説明

ゴム組成物及びタイヤ

【課題】発熱性の低く、且つ貯蔵弾性率に優れているゴム組成物、及びそれを用いたタイヤを提供する。
【解決手段】本発明のゴム組成物は、共役ジオレフィン、あるいは共役ジオレフィンと芳香族ビニル化合物の重合体ゴムであって、該重合体中にプロトン性アミノ基を有した(A)重合ゴムを含むゴム成分に、下記一般式(a)で表されるビスマレイミド化合物、ケイ酸を含有する無機充填剤、及びシランカップリン剤を配合してなるものであり、一般式(a)中、Aは炭素数6〜18の2価の芳香族基、又は炭素数7〜24の2価のアルキル芳香族基を表し、xとyは夫々独立に0〜3の整数を表すものである。
【化1】

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はゴム組成物及びそれを用いた空気入りタイヤに関する。より詳細には、発熱性の低い、貯蔵弾性率に優れているゴム組成物、及びそれを用いて自動車の低燃費化を図るタイヤに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、省エネルギーの社会的な要請及び環境問題への関心が高まっている。このため、世界的な二酸化炭素排出規制の動きに関連して、自動車の低燃費化に対する要求がある。このような要求に対応するため、タイヤ性能についても転がり抵抗の減少が求められている。タイヤの転がり抵抗を下げる手法は、タイヤ構造の最適化による手法、及びタイヤに発熱性の低いゴム組成物を用いる手法がある。
【0003】
このような発熱性の低いゴム組成物を得る方法としては、使用する充填剤にシリカを使用する方法が知られている。
ところが、シリカはカーボンブラックと比較して、充填剤の分散性が悪く、また加硫が遅延し、更には破断強力、耐摩耗性を大幅に低下させるという問題があった。
この問題を解決するために特定の構造を有する硫黄含有シラン化合物を配合したゴム組成物が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
一方、発熱性の低いゴム組成物を得る方法として、ゴム組成物中の充填剤の分散性を高める技術開発も数多くなされてきた(例えば、特許文献2〜4を参照)。その中でも特にアルキルリチウムを用いたアニオン重合で得られる共役ジエン系重合体の重合活性部位を充填剤と相互作用可能な官能基で修飾する方法は効果的である。
しかしながら、ゴム組成物のゴム成分として前記変性共役ジエン系重合体を用いた場合、充填剤の分散性が改良されることにより、ゴム組成物の貯蔵弾性率(G’)が低下するという問題があった。
【特許文献1】WO2004/000930号公報
【特許文献2】特公平5−87530号公報
【特許文献3】特開昭62−207342号公報
【特許文献4】特開平11−189616号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、前記課題に鑑み、発熱性が低く、且つ貯蔵弾性率(G’)に優れているゴム組成物、及びそれを用いたタイヤを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者等は、ゴム組成物に、変性ジエン系重合体と、一般式(a)で表されるビスマレイミド化合物とを組み合わせて配合すると、また更にケイ酸を含有する無機充填剤、及びシランカップリン剤を配合することによって、無機充填剤の分散性が向上することが見られ、ゴム組成物の貯蔵弾性率が低下することなく、その低発熱性が優れていることを見出し、本発明に至ったものである。
即ち、本発明は以下の構成を特徴とするものである。
【0006】
(1).共役ジオレフィン、あるいは共役ジオレフィンと芳香族ビニル化合物の重合体ゴムであって、該重合体中にプロトン性アミノ基を有した(A)重合ゴムを含むゴム成分に、下記一般式(a)で表されるビスマレイミド化合物、ケイ酸を含有する無機充填剤、及びシランカップリン剤を配合してなるゴム組成物。
【化1】

ここで、一般式(a)中、Aは炭素数6〜18の2価の芳香族基、又は炭素数7〜24の2価のアルキル芳香族基を表し、xとyは夫々独立に0〜3の整数を表すものである。
【0007】
(2).前記変性ジエン系重合体100質量部に対して、ビスマレイミド化合物を0.5〜10質量部で配合し、ケイ酸を含有する無機充填剤を10〜130質量部を配合し、更に、該無機充填剤100質量部に対してシランカップリング剤を1〜20質量部で配合する前記(1)記載のゴム組成物。
(3).無機充填剤には、ケイ酸を含有する無機充填剤としてシリカが含まれる前記(1)記載のゴム組成物。
(4).前記ビスマレイミド化合物がN,N’−(4,4−ジフェニルメタン)ビスマレイミドである前記(1)記載のゴム組成物。
【0008】
(5)前記(A)系重合体が1,3−ブタジエン又は1,3−ブタジエンと芳香族ビニル化合物とからなる重合体である前記(1)記載のゴム組成物。
