説明

ゴム組成物及びそれを用いたタイヤ

【課題】タイヤに使用することにより、タイヤのドライスキッド性及びドライグリップ性を従来のタイヤよりも向上させることが可能なゴム組成物、並びに該ゴム組成物を用いたタイヤを提供する。
【解決手段】本発明のゴム組成物は、少なくとも一種以上のジエン系ポリマーからなるゴム成分100質量部に対して、ビニル芳香族モノマーを単独重合してなる樹脂を1〜100質量部配合してなり、該樹脂が所定の条件を満たすことを特徴とする。また、前記ビニル芳香族モノマーはα−メチルスチレン又はp−メチルスチレンであることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤに使用することにより、タイヤのドライスキッド性及びドライグリップ性を従来のタイヤよりも向上させることが可能なゴム組成物、及び該ゴム組成物を用いたタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
競技等に使用される高性能タイヤは、乾燥路面上において走行初期から走行終了まで優れた操縦安定性(ドライグリップ性)を保つことが望まれる。そのため、従来から、タイヤのトレッドゴムに用いるゴム組成物に特定の樹脂等を配合し、該ゴム組成物のtanδの値を向上させ動的弾性率(E’)の値を低下させること等により、タイヤのドライグリップ性を向上させることが検討されている。
【0003】
例えば、前記ゴム組成物にインデン重合体のみを配合すると、該ゴム組成物のtanδの値は顕著に向上するものの、動的弾性率(E’)の値が上昇するため、結果として低温でのグリップ性の向上が十分ではない。また、前記ゴム組成物にα−メチルスチレン重合体のみを配合すると、該ゴム組成物の動的弾性率の値は低下するものの、tanδの値がほとんど変化しないため、同様にタイヤのグリップ性の向上が十分ではない(特許文献1)。一方、前記ゴム組成物にインデン重合体及びα−メチルスチレン重合体の両方を配合すると、該ゴム組成物のtanδの値は向上するものの、動的弾性率が上昇するため、同様にグリップ性の向上が十分ではなく、更に、混練り中での樹脂の分散性が最良ではない。このように、タイヤの操縦安定性の改善は依然として十分ではない。
【0004】
【特許文献1】特開平9−328577号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明は、タイヤに使用することにより、タイヤのドライスキッド性及びドライグリップ性を従来のタイヤよりも向上させることが可能なゴム組成物、及び該ゴム組成物を用いたタイヤを堤供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、少なくとも一種以上のジエン系ポリマーからなるゴム成分に対して、特定範囲の分子量成分を所定量含む樹脂を所定量配合してなるゴム組成物をタイヤに使用することにより、ドライスキッド性及びドライグリップ性が従来のタイヤよりも向上することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
即ち、本発明のゴム組成物は、少なくとも一種のジエン系ポリマーからなるゴム成分100質量部に対して、
ビニル芳香族モノマーを単独重合してなる樹脂を1〜100質量部配合してなり、該樹脂が下記式(1)〜(3)を満たすことを特徴とする。
a>25 ・・・(1)
b≧30 ・・・(2)
a+b≦100 ・・・(3)
[式中、aは分子量が1000以下の成分の含有率(質量%)であり、bは分子量が3000以上の成分の含有率(質量%)である。]
【0008】
本発明のゴム組成物においては、前記ビニル芳香族モノマーがα−メチルスチレン又はp−メチルスチレンであることが好ましい。
【0009】
また、本発明のゴム組成物において、前記樹脂は、分子量が3000〜6000の成分を15質量%より多く含むことが好適である。
【0010】
