説明

コーヒーにおけるガラクトマンナン含有量の調整

UDPグルコースピロホスホリラーゼ(UGPP)、GDPマンノースピロホスホリラーゼ(GMPP)、ホスホマンノムターゼ(PMM)、及びUDPグルコース4−エピメラーゼ(UGE)をコードする配列を含むコーヒー(コフィア属種)から単離される核酸分子が、本明細書において開示される。抽出の特徴及び他の特徴に影響を及ぼすように、コーヒー豆の含有量及び/又は構造を遺伝子調節し、操作するためにこれらのポリヌクレオチドを使用するための方法もまた、開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農業のバイオテクノロジーの分野に関する。特に、本発明は、ガラクトマンナン前駆物質の合成に関与するコーヒー植物由来の核酸及び酵素並びにコーヒー豆のガラクトマンナン含有量の調整におけるそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
植物細胞壁は、とりわけ、多糖、タンパク質、及びリグニンを含む複雑で動的な複合体である。多糖は、成熟豆の乾燥重量の50%まで相当する、生コーヒー豆の主な構成成分である(Redgwell et al.,2003,Planta 217,316−326)。コーヒー豆において多糖の3つの主な形態:セルロース、アラビノガラクタンII型、及びガラクトマンナンがあり(Fischer et al.,2001,Carbohydrate Research 330,93−101)、ガラクトマンナンが最も豊富である(全体の50%又は豆の乾燥質量のおよそ25%)。ガラクトマンナン構造は、比較的単純であり、マンナン主鎖に沿って様々な間隔で単一単位のα−1,6−結合ガラクトシル側鎖を有するβ−1,4結合マンノース分子の直鎖状主鎖から成る。コーヒーについては確かではないが、いくつかの植物では、ガラクトグルコマンナンを生じさせる、マンナンが散在するグルコースもまたある。
【0003】
Clifford(1986,Tea Coffee Trade J.158,30−32)は、アラビカコーヒー(コフィア・アラビカ(Coffea arabica))が、ロブスタコーヒー(コフィア・カネフォラ(C.canephora))(6〜8%)よりも多くのアラビノガラクタン(9〜13%)を含有し、同様に、より多くのガラクトマンナン(ロブスタ種では19〜22%に対してアラビカ種では25〜30%)を含有し得ることを報告している。著者はまた、ロブスタ種におけるガラクトマンナンがより高度に分岐しており、したがってそれほど結晶性ではないことをも示唆した。この提案は、まだ実証されていないが、なぜ、同じ程度の焙煎で、ロブスタ種が、一般に、アラビカ種よりも可溶性の固体を産生するのかを説明するために使用されてきた(Clifford,1985,In:M.N.Clifford and K.C.Wilson,Editors,Coffee Botany,Biochemistry,and Production of Beans and Beverage,Croom Helm,London,pp.305−374.;Clifford,1986,supra;Trugo,1985,In:R.J.Clarke and R.Macrae,Editors,Coffee,Chemistry 1,Elsevier,Amsterdam,pp.83−114)。あるアラビカ品種及びあるロブスタ品種の豆から単離された多糖の研究において、Fischer et al.(2001)は、それらの試料において多糖の量におけるいかなる有意差も見出さなかったが、アラビカ品種の多糖が、ロブスタ品種よりもわずかに多くのマンノース含有量を有したことが注目される。さらに、検出可能な差異は、検査されたアラビカ品種及びロブスタ品種のガラクトマンナンにおいて見られなかった。Redgwell et al.,2002,Carbohydrate Research 337,421−431)及びOosterveld et al.,2003,Carbohydrate Polymers 52,285−296)は、生の豆の中にもともと存在する多糖の40%超が、より長い焙煎期間後に分解されることを報告した。しかしながら、Redgwell et al.(2002、前掲)は、アラビノガラクタンが、マンナンよりも、焙煎の間の分解に対して感受性であり、セルロースポリマーは、作用を受けなかったことを示した。焙煎の間のガラクトマンナンの限られた分解により、ガラクトマンナンが、焙煎された豆の中で、抽出するのが最も困難な部分の1つであるという考えが導かれた。ガラクトマンナンが、コーヒー豆の大部分を構成するので、ガラクトマンナンがどのように合成され、コーヒー豆胚乳中で分解されるのか理解するために、かなりの量の研究努力が、費やされてきた。その研究の主な目的は、改変されたガラクトマンナンレベル及び/又は構造を有し、したがって、たとえば、より低い温度での改善された抽出性を有していてもよいコーヒーを開発する及び/又は発見することであった。
【0004】
ガラクトマンナン合成は、ゴルジ小胞の膜中で共存し、複合体としてともに働くと考えられる2つの酵素、マンナンシンターゼ(ManS)及びガラクトマンナンガラクトシルトランスフェラーゼ(GMGT)によって実行される(Dhugga et al.,2004,Science 303,363−366;Edwards et al.,2004,Plant Physiol 134,1153−1162)。コーヒー豆ガラクトマンナン合成に関与するManS及びGMGT遺伝子配列並びに植物の他の部分におけるガラクトマンナン合成のための配列は、単離され、特徴付けられている(Pre et al.,2008,Ann.Bot.(Lond)102,207−220;WO2007/047675A2)。ガラクトマンナン合成の間に、セルロースシンテターゼと関係するManS酵素は、GDPマンノース(GDP−Man)前駆物質を使用して、マンナン主鎖を重合するが、GMGT酵素は、UDP−ガラクトース前駆物質から成長中のマンナン主鎖にガラクトース残基を移すことを担う(Edwards et al.,2004、前掲)。それらの遺伝子によってコードされる酵素の発現又は活性の調整は、植物における、特に豆におけるガラクトマンナンの量を増加させる又は減少させるために使用することができることが示唆された(WO2007/047675A2)。
【0005】
マンナナーゼは、ガラクトマンナン分解に関与し、これはまた、植物又は植物組織中に存在するガラクトマンナンの量に影響を与え得る。コーヒーマンナナーゼは、単離され、特徴付けられている(WO00/28046;US7,148,399B2)。別個のエンド−ベータマンナナーゼ(manA及びmanB)をコードする2つのcDNAが、発芽コーヒー豆から単離された(Marraccini et al.,2001,Planta 213:296−308)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
コーヒー豆におけるガラクトマンナンの重要性並びにガラクトマンナン合成及び分解に参加する酵素の絶対的な重要性にもかかわらず、それらの遺伝子又は酵素の使用を通して豆におけるガラクトマンナンの量又は構造のいずれかを調整する際の進歩は、ほとんど得られていない。したがって、コーヒーにおけるガラクトマンナン含有量及び/又は構造を操作するための新しい方法を同定し、開発するための必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、UDPグルコースピロホスホリラーゼ(UGPP)、GDPマンノースピロホスホリラーゼ(GMPP)、ホスホマンノムターゼ(PMM)、及びUDPグルコース4−エピメラーゼ(UGE)から選択されるガラクトマンナン前駆物質合成酵素をコードするコード配列を含む、コフィア属種(Coffea spp.)から単離される核酸分子を特徴とする。一実施形態では、ガラクトマンナン前駆物質合成酵素は、BLAST比較によって決定される、配列番号6〜10のいずれか1つとその全体にわたって約80%超同一であるアミノ酸配列を含む。特に、ガラクトマンナン前駆物質合成酵素は、配列番号6〜10のいずれか1つを含む。核酸分子は、配列番号1〜5のいずれか1つを含んでいてもよい。ある実施形態では、コード配列は、(1)遺伝子のオープンリーディングフレーム又は(2)遺伝子の転写によって産生されるmRNA分子又は(3)mRNAの分子の逆転写によって産生されるcDNA分子である。
【0008】
本発明の他の態様は、UDPグルコースピロホスホリラーゼ(UGPP)、GDPマンノースピロホスホリラーゼ(GMPP)、ホスホマンノムターゼ(PMM)、及びUDPグルコース4−エピメラーゼ(UGE)から選択されるガラクトマンナン前駆物質合成酵素をコードする前述のコード配列を含むベクターを特徴とする。一実施形態では、ベクターは、プラスミド、ファージミド、コスミド、バキュロウイルス、バクミド、細菌、酵母、及びウイルスベクターから成るベクターの群から選択される発現ベクターである。核酸分子のコード配列は、恒常的プロモーターに作動可能に連結することができ、又はそれは、誘発性プロモーターに作動可能に連結することができる又はそれは、組織特異的プロモーターに作動可能に連結することができる。いくつかのプロモーターは、誘発性であるのみならず、組織特異的であるが、他のものは、恒常的であり、且つ特異的組織である。任意選択で、組織特異的プロモーターは、種子特異的プロモーターである。コーヒー由来の種子特異的プロモーターは、特に適している。
【0009】
本発明の他の態様は、前述のベクターのうちの1つ又は複数により形質転換された宿主細胞を特徴とする。宿主細胞は、植物細胞、細菌細胞、真菌細胞、昆虫細胞、及び哺乳動物細胞から選択されてもよい。ある実施形態では、宿主細胞は、コーヒー、タバコ、アラビドプシス、トウモロコシ、コムギ、イネ、ダイズ、オオムギ、ライムギ、カラスムギ、モロコシ、アルファルファ、クローバ、アブラナ、ベニバナ、ヒマワリ、ピーナッツ、カカオ、オオブドウホオズキ、ジャガイモ、コショウ、ナス、サトウダイコン、ニンジン、キュウリ、レタス、エンドウ、アスター、ベゴニア、キク、ヒエンソウ、ツクバネアサガオ、ヒャクニチソウ、及び芝草から成る植物の群から選択される植物細胞である。特定の実施形態では、宿主細胞は、コーヒー由来のものである。前述の植物細胞のいずれかから産生される稔性植物もまた、提供される。
【0010】
本発明の他の態様は、植物におけるガラクトマンナン含有量を調整するための方法であって、植物内の1つ又は複数のガラクトマンナン前駆物質合成酵素の産生又は活性を調整して、植物の改変されたガラクトマンナン含有量をもたらすステップを含む方法を特徴とする。特定の実施形態では、植物は、コーヒー植物である。そのような方法は、コーヒー種子内のガラクトマンナンの量及び/又は構造を改変することによって、コーヒー種子の抽出性を調整するために使用することができる。ある実施形態では、ガラクトマンナン前駆物質合成酵素は、UDPグルコースピロホスホリラーゼ(UGPP)、GDPマンノースピロホスホリラーゼ(GMPP)、ホスホマンノムターゼ(PMM)、又はUDPグルコース4−エピメラーゼ(UGE)である。
【0011】
方法の一実施形態は、たとえば、植物内のUGPP、GMPP、PMM、又はUGEのうちの1つ又は複数をコードする遺伝子の発現を増加させることによって、UGPP、GMPP、PMM、又はUGEのうちの1つ又は複数の産生又は活性を増加させるステップを含む。これは、植物の中に、UGPP、GMPP、PMM、又はUGEのうちの1つ又は複数をコードする1つ又は複数の導入遺伝子を導入することによって達成することができる。
【0012】
方法の他の実施形態は、たとえば、植物内のUGPP、GMPP、PMM、又はUGEのうちの1つ又は複数をコードする遺伝子の発現を減少させることによって、UGPP、GMPP、PMM、又はUGEのうちの1つ又は複数の産生又は活性を減少させるステップを含む。これは、アンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNA、miRNA、又はshRNAなどのような、UGPP、GMPP、PMM、又はUGEのうちの1つ又は複数の翻訳の阻害剤をコードする1つ又は複数のポリヌクレオチドを植物の中に導入することによって達成されてもよい。
【0013】
本発明の他の特徴及び利点は、続く図面、詳細な説明、及び実施例に対する参照によって理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】CcUGPP(pcccs46w9l8)(配列番号6)、StUGPP(CAA79357)(配列番号11)、OsUGPP(ABD57308)(配列番号12)、CmUGPP(ABD98820)(配列番号13)、及びAtUGPP(AAK32773)(配列番号14)のタンパク質配列アライメントを示す図である。コフィア・カネフォラUGPP遺伝子(CcUGPP)によってコードされるタンパク質配列との、NCBIデータベースにおいて入手可能であるソラナム・ツベロサム(Solanum tuberosum)UGPP(StUGPP)、オリザ・サティバ(Oryza sativa )UGPP(OsUGPP)、ククミス・メロ(Cucumis melo)UGPP(CmUGPP)、及びアラビドプシス・タリアナ(Arabidopsis thaliana)UGPP(AtUGPP)タンパク質配列のアライメントは、CLUSTAL Wを使用して行った。グレーでマークしたアミノ酸は、コフィア・カネフォラUGPP配列において見つけられた残基と一致する。
【図2】CcGMPP(pcccl22i19)(配列番号7)、StGMPP(AAD01737)(配列番号15)、SlGMPP(AAT37498)(配列番号16)、MsGMPP(AAT58365)(配列番号17)、及びVvGMPP(CAO69137)(配列番号18)のタンパク質配列アライメントを示す図である。コフィア・カネフォラGMPP遺伝子(CcGMPP)によってコードされるタンパク質配列との、NCBIデータベースにおいて入手可能であるソラナム・ツベロサムGMPP(StGMPP)、ソラナム・リコペルシカム(Solanum lycopersicum)GMPP(SlGMPP)、メディカゴ・サティバ(Medicago sativa)GMPP(MsGMPP)、及びビティス・ビネフェラ(Vitis vinifera)GMPP(VvGMPP)タンパク質配列のアライメントは、CLUSTAL Wを使用して行った。グレーでマークしたアミノ酸は、コフィア・カネフォラGMPP配列において見つけられた残基と一致する。
【図3】CcPMM(pcccs46w3a14)(配列番号8)、GmPMM(ABD97873)(配列番号19)、VvPMM(CAO39354)(配列番号20)、PtPMM(ABK96056)(配列番号21)、及びAtPMM(ABD97870)(配列番号22)のタンパク質配列アライメントを示す図である。コフィア・カネフォラPMM遺伝子(CcPMM)によってコードされるタンパク質配列との、NCBIデータベースにおいて入手可能であるグリシン・マックス(Glycine max)PMM(GmPMM)、ビティス・ビネフェラPMM(VvPMM)、ポプルス・トリコカルパ(Populus trichocarpa)PMM(PtPMM)、及びアラビドプシス・タリアナPMM(AtPMM)タンパク質配列のアライメントは、CLUSTAL Wを使用して行った。グレーでマークしたアミノ酸は、コフィア・カネフォラPMM配列において見つけられた残基と一致する。
【図4】CcUGE1(SGN−U347952)(配列番号9)、CcUGE5(pcccl17j24)(配列番号10)、AtUGE1(NP_172738)(配列番号23)、AtUGE3(NP_564811)(配列番号24)、StUGE51(AAP97493)(配列番号25)、AtUGE5(NP_192834)(配列番号26)、AtUGE2(NP_194123)(配列番号27)、AtUGE4(NP_176625)(配列番号28)、PtUGE(ABK95303)(配列番号29)、StUGE45(AAP42567)(配列番号30)、及びVvUGE(CAN63477)(配列番号31)のタンパク質配列アライメントを示す図である。コフィア・カネフォラUGE1(CcUGE1)及びUGE5(CcUGE5)遺伝子によってコードされるタンパク質配列との、NCBIデータベースにおいて入手可能であるアラビドプシス・タリアナUGE1(AtUGE1)、UGE3(AtUGE3)、ソラナム・ツベロサムUGE51(StUGE51)、ポプルス・トリコカルパUGE(PtUGE)、ソラナム・ツベロサムUGE45(StUGE45)並びにアラビドプシス・タリアナUGE2(AtUGE2)、UGE4(AtUGE4)、及びUGE5(AtUGE5)タンパク質配列のアライメントは、CLUSTAL Wを使用して行った。グレーでマークしたアミノ酸は、コフィア・カネフォラUGE1配列において見つけられた残基と一致する。
【図5】図4において示されるClustalWを使用して実行したタンパク質の(proteic)アライメントに由来する、MegAlignソフトウェアによって得られた系統樹を示す図である。
【図6】組換えHisタグ付きCcUGE5及びCcUGPPの発現を示す図である。組換えHIS−CcUGE5及びHIS−CcUGPP融合タンパク質(それぞれpGT2及びpGT3)の発現の様々なステージ由来の抽出物は、クーマシーブルー染色を使用して、8〜16%Acrylamide Express PAGE Gel(GenScript Corp.)上で分析した。ラダーは、ゲルの左に置いた(Prestained SDS−PAGE Standards Low Range(BIO−RAD))。それぞれのタンパク質について、4画分を置き、(左から右に):非誘発:誘発していないpGT2(HIS−CcUGE5)又はpGT3(CcUGPP)を含有するBl21組換え細胞の全溶解物;誘発:0.2mM IPTGにより誘発したpGT2(HIS−CcUGE5)又はpGT3(CcUGPP)を含有するBl21組換え細胞の全溶解物;可溶性:BugBusterを使用する溶解処理後の誘発溶解物の可溶性画分;不溶性:BugBusterを使用する溶解処理後の誘発溶解物の不溶性画分とする。
【図7】ロブスタ種FRT32、FRT05、及びFRT64並びにアラビカ種T2308についての異なる豆発育段階でのUGE1並びにUGE5の定量的発現分析を示す図である。それぞれの遺伝子の発現は、定量的RT−PCRを使用して、様々な豆試料において測定した。RQは、恒常的に発現される遺伝子RPL39と比べた遺伝子の発現レベルである。SG、小さな生の段階の豆;LG、大きな生の段階の豆;YG、黄色の段階の豆;RG、赤色の段階の豆。この実験において使用するcDNAのコードは、cDNA3−RNA FRT32−1、cDNA1−RNA FRT05−3、cDNA1−RNA FRT64−3、及びcDNA3−RNA T2308−2である。
【図8】ロブスタ種FRT32、FRT05、及びFRT64並びにアラビカ種T2308についての異なる豆発育段階でのUGPP、GMPP、並びにPMMの定量的発現分析を示す図である。それぞれの遺伝子の発現は、定量的RT−PCRを使用して、様々な豆試料において測定した。RQは、恒常的に発現される遺伝子RPL39と比べた遺伝子の発現レベルである。SG、小さな生の段階の豆;LG、大きな生の段階の豆;YG、黄色の段階の豆;RG、赤色の段階の豆。この実験において使用するcDNAのコードは、cDNA3−RNA FRT32−1、cDNA1−RNA FRT05−3、cDNA1−RNA FRT64−3、及びcDNA3−RNA T2308−2である。
【図9】コフィア・カネフォラ(ロブスタ種、FRT32)及びコフィア・アラビカ(アラビカ種、T2308)におけるUGE1、UGE5、UGPP、GMPP及び、PMMの定量的発現分析を示す図である。それぞれの遺伝子の発現は、方法において記載されるように、TaqMan特異的プローブを使用し、定量的RT−PCRによって決定した。それぞれの組織試料についてのRQ値は、分析したそれぞれの試料において広範に発現されるrpl39遺伝子の転写レベルに対する試験遺伝子の転写レベルを標準化することによって決定した。データは、それぞれの試料について3つの増幅反応から得られた平均値を示し、誤差バーはSDを示す。G、豆;P、果皮;SG、小さな生の段階の豆;LG、大きな生の段階の豆;YG、黄色の段階の豆;RG、赤色の段階の豆。この実験において使用するcDNAのコードは、cDNA3−RNA FRT32−1;cDNA1−RNA FRT05−3;cDNA1−RNA FRT64−3、及びcDNA3−RNA T2308−2である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
定義
生体分子及び本発明の他の態様に関係する様々な用語は、本明細書及び請求項を通して使用される。用語が、本明細書においてその他に明確に定義されない限り、用語は、分子生物学及び生化学の分野におけるそれらの通常の意味を有すると見なされる。
【0016】
「単離」は、天然状態から「人の手によって」改変されたことを意味する。組成物又は物質が自然界で生じる場合、それが、変化している又はそのもとの環境から取り出されている又はその両方である場合、それは、「単離されている」。たとえば、生きている植物又は動物において天然に存在するポリヌクレオチド又はポリペプチドは、「単離されていない」が、その天然状態の共存する物質から分離された同じポリヌクレオチド又はポリペプチドは、用語が本明細書において用いられるように、「単離されている」。
【0017】
「核酸分子」とも呼ばれる「ポリヌクレオチド」は、一般に、任意のポリリボヌクレオチド又はポリデオキシリボヌクレオチドを指し、これは、非修飾RNA若しくはDNA又は修飾RNA若しくはDNAであってもよい。「ポリヌクレオチド」は、限定を伴うことなく、一本鎖及び二本鎖DNA、一本鎖及び二本鎖領域の混合物であるDNA、一本鎖及び二本鎖RNA、並びに一本鎖及び二本鎖領域の混合物であるRNA、一本鎖又はより典型的には二本鎖又は一本鎖及び二本鎖領域の混合物であってもよいDNA及びRNAを含むハイブリッド分子を含む。さらに、「ポリヌクレオチド」は、RNA又はDNA又はRNA及びDNAの両方を含む三本鎖領域を指す。ポリヌクレオチドという用語はまた、1つ又は複数の修飾塩基を含有するDNA又はRNA及び安定性又は他の理由のために修飾主鎖を有するDNA又はRNAをも含む。「修飾」塩基は、たとえばトリチル化塩基及びイノシンなどのようなまれな塩基を含む。様々な修飾は、DNA及びRNAに対して成すことができ、したがって、「ポリヌクレオチド」は、自然界において典型的に見つけられるポリヌクレオチドの化学的に、酵素により、又は代謝的に修飾された形態並びにウイルス及び細胞特有のDNA及びRNAの化学形を包含する。「ポリヌクレオチド」はまた、オリゴヌクレオチドと呼ばれることが多い、比較的短いポリヌクレオチドを包含する。
【0018】
