説明

コンベヤ

温度可変のコンベヤ軌道23に沿って物品を輸送するコンベヤ1は、第1のホイール2を備えた第1アクスル3および第2のホイール5を備えた第2アクスル4と、複数のプラスチックモジュール15から形成され、輸送方向において、第1および第2のホイールの周りを隣同士に並んで互いに平行に走行する複数のモジュール形成無限コンベヤマット6とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温度可変のコンベヤ軌道に沿って物品を輸送するコンベヤに関し、第1のホイールを備えた第1アクスルおよび第2のホイールを備えた第2アクスルと、複数のプラスチックモジュールから形成され、輸送方向において、前記第1および第2のホイールの周りを走行するモジュール形成無限コンベヤマットとを備える。
【背景技術】
【0002】
そのようなコンベヤは、例えば、トンネル殺菌装置等のトンネルオーブンや、トンネルクーラーであり、筐体内をコンベヤマットが通過するようになっている。筐体内には、熱交換媒体を介して輸送物品の温度に影響を与える複数のゾーンが設けられている。例えば、ビール瓶を低温殺菌する場合、ビール瓶を、輸送マットモジュールによって筐体内の複数のゾーンを通過させ、各ゾーンごとに異なる温度、例えば20、40、60、80、60、40°Cの温水をビール瓶に吹きかける。
【0003】
例えば、このようなコンベヤは幅が6.5メーター、長さが最大で40メーターである。コンベヤによる物品の輸送速度は、約0.5〜1m/分であり、毎時約7万本のビール瓶を輸送する能力を有する。温水ゾーンでは、軌道面1mあたりで毎時約25mの水がビール瓶に吹きかけられる。水をより有効に利用するために、筐体内に2本のコンベヤを上下に重ねて配置することもできる。
【0004】
プラスチックモジュールから構成されたコンベヤマットの利点は、比較的軽量であって、比較的安価であることである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、経験上、モジュール形成コンベヤマットは使用中に損傷したり破損してしまう可能性があることがわかっている。破損の場合には、コンベヤおよびコンベヤを囲む筐体にも大きな影響が出てしまう。マットが破損した場合には、その時点においてコンベヤによって輸送されている物品の大部分が無駄になり、さらに、コンベヤが修理されるまでの長期間、製造ラインがストップすることによって大きな損失が発生する可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の目的は、冒頭で述べたタイプのコンベヤにおいて、モジュール形成コンベヤマットの損傷および/または破損のリスクを低減することである。このため、本発明は、請求項1に記載のコンベヤを提供する。
【0007】
コンベヤに、互いに平行に走る複数、少なくとも3つのコンベヤマットを設けることで、幅広のマットを相対的に移動可能な複数の平行トラックに分割できる。これにより、第1または第2のアクスルにおける屈折とひねりをマットによって非常に良好に吸収することができ、損傷や破損のリスクを著しく減少させることができる。
【0008】
少なくとも1つのコンベヤマットにおいて、輸送方向に交差して複数のモジュールが隣同士に配置されているという利点がある。輸送方向に連続するモジュールのヒンジループは、輸送方向に交差して最大でマット幅だけ延在するヒンジピンにより連結されて協働することが望ましい。ここで、ヒンジピンは、最大で1つのマットトラックの幅と同じ長さであり、複数のマットトラックは接続ヒンジピンにより互いに連結されることはない。
【0009】
コンベヤマットの幅は約300mmから約500mmの間であることが望ましい。このような比較的狭いマットトラックを使用すると、コンベヤの組み立てを非常に簡素化できる。平行マットトラックの数は、例えば少なくとも5つとし、幅の広い殺菌装置の場合は少なくとも7つとすることができる。
【0010】
約15mm未満、望ましくは5mm未満の中間スペースを隣接するコンベヤマット同士の間に設けることにより、温度上昇時にコンベヤマットが輸送方向に交差する方向に膨張することができる。コンベヤマットの長手方向端面同士は圧力をかけることなく互いに接するのが理想的である。そのような比較的小さい中間スペースを設けることで、ガラスやほこりが入り込むおそれが比較的小さいとともに、中間スペース上に完全にあるいは部分的に置かれた物品の安定性を妨げることがない。
【0011】
コンベヤマットが、それぞれ、コンベヤマットの下面で、輸送方向においてホイール間に延在する少なくともひとつの長手ガイドと協働すると、マットトラック同士の間の中間スペースを比較的簡単に維持することができる。
【0012】
長手ガイドは、輸送方向に交差する方向に互いに中間スペースだけ離間して、輸送方向において互いに離間した交差ビームに固定されることが望ましい。
【0013】
交差ビームは、輸送方向に交差して、少なくとも部分的に摺動可能で延長自在に配置されることが望ましい。その結果、温度変化に起因する輸送方向に交差するマットトラックの長さの変化に、交差ビームを対応させることができる。したがって、交差ビームがコンベヤマットのプラスチック材料と実質的に同じ膨張係数を有する材料から製造されると、マットトラック同士の中間スペースを輸送経路全体にわたって実質的に一定とすることができる。
【0014】