本発明のタイヤは、本発明のゴム組成物を使用して製造することが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、タイヤに使用することにより、タイヤのドライスキッド性及びドライグリップ性を従来のタイヤよりも向上させることが可能なゴム組成物、並びに該ゴム組成物を用いたタイヤが提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明のゴム組成物は、少なくとも一種のジエン系ポリマーからなるゴム成分100質量部に対して、ビニル芳香族モノマーを単独重合してなる樹脂を1〜100質量部配合してなり、該樹脂が上記式(1)〜(3)を満たすことを特徴とする。ここで、樹脂が分子量1000以下の成分を25質量%より多く含むことにより低温でのグリップ性が良好となり、分子量3000以上の成分を30質量%以上含むことにより高温でのグリップ性が良好となる。そして、分子量1000以下の成分を25質量%より多く含み、且つ分子量3000以上の成分を30質量%以上含む樹脂を特定量ゴム組成物に配合することにより、タイヤに使用するとタイヤのドライスキッド性及びドライグリップ性を従来のタイヤよりも著しく向上させることが可能なゴム組成物を調製できる。なお、上記樹脂のゴム成分に対する配合量が1質量部未満であるとタイヤのドライスキッド性及びドライグリップ性を向上させる効果が十分ではなく、100質量部を超えるとゴムが硬くなってグリップが悪化する。ここで、上記式(1)において、aは25より大きく且つ70以下であり、30〜60であることが好ましく40〜55であることが更に好ましい。また、上記式(2)において、bは30以上75未満であり、30〜55であることが好ましく30〜45であることが更に好ましい。更に、ゴム成分に対する上記樹脂の配合量は1〜100質量部が好ましく、4〜50質量部がより好ましい。
【0013】
本発明のゴム組成物に使用するゴム成分は、ジエン系ポリマーからなる限り特に限定されず、該ゴム成分としては、例えば、天然ゴム、スチレン・ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、ポリブタジエンゴム(BR)、ポリイソプレンゴム(IR)、ブチルゴム(IIR)、エチレン-プロピレン共重合体が挙げられる。これらゴム成分は単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0014】
本発明のゴム組成物に使用する樹脂は、ビニル芳香族モノマーを単独重合してなる樹脂である限り特に限定されず、該ビニル芳香族モノマーとしては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、1−ビニルナフタレン、3−ビニルトルエン、エチルビニルベンゼン、ジビニルベンゼン、4−シクロヘキシルスチレン、2,4,6−トリメチルスチレンなどが挙げられ、α−メチルスチレン及びp−メチルスチレンが好ましい。上記樹脂は単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0015】
また、本発明のゴム組成物において、前記樹脂は分子量が3000〜6000の成分を15質量%より多く含むことが好ましい。前記ゴム組成物に、ビニル芳香族モノマーを単独重合してなる分子量が3000〜6000の成分を15質量%より多く含む樹脂を配合し、該ゴム組成物を使用してタイヤを製造することによって、ドライスキッド性及びドライグリップ性を更に向上させたタイヤを提供できる。ここで、前記樹脂の分子量が3000〜6000である成分の含有量が15質量%以下であると、タイヤのドライスキッド性及びドライグリップ性を向上させる効果が十分ではない。また、前記樹脂は、分子量が3000〜6000の成分を20〜50質量%含むことがより好ましく、30〜45質量%含むことがより一層好ましい。
【0016】
本発明のゴム組成物に使用する所望の分子量を有する樹脂は、モノマーの濃度、重合温度及び重合時間等を適宜調節して重合することによって得ることができる。
【0017】
本発明のゴム組成物には、上記ゴム成分及び樹脂の他、カーボンブラック、シリカ、加硫剤、加硫促進剤、老化防止剤、軟化剤、酸化亜鉛、ステアリン酸等のゴム業界で通常使用される配合剤を、本発明の目的を害しない範囲内で適宜選択し配合することができる。これら配合剤は、市販品を好適に使用することができる。なお、上記ゴム組成物は、ゴム成分にビニル芳香族モノマーを単独重合してなる樹脂と共に、必要に応じて適宜選択した前記配合剤を配合して、混練り、熱入れ、押出等することにより製造することができる。
【0018】
