説明

ゴミ回転筒貯留装置

【課題】 ゴミ回転円筒貯留装置に回転円筒と固定台の間に密封材を挿入し摺動する。密封材の摺動表面に汚染された液膜が外面に滲み、臭気を蒸発させ発散させるので、臭気を防止する方法を提供する。
【解決手段】 回転筒(1)と固定台(3)との間に吸気箱(4)を設け、内気の汚染空気および外気からの清浄空気を吸気箱(4)内へ合流させ、常用脱臭器(27)を介して排気させ、臭気を完全に封鎖することができる特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転筒と固定台の隙間から洩れる臭気を防止するための装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ゴミ回転筒貯留装置に回転筒と固定台の間に密封材を挿入し、ゴミの臭気を防止する方法が行われている。密封材は回転筒によって摺動されて磨耗するため、臭気が洩れてくるので、密封材を交換し更新していた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来のゴミ回転筒貯留装置に設けた密封材に、次のような問題点があった。
(イ)回転筒の中に貯留した生ゴミが発酵し、内部温度が高くなり、内部の臭気の蒸気圧が外気圧より高くなる。されに、密封材の磨耗によって回転筒との隙間が発生する。したがって、密封材の隙間から臭気が内圧から洩れてくる。
(ロ)ゴミ回転筒貯留装置が大きいので、回転筒と固定台との隙間の製造誤差も大きくなる。さらに、左右、上下、前後、回転などの作動のバラツキが大きくなる。したがって、密封材の弾性体の大きい可撓性が必要になってくる。
(ハ)ゴミの粉体性、固形性、化学性、液体性によって、密封材の材質の磨耗および浸透が早く消耗する。したがって、密封材の材質の滲出によって臭気が発散する。
(ニ)密封材を固定しない側に摺動面が発生する。通常、摺動面に潤滑材などを塗布すると、液膜が生じる。とくに化学的な汚水や臭気などが液膜の中に浸潤して滲み、密封材の表面に伝わって、臭気が蒸発し発散する。
以上のような理由によって、密封材の挿入構造はどうしても臭気が洩れてくるので、密封材を交換し更新しなければならない。
回転筒と固定台の間に密封材を挿入する場合、ゴミの固形や液体を密封材で防止することができる。しかし、臭気が蒸発し周囲の汚染空気へ発散するので、汚染空気の臭気を防止する方法は非常に難しい。
本発明は、これらの問題点を解決するためになされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
汚染空気の臭気を防止するには、回転円筒と固定台の間の摺動面から臭気が洩れても、ゴミ回転筒貯留装置の外部から臭気が洩れないようにする方法が最も効果的な方法になる。
すなわち、装置の外部周囲の汚染空気から
ゴミ回転筒貯留装置の構造に、固定台に対して回転筒を回転するので、回転筒と固定台の間に摺動部分を介在しなくてはならない。摺動部分からは臭気が発生する。臭気を完全に封鎖するには、回転筒および固定台を囲んだ大きな吸気室の中に封じ込む方法が必要になる。
その課題を解決するための手段として、固定台と回転筒の間に吸気箱を設け、内気の汚染空気および外気からの清浄空気を吸気箱内へ合流させ、脱臭器を介して排気させ、臭気を完全に封鎖することができる。
すなわち;
(イ)横置きにした回転筒(1)の開口部(2)の前に固定台(3)を設け、回転筒(1)と固定台(3)の間に吸気箱(4)を囲んで設け、吸気箱(4)の中に前吸気室(5)および後吸気室(6)を設ける。
(ロ)前吸気室(5)および後吸気室(6)の間に仕切板(7)を設け、円筒外面(8)と仕切板(7)の間に小隙間A(9)を設ける。
(ハ)吸気箱(4)の外板(10)と円筒外面(8)との間に、大隙間B(11)を設ける。
(ニ)小隙間A(9)と大隙間B(11)の間に後吸気室(6)を設け、後吸気室(6)の外部に吸気口(12)を設ける。
【発明の効果】
【0005】
ゴミ回転筒貯留装置に対して、従来の方式と本発明の方式を比較して、発明の効果を説明する。