「ポリペプチド」は、ペプチド結合又は修飾ペプチド結合、つまりペプチド同配体によって互いにつながれた2つ以上のアミノ酸を含む任意のペプチド又はタンパク質を指す。「ポリペプチド」は、一般にペプチド、オリゴペプチド、又はオリゴマーと呼ばれる短い鎖及び一般にタンパク質と呼ばれる長い鎖を指す。ポリペプチドは、20の遺伝子にコードされたアミノ酸以外のアミノ酸を含有してもよい。「ポリペプチド」は、翻訳後プロセシングなどのような天然のプロセスによって又は当技術分野においてよく知られている化学修飾技術によって修飾されたアミノ酸配列を含む。そのような修飾は、基本的な教科書において、より詳細な学術論文において、及び豊富な研究文献において十分に記載されている。修飾は、ペプチド主鎖、アミノ酸側鎖、及びアミノ又はカルボキシル末端を含むポリペプチドにおけるいかなる場所にも生じ得る。同じタイプの修飾が、所与のポリペプチドにおけるいくつかの部位で同じ程度又は様々な程度で存在してもよいことが十分に理解されるであろう。また、所与のポリペプチドは、多くのタイプの修飾を含有していてもよい。ポリペプチドは、ユビキチン化の結果として分岐していてもよく、それらは、分岐を伴って又は伴わないで環状であってもよい。環状、分岐、分岐環状ポリペプチドは、天然の翻訳後プロセスに起因してもよい又は合成の方法によって作製されてもよい。修飾は、アセチル化、アシル化、ADPリボシル化、アミド化、フラビンの共有結合、ヘム成分の共有結合、ヌクレオチド又はヌクレオチド誘導体の共有結合、脂質又は脂質誘導体の共有結合、ホスファチジルイノシトールの共有結合、架橋、環化、ジスルフィド結合形成、脱メチル化、共有結合架橋の形成、シスチンの形成、ピログルタミン酸の形成、ホルミル化、ガンマカルボキシル化、グリコシル化、GPIアンカー形成、ヒドロキシル化、ヨウ素化、メチル化、ミリストイル化、酸化、タンパク分解性プロセシング、リン酸化、プレニル化、ラセミ化、セレノイル化、硫酸化、アルギニル化などのような、タンパク質へのアミノ酸の転移RNA媒介性の追加、及びユビキチン化を含む。たとえばProteins−Structure and Molecular Properties,2nd Ed.,T.E.Creighton,W.H.Freeman and Company,New York,1993及びWold,F.,pp1−12 in Posttranslational Covalent Modification of Proteins,B.C.Johnson,Ed.,Academic Press,New York,1983;Seifter et al.,1990,Meth Enzymol 182,626−646及びRattan et al.,1992,Ann NY Acad Sci 663,48−62を参照されたい。
【0019】
「変異体」は、用語が本明細書において使用されるように、それぞれ参照ポリヌクレオチド又はポリペプチドと異なるが、本質的な特性を保持するポリヌクレオチド又はポリペプチドである。ポリヌクレオチドの典型的な変異体は、他の参照ポリヌクレオチドとヌクレオチド配列が異なる。変異体のヌクレオチド配列における変化は、参照ポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドのアミノ酸配列を改変してもよい又はしなくてもよい。ヌクレオチド変化は、下記に議論されるように、参照配列によってコードされるポリペプチドにおけるアミノ酸置換、追加、欠失、融合、及び切断をもたらしてもよい。ポリペプチドの典型的な変異体は、他の参照ポリペプチドとアミノ酸配列が異なる。一般に、差異は、参照ポリペプチド及び変異体の配列が、全体的に厳密に類似しており、多くの領域において同一であるように、限られている。変異体及び参照ポリペプチドは、任意の組み合わせにおいて、1つ又は複数の置換、追加、又は欠失によってアミノ酸配列において異なっていてもよい。置換又は挿入アミノ酸残基は、遺伝子コードによってコードされるものであってもよい又はなくてもよい。ポリヌクレオチド又はポリペプチドの変異体は、対立遺伝子変異体などのように、天然に存在してもよい又はそれは、天然に生じることが知られていない変異体であってもよい。ポリヌクレオチド及びポリペプチドの天然に存在しない変異体は、突然変異誘発技術又は直接的な合成によって作製されてもよい。
【0020】
本明細書において使用される「抗体」は、ポリクローナル及びモノクローナル抗体、キメラ、単鎖、並びにヒト化抗体並びにFabの産物又は他の免疫グロブリン発現ライブラリーを含む抗体断片(たとえばFab、Fab’、F(ab’)、及びFv)を含む。抗体に関して、用語「免疫学的に特異的な」又は「特異的な」は、対象のタンパク質の1つ又は複数のエピトープに結合するが、抗原性の生体分子の混合性の集団を含有する試料において他の分子を実質的に認識せず、それに結合しない抗体を指す。抗体の結合特異性を決定するためのスクリーニングアッセイは、よく知られており、当技術分野においてルーチン的に実施される。そのようなアッセイの包括的な議論については、Harlow et al.(Eds.),ANTIBODIES A LABORATORY MANUAL;Cold Spring Harbor Laboratory;Cold Spring Harbor,NY(1988),Chapter 6を参照されたい。
【0021】
一本鎖核酸分子に関して、用語「特異的にハイブリダイズする」は、一般に、当技術分野において使用されるあらかじめ決定された条件下でそのようなハイブリダイゼーションを可能にするのに十分に相補的な配列の2つの一本鎖核酸分子の間の関連を指す(時に「実質的に相補的な」と称される)。特に、用語は、一本鎖DNA又はRNA分子内に含有される実質的に相補的な配列とのオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションを指す。非相補的な配列の一本鎖核酸とのオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションを実質的に排除する。
【0022】
「コード配列」又は「コード領域」は、配列が発現する場合に、アミノ酸又はポリペプチドなどのような遺伝子産物を産生するのに必要な配列情報を有する核酸分子を指す。コード配列は、翻訳領域内に非翻訳配列(たとえばイントロン又は5’若しくは3’非翻訳領域)を含んでいてもよい又はそのような介在非翻訳配列を欠いていてもよい(たとえばcDNAにおいてのように)。ある公的なデータベース、たとえばGenBankでは、用語「CDS」は、時に利用される。その文脈におけるCDSは、コードタンパク質におけるアミノ酸の配列と対応するヌクレオチドの配列である。典型的なCDSは、ATGで開始し、終止コドンで終了する。用語CDSはまた、cDNAの完全なコード配列を指すために使用することもできる。用語「コード配列」は、時に、用語「オープンリーディングフレーム」と区別なく使用される。
【0023】
「イントロン」は、タンパク質合成と関係する情報をコードしない、核酸におけるポリヌクレオチド配列を指す。そのような配列は、mRNAに転写されるが、タンパク質へのmRNAの翻訳前に除去される。
【0024】
用語「作動可能に連結された」又は「作動可能に挿入された」は、コード配列の発現のために必要な調節配列が、コード配列の発現を可能にするように、コード配列に関する適切な位置で核酸分子において配置されることを意味する。例として、プロモーターがそのコード配列の転写又は発現を制御することができる場合、プロモーターは、コード配列と作動可能に連結されている。コード配列は、センス又はアンチセンス配向において、プロモーター又は調節配列に作動可能に連結することができる。用語「作動可能に連結された」は、発現ベクターにおける他の転写制御エレメント(たとえばエンハンサー)の配置に対して時に適用される。
【0025】
転写及び翻訳制御配列は、宿主細胞においてコード配列の発現をもたらす、プロモーター、エンハンサー、ポリアデニル化シグナル、ターミネーターなどのようなDNA調節配列である。
【0026】
用語「プロモーター」、「プロモーター領域」、又は、「プロモーター配列」は、一般に、遺伝子の転写調節領域を指し、これは、コード領域の5’若しくは3’側に、コード領域内に、又はイントロン内に見つけられてもよい。典型的に、プロモーターは、細胞においてRNAポリメラーゼに結合し、下流の(3’方向)コード配列の転写を開始することができるDNA調節領域である。典型的な5’プロモーター配列は、転写開始部位によってその3’末端で境界を示され、バックグラウンドよりも検出可能なレベルで転写を開始するのに必要な最低限の数の塩基又はエレメントを含むように上流に(5’方向)伸長する。プロモーター配列内には、転写開始部位(核酸分解酵素S1を用いてマッピングすることによって好都合に定義される)及びRNAポリメラーゼの結合を担うタンパク結合ドメイン(コンセンサス配列)がある。
【0027】
「ベクター」は、他の核酸セグメントがセグメントの複製又は発現をもたらすように作動可能に挿入されてもよい、プラスミド、ファージ、コスミド、又はウイルスなどのようなレプリコンである。
【0028】
用語「核酸構築物」又は「DNA構築物」は、適切な調節配列に作動可能に連結され、細胞を形質転換するためにベクターに挿入されるコード配列(複数可)を指すために時に使用される。この用語は、用語「形質転換DNA」又は「導入遺伝子」と区別なく使用されてもよい。そのような核酸構築物は、選択マーカー遺伝子及び/又はレポーター遺伝子と共に、対象の遺伝子産物についてのコード配列を含有していてもよい。
【0029】
「マーカー遺伝子」又は「選択マーカー遺伝子」は、そのコード遺伝子産物が、遺伝子を含有していない細胞の中から遺伝子を含有する細胞が選択されるのを可能にする特徴を与える遺伝子である。遺伝子工学のために使用されるベクターは、1つ又は複数の選択マーカー遺伝子を典型的に含有する。選択マーカー遺伝子のタイプは、(1)抗生物質抵抗性遺伝子、(2)除草剤耐性又は抵抗性遺伝子、及び(3)細胞が他の場合には産生することができない必須の構成成分、通常アミノ酸を形質転換細胞が合成するのを可能にする代謝又は栄養要求性マーカー遺伝子を含む。
【0030】
「レポーター遺伝子」はまた、一種のマーカー遺伝子である。それは、標準的な実験用の手段によってアッセイすることができる又は検出可能である遺伝子産物を典型的にコードする(たとえば酵素活性、蛍光)。
【0031】
用語「発現する」「発現された」、又は遺伝子の「発現」は、遺伝子産物の生合成を指す。プロセスは、mRNAへの遺伝子の転写、次いで1つ又は複数のポリペプチドへのmRNAの翻訳を含み、天然に存在する翻訳後修飾をすべて包含する。
【0032】
「内因性」は、指定される生物内で天然に見つけることができる任意の構成成分、たとえば遺伝子若しくは核酸又はポリペプチドを指す。
【0033】
核酸構築物の「異種」領域は、自然界におけるより大きな分子と関連して見つけられない、より大きな分子内の核酸分子の同定可能なセグメント(複数可)である。したがって、異種領域が遺伝子を含む場合、遺伝子には、供給源の生物のゲノムにおけるゲノムDNAが隣接していないDNAが通常隣接するであろう。他の例において、異種領域は、コード配列がそれ自体、自然界において見つけられない構築物である(たとえば、ゲノムコード配列がイントロンを含有するcDNA又は天然の遺伝子と異なるコドンを有する合成配列)。対立遺伝子変異又は天然に存在する突然変異事象により、本明細書において定義されるDNAの異種領域は生じない。上記に定義される用語「DNA構築物」はまた、異種領域、特に、細胞の形質転換において使用するために構築されたものを指すためにも使用される。
【0034】
細胞は、そのようなDNAが細胞の内部に導入されている場合、外因性又は異種DNAによって「形質転換されている」又は「トランスフェクトされている」。形質転換DNAは、細胞のゲノムの中に統合(共有結合)されてもよい又はされなくてもよい。たとえば原核生物、酵母、及び哺乳動物細胞において、形質転換DNAは、プラスミドなどのようなエピソームエレメント上に維持されてもよい。真核細胞に関して、安定して形質転換された細胞は、形質転換DNAが染色体複製を通して娘細胞に遺伝するように、形質転換DNAが、染色体の中に統合されるようになった細胞である。この安定性は、形質転換DNAを含有する娘細胞の集団から構成される細胞株又はクローンを確立する真核細胞の能力によって実証される。「クローン」は、有糸分裂によって単一の細胞又は共通祖先に由来する細胞の集団である。「細胞株」は、何世代もの間、in vitroにおいて安定成長が可能な初代細胞のクローンである。
【0035】
突然変異体植物に関して、用語「null突然変異体」又は「機能喪失型の突然変異体」は、遺伝子産物が非機能性となる又はほとんど不在となるようにする突然変異を有する生物又はゲノムDNA配列を示すために使用される。そのような突然変異は、遺伝子のコード及び/又は調節領域において生じてもよく、個々の残基の変化又は核酸の領域の挿入若しくは欠失であってもよい。これらの突然変異はまた、タンパク質が非機能性となる又はほとんど不在となるようにするように、遺伝子及び/又はコードタンパク質を調節してもよい又は制御してもよい他の遺伝子のコード及び/又は調節領域において生じてもよい。
【0036】
「豆」、「種子」、又は「マメ」は、もう1つの顕花植物の植物に発達することができる、繁殖の顕花植物の単位を指す。本明細書において使用されるように、とりわけ、コーヒー植物に関して、用語は、同義的に区別なく使用される。
【0037】
「酵素」は、酵素活性を有するタンパク質である。
【0038】
「ガラクトマンナン前駆物質合成酵素」及び「ガラクトマンナン前駆物質合成遺伝子」は、ガラクトマンナンポリマーの合成に必要とされる前駆物質分子の合成に関与するタンパク質又は酵素及びそれをコードする遺伝子を指す。ガラクトマンナン前駆物質合成酵素は、UDPグルコースピロホスホリラーゼ(UGPP)、UDPグルコース4−エピメラーゼ(UGE)、ホスホマンノムターゼ(PMM)、及びGDPマンノースピロホスホリラーゼ(GMPP)を含む。同様に、ガラクトマンナン前駆物質合成遺伝子は、UGPP、UGE、PMM、及びGMPPをコードする遺伝子を含む。
【0039】
本明細書において使用されるように、用語「植物」は、植物全体、植物器官(たとえば葉、茎、枝、新芽、根)、種子、花粉、植物細胞、植物細胞小器官、及びその稔性子孫を含む子孫への参照を含む。トランスジェニック植物の部分は、たとえば、トランスジェニック植物又はそれらの子孫に由来する植物細胞、プロトプラスト、組織、カルス、胚及び花、茎、枝、種子、花粉、果実、葉、又は根を含むように本発明の範囲内で理解される。
【0040】
範囲は、範囲内のそれぞれ及びすべての値を列挙し、記載する必要を回避するために、省略表現として本明細書において使用される。範囲内のあらゆる適切な値を、より上の値、より低い値、又は範囲の末端として、適切である場合、選択することができる。
【0041】
本明細書において使用されるように、文脈が明確にその他に指示しない限り、単語の単数形は、複数形を含み、その逆も成立する。したがって、指示「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」は、それぞれの用語の複数形を一般に含む。たとえば、「酵素」、「植物」、若しくは「方法」又は「疾患」への言及は、複数のそのような「酵素」、「植物」、又は「方法」を含む。同様に、単語「含む(comprise)」、「含む(comprises)」、及び「含む(comprising)」は、排他的ではなく、包括的に解釈される。同様に、用語「含む(include)」、「含む(including)」、及び「又は」はすべて、そのような解釈が文脈から明確に禁止されない限り、包括的であると解釈される。同様に、用語「例」は、特に用語の列挙が続く場合、単に例示的なものであり、例証となるものであり、排他的又は包括的であると見なされるべきでない。
【0042】
用語「含む」は、用語「〜から本質的に成る」及び「〜から成る」によって包含される実施形態を含むように意図される。同様に、用語「〜から本質的に成る」は、用語「〜から成る」によって包含される実施形態を含むように意図される。
【0043】
本明細書において開示される方法及び組成物並びに他の進歩は、当業者が十分に理解するように、それらは変化し得るので、特定の方法、プロトコール、及び試薬に限定されない。さらに、本明細書において使用される術語は、特定の実施形態を説明する目的のみのためにあり、開示される又は主張されるものの範囲を限定するように意図されず、またそれを限定しない。
【0044】
その他に定義されない限り、技術及び科学用語、当技術分野の用語、並びに本明細書において使用されるアクロニムはすべて、本発明の分野(複数可)における又は用語が使用される分野(複数可)における当業者によって一般に理解される意味を有する。あらゆる組成物、方法、製品、又は本明細書において記載されるものに類似する若しくは等価である他の手段若しくは物質を本発明の実施において使用することができるが、好ましい組成物、方法、製品、又は他の手段若しくは物質が本明細書において記載される。
【0045】
本明細書において引用される又は参照される特許、特許出願、刊行物、技術的な及び/又は学術的な記事、並びに他の参考文献はすべて、法律によって許可される程度まで、参照によって本明細書においてそれらの全体が組み込まれる。それらの参考文献の議論は、単に、その中で成される主張を概説するように意図される。あらゆるそのような特許、特許出願、刊行物、若しくは参考文献又はその任意の部分が、関連する題材である又は先行技術であるといういかなる許可も、成されない。関連する資料又は先行技術としてのそのような特許、特許出願、刊行物、及び他の参考文献のあらゆる主張の正確性及び妥当性に異議を唱える権利は、明確に留保される。
【0046】
説明
ガラクトマンナンは、生コーヒー豆において見つけられる多糖の重要なグループである。特定のこのコーヒーポリマーは、可溶性にするのが困難であることが知られている。したがって、コーヒー豆におけるガラクトマンナンの量を低下させ、それによって、より低い温度で、焙煎されたコーヒーのより高度な溶解性を達成するための方法を見つけることがある種の研究努力の目的である。他の研究目的は、コーヒー豆におけるガラクトマンナンの溶解性を改変し、その結果、大量に存在していても、より低い温度で抽出するのがより容易となることである。これまでに、そのような努力は、ガラクトシルトランスフェラーゼ(GMGTase)、マンナンシンターゼ(ManS)、及びマンナナーゼを使用して、ガラクトマンナン合成及び分解に関与する酵素の量又は活性を改変することに集中してきた。他のより包括的な努力により、事例研究としてコフィア・アラビカを使用して、多数の代謝経路の間の関係を決定することが試みられてきたが、特にガラクトマンナン経路に集中していなかった(Joet et al.,April 2009,New Phytol.182(1),146−162)。
【0047】
本発明は、部分的に、発明者の見識から生じる。コーヒー豆内のガラクトマンナン含有量又は構造はまた、合成酵素(GMGTase及びManS)に対する、基質又は上流の中間体、つまり、マンノース1−ホスフェート、GDPマンノース、UDPグルコース、及びUDPガラクトースの有効性を改変することによって調整されてもよい。さらに、発明者らは、(1)UDPグルコースへのグルコース1−リン酸の変換を触媒するUDPグルコースピロホスホリラーゼ(UGPP);(2)UDPガラクトースへのUDPグルコースの変換を触媒するUDPグルコース4−エピメラーゼ(UGE);(3)マンノース1−ホスフェートへのマンノース6−リン酸の変換を触媒するホスホマンノムターゼ(PMM);及び(4)GDPマンノースへのマンノース−1−ホスフェートの変換を触媒するGDPマンノースピロホスホリラーゼ(GMPP)を含む、これらの前駆物質の形成に関与する酵素の量又は活性を調整することによって、生物学的レベルでこれを達成することができることを十分に理解した。
【0048】
下記に詳細に記載されるように、発明者らは、これらの遺伝子に対するコフィア・カネフォラcDNAを単離し、コーヒーチェリーの発育の間に及び他のいくつかのコーヒー組織において発現を決定した。ガラクトマンナンレベル及び/又はコーヒーの溶解性を調整することを目的とした、ガラクトマンナン前駆物質合成を調整するためにこれらの遺伝子及びそれらのコード酵素を利用するための方法もまた、開発した。
【0049】
ポリヌクレオチド及びポリペプチド:
本発明の一態様は、ガラクトマンナン前駆物質の合成に関与する酵素をコードする、コーヒー由来の核酸分子を特徴とする。これらは、UDPグルコースピロホスホリラーゼ(UGPP)、GDPマンノースピロホスホリラーゼ(GMPP)、ホスホマンノムターゼ(PMM)、及びUDPグルコース4−エピメラーゼ(UGE)を含み、時に、まとめて「ガラクトマンナン前駆物質合成酵素」と呼ばれる。コフィア・カネフォラ由来の完全なUGPPをコードするcDNAは、配列番号1として本明細書において記載され、CcUGPPと呼ばれる。コフィア・カネフォラ由来の完全なGMPPをコードするcDNAは、配列番号2として本明細書において記載され、CcGMPPと呼ばれる。コフィア・カネフォラ由来の完全なPMMをコードするcDNAは、配列番号3として本明細書において記載され、CcPMMと呼ばれる。コフィア・カネフォラ由来の完全なUGEをコードする2つのcDNAは、配列番号4及び配列番号5として本明細書において記載され、それぞれ、CcUGE1及びCcUGE5と呼ばれる。
【0050】
本発明の他の態様は、これらの核酸分子の発現によって産生されるタンパク質を特徴とする。配列番号1の翻訳によって産生されるCcUGPPタンパク質の推定されるアミノ酸配列は、配列番号6として本明細書において記載される。配列番号2の翻訳によって産生されるCcGMPPタンパク質の推定されるアミノ酸配列は、配列番号7として本明細書において記載される。配列番号3の翻訳によって産生されるCcPMMタンパク質の推定されるアミノ酸配列は、配列番号8として本明細書において記載される。配列番号4及び配列番号5の翻訳によって産生されるCcUGE1及びCcUGE5のタンパク質の推定されるアミノ酸配列は、それぞれ、配列番号9及び配列番号10として本明細書において記載される。
【0051】
コフィア・カネフォラ由来のガラクトマンナン前駆物質合成ポリヌクレオチド及び酵素は、本明細書において例示されるが、本発明は、下記に記載される目的のために、コフィア・カネフォラポリヌクレオチド及びタンパク質と区別なく使用されるほど十分に類似している、他のコフィア属種由来の核酸及びコードタンパク質を包含するように意図される。したがって、ガラクトマンナン前駆物質合成酵素「UDPグルコースピロホスホリラーゼ」(「UGPP」)、「GDPマンノースピロホスホリラーゼ」(「GMPP」)、「ホスホマンノムターゼ」(「PMM」)、及び「UDPグルコース4−エピメラーゼ」(「UGE」)が、本明細書において言及される場合、これらの用語は、特に別記されない限り、本明細書において記載される一般的な物理的な、生化学的な、及び機能的な特徴を有するコーヒー属のUGPP、GMPP、PMM、及びUGE並びにそれらをコードするポリヌクレオチドをすべて包含するように意図される。
【0052】
それらの配列に関して考慮すると、本発明のUGPP、GMPP、PMM、及びUGEポリヌクレオチドは、異なる様々なコフィア・カネフォラ及びコフィア・アラビカにおいて見つけられるであろう、配列番号1〜5の対立遺伝子変異体及び天然の突然変異体並びにコフィア・アラビカを含むが、これらに限定されない様々なコーヒー種において見つけられるであろう、配列番号1〜5の変異体、天然の突然変異体、及び相同体を含む。特定の実施形態では、コフィア・アラビカ由来の変異体、突然変異体、及び相同体が、用いられる。そのような変異体及び相同体が、ヌクレオチド及びアミノ酸配列においてある種の差異を有することが予想されるので、適したガラクトマンナン前駆物質合成ポリペプチドは、それぞれ、配列番号6〜10のポリペプチドと、少なくとも約80%又は81%又は82%又は83%又は84%又は85%又は86%又は87%又は88%又は89%又は90%又は91%又は92%又は93%又は94%又は95%又は96%又は97%又は98%又は99%の同一性を有するものを含む。様々なコーヒー品種及び種におけるこれらの酵素及びそれらをコードする遺伝子の中で存在するであろう天然の配列変異のために、当業者は、本発明のポリペプチド及びポリヌクレオチドの特有の特性をなお維持するが、このレベルの変異を見つけることを予想するであろう。そのような予想は、部分的に、遺伝子コードの縮重及び保存的アミノ酸配列変異の知られている進化の結果によるものであり、これらは、コードタンパク質の特徴をあまり改変しない。
【0053】
コフィア・カネフォラガラクトマンナン前駆物質酵素は、非保存配列を有するタンパク質の領域によって他の種由来のオルソログとさらに区別することができる。それぞれのCcUGPP、CcGMPP、CcPMM、CcUGE1、及びCcUGE5についての特有の又は非保存配列は、下記に記載される(単一の残基は、それだけで記載される;2つ以上の配列の隣接する配列は、2つの残基の間にハイフンを用いて示される;たとえば、「1−8」は、隣接残基1〜8(両端を含む)を意味する)。
【0054】
【表1】

