説明

コードレスアイロン

【課題】アイロン本体をスタンドへ載置するときと、スタンドから取り外すときに、スムースに着脱することができるようにして、載置時の操作性をよくする。
【解決手段】受電端子15の下方に、ベース3の後端部6bの上面側を覆うようにカバー部25を設け、カバー部25の上面側に、収容部24の下面18c側へ円弧状に膨出させたリブ25aを設け、アイロン本体1をスタンド16へ載置するときと、スタンド16から取り外すときに、アイロン本体1の変位方向に設けたリブ25aの頂部が給電部18の下面18cに当接して、スムースに着脱できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣類等のしわ伸ばしに用いられるコードレスアイロンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、アイロンかけ作業は、衣類上でアイロンを移動させるしわ伸ばし動作と、衣類の形を整える動作があり、このしわ伸ばし動作と衣類の形を整える動作を繰り返しながらアイロンかけがおこなわれる。
【0003】
コードレスアイロンの場合は、衣類の形を整える小休止時にアイロンはスタンドに置かれ、このときにヒータに通電されて加熱される。加熱されたアイロンをスタンドから取り外してアイロンかけをおこなうことでかけ面の温度が低下する。そして、衣類の形を整える小休止時に、スタンドに載置して加熱し低下した温度を上昇させ、その余熱を利用してアイロンかけがおこなわれる。この動作を繰り返すことにより電源コードで繋がれたアイロンと同様にかけ面の温度を維持し、かつ、電源コードが繋がれていない状態で良好な使い勝手を実現している。
【0004】
そして、アイロンかけ中は、小休止時にアイロンをスタンドへ載置する操作が頻繁におこなわれることから、給電部への嵌合を容易にして使い勝手をよくするとともに、電気的接続が確実におこなわれるようにしたコードレスアイロンが考えられている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
また、アイロンかけ作業は、アイロンの進行方向へ衣類を押し広げながら衣類のしわを伸ばすとともに、アイロンの前進と後退の往復動作で効率よく衣類のしわを伸ばすことができるが、アイロンのかけ面は、一般的に後部が尖っていないため、後退時にアイロンで衣類にしわを付けてしまう、所謂、戻りじわを付ける失敗は多く、アイロンで付けたしわはとり難いものである。
【0006】
そこで、図11に示すように、かけ面101の後端部102を尖った形状にすることが考えられている(例えば、特許文献2参照)。この特許文献2に記載されたアイロンは、アイロンかけ作業中の小休止時にスタンドに載置して加熱し、使用時はスタンドから取り外してその余熱を利用し、電源コードが接続されていない状態でアイロンかけができるコードレスアイロンであり、コードが邪魔にならずに使い勝手がよく、コードレスアイロンにおいても後退時の戻りじわを防止することが考えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−5495号公報
【特許文献2】特開2009−28385号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、前記従来の構成では、アイロン本体をスタンドへ載置する際の使い勝手が悪いという問題があった。すなわち、アイロンかけ中の小休止時は、アイロン本体が給電部へ確実に接続されるように注意深く置かれることは少なく、アイロン本体はスタンドの載置部へ無造作に置かれるのが一般的である。
【0009】
スタンドへの載置時は、アイロン本体が載置部へ置かれることから、受電部の位置が上
下方向に変動することは少ない一方、載置部へ置かれるときのアイロン本体の姿勢は一定せず、スタンドに対して上方から、あるいは横方向から、さらには斜め方向から、置かれる度にその方向が変化する。つまり、載置部へ置かれる度に受電部の位置が左右方向に変化するため、受電部をスムースに給電部へ導くことが困難である。
【0010】
また、特許文献2に記載されたコードレスアイロンでは、かけ面101の後端部102を尖り角度の小さい形状にすることができず、アイロンを後退させたときの戻りじわをなくすことができないものであった。その理由は、かけ面の後端部の尖り角度を小さくすると、かけ面の面積が著しく減少し、蓄熱容量が少なくなるからである。
【0011】
