説明

コーナコンベヤ

【課題】 長尺、軽量の被搬送材の搬送方向を安定して変換することができるコンパクトで簡単な構造のコーナコンベヤを提供する。
【解決手段】 本発明のコーナコンベヤ1は、搬入コンベヤと搬出コンベヤを斜めに横切るように配置される短寸の基端側コンベヤ37と、搬入コンベヤと搬出コンベヤを斜めに横切るように配置される長寸の自由端側コンベヤ39と、基端側コンベヤ37に対して短寸の所定ピッチP1で配置され、被搬送材Aの基端側の部位を保持する基端ガイド41と、自由端側コンベヤ39に対して長寸の所定ピッチP2で配置され、被搬送材Aの自由端側の部位を保持する自由端ガイド43と、を具備している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交差配置された搬入コンベヤと搬出コンベヤのコーナ部に適用される搬送方向変換用のコーナコンベヤに係り、特に紙管のように長尺且つ軽量の被搬送材の搬送に適したコーナコンベヤに関する。
【背景技術】
【0002】
トイレットペーパー用の芯材等に適用される紙管は、スパイラル機と呼ばれている紙管製造装置を使用して製造される。スパイラル機によって製造された紙管は、例えば管径が約38mm、長さが約3mの長尺且つ軽量の円筒状部材である。
そして、スパイラル機101によって製造された紙管Aは、図10に示すように長手方向に沿って搬出され、例えば工場建屋103の奥行方向Dに延びるように配設されている搬送コンベヤ105に移載されて搬送される。
【0003】
搬送コンベヤ105の終端には、前記搬送コンベヤ105の搬送方向と直交する間口方向Wに延びるように配設されている移送コンベヤ107の一端が接続されている。また、前記移送コンベヤ107の他端には、工場建屋103の奥行方向Dに延びるように配設されている別の搬送コンベヤ109の始端が接続されている。
そして、前記搬送コンベヤ109の終端には、搬送されて来た紙管Aの外周面にトイレットペーパーを巻き付ける巻付け装置111が配設されており、更に所定のサイズに切断する図示しない切断装置や包装装置による加工工程を経て製品となる。
【0004】
このうち、前記移送コンベヤ107は、スパイラル機101と巻付け装置111の処理能力に差があることから、スパイラル機101によって製造された紙管Aを複数の巻付け装置111に供給するために紙管Aを搬送する役割を有している。
そして、前記移送コンベヤ107は、搬送コンベヤ105によって搬送されて来た紙管Aの姿勢を維持した状態で、すなわち、搬送コンベヤ105の搬送方向のまま直交する方向へ搬送するため幅広の(奥行方向Dに長い)構造を有していた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、移送コンベヤ107が幅広の構造であると、工場建屋103の作業スペースが狭まり、効率的な装置、コンベヤの配置が難しくなる。
一方、重量物の被搬送材に対しては、被搬送材の一端面を突当て面に突き当てて被搬送材の搬送方向を変換する装置が存在するが、長尺且つ軽量の紙管に前記装置を適用しても、被搬送材の安定した搬送方向の変換を実現することはできない。
【0006】
本発明は、このような点に基づいてなされたものでその目的とするところは、紙管のように長尺且つ軽量の被搬送材であっても、安定して搬送方向を変換することができ、工場建屋内の作業スペースの拡大に寄与し得る簡単な構造で安価なコーナコンベヤを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するべく本発明の請求項1によるコーナコンベヤは、交差配置された搬入コンベヤと搬出コンベヤのコーナ部に適用される搬送方向変換用のコーナコンベヤにおいて、前記コーナコンベヤは、前記搬入コンベヤと搬出コンベヤを斜めに横切るように配置される短寸の基端側コンベヤと、前記搬入コンベヤと搬出コンベヤを斜めに横切るように配置される長寸の自由端側コンベヤと、前記基端側コンベヤに対して短寸の所定ピッチで配置され被搬送材の基端側の部位を保持し被搬送材の送り方向と交差する長手方向の移動を規制する基端ガイドと、前記自由端側コンベヤに対して長寸の所定ピッチで配置され被搬送材の自由端側の部位を保持し被搬送材の送り方向と交差する長手方向の移動を可能とする自由端ガイドと、を具備したことを特徴とするものである。
