説明

コード変換システム

【課題】コード変換処理においてエラーが発生した際に、エラーの原因箇所を特定しユーザに提示することができるコード変換システムを提供する。
【解決手段】所定のデータ様式情報及びデータ項目情報を記憶する手段と、前記データ様式情報及びデータ項目情報に基づいて、入力データのデータ様式及びデータ項目を解析する手段と、前記解析結果に基づいて、入力データ中の任意のデータ項目に制御コードを付加する手段と、前記制御コードが付加された入力データに対してコード変換を行う手段と、前記コード変換においてエラーが発生した場合に、前記データ様式情報及びデータ項目情報と前記制御コードとに基づいてエラー分析を行う手段と、前記エラー分析の結果を出力する手段とを有するコード変換システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コード体系の異なるコンピュータシステム間でデータ交換を行う際に用いられるコード変換システムに関し、特に、コード変換処理においてエラーが発生した際に、エラーの原因箇所を特定しユーザに提示することができるコード変換システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
コード体系の異なるコンピュータシステム間でデータを移動する際には、移動元コンピュータにおいてデータのコード変換を行った後に、コード変換されたデータを移動先コンピュータに移行させる。しかしながら、移動元コンピュータにおいてコード変換を完全に行うことができない場合もあり、この場合にはユーザにエラーメッセージが提示される。例えば、特許文献1参照に記載のコード変換処理方法では、入力情報に対して、構文規則違反、コード変換不能、文字長・数値の誤りといったエラーメッセージを返すこととしている。
【特許文献1】特開平5−88847
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
コード変換エラーが発生した場合、ユーザは入力データを精査し、コード変換エラーの原因や発生箇所を特定し、正しくコード変換されるように修正等を行うこととなる。ここで、上記した従来のコード変換処理方法では、どのような種類のエラーが発生したかを示すエラーメッセージが提示されるが、これらは上記作業を行うのに十分な情報であるとは言えない。
【0004】
そこで、本発明は、コード変換処理においてエラーが発生した際に、コード変換エラーの原因となったデータ項目や、データ中のコード変換不能箇所の相対位置などの情報をユーザに提示することができるコード変換システムを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記解決課題に鑑みて鋭意研究の結果、本発明者は、コード変換前データに対して各データ項目の属性に対応する制御コードを挿入しておき、この制御コードに従ってコード変換を行うことにより、コード変換エラー発生時にエラー箇所の切り分けや特定が容易となることに想到した。
【0006】
すなわち、本発明は、所定のデータ様式情報及びデータ項目情報を記憶する記憶手段と、前記データ様式情報及びデータ項目情報に基づいて、入力データのデータ様式及びデータ項目を特定する解析手段と、前記解析結果に基づいて、入力データ中の所定のデータ項目に制御コードを付加する制御コード付加手段と、前記制御コードが付加された入力データに対してコード変換を行うコード変換手段と、前記入力コードに対してコード変換不能となるエラーが発生した場合に、前記データ様式情報及びデータ項目情報と前記制御コードとに基づいてエラーを分析するエラー分析手段と、前記エラー分析の結果を出力する出力手段とを有するコンピュータから構成されるコード変換システムを提供するものである。
【0007】
本発明のコード変換システムにおいて、前記データ様式情報は、データ様式の種類及び名称に関する情報を含んでおり、前記データ項目情報は、各データ様式のデータ項目の種類、キー項目、項目名、項目長に関する情報を含んでいることを特徴とする。前記制御コード付加手段は、全角文字、半角文字及び数値のデータ項目それぞれに対応する制御コードを付加することを特徴とする。また、前記エラー分析手段は、エラーデータ、エラーが発生したデータのデータ様式、エラーとなったデータ項目の項目名、当該データ項目の入力データ中の位置を特定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
以上、説明したように、本発明のコード変換システムによれば、コード変換処理においてエラーが発生した際に、コード変換エラーの原因となったデータ項目や、データ中のコード変換不能箇所の相対位置などの情報をユーザに提示することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しながら、本発明のコード変換システムを実施するための最良の形態を詳細に説明する。図1〜図7は、本発明の実施の形態を例示する図であり、これらの図において、同一の符号を付した部分は同一物を表わし、基本的な構成及び動作は同様であるものとする。
