説明

ゴミ容器

【課題】 袋支持枠への袋の取付性が良く、取付強度も高いゴミ容器の提供。
【解決手段】 袋支持枠と、前記袋支持枠に接続された固定面への取付具を有する袋支持手段と、前記袋支持枠に取り付けるための袋とを有するゴミ容器であり、袋10が、開口部12両端の対向する面同士が固着一体化された2箇所のストッパ部19a、19bを有しており、ストッパ部19a、19bにおける開口部12の内周長さ(L)と袋支持枠の外周長さ(L)が次式:L/L<1で示される関係を満たすように設定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、台所に着脱自在に取り付けることができるゴミ容器に関する。
【背景技術】
【0002】
台所用の生ゴミ用の容器としては、従来から、いわゆる三角コーナーと称されているプラスチック製や金属製のものの中にゴミ袋を取り付けたものが汎用されている。しかし、このような三角コーナーは、それ自体が汚れたり、ぬめりを生じたりすることから、見た目や衛生上の観点から、好ましいものではない。
【0003】
三角コーナーに代わるものとして、特許文献1には、袋支持枠とくびれ部を有する袋を組み合わせたゴミ、物品等の投入容器が開示されている。この投入容器は、袋支持枠を流し台上に固定して使用し、ゴミを投入した袋がシンク内に位置するように取り付け、前記袋のみを取り外して廃棄するものであるため、三角コーナーを用いた場合の外観上や衛生上の問題が解決されている点で優れている。このような投入容器は、本願出願人より、「三角コーナーいらず」の商品名で市販されている。
【特許文献1】特公平5−20321号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
袋支持枠に袋を取り付ける方法は、商品名「三角コーナーいらず」の使用方法として広く知られており、商品の使用方法として、商品の包装袋の裏面において、次の手順(1)〜(6)とそれに対応した写真が印刷されている。ここで、「リング」が本発明の袋支持枠に相当する。
(1)袋を1枚取り出し、袋の中にすっぽりと、リングを入れます。
(2)左手で袋をリングの根本あたりで押さえ、右手で袋の底を上に持ち上げていきます。
(3)そのまま少しピンとなるまで袋の底をつまみ上げます。
(4)左手で袋を押さえたまま、つまみ上げた袋の底をリングの中に入れます。
(5)そのまま袋がひっかかるまで軽く押し下げます。
(6)袋の形を整えて、完成です。
【0005】
本発明は、袋支持手段の袋支持枠への袋の取付性を損なうことなく、袋の取付強度が高められたゴミ容器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、課題の解決手段として、
袋支持枠と、前記袋支持枠に接続された固定面への取付具を有する袋支持手段と、前記袋支持枠に取り付けるための袋とを有するゴミ容器であり、
前記袋が、開口部両端の対向する面同士が固着一体化された2箇所のストッパ部を有しており、
前記ストッパ部の内側における開口部の内周長さ(L)と前記袋支持枠の外周長さ(L)が次式(1):L/L<1 (1)で示される関係を満たすように設定されているものである、ゴミ容器を提供する。
【0007】
本発明のゴミ容器は、上記した手順(1)〜(6)のようにして、袋支持手段の袋支持枠に袋を取り付けて使用することができる。本発明の袋におけるストッパ部は、手順(5)において、袋支持枠に袋を引っ掛け、袋が脱落することを防止する作用をするものである。
【0008】
そして、このようなストッパ部を袋に設け、かつ袋支持枠とストッパ部を有する袋とが式(1)を満たすように関連づけることにより、袋支持枠に袋を取り付けるときの取付易さを向上させ、同時に袋の取付強度を高めたものである。
【0009】
袋支持枠に対する袋の取付強度が小さいと、袋取付時に取付部分が外れることがあるほか、生ゴミは水分を多く含み、質量が大きくなるため、袋を廃棄する前に袋支持枠から袋が脱落するおそれもあるが、本発明は、袋支持枠への取付強度をより高めることで、前記課題を解決したものである。
【0010】
袋支持枠は、合成樹脂、金属、木材等からなる円形又は楕円形のもの(例えば、上記した市販品で使用されているもの)を用いることができる。袋は、底面側に水切り用の多数の小孔を有していることが好ましい。袋は、熱可塑性樹脂からなるものを用いることができる。袋のストッパ部は、熱可塑性樹脂製の袋の対向する面同士を熱融着する方法、接着剤で接着する方法等を適用して形成する。
【0011】
本発明は、前記式(1)において、L/L=0.50〜0.99の範囲にすることで、上記した袋の取付易さと取付強度をより高めることができる。
【0012】
本発明では、袋に形成されたストッパ部は、
(I)ストッパ部が、曲線又は直線と曲線の組み合わせからなるもの
(II)ストッパ部が、袋の側辺を囲む曲線であるもの、
(III)ストッパ部が、外周が曲線を含む環であるもの、
(IV)ストッパ部が、外周が曲線を含む面(又は面に等しい点の集合体も含む)であるもの、
(V)前記(II)〜(IV)を適宜組み合わせたもの、
にすることができる。
【0013】