【0008】
また、請求項2によるコーナコンベヤは、請求項1記載のコーナコンベヤにおいて、前記基端側コンベヤと自由端側コンベヤは、チェーンコンベヤによって構成されていることを特徴とするものである。
【0009】
また、請求項3によるコーナコンベヤは、請求項1または2記載のコーナコンベヤにおいて、前記基端ガイドは、正面視V字形状を有するガイド片と、前記ガイド片の被搬送材との接触面に設けられ被搬送材との間の摩擦係数を大きく設定された摩擦部材と、を具備し、前記自由端ガイドは、正面視V字形状を有するガイド片と、前記ガイド片の基端部に設けられ被搬送材との間の摩擦係数を小さく設定された支持部材と、を具備したことを特徴とするものである。
【0010】
また、請求項4によるコーナコンベヤは、請求項3記載のコーナコンベヤにおいて、前記摩擦部材は板状のゴムパッドによって構成され、前記支持部材は被搬送材の送り方向と交差する長手方向の移動を案内するガイドローラによって構成されていることを特徴とするものである。
【0011】
また、請求項5によるコーナコンベヤは、請求項1〜4のいずれかに記載のコーナコンベヤにおいて、前記コーナコンベヤの最大搬送方向変換角度は、90°であることを特徴とするものである。
【0012】
また、請求項6によるコーナコンベヤは、請求項1〜5のいずれかに記載のコーナコンベヤにおいて、前記被搬送材は、紙管であることを特徴とするものである。
【0013】
そして、前記手段によって以下のような作用が得られる。まず、搬入コンベヤと搬出コンベヤを斜めに横切るように基端側コンベヤと自由端側コンベヤを配置し、基端側コンベヤには短寸の所定ピッチで被搬送材の送り方向と交差する長手方向の移動を規制する基端ガイドを配置し、一方、自由端側コンベヤには長寸の所定ピッチで被搬送材の送り方向と交差する長手方向の移動を可能とする自由端ガイドを配置したことによって、搬入コンベヤによって搬送されて来た被搬送材を徐々に傾けて行き、所望の搬送方向に変換して搬出コンベヤに受け渡すことが可能になる。
また、同様の構成のコーナコンベヤを2基、配設することによって被搬送材の搬送姿勢を元の姿勢に戻して他の搬送コンベヤに被搬送材を受け渡すことが可能になる。
【0014】
また、前記基端側コンベヤと自由端側コンベヤをチェーンコンベヤによって構成した場合には、コーナコンベヤを直線状のチェーンコンベヤのみで構成し、その構造を簡単にでき、軽量、コンパクトなコーナコンベヤを提供できるようになる。
【0015】
また、基端ガイドを正面視V字形状のガイド片によって構成し、被搬送材との接触面に摩擦係数の大きな摩擦部材を設けた場合には、被搬送材はガイド片によって幅方向の移動が規制された状態で保持され、一方、摩擦部材との摩擦力によって被搬送材は長手方向の移動が規制された状態で保持される。また、自由端ガイドを正面視V字形状のガイド片と、前記ガイド片の基端部に設けられるガイドローラとを具備することによって構成した場合には、被搬送材はガイド片との間に隙間ができ、その隙間の範囲で幅方向の移動が可能になる。また、ガイドローラの転動によって被搬送材の長手方向の移動も可能になる。従って、被搬送材は前記基端ガイドとの当接位置を支点として、自由端ガイドの前記隙間の範囲で自由に回動できる。よって、円滑な搬送方向の変換が実現される。
【0016】
また、摩擦部材は板状のゴムパッドによって構成され、前記支持部材は被搬送材の送り方向と交差する長手方向の移動を案内するガイドローラによって構成されている場合には、被搬送材の基端側を長手方向の移動が規制された状態に確実に保持でき、被搬送材の自由端側をガイドローラの転動によって被搬送材の長手方向の移動が可能となり、従って、被搬送材は前記基端ガイドとの当接位置を支点として、自由端ガイドの前記隙間の範囲で自由に回動できる。よって、正確な位置と方向を保って円滑な搬送方向の変換が実現される。
【0017】