(6)前記プロトン性アミノ基が、−NH2、及び−NHR1(但し、R1、はそれぞれ炭化水素基を示す。)の中から選ばれる少なくとも1種以上の官能基である前記(1)記載のゴム組成物。
【0009】
(7)前記プロトン性アミノ基が、−SiOH、−SiOR、及び−SiX(但し、ORはアルキルオキシ基、Xはハロゲン)の中から選ばれる少なくとも1種以上の反応性基によって重合体中に導入される前記(1)又は(6)記載のゴム組成物。
(8)前記反応性基が、−Si(R3)(R4)−R51(R3及びR4は、炭化水素基、水酸基、ヒドロキシカルビルオキシ基、及びハロゲン基から選択され、少なくとも1つが水酸基、ヒドロキシカルビルオキシ基、及びハロゲン基であり、R5は炭素数が1〜15の炭化水素鎖であり、A1は、前記プロトン性アミノ基及び/又は保護化アミノ基を含む基である。)で表される前記(7)記載のゴム組成物。
【0010】
(9).前記(1)〜(8)に記載のゴム組成物からなる部材を用いたタイヤ。
(10).前記部材がトレッド部材である前記(9)記載のタイヤ。
【発明の効果】
【0011】
本発明のゴム組成物、及びタイヤによれば、(A)重合体ゴム、即ち変性ジエン系重合体と特定の構造のビスマレイミド化合物とを配合することによって、その組成物の貯蔵弾性率(G’)が優れたものとなり、更に、ケイ酸を含有する無機充填剤とシランカップリング剤とを配合することにより、その組成物の低発熱性(損失正接:tanδ)も達成される。そして、それを使用したタイヤは転がり抵抗を十分に抑える効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
本発明のゴム組成物は、共役ジオレフィン、あるいは共役ジオレフィンと芳香族ビニル化合物の重合体ゴムであって、該重合体中にプロトン性アミノ基を有した(A)重合ゴムを含むゴム成分に、上述の一般式(a)で表されるビスマレイミド化合物、ケイ酸を含有する無機充填剤、及びシランカップリン剤を配合してなる。
【0013】
<ゴム成分>
(A)重合ゴム
本発明の重合ゴムは、共役ジオレフィン、あるいは共役ジオレフィンと芳香族ビニル化合物の重合体又は共重合体からなる。また、一部に共重合可能な第3モノマーを成分として含めて良い。
共役ジオレフィンとしては、例えば1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−クロロ−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエンおよびこれらの混合物などが好ましく用いられる。共役ジオレフィンの重合単位の含有量は、全単量体中に40〜100質量%、好ましくは50〜95質量%である。40質量%未満では、タイヤ使用において、転がり抵抗、耐摩耗性が悪化し、また低温時にゴムが硬化してグリップ性能、ウェットスキッド抵抗が悪化する。
【0014】
共役ジオレフィンの重合単位におけるビニル結合(1,2−結合および/または3,4−結合)含量は共役ジオレフィンの重合単位に基づいて、10モル%以上、好ましくは50モル%以上60モル%未満である。ビニル結合含量が10モル%未満ではヒステリシスロスとウェットスキッド特性のバランスが悪化する。また、通常の芳香族ビニル化合物と共役ジオレフィンの共重合体の合成法で、90モル%を超えることは困難である。
【0015】
芳香族ビニル化合物は、例えばスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、α−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,4−ジイソプロピルスチレン、4−tert−ブチルスチレン、ジビニルベンゼン、tert−ブトキシスチレン、ビニルベンジルジメチルアミン、(4−ビニルベンジル)ジメチルアミノエチルエーテル、N,N−ジメチルアミノエチルスチレン、2−t−ブチルスチレン、3−t−ブチルスチレン、4−t−ブチルスチレン、ビニルピリジンおよびこれらの混合物などを挙げることができる。これらのうち、スチレンが特に好ましい。芳香族ビニル化合物の重合単位の含有量は、全単量体中に60質量%以下、好ましくは50〜5質量%である。
【0016】
本発明では、前記の重合ゴム(A)において、該重合体鎖に前記プロトン性アミノ基からなる変性基を含む。プロトン性アミノ基を導入する際に保護化アミノ基として−NL12、及び−NR13としてプロトンを保護し、ここで、R1は炭化水素基を示し、L1、L2、及びL3はそれぞれ水素原子又は解離し得る保護基である。尚、このような保護基は、ハイドリシスの過程で除かれるが、影響を与えない範囲で一部重合体中に残存する場合がある。
また、プロトン性アミノ基は、−SiOH、−SiOR、及び−SiXの中から選ばれる少なくとも1種以上のシリル基を介して重合体、即ちポリマー中に導入することが好ましい。ここで、ORはアルキルオキシ基、Xはハロゲンである。更に、好ましいは、−Si(R3)(R4)−R5Aで表されるシリル基を含むもので、ここで、R3及びR4は、炭化水素基、水酸基、ヒドロキシカルビルオキシ基、及びハロゲン基から選択され、少なくとも1つが水酸基、ヒドロキシカルビルオキシ基、及びハロゲン基であり、R5は炭素数が1〜15の炭化水素鎖であり、Aは、前記プロトン性アミノ基及び/又は保護化アミノ基を含む基である。
