説明

ゴム組成物

【課題】補強用充填剤としてシリカを用いたゴム組成物であって、該シリカの分散性が良く、加工性が良好であり、優れた低発熱性と良好なモジュラス強度を有する、主にタイヤ用途等に好適なゴム組成物を提供する。
【解決手段】原料ゴム100重量部および補強性シリカ20〜100重量部からなり、補強性シリカ100重量部に対して硫黄含有シランカップリング剤1〜20重量部およびアミノ基を含有するアルコキシシラン化合物0.05〜5重量部を含有する、ことを特徴とするゴム組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴム組成物に関する。詳しくは、主に、タイヤ用等のシリカ配合組成物において特定のシランカップイング剤を用いてなる低発熱性(低燃費性)に優れると共に、良好なグリップ性能及びモジュラス強度を有するゴム組成物である。
【背景技術】
【0002】
近年、省エネルギーの社会的な要請及び環境問題への関心の高まりに伴う世界的な二酸化炭素排出規制の動きに関連して、自動車の省燃費化に対する要求はより過酷なものとなりつつある。このような要求に対応するため、タイヤ性能についても転がり抵抗の減少が求められてきている。タイヤの転がり抵抗を下げる手法としては、ゴム組成物としてより発熱性の低い材料を用いることが最も一般的な手法として行われている。このような発熱性の低いゴム組成物を得るために、これまでゴム組成物に使用する充填材の分散性を高める技術開発が数多くなされてきた。
又、近年、自動車の安全性への関心の高まりに伴い、低燃費性能のみならず湿潤路面での性能(以下ウェットグリップ性能という)特に、制動性能についても要求が高まってきた。このため、タイヤトレッドのゴム組成物に対する性能要求は、単なる転がり抵抗の低減に止まらず、グリップ性能と省燃費性能を高度に両立するものが必要とされている。
【0003】
このような、良好な省燃費性と良好なグリップ性能を同時にタイヤに与えるゴム組成物を得る方法として、補強用充填材として、これまで一般的に用いられてきたカーボンブラックに替えてシリカを用いる方法がすでに行われている。しかしながら、シリカは、その表面官能基であるシラノール基の水素結合により粒子同士が凝集する傾向にあり、ゴム中へのシリカ粒子の分散を良くするために混練時間を長くする必要がある。また、ゴム中へのシリカ 粒子の分散が不十分なためゴム組成物のムーニー粘度が高くなり、押し出しなどの加工性に劣るなどの欠点を有していた。さらに、シリカ粒子の表面が酸性であることから、加硫促進剤として使用される塩基性物質を吸着し、ゴム組成物の加硫が十分に行われず、弾性率が上がらないという欠点も有していた。
【0004】
これらの欠点を改良するために、シランカップリング剤が開発されたが、依然として、シリカの分散は十分なレベルに達しておらず、特に、工業的に良好なシリカ分散を得ることは困難であった。シランカップリング剤については多種にわたり、それぞれ単独または、2種以上を併用することが提案されているものの、これらの組み合わせによる効果については充分検討されていないのが現状であると言える。また、シリカの分散性を改良するために、シリル化剤を配合することが開示されているが(例えば、特許文献1参照。)、混練中という短い時間でシリカとシリル化剤を反応させなければならないため、反応効率が十分ではなく、さらにこれらシリル化剤は沸点が低く、混練中に揮発し、反応が十分行われないという欠点を有していた。その結果、ゴムの補強が十分にとれないという欠点を有していた。
更には、ゴム成分として特定の変性共役ジエン系重合体を含み、このゴム成分とシリカと特定のアミン類を所定の割合で含むゴム組成物が提案されているが(例えば、特許文献2参照。)、各種性能が充分に満足されるにはいたっていない。
【特許文献1】特開平5−51484号公報
【特許文献2】特開2001−131344号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明はこのような状況下で補強用充填剤としてシリカを用いたゴム組成物であって、該シリカの分散性が良く、加工性が良好であり、優れた低発熱性と良好なモジュラス強度などを有する、主にタイヤ用途等に好適なゴム組成物を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、これらの目的を達成させるために、研究を進め、シリカ配合組成物において、特定のシランカップリング剤を併用することで、詳しくは、硫黄含有シランカップリング剤とアミノ基を含有するアルコキシシラン化合物を用いることによりその目的を達成しえることを見出し、本発明に至ったものである。
即ち本発明は
1.原料ゴム100重量部および補強性シリカ20〜100重量部からなり、補強性シリカ100重量部に対して硫黄含有シランカップリング剤1〜20重量部およびアミノ基を含有するアルコキシシラン化合物0.05〜5重量部を含有する、ことを特徴とするゴム組成物、