図6に示すように、ストッパ部(即ち、固着一体化された部分)201が直線の場合は、袋を袋支持枠に取り付けるとき、袋の開口部212を開くことで加えられる力が直線状の固着一体化された部分の端部に集中して、固着一体化された部分が剥離したり、固着一体化された部分で袋が破損したりするおそれがある。
【0014】
しかし、本発明のストッパ部のように曲線を有している場合には、前記力は分散され、1箇所に集中することがないため、固着一体化された部分に悪影響が及ぶことがない。
【0015】
(I)のストッパ部の場合は、図6に示す比較例の課題を解決するため、袋の開口部方向に面した部分が曲線であればよい。このようにすることで、袋の開口部を拡げたときにストッパ部の端部に加えられる力が分散されるため、袋支持枠への取付性が良くなる。
【0016】
(II)、(III)のストッパ部の場合は、例えば、線状の熱融着部と、熱融着部で囲まれた空気層を有するもの(膨らんでいるもの)でもよいし、前記空気層を有していないもの(膨らんでいないもの)(以下「非空気層」と称する)でもよい。
【0017】
(IV)のストッパ部の場合は、例えば、円形、楕円形又は扇形の熱融着部が形成されたものにすることができる。このようにストッパ部が面である場合は、線である場合に比べて、熱可塑性樹脂製の袋の対向する面同士の固着強度が高められるので、袋支持枠への取付性が良くなる。
【0018】
(V)のストッパ部の場合、袋の側辺を囲む曲線の内側又は外周が曲線を含む環の内側に、面又は点の熱融着部を形成することができる。このようにした場合は、線又は環の熱融着部の中に、面又は点の熱融着部が存在し、前記面又は点の熱融着部の周囲が空気層又は非空気層となる。このようにすることで、熱融着の信頼性が向上し、袋支持枠への取付性が良くなる。
【0019】
本発明のゴミ容器は、廃棄時の取り扱い性を良くするため、開口部の両端に結び手部を形成することができ、ストッパの一部が前記結び手部に位置するようにしてもよい。
【0020】
このようにストッパの一部を結び手部に形成することより、袋支持枠で折り返されている部分を短くすることができるので、ごみの投入容量はそのままで、袋全体の長さを短くすることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明のゴミ容器は、袋支持手段への袋の取付が容易で、袋の取付強度が向上されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
図1は、ゴミ容器を構成する袋の正面図、図2は、ゴミ容器を構成する袋支持手段の平面図である。図3(a)〜(c)は、図1の袋とは別形態の袋の正面図である。図4(a)〜(h)は、図1の袋とは別形態の袋の正面図、図5(a’)、(c’),(e’)、(g’)は、図1の袋とは更に別形態の袋の正面図である。図6は、本発明の作用効果を説明するための比較例となる袋の正面図である。
【0023】
袋10は、開口部12両端の対向する面同士が熱融着された2箇所のストッパ部15a、15bを有している。袋10の下半分には、水切り穴18が多数形成されている。
【0024】
ストッパ部15a、15bは、袋の側辺11a、11bが曲線状の熱融着部16a、16bで囲まれており、熱融着部16a、16bで囲まれた内部には空気層17a、17bが形成されていてもよい。空気層17a、17bが形成された場合は、少し膨らんだ状態になっている。
【0025】
ストッパ部15a、15b間の最短距離部分が1/2Lとなり、この2倍の値が、式(1)におけるLとなる。
【0026】
袋10の開口部12の両端には、ゴミ捨て時に結んで開口部12を閉じるための2箇所の結び手部19a、19bが形成されている。図1において、開口部12を示す線をそのまま両端側に結び手部19a、19bを横切るように延長したとき、その線(図1中の破線)より上が結び手部19a、19bとなる。よって、図1から明らかなとおり、結び手部19a、19bには、ストッパ部15a、15bはかかっていない。
【0027】
袋支持手段150は、リング状の袋支持枠151と、袋支持枠151に接続された固定面への取付具152を有している。取付具152は、固定面に対して着脱自在にするための吸盤153を有している。袋支持枠151の外周が式(1)におけるLとなる。
【0028】
本発明では、ストッパ部15a、15bの内側における開口部の内周長さ(L)と袋支持枠21の外周長さ(L)が式(1)を満たしている。
【0029】
更に本発明では、本発明の課題を解決するため、式(1)において、L/L=0.50〜0.99の範囲であることが好ましく、0.70〜0.95の範囲であることがより好ましく、0.80〜0.92の範囲であることが更に好ましい。前記範囲にすることにより、袋支持枠への袋の取付性、取付強度を高めることができる。
【0030】
次に、図3(a)〜(c)により、ストッパ部の形態が異なるゴミ容器について説明する。
【0031】
図3(a)〜(c)は、上記した(I)のストッパ部に相当するものである。(a)は、直線と曲線の組み合わせからなるストッパ部21であり、袋の側辺11a、11bには接していない。(b)は、波形の曲線からなるストッパ部22であり、袋の側辺11a、11bに接している。(c)は、(b)より緩やかな波形の曲線からなるストッパ部23であり、袋の側辺11a、11bには接していない。いずれの実施形態においても、袋の開口部12方向に面した部分が曲線となっている。