【0017】
(A)重合ゴムのこれらのプロトン性アミノ基の含有量は、好ましくは(A)重合ゴムポリマーのkg当たり0.5〜200mmolである。同含有量は、さらに好ましくは(A)重合ゴムポリマーのkg当たり1〜100mmolであり、特に好ましくは(A)重合ゴムポリマーのkg当たり2〜50mmolである。ここで,(A)重合ゴムポリマーとは、製造時または製造後、添加される老化防止剤などの添加剤を含まないポリマーのみの質量を意味する。
【0018】
前記プロトン性アミノ基は、重合開始末端、重合終了末端、重合体主鎖、側鎖のいずれに結合していてもよいが、重合体末端からエネルギー消失を抑制してヒステリシスロス特性を改良しうる点から、重合開始末端あるいは重合終了末端に導入されていることが好ましい。
また、ポリマー鎖に結合する基の数が(A)重合ゴムポリマーのkg当たり200mmolを超えると、カーボンブラックやシリカなどの充填剤との相互作用が高くなりすぎて、配合粘度が向上して加工性が悪化する。一方、ポリマー鎖に結合する基の数が(A)重合ゴムポリマーのkg当たり0.5mmol未満では、基を導入した効果が発現し難くなる。すなわち、得られる(A)重合ゴムのヒステリシスロス特性、耐摩耗性、破壊特性の改良が十分ではなく、好ましくない。
【0019】
次に、(A)重合ゴムの製造方法の態様を以下に示す。
先ず、(A)重合ゴムの第1の製造方法の態様としては、炭化水素溶媒中で、共役ジオレフィン、あるいは共役ジオレフィンと芳香族ビニル化合物とを、有機アルカリ金属および/またはアルカリ土類金属を重合開始剤としてアニオン重合せしめ、重合が実質的に完了した時点で、プロトン性アミノ基及び/又は保護化アミノ基とシリル基を有する化合物を添加してリビング重合鎖末端に反応せしめ、次いで脱保護(加水分解)することにより製造することができる。
かかる製造法であれば、(1)一段反応で容易にプロトン性アミノ基とシリル基を同時に導入することができ、(2)高い導入率を得ることが可能である。
【0020】
アミノ基の保護基としては、アルキルシリル基を挙げることができる。アルキルシリル基としては、例えばトリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリフェニルシリル基、メチルジフェニルシリル基およびエチルメチルフェニルシリル基を挙げることができる。
【0021】
保護された第1級アミノ基とアルコキシシリル基を有する化合物としては、例えばN,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、1−トリメチルシリル−2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルトリメトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルトリエトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノエチルトリメトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノエチルトリエトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノエチルメチルジメトキシシランおよびN,N−ビス(トリメチルシリル)アミノエチルメチルジエトキシシランなどを挙げることができ、好ましくは、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジエトキシシランまたは1−トリメチルシリル−2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタンである。
【0022】
リビング重合鎖末端、例えば、P-Li+とN,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジメトキシシランの反応は、下記反応式(11)で表すことができる。なお、Pは共役ジオレフィン、あるいは共役ジオレフィンと芳香族ビニル化合物の共重合体鎖を示している。
【0023】
【化2】

【0024】
同様に、リビング重合体鎖末端と1−トリメチルシリル−2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタンとの反応は、下記式(12)で表すことができる。
【0025】
【化3】

【0026】
また、前記シラシクロペンタンは2分子のリビング重合体鎖末端と反応することができ、そのときには下記反応式(13)で表すことができる。
【0027】
【化4】

【0028】
