説明

ゴムインペラ抜き工具

【課題】
作業スペースの少ないヤブスコポンプのゴムインペラを抜き出すのに、従来の抜き工具は、使用できなかったり、ゴムインペラへの爪食い込みが甘く、スリップし、やり直しが多く手間取った。
【解決手段】
抜き工具のゴムインペラ挟み部と抜き出し部を分離して、抜き工具の抜き出し方向寸法を短くし、作業スペースの少ないヤブスコポンプにも使用可能とし、爪先を多角錐、および円弧状とし、ゴムインペラへの爪食い込み向上と、さらに、アーム力点拡張構造により、ゴムインペラへの爪食い込み力と抜き出し力の双方を同時作用することで確実に、簡単に抜き出し可能なゴムインペラ抜き工具。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ヤブスコポンプのゴムインペラ交換で、作業スペースが少なく、ゴムインペラ抜き工具が使用できないポンプにおいて、抜き工具の抜き出し方向寸法を短くして、作業スペースが少ないポンプにも使用可能とし、また、ゴムインペラへのアームの爪食い込みを向上させ、確実に、簡単にゴムインペラの抜き出し可能な、ゴムインペラ抜き工具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
小型船舶の主機冷却用海水ポンプおよび、雑用水ポンプとして図5(日本財団電子図書館3S級舶用機関整備士指導書)に示すヤブスコポンプのゴムインペラ17は、ゴムインペラケース18と絶えず擦れ合って回転しているため寿命が短く、消耗品として定期的に交換しなければならない。
【0003】
小型船舶運用において、主機冷却用海水ポンプは重要な装置であり、定期的に交換していても、突発的に漂流しているビニールや、ゴミ吸い込みによりゴムインペラ17の羽根が折損し、機関がオーバーヒートし機関停止に陥る事故があり、漂流や海難救助の要請をしなければならず、船主、および機関長が現場でゴムインペラ17の交換を余儀なくされる。
【0004】
ゴムインペラ17の交換時において、ゴムインペラ17を抜き出すのに、ヤブスコポンプの構造上、手がかりもなく、海水のスケールによるゴムインペラ17とインペラシャフト21の膠着や、ゴムインペラケース18とゴムインペラ17の羽根との摩擦力により抜き出しが困難であり、図6に図示するような専用工具が販売されている。
【0005】
従来の専用工具(図6に示す)のゴムインペラ抜き出し作業工程の説明をする。
【0006】
アーム締め込みボルト5a、5bの調整によりそれぞれのアーム2をゴムインペラ17の胴直径に合わせ、ゴムインペラ17の羽根と羽根のスペースにアーム2を挿入し、アーム締め込みボルト5a、5bを締め込み、アーム2の爪をゴムインペラ17の胴部に食い込ませ、インペラ抜き出しボルト20の握り手10をねじ込み方向に回転させ、インペラ抜き出しボルト20とインペラシャフト21との反作用によりゴムインペラ17をぬきだすが、アーム2の力点13から支点14の距離より支点14から作用点爪部15の距離が長い、つまり、アーム2の力点13の力よりも作用点爪部15の力がそれぞれの距離の割合で低下するため、アーム2の爪をゴムインペラ17の胴部に食い込ませ、抜き出し時にアーム2の爪がスリップしないようにするには、アーム締め込みボルト5にかなりの指先力を要し、アーム2が曲損する場合がある。
【0007】
さらに、インペラ抜き出しボルト20の全長はインペラ抜き出し方向にインペラシャフト21の端部からボディ1までの長さとボディ1の長さ、抜き出されるゴムインペラ17の長さ、握り手10の長さ合計になるが、ゴムインペラ17は、ポンプ能力によりサイズが多種あり(インペラ長さは20mmから100mmほど)、ある程度のインペラサイズにおいて、工具の使用可能範囲をカバーするため、インペラ抜き出しボルト20の全長は専用工具(図6に図示)で165mmである。