本発明のタイヤは上記ゴム組成物を用いたことを特徴とし、上記ゴム組成物はタイヤのトレッドに使用することが好ましい。また、本発明のタイヤは、上述のゴム組成物を用いて製造すること以外特に制限は無く、常法に従って製造することができる。また、本発明のタイヤはソリッドタイヤでも空気入りタイヤでもよく、該タイヤが空気入りタイヤである場合、充填する気体としては、通常の或いは酸素分圧を調整した空気の他、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスを用いることができる。
【実施例】
【0019】
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変更可能である。
【0020】
(tanδの測定方法)
tanδはJIS K6394に従い、80℃、周波数15Hz、歪み1%にて測定した。データは比較例1を100として指数化した値を示す。
【0021】
(ドライスキッド性の測定方法)
スタンレイロンドンタイプのポータブルスキッドテスターにて乾燥路面を加硫ゴム試験片で擦って測定した際の抵抗値を測定し、比較例1の値を100として他の値を指数化した。指数が大きいほどドライスキッド性が良好であることを示す。
【0022】
(ドライグリップ性の評価方法)
上記のゴム組成物をトレッドとして用いてタイヤサイズ185/70 R14の空気入りタイヤを作製し、乗用車の4輪にこれらタイヤを装着してテストコースを走行して乾燥路面上で評価を行ない、グリップ性についてテストドライバーが下記の1〜7の7段階で評価した(7:非常に良い、6:良い、5:やや良い、4:普通、3:やや悪い、2:悪い、1:非常に悪い)。なお、ドライグリップ性(低温)は路面温度が15〜20℃の条件で、ドライグリップ性(高温)は路面温度が35〜40℃の条件で評価した。
【0023】
(樹脂Cの調製方法)
500mlの四口フラスコに攪拌装置、温度計、還流冷却管を取り付けた。該四口フラスコにα−メチルスチレン120g、メチルシクロヘキサン320mlを反応混合液として仕込み良く攪拌した。一方、滴下ロートに、触媒としてボロントリフロライドフェノール錯体0.7gとトルエン7gを入れ、該滴下ロートを前記四口フラスコに取り付けた。その後、均一に分散した反応混合液をドライアイスで冷却したアルコール浴を使用することによって1〜3℃に保ち、ここに前記触媒を15分かけて滴下し、重合反応を開始させた。前記触媒の滴下終了後、前記反応混合液を1〜3℃に保ったまま更に1時間重合させた。この後、前記反応混合液に0.5Nの水酸化ナトリウム水溶液を添加して該重合を停止させた。得られた反応物を100mlの水で3回洗浄した後、溶媒および未反応モノマーを減圧留去して、α−メチルスチレン樹脂を得た(収量90g)。得られたα−メチルスチレン樹脂は軟化点145℃、数平均分子量(Mn)1000、重量平均分子量(Mw)3200であった。
【0024】
(樹脂Dの調製方法)
前記触媒の滴下を3〜5℃、15分で行い、前記重合を3〜5℃で1時間行ったこと以外は樹脂Cと同様にして調製を行った。得られたα−メチルスチレン樹脂の収量は80g、軟化点138℃、数平均分子量(Mn)900、重量平均分子量(Mw)2900であった。
【0025】
(樹脂Eの調製方法)
前記触媒の滴下を5〜7℃、15分で行い、前記重合を5〜7℃で1時間行ったこと以外は樹脂Cと同様にして調製を行った。得られたα−メチルスチレン樹脂の収量は60g、軟化点130℃、数平均分子量(Mn)820、重量平均分子量(Mw)2300であった。
【0026】
(樹脂Fの調製方法)
前記触媒の滴下を−4〜−2℃、15分で行い、前記重合を−4〜−2℃で1時間行ったこと以外は樹脂Cと同様にして調製を行った。得られたα−メチルスチレン樹脂の収量は93g、軟化点168℃、数平均分子量(Mn)1150、重量平均分子量(Mw)3800であった。
【0027】
(樹脂Gの調製方法)
500mlの四口フラスコに攪拌装置、温度計、還流冷却管を取り付けた。該四口フラスコにp−メチルスチレン120g、メチルシクロヘキサン320mlを反応混合液として仕込み良く攪拌した。一方、滴下ロートに、触媒としてボロントリフロライドフェノール錯体0.7gとトルエン7gを入れ、該滴下ロートを前記四口フラスコに取り付けた。その後、均一に分散した反応混合液を、オイルバスを使用することによって69℃まで加熱し、ここに前記触媒を15分かけて滴下し、重合反応を開始させた。この間、前記反応混合液は69〜71℃に保った。前記触媒の滴下終了後、前記反応混合液を69〜71℃に保ったまま更に1時間重合させた。この後、前記反応混合液を30℃以下まで冷却し、該反応混合液に0.5Nの水酸化ナトリウム水溶液を添加して該重合を停止させた。得られた反応物を100mlの水で3回洗浄した後、溶媒および未反応モノマーを減圧留去して、p−メチルスチレン樹脂90gを得た。得られたp−メチルスチレン樹脂は軟化点148℃、数平均分子量(Mn)1000、重量平均分子量(Mw)3300であった。