(a)従来方式のゴミ回転円筒貯留装置に対して、回転円筒を回転し固定台を固定するので、この間にどうしても摺動部分が必要になり、密封材の挿入構造になる。密封材の挿入構造は磨耗し劣化し臭気が洩れてくるので、密封材を交換し更新しなければならない。その交換作業は大掛かりになり、作業コストが非常に高価になる。
これに対して本発明の方式では、吸気箱を設けると、回転円筒と固定台の隙間に密封材を挿入する必要はない。交換作業も作業コストも不要になり非常に経済的である。
(b)従来方式のゴミ回転円筒貯留装置に対しては、臭気を完全に封鎖するには、ゴミ回転円筒貯留装置の全体に大きな密封型カバーを取付けなければならない。密封型カバーは大掛かりな密封工事や装置の設置範囲も大きくなるので、大幅な装置コストが発生し不経済になる。
これに対して本発明の方式では、回転円筒および固定台を囲んだ部分的な吸気箱を小さくすることができるので、大きな密封型カバーにする必要はなく、大幅な装置コストを非常に低減することができる。
以上のような二つの特徴を説明したが、本発明の大きな特徴は回転円筒と固定台との摺動部分に接触せずに空気流体によって臭気を封鎖する方法であり、密封サービス作業や交換作業するためのランニングコストが全く不要になるので、発明の効果は非常に大きい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明の実施例の形態について構造を説明する。
図1は本発明の実施例の側面図、図2は正面図、図3は図1の詳細図Cを示す。
図1および図2について、公知のゴミ回転筒貯留装置の概要図を示す。
横置きにした回転筒(1)の前部に開口部(2)を設け、後部を閉鎖した構造の例を示す。回転筒(1)の内面に螺旋状羽根(16)を設ける。
回転筒(1)の開口部(2)に接した固定台(3)に出入口(17)、出入口蓋(18)および非常用脱臭器(15)を設ける。
回転筒(1)と固定台(3)の間に隙間C(19)を設ける。隙間C(19)に、弾力性のある摺動用シール材等の密封材を設けてもよい。
固定台(3)を基礎台(20)の上に固定する。回転軸方向に直角に2個ずつ並置した前軸受台(21)及び後軸受台(22)を基礎台(20)の上に固定し、回転筒(1)を支持し回転する。
回転筒(1)の外周に大スプロケット(23)を設け、駆動用モータ(24)に取付けた小スプロケット(25)とチェーン(26)を連結する。
【0007】
図3には、図1の詳細図Dを示す。本発明の特徴とする吸気箱(4)を固定台(3)に付加した構造に示す。
回転筒(1)と固定台(3)の間に吸気箱(4)を囲んで設け、吸気箱(4)の中に前吸気室(5)および後吸気室(6)を設ける。
前吸気室(5)および後吸気室(6)の間に仕切板(7)を設ける。円筒外面(8)と仕切板(7)の間に小隙間A(9)を設ける。
吸気室(4)の外板(10)と円筒外面(8)との間に大隙間B(11)を設ける。
小隙間A(9)と大隙間B(11)の間に後吸気室(6)を設ける。後吸気室(6)の外部に吸気口(12)を設ける。
基礎台(20)に常用脱臭器(27)を設け、吸気口(12)と常用脱臭器(27)の間に吸気管(28)を連結する。
【0008】
図1および図2についてゴミ回転筒貯留装置を次のように使用する。
ゴミを投入する場合には、駆動用モータ(24)によって小スプロケット(25)、大スプロケット(23)及びチェーン(26)を介して、回転筒(1)を右回転へ駆動し、出入口蓋(18)を開き、出入口(17)へゴミを投入する。
ゴミを排出する場合には、回転筒(1)を左回転へ駆動し、螺旋状羽根(16)によってゴミを前方へ移送し、出入口(17)よりゴミを排出する。
ゴミを投入または排出する場合には、出入口蓋(18)を開くと臭気が洩れるので、非常用脱臭器(15)を駆動し、出入口(17)の周囲の内部へ、清浄な空気を吸入する。
【0009】
図3については、吸気箱(4)を次のように使用する。汚染空気の流れを黒矢印、清浄空気の流れを白矢印に示す。
ゴミ回転筒貯留装置に二つの隙間を構成した吸気箱(4)を設け、吸気箱(4)の中に前吸気室(5)および後吸気室(6)を設ける。
