説明

コードレス電話機システム

【課題】受話子機と親機とを備えるコードレス電話機システムにおいて、操作性を損なうことなく誤操作を防ぐことが可能なロック機能を有するコードレス電話機システムを提供する。
【解決手段】コードレス電話機システムは、親機と、載置装置と、第1子機と、第2子機と、ロック状態設定手段と、ロック状態解除手段と、を備える。親機は、子機を載置可能である。載置装置は、子機を載置可能である。第1子機及び第2子機は、親機と無線通信行う。ロック状態設定手段は、親機を、操作を受け付けないロック状態に設定する。ロック状態解除手段は、第1子機が親機から取り外された場合、ロック状態を解除させ、第2子機が親機または載置装置から取り外された場合、ロック状態を解除させない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線により通信を行う電話機システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、主動作の入力指示を行う主操作部とは別に補助操作部を備え、これらの操作部の入力に基づく処理が無効になるように設定可能な電話機システムが知られている。例えば、特許文献1には、2以上の筺体を開閉可能に連結してなり、主操作部と、補助操作部とを有し、補助操作部のキーロックを制御するロック機能を備えた携帯通信端末が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−215221号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
受話器(受話子機)と本体(親機)が無線通信により接続された電話機システムにおいて、誤操作等を防ぐため、親機にキーロックを行うロック機能を付加することが考えられる。この場合、使用者が親機を操作するタイミングに応じて、自動でロックを解除するタイミングを適切に定める必要がある。
【0005】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、受話子機と親機とを備えるコードレス電話機システムにおいて、操作性を損なうことなく誤操作を防ぐことが可能なロック機能を有するコードレス電話機システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明では、子機を載置可能な親機と、前記子機が載置可能な載置装置と、前記親機と無線通信行う第1子機及び第2子機と、前記親機を、操作を受け付けないロック状態に設定するロック状態設定手段と、前記第1子機が前記親機から取り外された場合、前記ロック状態を解除させ、前記第2子機が前記親機または前記載置装置から取り外された場合、前記ロック状態を解除させないロック状態解除手段を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】第1実施形態に係るコードレス電話機システムの概略構成図である。
【図2】ロックがオフの場合の親機が実行する処理手順を示すフローチャートの一例である。
【図3】ロック状態の場合の親機が実行する処理手順を示すフローチャートの一例である。
【図4】第2実施形態に係るコードレス電話機システムの概略構成図である。
【図5】第2実施形態に係るロック状態の場合の親機が実行する処理手順を示すフローチャートの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の1つの観点では、子機を載置可能な親機と、前記子機が載置可能な載置装置と、前記親機と無線通信行う第1子機及び第2子機と、前記親機を、操作を受け付けないロック状態に設定するロック状態設定手段と、前記第1子機が前記親機から取り外された場合、前記ロック状態を解除させ、前記第2子機が前記親機または前記載置装置から取り外された場合、前記ロック状態を解除させないロック状態解除手段を備える。
【0009】
上記のコードレス電話機システムは、親機と、載置装置と、第1子機と、第2子機と、ロック状態設定手段と、ロック状態解除手段と、を備える。親機は、子機を載置可能である。載置装置は、子機を載置可能である。第1子機及び第2子機は、親機と無線通信行う。ロック状態設定手段は、親機を、操作を受け付けないロック状態に設定する。ロック状態解除手段は、第1子機が親機から取り外された場合、ロック状態を解除させ、第2子機が親機または載置装置から取り外された場合、ロック状態を解除させない。このようにすることで、コードレス電話機システムは、使用者の操作が予測される場合に、適切にロック状態を解除させ、操作性を向上させることができる。
