説明

コーナー用洗面台

【課題】配管類を効率良く収納することができ、またキャビネット19内に十分な収納スペースを確保することのできる洗面台を提供する。
【解決手段】入隅のコーナー部を形成する二つの壁面17,18に夫々対応して配置され、入隅の奥部で接合される両側面板20a,20bと、これらの両側面板20a,20bに交差する方向に配置された両脇面板21a,21bと、両脇面板21a,21bどうしを連結する正面板22とを有するキャビネット19を備えた洗面台である。
【作用効果】キャビネット19は平面視した状態で五角形状を呈し、入隅の奥部に対応するキャビネット19内の空間部分には通常使用しない隅角部30が形成される。この隅角部30を排水管,給水管,給湯管等の配管類を収納するスペースとして利用し、キャビネット19内のその他の空間を有効活用する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、キャビネット内の収納スペースを十分に確保することのできる入隅のコーナー部に設置される洗面台に関するものである。
【0002】
【従来の技術】通常、洗面台は、図4及び図5に示すように、正面板(開閉扉)1、両側面板2,2、背面板3の各板を四角形状に枠組みしてキャビネット4を形成し、その上面側開口部に、直接又は天板を介して洗面器5を設置している。そして、洗面器5の排水口6は、洗面器5の中央部分に形成されるのが殆どである。従って、洗面器排水口6に接続された排水管7は、キャビネット4内の空間の中央部において下方へ伸び、その途中に形成された排水トラップ部8を経て底板9又は背面板3を貫通し、下水等へ連通接続されている。また湯水混合水栓10や単水栓等の水栓機器類も洗面器上面の中央部に位置して設置される場合が多く、給水管11や給湯管12等の排水管以外のその他の配管類もキャビネット内の空間の中央部分に位置している。なお、図4及び図5R>5は、洗面台13の上にミラーキャビネット14を取り付けて、洗面化粧台15とした場合の従来例である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】このように通常の洗面台13では、キャビネット4内の空間の中央部分に配管類が存在しているので、キャビネット4内の空間領域がこれらの配管類によって二分されていた。そのため、大きな収納物を収納する場合に、収納物と配管類とが干渉し、収納物を収納できないことがあった。また収納物を出し入れするときに、前記配管類が邪魔になり、出し入れが困難になるという欠点もあった。更に、キャビネット4内の空間部に棚板を設けて、収納物の整理をしようとする場合にも、前記配管類が邪魔になり、棚板を設置することができないという欠点があった。更にまた、キャビネット4の前面(正面)側に取り付けられる開閉扉1を開けると、配管類が剥き出しになり、見栄えも悪いという欠点があった。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は従来の前記課題に鑑みてこれを改良除去したものであって、配管類を効率良く収納することができ、またキャビネット内に十分な収納スペースを確保することのできる洗面台を提供せんとするものである。
【0005】而して、前記課題を解決するために本発明が採用した請求項1の手段は、入隅のコーナー部を形成する二つの壁面にそれぞれ対応して配置され、入隅の奥部で接合される両側面板と、これらの両側面板に交差する方向に配置された両脇面板と、両脇面板どうしを連結する正面板とを有するキャビネットを備えたコーナー用洗面台である。この発明によれば、キャビネットは平面視した状態で五角形を呈し、入隅の奥部に対応するキャビネット内の空間部分には通常使用しない隅角部が形成される。従って、この隅角部を排水管,給水管,給湯管等の配管類を収納するスペースとして利用することで、キャビネット内のその他の空間を有効利用することができ、大きな収納物であっても収納可能である。
【0006】本発明が採用した請求項2の手段は、両側面板どうしの奥部側が途中でカットされ、正面板に平行な背面板で連結されている請求項1に記載のコーナー用洗面台である。この発明によれば、キャビネットは平面視した状態で六角形を呈し、壁面の入隅部と、キャビネットの背面板との間に配管収納用の空間スペースを形成することができる。従って、キャビネット内の配管類を背面板を貫通して前記空間スペースへ導出することで、キャビネット内の空間を効率良く利用することができ、大きな収納物であっても収納可能である。
【0007】本発明が採用した請求項3の手段は、天板が入隅の奥部まで形成されている請求項1又は2に記載のコーナー用洗面台である。入隅のコーナーに洗面台を設置することで、大型の洗面台とすることができ、キャビネット上面に天板を載置し、この天板に洗面器を設置するタイプとすることも可能である。
【0008】本発明が採用した請求項4の手段は、天板に設けた開口部に洗面器が設置されている請求項3に記載のコーナー用洗面台である。この発明は、請求項3に記載の洗面台のキャビネットに洗面器を設置して製品としての洗面台を構成するようにしたものである。作用効果については、請求項3のものと同じである。
【0009】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の構成を図面に示す発明の実施の形態に基づいて説明すると次の通りである。図1は本発明の第1の実施の形態に係る洗面台16を示すものであり、図(A)は洗面台16の平面図、図(B)は同部分縦断面図である。同図に示す如く、この洗面台16は、入隅のコーナー部を形成する二つの壁面17及び18に対応した形状のキャビネット19を有し、平面視した状態で五角形を成している。キャビネット19は、前記二つの壁面17,18に沿って配置され、入隅の奥部で接合される両側面板20a,20bと、これらの両側面板20a,20bに対して交差する方向に配置された両脇面板21a,21bと、両脇面板21a,21bどうしを連結する正面板22とで全周を囲まれている。そして、キャビネット19の上面側には、天板23が取り付けられている。天板23の中央には、大きな開口が形成されており、洗面器24が取り付けられている。