【0055】
ポリヌクレオチド及びポリペプチド:
本発明の核酸分子は、2つの一般的な方法によって調製されてもよい:(1)それらは、適切なヌクレオチド三リン酸から合成されてもよい又は(2)それらは、生物学的供給源から単離されてもよい。両方の方法は、当技術分野においてよく知られているプロトコールを利用する。
【0056】
配列番号1〜5を有するcDNAなどのようなヌクレオチド配列情報を入手できることにより、オリゴヌクレオチド合成による単離核酸分子の調製を可能にする。合成オリゴヌクレオチドは、Applied Biosystems 38A DNA Synthesizer又は類似するデバイスにおいて用いられるホスホラミダイト法によって調製されてもよい。結果として生ずる構築物は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)などのような当技術分野において知られている方法に従って精製されてもよい。
【0057】
ガラクトマンナン前駆物質合成ポリヌクレオチドのコード及び/又は調節領域の一部又はすべてと適切なレベルの配列相同性を有する核酸は、適切なストリンジェンシーのハイブリダイゼーション及び洗浄条件を使用することによって同定されてもよい。前述の戦略はまた、ゲノム配列に適用される場合、酵素コード配列の単離を可能にすることに加えて、調節配列が、それら自体、適したハイブリダイゼーションを可能にするのに十分な相同性を共有し得なくても、ガラクトマンナン前駆物質合成遺伝子と関連するプロモーター及び他の遺伝子調節配列の単離をも可能にすることが、当業者らによって十分に理解されるであろう。
【0058】
典型的な例証として、ハイブリダイゼーションは、5×SSC、5×デンハート試薬、1.0%SDS、100μg/ml変性断片化サケ精子DNA、0.05%ピロリン酸ナトリウム、及び50%までのホルムアミドを含むハイブリダイゼーション溶液を使用して実行されてもよい。ハイブリダイゼーションは、少なくとも6時間、37〜42℃で実行される。ハイブリダイゼーションに続いて、フィルターは、以下のように洗浄される:(1)2×SSC及び1%SDS中で室温で5分間;(2)2×SSC及び0.1%SDS中で室温で15分間;(3)2×SSC及び0.1%SDS中で37℃で30分間〜1時間;(4)30分間ごとに溶液を交換して、2×SSC及び0.1%SDS中で45〜55℃で2時間。
【0059】
特定される配列相同性の核酸分子の間のハイブリダイゼーションを達成するために必要とされるストリンジェンシー条件を計算するための1つの一般的な式(Sambrook et al.,1989,Molecular Cloning,A Laboratory Manual(2nd Ed.);Cold Spring Harbor)は、
Tm=81.5℃+16.6Log[Na+]+0.41(%G+C)−0.63(ホルムアミド%)−600/二重鎖における#bp
【0060】
42%のGC含有量及び200塩基の平均プローブサイズと共に、[Na+]=[0.368]及び50%ホルムアミドを使用する上記の式の例証として、Tmは、57℃となる。DNA二重鎖のTmは、相同性における1%の減少と共に1〜1.5℃ずつ減少する。したがって、約75%超の配列同一性を有する標的は、42℃のハイブリダイゼーション温度を使用して観察されるであろう。一実施形態では、ハイブリダイゼーションは、37℃であり、最終洗浄は、42℃であり、他の実施形態では、ハイブリダイゼーションは、42℃であり、最終洗浄は、50℃であり、さらに他の実施形態では、上記のハイブリダイゼーション及び洗浄溶液と共に、ハイブリダイゼーションは、42℃であり、最終洗浄は、65℃である。高度なストリンジェンシーの条件は、上記のハイブリダイゼーション溶液における42℃でのハイブリダイゼーション並びに10分間、0.1×SSC及び0.1%SDS中での65℃での最終洗浄を含む。
【0061】
核酸は、任意の好都合なクローニングベクター中でDNAとして維持されてもよい。好ましい実施形態では、クローンは、すべて、適した大腸菌(E.coli)宿主細胞において増えることができる、pGEM−T(Promega Biotech、Madison、WI)、pBluescript(Stratagene、La Jolla、CA)、pCR4−TOPO(Invitrogen、Carlsbad、CA)、又はpET28a+(Novagen、Madison、WI)などのようなプラスミドクローニング/発現ベクター中で維持される。
【0062】
本発明の核酸分子は、一本鎖、二本鎖、又はさらに三本鎖であってもよいcDNA、ゲノムDNA、RNA、及びその断片を含む。したがって、本発明は、本発明の核酸分子の少なくとも1つの配列とハイブリダイズすることができる配列を有するオリゴヌクレオチド(DNA又はRNAのセンス又はアンチセンス鎖)を提供する。そのようなオリゴヌクレオチドは、たとえばPCR増幅によって植物組織の試験試料におけるガラクトマンナン前駆物質合成遺伝子若しくはmRNAを検出するための又はタンパク質へのmRNAの翻訳時の若しくは前の、ガラクトマンナン前駆物質合成酵素の発現の正の若しくは負の調節のためのプローブとして有用である。オリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチドがそのようなアッセイのためのプローブとして利用されてもよい方法は、(1)in situハイブリダイゼーション;(2)サザンハイブリダイゼーション、(3)ノーザンハイブリダイゼーション、並びに(4)ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCRを含むPCR)及びリガーゼ連鎖反応(LCR)などのような種々の増幅反応を含むが、これらに限定されない。
【0063】
任意選択で、オリゴヌクレオチドは、それらのポリヌクレオチドに特有である、つまり、他の種由来のオルソログよりもコーヒー属ポリヌクレオチドとハイブリダイズする可能性が高い、ガラクトマンナン前駆物質酵素コードポリヌクレオチドの領域を含むように構築されてもよい。この様式で標的にするのに適している領域は、上記に記載されるように、コードタンパク質のそれぞれについて特有の領域又は非保存領域をコードする領域を含む。
【0064】
本発明の核酸分子の少なくとも1つの配列とハイブリダイズすることができる配列を有するオリゴヌクレオチドは、アンチセンスオリゴヌクレオチドを含む。翻訳にとって決定的なmRNAの特異的な領域を標的にするアンチセンスオリゴヌクレオチドが、利用されてもよい。あらかじめ決定された遺伝子の発現レベルを減少させるためのアンチセンス分子の使用は、当技術分野において知られている。アンチセンス分子は、転写に際して、アンチセンスRNA配列を産生するDNA構築物を用いて植物細胞を形質転換することによってin situに提供されてもよい。そのような構築物は、完全長の又は部分的なアンチセンス配列を産生するように設計することができる。この遺伝子サイレンシング効果は、多量のdsRNAが産生されるように、遺伝子コード配列のセンス及びアンチセンスRNAの両方をトランスジェニックで過剰産生することによって増強することができる。この点に関して、少なくとも1つのイントロンの一部又はすべてに対応する配列を含有するdsRNAは、特に有効であることが分かっている。一実施形態では、適切なアンチセンス鎖の一部又はすべては、導入遺伝子によって発現される。他の実施形態では、遺伝子は、市販で入手可能な材料及び方法(たとえばInvitrogen,Inc.、Carlsbad CA)を使用して、低分子干渉RNA(siRNA)又はマイクロRNA(miRNA)の使用によって沈黙させてもよい。
【0065】
ポリペプチドは、知られている方法に従って様々な方法において調製されてもよい。in situにおいて産生される場合、ポリペプチドは、適切な供給源、たとえば種子、果皮、他の植物の部分から精製されてもよい。その代わりに、ポリペプチドをコードする核酸分子を入手できることにより、当技術分野において知られているin vitroにおける発現方法を使用する、タンパク質の産生を可能にする。
【0066】
たとえば、多量のポリペプチドは、適した原核生物又は真核生物系における発現によって産生されてもよい。たとえば、配列番号1〜5のいずれかを有するcDNAなどのようなDNA分子の一部又はすべては、細菌細胞(大腸菌など)若しくは酵母細胞(出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)など)における発現に適したプラスミドベクターの中に又は昆虫細胞における発現のためのバキュロウイルスベクターの中に挿入されてもよい。そのようなベクターは、宿主細胞におけるDNAの発現を可能にするような様式で位置する、宿主細胞におけるDNAの発現に必要な調節エレメントを含む。発現に必要とされるそのような調節エレメントは、プロモーター配列、転写開始配列、及び任意選択でエンハンサー配列を含む。
【0067】
組換え原核生物又は真核生物系における遺伝子発現によって産生されるポリペプチドは、当技術分野において知られている方法に従って精製されてもよい。好ましい実施形態では、市販で入手可能な発現/分泌系を使用することができ、それによって、組換えタンパク質を発現させ、その後、宿主細胞から分泌され、その後、周囲の培地から精製される。代替アプローチは、たとえば、組換えタンパク質に特異的に結合する抗体を用いる免疫学的相互作用を介して、親和性分離によって、組換えタンパク質を精製することを含む。前述の方法によって調製される本発明のポリペプチドは、標準的な手順に従って分析されてもよい。
【0068】
コーヒーから精製される又は組換えで産生されるポリペプチドは、知られている方法に従って、本明細書において定義されるポリクローナル若しくはモノクローナル抗体、抗体断片、又は誘導体を生成するために使用されてもよい。任意選択で、それぞれのタンパク質の非保存領域に対応する合成ペプチドに対して作製される抗体を生成することができる。
【0069】
ベクター、キット、及びトランスジェニック生物:
センス又はアンチセンス配向において、ガラクトマンナン前駆物質合成ポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、その変異体、siRNA、miRNA、又は適切なプロモーター及び他の調節配列の制御下のレポーター遺伝子及び他の構築物を含有するトランスジェニック宿主細胞を産生するためのベクター及びキットもまた、本発明に従って特徴とされる。適した宿主細胞は、植物細胞、細菌細胞、酵母、及び他の真菌細胞、昆虫細胞、並びに哺乳動物細胞を含むが、これらに限定されない。種々様々のこれらの宿主細胞を形質転換するためのベクターは、当業者らによく知られている。それらは、プラスミド、コスミド、バキュロウイルス、バクミド、バクテリア人工染色体(BAC)、酵母人工染色体(YAC)、並びに他の細菌、酵母、及びウイルスベクターを含むが、これらに限定されない。典型的に、トランスジェニック宿主細胞を産生するためのキットは、1つ又は複数の適切なベクター及びベクターを使用してトランスジェニック細胞を産生するための説明書を含有するであろう。キットは、少数の例を挙げると、細胞を培養するための培地、細胞の形質転換を実行するための試薬、及び遺伝子発現についてトランスジェニック細胞を試験するための試薬などのような、1つ又は複数のさらなる構成成分をさらに含んでいてもよい。
【0070】
本発明は、植物の内因性ガラクトマンナン前駆物質合成酵素のうちの1つ又は複数の産生又は機能を阻害する、アンチセンス、siRNA、又はmiRNAなどのような、ガラクトマンナン前駆物質合成ポリヌクレオチド又は核酸配列の1コピー又は複数コピーを含むトランスジェニック植物を含む。これは、下記に記載されるように、天然又は組換え調節配列によって制御される、RNA、siRNA、又はmiRNAを含む、ガラクトマンナン前駆物質合成酵素コード配列又はその突然変異体、アンチセンス、若しくは変異体の一部又はすべてを含む導入遺伝子を用いて植物細胞を形質転換することによって達成される。トランスジェニックコーヒー種は、限定を伴うことなく、コフィア・アベオクタ(C.abeokutae)、コフィア・アラビカ、コフィア・アルノルディアナ(C.arnoldiana)、コフィア・アルウエミエンシス(C.aruwemiensis)、コフィア・ベンガル(C.bengalensis)、コフィア・カネフォラ、コフィア・コンゲンシス(C.congensis)、コフィア・デウェブレイ(C.Dewevrei)、コフィア・エクセルサ(C.excelsa)、コフィア・ユージノイデス(C.eugenioides)、コフィア・ヘテロカリクス(C.heterocalyx)、コフィア・カパカタ(C.kapakata)、コフィア・ハイシアナ(C.khasiana)、コフィア・リベリア(C.liberica)、コフィア・モロウンドウ(C.moloundou)、コフィア・ラセモサ(C.rasemosa)、コフィア・サルバトリックス(C.salvatrix)、コフィア・セシフローラ(C.sessiflora)、コフィア・ステノフィラ(C.stenophylla)、コフィア・トラベンコレンシス(C.travencorensis)、コフィア・ワイティアナ(C.wightiana)、及びコフィア・ザングエバリア(C.zanguebariae)を含む。下記に記載される方法が、他の種におけるガラクトマンナン含有量を調整する際に特に有利であるかもしれないので、任意の種の植物もまた、本発明において含まれる。そのような種は、タバコ、アラビドプシス、及び他の「実験に適した」種、トウモロコシ、コムギ、イネ、ダイズ、オオムギ、ライムギ、カラスムギ、モロコシ、アルファルファ、クローバなどのような禾穀類、アブラナ、ベニバナ、ヒマワリ、ピーナッツ、カカオなどのような油を産生する植物、トマト、オオブドウホオズキ、ジャガイモ、コショウ、ナス、サトウダイコン、ニンジン、キュウリ、レタス、エンドウなどのような野菜作物、アスター、ベゴニア、キク、ヒエンソウ、ツクバネアサガオ、ヒャクニチソウ、芝生、及び芝草などのような園芸用植物などを含むが、これらに限定されない。
【0071】
トランスジェニック植物は、当業者らに知られている標準的な植物形質転換方法を使用して生成することができる。これらは、アグロバクテリウム(Agrobacterium)ベクター、プロトプラストのポリエチレングリコール処理、微粒子銃DNA送達、UVレーザミクロ電子放射線、ジェミニウイルスベクター又は他の植物ウイルスベクター、プロトプラストのリン酸カルシウム処理、単離プロトプラストのエレクトロポレーション、形質転換DNAを用いてコーティングされたマイクロビーズとの溶液中での細胞懸濁液の撹拌、形質転換DNAを用いてコーティングされたシリコーンファイバーとの溶液中での細胞懸濁液の撹拌、直接的なDNA取り込み、リポソーム媒介性のDNA取り込みなどを含むが、これらに限定されない。そのような方法は、当技術分野においてよく知られている。
【0072】
形質転換の方法は、形質転換されることとなる植物に依存する。アグロバクテリウムベクターは、双子葉植物種を形質転換するために使用されることが多い。アグロバクテリウムバイナリーベクターは、BIN19及びその誘導体、pBIベクターシリーズ、並びにバイナリーベクターpGA482、pGA492、pLH7000(GenBank Accession AY234330)、及びpCAMBIAベクターのうちの任意の適した1つ(CAMBIA,GPO Box 3200,Canberra ACT 2601,Australiaから又はCAMBIA.orgのワールドワイドウェブを介して入手可能である、Hajdukiewicz et al.,1994,Plant Mol Biol 25,989−994によって構築されたpPZPベクターに由来)を含むが、これらに限定されない。単子葉植物種の形質転換については、形質転換DNAを用いてコーティングされた粒子及び形質転換DNAを用いてコーティングされたシリコーンファイバーを用いる微粒子銃衝撃は、核の形質転換に有用であることが多い。その代わりに、アグロバクテリウム「スーパーバイナリー」ベクターは、イネ、トウモロコシ、及び様々な他の単子葉植物種の形質転換のためにうまく使用されてきた。
【0073】
選択された植物を形質転換するためのDNA構築物は、適切な5’(たとえばプロモーター及び翻訳調節配列)並びに3’調節配列(たとえばターミネーター)に作動可能に連結された、対象のコード配列を含む。一実施形態では、それ自体の5’及び3’調節エレメントの制御下のガラクトマンナン前駆物質合成コード配列を利用することができる。他の実施形態では、ガラクトマンナン前駆物質合成コード配列及び調節配列は、形質転換植物の多糖プロファイルを改変するために交換される。
【0074】
代替の実施形態では、遺伝子のコード領域は、カリフラワーモザイクウイルス(CaMV)35Sプロモーター又はゴマノハグサモザイクウイルス35Sプロモーターなどのような強力な恒常的プロモーター下に配置される。本発明において使用するために企図される他の恒常的プロモーターは、T−DNAマンノピンシンテターゼ、ノパリンシンターゼ、及びオクトピンシンターゼプロモーターを含むが、これらに限定されない。他の実施形態では、強力な単子葉植物プロモーター、たとえばトウモロコシユビキチンプロモーター、イネアクチンプロモーター、又はイネチューブリンプロモーターが使用される(Jeon et al.,2000,Plant Physiology 123,1005−14)。
【0075】
誘発性のプロモーター下でガラクトマンナン前駆物質合成酵素コード配列を発現させるトランスジェニック植物もまた、本発明の範囲内にあると企図される。誘発性の植物プロモーターは、少数の例を挙げると、テトラサイクリンリプレッサー/オペレーター制御プロモーター、熱ショック遺伝子プロモーター、ストレス(たとえば創傷)誘発性プロモーター、防御応答性遺伝子プロモーター(たとえばフェニルアラニンアンモニアリアーゼ遺伝子)、創傷誘発性遺伝子プロモーター(たとえばヒドロキシプロリンリッチ細胞壁タンパク質遺伝子)、化学的誘発性遺伝子プロモーター(たとえば硝酸レダクターゼ遺伝子、グルカナーゼ遺伝子、キチナーゼ遺伝子など)、及び濃誘発性遺伝子プロモーター(たとえばアスパラギンシンテターゼ遺伝子)を含む。
【0076】
組織特異的及び発育特異的プロモーターもまた、本発明において使用するために企図される。種子特異的プロモーターの非限定的な例は、Cim1(サイトカイニン誘発性メッセージ)、cZ19B1(トウモロコシ19kDaゼイン)、milps(ミオイノシトール−1−ホスフェートシンターゼ)、及びcelA(セルロースシンターゼ)(米国特許第6,225,529号)、マメベータファゼオリン、napin、ベータコングリシニン、ダイズレクチン、クルシフェリン、トウモロコシ15kDaゼイン、22kDaゼイン、27kDaゼイン、g−ゼイン、waxy、shrunken1、shrunken2、グロブリン1、ダイズ11Sレグミン、並びにコフィア・カネフォラ11S種子貯蔵タンパク質を含む。end1及びend2遺伝子由来の、種子にとって好ましいプロモーターが開示されるWO00/12733もまた参照されたい。WO2007/005928において記載されるオレオシ遺伝子プロモーター、WO2007/005980において記載されるデヒドリン遺伝子プロモーター、WO2007/028115において記載される9−シス−エポキシカロテノイドジオキシゲナーゼ遺伝子プロモーターを含む、他のコーヒー属種子特異的プロモーターもまた、利用されてもよい。他の組織特異的プロモーターの例は、光合成組織における発現のためのリブロースビスリン酸カルボキシラーゼ(RuBisCo)小サブユニット遺伝子プロモーター(たとえばMarraccini et al.に対する米国特許第7,153,953号)又はクロロフィルa/b結合タンパク質(CAB)遺伝子プロモーター及び根における発現が所望される場合の根特異的グルタミンシンテターゼ遺伝子プロモーターを含むが、これらに限定されない。
【0077】
コード領域はまた、適切な3’調節配列に作動可能に連結される。天然の3’調節配列が使用されない実施形態では、ノパリンシンテターゼポリアデニル化領域が、使用されてもよい。他の有用な3’調節領域は、オクトピンシンターゼポリアデニル化領域を含むが、これに限定されない。
【0078】
適切な調節エレメントの制御下の選択されるコード領域は、カナマイシン抵抗性などのような薬剤抵抗性マーカーに作動可能に連結される。他の有用な選択可能なマーカー系は、抗生物質又は除草剤抵抗性(たとえばヒグロマイシン、スルホニル尿素、ホスフィノトリシン、若しくはグリホセートに対する抵抗性)を与える遺伝子又は選択的な成長を与える遺伝子(たとえばマンノース上での植物細胞の成長を可能にするホスホマンノースイソメラーゼ)を含む。選択マーカー遺伝子は、限定を伴うことなく、ネオマイシンホスホトランスフェラーゼII(NEO)、ジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)、及びヒグロマイシンホスホトランスフェラーゼ(HPT)をコードするものなどのような抗生物質抵抗性をコードする遺伝子並びにグリホセート抵抗性EPSPS及び/又はグリホセートオキシドレダクターゼ(GOX)などのような、除草剤化合物に対する抵抗性を与える遺伝子、ブロモキシニルに対する抵抗性についてのブロモキシニルニトリラーゼ(BXN)、イミダゾリノンに対する抵抗性についてのAHAS遺伝子、スルホニル尿素抵抗性遺伝子、並びに2,4−ジクロロフェノキシ酢酸(2,4−D)抵抗性遺伝子を含む。
【0079】
ある実施形態では、本発明によって包含されるプロモーター及び他の発現調節配列は、レポーター遺伝子に作動可能に連結される。本発明において使用するために企図されるレポーター遺伝子は、緑色蛍光タンパク質(GFP)、赤色蛍光タンパク質(DsRed)、シアン蛍光タンパク質(CFP)、黄色蛍光タンパク質(YFP)、セリアンサスオレンジ(Cerianthus Orange)蛍光タンパク質(cOFP)、アルカリホスファターゼ(AP)、β−ラクタマーゼ、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)、アデノシンデアミナーゼ(ADA)、アミノグリコシドホスホトランスフェラーゼ(neo(登録商標)、G418(登録商標))、ジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)、ヒグロマイシンBホスホトランスフェラーゼ(HPH)、チミジンキナーゼ(TK)、lacZ(α−ガラクトシダーゼをコードする)、及びキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(XGPRT)、ベータ−グルクロニダーゼ(gus)、胎盤アルカリホスファターゼ(PLAP)、分泌胚アルカリホスファターゼ、(SEAP)、又はホタル若しくは細菌ルシフェラーゼ(LUC)をコードする遺伝子を含むが、これらに限定されない。本発明の実施と関連する多くの標準的な手順のように、当業者は、マーカー又はレポーターの機能を果たすことができるさらなる配列に気づくであろう。
【0080】
さらなる配列修飾は、細胞の宿主において遺伝子発現を増強することが当技術分野において知られている。これらの修飾は、余分なポリアデニル化シグナル、エキソン−イントロンスプライス部位シグナル、トランスポゾン様のリピート、及び遺伝子発現に有害となり得る他のそのような十分に特徴付けられた配列をコードする配列の排除を含む。その代わりに、必要ならば、コード配列のG/C含有量は、コーヒー植物細胞において発現される、知られている遺伝子に対する参照によって計算されるように、所与のコーヒー植物細胞宿主について平均的なレベルに調節されてもよい。また、可能な場合、コード配列は、推定されるヘアピン二次mRNAの構造を避けるように修飾される。遺伝子発現を増強するための他の代案は、5’リーダー配列を使用することである。翻訳リーダー配列は、当技術分野においてよく知られており、タバコモザイクウイルスの5’リーダー配列(オメガ)のシス作用性誘導体(オメガ’)、ブロムモザイクウイルス、アルファルファモザイクウイルス、及びカブ黄斑モザイクウイルス由来の5’リーダー配列を含む。
【0081】
植物は、形質転換され、その後、導入遺伝子産物、導入遺伝子コードmRNAの存在又は導入遺伝子の発現又は内因性遺伝子の発現を減少させるように設計された配列、たとえばアンチセンス、siRNA、若しくはmiRNAの発現と関連する改変された表現型を含む、1つ又は複数の特性についてスクリーニングされる。形質転換植物における導入遺伝子の発現の量並びに発現の組織特異的及び一時的特異的パターンは、核ゲノムの中へのそれらの挿入の位置に依存して変化し得ることが認識されるべきである。そのような位置の影響は、当技術分野においてよく知られている。この理由で、いくつかの核形質転換体は、導入遺伝子の発現について再現され、且つ試験されるべきである。