また、コーナコンベヤの最大搬送方向変換角度を90°に設定した場合には、単一のコーナコンベヤによって0°〜90°の範囲の搬送方向変換角度に対応でき、複数基のコーナコンベヤの組み合わせや、搬送方向の反転等によって90°〜180°、180°〜270°、270°〜360°の全周を通じての搬送方向の変換に対応できるようになる。
また、被搬送材として紙管を採用した場合には、確実な紙管の受け渡しと、安定した紙管の搬送方向の変換とが可能になる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によるコーナコンベヤによると、紙管のように長尺且つ軽量の被搬送材であっても、安定して搬送方向を変換することができ、コーナコンベヤの占有スペースの減少によって工場建屋内の作業スペースを拡大して、より効率的な装置、コンベヤのレイアウトの変更が可能になる。
また、構造が簡単で安価なため、設備コストの削減にも寄与し得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図示の実施の形態を例にとって、本発明を実施するための最良の形態を説明する。図1は本発明のコーナコンベヤを適用した紙管の搬送ラインの一例を示す平面図、図2は図1中のA−A拡大断面図、図3はコーナコンベヤ周辺の拡大平面図、図4は基端側コンベヤを示す正面図、図5は図4中のB部の拡大図、図6は基端ガイドを示す拡大正面図、図7は自由端側コンベヤを示す正面図、図8は図7中のC部の拡大図、図9は自由端ガイドを示す拡大正面図である。
【0020】
図1に示す紙管の搬送ラインLは、工場建屋3内に被搬送材の一例である紙管Aを製造するスパイラル機5と、スパイラル機5によって製造された紙管Aを長手方向に沿うように工場建屋3の奥行方向Dに搬送する第1搬送コンベヤ7と、第1搬送コンベヤ7の終端に配設されている後述する本発明のコーナコンベヤ1Aと、該コーナコンベヤ1Aの搬出位置に始端が接続され、工場建屋3の間口方向Wに紙管Aを移送する移送コンベヤ9と、該移送コンベヤ9の終端に搬入位置が接続されている後述する本発明の別の1基のコーナコンベヤ1Bと、該コーナコンベヤ1Bの搬出位置に始端が接続され、工場建屋3の奥行方向Dに紙管Aを搬送する第2搬送コンベヤ11と、該第2搬送コンベヤ11の終端に設けられている巻付け装置13とを備えることによって構成されている。
また、前記第1搬送コンベヤ7の始端には図2に示す振分け装置15が設けられている。
【0021】
スパイラル機5は、長尺な薄紙を水溶性の接着剤を使用して巻いて行く装置で、本実施の形態では一例として管径が約38mm、長さが約3mの紙管Aが製造される。
第1搬送コンベヤ7、移送コンベヤ9、第2搬送コンベヤ11は幅狭なベルトコンベヤによって一例として構成されており、これらのコンベヤ7、9、11によって紙管Aは長手方向に沿って搬送ないし移送される。
尚、第1搬送コンベヤ7は、後述するプール21の数に対応して3基設けられており、これら3基のコンベヤが3列、幅方向に並設されている。
【0022】
巻付け装置13は、紙管Aの外周面にトイレットペーパーを所定量巻き付ける装置である。そして、トイレットペーパーが巻き付けられた紙管Aは、図示しない切断工程において所定のサイズに切断され、更に包装工程等を経て製品として出荷される。
振分け装置15は、前記スパイラル機5の処理能力が前記巻付け装置13の処理能力を上回っているため、一時的に製造された紙管Aを一例として3列に振り分けて多くの数の紙管Aを複数の巻付け装置13に供給できるようにするための装置である。
【0023】
具体的には、図2に示すようにスパイラル機5によって製造された紙管Aは、垂直コンベヤ17によって上方に搬送され、投入シュート19上を転がって、第1プール21A、第2プール21B、第3プール21Cのいずれかに収容される。
尚、第1プール21A、第2プール21B、第3プール21Cの切り換えは、第1シリンダ23によってシフトされる第1ゲート25と、第2シリンダ27によってシフトされる第2ゲート29によって行われており、第1ゲート25がアップ状態の時、紙管Aは第1プール21Aに収容され、第1ゲート25がダウン状態、第2ゲート29がアップ状態の時、紙管Aは第2プール21Bに収容される。また、第1ゲート25と第2ゲート29が共にダウン状態の時に第3プール21Cに紙管Aは収容される。尚、符号31で示す部材はガイドカバーであり、各プール21A、21B、21Cからの紙管Aの脱落を防止している。