【0010】
上記のコードレス電話機システムの一態様では、前記ロック状態解除手段は、前記第1子機が前記載置装置から取り外された場合、前記ロック状態を解除させない。このようにすることで、コードレス電話機システムは、不要にロック状態を解除するのを抑制することができる。
【0011】
上記のコードレス電話機システムの他の一態様では、前記第1子機及び前記第2子機は、前記親機または前記載置装置のいずれにも載置可能であり、載置されることで充電される。
【0012】
上記のコードレス電話機システムの他の一態様では、前記第1子機は、前記親機のための受話器として関連付けられている。
【0013】
上記のコードレス電話機システムの他の一態様では、前記親機は、操作部を備え、前記ロック状態設定手段は、前記ロック状態の場合、前記操作部に対する操作を無効にする。このようにすることで、ロック状態設定手段は、親機をロック状態にすることができる。
【0014】
上記のコードレス電話機システムの他の一態様では、前記ロック状態解除手段は、前記第1子機から送信される通信内容に基づき、前記第1子機が前記親機から取り外されたと判断する。一般に、親機の受話器として機能する第1子機が親機から取り外された場合、第1子機から親機へ連動して動作すべき旨の要求が送信される。従って、ロック状態解除手段は、この態様により、第1子機が親機から取り外されたか否か適切に判定することができる。
【0015】
上記のコードレス電話機システムの他の一態様では、前記第1子機は、前記親機に載置されることで充電状態となり、前記ロック状態解除手段は、前記第1子機が充電状態から非充電状態に遷移した場合、前記第1子機が前記親機から取り外されたと判断する。この態様によっても、ロック状態解除手段は、第1子機が親機から取り外されたか否か適切に判定することができる。
【0016】
上記のコードレス電話機システムの他の一態様では、前記ロック状態設定手段は、前記親機の待機状態が所定時間幅継続した場合、前記ロック状態を設定する。このように、コードレス電話機システムは、操作が行われる可能性が低い場合に親機をロック状態にすることで、誤操作等を抑制することができる。
【実施例】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の好適な第1実施形態及び第2実施形態について説明する。
[第1実施形態]
(概略構成)
図1は、第1実施形態に係るコードレス電話機システム100の概略構成の一例を示す。図1に示すように、コードレス電話機システム100は、電話機能を実現するためのシステムであり、例えば宅内に設置される固定電話機に相当する。コードレス電話機システム100は、コードレス電話機システム100の主要な機能を実現する親機1と、親機1と無線通信可能であり、親機1の受話器として機能する受話子機2と、を備える。
【0018】
親機1は、主に、制御部10と、操作部11と、無線部12と、回線制御部13と、メモリ14と、を備える。制御部10は、例えばCPU(Central Processing Unit)であり、親機1の全般的な制御を行う。特に、本実施形態では、制御部10は、使用者による親機1への操作の無効化(以後、単に「ロック」とも呼ぶ。)のオン又はオフの切り替えを制御する。具体的には、制御部10は、操作が行われないことに基づく親機1の待機状態が所定時間幅継続した場合、親機1のロックをオンにし、操作ボタン等を無効化する。また、制御部10は、ロックがオンである状態(以後、「ロック状態」とも呼ぶ。)では、所定の条件が満たされたと判断したときにロック状態を解除する。ロック状態を解除する具体的なタイミングについては、後述する。このように、制御部10は、本発明におけるロック状態設定手段、及びロック状態解除手段の一例である。
【0019】
操作部11は、電話番号の指定やコードレス電話機システム100の各種設定を受け付ける。特に、本実施形態において、操作部11は、ロック状態の場合にロックをオフにする、即ちロック状態を解除するためのボタン(以後、「ロック解除ボタン」とも呼ぶ。)を備える。
【0020】