このような製造方法の態様をより詳細に説明すると、(A)重合ゴムを得るための、重合反応および保護基により保護された1級アミノ基とアルコキシシリル基を有する化合物との反応は、通常、0〜120℃の温度範囲で行われ、一定温度条件下でも上昇温度条件下でもよい。保護された第1級アミノ基を脱保護するための加水分解は、80〜150℃、好ましくは90〜120℃の温度範囲で、保護された第1級アミノ基とアルコキシシリル基を有する化合物の2倍モル以上の水もしくは酸性水などを添加し、10分間以上、好ましくは30分間以上反応させることにより行われる。重合方式は、バッチ重合方式または連続重合方式のいずれでもよい。
【0029】
重合に使用される有機アルカリ金属および/または有機アルカリ土類金属の開始剤の例としては、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウムなどのアルキルリリチウム、1,4−ジリチオブタンなどのアルキレンジリチウム、フェニルリチウム、スチルベンリチウム、リチウムナフタレン、ナトリウムナフタレン、カリウムナフタレン、n−ブチルマグネシウム、n−ヘキシルマグネシウム、エトキシカルシウム、ステアリン酸カルシウム、t−ブトキシストロンチウム、エトキシバリウム、イソプロポキシバリウム、エチルメルカプトバリウムt−ブトキシバリウム、フェノキシバリウム、ジエチルアミノバリウム、ステアリン酸バリウムなどが挙げられる。
【0030】
開始剤の使用量は、全単量体成分1gに対して、アルカリ金属原子またはアルカリ土類金属原子換算で、0.002〜0.1ミリモル、好ましくは0.005〜0.03ミリモルである。
また、前記開始剤としては、有機アルカリ金属および/または有機アルカリ土類金属と、第2級アミン化合物または第3級アミン化合物との反応生成物を使用することができる。前記第2級アミン化合物または第3級アミン化合物と反応させる有機アルカリ金属としては、有機リチウム化合物が好ましい。より好ましくは、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウムが用いられる。
【0031】
有機アルカリ金属および/または有機アルカリ土類金属と反応させる第2級アミン化合物の例としては、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ジ−sec−ブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジ−n−オクチルアミン、ジ−(2−エチルヘキシル)アミン、ジシクロヘキシルアミン、N−メチルベンジルアミン、ジアリルアミン、モルホリン、ピペラジン、2,6−ジメチルモルホリン、2,6−ジメチルピペラジン、1−エチルピペラジン、2−メチルピペラジン、1−ベンジルピペラジン、ピペリジン、3,3−ジメチルピペリジン、2,6−ジメチルピペリジン、1−メチル−4−(メチルアミノ)ピペリジン、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、ピロリジン、2,5−ジメチルピロリジン、アゼチジン、ヘキサメチレンイミン、ヘプタメチレンイミン、5−ベンジルオキシインドール、3−アザスピロ[5,5]ウンデカン、3−アザビシクロ[3.2.2]ノナン、カルバゾールなどが挙げられる。
【0032】
また有機アルカリ金属および/または有機アルカリ土類金属反応させる第3級アミン化合物の例としては、N,N−ジメチル−o−トルイジン、N,N−ジメチル−p−トルイジン、N,N−ジメチル−m−トルイジン、α−ピコリン、β−ピコリン、γ−ピコリン、ベンジルジメチルアミン、ベンジルジエチルアミン、ベンジルジプロピルアミン、ベンジルジブチルアミン、(o−メチルベンジル)ジメチルアミン、(m−メチルベンジル)ジメチルアミン、(p−メチルベンジル)ジメチルアミン、N,N−テトラメチレン−o−トルイジン、N,N−ヘプタメチレン−o−トルイジン、N,N−ヘキサメチレン−o−トルイジン、N,N−トリメチレンベンジルアミン、N,N−テトラメチレンベンジルアミン、N,N−ヘキサメチレンベンジルアミン、N,N−テトラメチレン(o−メチルベンジル)アミン、N,N−テトラメチレン(p−メチルベンジル)アミン、N,N−ヘキサメチレン(o−メチルベンジル)アミン、N,N−ヘキサメチレン(p−メチルベンジル)アミンなどが挙げられる。
【0033】
また、重合には、必要に応じて、ジエチルエーテル、ジ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、2,2−(ビステトラヒドロフルフリル)プロパン、ビステトラヒドロフルフリルホルマール、テトラヒドロフルフリルアルコールのメチルエーテル、テトラヒドロフルフリルアルコールのエチルエーテル、テトラヒドロフルフリルアルコールのブチルエーテル、α−メトキシテトラヒドロフラン、ジメトキシベンゼン、ジメトキシエタンなどのエーテル化合物および/またはトリエチルアミン、ピリジン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、ジピペリジノエタン、N,N−ジエチルエタノールアミンのメチルエーテル、N,N−ジエチルエタノールアミンのエチルエーテル、N,N−ジエチルエタノールアミンのブチルエーテルなどの第3級アミン化合物を、重合系中に添加して、ジオレフィン(A)重合ゴムの共役ジオレフィン部分のミクロ構造(ビニル結合含量)を調整することができる。