【0008】
小型船舶機関の場合、作業スペースが少なく、機種によっては、インペラ長さ55mmプラス20mmの計75mmほどのスペースしかなく、専用工具(図6に図示)が使用できず、ウォタープライヤーやドライバーを駆使し、ゴムインペラケース18を支点として抉り抜かねばならず、かなりの時間を要し、熟練しないと交換不可能であり、前述のビニールやゴミ吸い込み等の突発的不具合で、機関がオーバーヒートし、不意に沸騰した清水のキャップを開け、火傷を負うことや、漂流、座礁などの大事故につながる場合があり、また、ゴムインペラケース18を痛めて海水漏れが発生することもある。
【0009】
従来の提案品(特許文献2中の図8)のゴムインペラ抜き出し作業工程の説明をする。
【0010】
アーム締め込み円盤19を回転させ、アーム2をゴムインペラ17の胴直径に合わせ調整し、ゴムインペラ17の羽根と羽根のスペースにアーム2を挿入し、アーム締め込み円盤19を回転させ、L字形状のアーム2の力点13押すことにより、支点14を介し、作用点爪部15をゴムインペラ17の胴部に食い込ませ、次に、インペラ抜き出しボルト20の握り手10をねじ込み方向に回し、インペラ抜き出しボルト20とインペラシャフト21との反作用によりゴムインペラ17をぬきだすが、従来の専用工具(図6に図示)同様にアーム2の力点13から支点14の距離より支点14から作用点爪部15の距離が長い、つまり、アーム2の力点13の力よりも作用点爪部15の力がそれぞれの距離の割合で低下するため、アーム2の爪をゴムインペラ17の胴部に食い込ませ、抜き出し時にアーム2の爪がスリップしないようにするには、アーム締め込み円盤19にかなりの指先力を要し、インペラ抜き出しボルト20も長く、作業スペースが少ない機種への使用ができない。
【0011】
従来の提案品(特許文献1中の図7)のゴムインペラ抜き出し作業工程の説明をする。
【0012】
ゴムインペラ17の端面にインペラ内ネジ25を加工し、そのインペラ内
ネジ25にスタッドボルト23をねじ込み、スタッドボルト23が通る孔が設けられた円筒形の台座22をゴムインペラケース18の端面に当て、台座22より突出したスタッドボルト23の反インペラ側ネジ部に、抜き出しナット24を締め込むことにより、ゴムインペラ17をぬきだす。
【0013】
従来の専用工具(図6に示す)および、従来の提案品(特許文献2中の図8)のように、アーム2の爪をゴムインペラ17の胴部に食い込ませないので、アーム2の爪食い込み不足によるスリップがない利点があるが、ゴムインペラ17の抜き出し時にスタッドボルト23は、ゴムインペラ17の長さが抜き出し方向に突き出るため、作業スペースが少ない機種には使用できず、さらにゴムインペラ17の各種サイズごとにスタッドボルト23、台座22が必要であり、ゴムインペラ17の各種サイズ抜き出しを兼用できる汎用性に欠ける。また、ゴムインペラ17の端面にインペラ内ネジ25の加工と、インペラ内ネジ25の長さ、つまり、スタッドボルト23のねじ込み部の長さを短縮したインペラシャフト21に改造しないと使用できず、余分なコストがかかる。
【0014】
従来の提案品(特許文献3中の図9)のゴムインペラ抜き出し作業工程の説明をする。
【0015】
ゴムインペラ17とポンプケース内面27の間に薄板状円筒部26を入れ込み、ゴムインペラ17の摩擦力でゴムインペラ17と薄板状円筒部26を保持させ、握り手10を抜き出し方向に引っ張り、ゴムインペラ17を抜き出す。
【0016】
