説明

コーマ

【課題】満ケンス停止後のケンス交換時に容易にスライバを切断することができ、かつコーマの再起動時にスライバ太さムラや、スライバ切れが発生する虞がないように、満ケンス停止時に運転を停止する。
【解決手段】制御装置36は、満ケンス停止時に、コイラーチューブ状態検出手段及びニッパ装置位置検出手段の検出信号に基づいて、コイラーチューブ31a及びニッパ装置の状態を判断する。そして、制御装置36は、予め設定された満ケンス停止プログラムに従って、ニッパ装置はデタッチングローラがラップに連なるフリースをニップした状態で停止し、コイラーディスク31はコイラーチューブ31aがスライバSの切断に適した停止領域で停止するようにメインモータM1及びコイラ用モータM2を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コーマに係り、詳しくは満ケンス時の停止方法に特徴を有するコーマに関する。
【背景技術】
【0002】
コーマにおいては、スライバをケンスに導くコイラーチューブを備えたコイラーディスクと、ケンスを支持回転させるケンス支持回転部材とを同期回転させつつ、スライバをケンス内に収容する。そして、ケンスにスライバが所定量収容された満ケンスになると、コーマの運転を停止し、満ケンスを空ケンスに交換した後、コーマの運転を再開する。満ケンスと空ケンスの交換の際に、満ケンスとコイラーチューブとの間に連なっているスライバを切断する必要がある。従来、満ケンス停止後のケンス交換時に容易にスライバを切断することができる所定の位置にコイラーチューブが位置する状態にコイラーディスクを停止させる停止方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1の停止方法では、コイラーディスクの巴孔(コイラーチューブの下端と対応するようにコイラーディスクに形成された孔)がスライバ切断の容易な所定領域に回動したことを検出する検出装置を設け、満ケンス停止動作時に、この検出装置の検出信号に基づいて、コイラーディスクを停止させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特公平8−29886号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、特許文献1の停止方法を前工程機としてのコーマに適用する場合に、コイラ装置の停止時においてコーマのニッパ装置がどのような状態で停止されるかに関しては配慮されておらず、コーマの停止時にラップに連なるフリースがデタッチングローラにニップされていない状態でコーマが停止する場合もある。ラップに連なるフリースがデタッチングローラにニップされていない状態で停止すると、フリースが周囲の風の影響などにより乱れてしまい、コーマの再起動時にフリースが上手く繋がらないことが発生し、スライバの太さムラが発生したり、スライバ切れを引き起こしたりすることがある。
【0005】
本発明は前記の問題に鑑みてなされたものであって、その目的は満ケンス停止後のケンス交換時に容易にスライバを切断することができ、かつコーマの再起動時にスライバ太さムラや、スライバ切れが発生する虞がないように、満ケンス停止時に運転を停止することができるコーマを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記の目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、ニッパ装置駆動系を駆動するメインモータと、コイラーチューブを備えたコイラーディスク及びケンス支持回転部材を同期して駆動するコイラ用モータとを備えている。また、駆動中における前記コイラーチューブの位置と、満ケンス停止後のケンス交換時における前記コイラーチューブのスライバの切断に適した位置との関係を検出するコイラーチューブ状態検出手段と、デタッチングローラと同期して駆動されるニッパ装置の位置を検出するニッパ装置位置検出手段とを備えている。さらに、満ケンス停止時に、前記コイラーチューブ状態検出手段及び前記ニッパ装置位置検出手段の検出信号に基づいて、前記コイラーチューブ及び前記ニッパ装置の状態を判断し、予め設定された満ケンス停止プログラムに従って、前記ニッパ装置は前記デタッチングローラがラップに連なるフリースをニップした状態となる停止タイミングで停止し、前記コイラーディスクは前記コイラーチューブが前記スライバの切断に適した停止領域で停止するように前記メインモータ及び前記コイラ用モータを制御する制御手段を備えている。「停止領域」とは、コイラーチューブがその停止領域内となるように停止された状態では、コイラーチューブの停止位置が、満ケンス停止後のケンス交換時に容易にスライバを切断することが可能な状態になる領域を意味する。
【0007】
この発明では、コイラーディスク及びケンス支持回転部材がニッパ装置駆動系と独立して駆動可能に構成されており、通常はコイラーディスク及びケンス支持回転部材とニッパ装置駆動系とが同期して駆動される。満ケンス停止時には、コイラーディスクのコイラーチューブの基準位置からの回転角度と、ニッパ装置の状態に基づいて、コイラーチューブの停止位置が満ケンス停止後のケンス交換時に容易にスライバを切断することができる位置となり、デタッチングローラがラップに連なるフリースをニップした状態でニッパ装置駆動系が停止するように、コイラーディスク及びケンス支持回転部材とニッパ装置駆動系とが同期して、または、場合によっては同期せずにそれぞれ独立して駆動される。