交差ビームは、望ましくはプラスチック材料からなるセクションを有し、該セクションは、クロスバー上を摺動可能に配置されるとともに、中央付近でクロスバーに取り付けられる。
【0015】
本発明の他の有効な実施の形態は従属する請求項に記載されている。これより図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、コンベヤの概略斜視図である。
【図2】図2は、図1に示すコンベヤの詳細を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
これらの図面は、本発明の好ましい実施の形態を概略的に表すのみであり、実施の形態を限定するものではない。各図面において、同一もしくは対応する部材には同一の参照符号を付している。
【0018】
図1は、温度可変のコンベヤ軌道に沿って物品を輸送するコンベヤ1を示している。コンベヤ1は、ホイール2を備えた第1アクスル3と、第2のホイール4を備えた第2アクスル5とを有する。矢印Pで示された輸送方向において、第1及び第2のホイール2,4の間を複数の無限コンベヤマット6が隣接して平行に走行する。複数のコンベヤマットは、物体がない場合の輸送面を形成する。後述するように、コンベヤマット6は複数のプラスチックマットモジュール15からなるモジュールとして形成されている。ここで、モジュール形成マット6の幅は約400mmである。隣接するコンベヤマット6の間の中間スペース7は、約2mmである。便宜上、コンベヤの長さは短く図示し、3列のマットのみを表している。実際には、コンベヤ1の長さは例えば40mで、それぞれの幅が500mmの13列のマットから構成される。
【0019】
図2には、コンベヤマット6の詳細を示す。図示するように、ホイール2,4の間で、各コンベヤマット6は下面8において輸送方向に延在する少なくとも1つの長手ガイドと協働する。図2に示す実施の形態では、各コンベヤマット6は下面8において2つの長手ガイド9と協働する。
【0020】
各長手ガイド9は、輸送方向Pに交差する方向に互いに中間スペース10だけ離間して、輸送方向Pにおいて互いに離間した交差ビーム11に固定される。交差ビーム11は輸送方向Pに交差する方向に延長可能である。ここで、交差ビーム11はコンベヤマット6のモジュール15のプラスチック材料と同じ材料から製造されている。交差ビーム11はプラスチック材料からなるセクション12を備える。セクション12は、輸送方向Pに交差して延在するクロスバー13上を摺動可能に配置されるとともに、中央付近でクロスバー13に取り付けられる。これにより、セクション12は中央から横方向に左右対称に延長できる。
【0021】
図1には、コンベヤマット6が筐体14内を通過する状態を示す。筐体14はトンネル状に形成されている。トンネル内で、コンベヤ1は、水を熱交換媒体として物品の温度に影響を与えるための複数の温度ゾーンZを通過する。ここで、ゾーンZの温度は、40、60、80、60、40°Cというパターンに従って段階的に変化する。便宜上、2つのゾーンのみ図示する。
【0022】
図2に示すように、コンベヤマット6はそれぞれ輸送方向Pに連続して輸送方向Pに沿って走行する複数のプラスチックモジュール15を有する。コンベヤマット6において、複数のモジュールが輸送方向Pに交差するように並べられている。モジュール15の前側16と後側17のそれぞれには複数のヒンジループ18が設けられている。輸送方向Pに連続する複数のモジュール15のヒンジループ18は、ヒンジピン19により連結されて協働する。ヒンジピン19は輸送方向Pに交差するように、最大でマット6の幅だけ延在する。なお、各コンベヤマット6は別々のユニットを形成し、接続ヒンジピンによって互いに連結されない。プラスチックからヒンジピンを製造することができるが、他の材料、例えばスチールから製造することもできる。必要に応じて、コンベヤマット6に補強板を設けることもできる。補強板はモジュール15と一体化しても一体化させなくてもよく、プラスチックとは別の、例えばスチールから形成される。補強板は輸送方向において連続するヒンジピンを接続できる。
【0023】
図2に示すように、一つのコンベヤマット6は、輸送方向Pに交差する方向において、単一のモジュール15の幅しかない。もちろん、マットごとに、複数のモジュールを隣同士に並べることができる。コンベヤマット6は、下面21に長手ガイド9と協働する2つのガイド部材22を備えた複数のガイドモジュール20を備えている。ガイド部材22を設けることなく、少なくとも複数のコンベヤマット6を形成することももちろん可能である。この場合、コンベヤトラック23の長手ガイド9は、コンベヤマット6を支えるライナとしてのみ機能する。
【0024】
図1に示すように、コンベヤ1には、ホイール2,4間に延在するコンベヤマット6の上部24を支持するコンベヤトラック23が設けられてる。
【0025】
コンベヤトラック23の長手ガイドおよび/またはライナには、輸送方向の移動を容易にするために、コンベヤマット6の上部23と協働するローラを付加的に設けてもよい。なお、これらのローラは円筒形状とすることが望ましく、回転軸は輸送方向に実質的に交差するように配置される。また、ローラはライナまたは長手ガイドの上面において互いに輸送方向に中間スペースだけ離間することが望ましい。これらのローラはそれ自体でモジュール形成コンベヤマットの従来のコンベヤトラックとして利用することもできるという利点がある。
【0026】