従来の専用工具(図6に示す)および、従来の提案品(特許文献2中の図8)のように、アーム2の爪をゴムインペラ17の胴部に食い込ませないので、アーム2の爪食い込みによる爪傷が残らない利点があるが、前述の海水のスケールによるインペラシャフト21とゴムインペラ17が膠着している場合、ゴムインペラ17と薄板状円筒部26の保持力が確実でなく、スリップし易く、作業スペースが少ない機種において、手で握り手10を抜き出し方向に引っ張るスペースがない。また、ゴムインペラ17の各種サイズごとに薄板状円筒部26が必要であり、各種サイズ抜き出しを兼用できる汎用性に欠ける。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】特開平11―257248号公報
【特許文献2】特開2004―108305号公報
【特許文献3】特開2008―95670号公報
【非特許文献】
【0018】
【非特許文献1】日本財団電子図書館3S級舶用機関整備士指導書 社団法人 日本舶用機関整備協会 舶用機関整備士資格検定委員会発行(発行日 平成20年9月)P75
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
そのため次のような問題点があった。
(イ)従来品および従来の提案品は、インペラ抜き出しボルト20が抜き出し方向に突出しており、ポンプ設置構造上、抜き出し方向の寸法が短く作業スペースの少ないポンプへの抜き工具が使用できなかったり、使用しづらかった。
(ロ)ゴムインペラ胴に、抜き工具のアーム2の爪をアーム締め込みボルト5の締め込みにより食い込ませ、次に、インペラ抜き出しボルト20をねじ込むことによりゴムインペラ17を引っ張りだすが、アーム2の力点13から支点14の距離より支点14から作用点爪部15の距離が長い、つまり、アーム2の力点13の力よりも作用点爪部15の力がそれぞれの距離の割合で低下するため、アーム2の爪をゴムインペラ17の胴部に食い込ませ、抜き出し時にアーム2の爪がスリップしないようにするには、アーム締め込みにかなりの指先力を要する。
(ハ)アーム2の作用点爪部15は、ゴムインペラ胴に直角方向に押し付けるため、食い込みが充分でなくアーム2の爪がスリップしやすく、スリップすると抜き工具を最初から再装着せねばならず、抜き作業時間が長くなる。
(ニ)従来の抜き工具を装着するのに、アーム締め込みボルト5a、5bの調整によりそれぞれのアーム2をゴムインペラ17の胴直径に合わせ、ゴムインペラ17の羽根と羽根のスペースにアーム2を挿入し、アーム締め込みボルト5a、5bを締め込み、アーム2の爪をゴムインペラ17の胴部に食い込ませるが、作業スペースの少ないポンプでの使用はアーム締め込みボルト5a、5bの手前と逆位置のボルトが締めにくく、煩わしい。
本発明は、以上の問題点を解決しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明は、ゴムインペラ挟み機構と、ゴムインペラ抜き機構とを分離し、
別体に構成したことから成るゴムインペラ抜き工具で、ゴムインペラ挟み機構が、ボディの両端に取付ボルトで、それぞれ取付けた一対のアームと、該アームの片方アームの端面に取付けたアーム調整ボルトと、前記一対のアームの後端が回動自在に取付けたフリーブラケットからなり、ゴムインペラ抜き機構が、抜き出しハンドルの長穴部に取付けた高さ調整ボルトと、前記抜き出しハンドルの握り手部に随時取付けた延長パイプとから構成されたことを特徴とするゴムインペラ抜き工具である。
以下、具体的に説明する。
ゴムインペラ抜き工具の抜き出し方向に突出したインペラ抜き出しボル
ト20を除去して、ゴムインペラ挟み部と抜き出し部に分離することで、抜き工具の抜き出し方向寸法を短縮し、抜き工具の使用を可能とするゴムインペラ抜き工具である。
【0021】
抜き出し方向の力をアーム形状とアーム2の力点13の拡張により、ゴムインペラ17へのアーム2の爪食い込みと、抜き出し力の双方を合理的に作用させるゴムインペラ抜き工具である。
【0022】
