説明

ゴルフクラブヘッドおよびシステム

ゴルフクラブに含まれるためのゴルフクラブヘッドシステムおよびゴルフクラブヘッドが提供される。ゴルフクラブヘッドは主ボディ部材(20)および副ボディ部材(30)を含む。主ボディ部材は、打面(22)、ソール部分(26)、クラウン部分(21)、および該打面とは実質的に反対側にある後面(25)を有する。主ボディ部材は、少なくとも実質的に包囲された主ボディキャビティ(29)を画定する。副ボディ部材は、主ボディ部材に取り付けられ、かつ少なくとも実質的に主ボディ部材の後面全体に延びる。ゴルフクラブヘッドシステムは、それぞれが主ボディ部材への交換可能な取り付けのために構成された二つまたはそれ以上の副ボディ部材を含む。各副ボディ部材は内部凹所を画定し、異なる外形を有し、かつ重心および慣性モーメント特性の異なる組み合わせを有する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2008年8月15日に出願された米国特許第12/192,402号の優先権の恩典を主張する。
【0002】
発明の分野
本発明は、ゴルフクラブヘッドに関し、特に、顧客専用のゴルフクラブヘッドを提供するために様々な交換可能なパーツを含むゴルフクラブヘッドシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
背景
比較的長距離用のゴルフクラブまたはドライバは、旧来、木でできたヘッドを有するものであった(「ウッド」と呼ばれることもあった)。しかし、木は、天然材料であるゆえ、望まれないばらつきまたは欠陥がおこりやすいこともあり、そしてさらには、正しく成形するためには多大な労力および費用を要する。
【0004】
したがって、中空の金属ヘッドを有する比較的長距離用のゴルフクラブの新たな世代(「メタルウッド」または「ウッドタイプ」ゴルフクラブと呼ばれる)が開発された。ヘッドにおける強く軽い金属の使用が、パフォーマンス特性を達成する際のより一層の一貫性、および、より効率的な成形技術を可能にした。
【0005】
近年、メタルウッドは、金属打面部分、および非金属または部分的に非金属のアフトボディ部分を有するように形成されている。中空のアフトボディ部分を使用し、アフトボディ部分を形成するために使用される材料の密度を下げることにより、同じヘッド重量を維持しながらもクラブヘッドの全体寸法を増すことができる。これが、増大した打面表面積および増大した慣性モーメント特性を有するメタルウッドのヘッドを設計することを可能にした。
【0006】
ゴルフのゲーム中、個人は、ゴルフクラブヘッドがほぼ弓形の経路をたどって移動するようにゴルフクラブをスイングする。ゴルフボールと衝突すると、ゴルフクラブの慣性の一部、特にゴルフクラブヘッドの慣性がゴルフボールに伝達され、それにより、ゴルフボールを(望むらくは)所期の標的に向けて推進する。ヘッド重心位置およびボールに向かうクラブヘッドの経路が、ゴルフボールが右にカーブするのか、左にカーブするのか、またはほぼまっすぐなルートをたどるのかに影響を及ぼす。より具体的には、重心がボールと打面との係合点の後方に位置する場合、およびクラブヘッドがボールとのインパクトの瞬間に所期の標的に向かって移動している場合、ゴルフボールはほぼまっすぐなルートをたどる。しかし、重心が係合点の片側に偏っている場合、および/またはクラブが所期の経路に対して斜めに移動している場合、ゴルフボールは、左または右にカーブするルートをたどることがある。同様に、係合点の上方または下方への(または係合点に近づく、もしくは係合点から離れる)ゴルフクラブヘッド重心の偏りは、ゴルフボールが、風を切り裂く(boring)軌道を示すのか、浮き上がる軌道を示すのかに影響を及ぼす。
【0007】
ゴルフクラブヘッドの重心(または質量の中心)とは、平衡点、すなわち、ゴルフクラブヘッドの全重量が集中すると考えられて、その点で支えられるならば、ゴルフクラブヘッドがいかなる体勢ででも静的平衡状態にとどまるような点と定義される。
【0008】