したがって、満ケンス停止後のケンス交換時に容易にスライバを切断することができ、かつコーマの再起動時にスライバ太さムラや、スライバ切れが発生する虞がないように、満ケンス停止時に運転を停止することができる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記制御手段は、前記ニッパ装置の前記停止タイミングに前記コイラーチューブが前記停止領域内に位置すれば、前記ニッパ装置及び前記コイラーディスクを同時に停止させるように前記メインモータ及び前記コイラ用モータを制御する。また、前記制御手段は、前記停止タイミングに前記コイラーチューブが前記停止領域外に位置する場合は、前記ニッパ装置を先に停止させ、前記コイラーディスクは前記ニッパ装置の停止後、前記コイラーチューブが前記停止領域内まで回転したときに停止させるように前記メインモータ及び前記コイラ用モータを制御する。ここで、「ニッパ装置の停止タイミング」とは、その時点でメインモータを停止制御すれば、デタッチングローラがラップに連なるフリースを把持した状態で停止するときを意味する。
【0009】
この発明では、ニッパ装置の停止タイミングに、コイラーチューブが停止領域内に位置すれば、ニッパ装置及びコイラ装置は同時に停止される。また、ニッパ装置の停止タイミングに、コイラーチューブが停止領域内に位置しなければ、ニッパ装置が停止された後、コイラーチューブが停止領域内まで回転したときにコイラ装置が停止される。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記制御手段は、満ケンス停止動作開始後、コーマの運転速度が予め設定された低速度以下における前記ニッパ装置の停止タイミングを予め設定された回数分演算し、各停止タイミングにおいて前記コイラーチューブが前記停止領域内に位置するか否かを判断する。また、前記制御手段は、前記コイラーチューブが前記停止領域内に位置する停止タイミングが存在する場合は、その停止タイミングを前記メインモータ及び前記コイラ用モータの停止時期に設定し、前記コイラーチューブが前記停止領域内に位置する停止タイミングが存在しない場合は、前記停止タイミングから前記停止領域までの間隔が最も短い停止タイミングを前記メインモータの停止時期に設定し、その停止タイミングの直後に前記コイラーチューブが前記停止領域に到達する時期を前記コイラ用モータの停止時期に設定する。
【0011】
この発明では、コーマの運転速度が予め設定された低速度以下におけるニッパ装置の停止タイミングを予め設定された回数分演算する。そして、コイラーチューブが停止領域内に位置する停止タイミングがない場合は、演算された停止タイミングから停止領域までの間隔が最も短い停止タイミングの直後にコイラーチューブが停止領域に到達する時期をコイラ用モータの停止時期に設定する。したがって、ニッパ装置の停止タイミングになる都度、コイラーチューブ状態検出手段の検出信号に基づいて停止タイミングとコイラーチューブの状態を判断してメインモータ及びコイラ用モータの停止時期を設定する場合に比べて、紡出が停止した状態でコイラーディスクが回転する量を少なくすることができる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の発明において、前記制御手段は、コーマの運転速度が予め設定された低速度に達した後、前記ニッパ装置が最初に前記停止タイミングに達した時点から前記コイラーチューブが前記停止領域に達するまでの前記コイラーディスクの回転角度を演算し、その回転角度からそれ以降の前記停止タイミングでの前記コイラーディスクの回転角度である予想回転角Anを演算し、前記停止領域に入る前記予想回転角Anが存在する場合は、その回の前記ニッパ装置が前記停止タイミングに到達する時点を前記メインモータ及び前記コイラ用モータの停止時期に設定し、前記停止領域に入る前記予想回転角Anが存在しない場合は、前記コイラーディスクの回転方向で最も前記停止領域に近い回の前記ニッパ装置が前記停止タイミングに到達する時点を前記メインモータの停止時期に設定し、前記コイラーチューブが前記停止領域に達する時点を前記コイラ用モータの停止時期に設定する。
【0013】
この発明では、コーマの運転速度が予め設定された低速度に達した後、ニッパ装置が最初に停止タイミングに達した時点からコイラーチューブが停止領域に達するまでのコイラーディスクの回転角度が演算され、その回転角度に基づいてそれ以降のニッパ装置の停止タイミングにおけるコイラーディスクの予想回転角Anが演算される。そして、ニッパ装置の停止タイミングと、コイラーディスクの予想回転角Anとの関係を利用してメインモータ及びコイラ用モータの停止時期が設定される。したがって、紡出が停止した状態でコイラーディスクを回転させてコーマの運転を停止する場合に、紡出停止後におけるコイラーディスクの回転量が少なくなるコイラ用モータの停止時期の設定を簡単に行うことができる。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の発明において、前記停止タイミングは、前記ニッパ装置が最前進位置に到達した時期に設定されている。ニッパ装置が最前進位置に到達した時期にはコーマの運転条件に拘わらず、デタッチングローラはラップに連なるフリースをニップした状態にある。したがって、この発明では、コーマの運転条件、特に紡出繊維の種類を変更する際に、停止時においてラップに連なるフリースがデタッチングローラにニップされた状態になるか否かの判断を行う必要がなく、コーマの運転条件の変更が容易になる。