2.原料ゴムとして、変性共役ジエン系重合体20〜100重量%を用いることを特徴とする請求項1に記載のゴム組成物、
3.変性共役ジエン系重合体が、アミノ基含有グリシジル化合物で変性した共役ジエン系重合体である請求項1または2記載のゴム組成物、
である。
【発明の効果】
【0007】
以上のように本発明のゴム組成物は、アミノ基を含有するアルコキシシラン化合物と硫黄含有シランカップリング剤を併用することにより、シリカ配合ゴム組成物の低発熱性(低燃費性)とグリップ性能のバランスを改良し、またモジュラスを改善することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下本発明を詳細に説明する。
本発明に使用される原料ゴムとしては、共役ジエンを主体とするゴム状重合体であれば本質的には特に制限はない。
具体例としては、溶液重合スチレン/ブタジエンコポリマーゴム、乳化重合スチレン/ブタジエンコポリマーゴム、シス1,4−ポリイソプレンゴム、3,4−ポリイソプレンゴム、イソプレン/ブタジエンコポリマーゴム、スチレン/イソプレンコポリマーゴム、スチレン/イソプレン/ブタジエンターポリマーゴム、シス1,4−ポリブタジエンゴム等があり、これらの1種又は2種以上を適宜使用できる。
また、共役ジエンを主体とするゴム状重合体を変性させた変性共役ジエン系重合体が用いられ、共役ジエン系重合体の活性末端を各種変性剤を反応させて得られるものである。
【0009】
変性剤としては、下記のものが挙げられる。
(1)分子中に2個以上のエポキシ基を持つ多官能化合物。
具体的には、エチレングリコ−ルジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル等の多価アルコールのポリグリシジルエーテル、ジグリシジル化ビスフェノールA等の2個以上のフェノール基を有する芳香族化合物のポリグリシジルエーテル、1,4−ジグリシジルベンゼン、1,3,5−トリグリシジルベンゼン、ポリエポキシ化液状ポリブタジエン等のポリエポキシ化合物、4,4’−ジグリシジル−ジフェニルメチルアミン、4,4’−ジグリシジル−ジベンジルメチルアミン等のエポキシ基含有3級アミン、ジグリシジルアニリン、ジグリシジルオルソトルイジン、テトラグリシジルメタキシレンジアミン、テトラグリシジルアミノジフェニルメタン、テトラグリシジル−p−フェニレンジアミン、ジグリシジルアミノメチルシクロヘキサン、テトラグリシジル−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン等のジグリシジルアミノ化合物があげられる。
【0010】
好ましくは、4,4’−ジグリシジル−ジフェニルメチルアミン、4,4’−ジグリシジル−ジベンジルメチルアミン等のエポキシ基含有3級アミン、ジグリシジルアニリン、ジグリシジルオルソトルイジン、テトラグリシジルメタキシレンジアミン、テトラグリシジルアミノジフェニルメタン、テトラグリシジル−p−フェニレンジアミン、ジグリシジルアミノメチルシクロヘキサン、テトラグリシジル−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン等のジグリシジルアミノ化合物のアミノ基含有のグリシジル化合物である。
(2)N−置換アミノアルデヒド類、N−置換アミノチオアルデヒド類、N−置換アミノケトン類、N−置換アミノチオケトン類及び分子中に下記の構造を有する化合物。
【0011】
【化1】

【0012】
具体的には、4−ジメチルアミノベンゾフェノン、4−ジエチルアミノベンゾフェノン、4−ジ−t−ブチルアミノベンゾフェノン、4−ジフェニルアミノベンゾフェノン、4,4'−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4'−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4'−ビス(ジ−t−ブチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4'−ビス(ジフェニルアミノ)ベンゾフェノン、4,4'−ビス(ジビニルアミノ)ベンゾフェノン、4−ジメチルアミノアセトフェノン、4−ジエチルアミノアセトフェノン、1,3−ビス(ジフェニルアミノ)−2−プロパノン、1,7−ビス−(メチルエチルアミノ)−4−ヘプタノン等のN−置換アミノケトン類、及び対応するN−置換アミノチオケトン類;4−ジエチルアミノベンズアルデヒド、4−ジビニルアミノベンズアルデヒド等のN−置換アミノアルデヒド、及び対応するN−置換アミノチオアルデヒド類が挙げられる。
【0013】