アーム2の力点13から支点14の距離と、支点14から作用点爪部15の距離を同等になるアーム形状とし、アーム2の力点13に作用する力を低下させずゴムインペラ17の食い込み力とし、さらに、アーム2の力点13を作用させるフリーブラケット6を抜き出しハンドル7でテコの原理に沿って作用させるため、無理な指先力を要しない。
【0023】
アーム2の爪先を多角錐形状、円弧状とし、ゴムインペラ17への食い込みを確実にするゴムインペラ抜き工具である。
【0024】
上記ゴムインペラ挟み機構のボディの両端の一対のアーム間にアジャストスプリングを内蔵したゴムインペラ抜き工具である。
【0025】
上記ゴムインペラ抜き機構に、抜き出しハンドルの高さ調整ボルトの位置決め溝を刻設したゴムインペラ抜き工具である。
【発明の効果】
【0026】
本発明は、従来の抜き出し方向に設けられたインペラ抜き出しボルト20を除去し、ゴムインペラ挟み部と抜き出し部を分離し、抜き工具の抜き出し
方向寸法を短縮したことにより、インペラ抜き出し作業スペースの少ないポンプのゴムインペラ抜き工具使用が可能になり、抜き出しに熟練を要せず、緊急交換時にも容易になる。
【0027】
インペラ抜き出し時に、ゴムインペラ挟み部のボディ1とフリーブラケッ
ト6の隙間に、抜き出しハンドル7の先端を差込み、高さ調整ボルト8を支点として、テコの原理に沿って抜き出しハンドル7を押し込むことで、フリーブラケット6は抜き方向に押し動かされ、抜き出し作用力16となり、同時にフリーブラケット6に挟み込まれたアームの力点13に固定されたピンは、フリーブラケット6の拡張穴を移動し、アーム取り付けボルト4を支点として、ゴムインペラ17に食い込む方向の作用力となる。つまり、抜き出す方向の力とゴムインペラ17に食い込む力が同時に作用するためアーム2の作用点爪部15が、抜き出し方向と食い込み方向の斜め方向に作用し、より食い込みながらゴムインペラ17が抜けだすので、パワーロスがなく効率よく、短時間で抜ける。
【0028】
アーム2の力点13から支点14の距離と、支点14から作用点爪部15の距離を同等になるアーム形状とし、アーム2の力点13に作用する力を低下させずゴムインペラ17の食い込み力とし、さらに、アーム2の力点13を作用させるフリーブラケット6を抜き出しハンドル7でテコの原理に沿って作用させるため、無理な指先力を要せず、必要に応じて抜き出しハンドル7に延長パイプ11をはめ込めば、比較的大型のゴムインペラ17も抜き出し可能である。
【0029】
アーム2の爪先を多角錐形状、および、円弧状とし、爪の接触面を狭くすることで、面圧を増加し、ゴムインペラ17へのアーム爪食い込みを強化し、抜き出し時のスリップを減少させる。
【0030】
従来の抜き工具(図6に示す)を使用するのに、アーム締め込みボルト5a、5bの調整によりそれぞれのアーム2をゴムインペラ17の胴直径に合わせ、ゴムインペラ17の羽根と羽根のスペースにアーム2を挿入し、アーム締め込みボルト5a、5bを締め込み、アーム2の爪をゴムインペラ17の胴部に食い込ませるのが煩わしかったが、本発明は、アーム2aの支点部をアーム取付ボルトでボディ1の端部に取付け、そのボディ1の長穴部に移動可能としたアーム2b間にアジャストスプリング3を内蔵したことで、アーム締め込みボルト5のみで各インペラサイズへの調整、締め付けが簡単に出来る。
【0031】
ゴムインペラ挟み部のボディ1とフリーブラケット6の隙間に抜き出しハンドル7の先端を差込み、高さ調整ボルト8をゴムインペラケース18に支点として当て、抜き出しハンドル7がテコの原理に沿って充分に押し込めるよう高さを調整する。高さ調整ボルト8は、インペラのサイズに合わせて支点位置を調整できるよう抜き出しハンドル7の長穴部を移動できるが、長穴部に位置決め溝9を刻設し、支点である高さ調整ボルト8ナット部を鋭角にし、抜き出しハンドル7の押し込み時、スリップによる怪我を防止する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明のゴムインペラ抜き工具の斜視図である。