【0010】
図1は、本発明の一実施形態に係るコード変換システムの内部構成を概略的に示すブロック図である。
図1において、このコード変換システムは、データ様式定義入力手段1、データ様式定義格納ファイル2、コード変換前ファイル3、コード変換処理部101、コード変換後ファイル6、コード変換エラーリスト8、データ移行処理部102を有している。コード変換処理部101は、データ様式分析手段4、コード変換手段5、コード変換エラー分析手段7を有している。
【0011】
データ様式定義入力手段1は、データ様式を定義する情報として、データ様式の種類、データ様式の名称、データ項目の項目名(日本語名)、データ項目の文字長、データ項目の種類等の入力を受け付ける。データ様式定義入力手段1により入力されたデータ様式定義は、データ様式定義格納ファイル2に格納される。データ様式定義格納ファイル2に格納されるデータ様式定義の具体例を図2示す。
【0012】
データ様式分析手段4は、データ様式定義格納ファイル2に格納されているデータ様式定義に基づいて、コード変換前ファイル3から入力されるコード変換対象データのデータ様式を分析し、コード変換対象データに対して制御コードを挿入する。コード変換手段5は、データ様式分析手段4から入力される制御コード挿入後のコード変換前データに対して、システムで予め定義されているコード体系の変換規則に従ったコード変換を行い、その結果データをコード変換後ファイル6に出力するとともに、コード変換エラーの情報を蓄積する。コード変換エラー分析手段7は、データ様式定義格納ファイル2に格納されているデータ様式定義に基づき、コード変換エラー情報の分析を行い、分析結果をコード変換エラーリスト8に出力する。
【0013】
図3は、図1に示すデータ様式分析手段4によるデータ様式の分析処理の流れを示すフローチャートである。図3において、データ様式分析手段4は、まず、データ様式定義格納ファイル2を参照して、対象データのデータ様式を判別し、各データ項目の項目長や項目種類を解析する(ステップ301)。次に、対象データに対して、各データ項目の属性に対応する制御コードを挿入する(ステップ302)。こうして得られた制御コード挿入後のコード変換前データを変換対象データとして蓄積する(ステップ303)。以上の処理を全ての対象データに対して実行する。
【0014】
図4は、図3のステップ302における制御コードの挿入例を示す図である。ここでは、
英数字項目a、2進数数値項目b、英数字項目c、全角日本語項目d…からなるコード変換前データに対して、2進数数値項目bの前後に無変換開始制御コード及び無変換終了制御コードを挿入し、全角日本語項目dの前後に全角開始制御コード及び全角終了制御コードを挿入している。
【0015】
図5は、図1に示すコード変換手段5によるコード変換処理の流れを示すフローチャートである。図5において、コード変換手段5は、まず、データ様式分析手段4から入力される制御コード挿入後のコード変換前データに対して、システムで予め定義されているコード体系の変換規則に従ったコード変換を行う(ステップ501)。ここで、コード変換の種類として、全角文字項目の変換、半角英数字項目の変換、無変換があり、コード変換対象データのうち、全角変換開始制御コード−全角変換終了制御コード間のデータについては全角文字変換を行い、無変換開始制御コード−無変換終了制御コード間のデータについて無変換とし、これら以外のデータについては半角英数字変換とする。
【0016】
ステップ501のコード変換処理において、変換エラーが発生した場合、コード変換手段5は、エラーが発生したデータのレコード番号、当該レコードのヘッダ(例えばキー情報を含むレコード先頭50バイト)、エラー発生箇所の相対位置(例えばレコード先頭からのバイト数)、エラー種別(半角変換エラー、全角変換エラー等)、コード変換前データ(16進表示)をコード変換エラー情報として蓄積する(ステップ502)。その後、コード変換後データを出力する(ステップ503)。ここで、データ中のコード変換不能であった部分については、変換不能を表す特定文字に置き換えて出力するものとする。出力されたコード変換後データは、コード変換後ファイル6に格納される。
【0017】
図6は、図1に示すコード変換エラー分析手段7によるコード変換エラー分析処理の流れを示すフローチャートである。図6において、コード変換エラー分析手段7は、まず、データ様式定義格納ファイル2に格納されているデータ様式定義を取得する(ステップ601)。次に、このデータ様式定義に基づき、コード変換手段5により蓄積されたコード変換エラー情報に含まれるエラーデータのデータ様式を判別する(ステップ602)。次に、データ様式定義における各データ項目の種類・文字長に基づき、コード変換エラー情報に含まれるエラー相対位置から、エラーとなったデータ項目名を特定する(ステップ603)。次に、データ様式定義における各データ項目の文字長に基づき、コード変換エラー情報に含まれるエラー相対位置から、データ内のエラー箇所を特定する(ステップ604)。以上のようにして分析された、コード変換エラーのデータ様式種類、データ項目名、エラー箇所、レコード内の相対位置、レコード番号、エラーデータ、キー項目等を、コード変換エラーリスト8として出力する(ステップ605)。こうして出力されるコード変換エラーリストの具体例を図7に示す。