後退時の戻りじわを効果的に防止するためには、かけ面の後端部102を戻りじわが防止できる程度に尖らせる必要があるが、かけ面の面積が小さくなって熱容量が減少するため、余熱を利用するコードレスアイロンではかけ面の温度が急速に低下する。特に、スチーム発生装置を具備している場合は、水の気化に熱が奪われて温度の低下が顕著であり、使用可能な所定の温度に低下するまでの時間が短くなり、頻繁にスタンドへ載置して加熱しなければならなくなるという、新たな課題が生じる。
【0012】
また、特許文献2に記載されたコードレスアイロンは、後端部102の上方は把手体104で覆われており、後端部102のさらに後方の上部に給電用の接続端子105が設けられている。したがって、アイロンを後退させるときは、後端部102の近傍を見る視線が把手体104により遮られて視認することができず、後端部102の方向へアイロンを移動させるときの使い勝手が悪いものである。
【0013】
後退時の視認性をよくする手段として、把手体の側面を後端部に向かって細くすることが考えられる。この場合、把手体の後部は、先細り形状によって受電部の左右方向の大きさが小さくなり、スタンドへの載置時に受電部内に嵌合する給電部の大きさもさらに小さくなる。したがって、アイロン本体をスタンドへ載置する際に、受電部を給電部に容易に嵌合させることが一層難しくなる。
【0014】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、アイロン本体をスタンドへ載置するときと、スタンドから取り外すときに、カバー部の上面に設けたリブの頂部が給電部の下面に当接して、スムースに着脱することができ、アイロンかけ中の小休止時にアイロン本体が確実に加熱されるようにするとともに、頻繁な載置操作性をよくして使い勝手のよいコードレスアイロンを実現することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記従来の課題を解決するために、本発明のコードレスアイロンは、アイロン本体と、前記アイロン本体を載置するスタンドとを具備し、前記アイロン本体は、ヒータによって加熱されるベースを有し、後部に凹状の受電部を設けるとともに、前記受電部内に受電端子を設け、前記スタンドは、前記ベースを前上がりに傾斜させて載置する載置部を有し、前記受電部に嵌合する凸状の給電部を設けるとともに、前記給電部内に前記受電端子と接続する電極と、前記給電部の下方に前記ベースの後端部を収容する収容部とを設け、前記アイロン本体を前記スタンドに載置したとき、前記受電端子と前記電極の接続部が前記ベースの後端部より前方に位置するように設定し、前記受電端子の下方に前記ベースの後端部の上面側を覆うカバー部を設け、前記カバー部の上面に、前記アイロン本体を前記スタンドから取り外すときに前記給電部の下面に当接するリブを設けたものである。
【0016】
これによって、アイロン本体をスタンドへ載置するときと、スタンドから取り外すときに、カバー部の上面に設けたリブの頂部が給電部の下面に当接して、スムースに着脱することができ、アイロンかけ中の小休止時にアイロン本体が確実に加熱されるようにすると
ともに、頻繁な載置操作性をよくして使い勝手をよくすることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明のコードレスアイロンは、アイロン本体をスタンドへ載置するときと、スタンドから取り外すときに、カバー部の上面に設けたリブの頂部が給電部の下面に当接して、スムースに着脱することができ、アイロンかけ中の小休止時にアイロン本体が確実に加熱されるとともに、頻繁な載置操作性をよくして使い勝手をよくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1の実施の形態におけるコードレスアイロンの側面図
【図2】同コードレスアイロンの要部断面図
【図3】同コードレスアイロンの要部の拡大断面図
【図4】同コードレスアイロンのアイロン本体の上面図
【図5】同コードレスアイロンのアイロン本体の後面図
【図6】同コードレスアイロンの上面図
【図7】同コードレスアイロンのスタンドの上面図
【図8】同コードレスアイロンのスタンドの要部上面図
【図9】本発明の第2の実施の形態におけるコードレスアイロンの要部断面図
【図10】本発明の第3の実施の形態におけるコードレスアイロンの要部断面図
【図11】従来のコードレスアイロンのかけ面の下面図
【発明を実施するための形態】
【0019】
