説明

ゴムベール収納用押圧器具および収納方法

【課題】エチレン系エラストマー、プロピレン系エラストマーまたはブタジエン系エラストマーのゴムベールを運搬用収納箱に効率よく収納するための収納用押圧器具および収納方法を提供することが可能になり、より簡便ですばやくベールの形状を安定化して、その後の運搬作業を行うことができる方法を提供する。
【解決手段】ゴムベールを運搬用収納箱に収納するに際して用いる器具であって、少なくとも1000kgの重量を有する鋼鉄製の四角形のブロックよりなり、上部にはフォークリフトの爪を挿入する運搬用爪挿入口、四角形の四隅には収納箱の角に合致するガイド用治具を有し、四角形のブロックの下部は収納されたゴムベールを上部より押圧するための凸部を形成してなることを特徴とするゴムベール収納用押圧器具。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴムベールを運搬用収納箱に収納する際に用いる押圧器具および該押圧器具を用いるゴムベールの収納方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エチレン系エラストマー、プロピレン系エラストマーまたはブタジエン系エラストマー等は、運搬や使用時の容易さから長方体の形状をした17.5〜35kgのゴムベールに成型して消費者に供給されるが、柔軟性を有し積み重ねるとコールドフロー現象を示して崩れる恐れがあることから、ゴムベールが20個〜60個収納することができる収納箱に収納して保管や運搬を行うのが一般的である。かかるコールドフロー現象を示す物質を収納箱に効率よく収納するためには、なるべく隙間無くベールを積み重ねる必要があるが、所定数を収納可能な収納箱に収納しても、収納箱上部に最上部のベールがはみ出し、はみ出し部分が収納箱の収まるには一定の時間を要していた。かかる状況の解決方法として、例えば、ゴムベールの収納された箱をスラットコンベアに載せてプレス板の下にセットし、プレス板との相対的な位置ずれを多数のセンサーを用いて検出して調整後、プレス板を油圧で下降させて箱からはみだしたゴムベールを一定時間押圧して箱内に収めるゴムベールプレス装置が開示されている。この装置は、多量のゴムベールを自動的に箱内に収納するのに優れた装置であるが、多額の投資金額と複雑な機械・制御装置、固定された設置スペースを要する等の問題点がある(特許文献1参照)。そこで、設置スペース等の場所的制限を受けずより簡便な器具を用いてすばやくベールの形状を安定化し、その後の運搬作業を行うことができる方法の確立が望まれていた。
【0003】
【特許文献1】特開平6−328484号公報(第1頁〜第3頁)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
かかる状況に鑑み、本発明は、エチレン系エラストマー、プロピレン系エラストマーまたはブタジエン系エラストマーのゴムベールを運搬用収納箱に簡便で効率よく収納するための収納用押圧器具および収納方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第一は、ゴムベールを運搬用収納箱に収納するに際して用いる器具であって、少なくとも1000kgの重量を有する鋼鉄製の四角形のブロックよりなり、上部にはフォークリフトの爪を挿入する運搬用爪挿入口、四角形の四隅には収納箱の角に合致するガイド用治具を有し、四角形のブロックの下部は収納されたゴムベールを上部より押圧するための凸部を形成してなることを特徴とするゴムベール収納用押圧器具に係るものである。
【0006】
本発明の第二は、第一の発明のゴムベール収納用押圧器具を用い、エチレン系エラストマー、プロピレン系エラストマーまたはブタジエン系エラストマーのゴムベールを運搬用収納箱に収納することを特徴とするゴムベールの収納方法に係る発明である。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、エチレン系エラストマー、プロピレン系エラストマーまたはブタジエン系エラストマーのゴムベールを運搬用収納箱に効率よく収納するための収納用押圧器具および収納方法を提供することが可能になり、より簡便ですばやくベールの形状を安定化して、その後の運搬作業を行うことができる方法が確立された。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図1〜図4に基づいて本発明を詳細に説明する。本発明のゴムベール収納用押圧器具は、ゴムベールを運搬用収納箱に収納するに際して、所定数のゴムベールを収納した収納箱の上部に10〜30分間載せて、収納箱の上部にはみ出したゴムベールを押圧して収納箱の中へ押し込む機能を有している。図1は、該押圧器具の平面図を示している。本発明の押圧器具は、少なくとも1000kgの重量を有する鋼鉄製のブロック1よりなっており、その上部にはフォークリフトで運搬が容易なように運搬用爪挿入口2を備えている。収納箱は、樹脂製または鋼鉄製で、その大きさは例えば、1.1m巾、1.4m長さ、1m高さの長方体であり、押圧器具は、収納箱のサイズにあわせた巾および長さを有するように製作され、その隅の部分には収納箱の大きさに合わせてガイド用治具3を取り付けてある。