【0018】
以上、本発明のコード変換システムについて、具体的な実施の形態を示して説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。当業者であれば、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、上記した実施形態に様々な変更・改良を加えることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0019】
本発明のコード変換システムは、図1に示すように、コンピュータのCPU、メモリ、補助記憶装置、入力デバイス等を含むハードウェア資源上に構築されたOS、アプリケーション、データベース、ネットワークシステム等によって実現されるものであり、コード変換処理及びコード変換エラー検出という情報処理が上記のハードウェア資源を用いて具体的に実現されるものであるから、自然法則を利用した技術的思想に該当するものであり、コンピュータ産業等において利用することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態に係るコード変換システムの内部構成を概略的に示すブロック図である。
【図2】図1に示すデータ様式定義格納ファイルに格納されるデータ様式定義の具体例を示す図である。
【図3】図1に示すデータ様式分析手段によるデータ様式の分析処理の流れを示すフローチャートである。
【図4】図1に示すデータ様式分析手段による変換対象データに対する制御コードの挿入例を示す図である。
【図5】図1に示すコード変換手段によるコード変換処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】図1に示すコード変換エラー分析手段によるコード変換エラー分析処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】図1に示すコード変換エラー分析手段により出力されるコード変換エラーリストの具体例を示すデータテーブルである。
【符号の説明】
【0021】
1 データ様式定義入力手段
2 データ様式定義格納ファイル
3 コード変換前ファイル
4 データ様式分析手段
5 コード変換手段
6 コード変換後ファイル
7 コード変換エラー分析手段
8 コード変換エラーリスト
101 コード変換処理部
102 データ移行処理部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定のデータ様式情報及びデータ項目情報を記憶する記憶手段と、
前記データ様式情報及びデータ項目情報に基づいて、入力データのデータ様式及びデータ項目を特定する解析手段と、
前記解析結果に基づいて、入力データ中の所定のデータ項目に制御コードを付加する制御コード付加手段と、
前記制御コードが付加された入力データに対してコード変換を行うコード変換手段と、
前記入力コードに対してコード変換不能となるエラーが発生した場合に、前記データ様式情報及びデータ項目情報と前記制御コードとに基づいてエラーを分析するエラー分析手段と、
前記エラー分析の結果を出力する出力手段とを有するコンピュータから構成されるコード変換システム。
【請求項2】
前記データ様式情報は、データ様式の種類及び名称に関する情報を含んでおり、
前記データ項目情報は、各データ様式のデータ項目の種類、キー項目、項目名、項目長に関する情報を含んでいることを特徴とする請求項1に記載のコード変換システム。
【請求項3】
前記制御コード付加手段は、全角文字、半角文字及び数値のデータ項目それぞれに対応する制御コードを付加することを特徴とする請求項1又は2に記載のコード変換システム。
【請求項4】
前記エラー分析を行う手段は、エラーデータ、エラーが発生したデータのデータ様式、エラーとなったデータ項目の項目名、当該データ項目の入力データ中の位置を特定することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のコード変換システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−3970(P2008−3970A)
【公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−174682(P2006−174682)
【出願日】平成18年6月26日(2006.6.26)
【出願人】(000152985)株式会社日立情報システムズ (409)