【0024】
本発明のコーナコンベヤ1は、交差配置された搬入コンベヤと搬出コンベヤのコーナ部33に適用される搬送方向変換用のコンベヤである。本実施の形態では、第1コーナコンベヤ1Aと第2コーナコンベヤ1Bの2基のコーナコンベヤ1が配設されており、これら2基のコーナコンベヤ1A、1Bによって紙管Aの搬送方向を奥行方向Dから間口方向Wに90°変換し、間口方向Wから奥行方向Dに同じく90°変換するようにしている。
【0025】
因みに、第1コーナコンベヤ1Aが適用されるコーナ部33Aは、直交配置された第1搬送コンベヤ7(搬入コンベヤとなる)と移送コンベヤ9(搬出コンベヤとなる)のコーナ部となり、第2コーナコンベヤ1Bが適用されるコーナ部33Bは、直交配置された移送コンベヤ(搬入コンベヤとなる)と第2搬送コンベヤ11(搬出コンベヤとなる)のコーナ部となる。
【0026】
以下、第1コーナコンベヤ1Aを例にとって、本発明のコーナコンベヤ1の構成を図面に基づいて具体的に説明する。本発明のコーナコンベヤ1は、搬入コンベヤである前記第1搬送コンベヤ7と搬出コンベヤである前記移送コンベヤ9を斜めに横切るように配置される短寸の基端側コンベヤ37と、前記第1搬送コンベヤ7と移送コンベヤ9を斜めに横切るように配置される長寸の自由端側コンベヤ39と、前記基端側コンベヤ37に対して短寸の所定ピッチP1で配置され、紙管Aの基端側の部位を保持する基端ガイド41と、前記自由端側コンベヤ39に対して長寸の所定ピッチP2で配置され、紙管Aの自由端側の部位を保持する自由端ガイド43と、を具備することによって基本的に構成されている。
【0027】
基端側コンベヤ37は、図3、4に示すような短寸のコンベヤであり、第1搬送コンベヤ7及び移送コンベヤ9に対して45°の角度で、両コンベヤ7、9が交差するコーナ部33A寄りの部位に設けられている。
具体的には、チェーンコンベヤによって基端側コンベヤ37は構成されており、駆動源である駆動モータ45と減速機47、減速機47の出力軸に接続される駆動スプロケット49と従動スプロケット51、そして駆動スプロケット49及び従動スプロケット51間に巻回されるチェーン53とを備えることによって構成されている。
【0028】
自由端側コンベヤ39は、図3、7に示すように前記基端側コンベヤ37の3倍程度の長さを有する長寸のコンベヤであり、前記基端側コンベヤ37と同様、第1搬送コンベヤ7及び移送コンベヤ9に対して45°の角度で、両コンベヤ7、9が交差するコーナ部33Aから離間した部位に設けられている。勿論、前記基端側コンベヤ37と自由端側コンベヤ39との間の距離Eは搬送中、紙管Aが脱落しない距離に設定されている。
自由端側コンベヤ39は、前記基端側コンベヤ37と同様、チェーンコンベヤによって構成されており、同じく駆動モータ55、減速機57、駆動スプロケット59、従動スプロケット61、チェーン63とを備えることによって構成されている。
【0029】
基端ガイド41は、図6に示すように正面視V字形状を有する平板状のガイド片67によって基本的に構成されており、紙管Aとの接触面となる内側縁部には摩擦係数の大きな一例としてウレタンゴム製の摩擦部材となる板状のゴムパッド69が内側に張り出すように設けられている。
そして、前記基端ガイド41によって基端側の部位が保持された紙管Aは、その外周面の少なくとも2点が前記ゴムパッド69に当接することによって幅方向及び長さ方向の移動が規制され、前記ゴムパッド69との当接点付近を支点とする揺動運動のみが可能な状態になっている。
【0030】
自由端ガイド43は、図9に示すように正面視V字形状を有する平板状のガイド片73と、前記ガイド片73の基端部に設けられ、紙管Aの送り方向と交差する長手方向の移動を案内する支持部材となるガイドローラ75と、を具備することによって基本的に構成されている。