【0028】
(樹脂Hの調製方法)
前記触媒の滴下を68〜70℃、15分で行い、前記重合を68〜70℃で1時間行ったこと以外は樹脂Gと同様にして調製を行った。得られたp−メチルスチレン樹脂の収量は83g、軟化点135℃、数平均分子量(Mn)850、重量平均分子量(Mw)2600であった。
【0029】
(樹脂Iの調製方法)
前記触媒の滴下を72〜74℃、15分で行い、前記重合を72〜74℃で1時間行ったこと以外は樹脂Gと同様にして調製を行った。得られたp−メチルスチレン樹脂の収量は60g、軟化点128℃、数平均分子量(Mn)780、重量平均分子量(Mw)2200であった。
【0030】
(樹脂Jの調製方法)
前記触媒の滴下を65〜69℃、15分で行い、前記重合を65〜67℃で1時間行ったこと以外は樹脂Gと同様にして調製を行った。得られたp−メチルスチレン樹脂の収量は90g、軟化点160℃、数平均分子量(Mn)1120、重量平均分子量(Mw)3700であった。
【0031】
(樹脂Kの調製方法)
前記触媒の滴下を−10〜−8℃、15分で行い、前記重合を−10〜−8℃で1時間行ったこと以外は樹脂Cと同様にして調製を行った。得られたα−メチルスチレン樹脂の収量は100g、軟化点190℃、数平均分子量(Mn)1800、重量平均分子量(Mw)5200であった。
【0032】
(樹脂Lの調製方法)
前記触媒の滴下を75〜78℃、15分で行い、前記重合を75〜77℃で1時間行ったこと以外は樹脂Gと同様にして調製を行った。得られたp−メチルスチレン樹脂の収量は50g、軟化点98℃、数平均分子量(Mn)480、重量平均分子量(Mw)1300であった。
【0033】
(樹脂Mの調製方法)
前記触媒の滴下を60〜62℃、15分で行い、前記重合を60〜62℃で1時間行ったこと以外は樹脂Gと同様にして調製を行った。得られたp−メチルスチレン樹脂の収量は100g、軟化点184℃、数平均分子量(Mn)1700、重量平均分子量(Mw)4900であった。
【0034】
(樹脂Nの調製方法)
500mlの四口フラスコに攪拌装置、温度計、還流冷却管を取り付けた。該四口フラスコにp−メチルスチレン120g、メチルシクロヘキサン320mlを反応混合液として仕込み良く攪拌した。均一に分散した混合液を、オイルバスを使用することによって68℃まで加熱した。一方、滴下ロートに、触媒としてボロントリフロライドフェノール錯体0.7gとトルエン7gを入れ、該滴下ロートを前記四口フラスコに取り付けた。その後、均一に分散した反応混合液を68〜70℃に保ち、ここに前記触媒を15分かけて滴下し、重合反応を開始させた。前記触媒の滴下終了後、前記反応混合液を68〜70℃に保ったまま更に1時間重合させた。重合終了後、該反応液を30℃以下まで冷却し、0.5Nの水酸化ナトリウム水溶液を添加して該重合を停止させた。得られた反応物を100mlの水で3回洗浄した後、溶媒および未反応モノマーを減圧留去して、p−メチルスチレン樹脂を得た(収量90g)。得られたα−メチルスチレン樹脂は軟化点141℃、数平均分子量(Mn)966、重量平均分子量(Mw)2900であった。
【0035】
(樹脂Oの調製方法)
p−メチルスチレンの代わりにスチレンを用い、前記触媒の滴下を67〜69℃、15分で行い、前記重合を67〜69℃で1時間行ったこと以外は樹脂Gと同様にして調製を行い、スチレン樹脂を得た(収量80g)。得られたスチレン樹脂は、軟化点102℃、重量平均分子量(Mw)2500であった。
【0036】
(比較例1〜6及び実施例1〜16)
表1及び2に示す配合(質量部)に従って、バンバリーミキサーを用いて各種ゴム組成物を混練り混合した。得られたゴム組成物を145℃で45分間加硫した後、得られた加硫ゴムを用いて、tanδ及びドライスキッド性の測定を上記の方法に従い測定した。結果は表1〜3に示す。また、上記ゴム組成物をトレッドゴムに用いてサイズ185/70 R14の空気入りタイヤを試作して低温時(15℃)及び高温時(32℃)でのドライグリップ性について上記方法に従い評価した。結果は表1及び2に示す。なお、表中の樹脂C〜Mは上記方法に従い調製した。また、各樹脂の分子量の割合について表1〜3に示す。
