説明

コード読取装置およびコード読取りプログラム

【課題】携帯端末に画面表示されたコードをコードスキャナが読取れなかったときにその原因を的確に判断して知らせる。
【解決手段】POS端末装置1は、料金代行収納モードにおいてバーコードスキャナ6により携帯電話8に表示されているバーコードを読取る。そして、正しく読み込めていれば代行収納処理を実行する。また、正しく読み込めていなければ未読であることを液晶ディスプレイ3に表示してオペレータに通知する。そして、液晶ディスプレイに読取ったバーコードと同じコード体系の模擬バーコードを表示させる。この模擬バーコードをバーコードスキャナで読取る。そして、バーコードデータとして正しく読み込めていれば、液晶ディスプレイにバーコードスキャナが正常であることを表示する。また、正しく読み込めていなければ、バーコードスキャナに何らかの異常があることを表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、店舗内において商品の登録処理を行うPOS(ポイント・オブ・セールス)端末に適用されるコード読取装置およびコード読取りプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
コンビニエンスストア等では、クライアントから料金を収集する事業者などに代わって料金を収納する料金代行収納が行われている。すなわち、クライアントが持参した請求書に印刷されたバーコードをPOS端末などに接続されているスキャナを使用して読取り決済を行っていた。そして、最近では、クライアントが所持している携帯電話にメールでバーコードを送信し、携帯電話のディスプレスに表示されたバーコードをスキャナで読取って決済する決済システムも現れ、請求書等の用紙を不要にしている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2001−5883号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ディスプレイに表示されたバーコードは用紙に印刷されたバーコードに比べて白黒のレベル差が小さく、このため、ディスプレイに表示されたバーコードをスキャナで読取る場合、ディスプレイの画面状態によってはバーコードが読取れなくなる場合がある。また、バーコードが読取れなくなる原因はそれのみではなく、スキャナ側に問題がある場合もある。しかしながら、従来においては、ディスプレイに表示されたバーコードをスキャナで読取ることができなかった場合に、POS端末側ではその原因が携帯端末側にあるのか、POS端末側にあるのか的確に判断して知らせることができなかった。
【0004】
そこで、本発明は、携帯端末に画面表示されたコードをコードスキャナが読取れなかったときには、その原因が携帯端末側にあるのか、コード読取装置側にあるのかを的確に判断して知らせることができるコード読取装置およびコード読取りプログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、携帯端末に画面表示されたコードを読み込んだコードスキャナからコードを取込み、このコードスキャナがコードを正しく読み込んだか否かを判断する判断手段と、携帯端末に表示されているコードと同じ種類のコードを画面表示するディスプレイと、コードスキャナが携帯端末のコードを正しく読み込めたことを判断手段が判断するとそのコードに基づく処理を実行する処理実行手段と、判断手段が携帯端末のコードを正しく読み込めなかったことを判断するとそれを通知する通知手段と、通知手段による通知後において、ディスプレイに画面表示されているコードをコードスキャナが正しく読み込んだか否かの判断結果をディスプレイに表示する結果表示手段を備えたコード読取装置にある。
【0006】
また、本発明は、携帯端末に画面表示されたコードをセンサで読み込むコードスキャナと、携帯端末に表示されているコードと同じ種類のコードを画面表示するディスプレイと、コードスキャナがコードを正しく読み込んだか否かを判断する判断手段と、コードスキャナが携帯端末のコードを正しく読み込んだことを判断手段が判断するとそのコードに基づく処理を実行する処理実行手段と、判断手段が携帯端末のコードを正しく読み込めなかったことを判断するとそれを通知する通知手段と、通知手段による通知後において、ディスプレイに画面表示されているコードをコードスキャナが正しく読み込んだか否かの判断結果をディスプレイに表示する結果表示手段を備えたコード読取装置にある。
【0007】