そして、前記ガイド片73の基端部に設けたガイドローラ75によって紙管Aを受け入れるガイド片73の内側縁部間の間隔Sが広がるため、当該紙管Aはガイド片73の左右に設けられる内側縁部の一方のみに当接し、他方の内側縁部との間に形成される隙間の範囲で幅方向に移動できるようになっている。しかも、ガイドローラ75によって紙管Aとの間の摩擦は転がり摩擦となって摩擦係数が小さく設定されているから、紙管Aの送り方向と交差する長手方向に自由に移動できるようになっている。
【0031】
また、前記基端ガイド41が設けられる所定のピッチP1と前記自由端ガイド43が設けられる所定のピッチP2は、紙管Aが図3に示すようにコーナ部33Aを支点として徐々に傾き、搬送方向が段階的に変換されるような寸法に設定されている。
同様に基端側コンベヤ37と自由端側コンベヤ39の搬送速度も前記紙管Aの円滑な搬送方向の変換が実行される速度に設定されており、これら2基のコンベヤ37、39は互いに連動して同期運転されるように制御盤85によって駆動タイミングが取られている。
【0032】
次に、このようにして構成される本実施の形態に係るコーナコンベヤ1の作用を図1に示す紙管の搬送ラインLに基づいて説明する。
スパイラル機5によって製造された紙管Aは、垂直コンベヤ17によって上方に搬送されて振分け装置15に供給される。振分け装置15では上述した第1ゲート25と第2ゲート29のアップ状態とダウン状態の切り換えによって、3つのプール21A、21B、21Cに順次、紙管Aがプールされて行く。
【0033】
そして、3つのプール21A、21B、21Cにプールされた紙管Aは、それぞれのプール21A、21B、21Cから延びる3基の第1搬送コンベヤ7A、7B、7Cによって図1中、下方の奥行方向Dの前方に向けて搬送される。
前記第1搬送コンベヤ7A、7B、7Cの終端には、図4、7に示すような移載シュート79が設けられており、第1搬送コンベヤ7から移載シュート79に供給された紙管Aは、送り装置81によって1本ずつ斜め上方に押し出され、本発明のコーナコンベヤ1の基端側コンベヤ37における始端位置に存する基端ガイド41と、自由端側コンベヤ39における始端位置に存する自由端ガイド43とに落とし込まれてそれぞれ保持される。
【0034】
一組の基端ガイド41と自由端ガイド43によって保持された紙管Aは、第2コーナコンベヤ1Bの近傍に配設されている制御盤85から指令を受けて回転制御された基端側コンベヤ37と自由端側コンベヤ39から搬送力を受け、コーナ部33を中心にして図3に示すように反時計方向に回動し、徐々に傾斜して行く。
【0035】
上記作用を詳しく説明すると、まず、基端ガイド41は正面視V字形状のガイド片67によって構成され、紙管Aとの接触面に摩擦係数の大きな摩擦部材69が設けられていることで、紙管Aはガイド片67によって幅方向の移動が規制された状態で且つ摩擦部材69との摩擦力によって長手方向の移動が規制された状態で搬送される。
【0036】
一方、自由端ガイド43は正面視V字形状のガイド片73と、前記ガイド片の基端部に設けられるガイドローラ75とを具備することによって構成されているので、紙管Aはガイド片73との間に隙間ができ、その隙間の範囲で幅方向の移動が可能で、且つ、ガイドローラ75の転動によって長手方向の移動が可能な状態で搬送される。
【0037】
つまり、紙管Aは前記基端ガイド41との当接位置を支点としてほとんど位置を変えることなく移動し、自由端ガイド43では長手方向に自由に位置を変えながら移動する。これにより、紙管Aの円滑な搬送方向の変換が実現される。
【0038】
尚、上記作用は、搬送速度が早い場合、例えばタクトタイムが2.2秒程度の比較的早い速度に設定された場合でも確実に行われ、正確な位置に短時間のうちに搬送することが可能となる。
【0039】
前記一組の基端ガイド41と自由端ガイド43が基端側コンベヤ37と自由端側コンベヤ39の終端に達すると、当該紙管Aの搬送方向が90°変換されて、奥行方向Dの前方から間口方向Wの右方となり、この位置で下方に配置されている移送コンベヤ9に移載される。
【0040】
そして、以下同様に後続の各組の基端ガイド41と自由端ガイド43に次々に紙管Aが連続的に供給され、移送コンベヤ9に向けて搬送される。
移送コンベヤ9に供給された紙管Aは、間口方向Wの右方に向けて搬送され、第2コーナコンベヤ1Bの存する移送コンベヤ9と第2搬送コンベヤ11とのコーナ部33Bに至る。