無線部12は、受話子機2と無線通信を行うと共に、受話子機2以外に親機1に付属する無線受話機であって受話子機2以外の子機(以後、「第2子機」と呼ぶ。)と無線通信を行う。回線制御部13は、親機1と電話回線網との通話接続を制御する。メモリ14は、例えばRAM(Random Access Memory)またはROM(Read Only Memory)であり、例えば親機1が所定の動作を行う際の制御プログラムを記憶する。
【0021】
受話子機2は、親機1の受話器(ハンドセット)として機能する子機であり、親機1に載置された状態では、親機1から電力の供給を受けて充電を行う。受話子機2は、本発明における「第1子機」の一例であり、主に、制御部20と、操作部21と、無線部22とを備える。制御部20は、例えばCPUであり、受話子機2の全般的な制御を行う。操作部21は、電話番号の指定や受話子機2の各種設定を行うための操作を受け付ける。
【0022】
無線部22は、親機1又は第2子機と無線通信を行い、装置間のコマンドの授受や音声データ等の授受を行う。例えば、無線部22は、制御部20の制御に基づき、受話子機2が親機1に載置された状態から取り外された状態への遷移(以後、「オフフック」とも呼ぶ。)があった場合に、親機1に対し受話子機2と連動して動作すべき旨の所定のコマンド(以後、「第1連動要求」と呼ぶ。)を親機1へ送信する。また、無線部22は、親機1と受話子機2とが離れた位置で待機状態となっていた場合に、外線発信ボタンの押下など操作部21に対し所定の操作がなされたときに、親機1に対し受話子機2と連動して動作を行う旨の所定のコマンド(以後、「第2連動要求」と呼ぶ。)を親機1へ送信する。
【0023】
なお、第2子機は、未使用状態では、第2子機の収納部として機能する所定の充電装置に載置され、適宜充電が行われる。以後では、「子機」とは、受話子機2及び第2子機を総称した名称であるものとする。
【0024】
(ロック状態の解除)
次に、制御部10が実行するロック状態の解除のタイミングについて説明する。概略的には、制御部10は、親機1がロック状態であって、第1連動要求又は第2連動要求を受話子機2から受信した場合に、ロック状態を解除する。これにより、制御部10は、操作が行われるタイミングに応じてロック状態とロックがオフの状態とを適切に切り替え、操作性を損なうことなく誤作動を防止する。
【0025】
これについて具体的に説明する。まず、第1連動要求に基づきロック状態を解除する場合について具体的に説明する。制御部10は、親機1がロック状態であって、第1連動要求を受話子機2から受信した場合、親機1に受話子機2が載置されていた状態からオフフックがなされたことにより、使用者がコードレス電話機システム100を利用して通話を行う可能性が高く、使用者が通話のため親機1へ操作を行う可能性が高いと判断する。従って、この場合、制御部10は、ロック状態を解除する。これにより、制御部10は、使用者の操作が予測される場合に適切にロック状態を自動的に解除し、操作性を向上させることができる。
【0026】
次に、第2連動要求に基づきロック状態を解除する場合について具体的に説明する。制御部10は、受話子機2が親機1に載置されておらず、親機1と受話子機2とが離れた状態で、親機1が待機状態となりロック状態になった場合、第2連動要求を受話子機2から受信することを条件にロック状態を解除する。ここで、第2連動要求は、例えば外線発信ボタンが押下された場合などのように、親機1と受話子機2とが連動して動作する必要がある所定の操作ボタンが押下された場合に、受話子機2から親機1へ送信されるコマンドである。このように、制御部10は、受話子機2が親機1に載置されていない状態の場合に、受話子機2から第2連動要求を受信した場合には、使用者が通話等を行うための操作を親機1に対し行う可能性があると判断し、ロック状態を解除する。これにより、制御部10は、受話子機2が親機1に載置されていない状態の場合であっても、使用者の操作が予測される場合に適切にロック状態を自動的に解除し、操作性を向上させることができる。
【0027】
なお、制御部10は、第2子機の状態と独立して、ロック状態の解除のタイミングを決定する。具体的には、制御部10は、第2子機の収納部として機能する所定の充電装置から第2子機が取り外されたり、第2子機の操作部に対し任意の操作がなされた場合であっても、親機1のロック状態を解除しない。即ち、この場合、制御部10は、第2子機の状態が変化した場合であっても、次に親機1への操作が行われる必然性及び蓋然性が高くならないと判断し、ロック状態を解除しない。このようにすることで、制御部10は、ロック状態を不要に解除するのを抑制することができる。