【0034】
(A)重合ゴムを重合する際に使用される炭化水素溶媒としては、例えばペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどが挙げられる。これらのうちシクロヘキサン、ヘプタンが好ましい。
炭化水素溶媒の使用は、全単量体濃度が、5〜30質量%、好ましくは10〜20質量%程度となる量である。
【0035】
(A)重合ゴムの質量平均分子量は、10万〜200万、好ましくは15万〜170万である。15万未満では、得られるゴム組成物の破壊強度、耐摩耗性、低ヒステリシスロス性などが充分ではなく、一方、200万を超えると、加工性に劣り、また混練り時のフィラー分散性が悪化し、破壊強度、耐摩耗性、低ヒステリシスロス性、ウェットスキッド性が悪化する。
なお、(A)重合ゴムのムーニー粘度(ML1+4,100℃)は20〜200の範囲であることが好ましく、20未満では破壊強度、耐摩耗性、低ヒステリシスロス性が悪化し、一方、200を超えると加工性が低下する。また、ムーニー粘度(ML1+4,100℃)が100を超えた重合体もそのままでは加工性に劣り好ましくないが、芳香族系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイルなどの伸展油や質量平均分子量が15万以下の液状ポリマーを添加することで、ムーニー粘度を100以下に下げて、加工上問題なく使用できるようにすることもできる。
【0036】
本発明では、共役ジオレフィンあるいは共役ジオレフィンと芳香族ビニル化合物とをアニオン重合させ、その重合活性末端に、前記アルコキシシラン系化合物をカップリング反応させる。カップリング反応は、通常、0〜120℃、好ましくは50〜100℃、反応時間は1〜30分、好ましくは5〜20分である。
また、同一炭素原子に2個以上のアルコキシル基を有する化合物は、重合開始時、重合終了時、カップリング反応後、溶媒分離時、乾燥前のいずれの時期に添加してもよいが、重合体に効率良く分散させる点から、カップリング反応後の重合系に添加することが好ましい。
前記同一炭素原子に2個以上のアルコキシル基を有する化合物を添加する際の温度は、通常、0〜100℃、好ましくは20〜80℃、添加時間(処理時間)は、通常、1〜30分、好ましくは5〜20分程度である。
【0037】
本発明のゴム成分には、前記の(A)重合ゴムを単独で、または天然ゴム、ポリプロピレンゴム、ポリブタジエンゴム、乳化重合スチレンブタジエンゴム等をブレンドしてもよい。ゴム組成物には、(A)重合ゴムは全ゴム成分に対して30質量%以上含有している。(A)重合ゴムが30質量%未満では本発明に示した効果を十分に発揮することができない。
【0038】
<ビスマレイミド化合物>
本発明の下記一般式(a)で表されるビスマレイミド化合物は、貯蔵弾性率(G′)等を向上させる為に、下記一般式(a)で表される。
【化1】

前記一般式(a)において、Aは炭素数6〜18の2価の芳香族基、又は炭素数7〜24の2価のアルキル芳香族基を表し、xとyは夫々独立に0〜3の整数を表す。尚、前記一般式(a)で表されるビスマレイミド 化合物において、x又はyが4以上になると、分子量が大きくなり過ぎて、配合量の割には目的とする耐熱老化性や貯蔵弾性率等の向上効果が得られないため不都合である。
【0039】
一般式(a)で表されるビスマレイミド化合物の具体例としては、例えば、N,N′−1,2−フェニレンジマレイミド、N,N′−1,3−フェニレンジマレイミド、N,N′−1,4−フェニレンジマレイミド、N,N′−(4,4′−ジフェニルメタン)ビスマレイミド 、2、2−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル]メタン等を好適に挙げることができる。これらのビスマレイミド化合物は、1種以上を配合することもできる。
前記のビスマレイミド 化合物の中でも、N,N′−1,2−フェニレンジマレイミド、N,N′−1,3−フェニレンジマレイミド、N,N′−1,4−フェニレンジマレイミドが好ましく、特にN,N′−(4,4′−ジフェニルメタン)ビスマレイミド が、効果が顕著な点で更に好ましい。
【0040】
本発明のゴム 組成物において、前記ゴム成分100質量部に対して、ビスマレイミド化合物を0.5〜10質量部で配合するのが好ましい。特に、0.8〜5.0質量部で配合するのが好ましい。該配合量が0.5質量部未満であると、耐熱老化性や動的貯蔵弾性率等の向上効果が不十分であり、一方、該配合量が10質量部を超えると、破壊物性及び耐屈曲疲労性が低下する。