【0010】而して、洗面器24の排水口25には、排水器具26が取り付けられている。この排水器具26の上部側には、洗面器24のオーバーフロー口27に接続されたオーバーフロー管28の他端側が接続されており、下部側には横引配管29が接続されている。横引配管29は、排水器具26に接続された高さ位置からキャビネット19内の隅角部30へ向かって横方向へ案内され、隅角部30の近くで下向きの縦配管31となり、排水トラップ32を介して底板を貫通して下水等へ連通接続されている。また天板23の洗面器近傍には、湯水混合水栓33が取り付けられている。この湯水混合水栓33の給水管34と給湯管35も、天板23の下方で直ぐに隅角部30へ向かって横方向に案内され、隅角部30の近くで縦方向に案内され、給水本管及び給湯本管へ接続されている。
【0011】このように構成された第1の実施の形態に係る洗面台16であれば、キャビネット19内における排水管(横引配管29,縦引配管31,排水トラップ32)、給水管34、給湯管35等の配管類を隅角部30の近くに集約することができる。そのため、キャビネット19内の空間を有効に利用することができ、大きな収納物を収納する場合であっても、これらの配管類が障害となることはない。また両脇面板21a及び21bは、カウンター36a及び36b等を連続して設置することも可能であり、これらの全体的な調和を図ることが可能である。
【0012】図3は本発明の第2の実施の形態に係る洗面台37を示すものであり、両側面板20a及び20bのそれぞれの途中から入隅部に至るまでの領域をカットし、カットした両側面板20a及び20bどうしを正面板22と平行な背面板38で連結するようにしたものであり、平面視した状態で六角形状を成している。従って、この実施の形態では、背面板38と入隅部との間に、平面視した状態で三角形状の空間39が形成されることになる。この空間39は、前記排水管等の配管類の配管スペースとして利用される。つまり、図2に示す排水管の横引管29や給水管34,給湯管35の横引部分を背面板38を貫通して前記三角形状の空間39へ導出し、該空間39の部分から下水又は給水本管,給湯本管へ接続することが可能である。それ故、この第2の実施の形態の場合も前記第1の実施の形態の場合と同じ作用効果を得ることが可能である。
【0013】また図4は本発明の第3の実施の形態に係る洗面台40を示すものであり、第2の実施の形態の両側面板20a及び20bと両脇面板21a及び21bとが成すコーナー部に棚板41a及び41bを設置したものである。この棚板41a及び41bは、石鹸やシャンプー等の消耗品の予備品や清掃用品等を載置するように利用することが可能であり、複数段設ける構成であってもよい。その他の構成並びに作用効果は、前述した第1及び第2の実施の形態の場合と同じである。
【0014】ところで、本発明は前述した実施の形態に限定されるものではなく、適宜の変更が可能である。例えば、説明はいずれもミラーキャビネット14(図5及び図6の従来例参照)が取り付けられない洗面台単独に基づいて行ったが、ミラーキャビネット14が取り付けられる洗面化粧台であってよい。
【0015】
【発明の効果】以上説明したように本発明の洗面台にあっては、入隅のコーナー部を形成する二つの壁面にそれぞれ対応して配置され、入隅の奥部で接合される両側面板と、これらの両側面板に交差する方向に配置された両脇面板と、両脇面板どうしを連結する正面板とを有するキャビネットを備えるようにしたから、キャビネットは平面視した状態で五角形状を呈し、入隅の奥部に対応するキャビネット内の空間部分には通常使用しない隅角部が形成される。この隅角部を排水管,給水管,給湯管等の配管類を収納するスペースとして利用することで、キャビネット内のその他の空間を有効活用でき、大きな収納物であっても収納可能である。
【0016】また本発明の洗面台にあっては、両側面板どうしの奥部側を途中でカットし、正面板に平行な背面板で連結したから、キャビネットは平面視した状態で六角形状を成し、壁面の入隅部と、キャビネットの背面板との間に配管収納用の空間スペースを形成することができる。従って、キャビネット内の配管類を背面板を貫通して前記空間スペースへ導出することで、やはりキャビネット内の空間を効率良く利用することができ、大きな収納物であっても収納可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る洗面台を示す平面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る洗面台を示す縦断面側面図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態に係る洗面台を示す平面図である。
【図4】本発明の第3の実施の形態に係る洗面台を示す横断平面図である。
【図5】従来の洗面化粧台を示す斜視図である。
【図6】従来の洗面化粧台を示す部分断面側面図である。
【符号の説明】
16…洗面台、17,18…壁面、19…キャビネット、20a,20b…両側面板、21a,21b…両脇面板、22…前面板、23…天板、24…洗面器、29…横引管、30…隅角部、31…縦引管、32…排水トラップ、34…給水管、35…給湯管、37…洗面台、38…背面板、39…空間(配管スペース)、40…洗面台、41a,41b…棚板

【特許請求の範囲】
【請求項1】入隅のコーナー部を形成する二つの壁面にそれぞれ対応して配置され、入隅の奥部で接合される両側面板と、これらの両側面板に交差する方向に配置された両脇面板と、両脇面板どうしを連結する正面板とを有するキャビネットを備えたコーナー用洗面台。
【請求項2】両側面板どうしの奥部側が途中でカットされ、正面板に平行な背面板で連結されている請求項1に記載のコーナー用洗面台。
【請求項3】天板が入隅の奥部まで形成されている請求項1又は2に記載のコーナー用洗面台。
【請求項4】天板に設けた開口部に洗面器が設置されている請求項3に記載のコーナー用洗面台。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2001−212011(P2001−212011A)
【公開日】平成13年8月7日(2001.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2000−26225(P2000−26225)
【出願日】平成12年2月3日(2000.2.3)
【出願人】(000000479)株式会社イナックス (1,429)