【0082】
方法:
本発明の核酸及びポリペプチドは、多くの方法のいずれか1つにおいて使用することができる。それによって、コーヒー植物におけるガラクトマンナン前駆物質合成酵素のうちの1つ又は複数の産生又は活性は、たとえば、マメの製品品質における改善のための様々な表現型の形質に影響を与えるように調整することができる。たとえば、ガラクトマンナン含有量の減少又はガラクトマンナン構造の改変は、インスタントコーヒーを作製するプロセスにおいて固体の回収を大幅に改善することが予想される。ガラクトマンナン含有量の増加は、植物の他の部分にとって又は他の植物種にとって同様に望ましいかもしれない。
【0083】
コーヒー豆ガラクトマンナン含有量若しくは構造又は他の特徴の改善は、(1)典型的な交配又は(2)遺伝子工学技術によって及びこれらの2つのアプローチを組み合わせることによって得ることができる。両方のアプローチは、本発明に従って、コーヒーにおけるガラクトマンナン前駆物質合成酵素UGPP、GMPP、PMM、及び/又はUGEをコードするポリヌクレオチドの単離及び特徴付けによってかなり改善された。たとえば、UGPP、GMPP、PMM、及び/又はUGEコード遺伝子は、遺伝学的にマッピングされてもよく、ガラクトマンナン含有量又は構造に関与する量的形質遺伝子座(QTL)を同定することができる。次いで、そのようなQTLが、UGPP、GMPP、PMM、又はUGE関連遺伝子の位置と相関するかどうかを決定することが可能となるであろう。ガラクトマンナン前駆物質のレベルに影響を与える遺伝子についての対立遺伝子(ハプロタイプ)もまた、同定され、特異的なハプロタイプの存在が、ガラクトマンナン前駆物質合成と強く相関するかどうかを決定するために検査されてもよい。これらのマーカーは、マーカー支援交配プログラムに有利に使用することができる。
【0084】
ガラクトマンナン前駆物質合成に関与するポリヌクレオチドを単離する他の利点は、本発明者らによって本明細書において実証された。これは、高度の及び低度のガラクトマンナン又はガラクトマンナン前駆物質レベルを有する品種におけるコーヒーマメ成熟の間にこれらの遺伝子についての発現データを生成することである。この情報は、成熟マメにおいて増加した又は減少したガラクトマンナンレベルを有する新規なトランスジェニックコーヒー植物の生成を目的とした遺伝子操作において使用するための遺伝子の選択を導くために使用される。
【0085】
一態様では、本発明は、植物、好ましくはコーヒーにおけるガラクトマンナンプロファイルを改変するための方法であって、植物における1つ又は複数のガラクトマンナン前駆物質合成酵素の量又は活性を増加させる又は減少させるステップを含む方法を特徴とする。本発明の特定の実施形態は、UGPP、GMPP、PMM、及び/又はUGEの産生を増加させる又は減少させるための方法を提供する。
【0086】
一実施形態では、コーヒー植物は、コーヒーの様々な組織において、それぞれ、これらの酵素のうちの1つ又は複数を過剰産生する目的のために、配列番号1〜5を含むcDNAなどのような、UGPP、GMPP、PMM、及び/又はUGEコードポリヌクレオチドのうちの1つ又は複数を用いて形質転換することができる。一実施形態では、コーヒー植物は、たとえば、コード配列に機能的に連結された、RuBisCo小サブユニット(SSU)プロモーター又はCaMV35Sプロモーターなどのようなプロモーターの使用を通して、UGPP、GMPP、PMM、及び/又はUGE産生における全般的な増加のために遺伝子操作される。いくつかの実施形態では、コーヒー植物の修飾は、2、3、又はすべてのUGPP、GMPP、PMM、又はUGEを増加させるように遺伝子操作することができる。
【0087】
前述のUGPP、GMPP、PMM、又はUGEコード配列のうちの1つ又は複数を含むトランスジェニック植物はまた、WO2007/047675において記載されるなどのように、ガラクトマンナン合成に直接関与する酵素、つまりマンナンシンターゼ及びガラクトマンナンガラクトシルトランスフェラーゼについてのコード配列を含有していてもよい。それらはまた、ガラクトマンナン分解酵素をコードするRNAを標的にするRNAiコード配列(下記に記載)を任意選択で含有していてもよい。これらの導入遺伝子の1つ又は複数の組み合わせは、ガラクトマンナン分解性酵素の任意選択のダウンレギュレーションと共に、生合成経路において数レベルでガラクトマンナン合成の有効なアップレギュレーションをもたらすはずである。
【0088】
ガラクトマンナン前駆物質のプールを構築する努力に生じ得る1つの状況は、そのような前駆物質が、他の生化学経路に流用され、そのため、ガラクトマンナン合成のために利用可能でなくなり得ることである。そのような状況を回避するための1つの方法は、様々な植物種由来の1つ又は複数のガラクトマンナン前駆物質合成遺伝子を利用することであろう。これは、そのような流用を回避すると予想されるであろう、また、種特異的翻訳及び翻訳後阻害から生じ得る問題を回避するであろう。そのような現象は、植物におけるスクロース代謝において観察されてきた(Privat,et al.,2008,New Phytol.178,781−797)。
【0089】
ガラクトマンナン前駆物質酵素(複数可)の過剰産生を、対象のシンク器官、つまり豆にのみ制限するように設計された他の実施形態では、豆特異的プロモーター、特に、上記に記載されるコーヒー属豆特異的プロモーターのうちの1つが、利用されてもよい。これらのプロモーターは、下記に記載されるように、標的遺伝子の発現をダウンレギュレートするように意図されるポリヌクレオチドの発現を指示するのにも役に立つ。
【0090】
改変されたガラクトマンナン又はガラクトマンナン前駆物質プロファイルを示す植物は、たとえば、ガラクトマンナン前駆物質及び任意選択でガラクトマンナンの形成を測定することによって又は様々な酵素の量若しくは活性を測定することによって、UGPP、GMPP、PMM、及び/又はUGEの天然に存在する変異体についてスクリーニングすることができる。たとえば、機能喪失型の(null)突然変異体植物は、現在入手可能な植物突然変異体の集団から生成されてもよい又は選択されてもよい。突然変異体植物の集団はまた、本明細書において記載される方法のうちの1つ又は複数を利用して、ガラクトマンナン前駆物質合成酵素などのような特定の多糖代謝酵素を過少又は過剰発現する突然変異体についてスクリーニングされてもよいこともまた、当業者らによって十分に理解されるであろう。突然変異体集団は、化学的突然変異誘発、放射線突然変異誘発、及びトランスポゾン若しくはT−DNA挿入又はtargeting induced local lesions in genomes(TILLING、たとえばHenikoff et al.,2004,Plant Physiol.135,630−636;Gilchrist & Haughn,2005,Curr.Opin.Plant Biol.8,211−215を参照されたい)によって作製することができる。突然変異体集団を作製するための方法は、当技術分野においてよく知られている。
【0091】
本発明の核酸は、様々な植物種において、ガラクトマンナン前駆物質合成酵素の突然変異体形態を同定するために使用することができる。トランスポゾン挿入系が利用可能であるトウモロコシ又はアラビドプシスなどのような種において、オリゴヌクレオチドプライマーは、ガラクトマンナン前駆物質合成遺伝子における挿入のための系をスクリーニングするために設計することができる。交配を通して、分断化された遺伝子についてヘテロ接合性又はホモ接合性である植物系を、次いで、発育させてもよい。生合成酵素の完全な切断があまりに有害となり、植物が生存することができないのに対して、部分的な切断は、より望ましい結果をもたらし得るので、ヘテロ接合性は、いくつかの実施形態において、ホモ接合性よりも有用となり得る。
【0092】
本発明の他の実施形態は、豆において、UGPP、GMPP、PMM、及び/又はUGEのうちの1つ又は複数の量又は活性を減少させることによって、コーヒー豆におけるガラクトマンナンを減少させることを含む。これは、様々な方法において達成されてもよい。
【0093】
一実施形態では、植物は、突然変異誘発技術によって生成されるnull突然変異体において見られるものに類似する表現型を示すように遺伝子操作されてもよい。トランスジェニックnull突然変異体は、「ドミナントネガティブ効果」を生成するようにUGPP、GMPP、PMM、及び/又はUGEの突然変異体形態を発現させることによって生成することができる。本発明をいずれか1つのメカニズムに制限するものではないが、この突然変異タンパク質は、相互作用タンパク質又は他の細胞因子について、野生型タンパク質と競合するであろう。この種の「ドミナントネガティブ」効果の例は、昆虫及び脊椎系の両方でよく知られている。
【0094】
他の種類のトランスジェニックnull突然変異体は、「転写後遺伝子サイレンシング」によって、UGPP、GMPP、PMM、及び/又はUGEコードmRNAの翻訳を阻害することによって生成することができる。これらの技術は、植物豆において酵素をダウンレギュレートし、それによって、ガラクトマンナン合成のために利用可能なガラクトマンナン前駆物質の量を減少させるために使用されてもよい。たとえば、ガラクトマンナン前駆物質合成ポリヌクレオチド又はその断片は、コードタンパク質の産生を制御するために利用されてもよい。完全長アンチセンス分子は、この目的のために使用することができる。その代わりに、翻訳にとって決定的なmRNAの特異的領域を標的にするアンチセンスオリゴヌクレオチドが、利用されてもよい。あらかじめ決定された遺伝子の発現レベルを減少させるためのアンチセンス分子の使用は、当技術分野において知られている。アンチセンス分子は、転写に際して、アンチセンスRNA配列を産生するDNA構築物を用いて植物細胞を形質転換することによってin situに提供されてもよい。そのような構築物は、完全長の又は部分的なアンチセンス配列を産生するように設計することができる。この遺伝子サイレンシング効果は、多量のdsRNAが産生されるように、遺伝子コード配列のセンス及びアンチセンスRNAの両方をトランスジェニックで過剰産生することによって増強することができる(たとえば、Waterhouse et al.,1998,Proc Natl Acad Sci USA 95,13959−13964を参照されたい)。この点に関して、少なくとも1つのイントロンの一部又はすべてに対応する配列を含有するdsRNAは、特に有効であることが分かっている。一実施形態では、UGPP、GMPP、PMM、及び/又はUGEコードアンチセンス鎖の一部又はすべては、導入遺伝子によって発現される。
【0095】
他の実施形態では、ガラクトマンナン前駆物質合成遺伝子は、植物系について現在利用可能な様々な他の転写後遺伝子サイレンシング(RNAサイレンシング)技術の使用を通して沈黙させてもよい。RNAサイレンシングは、RNアーゼHベースの酵素(「ダイサー」又は「ダイサー様」)による小さな21〜28ヌクレオチド断片への二本鎖RNA(dsRNA)のプロセシングを含む。siRNA(低分子干渉RNA)又はmiRNA(マイクロRNA)である分解産物は、配列特異的な方式で、遺伝子発現を調節するタンパク質エフェクター複合体の中に組み込まれる(植物におけるRNAサイレンシングの概説については、Horiguchi,2004,Differentiation 72,65−73;Baulcombe,2004,Nature 431,356−363;Herr,2004,Biochem.Soc.Trans.32,946−951を参照されたい)。siRNAは、その標的と完全に塩基対形成し、標的RNAを切断することによって発現を低下させると考えられる。それに比べて、miRNAは、最も多くの場合メッセージの3’非コード領域の内の標的mRNAと不完全な塩基対二重鎖を形成することによって遺伝子発現を調節する。一般に、miRNAは、標的mRNAの翻訳を阻害するが、いくつかの場合において、それらはまた、標的mRNAの半減期、そのためそのレベルを低下させ得る。
【0096】
低分子干渉RNA又はマイクロRNAは、化学的に合成され又はin vitroにおいて転写され、且つ増幅され、次いで細胞に送達されてもよい。送達は、マイクロインジェクション、化学的トランスフェクション、エレクトロポレーション、若しくは陽イオンリポソーム媒介性トランスフェクション、又は当業者によって十分に理解されるであろう、当技術分野において入手可能な任意の他の手段を通してのものであってもよい。その代わりに、miRNA又はsiRNAは、たとえばプラスミドの手段によって、対象の細胞の中にmiRNA又はsiRNAについてのDNA鋳型を挿入することによって細胞内で発現させてもよく、細胞を選択するために特異的に標的にされてもよい。低分子干渉RNAは、植物の中にうまく導入されてきた。
【0097】
本発明におけるRNAサイレンシングの好ましい方法は、低分子ヘアピンRNA(shRNA)の使用である。特定の所望のsiRNA配列をコードするDNA配列を含有するベクターは、任意の一般的な手段によって標的細胞の中に送達される。一度、細胞において、DNA配列が、それら自体とループするRNA分子に継続的に転写されると、分子内塩基対形成を通してヘアピン構造を形成する。これらのヘアピン構造は、一度、細胞によって処理されると、siRNA分子に相当し、所望のタンパク質のRNAサイレンシングを媒介するように細胞によって使用される。植物におけるRNAサイレンシングについての特定の有用性の様々な構築物は、Horiguchi,2004、前掲によって記載されている。典型的に、そのような構築物は、プロモーター、「センス」配向で沈黙させられることとなる標的遺伝子の配列、スペーサー、標的遺伝子配列のアンチセンス、及びターミネーターを含む。
【0098】
しかし、他のタイプの合成null突然変異体もまた、「同時抑制」の技術によって生成することができる(Vaucheret et al.,1998,Plant J.16,651−659)。植物細胞は、抑圧のために標的にされる内因性遺伝子のコピーを用いて形質転換される。多くの場合において、これは、天然の遺伝子及び導入遺伝子の完全な抑圧をもたらす。一実施形態では、対象の植物種由来のガラクトマンナン前駆物質合成遺伝子は、単離され、その同じ種の細胞を形質転換するために使用される。
【0099】
前述の技術のいずれも、UGPP、GMPP、PMM、又はUGEコード配列にのみ適用されてもよいのではなく、ガラクトマンナン合成に直接関与する酵素、つまり、WO2007/047675において記載されるものなどのような、マンナンシンターゼ及びガラクトマンナンガラクトシルトランスフェラーゼについてのコード配列の発現を阻害することもまた、含んでいてもよい。技術は、任意選択で、選択される組織におけるガラクトマンナン分解を加速するために、1つ又は複数のマンナナーゼの過剰発現と組み合わせられてもよい。これらの導入遺伝子の1つ又は複数の組み合わせは、ガラクトマンナン分解性酵素の任意選択のアップレギュレーションと共に、生合成経路において数レベルでガラクトマンナン合成の有効なダウンレギュレーションをもたらすはずである。
【0100】
前述の翻訳阻害技術の適用における重要な考慮は、そのような阻害のタイミングである。適切なタイミングでコーヒー種子において発現されるガラクトマンナン前駆物質合成遺伝子のうちの1つ又は複数を選択し、次いで、その遺伝子の発現を低下させるようにRNAi構築物を設計することは有利である。遺伝子制御は、発育特異的であるだけではなく、組織特異的、たとえば豆特異的、任意選択で、豆の選択される部分に対してやや特異的(sub−specific)でもあるべきである。実施例4において記載されるCcUGPP、CcGMPP、CcPMM、及びCcUGEについての遺伝子発現データは、そのようなパラメーターに基づいて選択を行う目的で有用である。たとえば、4つの遺伝子についての豆発現データは、2つの「上流」の方の遺伝子、UGPP及びPMMが、豆発育の段階にわたり比較的均一の様式で発現されるが、下流の遺伝子、UGE及び特にGMPPが、やや、より発育に関連するプロファイルを示したことを示し(特に、GMPP発現は、発育の後期の段階において減少することが観察された)、それらの発現が、ガラクトマンナン合成並びに他のUDPガラクトース及びGDPマンノースの反応の実際の必要性をより厳密に反映し得ることを示す。したがって、本発明の一実施形態は、それらの発現がより高度となる発育段階でのコーヒー豆におけるGMPP及び/又はUGEの選択的阻害を特徴とする。本明細書において示されるデータはまた、UGEの様々な対立遺伝子が、様々なコーヒー品種において様々な効果を有することを示唆する。したがって、他の実施形態は、品種に依存して、単独で又はともにUGE1又はUGE5を選択的に操作することを特徴とする。他の実施形態では、GMPP発現が最も高度となる発育における時期に、UGPPは、ダウンレギュレートされてもよく、UGE1及び/又はUGE5は、アップレギュレートされてもよい。そのような操作は、スクロースをUDPガラクトースに導き、それによって、GMPPをダウンレギュレートすることができる。そのような操作は、上記に記載されるコーヒープロモーターを含む、使用されるプロモーターの最適化から利益を得るであろう。
【0101】
前述の方法のいずれかによって産生される突然変異体又はトランスジェニック植物もまた、本発明に従って特徴とされる。好ましくは、植物は、稔性であり、それによって、交配の目的に有用である。したがって、前述の望ましい表現型のうちの1つ又は複数を示す突然変異体又は植物は、植物育種のために又は農業若しくは園芸の適用において直接、使用することができる。ある導入遺伝子又は特定される突然変異を含有する植物はまた、増強された表現型又は組み合わせられた表現型を有する植物を産生するために、相補的な導入遺伝子又は遺伝子型を含有する植物と交雑させてもよい。
【0102】
以下の実施例は、本発明をより詳細に記載するために提供される。実施例は、説明の目的のためのものあり、本発明を限定するようには意図されない。
【実施例】
【0103】
実施例1:続く実施例についての材料及び方法
植物材料.Q−PCRによって遺伝子発現を理解するために、1つのコフィア・アラビカ遺伝子型(T2308)並びに3つのコフィア・カネフォラ遺伝子型(FRT32、FRT05、及びFRT64)を使用した。
【0104】
コフィア・アラビカ(T2308、04−2003)組織(様々な発育段階の根、枝、若い葉、花、及びチェリー)並びにコフィア・カネフォラFRT32の若い葉を、温室(25℃及び70%の相対湿度)で成長させた木から収穫し、使用前に−80℃で保管した。コフィア・カネフォラ(FRT32、2001)のチェリー、枝、根、及び花は、インドネシアで栽培された木から収穫した。チェリーの発育段階は、以下のように定義される:小さな生の果実(SG)、大きな生の果実(LG)、黄色の果実(Y)、及び赤色の果実(R)。試料は、使用前に、輸送のために液体窒素ですぐに冷凍した。
【0105】
コフィア・カネフォラ(ロブスタ種)FRT05及びFRT64のチェリーは、エクアドルで圃場栽培された木から収穫し、次いで、使用前に、輸送のために−20℃ですぐに冷凍した。続いて、試料はすべて、使用まで−80℃で保存した。
【0106】
RNA抽出.全RNAは、「植物材料」の部において上記に記載されるコフィア・アラビカT2308、コフィア・カネフォラFRT32、FRT05、及びFRT64の様々な組織から、−80℃で保存した液体窒素を用い、SPEX CertiPrep 6800 Freezer Millにおいてホモジナイズした粉末を使用して、以前に記載されるように(Lepelley et al.,2007,Plant Science 172,978−996)、抽出し、処理した。様々な段階からのコーヒーチェリーの場合には、これらは、最初に、果皮及び豆組織に分離し、次いで、RNAは、上記に記載されるようにそれぞれから抽出した。
【0107】
cDNA合成.cDNAを作製するために使用される方法は、100ngのポリdT(18)(Sigma)をT2308及びFRT32について使用し、75ngのランダムプライマー(Invitrogen)をFRT05及びFRT64について使用した以外は、Superscript III Reverse Transcriptase kit(Invitrogen)において記載されるプロトコールと同一とした。生成したcDNA試料は、次いで、滅菌水中で100倍に希釈し、Q−PCRにおける後の使用のために−20℃で保存した。手短かに言えば、特定のcDNAの調製のために、1μgの全RNA及びオリゴdT(上記)を、DEPC処理水中に溶解した(12μl最終容量)。この混合物は、続いて、10分間、70℃でインキュベートし、次いで、氷上で急速に冷却した。次に、4μlの5×first strand buffer(Invitrogen)、2μlのDTT 0.1M(Invitrogen)、及び1μlのdNTP mix(それぞれ10mM、Invitrogen)を追加した。これらの反応ミックスは、1μlのSuperScript III Rnase H−Reverse transcriptase(200U/μl、Invitrogen)を追加する前に2分間、42℃でプレインキュベートした。続いて、チューブは、10分間、25℃で、次いで、50分間、42℃でインキュベートし、その後に、10分間、70℃で加熱することによって酵素の不活性化を続けた。最後に、1UのRNase H(Invitrogen)を反応ミックスに追加し、その後に、30分間、37℃でのインキュベーションを続けた。生成したcDNA試料は、次いで、滅菌水中で100倍に希釈し、QPCRにおける後の使用のために−20℃で保存した。
【0108】
cDNAライブラリー.コフィア・カネフォラ(ロブスタ種)cDNAライブラリーのセットは、Nestle University及びCornell Universityの共同作業の一部として生成した。様々なライブラリーからの62,000を超えるcDNAクローンを単離し、若い葉において並びに発育中の果皮組織(すべての段階を混合)及び発育中の豆(いくつかの別個の段階)において発現しているコフィア・カネフォラ遺伝子に相当するEST(発現配列タグ)を生成するために5’末端配列決定にかけた。品質評価後に、46,914の高品質のESTを残し、次いで、これらの配列を集めて、「in silico」コーヒー遺伝子配列の特有のセットにした(「unigene」セット、つまり、特有の非重複コーヒーcDNA DNA配列のセット)。これらのライブラリーの構築及び生成したESTデータの生物情報学分析に関する詳細は、以前に公開されている(Lin et al.,2005,Theor.Appl.Genet.112,114−130)。
【0109】
DNA配列分析.プラスミドDNAは、メーカーから提供される説明書に従ってQiagenキットを使用し、宿主から精製した。調製したプラスミドDNA及びPCR産物は、ジデオキシターミネーション法(dideoxy termination method)を使用して、GATC Biotech AG(Konstanz、Germany)によって配列決定した。コンピューター解析は、Laser Gene software package(DNASTAR)を使用して実行した。配列相同性は、Solサイト(http://www.sgn.cornell.edu)及びNCBI BLASTサーバー(http://blast.ncbi.nlm.nih.gov/Blast.cgi)にあるBLASTプログラムを使用して、GenBankデータベースに対して確認した。
【0110】
リアルタイムqRT−PCR.これらの実験のために使用したcDNAは、上記に記載されるように調製した。TaqManプローブを使用する定量的PCRは、cDNA希釈及びTaqmanプライマー/プローブが異なる以外は、Q−PCR machine Applied 7500で以前に記載されるように(Simkin et al.,2006,Journal of Plant Physiology,163,691−708)、実行した。もとのRNAのおよそ0.25ngに対応するcDNAの100倍希釈液を、すべての試料について使用した。
【0111】
使用したQ−PCRプライマー及びTaqManプローブは、PRIMER EXPRESS software(Applied Biosybranches)を用いて設計し、表1において列挙する。それぞれの配列の右側に対する括弧中の番号は、配列番号(たとえば「SID32」)である。
【0112】
【表2】