【0015】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の発明において、前記停止タイミングは、前記デタッチングローラがラップに連なるフリースをニップしている期間に設定されている。デタッチングローラがラップに連なるフリースをニップしている期間は、ニッパ装置が最前進位置に到達した時点を挟んだある範囲となる。したがって、この発明では、停止タイミングをニッパ装置が最前進位置に到達した時期とする場合に比べて、停止タイミングにコイラーチューブが停止領域内に位置する確率が高くなり、コーマの運転停止に要する時間が短くなる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、満ケンス停止後のケンス交換時に容易にスライバを切断することができ、かつコーマの再起動時にスライバ太さムラや、スライバ切れが発生する虞がないように、満ケンス停止時に運転を停止することができるコーマを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】(a)はコーマの概略平面図、(b)は概略正面図。
【図2】コーミングヘッドの概略側面図。
【図3】コイラ装置の模式正面図。
【図4】(a)〜(g)はコーミングヘッドの作用を示す模式図。
【図5】満ケンス停止時の手順を示すフローチャート。
【図6】(a)はニッパ装置の単位時間当たりのニップ数の変化を示すグラフ、(b)は満ケンス停止時の停止タイミングと停止領域との関係を示すタイムチャート。
【図7】(a)〜(c)は別の実施形態の満ケンス停止時の停止タイミングと停止領域との関係を示すタイムチャート。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図1〜図6にしたがって説明する。
コーマは図1(a),(b)に示すように、複数のコーミングヘッド11が平行に配設されている。複数のコーミングヘッド11からそれぞれ送り出されたフリースFは、集束された後、カレンダローラ12で圧縮されてスライバSとなり、スライバガイド13aによりその移動方向を変更されて、スライバテーブル13上をその長手方向に沿って移動する。複数本のスライバSを案内するスライバテーブル13の下流側にドラフト装置14が設けられている。ドラフト装置14の下流にコイラ装置15が設けられ、ドラフト装置14で1本に束ねられてドラフトされたスライバSが、コイラ装置15によりケンス16内に収容されるようになっている。なお、図1(a),(b)ではコイラ装置15を構成するコイラーディスク31及びコイラーチューブ31aのみを図示している。
【0019】
図2に示すように、コーミングヘッド11は、一対のラップローラ17と、フィードローラ18を備えたニッパ装置19と、コーミングシリンダ20と、前後2対のデタッチングローラ21とを備えている。ニッパ装置19は、コーミングシリンダ20の上方で前後進揺動可能に配設されたニッパフレーム22を有し、ニッパフレーム22の底部前端にボトムニッパ22aが設けられている。コーミングシリンダ20の後方、かつニッパフレーム22の下方には、ニッパシャフト23が往復回動可能に配設されている。ニッパシャフト23にはニッパフレーム駆動アーム24の第1端部が一体回動可能に固定され、その第2端部にニッパフレーム22の後端部が支軸24aを介して回動可能に支持されている。
【0020】
ニッパフレーム22には支軸22bを介してニッパアーム25が回動可能に設けられ、ニッパアーム25の先端にトップニッパ25aが固定されている。トップニッパ25aはニッパフレーム22の前後進揺動運動に同期して所定のタイミングで開閉して、ボトムニッパ22aと協同してラップLを挟持するようになっている。ニッパフレーム22にはトップコーム26がボトムニッパ22aの前方において、ニッパフレーム22と同期して所定の運動を行うように取り付けられている。コーミングシリンダ20、ニッパシャフト23及びデタッチングローラ21には、メインモータM1により駆動される図示しない全てのコーミングヘッド11に共通の駆動シャフトの回転が歯車装置やクランク等の動力伝達系(駆動機構)27を介して伝達され、ニッパ装置19はコーミングシリンダ20と同期して駆動されるようになっている。
【0021】
ニッパシャフト23にはドグ23aが設けられ、ニッパシャフト23の近傍にはドグ23aを検出する検出装置としての近接スイッチ28が設けられている。近接スイッチ28は、ニッパ装置19が最前進位置に達した状態においてドグ23aを検出してオンになる位置に設けられている。ドグ23a及び近接スイッチ28は、デタッチングローラ21と同期して駆動されるニッパ装置19の位置を検出するニッパ装置位置検出手段を構成する。
【0022】
図3に示すように、コイラ装置15は、ケンス16を支持した状態で回転するケンス支持回転部材30を備え、その上方にコイラーチューブ31aを有するコイラーディスク31、コイラーカレンダローラ32及びコイラートランペット(図示せず)が設けられている。そして、ドラフト装置14でドラフトされた後、コイラーカレンダローラ32で再度圧縮された後のスライバSが、コイラーチューブ31aを介してケンス16内に収容されるようになっている。コイラーチューブ31aは、その上端の開口が、コイラーディスク31の回転中心と同心となり、その下端の開口が、コイラーディスク31の下面の外周寄りに配置されている。そして、コイラーカレンダローラ32で圧縮されたスライバSが、コイラーチューブ31aの上端からコイラーチューブ31a内に送り込まれ、下端から排出されるようになっている。コイラーディスク31にはコイラーチューブ31aの下端近傍にドグ37が設けられ、コイラーディスク31の近傍にはドグ37を検出する検出装置としての近接スイッチ38が設けられている。
【0023】