【図2】本発明のゴムインペラ抜き工具の分解斜視図である
【図3】本発明のゴムインペラ抜き工具の爪先形状図である。 図3(イ)は、アーム2の正面図である。 図3(ロ)は、アーム2の右側面図である。
【図4】本発明のゴムインペラ抜き工具の使用方法を示す説明図である。 図4(イ)は、ゴムインペラ挟み部をゴムインペラ17に挿入した図で あり、A−A矢視線はヤブスコポンプの断面線である。 図4(ロ)は、図4(イ)の断面方向を中心線に沿って90度回転させた断面図であり、抜き出しハンドル7をフリーブラケット6とボディ1の隙間に入れ込んだ図である。 図4(ハ)は、抜き出しハンドル7を押し込みゴムインペラ17が抜き出ている図である。 図4(ニ)は、図4(ハ)の断面方向を中心線に沿って90度回転させた断面図であり、フリーブラケット6を力点13として支点14から作用点爪部15を示す図である。
【図5】ヤブスコポンプ説明図で図4(イ)におけるA−A線断面図
【図6】ゴムインペラ抜き工具の専用工具を示す説明図である。
【図7】提案品(特開平11−257248号公報)のゴムインペラ抜き工具断面図である。
【図8】提案品(特開2004−108305号公報)のゴムインペラ抜き工具断面図である。
【図9】提案品(特開2008−95670号公報)のゴムインペラ抜き工具断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の実施の形態を、図1、図2、図3、図4により具体的に説明する。
【0034】
ここで、図1はゴムインペラ抜き工具の斜視図、図2は分解斜視図、図3
はアーム2の爪先形状図、図4は使用方法を示す説明図である。
【0035】
本発明の形態は、ゴムインペラ挟み部と抜き出し部に分かれており、それぞれ連結紐12でつながっている。
【0036】
(イ)ゴムインペラ挟み部は、ボディ1の内部にアジャストスプリング3を内蔵しその両端にアーム2aとアーム2bをアーム取付ボルト4で、それぞれ取付ける。
(ロ)アーム2bの端面には、アーム締め込みボルト5を取付ける。
(ハ)アーム2aとアーム2bの後端に固定されたピンをフリーブラケット6aの拡張穴に入れ、フリーブラケット6bで挟み込み、取り付けビスで締めこむ。
(ニ)ゴムインペラ抜き出し部は、抜き出しハンドル7の長穴部に高さ調整ボルト8を取付ける。
(ホ)抜き出しハンドル7の握り手部に延長パイプ11を随時取付ける。
本発明は、以上の構成よりなっている。
【0037】
本発明を使用するときは、ゴムインペラ挟み部のアーム締め込みボルト5でアーム2bをゴムインペラ胴径に合うよう調整し、ゴムインペラケース18にボディ1が触れるまでゴムインペラ17の羽根と羽根のスペースに、アーム2a、2bを挿入し、指でアーム締め込みボルト5をいっぱいに締め込み、アームの爪がゴムインペラ胴に食い込むよう固定するが、ボディ1の長穴部にアーム締め込みボルト5で移動可能なアーム2bの間にアジャストスプリング3を内蔵したことで、その反力により、各サイズへのゴムインペラ17へのアーム2挿入調整、締め付けがアーム締め込みボルト5のみで簡単に可能である。
ゴムインペラ挟み部に、突出したパーツが無いので、作業スペースの少ないほぼ全機種のポンプに使用可能である。
【0038】
固定されたゴムインペラ挟み部のボディ1とフリーブラケット6の隙間に抜き出しハンドル7の先端を差込み、高さ調整ボルト8をゴムインペラケース18に支点として当て、抜き出しハンドル7がテコの原理に沿って充分に押し込めるよう高さを調整する。高さ調整ボルト8は、インペラのサイズに合わせて支点位置を調整できるよう抜き出しハンドル7の長穴部を移動でき、長穴部に位置決め溝9を刻設し、支点である高さ調整ボルト8ナット部を鋭角にし、押し込み時に抜き出しハンドル7のスリップによる怪我を防止する。