第1の発明は、アイロン本体と、前記アイロン本体を載置するスタンドとを具備し、前記アイロン本体は、ヒータによって加熱されるベースを有し、後部に凹状の受電部を設けるとともに、前記受電部内に受電端子を設け、前記スタンドは、前記ベースを前上がりに傾斜させて載置する載置部を有し、前記受電部に嵌合する凸状の給電部を設けるとともに、前記給電部内に前記受電端子と接続する電極と、前記給電部の下方に前記ベースの後端部を収容する収容部とを設け、前記アイロン本体を前記スタンドに載置したとき、前記受電端子と前記電極の接続部が前記ベースの後端部より前方に位置するように設定し、前記受電端子の下方に前記ベースの後端部の上面側を覆うカバー部を設け、前記カバー部の上面に、前記アイロン本体を前記スタンドから取り外すときに前記給電部の下面に当接するリブを設けたことにより、アイロン本体をスタンドへ載置するときと、スタンドから取り外すときに、カバー部の上面に設けたリブの頂部が給電部の下面に当接して、スムースに着脱することができ、アイロンかけ中の小休止時に、アイロン本体が確実に加熱されるとともに、頻繁な載置操作性をよくして使い勝手をよくすることができる。
【0020】
第2の発明は、特に、第1の発明のリブは、給電部の下面側へ円弧状に膨出させて設けたことにより、アイロン本体をスタンドへ載置するときと、スタンドから取り外すときに、カバー部の上面に設けたリブの頂部が給電部の下面に当接して、スムースに着脱することができる。
【0021】
第3の発明は、特に、第1または第2の発明のリブは、アイロン本体をスタンドから取り外すときのアイロン本体の変位方向に設け、前記リブの頂部が給電部の下面に当接するように設けたことにより、アイロン本体をスタンドへ載置するときと、スタンドから取り外すときに、カバー部の上面に設けたリブの頂部が給電部の下面に当接して、スムースに着脱することができる。
【0022】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0023】
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施の形態におけるコードレスアイロンの側面図、図2は、同要部断面図、図3は、同要部の拡大断面図、図4は、同アイロン本体の上面図、図5は、同アイロン本体の後面図、図6は、同コードレスアイロンの上面図、図7は、同スタンドの上面図、図8は、同スタンドの要部上面図である。
【0024】
図1〜図8において、アイロン本体1は、埋設したヒータ2によって加熱されるベース3と、このベース3の上面側に凹状に形成したスチームを発生させる気化室4と、ベース3の下面に気化室4で発生したスチームを噴出させるスチーム孔5を有し、ベース3の前端部6aと後端部6bを尖形に形成したかけ面6を備えている。スチーム孔5は、前端部6aと後端部6bの近傍を含めて、かけ面6の広い範囲に多数形成している。
【0025】
7は気化室4に供給する水を貯える樹脂製のタンク、8は手動操作によってタンク7から気化室4への水の供給と停止をおこなうスチーム釦、9はベース3の上面側を覆うように設けた断熱板、10は断熱板9の上方に配設した樹脂製の把手体で、握り部11を形成している。
【0026】
12はアイロン本体1の後部に設けたターミナル部13を後方から覆うように把手体10に取り付けた把手裏板で、アイロン本体1の後面から内方へ凹状に窪ませて受電部14を形成している。受電部14内には、ヒータ2回路と接続している受電端子15がターミナル部13から受電部14内に後方へ突出している。
【0027】
アイロン本体1を載置するスタンド16は、ベース3を前上がりに傾斜させて載置する載置部17を有し、載置部17にはベース3のかけ面6を下方から支持するローラーで構成した支持体17aを設けている。支持体17aに支持されたかけ面6の傾斜角度は、置き易く取り外しが容易な20〜30°に設定してあり、ローラーによって後方へ移動するようになっている。支持体17aは、ベース3の前後方向に2か所設けてあり、かけ面6の前部と後部を離れた位置で安定的に支持する。
【0028】
スタンド16の後部には、載置部17に載置されたアイロン本体1の受電部14が嵌合する凸状の給電部18を設けている。この給電部18の前面にはアイロン本体1の載置時に受電端子15が貫通する孔19が左右方向に設けてあり、給電部18内に設けた電極20に受電端子15が接続されるように構成している。
【0029】
給電部18内には、アイロン本体1がスタンド16から取り外されているときに、孔19を閉じる方向へバネ付勢されたシャッター21が可動自在に設けられている。アイロン本体1の載置時は、受電部14に設けた支持部22によりシャッター21の操作部21aを後方へ押圧し、受電端子15側へのバネ付勢力に抗してシャッター21を回動させて孔19を開き、受電端子15が孔19を通して電極20と接続されるように構成している。
【0030】
支持部22は、把手裏板12と一体成型で薄板状に形成するとともに、受電部14内の上部に垂直方向に設けてあり、受電端子15の上方に配設し後方へ突出させている。給電部18の上面には、支持部22が嵌入可能な溝状のスリット23がアイロン本体1の変位方向、すなわち、前後方向に形成してあり、スリット23に支持部22が所定の長さで嵌合することでアイロン本体1の変位方向が規制される。