また、N−メチル−β−プロピオラクタム、N−t−ブチル−β−プロピオラクタム、N−フェニル−β−プロピオラクタム、N−メトキシフェニル−β−プロピオラクタム、N−ナフチル−β−プロピオラクタム、N−メチル−2−ピロリドン、N−t−ブチル−2−ピロリドン、N−フェニル−ピロリドン、N−メトキシフェニル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン、N−ベンジル−2−ピロリドン、N−ナフチル−2−ピロリドン、N−メチル−5−メチル−2−ピロリドン、N−メチル−3,3'−ジメチル−2−ピロリドン、N−t−ブチル−3,3'−ジメチル−2−ピロリドン、N−フェニル−3,3'−ジメチル−2−ピロリドン、N−メチル−2−ピペリドン、N−t−ブチル−2−ピぺリドン、N−フェニル−ピぺリドン、N−メトキシフェニル−2−ピぺリドン、N−ビニル−2−ピぺリドン、N−ベンジル−2−ピぺリドン、N−ナフチル−2−ピぺリドン、N−メチル−3,3'−ジメチル−2−ピぺリドン、N−フェニル−3,3'−ジメチル−2−ピぺリドンが挙げられる。
【0014】
また、N−メチル−ε−カプロラクタム、N−フェニル−ε−カプロラクタム、N−メトキシフェニル−ε−カプロラクタム、N−ビニル−ε−カプロラクタム、N−ベンジル−ε−カプロラクタム、N−ナフチル−ε−カプロラクタム、N−メチル−ω−ラウリロラクタム、N−フェニル−ω−ラウリロラクタム、N−t−ブチル−ラウリロラクタム、N−ビニル−ω−ラウリロラクタム、N−ベンジル−ω−ラウリロラクタム等のN−置換ラクタム類およびこれらの対応するチオラクタム類;,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジエチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジプロピル−2−イミダゾリジノン、1−メチル−3−エチル−2−イミダゾリジノン、1−メチル−3−プロピル−2−イミダゾリジノン、1−メチル−3−チル−2−イミダゾリジノン、1−メチル−3−2−エトキシエチル)−2−イミダゾリジノン、1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロピリミジノン等のN−置換エチレン尿素類および対応するN−置換チオエチレン尿素類等が挙げられる。
【0015】
(3)少なくとも1個のアミノ基、アルキルアミノ基またはジアルキルアミノ基を有するベンゾフェノン類またはチオベンゾフェノン類である化合物から選ばれる化合物。
具体的には、4,4'−ビス(ジメチルアミノ)−ベンゾフェノン、4,4'−ビス(ジエチルアミノ)−ベンゾフェノン、4,4'−ビス(ジブチルアミノ)−ベンゾフェノン、4、4'−ジアミノベンゾフェノン、4−ジメチルアミノベンゾフェノン等及びこれらの対応のチオベンゾフェノン等のような一方あるいは両方のベンゼン環に少なくとも1つのアミノ基、アルキルアミノ基あるいはジアルキルアミノ基を有するベンゾフェノン及びチオベンゾフェノンである。
(4)下記一般式で表される化合物から選ばれるケイ素化合物またはスズ化合物化合物。
【0016】
【化2】

【0017】
具体的には、ケイ素化合物としてはテトラクロルケイ素、テトラブロムケイ素、メチルトリクロルケイ素、ブチルトリクロルケイ素、ジクロル ケイ素、ビストリクロルシリルケイ素等が用いられ、スズ化合物としてはテトラクロルスズ、テトラブロムス ズ、メチルトリクロルスズ、ブチルトリクロルスズ、ジクロルスズ、ビストリクロルシリルスズ、ビストリクロ ルシリルスズ等が用いられる。
(5)下記一般式で表される化合物から選ばれる化合物。
【0018】
【化3】

【0019】
具体的には、ジメトキシ ジメチルシラン、ジフェノキシジメチルシラン、ジエトキシジエチルシラン、トリフェノキシメチルシラン、トリフェノキシビニルシラン、トリメトキシビニルシラン、トリエトキシビニルシラン、トリ(2−メチルブトキシ)エチルシラン、トリ(2−メチルブトキシ)ビニルシラン、トリフェノキシフェニルシラン、テトラフェノキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラキス(2−エチルヘキシルオキシ)シラン、フェノキシジビニルクロロシラン、メトキシビエチルクロロシラン、ジフェノキシメチルクロロシラン、ジフェノキシフェニルヨ−ドシラン、ジエトキシメチルクロロシラン、ジメトキシメチルクロロシラン、トリメトキシクロロシラン、トリエトキシクロロシラン、トリフェノキシクロロシラン、トリス(2−エチルヘキシルオ キシ)クロロシラン、フェノキシメチルジクロロシラン、メトキシエチルジクロロシラン、エトキシメチルジクロロシラン、フェノキシフェニルジヨ−ドシラン、ジフェノキシジクロロシラン、ジメトキシジクロロシラン、ビス(2−メチルブトキシ)ジブロモシラン、ビス(2−メチルブトキシ)ジクロロシラン、ジエトキシジクロロシラン、メトキシトリクロロシラン、エトキシトリクロロシラン、フェノキシトリクロロシラン、(2−エチルヘキシルオキシ)トリクロロシラン、(2−メチルブトキシ)トリクロロシラン等があげられる。