【0041】
<ケイ酸を含有する無機充填剤>
本発明のゴム組成物に配合される無機充填剤は、ケイ酸を含有する無機充填剤を必須として配合される。但し、他の無機充填剤を配合しても良い。
ケイ酸を含有する無機充填剤としては、代表的なシリカ(二酸化ケイ素、ケイ酸塩を含む広義のもの)が挙げられ、具体的には、二酸化ケイ素(無水ケイ酸)、及びケイ酸塩、例えば、カオリン(Al23・2SiO2・2H2O)、パイロフィライト(Al23・4SiO2・H2O)、ベントナイト(Al23・4SiO2・2H2O)、ケイ酸アルミニウム(Al2SiO5、Al4・3SiO4・5H2O等)、ケイ酸マグネシウム(Mg2SiO4、MgSiO3等)、ケイ酸カルシウム(Ca2・SiO4等)、ケイ酸アルミニウムカルシウム(Al23・CaO・2SiO2等)、ケイ酸マグネシウムカルシウム(CaMgSiO4)等が挙げられる。
ケイ酸を含有する無機充填剤は、ゴム成分100質量部に対して10〜130質量部の範囲で配合することが好ましい。また、シリカの配合量が10質量部未満では、シリカを配合したことによる低発熱性を十分に達成することができず、また、ゴム物性も悪化して耐久性に劣る。また、130質量部を超えるとゴム組成物中への分散性が悪くなる。
【0042】
本発明ではその他の充填剤、例えば、カーボンブラックや、γ−アルミナ、α−アルミナ等のアルミナ(Al23)、ベーマイト、ダイアスポア等のアルミナ一水和物(Al23・H2O)、ギブサイト、バイヤライト等の水酸化アルミニウム[Al(OH)3]、炭酸アルミニウム[Al2(CO32]、水酸化マグネシウム[Mg(OH)2]、酸化マグネシウム(MgO)、炭酸マグネシウム(MgCO3)、チタン白(TiO2)、チタン黒(TiO2n-1)、酸化カルシウム(CaO)、水酸化カルシウム[Ca(OH)2]、酸化アルミニウムマグネシウム(MgO・Al23)等の無機充填剤をゴム組成物に配合しても良い。
【0043】
<シランカップリング剤>
本発明のシランカップリング剤は、ケイ酸含有無機充填剤(シリカ等)の分散性、変性ジエン系重合体との親和性向上のために配合されるが、その配合量はケイ酸含有無機充填剤に対して1〜20質量部、特に5〜10質量部であることが好ましい。シランカップリング剤 の配合量がシリカに対して1質量部未満ではカップリング剤としての配合効果が十分に発現されず、20質量部を超えて添加しても効果に差異は認められない。
【0044】
シランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリクロルシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシ−エトキシ)シラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、及びγ−トリメトキシシリルプロピルジメチルチオカルバミルテトラスルフィド、γ−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアジルテトラスルフィド、ビス〔3−(トリエトキシシリル)プロピル〕テトラスルフィドなどのテトラスルフィド類などを挙げることができる。
【0045】
なお、シランカップリング剤としては、窒素及び/又は硫黄原子を含む化学構造のものが、ゴムとの親和性の面から好ましく、このようなシランカップリング剤 としては、公知の市販品を用いることができ、例えば、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、ビス〔3−(トリエトキシシリル)プロピル〕テトラスルフィド、γ−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアジルテトラスルフィドなどのテトラスルフィド類などが挙げられ、特に、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド〔デグサ社製「Si69」〕、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン〔東レダウコーニング社製「SH6062」〕を好適に使用することができる。これらは1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
【0046】
シランカップリング剤は、無機充填剤をシランカップリング剤により表面処理し、この表面処理シリカを配合することによりゴム 組成物に含有させても良く、ゴム組成物調製時に添加することにより配合しても良い。
【0047】