【0028】
(処理フロー)
次に、第1実施形態で制御部10が実行する処理手順について説明する。以下では、まず、ロック状態でない場合の処理手順について説明した後、ロック状態における処理手順について説明する。以後で、「無線通信コマンド」とは、親機1、受話子機2、及び第2子機が相互に無線通信により授受するコマンドを指す。
【0029】
1.ロック状態でない場合
図2は、親機1がロック状態でない場合の制御部10の処理手順を示すフローチャートの一例である。制御部10は、図2に示すフローチャートの処理を、ロック状態でない場合に、所定の周期に従い繰り返し実行する。
【0030】
まず、制御部10は、親機1が待機状態であるか否か判定する(ステップS101)。ここで、「待機状態」とは、親機1が所定の動作を実行していない状態を指し、例えば、親機1が使用者による操作を受け付けていない状態であって、親機1が子機から第1連動要求又は第2連動要求、その他所定のコマンド等を受信していない状態を指す。
【0031】
そして、制御部10は、親機1が待機状態であると判断した場合(ステップS101;Yes)、親機1が待機状態になってから所定時間幅経過したか否か判定する(ステップS102)。上述の所定時間幅は、例えば1分であり、具体的には親機1を使用者が操作を完了したと判断される時間幅に実験等に基づき予め設定される。そして、制御部10は、親機1が待機状態になってから所定時間幅経過したと判断した場合(ステップS102;Yes)、親機1をロック状態に設定する(ステップS103)。即ち、この場合、制御部10は、親機1が操作されておらず、かつ、操作される可能性も低いと判断し、親機1をロック状態にする。これにより、制御部10は、誤操作等を防止することができる。
【0032】
一方、制御部10は、親機1が待機状態でない場合(ステップS101;No)、又は、親機1が待機状態になってから所定時間幅経過していない場合(ステップS102;No)、親機1が操作中、又は、継続して操作される可能性があると判断し、親機1をロック状態にしない。このようにすることで、制御部10は、親機1をロック状態にするタイミングを適切に設定することができる。
【0033】
2.ロック状態の場合
図3は、親機1がロック状態の場合に制御部10が実行する処理手順を示すフローチャートの一例である。制御部10は、図3に示すフローチャートの処理を、ロック状態の場合に、所定の周期に従い繰り返し実行する。
【0034】
まず、制御部10は、ロック解除ボタンが押下されたか否か判定する(ステップS201)。そして、制御部10は、ロック解除ボタンが押下されたと判断した場合(ステップS201;Yes)、ロック状態を解除する(ステップS202)。
【0035】
一方、制御部10は、ロック解除ボタンが押下されていないと判断した場合(ステップS201;No)、子機から無線通信コマンドを受信したか否か判定する(ステップS203)。そして、制御部10は、子機から無線通信コマンドを受信したと判断した場合(ステップS203;Yes)、ステップS204へ処理を進める。一方、制御部10は、子機から無線通信コマンドを受信していないと判断した場合(ステップS203;No)、フローチャートの処理を終了し、ロック状態を継続する。
【0036】
次に、制御部10は、受話子機2から無線通信コマンドを受信したか否か判定する(ステップS204)。そして、制御部10は、受話子機2から無線通信コマンドを受信した場合(ステップS204;Yes)、ステップS205へ処理を進める。一方、制御部10は、受話子機2から無線通信コマンドを受信していない場合(ステップS204;No)、フローチャートの処理を終了し、ロック状態を継続する。
【0037】
次に、制御部10は、第1又は第2連動要求を受信したか否か判定する(ステップS205)。そして、制御部10は、第1又は第2連動要求を受信したと判断した場合(ステップS205;Yes)、親機1への操作が行われる可能性が高いと判断し、ロック状態を解除する(ステップS202)。これにより、制御部10は、円滑に使用者の操作を受け付けることができる。一方、制御部10は、第1又は第2連動要求を受信していないと判断した場合(ステップS205;No)、フローチャートの処理を終了し、ロック状態を継続する。
【0038】
[第2実施形態]