様々なゴルフクラブに関するゴルフクラブヘッドの重心位置の変更は、特定のゴルファーのスイング特性を補正して、ゴルフボールのルートを修正または変更し、それにより、ゴルファーのゲームを改善することができると認識されている。たとえば、重心をより低く、かつゴルフクラブヘッドの後部の近くに移動させることにより、ゴルフショットは、クラブとボールとのインパクト時にロフトを増大させる傾向を示す。重心をより高く、かつゴルフクラブヘッドの後部の近くに移動させることにより、ゴルフショットは、インパクト時にロフトを減少させる傾向を示す(より「風を切り裂く」ような弾道)。
【0009】
よりさらに近年、アフトボディ部分の内または上に戦略的に配置される複数のウェイトによってアフトボディ部分をカスタマイズして、ゴルフクラブヘッドの重心および/または慣性モーメントを変化させることができるメタルウッドが開発された。特定のゴルフクラブフェースとの後の最終的なアセンブリのために様々なアフトボディを事前に製造し、利用可能にしておくことができる。ゴルファーのスイングを解析し、そしてゴルフクラブを、個々のゴルファーのスイングスタイルにおける様々な欠点または弱点を考慮するように少なくとも部分的にカスタマイズすることもできる。
【0010】
カスタマイズ可能なクラブシステムにおいては、要素(すなわち、シャフト、ヘッド、ヘッドコンポーネントなど)の多くの様々な組み合わせを選択し、永久的に互いに取り付けて、最終的なクラブを形成することができる。しかし、ゴルフクラブを購入する際、大部分のゴルファーは、いずれは使用するであろう実際のカスタマイズされたクラブを試すことを望む。クラブの真の感触を達成するためには、カスタマイズ可能なコンポーネントが、実際のプレー条件下で取り付けられると考えられるように互いに取り付けられなければならない。したがって、要素の組み合わせが選択され、要素が永久的に互いに取り付けられてクラブを形成するが(クラブの真の感触を達成するために、実際のプレー条件下で取り付けられると考えられるように)、最終的にゴルファーによって選択されないならば、このカスタマイズされ、永久的にアセンブルされたゴルフクラブは、店の中で棚上げされ、おそらくは、どのゴルファーによっても決して選択されない。各人が自由に様々なクラブ要素を取り付けたのち、互いから取り外して多様なクラブ構成を試すことができると同時にクラブの真の感触を達成する、より融通の利くコンポーネントアセンブリシステムを有することが望ましいであろう。これは、ゴルファーが、特定のゴルファーにとってベストの組み合わせが達成されるまで多くの異なる組み合わせを自由に試すことを可能にするであろう。
【0011】
さらには、個々のゴルファーのスイングスタイルが時間とともに改善または他のやり方で変化することが考えられる。そのような場合、そのゴルファーの以前のスイングスタイルに合わせてカスタマイズされたクラブはもはや適切ではないかもしれない。また、数回の初期ラウンドののち、ゴルファーは、カスタマイズされたクラブが、望まれるほどには自分のスイングを受け入れないと判断するかもしれない。なおさらには、新たな技術または流行が現れ、ゴルファーは、最新の技術または流行に遅れないようにすることを望むかもしれない。取り外し可能な要素を有するクラブは、ゴルファーが、望みどおり、要素を交換し、クラブを修正またはグレードアップすることを可能にするであろう。
【0012】
本発明の目的は、従来から公知の装置に固有の難題のいくつかまたはすべてを軽減または解消するゴルフクラブヘッドシステムを提供することである。以下の発明の開示および特定の好ましい態様の詳細な説明を考察すると、本発明の特定の目的および利点が当業者、すなわち、当技術分野の知識または経験を有する者にとって明白になるであろう。
【発明の概要】
【0013】
概要
以下、本発明の局面の少なくともいくつかの基本的理解を提供するために、本発明の局面の概要を提示する。この概要は、本発明の広範な概観として意図したものではない。この概要は、本発明の重要もしくは決定的な要素を特定する、または本発明の範囲を画定することを意図したものではない。以下の概要は、本発明のいくつかの概念を、以下に提供されるより詳細な説明への前置きとして、一般的な形態で提示するだけである。
