説明

ゴム組成物ならびにそれを用いたトレッドおよび/またはサイドウォールを有するタイヤ

【課題】転がり抵抗を低減させ、耐摩耗性、ウェットスキッド性能および操縦安定性を向上させることができるゴム組成物ならびにそれを用いたトレッドおよび/またはサイドウォールを有するタイヤを提供する。
【解決手段】ゴム成分100重量部に対して、(1)平均一次粒子径が22nm以上のシリカを10重量部以上、および(2)平均一次粒子径が22nm未満のシリカを5重量部以上含有し、シリカ(1)およびシリカ(2)の合計含有量が15〜150重量部であるゴム組成物、ならびにそれを用いたトレッドおよび/またはサイドウォールを有するタイヤ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴム組成物ならびにそれを用いたトレッドおよび/またはサイドウォールを有するタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、タイヤの転がり抵抗を低減(転がり抵抗性能を向上)させることにより、車の低燃費化が行なわれてきた。近年、車の低燃費化への要求がますます強くなってきており、タイヤ部材の中でもタイヤにおける占有比率の高いトレッドやサイドウォールを製造するためのゴム組成物に対して、優れた低発熱性が要求されている。
【0003】
ゴム組成物の低発熱性を満足させる方法として、補強用充填剤の含有量を減量させる方法が知られている。しかし、この場合、ゴム組成物の硬度が低下するためタイヤが軟化し、車のハンドリング性能(操縦安定性)やウェットスキッド性能が低下したり、耐摩耗性が低下したりするという問題があった。
【0004】
特許文献1には、ウェットスキッド性能を向上させるために、無水シリカおよび含水シリカをともに含有するタイヤ用ゴム組成物が開示されている。しかし、転がり抵抗性能が充分に向上できないという問題があった。
【0005】
【特許文献1】特開2003−192842号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、転がり抵抗を低減させ、耐摩耗性、ウェットスキッド性能および操縦安定性を向上させることができるゴム組成物ならびにそれを用いたトレッドおよび/またはサイドウォールを有するタイヤを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、ゴム成分100重量部に対して、(1)平均一次粒子径が22nm以上のシリカを10重量部以上、および(2)平均一次粒子径が22nm未満のシリカを5重量部以上含有し、シリカ(1)およびシリカ(2)の合計含有量が15〜150重量部であるゴム組成物に関する。
【0008】
前記シリカ(1)および(2)の平均一次粒子径は、下記一般式を満たすことが好ましい。
(シリカ(1)の平均一次粒子径)/(シリカ(2)の平均一次粒子径)≧1.4
【0009】
全シリカ中の前記シリカ(1)の含有率は、10〜35重量%であることが好ましい。
【0010】
前記シリカ(1)および(2)の含有量は、下記一般式を満たすことが好ましい。
(シリカ(1)の含有量)×0.03≦(シリカ(2)の含有量)
≦(シリカ(1)の含有量)×14
【0011】
また、本発明は、前記ゴム組成物を用いたトレッドおよび/またはサイドウォールを有するタイヤに関する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、所定の2種類のシリカをそれぞれ所定量含有することで、転がり抵抗を低減させ、耐摩耗性、ウェットスキッド性能および操縦安定性を向上させることができるゴム組成物ならびにそれを用いたトレッドおよび/またはサイドウォールを有するタイヤを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明のゴム組成物は、ゴム成分、(1)平均一次粒子径が22nm以上のシリカ(以下、シリカ(1)とする)、および(2)平均一次粒子径が22nm未満(以下、シリカ(2)とする)を含有する。
【0014】
前記ゴム成分は、ジエン系ゴムであることが好ましい。ジエン系ゴムとしては、たとえば、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、ブチルゴム(IIR)、ハロゲン化ブチルゴム(X−IIR)、スチレンイソプレンブタジエンゴム(SIBR)などがあげられ、これらのジエン系ゴムは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、転がり抵抗を低減させ、耐摩耗性およびウェットスキッド性能を向上させることができることから、NR、BRおよびSBRからなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。ゴム組成物をトレッドに用いる場合には、グリップ性能に優れるという点から、SBRが好ましい。また、ゴム組成物をサイドウォールに用いる場合には、耐屈曲亀裂性能に優れるという点から、NRとBRを併用することが好ましい。