第2実施形態では、第1実施形態に加え、制御部10は、親機1から電力の供給を受けて受話子機2が充電状態となっているか否か判定することで、オフフックがなされたか否か判定する。これにより、制御部10は、より迅速かつ確実にオフフックがなされたか否か判定する。以後では、第1実施形態と同様の部分については同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0039】
図4は、第2実施形態に係るコードレス電話機システム100Aの概略構成の一例を示す。図4に示すように、コードレス電話機システム100Aは、親機1が充電検出部15を備える点で、第1実施形態と異なる。
【0040】
充電検出部15は、親機1から受話子機2へ電力が供給されているか否か検出することで、受話子機2の充電が行われているか否か検出する。そして、充電検出部15は、その検出結果を、制御部10へ送信する。ここで、受話子機2の充電が行われている状態(「充電状態」と呼ぶ。)は、親機1に受話子機2が載置されている状態に対応し、受話子機2の充電が行われていない状態(「非充電状態」と呼ぶ。)は、親機1に受話子機2が載置されていない状態に対応する。従って、制御部10は、充電検出部15の検出結果に基づき、受話子機2が充電状態から非充電状態に遷移した場合に、オフフックがなされたと判断することが可能となる。従って、制御部10は、第1連動要求に加え、充電検出部15の検出結果に基づきオフフックがなされたか否かを判断することができる。また、制御部10は、充電検出部15の検出結果に基づきオフフックがなされたか否かを判断することで、第1連動要求を受信するよりも早期にオフフックがなされたか否か判断することができる。充電検出部15に基づき制御部10が実行する具体的な制御方法については、後述の処理フローのセクションで詳しく説明する。
【0041】
(処理フロー)
次に、第2実施形態で制御部10が実行する処理手順について説明する。まず、親機1がロック状態でない場合、第1実施形態の図2に示す処理手順と同様、親機1の待機状態が所定時間幅経過した場合にロック状態を設定する。
【0042】
次に、親機1がロック状態の場合について図5を参照して説明する。図5は、第2実施形態において、制御部10が実行する処理手順を示すフローチャートの一例である。制御部10は、図5に示す処理を、親機1がロック状態の場合に所定の周期に従い繰り返し実行する。
【0043】
まず、制御部10は、ロック解除ボタンが押下されたか否か判定する(ステップS301)。そして、制御部10は、ロック解除ボタンが押下されたと判断した場合(ステップS301;Yes)、ロック状態を解除する(ステップS302)。
【0044】
一方、制御部10は、ロック解除ボタンが押下されていないと判断した場合(ステップS301;No)、受話子機2が充電状態から非充電状態に遷移したか否か判定する(ステップS303)。そして、制御部10は、受話子機2が充電状態から非充電状態へ遷移したと判断した場合(ステップS303;Yes)、オフフックがなされた可能性が高いと判断し、受話子機2との連動の準備を行う(ステップS304)と共に、ロック状態を解除する(ステップS305)。上述したように、オフフックがなされた場合に、充電状態から非充電状態への遷移を検出するタイミングが、受話子機2から第1連動要求を受信するタイミングよりも早い。従って、制御部10は、充電状態から非充電状態への遷移を検出することで、オフフックがなされた場合に、受話子機2との連動準備及びロック状態の解除を迅速に行うことができる。
【0045】
次に、制御部10は、子機から無線通信コマンドを受信したか否か判定する(ステップS306)。具体的には、制御部10は、ステップS303で充電状態から非充電状態への遷移を検出後、所定時間幅以内に無線通信コマンドを受信したか否か判定する。上述の所定時間幅は、充電状態から非充電状態への遷移を検出後、第1連動要求を受信するまでに要する時間幅の最大値に実験等に基づき予め設定される。これにより、制御部10は、オフフックがなされたか否か確実に判断する。そして、制御部10は、子機から無線通信コマンドを受信したと判断した場合(ステップS306;Yes)、ステップS307へ処理を移行する。一方、制御部10は、子機から無線通信コマンドを受信していないと判断した場合(ステップS306;No)、親機1をロック状態に再設定する(ステップS310)と共に、受話子機2との連動準備をキャンセルする(ステップS311)。