また、本発明は、コンピュータを、携帯端末に画面表示されたコードを読み込んだコードスキャナからコードを取込み、このコードスキャナがコードを正しく読み込んだか否かを判断する判断手段と、携帯端末に表示されているコードと同じ種類のコードをディスプレイに画面表示させるコード表示手段と、コードスキャナが携帯端末のコードを正しく読み込めたことを判断手段が判断するとそのコードに基づく処理を実行する処理実行手段と、判断手段が携帯端末のコードを正しく読み込めなかったことを判断するとそれを通知する通知手段と、通知手段による通知後において、ディスプレイに画面表示されているコードをコードスキャナが正しく読み込んだか否かの判断結果をディスプレイに表示する結果表示手段として機能させるためのコード読取りプログラムにある。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、携帯端末に画面表示されたコードをコードスキャナが読取れなかったときには、その原因が携帯端末側にあるのか、コード読取装置側にあるのかを的確に判断して知らせることができるコード読取装置およびコード読取りプログラムを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の一実施の形態を、図面を参照して説明する。なお、この実施の形態は本発明をPOS端末装置に適用したものについて述べる。
【0010】
図1において、1はPOS端末装置で、このPOS端末装置1は、キーボード2、液晶ディスプレイ3、レシート発行口4、ドロワ5を前面に配置している。また、コードスキャナとしてバーコードを読取るバーコードスキャナ6を、リード線7を介して接続している。
【0011】
図3は制御部の構成を示すブロック図で、制御部本体を構成するCPU11、このCPU11が各部を制御するためのプログラムデータ等を格納したROM(リード・オンリー・メモリ)12、前記CPU11が登録処理するときのデータや演算データなどの処理データを格納するRAM(ランダム・アクセス・メモリ)13、前記キーボード2を制御してキー信号の取り込みを行うキーボードコントローラ14、前記液晶ディスプレイ3を制御して表示データの表示を行う表示コントローラ15を設けている。
【0012】
また、前記バーコードスキャナ6を制御してバーコードの取り込みを行うスキャナコントローラ16、前記ドロワ5を開放駆動するドロワ駆動部17、レシート用紙やジャーナル用紙への登録データ等の印字を行うプリンタ18を制御し、印字終了時にレシートを発行させるプリンタコントローラ19および上位機器との通信を行う通信インターフェース20を設けている。
【0013】
前記CPU11、ROM12、RAM13、キーボードコントローラ14、表示コントローラ15、スキャナコントローラ16、ドロワ駆動部17および通信インターフェース20は互いにバスライン21を介して電気的に接続されている。
【0014】
前記バーコードスキャナ6は、バーコードを読取るバーコード読取部61、このバーコード読取部61が読取ったバーコードデータを前記スキャナコントローラ16へ出力する出力部62を設けている。前記バーコード読取部61はレンズとセンサを使用してバーコードを検出するが、内部にセンサ感度調整部63とノイズ除去フィルタ64を設け、前記センサ感度調整部63によってセンサの利得を設定するとともに前記ノイズ除去フィルタ64によって検出データのノイズを除去するようになっている。
【0015】
前記バーコードスキャナ6は、携帯端末、例えば、携帯電話8のディスプレイ8aに表示されているバーコードや商品に印刷されたバーコードを読み込むように構成されている。そして、通常は、センサ感度およびノイズ除去フィルタ64の特性を、商品に印刷されたバーコードを読取るのに最適な値に設定しておき、携帯電話8のディスプレイ8aに表示されているバーコードを読取る場合には前記CPU11からのコマンドによって切替えるようにしている。
【0016】
前記CPU11は、ROM12に格納されているプログラムデータに基づいて、図4に示す業務を実行するようになっている。すなわち、モードスイッチの状態によって、S1にて、料金代行収納モードか通常の登録モードかを判断し、通常の登録モードであれば、S2にて、通常の登録モードの処理を行う。
【0017】
通常の登録モードの処理とは、顧客が買上げた商品の登録処理を言う。すなわち、バーコードスキャナ6で商品に付されたバーコードを読取ることで、読取ったバーコードを、通信インターフェース20を介して上位機器に問い合わせて該当する商品の、商品名、単価、部門コード等を受け取り、RAM13に設けた登録用メモリに売上金額や売上点数を累計し、また、商品名、単価、点数を液晶ディスプレイ3に表示すると共に印字データとしてRAM13のバッファに格納する。これを登録する商品分繰り返し、最後にキーボード2において登録の締め操作を行うことで、液晶ディスプレイ3に客が支払うべき合計金額を表示するとともにプリンタ18で一連の印字データをプリントアウトしてレシートを発行する。
【0018】