【0020】
(6)イソシアネート化合物またはイソチオシアネート化合物から選ばれる化合物。
具体的には、イソシアナート化合物として は、2,4−トリレンジイソシアナート、2,6−トリレンジイソシアナート、ジフェニルメタンジイソシアナート、ナフタレンジイソシアナート、トリジンジイソシアナート、トリフェニルメタントリイソシアナート、p−フェニレンジイソシアナート、トリス(イソシアナートフェニル)チオホスフェート、キシリレンジイソシアナート、ベンゼン−1,2,4−トリイソシアナート、ナフタレン−1,2,5,7−テトライソシアナート、ナフタレン−1,3,7−トリイソシアナート、フェニルイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート、メチルシクロヘキサンジイソシアナート、フェニル− 1,4−ジイソチオシアナートなどが挙げられる。好ましくは芳香族ジイソシアナート又はトリイソシアナートあるいは各種芳香族イソシアナート化合物の2量体、3量体および上記芳香族イソシアナートとポリオール、ポリアミンと反応させたアダクト体などの芳香族イソシアナート化合物を用いる。さらに好ましくは、2,4−トリレンジイソシアナート、ジフェニルメタンジイソシアナート、ナフタレンジイソシアナートなどの芳香族ポリイソシアナート化合物が挙げられる。
(7)下記一般式で表される化合物から選ばれる化合物。
【0021】
【化4】

【0022】
具体的には、例えば、γ−グリシドキシエチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシブチルトリメトキシ シラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリプロポキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリブトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリフェノキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシド キシプロピルエチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルエチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジプロポキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジブトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジフェノキシシラン、γ−グリシドキシプロピルジメチルメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルジエチルエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルジメチルエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルジメチルフェノキシシラン、γ−グリシドキシプロピルジエチルメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジイソプロペンオキシシラン、ビス(γ−グリシドキシプロピル)ジメトキシシラン、ビス(γ−グリシドキシプロピル)ジエトキシシラン、ビス(γ−グリシドキシプロピル)ジプロポキシシランが挙げられる。
【0023】
また、ビス(γ−グリシド キシプロピル)ジブトキシシラン、ビス(γ−グリシドキシプロピル)ジフェノキシシラン、ビス(γ−グリシドキシプロピル)メチルメトキシシラン、ビス(γ−グリシドキシプロピル)メチルエトキシシラン、ビス(γ−グリシドキシプロピル)メチルプロポキシシラン、ビス(γ−グリシドキシプロピル)メチルブトキシシラン、ビス(γ−グリシドキシプロピル)メチルフェノキシシラン、トリス(γ−グリシドキシプロピル)メトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシメチルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシエチルトリエトキシシラン、ビス(γ −メタクリロキシプロピル)ジメトキシシラン、トリス(γ−メタクリロキシプロピル)メトキシシラン、β− (3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル−トリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル−トリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシ シクロヘキシル)エチル−トリプロポキシシラン、β− (3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル−トリブトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル−トリフェノキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピル−トリメトキシシランが挙げられる。
【0024】
また、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル−メチルジメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル−エチルジメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル−エチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル−メチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル−メチルジプロポキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル−メチルジブトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル−メチルジフェノキシシラン、β− 3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル−ジメチルメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル−ジエチルエトキシシラン、β−(3,4− エポキシシクロヘキシル)エチル−ジメチルエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル −ジメチルプロポキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル−ジメチルブトキシシラン、β −(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル−ジメチルフェノキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル−ジエチルメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル−メチルジイソプ ロペンオキシシラン等を挙げることができる。
(8)下記一般式で表されるオルガノシロキサン化合物から選ばれる化合物。
【0025】
【化5】

【0026】
具体的には、たとえばジグリシドキリジメチルシロキサン、ジメチル(メトキシ−メチルシロキサン)ポリジメチルシロキサン、ジメチル(アセトキシ−メチルシロキサン)ポリジメチルシロキサン、ジグリシジルポリ シロキサンおよびジクロロポリジメチルシロキ
サンなどを挙げることができる。
(9)下記一般式で表されるオルガノシロキサン化合物から選ばれる化合物。
【0027】
【化6】

【0028】
具体的には、ポリメトキシジメチルシ式中、X1〜X8は独立してアルコキシル基、ビニル 基、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子もしくはそれらの うち少なくとも1種を有する炭化水素基;エポキシ基を 有する炭化水素基;カルボニル基を有する炭化水素基;水素原子;アルキル基;またはフェニル基であり、mお よびnは独立して0〜100の整数である。ただしmとnが同時に0となることはない。)
ロキサン、ポリエトキシジメチルシロキサン、ポリメトキシジエチルシロキサン、ポリエトキシジエチルシロキサン、ポリブトキシジメチルシロキサン等が挙げられる。
(10)分子中に、下記式で示されるアミノ基を含有するアルコキシシラン化合物。
【0029】
【化7】

【0030】
具体例としては、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルトリメトキシシラン、N,N−ビス(トリエチルシリル)アミノプロピルトリメトキシシラン、N,N−ビス(トリエチルシリル)アミノプロピルエチルジエトキシシラン、N,N−ビス(トリエチルシリル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン、1−トリメチルシリル−2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタンなどがあげられる。