【0046】
次に、制御部10は、子機から無線通信コマンドを受信したと判断した場合(ステップS306;Yes)、受話子機2から受信したか否か判定する(ステップS307)。そして、制御部10は、受話子機2から無線通信コマンドを受信したと判断した場合(ステップS307;Yes)、ステップS308へ処理を進める。一方、制御部10は、受話子機2から無線通信コマンドを受信していないと判断した場合(ステップS307;No)、第2子機が親機に載置されていた旨の警告を音声又は画像により出力する(ステップS309)。即ち、この場合、制御部10は、オフフックがあったのは、親機1に受話子機2と間違えて載置された第2子機が親機1から取り外されたことに起因すると判断する。これにより、制御部10は、第2子機が親機1に載置されたときに第2子機の充電が可能な場合であって、かつ、第2子機が受話子機2と間違えて親機1に載置された場合に、使用者にその旨を通知することができる。
【0047】
そして、制御部10は、受話子機2から無線通信コマンドを受信したと判断した場合(ステップS307;Yes)、第1連動要求を受信したか否か判定する(ステップS308)。即ち、制御部10は、ステップS306で受信した無線通信コマンドが連動要求を含むものであったか否か判定する。そして、制御部10は、連動要求を受信したと判断した場合(ステップS308;Yes)、ステップS303での充電状態に基づくオフフックの検出に誤りがないと判断し、フローチャートの処理を終了する。一方、制御部10は、連動要求を受信していないと判断した場合(ステップS308;No)、親機1をロック状態に再設定する(ステップS310)と共に、受話子機2との連動準備をキャンセルする(ステップS311)。即ち、この場合、制御部10は、ステップS303での充電状態に基づくオフフックの検出が誤検出であると判断する。
【0048】
一方、制御部10は、充電状態から非充電状態へ遷移していないと判断した場合(ステップS303;No)、受話子機2から第2連動要求を受信したか否か判定する(ステップS312)。そして、制御部10は、受話子機2から第2連動要求を受信したと判断した場合(ステップS312;Yes)、ロック状態を解除する(ステップS313)。即ち、このとき、制御部10は、受話子機2が親機1に載置されていない状態で親機1がロック状態になっており、受話子機2の外線発信ボタンの押下などに起因して受話子機2から第2連動要求が送信されたと判断し、ロック状態を解除する。これにより、制御部10は、受話子機2が親機1と離れた状態で親機1がロック状態になっている場合であっても、親機1を操作する可能性が高い場合にはロック状態を適切に解除することができる。一方、制御部10は、受話子機2から連動要求を受信していないと判断した場合(ステップS312;No)、フローチャートの処理を終了する。
【0049】
以上説明したように、本発明に係るコードレス電話機システム100、100Aは、親機1と、子機を載置可能な充電装置と、親機1と無線通信を行う受話子機2及び第2子機と、を備え、親機1は、操作を受け付けないロック状態に親機1を設定するロック状態設定手段と、受話子機2が親機1から取り外された場合、ロック状態を解除させ、第2子機が親機1または充電装置から取り外された場合、ロック状態を解除させないロック状態解除手段と、を備える。このようにすることで、コードレス電話機システム100、100Aは、使用者の操作が予測される場合に、適切にロック状態を解除させ、操作性を向上させることができる。
[変形例]
次に、上述の第1、第2実施形態の変形例について説明する。以下に示す変形例は、任意に組み合わせて第1、第2実施形態に適用してもよい。
【0050】
(変形例1)
第2実施形態では、制御部10は、受話子機2の充電状態の検出結果、及び、受話子機2から第1連動要求を受信したか否かに基づきオフフックがなされたか否か判断した。しかし、本発明が適用可能な方法はこれに限定されない。これに代えて、制御部10は、受話子機2の充電状態の検出結果のみに基づき、オフフックがなされたか否か判定してもよい。この場合、図5に示すフローチャートでは、制御部10は、ステップS303で受話子機2が充電状態から非充電状態へ遷移したと判断した場合、ステップS304で受話子機2との連動準備を行い、ステップS305でロック状態を解除した後フローチャートの処理を終了する。