ケンス支持回転部材30及びコイラーディスク31は、メインモータM1と独立して駆動されるコイラ用モータM2により、同期して駆動されるようになっている。詳述すると、コイラ用モータM2の回転は、ギヤボックス33及び動力伝達系34を介してケンス支持回転部材30に伝達され、ギヤボックス33及び動力伝達系35を介してコイラーディスク31に伝達される。メインモータM1及びコイラ用モータM2は、それぞれ制御手段としての制御装置36によりインバータ39,40を介して駆動制御される。
【0024】
制御装置36は、CPU41及びメモリ42を備えており、CPU41は、メモリ42に記憶されたプログラムデータに基づいて動作する。CPU41は、近接スイッチ38の検出信号と、コイラーディスク31の回転速度とからコイラーチューブ31aの基準位置からの回転角度を演算する。近接スイッチ38及びCPU41は、駆動中におけるコイラーチューブ31aの位置と、満ケンス停止後のケンス交換時におけるコイラーチューブ31aのスライバSの切断に適した位置との関係を検出するコイラーチューブ状態検出手段を構成する。
【0025】
制御装置36は、所定の紡出速度でスライバSがドラフト装置14からコイラ装置15に供給される状態で満ケンス時までメインモータM1及びコイラ用モータM2を同期して駆動した後、満ケンス停止時に、予め設定された満ケンス停止プログラムに従って、メインモータM1及びコイラ用モータM2を制御する。制御装置36は、コイラーチューブ状態検出手段及びニッパ装置位置検出手段の検出信号に基づいて、コイラーチューブ31a及びニッパ装置19の状態を判断する。そして、制御装置36は、予め設定された満ケンス停止プログラムに従って、ニッパ装置19が最前進位置に達した状態、即ちデタッチングローラ21がラップLに連なるフリースFをニップした状態で停止し、かつコイラーディスク31のコイラーチューブ31aがスライバSの切断に適した位置(停止領域)で停止するようにメインモータM1及びコイラ用モータM2を制御する。
【0026】
詳述すると、CPU41、即ち制御装置36は、満ケンスになると予め設定された動作パターンに従って所定の低速度までメインモータM1及びコイラ用モータM2を減速させる。CPU41は、その低速運転時に、近接スイッチ38の検出信号と、コイラーディスク31の回転速度とからコイラーチューブ31aの基準位置からの回転角度を演算する。また、CPU41は、その低速運転状態において、ニッパ装置19の停止タイミングにコイラーチューブ31aが予め設定された停止領域内にあるか否かを判断し、停止領域内にあればメインモータM1及びコイラ用モータM2を同時に停止させる。CPU41は、コイラーチューブ31aが停止領域外に位置する場合は、ニッパ装置19を先に停止させ、コイラーディスク31はニッパ装置19の停止後、コイラーチューブ31aが停止領域内まで回転したときに停止させるようにメインモータM1及びコイラ用モータM2を制御する。
【0027】
ニッパ装置19の停止タイミングとは、そのタイミングでニッパ装置19が停止されると、デタッチングローラ21がラップLに連なるフリースFを確実にニップした状態でニッパ装置19が停止されるタイミングを意味する。また、コイラーチューブ31aの停止領域とは、コイラーチューブ31aがその停止領域で停止すると、満ケンス停止後のケンス交換時に容易にスライバを切断することができる領域を意味する。
【0028】
次に前記のように構成されたコーマの作用を説明する。
メインモータM1により駆動されて揺動運動(往復回動)を行うニッパシャフト23の揺動に基づいてボトムニッパ22aが前後に揺動されるとともに、トップニッパ25aが上下に揺動されてボトムニッパ22aの先端部との間でラップLの把持解放が行われる。デタッチングローラ21はボトムニッパ22aの前進、後退に同期して揺動(往復回動)される。
【0029】
コーマは図4(a)に示すように、ボトムニッパ22aが前進端に位置する状態、即ちニッパ装置19が最前進位置に位置する状態から運転が開始(再起動)され、デタッチングローラ21の回転が停止された状態でボトムニッパ22aが後退して、図4(b)の状態になる。その状態からさらにボトムニッパ22aが後退を継続し、後退途中でデタッチングローラ21からニッパ装置19のニッパ部に繋がるフリースFが切断される。そして、シリンダ針列20aの前端がニッパ部から垂れ下がるラップLに対応する図4(c)の状態になる。その状態からボトムニッパ22aが後退を継続すると、シリンダ針列20aがラップLを梳る状態になり、シリンダコーミングが開始される。ボトムニッパ22aが最後退位置に達したインデックスが40(=0)の状態では、図4(d)に示すように、シリンダ針列20aはまだラップLと係合しており、シリンダコーミングが継続されている。その状態からニッパフレーム22が前進を開始して、インデックスが2のときに、シリンダ針列20aとラップLとの係合が終了してコーミングシリンダによるコーミングが終了する。なお、図4(a)〜(g)の各枠の上側に描かれた数字が、その図の状態のインデックスを示す。
【0030】
その後、デタッチングローラ21の逆転が開始され、先行フリースF1が後退されて、図4(e)に示す状態になる。その後、ボトムニッパ22aの前進が継続された状態でトップニッパ25aが開き、フィードローラ18が所定量回転されてラップLが所定量送り出されて、図4(f)の状態になる。次にデタッチングローラ21の正転が開始され、先行フリースF1の引き取りが開始され、後続フリースF2が先行フリースF1に接合されて図4(g)に示す状態になる。この時、トップコーム26のニードルがフリースFに突き刺さる。そして、更にボトムニッパ22aの前進が継続されて、図4(a)に示すようにニッパフレーム22が前進端に達した時にデタッチングローラ21の正転が停止される。