【0015】
シリカとしては、たとえば、乾式法により得られるシリカ(無水ケイ酸)や、湿式法により得られるシリカ(含水ケイ酸)などがあげられる。本発明では、シラノール基が多いので、ゴム強度とグリップ性能に優れることから、シリカ(1)および(2)ともに、湿式法により得られるシリカであることが好ましい。
【0016】
シリカ(1)の平均一次粒子径は22nm以上、好ましくは25nm以上である。シリカ(1)の平均一次粒子径が22nm未満では、シリカ(2)との平均一次粒子径の差が小さくなり、2種類のシリカをブレンドする効果、たとえば、低発熱性とゴムの加工性に劣り、耐摩耗性が得られない。また、シリカ(1)の平均一次粒子径は50nm以下が好ましく、40nm以下がより好ましい。シリカ(1)の平均一次粒子径が50nmをこえると、破壊強度が大きく低下する傾向がある。なお、シリカ(1)の平均一次粒子径は、たとえば、シリカを電子顕微鏡で観察し、任意の粒子50個について粒子径を測定し、その平均値より求めることができる。
【0017】
シリカ(1)の含有量は、ゴム成分100重量部に対して10重量部以上、好ましくは15重量部以上である。シリカ(1)の含有量が10重量部未満では、転がり抵抗を充分に低減させられない。また、シリカ(1)の含有量は145重量部以下が好ましく、80重量部以下がより好ましい。シリカ(1)の含有量が145重量部をこえると、破壊強度が大きく低下する傾向がある。
【0018】
シリカ(2)の平均一次粒子径は22nm未満、好ましくは18nm未満、より好ましくは16nm未満である。シリカ(2)の平均一次粒子径が22nm以上では、シリカ(1)との平均一次粒子径の差が小さくなり、2種類のシリカをブレンドする効果、たとえば、低発熱性とゴムの加工性に劣り、耐摩耗性が得られない。また、シリカ(2)の平均一次粒子径は5nm以上が好ましく、10nm以上がより好ましい。シリカ(2)の平均一次粒子径が5nm未満では、ゴムへの分散が非常に困難になり、耐摩耗性が低下する傾向がある。なお、シリカ(2)の平均一次粒子径は、シリカ(1)と同様に求めることができる。
【0019】
シリカ(2)の含有量は、ゴム成分100重量部に対して5重量部以上、好ましくは10重量部以上である。シリカ(2)の含有量が5重量部未満では、充分な強度が得られない。また、シリカ(2)の含有量は140重量部以下が好ましく、80重量部以下がより好ましい。シリカ(2)の含有量が140重量部をこえると、混練りが困難になり、耐摩耗性が大きく低下する傾向がある。
【0020】
シリカ(1)および(2)の合計含有量は、ゴム成分100重量部に対して15重量部以上、好ましくは40重量部以上、より好ましくは60重量部以上である。シリカ(1)および(2)の合計含有量が15重量部未満では、シリカ(1)および(2)の添加による補強効果が充分に得られない。また、シリカ(1)および(2)の合計含有量は150重量部以下、好ましくは120重量部以下、より好ましくは100重量部以下である。シリカ(1)および(2)の合計含有量が150重量部をこえると、ゴム組成物中において、シリカを均一に分散させることが困難となり、ゴム組成物の加工性が悪化する。
【0021】
シリカ(1)および(2)の平均一次粒子径は、2種類のシリカをブレンドする効果、たとえば、低発熱性、ゴムの加工性および耐摩耗性に優れるという点から、下記一般式を満たすことが好ましい。
(シリカ(1)の平均一次粒子径)/(シリカ(2)の平均一次粒子径)≧1.4
【0022】
シリカ(1)の平均一次粒子径は、シリカ(2)の平均一次粒子径の1.4倍以上が好ましく、2.0倍以上がより好ましい。シリカ(1)の平均一次粒子径がシリカ(2)の平均一次粒子径の1.4倍未満では、2種類のシリカの平均一次粒子径の差が小さくなり、2種類のシリカをブレンドすることによる効果、たとえば、低発熱性とゴムの加工性に劣り、耐摩耗性が得られない傾向がある。
【0023】
全シリカ中のシリカ(1)の含有率は10重量%以上が好ましく、15重量%以上がより好ましい。シリカ(1)の含有率が10重量%未満では、転がり抵抗を充分に低減させられない傾向がある。また、シリカ(1)の含有率は35重量%以下が好ましく、30重量%以下がより好ましい。シリカ(1)の含有率が35重量%をこえると、破壊強度が大きく低下する傾向がある。
【0024】
シリカ(1)および(2)の含有量は、下記一般式を満たすことが好ましい。
(シリカ(1)の含有量)×0.03≦(シリカ(2)の含有量)
≦(シリカ(1)の含有量)×14
