説明

コーナー用の緩衝体

【課題】太陽電池モジュール等の額縁状物品を梱包等する場合において、作業性が良好であり、かつ、単純な構造で堅固な抜け止め効果を有する優れたコーナー用の緩衝体を提供すること。
【解決手段】枠体を備えている物品における該枠体の、外側側面および内側側面を有するコーナーに設けられるコーナー用の緩衝体1であって、前記枠体の前記コーナーを挿入する開口部1aと、前記コーナーの上面を覆う第1主板部1bと、前記コーナーの下面を覆う第2主板部1cと、前記コーナーの前記外側側面を覆う側板部とを備えており、前記第1主板部1bおよび前記第2主板部1cの少なくとも一方に第1貫通孔1fが設けられているとともに、一部が前記第1貫通孔1f内に位置して他の一部が前記コーナーの前記内側側面に当接可能な1以上の係止片が配置されているコーナー用の緩衝体とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、板状本体の周囲に枠体を設けた太陽電池モジュール等の額縁状物品のコーナー用の緩衝体に関する。
【背景技術】
【0002】
平面形状が矩形の板状部材などの製品または半製品は、保管または輸送する場合に損傷しやすいコーナー部などに緩衝体を取り付けて梱包する方法が広く行なわれている。特に、板状本体の周縁部に枠体を設けた太陽電池モジュール等の額縁状物品においては、枠体と緩衝体とを係合させて、コーナー部に外嵌した緩衝体の抜け止めを図っている。
【0003】
例えば、下記の特許文献1に関示されているコーナー用の緩衝体が知られている。この緩衝体は、額縁状物品のコーナー部に外嵌するポケット部の前端から係合フラップを延設させた構造を有しており、緩衝体を装着すると同時に係合フラップが内コーナー部(板状本体と枠体との段差部における隅部分)に係合して抜け止めされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3155097号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の緩衝体は、ポケット部の前端から延設させた係合フラップを内コーナー部に引っ掛ける構造の場合、緩衝体を引っ張るにつれて係合フラップを押し上げる方向に力が働き、ポケット部を構成する主板が開く方向に変形して緩衝体が容易にずれるなど、固定が緩い場合が考えられる。
【0006】
この場合、荷役時に誤って緩衝体を持って額縁状物品を動かそうとして取り落としたり、段積みした額縁状物品を下に擦りながら持ち上げようとして緩衝体が外れたりする等が考えられる。そして、これらを抑制するために、額縁状物品と緩衝体とを完全に固定する目的で結束帯を用いて縛る等の対策を講じる必要がある。
【0007】
また、係合フラップを内コーナー部に引っ掛ける構造であるため、緩衝体を引き抜く方向に動かした場合、誤って係合フラップの先端が保護すべき板状本体に食い込む動きをしたり、強く擦れる動きをする場合等が考えられるので、精密部品および破損しやすい材質の物品には適さない。
【0008】
そこで、本発明の一つの目的は、太陽電池モジュール等の額縁状物品を梱包等する場合において、作業性が良好であり、かつ、単純な構造で堅固な抜け止め効果を有する優れたコーナー用の緩衝体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るコーナー用の緩衝体は、枠体を備えている物品における該枠体の、外側側面および内側側面を有するコーナーに設けられるコーナー用の緩衝体であって、前記枠体の前記コーナーを挿入する開口部と、前記コーナーの上面を覆う第1主板部と、前記コーナーの下面を覆う第2主板部と、前記コーナーの前記外側側面を覆う側板部とを備えており、前記第1主板部および前記第2主板部の少なくとも一方に第1貫通孔が設けられているとともに、一部が前記第1貫通孔内に位置して他の一部が前記コーナーの前記内側側面
に当接可能な1以上の係止片が配置されている。
【発明の効果】
【0010】
上記コーナー用の緩衝体によれば、薄板状体を折り込んで緩衝体を構成する場合には、その折り込み回数が少なく作業性が良好であり、かつ、単純な構造で堅固な抜け止め効果を期待することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係るコーナー用の緩衝体の一実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1に示した緩衝体を額縁状物品のコーナー部に装着した状態を示す斜視図である。
【図3】緩衝体の組立前の状態を示すブランクシートである。