【0014】
本発明は一般に、主ボディ部材および主ボディ部材に取り外し可能に取り付けられた副ボディ部材を含むゴルフクラブヘッドに関する。副ボディ部材を主ボディ部材に取り外し可能に取り付けることにより、副ボディ部材は、わずかな力だけで、副ボディ部材または主ボディ部材のいずれをも損傷することなく、取り外すことができる。この取り外し可能性が、一つのボディを別のボディと容易に交換する能力を提供する。
【0015】
一つの局面において、ゴルフクラブヘッドは、打面、打面フレームおよびホーゼルを有する主ボディ部材ならびに主ボディ部材に取り外し可能に取り付けられた中空の副ボディ部材を含む。主ボディ部材はさらに、打面フレームの上部分から後方に突出するクラウン(またはクラウンの一部)および/または打面フレームの下部分から後方に突出するソール部材(またはソール部材の一部)を含むことができる。副ボディ部材は、主ボディ部材のクラウン、ソール部材および/または打面フレームに取り外し可能に取り付けることができる。
【0016】
副ボディ部材は、様々な方法で主ボディ部材に取り外し可能に取り付けることができる。一つの局面において、副ボディ部材は、接着剤、特に液化性エポキシによって主ボディ部材に取り外し可能に取り付けられる。別の局面において、副ボディ部材は、一つまたは複数の機械的要素によって主ボディ部材に取り外し可能に取り付けられる。これらの機械的要素は、ねじファスナ、弾性変形性要素、カム要素および/または塑性変形性使い捨て要素を含むことができる。さらに、副ボディ部材は、機械的かつ接着的のいずれでも、主ボディ部材に取り外し可能に取り付けることができる。
【0017】
一つの局面において、ゴルフクラブヘッドは、打面および少なくとも実質的に包囲された主ボディキャビティを有する主ボディ部材、ならびに副ボディ部材を含む。主ボディ部材はさらに、ソール部分、クラウン部分および打面とは実質的に反対側にある後面を含む。副ボディ部材は、主ボディ部材に取り付けられ、少なくとも実質的に主ボディ部材の後面全体に延びる。
【0018】
別の局面において、副ボディ部材が主ボディ部材に取り付けられたとき、副ボディ部材および主ボディ部材は、少なくとも実質的に包囲された副キャビティをそれらの間に画定する。
【0019】
副ボディ部材および主ボディ部材は、機械的締結要素、剥離可能な接着剤またはそれらの組み合わせにより、取り外し可能に互いに取り付けることができる。
【0020】
別の局面において、主ボディ部材に取り外し可能に取り付けられた副ボディ部材を有するゴルフクラブヘッドならびにシャフトおよび/またはグリップもしくはハンドル部材を有するゴルフクラブが提供される。
【0021】
一つの局面にしたがって、ゴルフクラブヘッドシステムが提供される。システムは、主ボディ部材、主ボディ部材に取り外し可能に取り付けられた第一の副ボディ部材、および第一の副ボディ部材と、取り付け可能に交換可能な少なくとも一つの他の副ボディ部材を含む。このシステムにおいて、各副ボディ部材は、重心および慣性モーメント特性の独自の、または異なる組み合わせを有することもできるし、ならびに/あるいは各副ボディ部材は、独自の、または異なる外形を有することもできる。
【0022】
さらなる局面にしたがって、ゴルフクラブヘッドシステムは、それぞれが主ボディ部材への交換可能な取り付けのために構成された二つまたはそれ以上の副ボディ部材を含む。各副ボディ部材は、独自の、または異なる外形を有し、ならびに各副ボディ部材は、重心および慣性モーメント特性の独自の、または異なる組み合わせを有する。各副ボディ部材を交換可能に主ボディ部材に取り外し可能に取り付けるための手段が提供される。
【0023】
別の局面において、ゴルフクラブヘッドシステムは、打面、少なくとも部分的に打面の周囲に延びる打面フレーム、打面フレームの上部分から突出するクラウン(または少なくともクラウンの一部)およびホーゼルを有する、主ボディ部材を含む。クラウンの下方に配置されるように構成され、主ボディ部材への取り付けのために構成された第一の副ボディ部材が提供される。また、第一の副ボディ部材との交換のために構成され、主ボディ部材への交換可能な取り付けのために構成された第二の副ボディ部材が提供される。また、第一の副ボディ部材を主ボディ部材に取り外し可能に取り付けるための手段がシステムに含まれる。