【0025】
シリカ(2)の含有量は、シリカ(1)の含有量の0.03倍以上が好ましく、0.15倍以上がより好ましく、0.25倍以上がさらに好ましい。シリカ(2)の含有量がシリカ(1)の含有量の0.03倍未満では、操縦安定性が低下する傾向がある。また、シリカ(2)の含有量は、シリカ(1)の含有量の14倍以下が好ましく、7倍以下がより好ましく、4倍以下がさらに好ましい。シリカ(2)の含有量がシリカ(1)の含有量の14倍をこえると、転がり抵抗が増大する傾向がある。
【0026】
本発明のゴム組成物には、シリカ(1)および(2)とともに、シランカップリング剤を含有することが好ましい。
【0027】
本発明で好適に使用されるシランカップリング剤としては、従来からシリカと併用される任意のシランカップリング剤とすることができ、たとえば、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(4−トリエトキシシリルブチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(4−トリメトキシシリルブチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)トリスルフィド、ビス(4−トリエトキシシリルブチル)トリスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)トリスルフィド、ビス(4−トリメトキシシリルブチル)トリスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(4−トリエトキシシリルブチル)ジスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(4−トリメトキシシリルブチル)ジスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2−トリエトキシシリルエチル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2−トリメトキシシリルエチル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルベンゾチアゾールテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィドなどのスルフィド系、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、2−メルカプトエチルトリメトキシシラン、2−メルカプトエチルトリエトキシシランなどのメルカプト系、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシランなどのビニル系、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノ系、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシランなどのグリシドキシ系、3−ニトロプロピルトリメトキシシラン、3−ニトロプロピルトリエトキシシランなどのニトロ系、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、2−クロロエチルトリメトキシシラン、2−クロロエチルトリエトキシシランなどのクロロ系などがあげられる。
【0028】
シランカップリング剤の含有量は、シリカ(1)および(2)の合計含有量100重量部に対して5重量部以上が好ましく、8重量部以上がより好ましい。シランカップリング剤の含有量が5重量部未満では、破壊強度が大きく低下する傾向がある。また、シランカップリング剤の含有量は15重量部以下が好ましく、10重量部以下がより好ましい。シランカップリング剤の含有量が15重量部をこえると、シランカップリング剤を添加することによる破壊強度の増加や転がり抵抗低減などの効果が得られない傾向がある。
【0029】
本発明のゴム組成物は、前記ゴム成分、シリカ(1)および(2)ならびにシランカップリング剤のほかに、ゴム組成物の製造に一般に使用される配合剤、たとえば、カーボンブラック、クレーなどの補強用充填剤、老化防止剤、酸化亜鉛、ステアリン酸、アロマオイル、ワックス、硫黄などの加硫剤、加硫促進剤などを必要に応じて通常使用される量を含むことができる。
【0030】
本発明のゴム組成物は、トレッドおよび/またはサイドウォールとして使用することが好ましい。
【0031】
本発明のタイヤは、前記ゴム組成物をトレッドおよび/またはサイドウォールに用いて、通常の方法により製造される。すなわち、前記ゴム組成物を未加硫の段階でタイヤのトレッド部またはサイドウォール部の形状に押出し加工し、タイヤ成形機上で、他のタイヤ部材とともに通常の方法により貼り合わせて未加硫タイヤを成形する。該未加硫タイヤを加硫機中で加熱・加圧して本発明のタイヤを得ることができる。