【0113】
定量は、参照として恒常的に発現されるリボソームタンパク質rpl39を使用し、相対的な定量の方法を使用して実行した。相対的な定量の方法を使用するために、遺伝子配列についての増幅効率が、明確に定めたプライマー及びプローブセットを使用して、参照配列(rpl39 cDNA配列)の増幅効率とほぼ同等であることを示すことが必要であった。この相対的な同等性を決定するために、適切なcDNA配列を含有するコーヒーデータバンクからのプラスミドDNAを、1/1000、1/10,000、1/100,000、及び1/1,000,000倍に希釈し、上記に記載されるQ−PCR条件を使用して、曲線Ct=f(Log DNAの量)の傾斜を、それぞれのプラスミド/プライマー/TaqManプローブのセット(表1)について計算した。効率を決定するために使用したプラスミドは、rpl39についてはpcccs30w21o13、UGPPについてはpcccs46w9l8、GMPPについてはpcccl22i19、PMMについてはpcccs46w3a14、UGE1についてはpcccs30w33c4、及びUGE5についてはpcccl17j24とした。
【0114】
検証を完成させるために、すべてのプライマー/TaqManプローブセットを、Q−PCR発現において使用する様々な遺伝子型に対応するゲノムDNAに対して試験した。これについては、ゲノムDNAは、DNeasy Plant Maxi Kit(QIAGEN)を使用して、遺伝子型T2308、FRT32、FRT05、及びFRT64(上記に列挙)由来の若い葉から抽出した(表1)。
【0115】
100%の効率に相当する3.32に近い傾斜を有する曲線を提供するプラスミド/プライマー/TaqManのプローブセットは、許容されると見なした。使用したプラスミド/プライマー/TaqManプローブセットを、表1において示し、すべて、Ct=f(Log DNAの量)について許容される値を示した。蛍光レポーター染料VICを用いて5’末端で及びクエンチャーTAMRAを用いて3’末端で標識したRPL39プローブ以外は、MGBプローブはすべて、蛍光レポーター染料6−カルボキシフルオレスセイン(FAM)を用いて5’末端で及びクエンチャー染料6−カルボキシ−テトラメチル−ローダミン(TAMRA)を用いて3’で標識した。
【0116】
UGPP及びUGE5の過剰発現、精製、及び活性アッセイ.2つのベクターから構成されるGateway technology(Invitrogen):エントリーベクターpENTR/D−TOPO及び発現ベクターpDEST17は、UGPP及びUGE5コーヒータンパク質を過剰産生するために使用した。戦略は、N末端に位置するHisタグ配列とインフレームで、第1のベクター(pENTR/D−TOPO)の中にUGPP(pcccs46w9l8中に含有される)又はUGE5(pcccl17j24中に含有される)のORFを移入することから成った。これを達成するために、2つの特異的なプライマーをそれぞれの構築物について設計した(pcccs46w9l8及びpcccl17j24挿入配列に基づいて)。センスプライマー(CcUGPP−フォワードプライマー及びCcUGE5−フォワードプライマー)(表2)は、ORF(開始コドンATGから始まる)の最初の少数のコドンに対して特異的な配列及びpENTR/D−TOPOにおけるクローニングを指示するのに必要なCACCアダプター(ATGコドンに対して5’)を含む。リバースプライマー(CcUGPP−リバースプライマー及びCcUGE5−リバースプライマー)(表2)は、ORFの終止コドン及び3’UTR由来のいくつかの塩基を含有する。それぞれの配列の右側に対する括弧中の番号は、配列番号(たとえば「SID50」)である。
【0117】
【表3】