【0031】
供給されたラップLは、各コーミングヘッド11で上述のコーミング作用を受けてフリース(コーミングフリース)Fとされた後、図1(a)に示すように、集束されてスライバSになり、スライバテーブル13の長手方向に沿ってドラフト装置14へ向かって移動する。そして、8本のスライバSが、隣り合うスライバS同士が接した並列状態でドラフト装置14に送り込まれ、ドラフト装置14でドラフトされた後、1本のスライバSになってコイラ装置15によりケンス16内に収容される。
【0032】
次にコーマの停止動作を図5及び図6を参照して説明する。なお、図6(b)の上側におけるONは、満ケンス停止動作において、所定の低速度に減速された後、ニッパ装置19が最前進位置に到達したことを検出する近接スイッチ28のオン信号出力時点を示し、下側におけるONは、コイラーチューブ31aが基準位置に到達したことを検出する近接スイッチ38のオン信号出力時点を示している。
【0033】
コーマの運転が継続されて積算紡出量が所定値、即ち満ケンス停止量に達すると、CPU41は、図5に示すフローチャートにしたがって満ケンス停止動作を実行する。CPU41は、ステップS1でメインモータM1及びコイラ用モータM2を同期させた状態で減速させ、ステップS2で所定の低速度に達したか否かの判断を行う。ステップS2で所定の低速度に達していなければステップS1に戻り、所定の低速度に達していればステップS3に進み、減速を解除して所定の低速度でメインモータM1及びコイラ用モータM2の駆動を継続する。次にCPU41は、ステップS4に進み、ニッパ装置19が最前進位置か否か、即ち近接スイッチ28のドグ検出信号が出力されているか否かの判断を行い、ニッパ装置19が最前進位置であればステップS5に進み、コイラーディスク31の回転角度演算を開始する。具体的には近接スイッチ28のドグ検出信号(オン信号)からの経過時間の計測を開始する。次にCPU41はステップS6に進み、コイラーディスク31が定位置か否か、即ちコイラーチューブ31aが基準位置に位置して近接スイッチ38がドグ37を検出したオン信号が出力されているか否かを判断し、近接スイッチ38がオン信号を出力したらステップS7に進む。
【0034】
CPU41は、ステップS7で初期回転角A0及び予想回転角Anの演算と、メインモータM1及びコイラ用モータM2の停止時期の設定を行う。詳述すると、低速度駆動になった後、最初にニッパ装置19が最前進位置に到達した時点(図6(b)にt0で示す時点)からコイラーチューブ31aが基準位置に達するまでにコイラーディスク31が回転した角度に対応する初期回転角A0は、次式で表される。但し、近接スイッチ28のオン信号出力時から近接スイッチ38のオン信号出力時までの経過時間をt秒、ニッパ装置19の1ニップ周期に対するコイラーディスク31の回転数をKc、コーマの低速度駆動時の1分毎のニッパ装置19のニップ数をNsとする。なお、コイラーディスク31が1回転する間にニッパ装置19は複数回ニップを行うため、Kcは0〜1の範囲の数値となる。
【0035】
A0=t・Kc・Ns/60
ニッパ装置19が2回目以降に最前進位置に到達する時点におけるコイラーチューブ31aの基準位置からの角度に対応する予想回転角Anは、A0+Kc・nの小数点以下部になる。但し、nはニッパ装置19の最前進位置到達回数で、nは少なくとも1/Kcの小数点以下繰り上げ回数以上の自然数となる。例えば、Kcが0.3であれば、1/Kc=3.33となってnは4回以上になり、Kcが0.4であれば、1/Kc=2.5となってnは3回以上になる。
【0036】
CPU41は、予想回転角Anとコイラーチューブ31aの停止領域(図6(b)にAsで図示)とを比較して、停止領域Asに入る予想回転角Anが存在する場合は、その回のニッパ周期にニッパ装置19が最前進位置に到達する時点をメインモータM1及びコイラ用モータM2の停止時期に設定する。また、停止領域Asに入る予想回転角Anが存在しない場合は、CPU41は、コイラーディスク31の回転方向で最も停止領域Asに近い回のニッパ周期にニッパ装置19が最前進位置に到達する時点をメインモータM1の停止時期に設定し、その後、コイラーチューブ31aが停止領域Asに達する時点をコイラ用モータM2の停止時期に設定する。
【0037】
次にCPU41は、ステップS8に進み、メインモータ停止時期か否かを判断し、メインモータ停止時期になるとステップS9に進み、メインモータM1の駆動を停止させる。CPU41は、メインモータM1の停止後、ステップS10に進み、コイラ用モータ停止時期か否かを判断し、コイラ用モータ停止時期になるとステップS11に進み、コイラ用モータM2の駆動を停止させる。以上で満ケンス時の停止動作が完了する。
【0038】
即ち、図6(a)に示すように、コーマのニッパ装置19は、満ケンスになるまではニッパ装置19の単位時間(1分)当たりのニップ数がNm(回/分)の一定の速度で運転され、満ケンス停止時期になると、ニッパ装置19の単位時間当たりのニップ数がNs(回/分)になる所定の低速度まで一定の減速度で減速される。その後、所定の低速度で駆動が継続された後、ニッパ装置19はデタッチングローラ21がラップLに連なるフリースFをニップした状態で停止され、コイラーディスク31はコイラーチューブ31aがスライバSの切断に適した停止領域で停止される。
【0039】
この実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