【0024】
本明細書に記載されるようなゴルフクラブヘッドおよびゴルフクラブヘッドシステムを提供することにより、実質的な利点が達成される。特に、本発明の特定の好ましい態様は、ゴルフクラブヘッドをカスタマイズするための、丈夫であるにもかかわらず柔軟なシステムを製造することができる。そのうえ、変更することができる比較的多数の設計パラメータのおかげで、設計のより大きな柔軟性が達成されて、それにより、多くの様々なユーザのために効率的に設計し、カスタマイズすることができるゴルフクラブヘッドが得られる。ゴルフクラブヘッドコンポーネントの在庫、および完成され組み立てられたクラブの在庫を減らしながら、この大きな柔軟性が達成される。
【0025】
本明細書に開示される発明のこれらおよびさらなる特徴および利点は、特定の好ましい態様の以下の詳細な開示からさらに理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
添付図面と併せて以下の詳細な説明を参照することにより、本発明およびその利点のより完全な理解を得ることができる。図面を通じて同様な参照番号が同様な特徴を示す。
【0027】
【図1】本発明の態様のゴルフクラブヘッドのトウ側面図である。
【図2】図1の態様のゴルフクラブヘッドの、ゴルフクラブシャフトを除くヒール側面図である。
【図3】図2の態様のゴルフクラブのヘッドの上面図である。
【図4】図2の態様のゴルフクラブのヘッドの正面図である。
【図5】図3のV−V線から見た断面図である。
【図6】本発明の別の態様のゴルフクラブのヘッドの斜視図である。
【図7】図6の態様のゴルフクラブヘッドの分解斜視図である。
【図8】本発明の別の態様のゴルフクラブヘッドのトウ側面図である。
【図9】図8の態様のゴルフクラブヘッドの断面図である。
【図10】本発明のさらに別の態様のゴルフクラブヘッドのトウ側面図である。
【図11】図10の態様のゴルフクラブヘッドの断面図である。
【図12】本発明のさらに別の態様のゴルフクラブヘッドを二つのパーツとして示す斜視図であって、(a)は、主ボディ部材20を斜め後方から示し、(b)は、主ボディ部材20から取り外し、垂直軸を中心に180°回転させた副ボディ部材30を示す。
【図13】図12の態様のゴルフクラブヘッドの断面斜視図である。
【図14】図12の態様のゴルフクラブヘッドの断面分解斜視図である。
【図15】図12の態様のゴルフクラブヘッドのトウ部分の断面斜視図である。
【図16】図12の態様のゴルフクラブヘッドのヒール部分の断面斜視図である。
【図17】本発明の別の態様の二つのゴルフクラブヘッドの上面図であって、(a)は、前方ボディ部材20に取り付けられた後方ボディ部材30a示し、(b)は、同じ前方ボディ部材に取り付けられた異なる後方ボディ部材30bを示す。
【図18】本発明のさらなる態様のゴルフクラブヘッドのトウ側面図である。
【図19】図18の態様のゴルフクラブヘッドの下部分の斜視図である。
【図20】図18の態様のゴルフクラブヘッドの、副ボディ部材を取り外した下部分の斜視図である。
【図21】図18の態様のゴルフクラブヘッドの後方部分の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
上記で挙げられた図面は、必ずしも原寸に比例して描かれておらず、関連する原理を説明する本発明の代表例を提供するものと理解されるべきである。図中に示されるゴルフクラブヘッドのいくつかの特徴は、説明および理解を容易にするために、他の特徴に対して拡大または変形されているかもしれない。図中、様々な代替態様で示される類似または同一コンポーネントおよび特徴に対しては同じ参照番号が使用されている。本明細書に開示されるゴルフクラブヘッドは、それらが使用される所期の用途および環境によって部分的に決まる構成およびコンポーネントを有するであろう。