【0051】
(変形例2)
第1、第2実施形態に加えて、コードレス電話機システム100、100Aは、幼児等による操作を防ぐため、第1連動要求、第2連動要求、又は受話子機2の充電状態の遷移によってロック状態が解除されないロック状態(以後、「チャイルドロック状態」と呼ぶ。)をさらに備えてもよい。例えば、制御部10は、所定の操作ボタンへの押下を検知した場合、チャイルドロック状態にすると共に、ロック解除ボタンが押下された場合にチャイルドロック状態を解除する。
【0052】
(変形例3)
第1、第2実施形態では、制御部10は、親機1の待機状態が所定時間幅継続した場合に親機1をロック状態に設定した。しかし、本発明が適用可能な方法はこれに限定されず、これに代えて、又は、これに加え、制御部10は、ロック状態を設定するための専用の操作ボタンの押下等、使用者による明示的なロック状態への指示を検出した場合に、ロック状態を設定してもよい。
【符号の説明】
【0053】
1 親機
2 受話子機
10、20 制御部
11、21 操作部
12、22 無線部
13 回線制御部
14 メモリ部
15 充電検出部
100、100A コードレス電話機システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
子機を載置可能な親機と、
前記子機が載置可能な載置装置と、
前記親機と無線通信行う第1子機及び第2子機と、
前記親機を、操作を受け付けないロック状態に設定するロック状態設定手段と、
前記第1子機が前記親機から取り外された場合、前記ロック状態を解除させ、前記第2子機が前記親機または前記載置装置から取り外された場合、前記ロック状態を解除させないロック状態解除手段を備えることを特徴とするコードレス電話機システム。
【請求項2】
前記ロック状態解除手段は、前記第1子機が前記載置装置から取り外された場合、前記ロック状態を解除させないことを特徴とする請求項1に記載のコードレス電話機システム。
【請求項3】
前記第1子機及び前記第2子機は、前記親機または前記載置装置のいずれにも載置可能であり、載置されることで充電されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のコードレス電話機システム。
【請求項4】
前記第1子機は、前記親機のための受話器として関連付けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のコードレス電話機システム。
【請求項5】
前記親機は、操作部を備え、
前記ロック状態設定手段は、前記ロック状態の場合、前記操作部に対する操作を無効にすることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載のコードレス電話機システム。
【請求項6】
前記ロック状態解除手段は、前記第1子機から送信される通信内容に基づき、前記第1子機が前記親機から取り外されたと判断することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載のコードレス電話機システム。
【請求項7】
前記第1子機は、前記親機に載置されることで充電状態となり、
前記ロック状態解除手段は、前記第1子機が充電状態から非充電状態に遷移した場合、前記第1子機が前記親機から取り外されたと判断することを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載のコードレス電話機システム。
【請求項8】
前記ロック状態設定手段は、前記親機の待機状態が所定時間幅継続した場合、前記ロック状態を設定することを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載のコードレス電話機システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−254290(P2011−254290A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−126628(P2010−126628)
【出願日】平成22年6月2日(2010.6.2)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【出願人】(000111878)パイオニアコミュニケーションズ株式会社 (44)
【Fターム(参考)】