(1)コーマは、ニッパ装置駆動系を駆動するメインモータM1と、コイラーディスク31及びケンス支持回転部材30を同期して駆動するコイラ用モータM2とを備えている。また、コーマは、駆動中におけるコイラーチューブ31aの位置と、満ケンス停止後のケンス交換時におけるコイラーチューブ31aのスライバSの切断に適した位置との関係を検出するコイラーチューブ状態検出手段と、デタッチングローラ21と同期して駆動されるニッパ装置19の位置を検出するニッパ装置位置検出手段とを備えている。制御装置36は、満ケンス停止時に、コイラーチューブ状態検出手段及びニッパ装置位置検出手段の検出信号に基づいて、コイラーディスク31及びニッパ装置19の状態を判断する。そして、制御装置36は、予め設定された満ケンス停止プログラムに従って、ニッパ装置19はデタッチングローラ21がラップLに連なるフリースFをニップした状態で停止し、コイラーディスク31はコイラーチューブ31aがスライバSの切断に適した停止領域で停止するようにメインモータM1及びコイラ用モータM2を制御する。したがって、満ケンス停止後のケンス交換時に容易にスライバSを切断することができ、かつコーマの再起動時にスライバ太さムラや、スライバ切れが発生する虞がないように、満ケンス停止時に運転を停止することができる。
【0040】
(2)制御装置36は、ニッパ装置19の停止タイミングにコイラーチューブ31aが停止領域内に位置すれば、ニッパ装置19及びコイラーディスク31を同時に停止させるようにメインモータM1及びコイラ用モータM2を制御する。また、制御装置36は、停止タイミングにコイラーチューブ31aが停止領域外に位置する場合は、ニッパ装置19を先に停止させ、コイラーディスク31はニッパ装置19の停止後、コイラーチューブ31aが停止領域内まで回転したときに停止させるようにメインモータM1及びコイラ用モータM2を制御する。したがって、満ケンス停止後のケンス交換時に容易にスライバSを切断することができ、かつコーマの再起動時にスライバ太さムラや、スライバ切れが発生する虞がないように、簡単にコーマの運転を停止することができる。
【0041】
(3)制御装置36は、満ケンス停止動作開始後、コーマの運転速度が予め設定された低速度以下におけるニッパ装置19の停止タイミングを予め設定された回数分演算し、各停止タイミングにおけるコイラーチューブ31aが停止領域内に位置するか否かを判断する。制御装置36は、コイラーチューブ31aが停止領域内に位置する停止タイミングが存在する場合は、その停止タイミングをメインモータM1及びコイラ用モータM2の停止時期に設定する。また、制御装置36は、コイラーチューブ31aが停止領域内に位置する停止タイミングが存在しない場合は、停止タイミングから停止領域までの間隔が最も短い停止タイミングをメインモータM1の停止時期に設定し、その停止タイミングの直後にコイラーチューブ31aが停止領域に到達する時期をコイラ用モータM2の停止時期に設定する。したがって、ニッパ装置19の停止タイミングになる都度、コイラーチューブ状態検出手段の検出信号に基づいて停止タイミングとコイラーチューブ31aの状態を判断してメインモータM1及びコイラ用モータM2の停止時期を設定する場合に比べて、紡出が停止した状態でコイラーディスク31が回転する量を少なくすることができる。そのため、スライバSに対する悪影響がない。
【0042】
(4)停止タイミングは、ニッパ装置19が最前進位置に到達した時期に設定されている。ニッパ装置19が最前進位置に到達した時期にはコーマの運転条件に拘わらず、デタッチングローラ21はラップLに連なるフリースFをニップした状態にある。したがって、コーマの運転条件、特に紡出繊維の種類を変更する際に、停止時においてラップLに連なるフリースFがデタッチングローラ21にニップされた状態になるか否かの判断を行う必要がなく、コーマの運転条件の変更が容易になる。
【0043】
(5)制御装置36(CPU41)は、コーマの運転速度が予め設定された低速度に達した後、ニッパ装置19が最初に最前進位置に達した時点からコイラーチューブ31aが基準位置に達するまでのコイラーディスク31の回転角度を演算し、その回転角度からそれ以降のニッパ装置19の最前進位置でのコイラーディスク31の回転角度である予想回転角Anを演算する。制御装置36は、停止領域に入る予想回転角Anが存在する場合は、その回のニッパ装置19が最前進位置に到達する時点をメインモータM1及びコイラ用モータM2の停止時期に設定する。制御装置36は、停止領域に入る予想回転角Anが存在しない場合は、コイラーディスク31の回転方向で最も停止領域に近い回のニッパ装置19が最前進位置に到達する時点をメインモータM1の停止時期に設定し、コイラーチューブ31aが停止領域に達する時点をコイラ用モータM2の停止時期に設定する。したがって、紡出が停止した状態でコイラーディスク31を回転させてコーマの運転を停止する場合に、紡出停止後のコイラーディスク31の回転量が少なくなるコイラ用モータM2の停止時期の設定を簡単に行うことができる。
【0044】
実施形態は前記に限定されるものではなく、例えば、次のように具体化してもよい。