また、料金代行収納モードであれば、S3にて、料金代行収納モードの処理を行う。料金代行収納モードの処理とは、クライアントが所持している携帯電話8のディスプレイ8aに表示されている決済のためのバーコードをバーコードスキャナ6で読取って決済を事業者に代わって行う処理である。この料金代行収納モードでは、バーコードスキャナ6にモード変更コマンドを送信する。
【0019】
前記バーコードスキャナ6は、CPU11からモード変更コマンドを受信すると、センサ感度調整部63によりセンサ感度を高くし、また、ノイズ除去フィルタ64の特性を携帯電話8からのバーコードの読み取りに合うように変化させる。
この状態で店側のオペレータは、バーコードスキャナ6を携帯電話8のディスプレイ8aに当ててバーコードを読取る操作を行う。
【0020】
CPU11は、スキャナコントローラ16から読取ったバーコードデータを取込み、S4にて、バーコードデータとして正しく読み込めたか否かをチェックする(判断手段)。バーコードデータとして正しく読み込めていれば、S5にて、代行収納処理を実行する(処理実行手段)。
【0021】
また、バーコードデータとして正しく読み込めていなければ、S6にて、未読であることを液晶ディスプレイ3に表示してオペレータに通知する(通知手段)。なお、ブザーで通知しても良い。
【0022】
また、この時、液晶ディスプレイ3に、図2に示すように、読取ったバーコードと同じコード体系の模擬バーコード3aを表示させる。
この状態で店側のオペレータは、バーコードスキャナ6を液晶ディスプレイ3に表示されている模擬バーコード3aに当ててバーコードを読取る操作を行う。
【0023】
CPU11は、スキャナコントローラ16から読取ったバーコードデータを取込み、S7にて、バーコードデータとして正しく読み込めたか否かをチェックする(判断手段)。バーコードデータとして正しく読み込めていれば、S8にて、液晶ディスプレイ3にバーコードスキャナ6が正常であることを表示する(結果表示手段)。また、バーコードデータとして正しく読み込めていなければ、S9にて、バーコードスキャナ6に何らかの異常があることを表示する(結果表示手段)。
【0024】
このような構成においては、クライアントが所持している携帯電話8を使用して料金の支払いを申し出たときには、店側のオペレータは、POS端末装置1のモード切替え操作を行って通常の登録モードから料金代行収納モードに切替える。これにより、バーコードスキャナ6のセンサ感度およびノイズフィルタの特性が携帯電話8からのバーコード読み取りに合うように変更される。
【0025】
オペレータはバーコードスキャナ6をクライアントが所持している携帯電話8のバーコード表示面に当てる。そして、携帯電話8のバーコードが正しく読取れたときには、そのまま代行収納処理へ移行して処理を行う。
【0026】
しかし、携帯電話8のバーコードが正しく読取れなかったときには、液晶ディスプレイ3に未読を表示してオペレータに読取れなかったことが通知される。このとき、液晶ディスプレイ3には読取ったバーコードと同じコード体系の模擬バーコード3aが表示される。
【0027】
これにより、オペレータは、バーコードスキャナ6を液晶ディスプレイ3に表示されている模擬バーコード3aに当ててバーコードを読取る操作を行う。そして、この模擬バーコード3aが正しく読取ることができれば、オペレータは携帯電話8のディスプレイ8aに汚れなどの異常があって読取れないと判断できる。また、この模擬バーコード3aが正しく読取ることができなければ、オペレータはバーコードスキャナ6に何らかの異常があって読取れないと判断できる。
【0028】
このように、POS端末装置1は、料金代行収納モードにおいて、携帯電話8のディスプレイ8aに画面表示されたバーコードをバーコードスキャナ6によって読取れなかったときには、その原因が携帯電話8側にあるのか、バーコードスキャナ6側にあるのか、的確に判断してオペレータに知らせることができる。
【0029】
なお、この実施の形態では、料金代行収納モードにおいてCPU11からバーコードスキャナ6にモード変更コマンドを送信してセンサ感度を高くし、また、ノイズ除去フィルタ64の特性を携帯電話8からのバーコードの読み取りに合うように変化させたが必ずしもこれに限定するものではなく、図1に示すように、バーコードスキャナ6の側部に設定切替えスイッチ6aを設け、この設定切替えスイッチ6aを操作することでセンサ感度を高くし、また、ノイズ除去フィルタ64の特性を変化させるようにしてもよい。
【0030】
また、この実施の形態では、通常はセンサ感度およびノイズ除去フィルタの特性を商品に印刷されたバーコードを読取るのに最適な値に設定しておき、携帯電話に表示されているバーコードを読取る場合にセンサ感度およびノイズ除去フィルタの特性を切替えるようにしたが、必ずしもこれに限定するものではなく、逆に、通常は、センサ感度およびノイズ除去フィルタの特性を携帯電話に表示されているバーコードを読取るのに最適な値に設定しておき、商品に印刷されたバーコードを読取る場合にセンサ感度およびノイズ除去フィルタの特性を切替えるようにしてもよい。