【0118】
次いで、PCR反応は、上記に記載される特異的なプライマー及び産物の5’末端にアデニンを生成せず、pENTR/D−TOPOの中へのCcUGPP及びCcUGE5のPCR産物の直接的なクローニングを可能にするPfu Turbo DNA polymerase(Statagene)を用いて実行した。PCR増幅は、最終50μl容量で以下のように実行した:1μlのpcccs46w9l8又はpcccl17j24プラスミド(1/10希釈)、5μL 10×PCRバッファー(cloned Pfu Reaction Buffer)、400nMの両方の特異的プライマー、200μMのそれぞれのdNTP、及び1.25UのPfu Turbo DNA polymerase(Stratagene)。PCRサイクリング条件は、以下のとおりとした:2分間、94℃;次いで、1分間、94℃、1分30秒間、アニール温度55℃、及び1分30秒間、72℃を35サイクル。伸長のさらなる最終ステップは、7分間、72℃で行った。次いで、挿入物は、メーカー(Invitrogen)から提供される説明書に従ってpENTR/D−TOPOベクターの中にクローニングした。本実験は、プラスミドpGT38及びpGT25を形成するために、pENTR/D−TOPOベクター(カナマイシン抵抗性)の中にCcUGPP及びCcUGE5 ORFをそれぞれ入れた。挿入物のクローニングは、PCRの間にエラーのない正確なクローニングを確認するM13−RP及びM13−FPユニバーサルプライマーを用いて配列決定することによって確認した。
【0119】
次に、pGT38及びpGT25は、それぞれ、ORFが、pDEST17におけるN末端HisタグとインフレームにあるpGT3及びpGT2を産生するために、メーカー(Invitrogen)によって示されるプロトコールGATEWAYに従ってpDEST17(アンピシリン抵抗性)を用いて組換えた。組換えの産物は、コンピテント細胞Top10(Invitrogen)の中に形質転換した。アンピシリン抵抗性陽性クローンは、表2において記載される特異的なプライマーCcUGPP−フォワードプライマー/CcUGPP−リバースプライマー又はCcUGE5−フォワードプライマー/CcUGE5−リバースプライマーを用いるPCRスクリーニングによって、CcUGPP又はCcUGE5挿入物を含有することを確認した。次いで、精製後に、pGT3及びpGT2は、供給者(Invitrogen)によって示されるプロトコールに従って、コンピテント細胞BL21−AI(商標)OneShot(登録商標)Chemically Competent E.coli(Invitrogen)(タンパク質発現用)中に形質転換した。次いで、クローニングは、CcUGPP及びCcUGE5がN末端Hisタグとインフレームにあることを示すT7ユニバーサルプライマーを用いて配列決定することによって確認した。
【0120】
タンパク質発現については、pGT3又はpGT2を用いて形質転換したBl21AI細胞の2mLの培養物(40%グリセロール)は、OD600nm=0.6まで、100μg/mlのアンピシリンを含有する100mlのLB培地において、37℃及び200rpmで約3時間、成長させた。次いで、1mLの培養物は、続くタンパク質抽出のために及びSDS Pageゲル上で可視化するために保管した。次いで、クローニングしたタンパク質の発現は、0.2%のL−アラビノースを用いて誘発し、培養物は、27℃でさらに2時間、インキュベートした。1mLの誘発培養物は、抽出及びSDS Pageゲル用に保管した。
【0121】
細胞は、4℃で30分間、5500gでペレットにし、次いで、採取した細菌ペレットは、5μLのBenzonase(登録商標)ヌクレアーゼ(Novagen)及びプロテアーゼ阻害剤Complete Mini EDTA−free(Roche)を追加した5mLのBugBuster(登録商標)Protein Extraction Reagent(Novagen)において再懸濁した。70rpmでの室温での30分間のインキュベーション後に、溶解させた細胞は、可溶性タンパク質抽出物(上清)及び不溶性タンパク質画分(ペレット)を得るために、4℃で30分間、10000gで遠心分離した。
【0122】
次いで、15(15)μLの収集した誘発/非誘発抽出物及び可溶性/不溶性タンパク質抽出物は、変性バッファー5×Sample Buffer(GenScript Corp.)を使用し、8−16%Acrylamide Express PAGE Gels(GenScript Corp.)上で、Prestained SDS−PAGE Low Range molecular weight standards(BIO−RAD)を用いて可視化した。使用した移動バッファーは、Tris−HEPES−SDS Running Buffer(GenScript Corp.)、100Vとした。次いで、ゲルは、着色溶液(0.25%w/vクーマシーブルー、10%酢酸、及び20%エタノール)を用いて70rpmで20分間、着色し、次いで、強力な脱色溶液(40%エタノール、7%酢酸)を用いて70rpmで20分間、2回洗浄し、次いで、薄い脱色溶液(10%エタノール、10%酢酸、5%グリセロール)を使用して、70rpmで、一晩、1回、洗浄した。
【0123】
実施例2:コフィア・カネフォラPMM、GMPP、UGPP、及びUGEをコードするcDNAの単離及び特徴付け
本実施例は、ガラクトマンナン合成のための重要な前駆物質であるUDPガラクトース及びGDPマンノースの合成に直接関与するタンパク質コードするcDNA配列の単離及び特徴付けについて記載する。選択した酵素は、PMM(ホスホマンノムターゼ)、GMPP(GDPマンノースピロホスホリラーゼ)、UGPP(UDPグルコースピロホスホリラーゼ)、及びUGE(UDPグルコース4−エピメラーゼ)とした。様々なBLASTプログラム(実施例1を参照されたい)は、生化学的に特徴付けられたPMM、GMPP、UGPP、及びUGPPタンパク質をコードする公的データベースタンパク質配列と最も高度な類似性を有するunigene配列を検索するために使用した。UGE1を除き、次いで、それぞれの「best unigene hit」の最も長いcDNAを、完全な配列決定のために選択した。結果は、表3及び表4において要約する。
【0124】
表3は、http://www.sgn.cornell.eduでBlastによってコーヒーUnigenesを同定するために使用したコーヒー以外の生物由来のUGPP、GMPP、PMM、及びUGEタンパク質配列を参照する。Tblastnの同一性は、タンパク質に翻訳されるすべてのコフィア・カネフォラUnigenesのヌクレオチド配列を含有するデータベースに対してクエリーとして完全なタンパク質配列を使用して実行したblastからもたらされる。Blastnの同一性は、すべてのコフィア・カネフォラUnigenesのヌクレオチド配列を含有するデータベースに対してクエリーとして完全なコード配列(CDS)を使用して実行したblastからもたらされる。
【0125】
表4は、UGPP、GMPP、PMM、及び2つのUGEコーヒータンパク質を可能性としてコードするとしてhttp://www.sgn.cornell.eduで同定されたコフィア・カネフォラUnigenesのリストを記載する。同定されたUnigenesの「in silico」配列を確認するために完全に特徴付けられ、配列決定されたクローンの名前及びそれぞれのUnigenにおいて見つけられるESTの数を示す。SGN IDは、SGNウェブサイトでアクセス可能なコフィア・カネフォラBuilt #2由来のUnigenes配列に属するSGN番号に対応する。
【0126】
【表4】