本発明のゴム組成物には、本発明の目的が損なわれない範囲で、所望により、通常ゴム工業界で用いられる各種薬品、例えば加硫剤,加硫促進剤,プロセス油,老化防止剤,スコーチ防止剤,亜鉛華,ステアリン酸などを含有させることができる。前記加硫剤としては、硫黄等が挙げられ、その使用量は、ゴム成分100質量部に対し、硫黄分として0.1〜10.0質量部が好ましく、さらに好ましくは1.0〜5.0質量部である。0.1質量部未満では加硫ゴムの破壊強度、耐摩耗性、低発熱性が低下するおそれがあり、10.0質量部を超えるとゴム弾性が失われる原因となる。
【0048】
本発明で使用できる加硫促進剤は、特に限定されるものではないが、例えば、M(2−メルカプトベンゾチアゾール),DM(ジベンゾチアジルジスルフィド),CZ(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド)等のチアゾール系、あるいはDPG(ジフェニルグアニジン)等のグアジニン系の加硫促進剤等を挙げることができ、その使用量は、ゴム成分100質量部に対し、0.1〜5.0質量部が好ましく、さらに好ましくは0.2〜3.0質量部である。また、本発明のゴム組成物で使用できるプロセス油としては、例えばパラフィン系,ナフテン系,アロマチック系等を挙げることができる。引張強度、耐摩耗性を重視する用途にはアロマチック系が、ヒステリシスロス、低温特性を重視する用途にはナフテン系又はパラフィン系が用いられる。その使用量は、ゴム成分100質量部に対して、0〜100質量部が好ましく、100質量部を超えると加硫ゴムの引張強度、低発熱性が悪化する傾向がある。
【0049】
本発明のゴム組成物は、ロール、インターナルミキサー等の混練り機を用いて混練りすることによって得られ、成形加工後、加硫を行い、タイヤトレッド,アンダートレッド,カーカス,サイドウォール,ビード部分等のタイヤ部材用途を始め、防振ゴム,ベルト,ホースその他の工業品等の用途にも用いることができるが、特にタイヤトレッド用ゴムとして好適に使用される。
本発明のタイヤは、本発明のゴム組成物を用いて通常の方法によって製造される。すなわち、必要に応じて、前記のように各種薬品を含有させた本発明のゴム組成物が未加硫の段階でトレッド用部材に押出し加工され、タイヤ成形機上で通常の方法により貼り付け成形され、生タイヤが成形される。この生タイヤを加硫機中で加熱加圧して、タイヤが得られる。このようにして得られた本発明のタイヤは、低燃費性、破壊特性及び耐摩耗性に優れており、しかも該ゴム組成物の加工性が良好であるので、生産性にも優れている。
尚、本発明のゴム組成物及びタイヤは、前記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【実施例】
【0050】
以下、実施例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例によって何ら制限を受けるものではない。
なお、実施例中の各種の測定は下記の方法に拠った。
(1)質量平均分子量(Mw)
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー[GPC:東ソー製HLC−8020、カラム:東ソー製GMH−XL(2本直列)、検出器:示差屈折率計(RI)]で単分散ポリスチレンを基準として、各重合体のポリスチレン換算の質量平均分子量(Mw)を求めた。
(2)ビニル量
重合体のビニル含量を赤外法(モレロ法)で求めた。
(3)結合スチレン含有量
重合体の結合スチレン含量を270MHz1H−NMRによって求めた。
【0051】
(A)重合ゴム及びその他の重合ゴムの製造し、下記表1にその物性を示した。
[変性重合ゴム1の製造(一級アミン+アルコキシシラン含有)]
窒素置換された内容積5リットルのオートクレーブ反応器に、シクロヘキサン2,500g、テトラヒドロフラン25g、スチレン100g、1,3−ブタジエン400gを仕込んだ。反応器内容物の温度を10℃に調整した後、n−ブチルリチウム375mgを添加して重合を開始した。重合は断熱条件で実施し、最高温度は85℃に達した。
重合転化率が99%に達した時点で、リチウム0.9mmol当量に相当するN,N−トリエトキシシリル−アミノプロピルメチルジエトキシシラン(N−Si−1)を加えて15分間反応を行った。反応後の重合体溶液に、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾールを添加した。次いで、スチームストリッピングにより脱溶媒を行い、110℃に調温された熱ロールによりゴムを乾燥し、共重合ゴムを得た。
【0052】
[変性重合ゴム2の製造(二級アミン+アルコキシシラン含有)]
N,N−トリエトキシシリル−アミノプロピルメチルジエトキシシラン(N−Si−1)に代えて、N−メチル−N−トリエトキシシリル−アミノプロピルトリエトキシシラン(N−Si−2)を変性剤とし、変性重合ゴム1の製造方法と同様にして変性重合ゴム2を製造した。
【0053】
[無変性重合ゴム3の製造]
変性剤を添加せずに、重合ゴム1と同様な方法で無変性重合ゴム3を製造した。
【0054】
【表1】

【0055】