回転筒(1)内部から洩れる汚染空気の内気は,装置内の汚染空気は回転筒(1)と固定台(3)の間の隙間C(19)から洩れ、前吸気室(5)へ充満される。
いっぽう常用脱臭器(27)は常に駆動されて吸気するので、吸気管(28)で連結された吸気口(12)より、後吸気室(6)は常に吸気状態にある。したがって、仕切板(7)の小隙間A(9)を小さくし、前吸気室(5)から後吸気室(6)へ汚染空気を小さく流入する。
また、外板(10)の大隙間B(11)を大きくし、外部から後吸気室(6)へ清浄空気な外気を流入する。小隙間A(9)から洩れる内気の量を少なくし、大隙間B(11)から洩れる外気の量を多くし、後吸気室(6)の中に汚染空気と清浄空気を混入する。
常に外部から内部へ外気を流入するように構成して、吸気口(12)を経て常用脱臭器(27)を駆動して、排気口(28)より外気へ排気する。
【実施例1】
【0010】
図4は、回転筒(1)と固定台(3)の間に密封材E(30)を示す。
ゴミ回転筒貯留装置が大きいので、回転筒(1)と固定台(3)との隙間C(19)の製造誤差も大きくなり、回転筒(1)の上下や左右の作動のバラツキが大きくなる。
したがって、仕切板(7)の小隙間A(9)を大きくして遊びを設けなければならない。前吸気室(5)から後吸気室(6)へ汚染空気を小さく流入するには、密封材E(30)を設ける。
しかし、最初の場合、密封材E(30)は気密になっているが、時間の経過によって密封材E(30)は磨耗し破損し劣化する。ついに、回転筒(1)内部の汚染空気より密封材E(30)の間に多量に洩れ、前吸気室(5)に充満するので、密封材E(30)の効果はなくなる。つまり、密封材E(30)がない図3と同じような状態になり,後吸気室(6)への汚染空気を大きく流入するようになる。その対応策として、常用脱臭器(27)の吸気量を大きくしなければならない。
【実施例2】
【0011】
図5は,小隙間A(9)に密封材F(31)を示す。仕切板(7)の小隙間A(9)に密封材F(31)を設けて、摺動させて微小にさせ、前吸気室(5)から後吸気室(6)へ汚染空気を小さく絞る。したがって、常用脱臭器(27)の駆動による吸気量は一定なので、大隙間B(11)から侵入する外気の量が多くり、汚染空気より大隙間B(11)から外気へ排気されることはない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施例の側面図を示す。
【図2】本発明の実施例の正面図を示す。
【図3】図1の詳細図Dを示す。
【図4】回転筒(1)と固定台(3)の間に密封材E(30)を示す。
【図5】小隙間A(9)に密封材F(31)を示す。
【符号の説明】
【0013】
1 回転筒
2 開口部
3 固定台
4 吸気箱
5 前吸気室
6 後吸気室
7 仕切板
8 円筒外面
9 小隙間A
10 外板
11 大隙間B
12 吸気口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
横置きにした回転円筒(1)の開口部(2)の前に固定台(3)を設け、回転円筒(1)と固定台(3)の間に吸気箱(4)を囲んで設け、吸気箱(4)の中に前吸気室(5)および後吸気室(6)を設け、
前吸気室(5)および後吸気室(6)の間に仕切板(7)を設け、円筒外面(8)と仕切板(7)の間に小隙間A(9)を設け、
吸気箱(4)の外板(10)と円筒外面(8)との間に大隙間B(11)を設け、
小隙間A(9)と大隙間B(11)の間に後吸気室(6)を設け、後吸気室(6)の外部に吸気口(12)を設けたことを特徴とするゴミ回転筒貯留装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−232543(P2006−232543A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−78015(P2005−78015)
【出願日】平成17年2月21日(2005.2.21)
【出願人】(398046688)
【Fターム(参考)】