【0031】
支持部22が嵌入するスリット23の入り口、すなわち、給電部18の前面にスリット23に向かって傾斜する誘導部18aを設けている。誘導部18aは、略V字状に形成され、スリット23の前端部分から前方に向かって左右方向へ開くように傾斜しており、スタンド16への載置時に支持部22の先端が誘導部18aの傾斜面に当接したとき、スリ
ット23の前端部分である入り口に向かって傾斜面を内側へ滑動し、スリット23内へと誘導される。
【0032】
給電部18の前面の下部、すなわち、誘導部18aの下方には、アイロン本体1の受電部14に向かって円弧状に突出する膨出部18bを形成してあり、スタンド16への載置時に受電部14の開放端14aが膨出部18bに当接したとき、開放端14aが円弧面に沿って左右方向に外側へ滑動し、受電部14が給電部18に嵌合するようにアイロン本体1の後部を変位させる。誘導部18aは孔19の上方に位置し、膨出部18bは孔19の下方に位置する。
【0033】
したがって、アイロン本体1をスタンド16へ載置するときは、給電部18の前面の上部に設けた誘導部18aと、給電部18の前面の下部に設けた膨出部18bとで、受電部の左右方向の傾きと位置ずれを正しい状態に矯正し、アイロン本体1の受電部14を的確に給電部18嵌合させて、受電端子15と電極20を確実に接続させることができる。
【0034】
給電部18の下方には、アイロン本体1の載置時にベース3の後端部6bを収容する収容部24が設けてあり、アイロン本体1をスタンド16に載置したとき、受電端子15と電極20の接続部がベース3の後端部6bより前方に位置するように設定している。つまり、ベース3の後端部6bより前方に受電端子15の先端が位置するようにしている。
【0035】
収容部24は、載置部17の上面を後方に向かって先細り状に形成してあり、尖った形状の後端部6bが給電部18の下方にコンパクトに収容されるようにしている。そして、アイロン本体1は、把手体10の側面10aを受電部14の開放端14aに向かって先細り状に形成している。
【0036】
受電端子15の下方には、ベース3の後端部6bの上面側を覆うようにカバー部25が設けてあり、受電部14を形成している把手裏板12を下方へ延設してカバー部25を形成し、把手体10の一部を構成している。そして、カバー部25は、その外周縁をベース3の外周縁に沿って後端部6bまで形成し、後端部6bの上方を後端部6bと略同形状で覆っている。
【0037】
スタンド16の後部には、給電部18の両側に放熱部26が設けてあり、収容部24を介して給電部18の両側と連通するように形成し、外部の空気と円滑に置換されるようにしてあり、アイロン本体1をスタンド16に載置したとき、収容部24に位置し高温に加熱されるベース3の後端部6bの熱を収容部24から外部へ放出し、給電部18が過熱されるのを防止するようにしている。
【0038】
アイロン本体1をスタンド16に載置する載置部17の両側に、アイロン本体1の受電部14を給電部18へ案内するガイド部27が設けてあり、このガイド部27の後端27aと給電部18との間に放熱部26が形成され、十分な放熱空間を確保している。載置部17の両側に設けたガイド部27の間隔は、スタンド16の後部に設けられている給電部18に近づくにしたがって狭くなっており、アイロン本体1の後部に設けた受電部14が給電部18へスムースに嵌合するようにしている。
【0039】
給電部18は、収容部24の上面を構成する下面18cを前上がりに傾斜させてあり、アイロン本体1がスタンド16から容易に取り外すことができるようにしている。また、下面18cの後部は、後端部6bが収容部24に収容されるように後端部6bの後方へ延設している。カバー部25の上面側には、収容部24の下面18c側へ円弧状に膨出させたリブ25aを設けており、アイロン本体1をスタンド16へ載置するときと、スタンド16から取り外すときに、アイロン本体1の変位方向、すなわち、前後方向に設けたリブ
25aの頂部が給電部18の下面18cに当接して、スムースに着脱できるようにしている。
【0040】
以上のように構成された本発明のコードレスアイロンについて、以下、その動作、作用を説明する。アイロンかけをおこなうときは、スタンド16の載置部17に設けられている支持体17a上にアイロン本体1のかけ面6を載置し、受電端子15が電極20に接続された状態で、電源コード28を通じて電極20に通電する。
【0041】