本発明の変性共役ジエン系重合体は、原料ゴムのうち20〜100重量%が用いられる。変性共役ジエン系重合体が20重量%未満では良好な低発熱性が得られない。
【0031】
本発明で使用するシリカの種類にも特に制限はない。補強性シリカの具体例としては乾式法ホワイトカーボン、湿式法ホワイトカーボン、コロイダルシリカ及び沈降シリカ等があり、これらの1種又は2種以上が適宜使用される。補強性シリカの比表面積についても特に制限はない。補強性シリカの配合量は、原料ゴム100重量部に対し、20〜100重量部の範囲にある。充填剤の比率がこの範囲を逸脱することは、得られるゴム組成物の耐磨耗性等が著しく低下したり、加工性が低下するので好ましくない。
補強剤としては、また、他の無機充填剤やカーボンブラックをもちいることができる。カーボンブラックとしては、特に制限されず、例えば、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、チャンネルブラック、グラファイトなどを用いることができる。これらの中でも、特にファーネスブラックが好ましい。
本発明において、ゴム成分100重量部に対し20〜100重量部のシリカ、0〜50重量部のカーボンブラックを配合した加硫ゴム組成物が好ましい。その場合に本発明の効果として、特にシリカの分散性がよく、安定して加硫ゴムの性能が優れる。タイヤトレッド用途においては従来以上の低転がり抵抗性と耐ウエットスキッド性のバランスの向上および耐摩耗性の向上、強度の向上等がはかられ、タイヤ用ゴム、防振ゴムなどに好適な組成物となる。
【0032】
本発明で用いられるシランカップリング剤は硫黄含有のシランカップリング剤であり、具体には、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラサルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジサルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)テトラサルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)テトラサルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)テトラサルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)ジサルフィド、などがあげられるが、好ましくはビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラサルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジサルフィド等であり。好ましくはビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラサルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジサルフィドである。硫黄含有のシランカップリング剤の使用量は補強性シリカ100重量部に対し、1〜20重量部であり、1重量部未満では補強効果が不充分であり、20重量部を超えると経済的に好ましく無い。好ましくは2〜15重量部、更に好ましくは3〜10重量部である。
【0033】
本発明で用いられるアミノ基を含有するアルコキシシラン化合物は、ゴム組成物に良好な省燃費性とグリップ性能のバランスを改良するうえで必要不可欠な成分であり、具体的にはN−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルエチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、ビス(トリメトキシシリルプロピル)アミン等があげられる。アミノ基を含有するアルコキシシラン化合物の使用量は補強性シリカ100重量部に対し、0.05〜5重量部であり、0.05重量部未満では補強効果が不充分であり、5重量部を超えるとスコーチが問題となり好ましくない。好ましくは0.1〜3重量部である。
【0034】
本発明においてイオウ含有のアルコキシ化合物は単独又は、少量の硫黄含有のシランカップリング剤と本発明におけるゴム成分を含む溶液中に添加し、その後常法に従って、ゴムを回収しその後、シリカ他の添加剤を添加、混合して組成物とすることもでき、又ゴム成分の全量又は、一部のゴム成分、シリカの一部を他の配合剤を添加せずに、ロール等で予め混合して、その後他の添加剤を添加、混合し組成物とすることも可能であり、又、バンバリー等で直接添加して組成物とすることも可能である。好ましくは、予めゴム成分に添加混合しておくことが好ましい。