【0127】
【表5】

【0128】
A.UDPグルコースピロホスホリラーゼ(CcUGPP)
酵素UDPグルコースピロホスホリラーゼ(UGPP)をコードするコーヒーcDNAを見つけるために、生化学的に特徴付けされたUGPPタンパク質をコードする2つのタンパク質配列、オリザ・サティバUDPグルコースピロホスホリラーゼ(Chen et al.,2007,Plant Cell 19,847−861;受託番号ABD57308)及びククミス・メロUDPグルコースピロホスホリラーゼ(Dai et al.,2006,Plant Physiol 142,294−304;受託番号ABD98820)を、tblastnアルゴリズムを用いてNestle/Cornell’unigene’Built2を検索するために使用した。この検索により、オリザ・サティバ及びククミス・メロUGPPタンパク質配列に対して相同性を示す1つのunigene(SGN−U348695)を発見した(それぞれ87%及び86%の同一性、e−value=0)。
【0129】
次いで、unigene SGN−U348695(pcccs46w9l8)の5’末端を示し、可能性としてこのタンパク質の完全なORFをコードするcDNAを、単離し、配列決定した。このUnigeneは、開花46週間後の豆から単離された9つのEST、果皮由来の2つ、葉由来の8つ、及び様々な発育段階のチェリー由来の3つのESTを含む(表4)。
【0130】
pcccs46w9l8の挿入物は、1750bp長であり、1434bpのORFをコードする。推定されるタンパク質配列は、477のアミノ酸を含み、52.49kDaの予測される分子量を有する。アラビドプシス・タリアナ、ククミス・メロ、オリザ・サティバ由来のUGPPタンパク質配列及びソラナム・ツベロサム由来のオルソロガス配列とのpcccs46w9l8(CcUGPP)のタンパク質配列の最適化アライメント(ClustalW)は、pcccs46w9l8によってコードされるタンパク質が、それぞれ、これらのタンパク質配列と81.7%、86.8%、87%、及び87.8%の同一性を共有することを実証する(図1及び表5)。
【0131】
【表6】

【0132】
アライメントデータは、pcccs46w9l8が、コフィア・カネフォラUDPグルコースピロホスホリラーゼ(CcUGPP)についての完全長cDNAをコードすることを示す。アラビドプシス・タリアナ、ククミス・メロ、オリザ・サティバ、及びソラナム・ツベロサム由来のUGPPの完全なCDS配列をコードするDNA配列との、pcccs46w9l8において含有される完全なCDS配列をコードするDNA配列の最適化アライメント(Jotun Hein Method)は、コーヒーCcUGPPのORF DNA配列が、それぞれ、これらのCDS DNA配列と75.1%、78.8%、77.1%、及び80.6%の同一性を共有することを実証した。
【0133】
B.GDPマンノースピロホスホリラーゼ(CcGMPP)
コーヒーGMPPをコードするcDNAを見つけるために、生化学的に特徴付けられたソラナム・ツベロサムGMPPタンパク質配列(受託番号AAD01737;(Keller et al.,1999,Plant J.19(2),131−141)を、tblastnアルゴリズムを用いるNestle/Cornell’unigene’Built2に対するtBLASTn検索のためのクエリー配列として使用した(表3)。得られたbest matchは、unigene SGN−U352112であった(e value=1e−163、Score=567bits(1462)、Identities=283/310(91%))。このUnigeneは、開花46週間後の豆から単離された7つのEST及び葉由来の8つのESTを含む(表4)。
【0134】
unigene SGN−U352112(pcccl22i19)の5’末端を示し、したがって、ジャガイモGMPPに関してNestle/Cornellデータベースにおいて最も長いコーヒーcDNAをコードするcDNAを、単離し、配列決定した。pcccl22i19の挿入物は、1576bp長であることが分かり、361のアミノ酸のタンパク質をコードする1086bpの完全なCDS配列を含んだ(39.43kDaの推定分子量)。ソラナム・ツベロサム、ソラナム・リコペルシカム、メディカゴ・サティバ(M.sativa)、及びビティス・ビネフェラのタンパク質配列(それぞれ、受託番号AAD01737、AAT37498、AAT58365、及びCAO69137)とのpcccl22i19によってコードされる完全なコーヒータンパク質配列CcGMPPのアライメントは、ClustalWを使用して、このコーヒー配列の最初のアノテーションを確認する、つまり、pcccl22i19のCDSは、コーヒーGMPPタンパク質をコードする(図2及び表6)。
【0135】
【表7】

【0136】
タンパク質レベルで、このコーヒーGMPP配列は、ソラナム・ツベロサム、ソラナム・リコペルシカム、メディカゴ・サティバ、及びビティス・ビネフェラGMPPタンパク質配列と、92.2%、92%、93.1%、及び94.5%の同一性を示す。核のレベルで、なおClustalW法を使用して、コーヒー配列の完全なCDSは、それぞれ、ソラナム・ツベロサム、ソラナム・リコペルシカム、メディカゴ・サティバ、及びビティス・ビネフェラの完全なCDS配列と、83.5%、82.7%、81.4%、及び84%の同一性を示す。DNAレベルの同一性データは、CDS配列についてのみであり、したがって、cDNAの5’及び3’UTR配列と概して関連する、より低いレベルの同一性により、それは、おそらく、完全なcDNA配列の類似性を過大評価することが注意されるべきである。
【0137】
C.ホスホマンノムターゼ(CcPMM)
コーヒーホスホマンノムターゼをコードするcDNAを見つけるために、生化学的に特徴付けられたアラビドプシス・タリアナホスホマンノムターゼタンパク質配列(受託番号ABD97870;Qian et al.,2007,Plant J.49(3),399−413)を、Nestle/Cornell’unigene’に対するtblastn検索のためにクエリー配列として使用した(表3)。得られたbest hitは、unigene SGN−U351352であった(e value=1e−111、Score=395bits(1014)、Identities=190/233(81%))。このUnigeneは、豆から単離された6つのEST(開花の30週間後に1つ及び開花の46週間後に5つ)、果皮由来の2つ、及び葉由来の1つを含む(表4)。
【0138】
unigene SGN−U351352(pcccs46w3a14)の5’末端を示し、したがって、アラビドプシスPMMに関してNestle/Cornellデータベースにおいて最も長いコーヒーcDNAをコードするcDNAを、単離し、配列決定した。pcccs46w3a14の挿入物は、1218bp長であることが分かり、246のアミノ酸のタンパク質をコードする741pbの完全なCDS配列を含んだ(27.59kDaの推定分子量)。グリシン・マックス、ビティス・ビネフェラ、ポプルス・トリコカルパ、及びアラビドプシス・タリアナのタンパク質配列(それぞれ、受託番号ABD97873、CAO39534、ABK96056、及びABD97870)とのpcccs46w3a14によってコードされるCcPMMの完全なコーヒータンパク質配列のアライメントは、ClustalWを使用して、このコーヒー配列の最初のアノテーションを確認する、つまり、pcccs46w3a14のCDSは、コーヒーPMMタンパク質をコードする(図3)。タンパク質レベルで、このコーヒーPMM配列は、グリシン・マックス、ビティス・ビネフェラ、ポプルス・トリコカルパ、及びアラビドプシス・タリアナのPMMタンパク質配列と、90.7%、88.2%、88.6%、及び80.1%の同一性を示す(表7)。
【0139】
【表8】

【0140】
核のレベルで、なおClustalW法を使用して、コーヒー配列の完全なCDSは、それぞれ、グリシン・マックス、ビティス・ビネフェラ、ポプルス・トリコカルパ、及びアラビドプシス・タリアナの完全なCDS配列と、80.4%、79.6%、78.9%、及び71.8%の同一性を示す。DNAレベルの同一性データは、CDS配列についてのみであり、したがって、cDNAの5’及び3’UTR配列と概して関連するより低いレベルの同一性により、それは、おそらく、完全なcDNA配列の類似性を過大評価することが注意されるべきである。
【0141】
D.UDPグルコース4−エピメラーゼをコードする2つのcDNAクローン(CcUGE1、CcUGE5)
コフィア・カネフォラESTデータバンクにおけるUDPグルコース4−エピメラーゼをコードするコーヒーcDNAを同定するために、生化学的に特徴付けられたアラビドプシス・タリアナUGE5タンパク質配列(受託番号NP_194123;Rosti et al.,2007,Plant Cell 19(5),1565−1579)を、Nestle/Cornell’unigene’Built2に対するtblastn検索のためにクエリー配列として使用した(表3)。アラビドプシスにおいて、AtUGE5は、植物の全体にわたって、成長及び細胞壁炭水化物生合成に影響を及ぼすことが示されている(Rosti et al.,2007、前掲)。得られた2つbest hitは、unigenes SGN−U352564(e value=1e−109、Score=390bits(1003)、Identities=209/231(80%))及びSGN−347952(e value=1e−127、Score=448bits(1153)、Identities=266/339(62%))であった。Unigene SGN−U352564は、葉から単離された3つのESTを含み、SGN−347952は、開花30週間後の豆由来の2つ及び全チェリー由来の2つのESTを含む(表4)。
【0142】
第2の特徴付けられたアラビドプシス・タリアナUGEタンパク質配列、UGE1(受託番号NP_172738;Rosti et al.,2007、前掲)は、Built2からのコフィア・カネフォラNestle/Cornell Unigenes配列に対してtBlastnを実行するためにクエリー配列として使用した。3つのhitが得られ、50%を超える同一性を示した。さらに、得られた2つのbest hitは、unigenes SGN−347952(e value=1e−172、Score=600 bits(1546)、Identities=289/350(82%))及びSGN−U352564(e value=5e−85、Score=309bits(791)、Identities=151/234(64%))であった。
【0143】
CcUGE1をコードするコフィア・カネフォラcDNAクローン.Unigene SGN−U347952は、アラビドプシスUGE1配列に関して、Nestle/Cornellデータベースにおける完全な「in silico」コーヒーcDNAをコードすることが分かった。unigene SGN−U351352の5’末端を示す最も長い完全なcDNAは、入手可能ではなかった。しかしながら、このunigene(pcccs30w33c4)の696〜1424bpに相当する他の部分的なcDNAを、単離し、配列決定した。pcccs30w33c4の挿入物は、732bp長であることが分かり、部分的なCDS配列を含み(546bp長であり、5’末端から509bp欠けている)、181のアミノ酸の部分的なORFをコードした(20.24kDaの推定分子量)。
【0144】
Seqmanソフトウェアによって実行した挿入物pcccs30w33c4配列とのUnigene SGN−U347952の「in silico」配列のアライメントは、このcDNA配列及びunigene配列が、729bpにわたり100%同一であることを示した。Unigene SGN−U347952由来の「in silico」配列の生物情報学研究もまた、このUnigeneが、351aa長のタンパク質をコードする1056bpの完全なCDSを有することを示した(39kDaの推定分子量)。pcccs30w33c4由来の挿入物の配列及びunigene SGN−U347952の5’末端クローン由来の配列(cDNA配列CC−F01_017_L05及びCC−F01_014_P09)がすべて、Unigene SGN−U347952と100%の同一性を示すことを考慮すれば、Unigene SGN−U347952由来の「in silico」配列が、正確であり、単一の遺伝子のin silico配列に相当すると言うことができる。次いで、このUnigene配列は、他のアラビドプシス・タリアナUGEよりも高い、アラビドプシス・タリアナUGE1とのその同一性のレベルのために、CcUGE1と命名した。
【0145】
アラビドプシス・タリアナ、ポプルス・トリコカルパ、ソラナム・ツベロサム、及びビティス・ビネフェラ(図4において入手可能な受託番号)のUGEタンパク質配列(UGE1〜UGE5)とのSGN−U347952によってコードされる完全なコーヒータンパク質配列CcUGE1のアライメントは、ClustalWを使用して、このコーヒー配列の最初のアノテーションを確認する、つまり、SGN−U347952のCDSは、コーヒーUGEタンパク質をコードする(図4)。タンパク質レベルで、Unigene SGN−U347952に由来するこのコーヒーCcUGE1配列は、アラビドプシス・タリアナUGE1(82.3%)、アラビドプシス・タリアナUGE3(79.5%)、及びソラナム・ツベロサムUGE51(81.8%)タンパク質とより高いレベルの同一性を示す(図4、図5、及び表8)。5つのアラビドプシスUGEタンパク質配列に基づいて、AtUGE1は、SGN−U347952によってコードされるコーヒータンパク質と最も密接に関連し、したがって、この後者の配列は、CcUGE1と明確に命名された(注:完全長cDNAは、現在、この配列について存在しない)。
【0146】
【表9】