握り部11の前部に設けた温度設定部29より、かけ面6が所定の温度(例えば、200℃)に加熱されるように設定する。気化室4が水の蒸発可能温度に上昇すると、バイメタル30が反転して熱応動弁31が開き、スチーム釦8の手動操作によってタンク7内の水を気化室4へ滴下供給することができる。
【0042】
給電部18の下方にベース3の後端部6bを収容する収容部24が設けてあり、アイロン本体1をスタンド16に載置したとき、受電端子15と電極20の接続部がベース3の後端部6bより前方に位置するように設定しているので、かけ面6の面積を大きく減少させることなく後端部6bを尖形に形成してかけ面6の熱容量を確保することができる。したがって、余熱を利用したコードレスアイロンにおいても後端部6bを尖形に形成することが可能になり、スチームを利用したアイロンかけ時の温度低下を少なくすることができ、使い勝手のよいコードレスアイロンを実現することができる。
【0043】
握り部11を把持してアイロン本体1をスタンド16から取り外し、衣類等の上を前後方向へ押圧しながら移動させると、前進時は尖った前端部6aによって衣類を押し広げながらしわ伸ばしがおこなえ、また、図4に示すように後端部6bを前端部6aと略同じ尖り角度に尖った形状に形成しているので、後退時も前進時と同様に衣類を押し広げながらしわを伸ばすことができるので、戻りじわの発生を防止することができ、後端部6bの方向へアイロンを移動させるときの使い勝手をよくすることができる。
【0044】
また、ベース3の後端部6bが電極20と接続する受電端子15の後端部から後方へ突出するので、アイロンかけの後退時に後端部6bの視認性を確保し、前進と後退の両方向移動で効率よくアイロンかけがおこなえる。
【0045】
また、前端部6aを前向きにして把持した前進動作の状態で、アイロン本体1を後退させることができるとともに、アイロン本体1の向きを変えることなく他方の手に持ち替えると、後端部6bを前にして前進させることができる。
【0046】
把手体10の側面10aを受電部14の開放端14aに向かって先細り状に形成しているので、アイロンかけ時の後退時はもとより、後端部6bを前にした前進時も、ベース3の後端部6bの視認性を良好に確保することができ、後端部6bの方向へアイロン本体1を移動させるときの使い勝手をよくすることができる。
【0047】
したがって、受電部14の開放端14aは後端部6bの近傍に位置することから、必然的に小さくなり、開放端14aが外側から嵌合する給電部18も左右方向に小さく構成する必要がある。
【0048】
本発明では、受電部14を給電部18へ導く誘導部18aと膨出部18bを給電部18の前面に設けるとともに、支持部22が嵌入するスリット23を給電部18の上面の中央部に設け、さらに、支持部22と、給電部18の下面18cに当接するカバー部25に設けたリブ25aを、受電部14の左右方向の略中央位置に設けて給電部18の左右方向の大きさを小型化し、把手体10の側面10aが後端部6bの方向へ先細りした形状を実現
している。
【0049】
また、収容部24を載置部17の上面を後方に向かって先細り状に形成しているので、アイロン本体1をスタンド16へ載置する際に、アイロン本体1の受電部14を給電部18に導いて嵌合させることができ、給電部18の電極20に受電部14の受電端子15を的確に接続することができるとともに、収容部24をスタンド16の後部にコンパクトに構成することができる。
【0050】
また、受電端子15の下方にベース3の後端部6bの上面側を覆うカバー部25を設けているので、高温に加熱される後端部6bの熱を遮り、給電部18の過熱を防止するとともに、スタンド16への載置および離脱時に後端部6bが給電部18に当接するのを防止することができる。したがって、後端部6bを最適な温度に加熱してアイロンかけをおこなうことができる。
【0051】
また、カバー部25は、その外周縁をベース3の外周縁に沿って後端部6bまで形成しているので、後端部6bの視認性を損なうことなく、給電部18の保護と過熱を防止することができる。
【0052】
また、把手体10の一部を構成する受電部14を下方へ延設してカバー部25を形成しているので、アイロン本体1の載置時にカバー部25で給電部18を前方から包囲することができ、アイロンかけ中の頻繁なスタンド16への脱着動作時に、給電部18の保護と過熱を防止することができる。
【0053】
また、給電部18の両側にベース3の後端部6bの熱を収容部24から外部へ放出する放熱部26を設けているので、アイロンかけ中の小休止時にアイロン本体1がスタンド16に載置された状態に置かれても、後端部6bで加熱された収容部24の熱を放熱部26から外部へ放出することができるので、収容部24内の温度上昇を抑えて給電部18の過熱を防止することができる。