【図4】(a)は図2においてA−A線で切断して断面視した際の緩衝体の係止片の様子を示す一部断面図であり、(b)は図2においてB−B線で切断して断面視した際の緩衝体の係止片の様子を示す一部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明に係るコーナー用の緩衝体の実施形態例について図面を参照しながら説明する。
【0013】
図1に示すように、緩衝体1は、後記する枠体を備えている額縁状物品の該枠体のコーナー部を包囲するのに適用できる。また、緩衝体1は、例えば段ボール、板紙、プラスチック段ボールまたは発泡プラスチックスのシートなどを適宜選択して使用することができる。
【0014】
また、緩衝体1は、トムソン金型等による型抜き加工等によって作製した1枚の板状体を折り込んで組み立てられるものとすると簡便でよい。
【0015】
さらに、緩衝体1は、特に太陽電池モジュール等のように、積上げ作業および運搬作業を多く要するような額縁状物品に対して好適に使用可能である。
【0016】
図2に示すように、額縁状物品Pは、板状本体P1の周縁部に枠体P2を設けたものであり、板状本体P1の周囲に枠体P2(例えば、図示のように少なくとも第1枠部材P2aと、この端部に取り付けられている第2枠部材P2bとで構成されている)を備えている。また、この枠体P2が板状本体P1から突出した構造をしている。ただし、枠体P2は板状本体P1の片面だけでなく、両面に突出する構造をも含むものとする。
【0017】
具体的な額縁状物品Pとしては、上述したように、例えば枠体P2として板状体P1である太陽電池パネルの周縁部に設けたフレームを備えた太陽電池モジュールまたは額縁等が挙げられる。
【0018】
図1および図2に示すように、緩衝体1は、枠体P2を備えている物品において、この枠体P2の、外側側面P3aおよび内側側面P3bを有するコーナー部P3に設けられる。また、緩衝体1は、枠体P2のコーナー部P3を挿入する開口部1aと、コーナー部P3の上面を覆う第1主板部1bと、コーナーP3の下面を覆う第2主板部1cと、コーナー部P3の外側側面P3aを覆う側板部(第1側板部1d,第2側板部1e)とを備えている。
【0019】
さらに、緩衝体1は、第1主板部1bおよび第2主板部1cの少なくとも一方に第1貫通孔1fが設けられており、一部(例えば後記する第1係止片1g,第2係止片1hの一
部)が第1貫通孔1f内に位置して他の一部(例えば後記する第1係止片1g,第2係止片1hの一部)がコーナー部P3の内側側面P3bに当接可能な1以上の係止片(例えば後記する第1係止片1g,第2係止片1h)が配置されている。
【0020】
また、緩衝体1は、少なくとも2つの第1係止片1g,第2係止片1hの一部(これら係止片の表側)が、例えば略矩形の第1貫通孔1f内の少なくとも異なる2辺に位置している。
【0021】
また、後記するように、図1および図2にはあらわれていないが、第1主板部1bおよび第2主板部1cの少なくとも一方に、運搬用の第2貫通孔1nが設けられているとよい。
【0022】
図3に図1および図2に示した緩衝体1のブランクシートを示す。なお、図3において、図示した実線部分が切り込み部であり、図示した破線部分が折り曲げ部である。
【0023】
ブランクシートを紙面の上側に破線部分で折り曲げて組み立てた場合、例えば、額縁状物品Pを平面視した際の左上および右下のコーナー部を包囲する緩衝体1とすることができる。
【0024】
一方、このブランクシートを紙面の下側に破線部分で折り曲げて組み立てた場合、例えば額縁状物品Pを平面視した際の右上および左下のコーナー部を包囲する緩衝体1とすることができる。
【0025】
緩衝体1を額縁状物品Pのコーナー部P3に装着するには、まず、ブランクシートの状態で第2主板部1cを額縁状物品Pのコーナー部P3の下に敷く。その際、ブランクシートに、図3に示すような折り込み部2(第2貫通孔となる部分)を設けておくことが好ましい。
【0026】
この折り込み部2を折り込んだ後に、第2主板部1cに形成される第2貫通孔1nに指または運搬用の部材等を入れるようにすれば、運搬等の作業性が向上するのでよい。
【0027】
緩衝体1を額縁状物品Pのコーナー部の下に敷いた後、まず、第2主板部1cから延設された第1側板部1dおよび第1主板部1bを順次折り曲げる。
【0028】
次に、第2主板部1cから延設された第2側板部1e、および第1主板部1bの上に重ねる上片部1iをそれぞれ折り曲げて、上片部1iから延設された第2係止片1hを第1主板部1bの第1貫通孔1fを形成する切込み部1jに差し込んで装着が完了する。
【0029】