ゴム配合剤としては、例えば、さらに補強剤、加硫剤、加硫 促進剤、加硫助剤、オイルなどを用いることができる。
【0035】
加硫剤としては、特に限定はないが、例えば、粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、不溶性硫黄、高分散性硫黄などのような硫黄、一塩化硫黄、二塩化硫黄などのようなハロゲン化硫黄、ジクミルパーオキシド、ジターシャリブチルパーオキシドなどのような有機過酸化物などが挙げられる。これらの中でも、硫黄が好ましく、粉末硫黄が特に好ましい。
加硫剤の配合割合は、ゴム成分100重量部に対して、通常0.1〜15重量部、好ましくは0.3〜10重量部、さらに好ましくは0.5〜5重量部の範囲である。加硫促進剤としては、スルフェンアミド系、チオウレア系、チアゾール系、ジチオカルバミン酸系、キサントゲン酸系加硫促進剤などが挙げられる。加硫促進剤の配合割合は、ゴム成分100重量部に対して、通常0.1〜15重量部、好ましくは0.3〜10重量部、さらに好ましくは0.5〜5重量部の範囲である。加硫助剤としては、特に制限はないが、例えばステアリン酸や酸化亜鉛などを用いることができる。
【0036】
オイルとしては、例えば、アロマ系、ナフテン系、パラフィン系、シリコーン系などの伸展油が用途に応じて選択される。伸展油の使用量は、ゴム成分100重量部あたり、通常1〜150重量部、好ましくは2〜100重量部、更に好ましくは3〜60重量部の範囲である。オイルの使用量がこの範囲にある時には、補強剤の分散効果、引張強度、耐摩耗性、耐熱性等が高値にバランスされる。
本発明のゴムをもちいる組成物は、上記成分以外に、常法に従って、炭酸カルシウム、タルク等のような充填剤、アミン系やフェノール系の老化防止剤、オゾン劣化防止剤、シランカップリング剤、ジエチレングリコールなどの活性剤、加工助剤、粘着付与剤、ワックス等のその他の配合剤をそれぞれ必要量含有することができる。
本発明の組成物は、上記各成分を公知のゴム用混練機械、例えばロール、バンバリーミキサー等を用いて混合することによって製造される。以下に実施例を示して本発明をさらに説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0037】
[参考例 変性共役ジエン系重合体の合成]
内容積50リットルで、撹拌機及びジャケットを付けた温度制御が可能なオートクレーブを反応器として使用し、不純物を除去したブタジエン3125g、スチレン1125g、シクロヘキサン2.75kg、極性物質として2,2−ビス(2−オキソラニル)プロパンを5.9gを反応器へ入れ、反応器内温を30℃に保持した。重合開始剤としてn−ブチルリチウムを48.9mmolを含むシクロヘキサン溶液を反応器に供給した。反応開始後、重合による発熱で反応器内の温度は上昇をはじめた。重合開始剤添加後8分〜13分にわたって、ブタジエン250gを10g/分の速度で供給した。最終的な反応器内の温度は77℃に達した。重合反応終了後、反応器に4官能ポリエポキシ化合物であるテトラグリシジル−1、3−ビスアミノメチルシクロヘキサンを48.9mmolgを添加し、75℃で5分間攪拌して変性反応を実施した。この重合体溶液に酸化防止剤(BHT)を9gを添加後、溶媒を除去し、変性成分を有するスチレン−ブタジエン共重合体(試料A)を得た。試料Aを分析した結果、結合スチレン量は25重量%、結合ブタジエン量は75%であり、重合体のムーニー粘度は73であった。赤外分光光度計を用いた測定結果よりハンプトン法に準じて計算して求めたブタジエン部分のミクロ構造の1,2−結合量は61%であり、GPC測定によるポリスチレン換算分子量は重量平均分子量(Mw)は59.4万であり、数平均分子量(Mn)は40.2万であり分子量分布(Mw/Mn)は1.48であった。またシリカ系吸着カラムを用いるGPCから求めた変性率は82%であった。
【0038】
[混練方法]
外部より循環水による温度制御装置を付属した密閉混練機(内容量1.7リットル)を使用し、第一段の混練として、充填率65%、ローター回転数66/77rpmの条件で、原料ゴム(或いは本発明のアミノ基を含有するアルコキシシラン化合物、及び硫黄含有シランカップリング剤を含むゴム成分)、充填材(シリカおよびカーボンブラック)、硫黄含有シランカップリング剤、アミノ基を含有するアルコキシシラン化合物、アロマチックオイル、亜鉛華、ステアリン酸を混練した(混練手順は、表3に示す)。この際、密閉混合機の温度を制御し、155℃で排出し、ゴム組成物を得た。ついで、第二段の混練として、上記で得た配合物を室温まで冷却後、老化防止剤を加え、シリカの分散を向上させるため再度混練した。この場合も、混合機の温度により排出温度を調整し、155℃で排出した。冷却後、第三段の混練として、70℃に設定したオープンロールにて、硫黄、加硫促進剤を混練した。これを成型し、160℃で所定時間、加硫プレスにて加硫し、以下の物性を測定した。