【実施例】
【0032】
実施例にもとづいて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
【0033】
以下、実施例および比較例で使用した各種薬品をまとめて説明する。
天然ゴム(NR):RSS#3
スチレンブタジエンゴム(SBR)(1):JSR(株)製のHPR350
SBR(2):旭化成ケミカルズ(株)製のE60(ゴム固形分100重量部に対してオイル分37.5重量部含有)
ブタジエンゴム(BR):日本ゼオン(株)製のNipol BR1220
カーボンブラック:東海カーボン(株)製のシーストNH
シリカ(1):デグッサ社製のULTRASIL360(平均一次粒子径:28nm)
シリカ(2−1):デグッサ社製のCARPLEX♯67(平均一次粒子径:14nm)
シリカ(2−2):ローディアジャパン(株)製のZEOSIL115GR(平均一次粒子径:20nm)
シリカ(2−3):デグッサ社製のULTRASILVN3(平均一次粒子径:15nm)
シランカップリング剤(1):デグッサ社製のSi69(ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド)
シランカップリング剤(2):デグッサヒュルス(株)製のSi75(ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド)
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の亜鉛華1号
ステアリン酸:日本油脂(株)製のステアリン酸「椿」
アロマオイル:(株)ジャパンエナジー製のプロセスX−140
老化防止剤:住友化学(株)製のアンチゲン6C(N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン)
ワックス:大内新興化学工業(株)製のサンノックN
硫黄(1):三新化学工業(株)製のサンフェルEX
硫黄(2):軽井沢硫黄(株)製の粉末硫黄
加硫促進剤(1):大内新興化学工業(株)製のノクセラーNS(N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)
加硫促進剤(2):大内新興化学工業(株)製のノクセラーD(N,N’−ジフェニルグアニジン)
加硫促進剤(3):大内新興化学工業(株)製のノクセラーCZ(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)
【0034】
実施例1〜10および比較例1〜6
表1に示す配合処方にしたがい、バンバリーミキサーを用いて、硫黄および加硫促進剤以外の薬品を4分間混練りし、混練り物を得た。つぎに、オープンロールを用いて、得られた混練り物に硫黄および加硫促進剤を添加し、4分間練り込み、未加硫ゴム組成物を得た。さらに、得られた未加硫ゴム組成物を170℃の条件下で12分間プレス加硫し、実施例1〜10および比較例1〜6の加硫ゴムシートを得た。
【0035】
(粘弾性試験)
(株)岩本製作所製の粘弾性スペクトロメータを用いて、周波数10Hz、初期歪み10%および動歪2%の条件下で、30℃における加硫ゴムシートの損失正接tanδを測定し、比較例1の低発熱性指数を100とし、下記計算式により、各配合のtanδを指数表示した。なお、低発熱性指数が大きいほど、発熱が小さく、低発熱性に優れることを示す。
【0036】
(低発熱性指数)=(比較例1のtanδ)/(各配合のtanδ)×100
【0037】
(耐摩耗性)
ランボーン摩耗試験機を用いて、温度20℃、スリップ率20%および試験時間2分間の条件下でランボーン摩耗量を測定した。さらに、測定したランボーン摩耗量から容積損失量を計算し、比較例1のランボーン摩耗指数を100とし、下記計算式により、各配合の容積損失量を指数表示した。なお、ランボーン摩耗指数が大きいほど、耐摩耗性に優れることを示す。
(ランボーン摩耗指数)=(比較例1の容積損失量)
÷(各配合の容積損失量)×100
【0038】
実施例1〜10および比較例1〜6の評価結果を表1〜3に示す。
【0039】
【表1】

【0040】
【表2】

【0041】
【表3】

【0042】
実施例11〜15および比較例7〜10
表4に示す配合処方にしたがい、バンバリーミキサーを用いて、硫黄および加硫促進剤以外の薬品を3分間混練りし、混練り物を得た。つぎに、オープンロールを用いて、得られた混練り物に硫黄および加硫促進剤を添加し、4分間練り込み、未加硫ゴム組成物を得た。さらに、得られた未加硫ゴム組成物をトレッドの形状に成形し、タイヤ成型機上で他のタイヤ部材とともに張り合わせ、プレス加硫し、実施例11〜13および比較例7〜8の試験タイヤ(タイヤサイズ:195/65R15)を製造した。