【0029】
詳細な説明
本発明の様々な例示的態様の以下の説明においては、本明細書の一部を形成し、様々な例示的構造、装置、システムおよび本発明の局面を実施することができる環境が実例として示されている添付図面を参照する。本発明の範囲を逸脱することなく、パーツ、構造、例示的装置、システムおよび環境の他の具体的配設を使用することができ、構造的および機能的変更を加えることができることが理解されよう。
【0030】
読者を支援するため、本明細書は、いくつかのサブセクション、すなわち用語、本発明の局面のゴルフクラブヘッドの概説、発明の具体例および結びに分割される。
【0031】
A. 用語
以下の用語が本明細書で使用されるが、断りない限り、または以下の文脈から明らかではない限り、これらの用語は、以下に提供される意味を有する。
【0032】
断りない限り、または以下の文脈から明らかではない限り、本明細書で使用される方向を表す用語、たとえば「前方」、「後方」、「側方」、「上」、「下」などは、ゴルフクラブヘッドそのものに対する方向をいう。したがって、図1に示される態様において、「前方」は、ヘッド100のうち、クラブがスイングのために位置決めされたときゴルフボールに隣接して位置する部分をいい、「後方」または「アフト」は、ゴルフクラブヘッドのうち、前方とは実質的に反対側にある部分をいう。「下」または「ソール」とは、ヘッド100のうち、ゴルフクラブがスイングのために位置決めされたとき地面に隣接して位置する部分をいい、「上」または「クラウン」とは、ゴルフクラブヘッド100のうち、下とは反対側にある部分をいう。「ホーゼル側」または「ヒール側」とは、ヘッド100のうち、一般にゴルフクラブシャフトへのヘッド100の取り付け部にもっとも近い側をいう。「トウ側」とは、ヘッド100のうち、ホーゼル側とは反対側にある側をいう。
【0033】
用語「取り外し可能に取り付けられた」とは、相対的に容易に元どおりにされ、取り外し工程で取り付けられるパーツを損傷または潜在的に損傷することを防ぐように設計されている取り付けをいう。用語「取り外し可能に接合された」は、「取り外し可能に取り付けられた」と互換可能に使用されることがある。取り外し可能な取り付けは、パーツを互いに取り外すためにわずかな力しか要しない。
【0034】
容易に螺合解除されるように設計されているねじファスナが、取り外し可能な取り付けの例である。二つのパーツを切り離すために破壊されることなくスナップ解除されることができる弾性変形性スナップロック嵌めが、取り外し可能な取り付けの別の例である。これは、嵌合をスナップ解除するために特殊な工具が必要である場合にも当てはまる。二つの取り付けられたパーツが損傷を受けることなく離れるような、比較的低い温度で軟化または融解させることができる(たとえば、従来のヘヤドライヤ、プロパントーチなどによって加熱することにより)接着剤を使用する接着接合が、取り外し可能な取り付けの別の例である。
【0035】
取り外し可能な取り付けは、互いに取り付けられているパーツが取り外されるとき、それらのパーツを損傷させない。しかし、一つの態様において、取り外し可能な取り付けは、取り付けられているパーツの要素ではない取り付け要素の破壊を含むこともできる。たとえば、取り外し可能な接着接合における接着要素は、再使用することはできず、したがって、使い捨ての交換可能な取り付け要素とみなされるであろう(たとえば、ぬぐい落とし、新たな接着剤と交換することができる)。別の例として、二つのパーツは、二つの取り付けられるパーツの比較的硬いソケットにプレス嵌めされる比較的軟らかいピンによって結合されることもできる。パーツを切り離すためには、ピンを打ち出し、その過程で破壊することもできる。しかし、ソケットおよび二つの取り付けられたパーツは損傷を受けない。取り付け要素、すなわちこの例におけるピンは、使い捨ての交換可能な部品であるように設計されている。
【0036】
取り外し可能な取り付けの反対は取り外し不可能な取り付けである。取り外し可能な取り付けは、一時的(取り外される場合)または永久的(決して取り外されない場合)でありうる。したがって、上記例におけるねじファスナが螺合解除されないならば、接合された二つのパーツは永久的に互いに取り外し可能に取り付けられたままになる。