【0039】
1)バウンドラバー量:第2段混練終了後サンプリングした組成物0.2gを約1mm角に裁断してハリスかご(100メッシュ金網製)へ入れ重量測定。その後トルエン中に24時間浸漬後、重量を測定し、非溶解成分を考慮し、充填剤に結合したゴムの量を計算してバウンドラバー量(wt%)とした。
2)配合物ムーニー粘度:ムーニー粘度計を使用し、JIS K 6300により、130℃で、予熱1分、2回転4分後の粘度を測定。
3)300%モジュラス及び引張強度:JIS K 6251の引張試験法により測定。
4)低燃費特性:50℃におけるTanδを測定。レオメトリックス社製 アレス粘弾性試験装置にて、ねじり方式により、周波数10Hz、歪み3%、50℃で測定。数字が小さい方が低発熱性であり、低燃費性能が良好。
5)グリップ性能:0℃におけるTanδを測定。レオメトリックス社製 アレス粘弾性試験装置にて、ねじり方式により、周波数10Hz、歪み1%、0℃で測定。数字が大きい方がウェットスキッド抵抗性能が良好。
【0040】
[実施例1及び実施例2]
参考例で示される変性共役ジエン系重合体(A)及び非変性共役ジエン系重合体である、乳化重合スチレン−ブタジエン共重合体である#1502(JSR株式会社製)をゴム成分とし、表1上段に示される本発明の硫黄含有シランカップリング剤とアミノ基を含有するアルコキシシラン化合物を配合する配合処方で混練り、加硫し、各種物性を測定した。物性測定結果を表1の下段に示す。
【0041】
[実施例3及び実施例4]
実施例1及び実施例2と硫黄含有シランカップリング剤とアミノ基を含有するアルコキシシラン化合物の量を表1上段に示される量に変更した以外は同一の混練り方法、加硫操作を実施し、各種物性を測定した。物性測定結果を表1の下段に示す。
【0042】
[実施例5及び実施例6]
変性共役ジエン系重合体(A)のヘキサン溶液に表1の上段に示される量の硫黄含有シランカップリング剤あるいはアミノ基を含有するアルコキシシラン化合物を添加し、スチームストリッピングで溶剤を除去し、その後、表1上段に示される配合処方で実施例1〜4と同一の混練り、加硫操作を実施し、各種物性を測定した。物性測定結果を表1の下段に示す。
【0043】
[比較例1及び比較例2]
参考例で示される変性共役ジエン系重合体(A)及び非変性共役ジエン系重合体である、乳化重合スチレン−ブタジエン共重合体である#1502(JSR株式会社製)をゴム成分とし、表1上段に示される硫黄含有シランカップリング剤を配合する配合処方で実施例1〜実施例6と同一の混練り、加硫操作を実施し、各種物性を測定した。物性測定結果を表1の下段に示す。
実施例、比較例(表1の物性値)に示されるように、硫黄含有シランカップリング剤とアミノ基を含有するアルコキシシラン化合物を併用系で用いることにより、優れた低発熱性が得られ、又低発熱性とグリップ性能のバランスも改良され、更にモジュラスが改良される。又、ゴム成分として変性共役ジエン系重合体を用いることにより、その効果が大きいことがわかる。本発明における組成物はシリカ配合タイヤ用組成物に好適である。
【0044】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明のゴム組成物は発熱性に優れるとともに、良好なグリップ性能およびモジュラス強度を有する性能を与える。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明による変性共役ジエン系重合体の性能バランスを示す概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料ゴム100重量部および補強性シリカ20〜100重量部からなり、補強性シリカ100重量部に対して硫黄含有シランカップリング剤1〜20重量部およびアミノ基を含有するアルコキシシラン化合物0.05〜5重量部を含有する、ことを特徴とするゴム組成物。
【請求項2】
原料ゴムとして、変性共役ジエン系重合体20〜100重量%を用いることを特徴とする請求項1に記載のゴム組成物。
【請求項3】
変性共役ジエン系重合体が、アミノ基含有グリシジル化合物で変性した共役ジエン系重合体である請求項1または2記載のゴム組成物。

【図1】
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【公開番号】特開2006−282964(P2006−282964A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−108503(P2005−108503)
【出願日】平成17年4月5日(2005.4.5)
【出願人】(303046314)旭化成ケミカルズ株式会社 (2,513)
【Fターム(参考)】