【0009】
図2は押圧器具の立面図、図3は押圧器具のA−B断面図である。押圧器具の厚みは少なくとも重量が1000kgになるようにすればよいが、その下部はゴムベールを収納箱へ押し込むことが容易なように凸部4を設けてある。図4は押圧器具の使用状況を示す斜視図である。ゴムベールは、ゴムベール収納箱5に収納して運搬される。ゴムベールは、大きさによって異なるが例えば30kgのゴムベールは、5段積みで30個を収納することができるが、押圧前は30個のゴムベールを収納箱に収納するとその上部は収納箱上部より約70〜80mm飛び出す。そうすると、その上部を蓋で覆うことや、収納箱を2〜6段重ねて倉庫に収容することができなくなる。そこで、ゴムベールの上部に本発明の押圧器具を積載し圧力を約10〜30分かけて押圧すると、ゴムベール自身のコールドフロー性もあるので上部の飛び出し部分がなくなり、収納箱を蓋で覆ったり、2〜6段重ねて倉庫に収容することの支障がなくなる。
【0010】
本発明の押圧器具の重量は、前記のようにゴムベール収納箱の上部から圧力をかけて収納箱上部のゴムベール飛び出し部分をなくすために、少なくとも1000kgの荷重を掛けることが好ましいが、重すぎると取り扱いが不便であり、ゴムベール収納箱の強度も問題となるので、1500kg以下程度の重量であることが好適である。
【0011】
本発明の押圧器具は、エチレン系エラストマー、プロピレン系エラストマーまたはブタジエン系エラストマー等のゴムベールを運搬に用いる収納箱に効率よく収納する際に特に有用である。これらのエラストマーは、例えば、エチレン系エラストマーはエチレンと炭素数3〜20のα−オレフィン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、等との共重合体エラストマーであって、エチレン単位の含有量が50〜90モル%、炭素数3〜20のα−オレフィン単位が10〜50モル%程度のものである。
【0012】
プロピレン系エラストマーはプロピレンと炭素数4〜20のα−オレフィン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン等との共重合体エラストマーであって、プロピレン単位の含有量が60〜96モル%、炭素数3〜20のα−オレフィン単位が40〜20モル%程度のものである。
【0013】
上記エラストマーにおいて、プロピレンまたはエチレンとα−オレフィンの他、1−ブテン、1,4−ヘキサジエン、1,6−オクタジエン、2−メチル−1,5−ヘキサジエン、6−メチル−1,5−ヘプタジエン、7−メチル−1,6−オクタジエンのような鎖状非共役ジエン、シクロヘキサジエン、シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン、メチルテトラインデン、5−ビニルノルボルネン、エチリデンノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、6−クロロメチル−5−プロペニル−2−ノルボルネンのような環状非共役ジエン、2,3−イソプロピリデン−5−ノルボルネン、2−プロペニル−2,2−ノルボルナジエン等のジエン化合物やスチレン、酢酸ビニル等の第三コモノマー等を0〜5モル%程度共重合させたEPDM等が例示される。また、ブタジエン系エラストマーとしては、ポリブタジエン、ブタジエン-スチレン共重合体が挙げられる。
【実施例】
【0014】
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、もとより本発明はこの実施例に限定されるものではない。
実施例1