【0037】
【表1】

【0038】
【表2】

【0039】
【表3】

【0040】
*1 ジェイ・エス・アール(株)製、#1500
*2 SAF(NSA:150m/g)
*3 三井化学(株)製、FTR0100、α−メチルスチレン樹脂、軟化点100℃
*4 三井化学(株)製、FTR0120、α−メチルスチレン樹脂、軟化点120℃
*5 上記方法により調製したα−メチルスチレン樹脂C
*6 上記方法により調製したα−メチルスチレン樹脂D
*7 上記方法により調製したα−メチルスチレン樹脂E
*8 上記方法により調製したα−メチルスチレン樹脂F
*9 上記方法により調製したp−メチルスチレン樹脂G
*10 上記方法により調製したp−メチルスチレン樹脂H
*11 上記方法により調製したp−メチルスチレン樹脂I
*12 上記方法により調製したp−メチルスチレン樹脂J
*13 上記方法により調製したα−メチルスチレン樹脂K
*14 上記方法により調製したp−メチルスチレン樹脂L
*15 上記方法により調製したp−メチルスチレン樹脂M
*16 N−1,3−ジメチル−ブチル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン
*17 N−t−ブチル−2−ベンゾチアジル−スルフェンアミド
*18 テトラキス−2−エチルヘキシルチラウムジスルフィド
*19 上記方法により調製したp−メチルスチレン樹脂N
*20 上記方法により調製したスチレン樹脂O
【0041】
表1〜3から分かるように、前記規定の範囲内にある樹脂を規定の範囲内の量配合したゴム組成物を用いて製造した実施例1〜8の加硫ゴム片は、アロマティックオイル又は前記式(1)〜(3)の規定の範囲に無い樹脂を規定の範囲内の量配合したゴム組成物を用いて製造した比較例1〜6の加硫ゴム片に較べて、tanδの値が上昇しドライスキッド性の値が著しく改善されていた。また、実施例1〜16のタイヤは比較例1〜6のタイヤに較べてドライグリップ性が著しく改善していた。
【0042】
また、前記ビニル芳香族モノマーとして、α−メチルスチレンを使用した実施例1〜4及び11〜16、並びにp−メチルスチレンを使用した実施例5〜8は、スチレンを使用した実施例10よりもドライスキッド性及びドライグリップ性が優れていた。このことから、本発明のゴム組成物に使用するビニル芳香族モノマーとしては、α−メチルスチレン及びp−メチルスチレンが好ましい。
【0043】
更に、前記樹脂の分子量が3000〜6000の成分を15質量%より多く含む実施例1〜8及び11〜16は、前記樹脂の分子量が3000〜6000の成分を15質量%以下である実施例9よりもドライスキッド性及びドライグリップ性が優れていた。このことから、本発明のゴム組成物に使用する樹脂は、分子量が3000〜6000の成分を15質量%より多く含むことが好ましい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一種のジエン系ポリマーからなるゴム成分100質量部に対して、
ビニル芳香族モノマーを単独重合してなる樹脂を1〜100質量部配合してなり、該樹脂が下記式(1)〜(3)を満たすことを特徴とするゴム組成物。
a>25 ・・・(1)
b≧30 ・・・(2)
a+b≦100 ・・・(3)
[式中、aは分子量が1000以下の成分の含有率(質量%)であり、bは分子量が3000以上の成分の含有率(質量%)である。]
【請求項2】
前記ビニル芳香族モノマーがα−メチルスチレンもしくはp−メチルスチレンであることを特徴とする請求項1に記載のゴム組成物。
【請求項3】
前記樹脂は、分子量が3000〜6000の成分を15質量%より多く含むことを特徴とする請求項1に記載のゴム組成物。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか一項に記載のゴム組成物を用いたタイヤ。

【公開番号】特開2009−242660(P2009−242660A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−92313(P2008−92313)
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】