【0041】
移送コンベヤ9の終端に達した紙管Aは、第2コーナコンベヤ1Bにおける基端ガイド41と自由端ガイド43によって保持され、前記第1コーナコンベヤ1Aと同様、搬送方向が90°変換されて奥行方向Dに沿った終端位置に至る。
そして、当該終端位置の下方に配置されている第2搬送コンベヤ11上に移載され、当該第2搬送コンベヤ11によって巻付け装置13が配置されている奥行方向Dの前方の終端位置に向けて搬送される。
【0042】
以上、本実施の形態によると次のような効果を奏することができる。
まず、紙管Aのように搬送方向の変換が難しい長尺且つ軽量な被搬送材であっても、正確に安定して搬送方向を変換することができ、搬入コンベヤによって搬送されて来た紙管Aを徐々に傾けて行き、所望の搬送方向に変換して搬出コンベヤに受け渡すことが可能になる。
また、同様の構成のコーナコンベヤを2基、配設することによって紙管Aの搬送姿勢を元の姿勢に戻して他の搬送コンベヤに紙管Aを受け渡すことが可能になる。
また、コーナコンベヤを直線状のチェーンコンベヤのみで構成し、その構造を簡単にでき、軽量、コンパクトなコーナコンベヤを提供できる。
また、紙管Aは前記基端ガイド41との当接位置を支点として、自由端ガイド43の前記隙間の範囲で自由に回動できるから、正確な位置と方向を保って円滑な搬送方向の変換が実現される。
【0043】
また、コーナコンベヤの最大搬送方向変換角度を90°に設定した場合には、単一のコーナコンベヤによって0°〜90°の範囲の搬送方向変換角度に対応でき、複数基のコーナコンベヤの組み合わせや、搬送方向の反転等によって90°〜180°、180°〜270°、270°〜360°の全周を通じての搬送方向の変換に対応できるようになる。
また、被搬送材として紙管Aを採用した場合には、確実な紙管Aの受け渡しと、安定した紙管Aの搬送方向の変換とが可能になる。
そして、コンパクト且つ簡単な構造のコーナコンベヤ1の採用によって、工場建屋3内の作業スペースを広く取れるようにし、搬送ラインの効率的なレイアウトが可能になる。
【0044】
尚、本発明のコーナコンベヤ1は前記の実施の形態のものに限定されず、その発明の要旨内での設計変更が可能である。例えば、本発明のコーナコンベヤ1の搬送対象である被搬送材は紙管Aのように軽量な円筒状の部材に限らず、重量を有する鋼材や紙以外の木材、プラスチック材、アルミニウムなどの金属素材など、種々の材質の長尺の被搬送材に適用可能であり、また、三角形〜八角形等の多角形の角材、角筒材や、星型、蒲鉾型などの異形材、異形筒材など、種々の形状の被搬送材に適用可能である。
【0045】
また、基端ガイド41及び自由端ガイド43のガイド片67、73は正面視V字形状に限らず、例えば受入れ側に案内傾斜面が形成された正面視U字形状や正面視凹字形状等であっても構わない。また、ゴムパッド69はウレタンゴムの他、合成ゴム等であってもよく、ゴムパッド69の他、フェルトやチューブ状のもの等、種々の材質、形状の摩擦部材が採用可能である。
また、自由端ガイド43に対して設けた支持部材はガイドローラ75に代えて、平滑なガイド板や、接触面積を小さくしたリブ等の連続した凸部や半球状の分断された凸部を備えたガイド部材等を適用することも可能である。また、本発明のコーナコンベヤ1は図示の搬送ラインLに限らず、コーナ部33を有する種々の搬送ラインLに適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明のコーナコンベヤは、トイレットペーパーの芯材として使用されている紙管等の長尺部材を搬送する搬送ラインのコーナ部等に配置でき、搬送ラインを効率的にコンパクトにレイアウトして広い作業スペースないし装置等の広い設置スペース等を確保したい場合に利用可能性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の実施の形態を示す図で、本発明のコーナコンベヤを適用した紙管の搬送ラインの一例を示す平面図である。
【図2】本発明の実施の形態を示す図で、図1中のA−A拡大断面図である。
【図3】本発明の実施の形態を示す図で、コーナコンベヤ周辺の拡大平面図である。