【0037】
ろう付けまたは溶接接合は、パーツの取り外しが、溶接された要素を互いから取り外すための過度な潜在的に損傷性の熱、力または機械加工の適用を要するため、取り外し可能とはみなされない。同様に、永久的な結合のために設計され、接着剤を焼き切るための過度な潜在的に損傷性の熱の適用を要する、または接合を引き離すための過度な潜在的に損傷性のてこ入れ力の適用を要する接着接合もまた、取り外し可能とはみなされない。別の例として、リベット締め工程中に接合パーツの変形を一般に要し、さらに、リベットの意図しない破壊を要するリベット接合は、取り外し可能とはみなされない。
【0038】
他の例においては、設計状況および取り付け要素が使用される状況が考慮されなければならない。たとえば、ロック解除するために相当な力を要する(すなわち、接合パーツを潜在的に損傷する)ロック機能を有し、永久的な取り外し不可能な取り付けを提供するように設計されたねじファスナは、取り外し可能とはみなされない。しかし、解除するためにほんのわずかな力しか要しないロック機構を有し、たとえば接合部のあそびを減らすように選択され、設計されたねじファスナは、取り外し可能とみなすことができる。そのようなロック機構を有するねじファスナは、取り外し中にロック機構および/またはねじファスナそのものが破壊されるとしても、取り外し可能とみなすことができる。
【0039】
本明細書で使用される用語「交換可能」または「代用可能」とは、互いの代わりに使用することができる部品をいう。一般に、交換可能な部品は、互いに同一である必要はなく、交換可能性は文脈に支配される。したがって、たとえば、第一および第二の両コンポーネントが第三のコンポーネントへの代替的取り付けに備えて構成されることができるという点で、第一のコンポーネントは第二のコンポーネントと、取り付け可能に交換可能であることができる。しかし、第一のコンポーネントは第二のコンポーネントとは異なる質量、異なる重心および/または異なる慣性モーメントを有することができ、したがって、質量特性に関しては、第二のコンポーネントは第一のコンポーネントと交換可能ではないであろう。なおさらに、第一および第二の両コンポーネントが第三のコンポーネントに代替的に取り付け可能であるという点で、取り付けの詳細は異なるとしても、第二のコンポーネントは第一のコンポーネントと、取り付け可能に交換可能であることができる。
【0040】
交換可能なコンポーネントは、必ずしも取り外し可能に交換可能ではない。たとえば、二つのコンポーネントは、それぞれを互いの代わりに第三のコンポーネントに取り付けることができるならば、取り付け可能に交換可能である。しかし、ひとたびコンポーネントの一つの取り付けが第三のコンポーネントとで形成されると、その取り付けが永久的であるならば、二つのコンポーネントが取り付け可能に交換可能であるとしても、それらは取り外し可能に交換可能ではない。コンポーネントがいずれも取り外し可能に取り付け可能かつ交換可能である場合のみ、それらは取り外し可能に交換可能である。
【0041】
B. 本発明の局面のゴルフクラブヘッドおよびゴルフクラブシステムの概説
一般に、本発明の局面は、個々のゴルフクラブヘッドの質量性質をより良く制御して、それにより、ゴルフクラブ全体の設計においてより大きな柔軟性およびカスタマイズ性を提供する、ゴルフクラブヘッドまたは他の打球装置を提供するためのシステムに関する。
【0042】
本明細書には、コンポーネントの少なくとも一つが別のコンポーネントに取り外し可能に取り付けられるマルチコンポーネント構成を有するゴルフクラブヘッドが記載される。本発明の少なくともいくつかの局面の具体例として、ゴルフクラブヘッドは、後方ボディ部材(または副ボディ部材)に取り外し可能に取り付けられた前方ボディ部材(または主ボディ部材)を含むことができる。前方ボディ部材(または主ボディ部材)は、打面を含み、さらに、打面フレーム、ソール部分、クラウン部分、打面とは実質的に反対側にある後面および/またはホーゼルを含むことができる。