○ ニッパ装置19の停止タイミングはニッパ装置19が最前進位置に到達した時点に限らず、デタッチングローラ21がラップLに連なるフリースFをニップした状態であればよく、ニッパ装置19が最前進位置に到達した時点を挟んだ所定範囲(デタッチングローラ21がラップLに連なるフリースFをニップしている期間)であればよい。例えば、前記実施形態において、CPU41は、ニッパ装置19が最初に最前進位置に達した時点からコイラーチューブ31aが基準位置に達するまでのコイラーディスク31の回転角度を演算し、その回転角度を基準にデタッチングローラ21がラップLに連なるフリースFをニップした状態となる回転角度範囲を演算するようにする。そして、CPU41が、予想回転角Anを、それ以降のニッパ装置19の最前進位置を基準にした所定範囲に対応するコイラーディスク31の回転角度範囲に対応して幅を持たせた状態で演算し、停止領域Asと予想回転角Anとの関係からメインモータM1及びコイラ用モータM2の停止時期を設定するようにしてもよい。この場合、停止領域Asに入る予想回転角Anが存在する確率が高くなるとともに、停止領域Asに入る予想回転角Anが存在しない場合にメインモータM1の停止時期とコイラ用モータM2の停止時期との間隔が、前記実施形態の場合に比べて短くなる確率が高くなる。
【0045】
○ コイラーチューブ状態検出手段は、コイラーチューブ31aが基準位置に位置するときにのみオン状態になる近接スイッチ38のオン信号に基づいてコイラーチューブの状態を検出する構成に限らない。例えば、ドグ37に代えてコイラーチューブ31aが、満ケンス停止後のケンス交換時におけるコイラーチューブ31aのスライバSの切断に適した停止領域全体に対応する円弧状の被検知部を設けてもよい。この場合、近接スイッチ38がその被検知部(ドグ)を検出してオン信号が出力された状態では、コイラーチューブ31aが停止領域Asに存在する状態になる。そのため、満ケンス停止動作において、所定の低速度に減速された後、ニッパ装置19が最初に最前進位置に到達した時点において、近接スイッチ38からオン信号が出力されていれば、メインモータM1及びコイラ用モータM2を同時に停止させることができる。したがって、初期回転角A0及び予想回転角Anを演算してメインモータM1及びコイラ用モータM2の停止時期を設定する実施形態に比べて、コーマの運転停止を早く行うことが可能になる。
【0046】
○ デタッチングローラ21がラップLに連なるフリースFをニップした状態にあることを検出する検出手段と、コイラーチューブ31aが満ケンス停止後のケンス交換時におけるスライバSの切断に適した位置に存在することを検出する検出手段との検出信号からメインモータM1及びコイラ用モータM2の停止時期を判断してもよい。例えば、基準位置を示すドグ23aに代えて、デタッチングローラ21がラップLに連なるフリースFをニップした状態では近接スイッチ28がオンになる形状のドグ(被検知部)を設ける。また、ドグ37に代えてコイラーチューブ31aが、満ケンス停止後のケンス交換時におけるスライバSの切断に適した位置に存在する状態では近接スイッチ38がオンになる形状のドグ(被検知部)を設ける。そして、コーマが所定の低速度に達した後、近接スイッチ28がオンのときにメインモータM1を停止させ、その後、近接スイッチ38がオンのときにコイラ用モータM2を停止させる。
【0047】
○ ニッパ装置19及びコイラーディスク31の停止許容範囲で近接スイッチ28及び近接スイッチ38がオンになるドグ(被検知部)を設けた場合は、図7に示すように、近接スイッチ28及び近接スイッチ38は所定の範囲でオン状態になる。そのため、単純にコーマが所定の低速度に達した後、近接スイッチ28がオンのときにメインモータM1を停止させ、その後、近接スイッチ38がオンのときにコイラ用モータM2を停止させる構成でも、ニッパ装置19が停止した後、コイラーディスク31が停止するまでの時間が長くなる確率は小さい。しかし、場合によっては、ニッパ装置19が2回最前進位置に達した後、コイラーディスク31が停止する場合も生じる。これを回避するため、図7(a)に示すように、コーマが所定の低速度に達した後、近接スイッチ28の最初にオン状態の間に近接スイッチ38もオン状態になれば、メインモータM1及びコイラ用モータM2を停止させる。また、近接スイッチ28の最初にオン状態の間に近接スイッチ38がオン状態にならない場合は、図7(b)に示すように、次の近接スイッチ28のオン状態までに近接スイッチ38がオン状態にならない場合は、次の近接スイッチ28のオン状態のとき(t1のとき)にメインモータM1を停止させる。その後、近接スイッチ38がオン状態になったときにコイラ用モータM2を停止させる。また、図7(c)に示すように、近接スイッチ28の最初にオン状態の間に近接スイッチ38がオン状態にならず、次の近接スイッチ28のオン状態までに近接スイッチ38がオン状態になる場合は、次の2回目の近接スイッチ28のオン状態のとき(t2のとき)にメインモータM1を停止させる。その後、近接スイッチ38がオン状態になったときにコイラ用モータM2を停止させる。この場合、ニッパ装置19が停止した後、コイラーディスク31が停止するまでの時間が長くなる確率は非常に小さくなる。
【0048】
○ コイラーチューブ状態検出手段は、ドグ(被検知部)を近接スイッチ38で検出する構成に限らず、コイラーディスク31の回転軸の回転量をアブソリュート式ロータリエンコーダやインクリメント式ロータリエンコーダで検出するようにしてもよい。
【0049】
○ ニッパ装置位置検出手段は、ニッパシャフト23に設けられたドグ23aを近接スイッチ28で形状する構成に限らない。例えば、ニッパシャフト23と同期して回動される軸に設けられたドグを検出手段で検出したり、ニッパシャフト23あるいはニッパシャフト23と同期して回動される軸の回転量をアブソリュート式ロータリエンコーダやインクリメント式ロータリエンコーダで検出するようにしたりしてもよい。
【0050】
○ 予想回転角Anの演算は、コーマが所定の低速度に減速された後に行うのではなく、満ケンス停止動作の減速開始後、コーマが所定の低速度に減速されるまでに行っても良い。しかし、減速中はニップ数が変化するので計算が複雑になるため、減速が完了した後に行う方が好ましい。
【0051】