【0043】
また、表5に示す配合内容にしたがい、未加硫ゴム組成物をサイドウォールの形状に成形したこと以外は実施例11〜13および比較例7〜8と同様に、実施例14〜15および比較例9〜10の試験タイヤを製造した。
【0044】
実施例11〜12および比較例7〜8のタイヤでは比較例9のゴム組成物を、実施例13については実施例14のゴム組成物をそれぞれサイドウォール部に用いてタイヤを製造した。
【0045】
なお、下記評価試験において、実施例11〜13および比較例7〜8では比較例7を、実施例14〜15および比較例9〜10では比較例9を、それぞれ基準配合とした。
【0046】
(転がり抵抗)
転がり抵抗試験機を用いて、試験タイヤを、リム15×6JJ、タイヤ内圧230kPa、荷重3.43kNおよび速度80km/hの条件下で走行させたときの転がり抵抗を測定し、基準配合の転がり抵抗指数を100とし、下記計算式により、各配合の転がり抵抗を指数表示した。実施例11〜13および比較例7〜8については比較例7を、実施例14、15および比較例9〜10については比較例9をそれぞれ基準配合とした。なお、転がり抵抗指数が大きいほど、転がり抵抗が低減され、優れることを示す。
(転がり抵抗指数)=(基準配合の転がり抵抗)/(各配合の転がり抵抗)×100
【0047】
(ウェットスキッド性能)
試験タイヤを試験用車両(国産FF2000cc)の全輪に装着し、湿潤アスファルト路面において、速度100km/hのときにブレーキをかけた地点からの制動距離を求め、基準配合のウェットスキッド性能指数を100とし、下記計算式により、各配合の制動距離を指数表示した。実施例11〜13および比較例7〜8については比較例7を基準配合とした。なお、ウェットスキッド性能指数が大きいほど、ウェットスキッド性能に優れることを示す。
(ウェットスキッド性能指数)=(基準配合の制動距離)
÷(各配合の制動距離)×100
【0048】
(操縦安定性)
試験タイヤを車両(国産FF2000cc)の全輪に装着してテストコースを実車走行し、ドライバーの官能評価により操縦安定性を評価した。その際に、10点を満点とし、基準配合の操縦安定性を6点としてそれぞれ相対評価を行なった。実施例11〜13および比較例7〜8については比較例7を、実施例14、15および比較例9〜10については比較例9をそれぞれ基準配合とした。なお、数値が大きいほど、操縦安定性に優れることを示す。
【0049】
実施例11〜15および比較例7〜10の評価結果を表4および表5に示す。
【0050】
【表4】

【0051】
【表5】

【0052】
実施例11の配合の未加硫ゴム組成物をトレッドの形状に、実施例14の配合の未加硫ゴム組成物をサイドウォールの形状に成形し、タイヤ成型機上で他のタイヤ部材とともに張り合わせ、プレス加硫し、実施例13の試験タイヤ(タイヤサイズ:195/65R15)を製造した。比較例7のタイヤの転がり抵抗指数およびウェットスキッド性能指数を100、操縦安定性を6点として評価した。
【0053】
実施例13のタイヤでは、転がり抵抗指数が110、ウェットスキッド性能指数が101、操縦安定性が6であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴム成分100重量部に対して、
(1)平均一次粒子径が22nm以上のシリカを10重量部以上、および
(2)平均一次粒子径が22nm未満のシリカを5重量部以上含有し、
シリカ(1)およびシリカ(2)の合計含有量が15〜150重量部であるゴム組成物。
【請求項2】
シリカ(1)および(2)の平均一次粒子径が下記一般式を満たす請求項1記載のゴム組成物。
(シリカ(1)の平均一次粒子径)/(シリカ(2)の平均一次粒子径)≧1.4
【請求項3】
全シリカ中のシリカ(1)の含有率が10〜35重量%である請求項1または2記載のゴム組成物。
【請求項4】
シリカ(1)および(2)の含有量が下記一般式を満たす請求項1、2または3記載のゴム組成物。
(シリカ(1)の含有量)×0.03≦(シリカ(2)の含有量)
≦(シリカ(1)の含有量)×14
【請求項5】
請求項1、2、3または4記載のゴム組成物を用いたトレッドおよび/またはサイドウォールを有するタイヤ。

【公開番号】特開2008−50570(P2008−50570A)
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−160120(P2007−160120)
【出願日】平成19年6月18日(2007.6.18)
【出願人】(000183233)住友ゴム工業株式会社 (3,458)
【Fターム(参考)】