【図4】本発明の実施の形態を示す図で、基端側コンベヤを示す正面図である。
【図5】本発明の実施の形態を示す図で、図4中のB部の拡大図である。
【図6】本発明の実施の形態を示す図で、基端ガイドを示す拡大正面図である。
【図7】本発明の実施の形態を示す図で、自由端側コンベヤを示す正面図である。
【図8】本発明の実施の形態を示す図で、図7中のC部の拡大図である。
【図9】本発明の実施の形態を示す図で、自由端ガイドを示す拡大正面図である。
【図10】従来例を示す図で、紙管の搬送ラインの一例を示す平面図である。
【符号の説明】
【0048】
1 コーナコンベヤ
3 工場建屋
5 スパイラル機
7 第1搬送コンベヤ
9 移送コンベヤ
11 第2搬送コンベヤ
13 巻付け装置
15 振分け装置
17 垂直コンベヤ
19 投入シュート
21 プール
23 第1シリンダ
25 第1ゲート
27 第2シリンダ
29 第2ゲート
31 ガイドカバー
33 コーナ部
37 基端側コンベヤ
39 自由端側コンベヤ
41 基端ガイド
43 自由端ガイド
45 駆動モータ
47 減速機
49 駆動スプロケット
51 従動スプロケット
53 チェーン
55 駆動モータ
57 減速機
59 駆動スプロケット
61 従動スプロケット
63 チェーン
67 ガイド片
69 ゴムパッド(摩擦部材)
73 ガイド片
75 ガイドローラ(支持部材)
79 移載シュート
81 送り装置
85 制御盤
L (紙管の)搬送ライン
A 紙管(被搬送材)
D 奥行方向
W 間口方向
P1 ピッチ
P2 ピッチ
S 間隔
E 距離

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交差配置された搬入コンベヤと搬出コンベヤのコーナ部に適用される搬送方向変換用のコーナコンベヤにおいて、
前記コーナコンベヤは、前記搬入コンベヤと搬出コンベヤを斜めに横切るように配置される短寸の基端側コンベヤと、
前記搬入コンベヤと搬出コンベヤを斜めに横切るように配置される長寸の自由端側コンベヤと、
前記基端側コンベヤに対して短寸の所定ピッチで配置され被搬送材の基端側の部位を保持し被搬送材の送り方向と交差する長手方向の移動を規制する基端ガイドと、
前記自由端側コンベヤに対して長寸の所定ピッチで配置され被搬送材の自由端側の部位を保持し被搬送材の送り方向と交差する長手方向の移動を可能とする自由端ガイドと、を具備したことを特徴とするコーナコンベヤ。
【請求項2】
前記基端側コンベヤと自由端側コンベヤは、チェーンコンベヤによって構成されていることを特徴とする請求項1記載のコーナコンベヤ。
【請求項3】
前記基端ガイドは、正面視V字形状を有するガイド片と、前記ガイド片の被搬送材との接触面に設けられ被搬送材との間の摩擦係数を大きく設定された摩擦部材と、を具備し、前記自由端ガイドは、正面視V字形状を有するガイド片と、前記ガイド片の基端部に設けられ被搬送材との間の摩擦係数を小さく設定された支持部材と、を具備したことを特徴とする請求項1または2記載のコーナコンベヤ。
【請求項4】
前記摩擦部材は板状のゴムパッドによって構成され、前記支持部材は被搬送材の送り方向と交差する長手方向の移動を案内するガイドローラによって構成されていることを特徴とする請求項3記載のコーナコンベヤ。
【請求項5】
前記コーナコンベヤの最大搬送方向変換角度は、90°であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のコーナコンベヤ。
【請求項6】
前記被搬送材は、紙管であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のコーナコンベヤ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−89884(P2010−89884A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−260225(P2008−260225)
【出願日】平成20年10月7日(2008.10.7)
【出願人】(592191830)板橋工機株式会社 (2)
【Fターム(参考)】