コンベヤとを有する種々の製造、加工ラインに利用でき、特に、第1コンベヤに対して強固に付着する乾燥食品等を外観品質を損なうことなく確実に剥離して第2コンベヤに移載したい場合に利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0042】
1 乾燥食品等の製造ライン
3 第1乾燥室
5 第2乾燥室
7 第3乾燥室
9 乾燥機
11 冷凍室
13 冷凍機
15 第1コンベヤ
15a 始端側巻回部
15b 終端側巻回部
17 第2コンベヤ
17a 始端側巻回部
18 ネットコンベヤ
19 接続部
21 コンベヤ移載ローラ
23 遠赤外線ヒータ
25 除湿ファン
27 冷却コイル
29 再熱コイル
31 除湿装置
33 搬送ネット
33a 網目
35 コンベヤフレーム
37 従動スプロケット
39 駆動スプロケット
41 テンションスプロケット
43 ローラチェーン
45 駆動モータ
47 伝達チェーン
49 支持ローラ
49a ローラ本体部
49b 取付け部
51 チェーンリンク
53 ローラ支持部
55 ボルト
57 ナット
59 穴部
61 取付け穴
63 ローラ軸
65 円筒ブラシ
67 駆動スプロケット
69 伝達チェーン
71 ブラシローラ
73 支持アーム
75 支持アーム
77 長穴
79 長穴
W0 原料
W1 中間製造品
W2 乾燥食品等
A 搬送方向
A、―A 前後方向
Z 上下方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送方向に沿うように直列的に接続される第1コンベヤと第2コンベヤの接続部に配置されるコンベヤ移載ローラにおいて、
前記コンベヤ移載ローラは、前記第1コンベヤの終端巻回部に隣接する位置に配設され、前記第1コンベヤの幅寸法とほぼ同じ範囲に作用する円筒ブラシをローラ軸の周面に設けたブラシローラを備えることによって構成されていることを特徴とするコンベヤ移載ローラ。
【請求項2】
前記ブラシローラは、前記第1コンベヤ上に載置されて搬送される乾燥食品等を第1コンベヤ上から掻き取る方向に回転駆動されていることを特徴とする請求項1記載のコンベヤ移載ローラ。
【請求項3】
前記第1コンベヤは、乾燥食品等の載置面が粗目の金網によって形成されているネットコンベヤであり、
前記ブラシローラは、円筒ブラシの毛先の一部が前記ネットコンベヤの網目内に進入するように配設されていることを特徴とする請求項1または2記載のコンベヤ移載ローラ。
【請求項4】
前記ブラシローラは、前記第1コンベヤの終端巻回部に対して搬送方向の前後方向と上下方向とに取付け位置を調整し得る支持アームを介して取り付けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のコンベヤ移載ローラ。
【請求項5】
前記ブラシローラの円筒ブラシは、ナイロン製で外径が70〜90mm、毛先の長さが20〜30mmであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のコンベヤ移載ローラ。
【請求項6】
下処理された原料を載置して搬送する第1コンベヤと、
前記第1コンベヤによって搬送される原料に遠赤外線ヒータからの輻射熱と除湿ファンによって生起される風の流れとを作用させて所定水分量の中間製造品に加工する乾燥機と、
前記所定水分量に乾燥された中間製造品を載置して搬送する第2コンベヤと、
前記第2コンベヤによって搬送される中間製造品を冷却し、冷凍状態にして乾燥食品等に加工する冷凍機と、
前記第1コンベヤと第2コンベヤの接続部に配置されるコンベヤ移載ローラと、を具備する乾燥食品等の製造ラインにおいて、
前記コンベヤ移載ローラは、請求項1〜5のいずれかに記載のコンベヤ移載ローラであることを特徴とする乾燥食品等の製造ライン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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