本発明はここに示した例示的な実施の形態に限定されるものではないことは明らかである。これらの変形例も当業者には明らかであり、特許請求の範囲に記載の本発明の範囲内に属すると理解されることはあきらかである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
温度可変のコンベヤ軌道に沿って物品を輸送するコンベヤであって、
第1のホイールを備えた第1アクスルおよび第2のホイールを備えた第2アクスルと、
複数のプラスチックモジュールから形成され、輸送方向において、前記第1および第2のホイールの周りを隣同士に並んで互いに平行に走行する複数のモジュール形成無限コンベヤマットとを備えることを特徴とするコンベヤ。
【請求項2】
請求項1に記載のコンベヤにおいて、
前記モジュール形成マットの幅は約300mmから約500mmの間であることを特徴とするコンベヤ。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のコンベヤにおいて、
隣接コンベヤマット同士の間には、約15mm未満の中間スペース、望ましくは5mm未満の中間スペースが設けられていることを特徴とするコンベヤ。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のコンベヤにおいて、
前記コンベヤマットは、それぞれ、前記コンベヤマットの下面で、輸送方向において前記第1及び第2のホイールの間に延在する少なくともひとつの長手ガイドと協働することを特徴とするコンベヤ。
【請求項5】
請求項4に記載のコンベヤにおいて、
前記長手ガイドは、前記輸送方向に交差する方向に互いに中間スペースだけ離間して、輸送方向において互いに離間した交差ビームに固定されることを特徴とするコンベヤ。
【請求項6】
請求項5に記載のコンベヤにおいて、
前記交差ビームは、前記輸送方向に交差して、少なくとも部分的に摺動可能で延長自在に配置されることを特徴とするコンベヤ。
【請求項7】
請求項5または請求項6に記載のコンベヤにおいて、
前記交差ビームは、前記コンベヤマットのプラスチック材料と実質的に同じ膨張係数を有する材料から製造されることを特徴とするコンベヤ。
【請求項8】
請求項5から請求項7のいずれか1項に記載のコンベヤにおいて、
前記交差ビームは、望ましくはプラスチック材料からなるセクションを有し、前記セクションは、前記輸送方向に交差して延在するクロスバー上を摺動可能に配置されるとともに、中央付近で前記クロスバーに取り付けられることを特徴とするコンベヤ。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれか1項に記載のコンベヤにおいて、
前記コンベヤマットは筐体内を通過することを特徴とするコンベヤ。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれか1項に記載のコンベヤにおいて、
前記コンベヤは、望ましくは液体である熱交換媒体を介して輸送される前記物品の温度に影響を与える複数の温度ゾーンを通過することを特徴とするコンベヤ。
【請求項11】
請求項1から請求項10のいずれか1項に記載のコンベヤにおいて、
前記コンベヤマットはそれぞれ輸送方向に連続して輸送方向に沿って走行する複数のプラスチックモジュールを有し、前記プラスチックモジュールの前側と後ろ側にはそれぞれヒンジループが設けられ、
輸送方向に連続するモジュールの前記ヒンジループは、前記輸送方向に交差して最大で前記マット幅だけ延在するヒンジピンにより連結されて協働することを特徴とするコンベヤ。
【請求項12】
請求項1から請求項11のいずれか1項に記載のコンベヤにおいて、
前記複数のモジュールの前記前側と前記後側にはそれぞれ複数のヒンジループが設けられていることを特徴とするコンベヤ。
【請求項13】
請求項1から請求項12のいずれか1項に記載のコンベヤにおいて、
少なくとも1つのコンベヤマットにおいて、前記輸送方向に交差して複数のモジュールが隣同士に配置されていることを特徴とするコンベヤ。
【請求項14】
請求項1から請求項13のいずれか1項に記載のコンベヤにおいて、
前記コンベヤマットは、下面に長手ガイドと協働する1つ以上のガイド部材を備えた複数のガイドモジュールを備えることを特徴とするコンベヤ。
【請求項15】
請求項1から請求項14のいずれか1項に記載のコンベヤにおいて、
前記ホイール間に延在する前記コンベヤマットの上部を支持するコンベヤトラックを備えることを特徴とするコンベヤ。
【請求項16】
請求項1から請求項15のいずれか1項に記載のコンベヤにおいて、
前記複数のコンベヤマットは、少なくとも5つ、とくに、少なくとも7つ設けられることを特徴とするコンベヤ。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2009−511389(P2009−511389A)
【公表日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−535475(P2008−535475)
【出願日】平成18年10月10日(2006.10.10)
【国際出願番号】PCT/NL2006/000510
【国際公開番号】WO2007/043865
【国際公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【出願人】(505416555)
【Fターム(参考)】