【0147】
CcUGE5をコードするコフィア・カネフォラcDNAクローン.unigene SGN−U352564(pcccl17j24)の5’末端を示し、したがって、アラビドプシスUGE2配列に関してNestle/Cornellデータベースにおいて最も長いコーヒーcDNAをコードするcDNAを、単離し、配列決定した。pcccl17j24の挿入物は、1434bp長であることが分かり、350のアミノ酸のタンパク質をコードする1053bpの完全なCDS配列を含んだ(38.42kDaの推定分子量)。アラビドプシス・タリアナ、ポプルス・トリコカルパ、ソラナム・ツベロサム、及びビティス・ビネフェラ(図4において入手可能な受託番号)のUGEタンパク質配列(UGE1〜UGE5)とのpcccl17j24によってコードされる完全なコーヒータンパク質配列のアライメントは、ClustalWを使用して、このコーヒー配列の最初のアノテーションを確認する、つまり、pcccl17j24のCDSは、コーヒーUGEタンパク質をコードする(図4、図5、及び表8)。タンパク質レベルで、このコーヒー配列は、VvUGE(85%)、PtUGE(84.4%)、StUGE45(83%)、AtUGE5(81.6%)、AtUGE2(79.4%)、及びAtUGE4(78.3%)タンパク質とより高いレベルの同一性を示す。pcccl17j24によってコードされるこのコーヒータンパク質配列はまた、CcUGE1とも63%の同一性を共有し、CcUGE5と命名した。
【0148】
実施例3:組換えCcUGPP及びCcUGE5の過剰発現
pcccs46w9l8(CcUGPP)及びpcccl17j24(CcUGE5)のアノテーションを確認するために、これらのタンパク質は、大腸菌において組換え形態で発現させた。実施例1において記載されるように、Gateway technologyクローニングシステムは、CcUGPP及びCcUGE5を発現させるために使用した。完全なORFは、それぞれ、プラスミドpGT38及びpGT25を形成するために、最初に、pENTR/D−TOPOエントリーベクターの中にクローニングし、次いで、pGT38及びpGT25は、N末端HisタグとインフレームのCcUGPP及びCcUGE5の完全なコード配列を含有するpGT3及びpGT2プラスミドを産生するために、pDEST17目的ベクターを用いて組換えた。次いで、これらの2のプラスミドpGT3及びpGT2は、BL21−AI細胞の中に形質転換し、CcUGPP及びCcUGE5タンパク質は、アラビノースによる発現の誘発を使用して過剰発現させた。次いで、収集した誘発/非誘発抽出物及び可溶性/不溶性タンパク質抽出物は、ゲル上で可視化した。図6は、この過剰発現実験の結果を示し、予想されるおよそのサイズを有するhisタグ付きタンパク質UGPP及びUGE5(それぞれおよそ52.5kDa及び38.4kDaプラス融合タグについての2.6kDa)の好適な誘発が、形質転換細胞の誘発後に生じたことを実証する。とりわけCcUGE5の場合に、可溶性画分におけるより高度な産生を伴ったが、可溶性及び不溶性画分における強力なシグナルは、CcUGPP及びCcUGE5タンパク質が両方の画分において産生されたことを示す。
【0149】
実施例4:PMM、GMPP、UGPP、及びUGE遺伝子の組織特異的発現
PMM、GMPP、UGPP、及びUGE遺伝子からの転写の定量的発現は、遺伝子特異的TaqManプライマー/プローブ(表1)を使用し、アラビア品種T2308並びにロブスタ品種FRT32、FRT05、及びFRT64のいくつかの組織について決定した。これらの実験のための様々なcDNAは、(1)発育中のアラビカ種T2308並びにロブスタ種FRT32、FRT05、及びFRT64コーヒーチェリーの4つの様々な段階から単離される豆及び果皮組織並びに(2)実施例1において記載されるアラビカ種T2308及びロブスタ種FRT32由来の根、枝、葉、及び花から単離されるRNAを用い、実施例1において記載される方法によって調製した。これらの実験の結果は、図7、8、及び9において示す。定量は、参照として恒常的に発現されるリボソームタンパク質rpl39を使用し、相対的な定量の方法を使用して実行した。
【0150】
A.3つのロブスタ種(FRT32、FRT05、及びFRT64)並びにアラビカ種T2308の豆成熟の間のPMM、GMPP、UGPP、及びUGEの相対的な発現
この実験において使用されるすべてのプライマー/プローブセットは、それぞれの配列を含有するプラスミドベースのcDNAを使用して検証し、また、これらの実験において使用したそれぞれの遺伝子型のゲノムDNAに対しても試験した(表1)ことに注目されたい。そのような実験は、使用されるプライマー/プローブが、単純な状態(プラスミドDNA)でそれらの特異的な配列の存在を定量的に測定するのに効率的であり、また、およそ同じ効率まで、分析されるすべての植物において遺伝子を認識することを確実にする、つまり、(a)遺伝子の存在は、それぞれのゲノムにおいて確認される及び(b)これは、試験されている配列における対立遺伝子変化による、検出における差異がないことを確実にする。ゲノムDNAに対するプライマー/プローブの効率の場合には、PMM遺伝子に対して特異的なプライマー/プローブセットは、ゲノムDNAの増幅を可能にしなかったことにさらに注目されたい。このセットが、97%の効率で、プラスミドDNAを増幅することができたので、プライマー及び/又はプローブは、エキソン及びイントロンの接合部で設計されたかもしれず、したがって、ゲノムDNAを増幅することができなかったことが推測された。しかしながら、cDNAを用いて好適な結果が得られたので、PMM遺伝子に対して特異的なプライマー/プローブが、本実施例において記載されるQ−RT−PCR実験について許容されることが結論付けられた。
【0151】
B.豆発育の間の発現の比較
図8は、ロブスタ品種FRT05、FRT64、及びFRT32における並びにアラビカ品種T2308(CCCA02)におけるGMPP、UGPP、PMMをコードするコーヒー遺伝子からの転写物蓄積プロファイルを示す。UGPP遺伝子についての発現プロファイル及び発現レベルは、およそ0.1〜0.2のRQを有する発現レベルで、すべての4つの品種について比較的、類似している。しかしながら、発育進行と共に、FRT 32についての転写レベルがわずかに上昇し、FRT05についてわずかに下がる傾向があることに注目されたい。いくつかの遺伝子については、アラビカ種T2308豆の大きな生の段階で、転写レベルにおける上昇もまた、現れる。PMMについての発現プロファイルはまた、いくつかの小さな差異があるが、様々な品種における豆発育の間、全体的に安定している(図8)。一般に、PMMの発現レベルは、RQ 0.1〜0.4の範囲にある。しかしながら、FRT05及びFRT64のRQレベルは、目盛の高域にあり、黄色の段階で上昇を有し、その後に、赤色の段階での低下が続くように思われる。アラビカ種において、発現レベルは、目盛の低域にあるが、発育期間の全体にわたって比較的一定である。GMPPについての発現プロファイルは、やや複雑である。全体的に、RQは、およそ0.01〜0.144の範囲にあった。2つの別個のパターンの発現、初期及び後期の段階のFRT32並びに次いで、他のもの(FRT05、FRT64、及びアラビカ種T2308)でのかなり低い発現があるように思われ、発現は、小さな生の豆において最も高度であり、次いで、続くステップのそれぞれで減少した。品種はすべて、赤色の段階で、比較的同様のレベルのGMPP転写を有した。
【0152】
2つの特徴付けられたUGE遺伝子についての発現データは、図7において示され、下記の表9(UGE1)及び10(UGE5)において記載される。
【0153】
【表10】

【0154】
【表11】

【0155】
UGE1は、2つのタイプの発現パターンを示すように思われ、発現の両方のパターンは、一連の発現レベル、ロブスタ種についてRQ0.01〜0.28及び試験した単一のアラビカ種についてRQ0.17〜0.59を有する。発現の第1のパターンは、ロブスタ種FRT32及びアラビカ種T2308によって示される。これらの品種は、発育のそれぞれの段階で比較的高度なレベルの発現を示す。この結果は、やや予期されないものであった、つまり、一方のロブスタ種は、アラビカ種の発現パターンに非常に類似したが、他方のロブスタ種と異なった。第2のパターンは、2つの他のロブスタ種(FRT05及びFRT64)によって示され、この場合、初期の小さな生の段階において比較的高度なレベルの転写があったが、次いで、転写レベルは、それぞれの後期の段階で著しく下がった。UGE5についての発現パターンは、わずかに複雑である。それにもかかわらず、さらに発現の2つの異なるグループがあると思われ、一方は、すべての段階で比較的低いレベルのUGE5転写があり(FRT32及びアラビカ種T2308)、他の2つのロブスタ種は、はるかに高度なレベルを示す。コーヒーUGE1及びUGE5遺伝子についての定量的転写発現データからの1つの観察は、UGE1転写のレベルが、ロブスタ種FRT32及びアラビカ種T2308におけるUGE5転写レベルよりもはるかに著しく、他の2つのロブスタ種についてその逆が真であるということである。この観察は、これらの2つの遺伝子が、豆において互いに置換することができることを示唆し得る。
【0156】
UGPP、GMPP、及びPMM遺伝子についての発現データは、図8において示され、下記の表11(UGPP)、12(GMPP)、及び13(PMM)において記載される。
【0157】
【表12】

【0158】
【表13】

【0159】
【表14】

【0160】
全体的に、4つの遺伝子についての豆発現データは、2つの「上流」の方の遺伝子、UGPP及びPMMが、試験した豆発育の段階にわたり比較的均一の様式で発現されることを示す。このプロファイルは、おそらく、これらの2つの遺伝子の、よりハウスキーピング型の機能を示す。対照的に、下流の遺伝子(GMPP及びUGE)は、より発育に関連するプロファイルを示すように思われ、それらの発現が、ガラクトマンナン合成並びに他のUDPガラクトース及びGDPマンノースの反応の実際の必要性をより厳密に反映し得ることを示唆する。たとえば、豆におけるGMPP転写物の転写物蓄積は、成熟の初めに(小さな生の段階で)、より高度であり、次いで、成熟の間に次第に減少する。これは、ガラクトマンナン合成におけるGDPマンノースに対する高い需要を反映し得、これは、大きな生の及び黄色の段階でのManS1遺伝子の発現の増加に十分に一致する(Pre et al.,2008)。
【0161】
C.ロブスタ種FRT32及び/又はアラビカ種T2308の異なる組織及び/又は発育段階におけるPMM、GMPP、UGPP、及びUGEの相対的な発現分析
図9は、PMM、GMPP、UGPP、及びUGEについて得られた、より包括的な発現データを示す。明らかに、これらの遺伝子は、植物において広く発現され、それらが中心的な代謝に関与し、UGEを除いて、少なくともアラビドプシスゲノムにおいて単一の遺伝子によって示されるという事実を反映する。RQ中央値は、表14及び15において示される。
【0162】
【表15】

【0163】
【表16】

【0164】
ロブスタ種については、UGPPは、黄色の、とりわけ赤色の段階で著しくより高いように思われるが、すべての遺伝子は、比較的同様のレベルで果皮において発現され、関連する代謝産物の流量の増加が、果実の成熟のこれらの段階で生じ、UDP−Gluレベルの増加を引き起こし得る、おそらく、果実におけるスクロース合成の増加又はGlu−1−P産生の増加を引き起こし得ることを示唆する。アラビカ種における発現は、UGE5のレベルが、ロブスタ種について見られるよりもわずかに低かった以外は、同じ一般的なパターンに従った。同様の発現パターンはまた、根、枝、葉、及び花についても見られた。これらの発現データの注目すべき側面は、UGE1及びUGPPの遺伝子について花において見られる発現の非常に高いレベルであり、発育のこの段階の花において高レベルのUDPガラクトースフラックス(前方又は後方)があり得ることを示唆する。
【0165】
アラビドプシス・タリアナにおいて、UGEは、若い小植物の好適な発育に必要であることが示された(Rosti et al.,2007、前掲)。また、オリザ・サティバ由来のUGPP1遺伝子は、小花における、とりわけ、葯の発育の間の花粉における発現のピークを伴って、植物の全体にわたって発現されることが示された(Chen et al.,2007、前掲)。RNA干渉又は同時抑制によるUGPP1サイレンシングは、雄性不妊及び様々な多面的な発育異常をもたらし、このUGPaseが、植物生育及び発育において重要な役割を果たすことを示唆した。おそらく、コーヒーのオルソログは、同様の機能を有するであろう。
【0166】
本発明は、上記に記載され、例証される実施形態に限定されないが、添付の請求項の範囲内での変形及び修飾が可能である。
【図1−1】

【図1−2】

【図1−3】

【図2−1】

【図2−2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
UDPグルコースピロホスホリラーゼ(UGPP)、GDPマンノースピロホスホリラーゼ(GMPP)、ホスホマンノムターゼ(PMM)、及びUDPグルコース4−エピメラーゼ(UGE)から選択されるガラクトマンナン前駆物質合成酵素をコードするコード配列を含む、コフィア属種(Coffea spp.)から単離される核酸分子。
【請求項2】
ガラクトマンナン前駆物質合成酵素が、BLAST比較によって決定される、配列番号6〜10のいずれか1つとその全体にわたって約80%超同一であるアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の核酸分子。
【請求項3】
ガラクトマンナン前駆物質合成酵素が、配列番号6〜10のいずれか1つを含む、請求項2に記載の核酸分子。
【請求項4】
配列番号1〜5のいずれか1つを含む、請求項3に記載の核酸分子。
【請求項5】
コード配列が、遺伝子のオープンリーディングフレーム又は遺伝子の転写によって産生されるmRNA分子又はmRNA分子の逆転写によって産生されるcDNA分子を含む、請求項1に記載の核酸分子。
【請求項6】
請求項1に記載の核酸分子のコード配列を含むベクター。
【請求項7】
核酸分子のコード配列が、恒常的プロモーターに、又は誘発性プロモーターに、又は任意選択で種子特異的プロモーターであってもよく、さらに任意選択でコーヒー種子特異的プロモーターであってもよい組織特異的プロモーターに作動可能に連結される、請求項6に記載のベクター。
【請求項8】
請求項7に記載のベクターを用いて形質転換された植物細胞から産生される稔性植物であって、植物は任意選択でコーヒー植物である、稔性植物。
【請求項9】
コーヒー種子由来の固体の抽出性を調整するための方法であって、コーヒー種子内の1つ又は複数のガラクトマンナン前駆物質合成酵素の産生又は活性を調整して、コーヒー種子の改変されたガラクトマンナン含有量をもたらすステップを含み、ガラクトマンナン前駆物質合成酵素は、UDPグルコースピロホスホリラーゼ(UGPP)、GDPマンノースピロホスホリラーゼ(GMPP)、ホスホマンノムターゼ(PMM)、及びUDPグルコース4−エピメラーゼ(UGE)から選択される、方法。
【請求項10】
コーヒー種子内のUGPP、GMPP、PMM、又はUGEのうちの1つ又は複数の産生又は活性を増加させるステップを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
コーヒー種子内のUGPP、GMPP、PMM、又はUGEのうちの1つ又は複数をコードする遺伝子の発現を増加させるステップを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
種子内での発現のために、コーヒー植物の中に、UGPP、GMPP、PMM、又はUGEのうちの1つ又は複数をコードする1つ又は複数の導入遺伝子を導入するステップを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
コーヒー種子内のUGPP、GMPP、PMM、又はUGEのうちの1つ又は複数の産生又は活性を減少させるステップを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
コーヒー種子内のUGPP、GMPP、PMM、又はUGEのうちの1つ又は複数をコードする遺伝子の発現を減少させるステップを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
UGPP、GMPP、PMM、又はUGEのうちの1つ又は複数の翻訳の阻害剤をコードする1つ又は複数のポリヌクレオチドを種子内での発現のためにコーヒー植物の中に導入するステップを含む、請求項14に記載の方法。

【図3】
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【図4−1】
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【図4−2】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図6】
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【図9】
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【公表番号】特表2013−521003(P2013−521003A)
【公表日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−556469(P2012−556469)
【出願日】平成23年3月7日(2011.3.7)
【国際出願番号】PCT/EP2011/053352
【国際公開番号】WO2011/110510
【国際公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【出願人】(599132904)ネステク ソシエテ アノニム (637)
【Fターム(参考)】