【0043】
前方または主ボディ部材は一般に、金属から一体部品として形成されるが、多数のサブ部品および/または多数の材料で形成されたのち、一体に接合されることもできる。非限定的な例として、打面は、鋼で形成されることができるフレームとは別にチタンまたはチタン合金で形成されることができる。他の材料、たとえばアルミニウム、タングステン、ニッケル、様々な金属の合金、グラファイト、ポリマー、プラスチック、複合材、セラミックスおよび/またはそれらの組み合わせを使用することもできる。本開示の恩典を与えられると、主ボディ部材を形成するのに適当な方法および材料が当業者に明らかになるであろう(たとえば、別個の打面をカップ形のフレーム部材に溶接すること、鍛造により、プレス成形により、スタンピングなどにより)。
【0044】
本発明の少なくともいくつかの例において、前方ボディ部材は、打面フレームの上部分から後方に突出するクラウンもしくはその一部、または打面フレームの下部分から後方に突出するソール部材もしくはその一部、またはそれらの両方を含むことができる。場合によっては、望むならば、クラウン部分は、ゴルフクラブヘッドの前後方向全寸法の少なくとも25%を超えて延びることもできる。さらなる例として、望むならば、クラウン部分は、ゴルフクラブヘッドの前後方向全寸法の少なくとも50%またはさらに少なくとも80%を超えて延びることもできる。
【0045】
同様に、後方または副ボディ部材は、単一材料から単一ピースとして形成されることもできるし、後で互いに接合される多数のピースとして形成されることもできる。または、後方ボディ部材は、厚みを増すために多数の層を有する複合ボディとして形成されることもできる。後方ボディ部材は、その重量を減らし、クラブ設計者がクラブヘッドの質量をクラブヘッド構造全体内でより良く分布させて、たとえばその質量を増すことなくその慣性モーメントを増すこと、重心位置を制御することなどを可能にするために、中空であることができる。たとえば、後方ボディ部材は、凹所を画定する実質的にシェル様の構造として設計されることもできる。場合によっては、後方ボディ部材は、後方ボディ部材およびゴルフクラブヘッドの質量分布をカスタマイズするために、ウェイト要素(図示せず)を受ける、または携えるように設計されることもできる。これらのウェイトは、後方ボディ部材の製造後に取り付けることもできるし、後方ボディ部材内に、たとえば複合ボディ部材の層と層との間に含めることもできる。
【0046】
本発明の一つの局面にしたがって、前方または主ボディ部材への交換可能な取り付けのために、二つまたはそれ以上の後方または副ボディ部材が提供されることもできる。交換可能に取り付け可能な後方ボディ部材それぞれは、重心と慣性モーメント特性との独自の組み合わせを有することができる。また、交換可能に取り付け可能な後方ボディ部材それぞれは、独自の外形を有することができ、それにより、ゴルファーが、ゴルフクラブのパフォーマンス特性をカスタマイズするだけでなく、ゴルフクラブヘッドの外見をもカスタマイズすることを可能にする。また、様々な後方ボディ部材は、異なるふうに色付けされて、および/または異なるふうに仕上げられて、ゴルフクラブヘッドの美観のカスタマイズおよび変更を可能にすることもできる。交換可能な後方ボディ部材を前方ボディ部材に取り外し可能に取り付けるために、後方ボディ部材を主ボディ部材に取り外し可能に取り付けるための手段(たとえば、取り外し可能な取り付け要素)が提供される。
【0047】
さらには、本発明の局面にしたがって、ゴルフクラブヘッドシステムは、前方または主ボディ部材、前方ボディ部材に取り外し可能に取り付けられた第一の後方または副ボディ部材、および第一の後方ボディ部材と、取り付け可能に交換可能である少なくとも一つの他の後方または副ボディ部材を有する。第一の後方ボディ部材は取り外し可能に取り付けられる。第一の後方ボディ部材と交換可能である他の後方ボディ部材は、前方ボディ部材に取り外し可能に取り付け可能または取り外し不可能に取り付け可能でありうる。
【0048】