○ 満ケンス停止動作において、ニッパ装置19の停止タイミングにコイラーチューブ31aが停止領域内に位置しない場合、メインモータM1をコイラ用モータM2の停止後に停止させるようにしてもよい。
【0052】
○ コーマの満ケンスに伴う停止動作として、コーマが所定の低速度に減速された後、所定の低速度で駆動が継続されている状態において、ニッパ装置19及びコイラーディスク31を停止するのではなく、予め設定された速度以下で減速中にニッパ装置19及びコイラーディスク31を停止するようにしてもよい。
【0053】
○ ニッパ装置19とデタッチングローラ21とはメインモータM1により駆動される構成に限らず、デタッチングローラ21がメインモータM1と別のモータでニッパ装置19と同期して駆動される構成であってもよい。
【符号の説明】
【0054】
F…フリース、L…ラップ、S…スライバ、As…停止領域、M1…メインモータ、M2…コイラ用モータ、19…ニッパ装置、21…デタッチングローラ、23a…ニッパ装置位置検出手段を構成するドグ、28…同じく近接スイッチ、30…ケンス支持回転部材、31…コイラーディスク、31a…コイラーチューブ、36…制御手段としての制御装置、37…コイラーチューブ状態検出手段を構成するドグ、38…同じく近接スイッチ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ニッパ装置駆動系を駆動するメインモータと、
コイラーチューブを備えたコイラーディスク及びケンス支持回転部材を同期して駆動するコイラ用モータと、
駆動中における前記コイラーチューブの位置と、満ケンス停止後のケンス交換時における前記コイラーチューブのスライバの切断に適した位置との関係を検出するコイラーチューブ状態検出手段と、
デタッチングローラと同期して駆動されるニッパ装置の位置を検出するニッパ装置位置検出手段と、
満ケンス停止時に、前記コイラーチューブ状態検出手段及び前記ニッパ装置位置検出手段の検出信号に基づいて、前記コイラーチューブ及び前記ニッパ装置の状態を判断し、予め設定された満ケンス停止プログラムに従って、前記ニッパ装置は前記デタッチングローラがラップに連なるフリースをニップした状態となる停止タイミングで停止し、前記コイラーディスクは前記コイラーチューブが前記スライバの切断に適した停止領域で停止するように前記メインモータ及び前記コイラ用モータを制御する制御手段と
を備えているコーマ。
【請求項2】
前記制御手段は、前記ニッパ装置の前記停止タイミングに前記コイラーチューブが前記停止領域内に位置すれば、前記ニッパ装置及び前記コイラーディスクを同時に停止させるように前記メインモータ及び前記コイラ用モータを制御し、前記停止タイミングに前記コイラーチューブが前記停止領域外に位置する場合は、前記ニッパ装置を先に停止させ、前記コイラーディスクは前記ニッパ装置の停止後、前記コイラーチューブが前記停止領域内まで回転したときに停止させるように前記メインモータ及び前記コイラ用モータを制御する請求項1に記載のコーマ。
【請求項3】
前記制御手段は、満ケンス停止動作開始後、コーマの運転速度が予め設定された低速度以下における前記ニッパ装置の前記停止タイミングを予め設定された回数分演算し、各停止タイミングにおいて前記コイラーチューブが前記停止領域内に位置するか否かを判断し、前記コイラーチューブが前記停止領域内に位置する停止タイミングが存在する場合は、その停止タイミングを前記メインモータ及び前記コイラ用モータの停止時期に設定し、前記コイラーチューブが前記停止領域内に位置する停止タイミングが存在しない場合は、前記停止タイミングから前記停止領域までの間隔が最も短い停止タイミングを前記メインモータの停止時期に設定し、その停止タイミングの直後に前記コイラーチューブが前記停止領域に到達する時期を前記コイラ用モータの停止時期に設定する請求項1又は請求項2に記載のコーマ。
【請求項4】
前記制御手段は、コーマの運転速度が予め設定された低速度に達した後、前記ニッパ装置が最初に前記停止タイミングに達した時点から前記コイラーチューブが前記停止領域に達するまでの前記コイラーディスクの回転角度を演算し、その回転角度からそれ以降の前記ニッパ装置の前記停止タイミングでの前記コイラーディスクの回転角度である予想回転角Anを演算し、前記停止領域に入る前記予想回転角Anが存在する場合は、その回の前記ニッパ装置が前記停止タイミングに到達する時点を前記メインモータ及び前記コイラ用モータの停止時期に設定し、前記停止領域に入る前記予想回転角Anが存在しない場合は、前記コイラーディスクの回転方向で最も前記停止領域に近い回の前記ニッパ装置が前記停止タイミングに到達する時点を前記メインモータの停止時期に設定し、前記コイラーチューブが前記停止領域に達する時点を前記コイラ用モータの停止時期に設定する請求項1〜3のいずれか一項に記載のコーマ。
【請求項5】
前記停止タイミングは、前記ニッパ装置が最前進位置に到達した時期に設定されている請求項1〜4のいずれか一項に記載のコーマ。
【請求項6】
前記停止タイミングは、前記デタッチングローラがラップに連なるフリースをニップしている期間に設定されている請求項1〜4のいずれか一項に記載のコーマ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−254848(P2012−254848A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−128497(P2011−128497)
【出願日】平成23年6月8日(2011.6.8)
【出願人】(000003218)株式会社豊田自動織機 (4,162)
【Fターム(参考)】