図4に示す、ゴムベール収納箱(縦112.5cm×横145cm×高さ95cm)に、約35×70×20cm程度の直方体に成型された、ベール表面温度約45℃のポリエチレンフィルムに包まれた30kgのゴムベール(エチレン−プロピレン−エチリデンノルボルネン共重合体ゴム)30個を収納したところ、その上部は収納箱上部より70mm飛び出した状態であった。そこで、ゴムベールの上部に本発明の押圧器具(総重量1350kg)を、フォークリフトを用いて積載し15分間圧力をかけた後、取り外した。その結果、押圧器具凸部の厚み分の15mmも収納箱上部よりも低くなり、収納箱上部の飛び出し部分がなくなった。また収納箱の側面のゆがみもなかった。したがって容易に収納箱を蓋で覆い、パレットに載せた収納箱を5段重ねて倉庫に収容することができた。
一方、押圧器具は使用中でも、ガイド用治具により固定された状態でゴムベール収納箱に載せまま移動することが可能であるため、ゴムベール収納場所や倉庫等、ゴムベール保管が可能な場所であれば収納することができた。また、押圧器具を使用しない場合は、ガイド用治具によりゴムベール接触面を床面につけることなく自立できるため、場所を選ばず保管することができた。
【0015】
実施例2
実施例1と同様にして、約33×66×20cm程度の直方体に成型された、ベール表面温度約55℃のポリエチレンのフィルムに包まれた35kgのゴムベール(ブタジエン−スチレン共重合体ゴム)30個を収納したところ、その上部は収納箱上部より100mm飛び出した状態であった。そこで、ゴムベールの上部に本発明の押圧器具(総重量1350kg)を、フォークリフトを用いて積載し15分間圧力をかけた後取り外した。その結果、押圧器具凸部の厚み15mmより少ないが、収納箱上部よりも5mm低くなり収納箱上部の飛び出し部分がなくなった。また、収納箱の側面のゆがみもなかった。したがって容易に収納箱を蓋で覆い、パレットに載せた収納箱を5段重ねて倉庫に収容することができた。
【0016】
比較例1
実施例1または2でエチレン−プロピレン−エチリデンノルボルネン共重合体ゴムまたはブタジエン−スチレン共重合体ゴムを収納した収納箱を、ゴムベールが収納箱の上部にゴムベールが飛び出した状態のまま蓋で覆い、同条件のゴムベールを収納した収納箱を上部に載せたところ収納箱底部が、収納箱上部のゴムベールが飛び出し部分に載るため非常に不安定であり、パレットに載せた収納箱を3段重ねることが限界であった。また、上部に載った収納箱の重量により飛び出し部分のゴムは沈みこむが、パレットの桟の形に圧力がかかり沈む為、上部ベールに凹凸が発生する等の不都合もあった。また、3段重ねの最上段の飛び出し部分に関しては、上部より圧力がかからないため、沈み込みが無く収納箱に収納できていない状態のままとなった。
【0017】
実施例および比較例の結果から、本発明の押圧器具を使用することにより、収納箱上部より飛び出したゴムベールを上部ベール形状に凹凸を生じること無く、ゴムベール上部に載せるだけという簡易な操作で、運搬用収納箱に収容することができ、倉庫等のゴムベール保管が可能な場所であれば特別な場所を選ばず、運搬用収納箱を保管することができる。また、押圧器具は使用中でも、ガイド用治具により固定された状態でゴムベール収納箱に載せたまま、移動することができ、押圧器具を使用しない場合は、ガイド用治具によりゴムベール接触面を床面につけることなく自立できるため、場所を選ばず保管することができる等の利点があることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】押圧器具の平面図である。
【図2】押圧器具の立面図である。
【図3】押圧器具のA−B断面図である。
【図4】押圧器具の使用状況を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0019】
1…鋼鉄製ブロック、2…運搬用爪挿入口、3…ガイド用治具、4…凸部、5…ゴムベール収納箱

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴムベールを運搬用収納箱に収納するに際して用いる器具であって、少なくとも1000kgの重量を有する鋼鉄製の四角形のブロックよりなり、上部にはフォークリフトの爪を挿入する運搬用爪挿入口、四角形の四隅には収納箱の角に合致するガイド用治具を有し、四角形のブロックの下部は収納されたゴムベールを上部より押圧するための凸部を形成してなることを特徴とするゴムベール収納用押圧器具。
【請求項2】
請求項1に記載のゴムベール収納用押圧器具を用い、エチレン系エラストマー、プロピレン系エラストマーまたはブタジエン系エラストマーのゴムベールを運搬用収納箱に収納することを特徴とするゴムベールの収納方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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