【0039】
抜き出しハンドル7の握り手を押し込むことにより、高さ調整ボルト8を支点として、フリーブラケット6がゴムインペラ抜き出し方向に押し上げられる。
【0040】
押し動かされたフリーブラケット6を介して、アーム2の爪先にゴムインペラ17に食い込む方向の力と抜き出す方向の力が同時に作用するため、爪が、より食い込みながらゴムインペラ17が抜けだすので、爪がスリップせず、効率よく、短時間で抜ける。
【0041】
前述の1工程で抜き出せない比較的大型のゴムインペラ17の場合は、固定されたゴムインペラ挟み部のボディ1はそのままで、抜き出しハンドル7の高さ調整ボルト8を左回転でゴムインペラケース18方向に伸ばし、抜き出しハンドル7の握り手を押し込む動作を繰り返せばよい。
【0042】
比較的大型のゴムインペラ17を抜く場合、抜き出しハンドル7の握り手を押し込む力が不足するため、抜き出しハンドル7に延長パイプ11をはめ込み使用する。
【0043】
ゴムインペラ17が抜けたときに、ゴムインペラ挟み部とゴムインペラが落下するため、抜き出しハンドル7と連結紐12でつながっている。
【0044】
なお、この発明は、上記発明を実施するための最良の形態に限定されるものではなく、この発明の精神を逸脱しない範囲で種々の改変をなし得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0045】
1 ボディ
2,2a、2b アーム
3 アジャストスプリング
4 アーム取付ボルト
5、5a、5b アーム締め込みボルト
6、6a、6b フリーブラケット
7 抜き出しハンドル
8 高さ調整ボルト
9 位置決め溝
10 握り手
11 延長パイプ
12 連結紐
13 力点
14 支点
15 作用点爪部
16 抜き出し作用力
17 ゴムインペラ
18 ゴムインペラケース
19 アーム締め込み円盤
20 インペラ抜き出しボルト
21 インペラシャフト
22 台座
23 スタッドボルト
24 抜き出しナット
25 インペラ内ネジ
26 薄板状円筒部
27 ポンプケース内面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴムインペラ挟み機構と、ゴムインペラ抜き機構とを分離し、別体に構成したことを特徴とするゴムインペラ抜き工具。
【請求項2】
上記ゴムインペラ挟み機構が、ボディの両端に取付ボルトで、それぞれ取付けた一対のアームと、該アームの片方アームの端面に取付けたアーム調整ボルトと、前記一対のアームの後端が回動自在に取付けたフリーブラケットからなり、上記ゴムインペラ抜き機構が、抜き出しハンドルの長穴部に取付けた高さ調整ボルトと、前記抜き出しハンドルの握り手部に随時取付けた延長パイプとから構成されたことを特徴とする請求項1に記載のゴムインペラ抜き工具。
【請求項3】
上記ゴムインペラ挟み機構のボディの両端の一対のアーム間にアジャストスプリングを内蔵したことを特徴とする請求項1から請求項2に記載のゴムインペラ抜き工具。
【請求項4】
上記ゴムインペラ抜き機構に、抜き出しハンドルの高さ調整ボルトの位置決め溝を刻設したことを特徴とする請求項1から請求項3に記載のゴムインペラ抜き工具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−255436(P2010−255436A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−103012(P2009−103012)
【出願日】平成21年4月21日(2009.4.21)
【出願人】(505139470)有限会社オジカ鉄工 (3)
【Fターム(参考)】