【0054】
また、放熱部26は、収容部24を介して給電部18の両側と連通するように形成しているので、収容部24内の空気の流動を円滑にすることができ、収容部24内の温度上昇を抑えることができる。
【0055】
また、載置部17の両側に、アイロン本体1の受電部14をスタンド16の給電部18へ案内するガイド部27を設け、このガイド部27の後端27aと給電部18との間に放熱部26を形成しているので、後端部6bで加熱された収容部24内の空気を至近距離から効率よく外部へ放出することができる。
【0056】
また、給電部18は、収容部24の上面を構成する下面18cを前上がりに傾斜させて形成しているので、アイロン本体1をスタンド16から容易に取り外すことができる。下面18cの前上がりの傾斜は、かけ面6の前上がりの傾斜よりその角度を大きくしているので、アイロン本体1をスタンド16から取り外す際に、アイロン本体1を載置状態から上方へ持ち上げても、後端部6bが給電部18の下面18cに当接することなく収容部24から離脱させることができ、アイロン本体1のスタンド16への着脱操作性を良好にすることができる。
【0057】
また、給電部18は、その前面にアイロン本体1の受電部14に向かって円弧状に突出した膨出部18bを形成しているので、スタンド16への載置時に受電部14の位置が左右方向へずれたとき、受電部14の開放端14aが膨出部18bに当接し、円弧面に沿って開放端14aが左右方向へ滑動し、受電部14が給電部18に嵌合するようにアイロン
本体1を変位させることができ、スタンド16へ載置時にアイロン本体1の受電部14を的確に給電部18に嵌合させることができる。
【0058】
また、受電部14内に垂直方向に設けて後方へ突出させた板状の支持部22と、給電部18の上面に支持部22が嵌入可能な溝状のスリット23と、給電部18の前面にスリット23に向かって傾斜する誘導部18aを設け、支持部22がスリット23に嵌入することによりアイロン本体1の変位方向を規制するようにしているので、スタンド16への載置時に受電端子15を電極20に確実に接続させることができるとともに、収容部24内に後端部6bが入り込んでいる場合でも、スリット23に支持部22が所定の長さで嵌合することでアイロン本体1の変位方向が規制され、アイロン本体1をスタンド16から容易に取り外すことができる。
【0059】
また、誘導部18aを略V字状に形成し、スリット23から前方に向かって左右方向へ開くように前面を傾斜させているので、スタンド16への載置時に支持部22の先端が誘導部18aの傾斜面に当接したとき、スリット23の入り口に向かって傾斜面を滑動しスリット23へと誘導することができ、支持部22を確実にスリット23に嵌合させることができる。
【0060】
したがって、給電部18の前面の上部に誘導部18aを設けて内側へ誘導し、給電部18の前面の下部に膨出部18bを設けて受電部14の開放端14aを外側へ変位させることができるので、スタンド16へ載置時にアイロン本体1の受電部14の位置が上部と下部で的確に矯正され、給電部18に嵌合させて、受電端子15と電極20を確実に接続させることができる。
【0061】
つまり、スタンド16への載置時にアイロン本体1の受電部14が左右方向へ傾いた状態で置かれた場合でも、受電部14内から後方へ突出させた支持部22が傾斜した誘導部18aに当接して受電部14の上部を内側へ変位させ。また、受電部14の位置が左右方向にずれた状態で置かれた場合でも、膨出部18bに当接して受電部14の下部を外側へ変位させる。そして、これらの両方の状態で置かれた場合でも、受電部14の左右方向の傾きと位置ずれを、誘導部18aと膨出部18bによって互いに逆方向へ変位させて正しい位置に矯正することができ、無造作に置かれたアイロン本体1をスムースにスタンド16の給電部18へ誘導することができ、アイロンかけ中の小休止時にアイロン本体1をスタンド16へ載置して加熱する、一般的なコードレスアイロンとして、載置時の操作性をよくして使い勝手をよくすることができる。
【0062】
また、把手体10の側面10aを受電部14の開放端14aに向かって先細り状に形成したことにより、アイロンかけ時の後退時にベース3の後端部6bの視認性を確保することができ、後端部6bの方向へアイロン本体1を移動させるときに戻りじわを付ける誤操作を防止することができるとともに、受電部14の開放端14aの大きさが左右方向に小さくなっても、アイロン本体1の受電部14をスムースにスタンド16の給電部18へ誘導し、戻りじわの防止と、良好な載置操作性を同時に実現することができる。
【0063】
(実施の形態2)