次に、下記表2の配合処方を行って、実施例及び比較例のゴム組成物を処方した。また、かかるゴム組成物を加硫して評価をした。その結果を下記表2に示した。
【0056】
(イ)損失正接(tanδ)及び貯蔵弾性率(G’)
レオメトリックス社製の粘弾性測定装置を用いて、温度50℃、周波数15Hz、歪5%でtanδ及び貯蔵弾性率(G’)を測定し、各表において重合体を用い
たゴム組成物(即ち、表2においては比較例1のゴム組成物の損失正接(tanδ)及び貯蔵弾性率(G’)をそれぞれ100として指数表示した。
損失正接(tanδ)については、指数値が小さい程、低発熱性に優れ、一方、貯蔵弾性率(G’)については、指数値が大きい程、貯蔵弾性率が高いことを示す

(ロ)M300(引張応力)
JIS K6251;2004に準拠してダンベル3号試験片を用いて25℃で引張試験を行い、300%伸長時の引張応力(M300)を測定した。各測定値は、比較例1を100として指数表示した。指数値が高いほど引張応力が高いことを示す。
【0057】
【表2】

【0058】
表2中の*1;日本シリカ工業(株)製 ニプシルAQ、*2;ISAF 東海カーボン(株)製「シースト3H(商標)」、*3;デグッサ社製 Si75、*4;N,N−(4,4’−ジフェニルメタン)ビスマレイミド 三井化学社製「ビスマレイミドS(商標)」、*5;N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン大内新興化学工業(株)製 ノクラック6C、*6;メルカプトベンゾチアジルジスルフィド大内新興化学工業(株)製 ノクセラーDM、*7;ジフェニルグアニジン大内新興化学工業(株)製 ノクセラーD、*8;N−t−ブチル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド大内新興化学工業(株)製 ノクセラーNSである。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明のゴム組成物は発熱性の低く抑えられ、貯蔵弾性率も良好であり、タイヤにそれを用いた場合に安定性が向上する産業上の利用可能性があるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
共役ジオレフィン、あるいは共役ジオレフィンと芳香族ビニル化合物の重合体ゴムであって、該重合体中にプロトン性アミノ基を有した(A)重合ゴムを含むゴム成分に、下記一般式(a)で表されるビスマレイミド化合物、ケイ酸を含有する無機充填剤、及びシランカップリン剤を配合してなるゴム組成物。
【化1】

〔一般式(a)中、Aは炭素数6〜18の2価の芳香族基、又は炭素数7〜24の2価のアルキル芳香族基を表し、xとyは夫々独立に0〜3の整数を表す。〕
【請求項2】
前記ゴム成分100質量部に対して、ビスマレイミド化合物を0.5〜10質量部で配合し、ケイ酸を含有する無機充填剤を10〜130質量部を配合し、更に、該無機充填剤100質量部に対してシランカップリング剤を1〜20質量部で配合する請求項1記載のゴム組成物。
【請求項3】
無機充填剤には、ケイ酸を含有する無機充填剤としてシリカが含まれる請求項1記載のゴム組成物。
【請求項4】
前記ビスマレイミド化合物がN,N’−(4,4−ジフェニルメタン)ビスマレイミドである請求項1記載のゴム組成物。
【請求項5】
前記(A)系重合体が1,3−ブタジエン又は1,3−ブタジエンと芳香族ビニル化合物とからなる重合体である請求項1記載のゴム組成物。
【請求項6】
前記プロトン性アミノ基が、−NH2、及び−NHR1(但し、R1、はそれぞれ炭化水素基を示す。)の中から選ばれる少なくとも1種以上の官能基である請求項1記載のゴム組成物。
【請求項7】
前記プロトン性アミノ基が、−SiOH、−SiOR、及び−SiX(但し、ORはアルキルオキシ基、Xはハロゲン)の中から選ばれる少なくとも1種以上の反応性基によって重合体中に導入される請求項1又は6記載のゴム組成物。
【請求項8】
前記反応性基が、−Si(R3)(R4)−R51(R3及びR4は、炭化水素基、水酸基、ヒドロキシカルビルオキシ基、及びハロゲン基から選択され、少なくとも1つが水酸基、ヒドロキシカルビルオキシ基、及びハロゲン基であり、R5は炭素数が1〜15の炭化水素鎖であり、A1は、前記プロトン性アミノ基及び/又は保護化アミノ基を含む基である。)で表される請求項7記載のゴム組成物。
【請求項9】
請求項1〜8項のいずれかの1項に記載のゴム組成物からなる部材を用いたタイヤ。
【請求項10】
前記部材がトレッド部材である請求項9記載のタイヤ。

【公開番号】特開2009−29943(P2009−29943A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−195553(P2007−195553)
【出願日】平成19年7月27日(2007.7.27)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】