なお、この実施の形態は、本発明をPOS端末装置に適用したものについて述べたがこれに限定するものではなく、電子式秤や他の決済システムにも適用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の一実施の形態を示す斜視図。
【図2】同実施の形態におけるPOS端末装置の液晶ディスプレイに模擬バーコードを表示した状態を示す図。
【図3】同実施の形態におけるPOS端末装置の制御部の構成を示すブロック図。
【図4】同実施の形態におけるPOS端末装置のCPUによる要部処理を示す流れ図。
【符号の説明】
【0032】
1…POS端末装置、3…液晶ディスプレイ、6…バーコードスキャナ、8…携帯電話、11…CPU。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯端末に画面表示されたコードを読み込んだコードスキャナからコードを取込み、このコードスキャナがコードを正しく読み込んだか否かを判断する判断手段と、
前記携帯端末に表示されているコードと同じ種類のコードを画面表示するディスプレイと、
前記コードスキャナが携帯端末のコードを正しく読み込めたことを前記判断手段が判断するとそのコードに基づく処理を実行する処理実行手段と、
前記判断手段が携帯端末のコードを正しく読み込めなかったことを判断するとそれを通知する通知手段と、
前記通知手段による通知後において、前記ディスプレイに画面表示されているコードを前記コードスキャナが正しく読み込んだか否かの判断結果を前記ディスプレイに表示する結果表示手段と、
を備えたことを特徴とするコード読取装置。
【請求項2】
携帯端末に画面表示されたコードをセンサで読み込むコードスキャナと、
このコードスキャナがコードを正しく読み込んだか否かを判断する判断手段と、
前記携帯端末に表示されているコードと同じ種類のコードを画面表示するディスプレイと、
前記コードスキャナが携帯端末のコードを正しく読み込めたことを前記判断手段が判断するとそのコードに基づく処理を実行する処理実行手段と、
前記判断手段が携帯端末のコードを正しく読み込めなかったことを判断するとそれを通知する通知手段と、
前記通知手段による通知後において、前記ディスプレイに画面表示されているコードを前記コードスキャナが正しく読み込んだか否かの判断結果を前記ディスプレイに表示する結果表示手段と、
を備えたことを特徴とするコード読取装置。
【請求項3】
ディスプレイは、コードスキャナによるコード読込み時に、複数のコードを所定の時間間隔で順次表示させることを特徴とする請求項1又は2記載のコード読取装置。
【請求項4】
携帯端末に画面表示するコードをバーコートとし、ディスプレイに画面表示するコードを前記携帯電話に表示したバーコードと同じ体系のバーコードとしたことを特徴とする請求項1又は2記載のコード読取装置。
【請求項5】
携帯端末に画面表示するコードをバーコートとし、
コードスキャナは、ノイズ除去フィルタを備え、前記携帯端末に画面表示されたバーコードを読み込むときと、印刷されたバーコードを読み込むときとで、センサ感度および前記ノイズ除去フィルタ特性を変化させることを特徴とする請求項2記載のコード読取装置。
【請求項6】
コードスキャナにおけるセンサ感度およびノイズ除去フィルタ特性の変化は、このコードスキャナに付加したスイッチ操作で行うことを特徴とする請求項5記載のコード読取装置。
【請求項7】
コンピュータを、
携帯端末に画面表示されたコードを読み込んだコードスキャナからコードを取込み、このコードスキャナがコードを正しく読み込んだか否かを判断する判断手段と、
前記携帯端末に表示されているコードと同じ種類のコードをディスプレイに画面表示させるコード表示手段と、
前記コードスキャナが携帯端末のコードを正しく読み込めたことを前記判断手段が判断するとそのコードに基づく処理を実行する処理実行手段と、
前記判断手段が携帯端末のコードを正しく読み込めなかったことを判断するとそれを通知する通知手段と、
前記通知手段による通知後において、前記ディスプレイに画面表示されているコードを前記コードスキャナが正しく読み込んだか否かの判断結果を前記ディスプレイに表示する結果表示手段として機能させるためのコード読取りプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−172347(P2007−172347A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−370137(P2005−370137)
【出願日】平成17年12月22日(2005.12.22)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】