【0032】
次に、図4(a)〜(h)により、ストッパ部の形態が異なるゴミ容器について説明する。
【0033】
図4(a)、(b)は、上記した(II)のストッパ部に相当するものである。(a)は、熱融着部32と空気層(又は非空気層)33とを有するストッパ部31であり、(b)は、熱融着部42と空気層(又は非空気層)43とを有するストッパ部41である。
【0034】
図4(c)、(d)は、上記した(III)のストッパ部に相当するものである。(c)は、円形の熱融着部52と空気層(又は非空気層)53とを有するストッパ部51であり、(b)は、楕円形の熱融着部62と空気層(又は非空気層)63とを有するストッパ部61である。
【0035】
図4(e)、(f)は、上記した(IV)のストッパ部に相当するものである。(e)は、円形内の全面が熱融着されたストッパ部71、(f)は、楕円形内の全面が熱融着されたストッパ部81である。
【0036】
図4(g)、(h)は、上記した(V)のストッパ部に相当するものである。(g)は、円形の熱融着部92の中心部に点の熱融着部93を有し、熱融着部92内の熱融着部93を除いた部分が空気層(又は非空気層)94であるストッパ部91であり、(h)は、楕円形の熱融着部102の中心部に点の熱融着部103を有し、熱融着部102内の熱融着部103を除いた部分が空気層(又は非空気層)104であるストッパ部101である。
【0037】
なお、図4(a)において図1と同様にして破線で示したとおり、図4(a)では、ストッパ部31は、結び手部19a、19bにはかかっておらず、(b)〜(h)でも同様である。
【0038】
次に、図5(a’)、(c’),(e’)、(g’)により、ストッパ部の形態が異なるゴミ容器について説明する。図5(a’)、(c’),(e’)、(g’)は、それぞれ図4(a)、(c)、(e)、(g)に対応するものであり、各図と同じ形態のストッパ部31、51、71、91を有するものであるが、それぞれのストッパ部の形成位置が異なっている。
【0039】
図1と同様にして、開口部12を示す線をそのまま両端側に結び手部19a、19bを横切るように延長したとき、その線(図5中の破線)より上にストッパ部31、51、71、91の一部がかかっている。
【0040】
このようにすることで、図4(a)、(c)、(e)、(g)の形態と比べると、ごみの投入容量はそのままで、袋全体の長さを短くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明のゴミ容器で用いる袋の正面図。
【図2】本発明のゴミ容器で用いる袋支持手段の平面図。
【図3】本発明のゴミ容器で用いる袋の他の実施形態の正面図。
【図4】本発明のゴミ容器で用いる袋の更に他の実施形態の正面図。
【図5】本発明のゴミ容器で用いる袋の更に他の実施形態の正面図。
【図6】比較例の袋の正面図。
【符号の説明】
【0042】
10 袋
11a、11b 側辺
12 開口部
15a、15b ストッパ部
16a、16b 熱融着部
17a、17b 空気層(又は非空気層)
18 水切り穴
19a、19b 結び手部
150 袋支持手段
151 袋支持枠
152 取付具
153 吸盤



【特許請求の範囲】
【請求項1】
袋支持枠と、前記袋支持枠に接続された固定面への取付具を有する袋支持手段と、前記袋支持枠に取り付けるための袋とを有するゴミ容器であり、
前記袋が、開口部両端の対向する面同士が固着一体化された2箇所のストッパ部を有しており、
前記ストッパ部の内側における開口部の内周長さ(L)と前記袋支持枠の外周長さ(L)が次式(1):L/L<1 (1)で示される関係を満たすように設定されているものである、ゴミ容器。
【請求項2】
前記式(1)において、L/L=0.50〜0.99の範囲である、請求項1記載のゴミ容器。
【請求項3】
前記ストッパ部が、曲線又は直線と曲線の組み合わせからなるものである、請求項1又は2記載のゴミ容器。
【請求項4】
前記ストッパ部が、袋の側辺を囲む曲線である、請求項1〜3のいずれかに記載のゴミ容器。
【請求項5】
前記ストッパ部が、外周が曲線を含む環である、請求項1〜3のいずれかに記載のゴミ容器。
【請求項6】
前記ストッパ部が、外周が曲線を含む面である、請求項1〜3のいずれかに記載のゴミ容器。
【請求項7】
前記ストッパ部が、空気層を有しているものである、請求項1〜5のいずれかに記載のゴミ容器。
【請求項8】
前記袋が、開口部の両端に結び手部を有しており、前記ストッパ部の一部が前記結び手部に位置しているものである、請求項1〜7のいずれかに記載のゴミ容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−120573(P2008−120573A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−308978(P2006−308978)
【出願日】平成18年11月15日(2006.11.15)
【出願人】(595138155)ダイセルファインケム株式会社 (11)
【Fターム(参考)】