図9は、本発明の第2の実施の形態におけるコードレスアイロンの要部断面図である。本実施の形態の特徴は、ベース3の後端部6bの上面側を覆うカバー部25を、ベース3の上面側を覆う断熱板9で構成したことである。他の構成は第1の実施の形態と同じであり、詳細な説明は第1の実施の形態のものを援用する。
【0064】
上記構成によれば、ベース3の前端部6aから後端部6bまでの上面側を断熱板9で切れ目なく覆うことができ、断熱効果を高めることができるとともに、構成を簡略にするこ
とができる。
【0065】
(実施の形態3)
図10は、本発明の第3の実施の形態におけるコードレスアイロンの要部断面図である。本実施の形態の特徴は、収容部24の上面を構成する給電部18の下面18cに耐熱性のゴム等で構成した保護体32を設け、アイロン本体1をスタンド16から取り外すときに、ベース3の後端部6bが給電部18の下面18cに当接するのを防止するようにしたものである。他の構成は第1の実施の形態と同じであり、詳細な説明は第1の実施の形態のものを援用する。
【0066】
スタンド16に載置されたアイロン本体1は、受電端子15が給電部18の孔19を貫通して電極20と接続され、また、支持部22が給電部18のスリット23に嵌入している。アイロン本体1の取り外し時は、受電端子15が孔19から離脱し、支持部22がスリット23から離脱すると、アイロン本体1はスタンド16に対して変位方向の規制がなくなる。
【0067】
したがって、収容部24内にあるベース3の後端部6bが給電部18の下面18cに当接しやすくなる。保護体32は、アイロン本体1の変位方向の規制がなくなった後に当接しやすい、前上がりに傾斜した下面18cの上部に設けることが効果的である。
【0068】
上記構成によれば、アイロン本体1の離脱時にベース3の後端部6bが収容部24から出るとき、後端部6bが給電部18に当接したときの衝撃を緩和することができ、給電部18を熱と緩衝から保護することができる。
【0069】
なお、本発明の実施の形態は、その一部を実施してもよく、また記載された範囲内において任意に組み合わせて実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0070】
以上のように、本発明にかかるコードレスアイロンは、アイロンかけ中の小休止時にアイロン本体が確実に加熱されるとともに、頻繁な載置操作性をよくして使い勝手をよくすることができるので、コードレスアイロンとして有用である。
【符号の説明】
【0071】
1 アイロン本体
2 ヒータ
3 ベース
6a 前端部
6b 後端部
10 把手体
14 受電部
15 受電端子
16 スタンド
17 載置部
18 給電部
18a 誘導部
18b 膨出部
20 電極
22 支持部
23 スリット
24 収容部
25a リブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アイロン本体と、前記アイロン本体を載置するスタンドとを具備し、前記アイロン本体は、ヒータによって加熱されるベースを有し、後部に凹状の受電部を設けるとともに、前記受電部内に受電端子を設け、前記スタンドは、前記ベースを前上がりに傾斜させて載置する載置部を有し、前記受電部に嵌合する凸状の給電部を設けるとともに、前記給電部内に前記受電端子と接続する電極と、前記給電部の下方に前記ベースの後端部を収容する収容部とを設け、前記アイロン本体を前記スタンドに載置したとき、前記受電端子と前記電極の接続部が前記ベースの後端部より前方に位置するように設定し、前記受電端子の下方に前記ベースの後端部の上面側を覆うカバー部を設け、前記カバー部の上面に、前記アイロン本体を前記スタンドから取り外すときに前記給電部の下面に当接するリブを設けたコードレスアイロン。
【請求項2】
リブは、給電部の下面側へ円弧状に膨出させて設けた請求項1記載のコードレスアイロン。
【請求項3】
リブは、アイロン本体をスタンドから取り外すときのアイロン本体の変位方向に設け、前記リブの頂部が給電部の下面に当接するように設けた請求項1または2記載のコードレスアイロン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−98236(P2011−98236A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−36729(P2011−36729)
【出願日】平成23年2月23日(2011.2.23)
【分割の表示】特願2009−252604(P2009−252604)の分割
【原出願日】平成21年11月4日(2009.11.4)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】