図4(a)に示すように、第1係止片1gの裏側を枠部材P2bに当接させる。また、同時に、図4(b)に示すように、第1係止片1gのコーナー部P3側の端面を枠部材P2aにも当接させることによって、額縁状物品Pのコーナー部P3に外嵌した状態から緩衝体1が容易に外れないように堅固に保持されて装着される。
【0030】
より詳細には、第1主板部1bの上側に重ねられる上片部1iには、第1係止片1g,第3係止片1kを固定する第2係止片1hが延設されている。この第2係止片1hは、図4(b)に示すように、第1係止片1gと第3係止片1kとの間に差し込んで、図示した矢印の方向に押し込むことで、これら両係止片を有する緩衝体1を額縁状物品Pに対して堅固に固定することができる。つまり、第1係止片1g、第2係止片1hおよび第3係止片1kの表側は第1貫通孔1f内に位置しており、第1係止片1gと第3係止片1kの表側は第2係止片1hの端面と当接しているので、これら係止片を有する緩衝体1を額縁状
物品Pに対して堅固に固定することができる。
【0031】
第2係止片1hの裏側は枠部材P2aと当接してもよい。また、第1貫通孔1fは第1係止片1gのみを裏側に折り曲げて、第1貫通孔1fが形成されてもよい。この場合、第2係止片1hは、第1係止片1gと第1貫通孔1f側の第1主板部1bの側面との間に差し込まれることによって、第1係止片1gを堅固に固定することができる。
【0032】
また、第2係止片1hを第1係止片1gと第3係止片1kとの間に差し込むことで、第1係止片1gの裏側は枠部材P2bによって密着して、枠部材P2aには第1係止片1gのコーナー部P3側の端面だけでなく、第3係止片1hのコーナー部P3側の端面も当接させることができる。これにより、緩衝体1が額縁状物品Pから容易に外れないようにより堅固に保持されて装着される。
【0033】
また、図3に示すように、第2係止片1hに連続した延設部にはミシン目1m(一点鎖線)を設けて、そのミシン目1mの端部に切り欠き1pを設けるようにしてもよい。この場合、緩衝体1が不要になって、緩衝体1を額縁状物品Pから取り外す際には、第2係止片1hを引っ張るようにするとよい。これにより、緩衝体1における第1係止片1h等の固定が容易に解かれて、緩衝体1を額縁状物品Pから簡便かつ容易に取り外すことができる。
【0034】
以上のように、本実施形態の緩衝体1によれば、額縁状物品を梱包する場合、折り込み回数が少なくて、作業性が良く、しかも、単純な構造で枠部材で構成される枠体を同時に当接することによって、堅固な抜け止め効果を有する。一方で、緩衝体を取り外す際には、緩衝体の一部を切り離すだけで簡便容易に取り外すことができる。
【符号の説明】
【0035】
1 :緩衝体
1a:開口部
1b:第1主板部
1c:第2主板部
1d:第1側板部
1e:第2側板部
1f:第1貫通孔
1g:第1係止片
1h:第2係止片
1i:上片部
1n:第2貫通孔
P :額縁状物品
P1 :板状本体
P2 :枠体
P2a:第1枠部材
P2b:第2枠部材
P3 :コーナー部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠体を備えている物品における該枠体の、外側側面および内側側面を有するコーナーに設けられるコーナー用の緩衝体であって、
前記枠体の前記コーナーを挿入する開口部と、前記コーナーの上面を覆う第1主板部と、前記コーナーの下面を覆う第2主板部と、前記コーナーの前記外側側面を覆う側板部とを備えており、前記第1主板部および前記第2主板部の少なくとも一方に第1貫通孔が設けられているとともに、一部が前記第1貫通孔内に位置して他の一部が前記コーナーの前記内側側面に当接可能な1以上の係止片が配置されているコーナー用の緩衝体。
【請求項2】
少なくとも2つの前記係止片の一部が、前記第1貫通孔内の少なくとも2箇所に位置している請求項1に記載のコーナー用の緩衝体。
【請求項3】
前記第1主板部および前記第2主板部の少なくとも一方に運搬用の第2貫通孔が設けられている請求項1または2に記載のコーナー用の緩衝体。
【請求項4】
前記物品が太陽電池モジュールである請求項1乃至3のいずれかに記載のコーナー用の緩衝体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−63803(P2013−63803A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−189745(P2012−189745)
【出願日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】