後方ボディ部材は、前方ボディ部材の任意の部分、たとえば打面、打面フレーム、クラウン部分、ソール部分、後面またはそれらの任意の組み合わせに取り外し可能に取り付けることができる。本発明のいくつかの例示的態様にしたがって、後方ボディ部材を前方ボディ部材に取り外し可能に取り付けるための手段は、比較的低温で融解または軟化する接着剤を含むことができる。たとえば、接着剤は、パーツの結合および取り外しが温度変化の問題になるような、200℃未満の剥離温度を有するエポキシ接着剤であることができる。一つのそのような公知の「剥離可能」接着剤が、Sandia National Laboratoryで開発され、米国特許第6,825,315号に開示されている。この剥離可能な接着剤は、比較的低い高温(正確な調合に依存して約90℃〜130℃)で液化(すなわち融解)し、その結合能力を失うが、その後、温度が下がると(約20℃〜25℃、すなわち室温〜60℃)再び結合する。この液化性接着剤が液化すると、結合された要素を剥離(または分離)させるために、ごくわずかな力しか要らない。この特許は参照により全体として本明細書に組み入れられる。
【0049】
本発明の他の例示的態様にしたがって、後方または副ボディ部材を前方または主ボディ部材に取り外し可能に取り付けるための手段は、一つまたは複数の機械的要素を含むことができる。一つの態様にしたがって、機械的要素は一つまたは複数のねじファスナを含むことができる。個々のファスナは、具体的な接合面詳細、予想される負荷および/またはアクセス可能性の問題に依存して、前後方向、上下方向、横方向または任意のこれらの方向に対して斜めの方向に長手を向けられることができる。非限定的な例として、ねじスクリューがクラブヘッドのヒール側およびトウ側で後方ボディ部材を前方ボディ部材に締結することができる。さらなるねじスクリューが前方ボディ部材のクラウンまたはソール部材部分で後方ボディ部材を前方ボディ部材に締結することもできる。別の非限定的な例として、一つまたは複数のねじスクリューが前方ボディ部材の後面で後方ボディ部材を前方ボディ部材に締結することもできる。場合によっては、これらのねじスクリューは、後方ボディ部材が前方ボディ部材に取り付けられているときに容易にアクセス可能であるよう、後方ボディ部材によって「捕捉される」こともできる。さらに、場合によっては、後方ボディ部材は、ねじファスナを受けるためのねじインサート、ボスまたは捕捉されたナットを含むこともできる。本開示の恩典を与えられた当業者には明らかであるように、他の機械的ファスナおよび機械的ファスナの構成を利用することもできる。
【0050】
別の例として、後方または副ボディ部材は、一つまたは複数の弾性変形性要素を含むことができる機械的要素を使用して、前方または主ボディ部材に取り外し可能に取り付けることもできる。非限定的な例として、弾性変形性機械的締結要素は偏り要素を含むことができる。別の非限定的な例として、弾性変形性機械的締結要素はスナップロックファスナを含むことができる。そのようなスナップロックファスナは、クラブヘッドのヒール側およびトウ側、前方ボディ部材の上部分および下部分、ならびに/または前方ボディ部材の後面で、後方ボディ部材を前方ボディ部材に締結することができる。さらには、別の例示的な例として、弾性変形性機械的締結要素を一つまたは複数のねじファスナとともに使用することもできる。弾性変形性締結要素は、任意の適当な材料、たとえば金属および/または比較的硬いプラスチックでできていてもよい。必要ならば、接合された部材を簡単に取り外すことができるよう、特別な工具を使用してファスナを一時的に変形させることもできる。必要ならば、弾性変形性要素の取り外しを支援するための工具の使用を受け入れるために、設計上の特徴を後方ボディ部材、前方ボディ部材または両方に組み込むこともできよう。本開示の恩典を与えられた当業者には明らかであるように、他の弾性変形性機械的ファスナを使用することもできる。
【0051】
さらに別の例として、後方または副ボディ部材は、一つまたは複数の塑性変形性および/または使い捨て要素を含むことができる機械的要素を使用して、前方または主ボディ部材に取り外し可能に取り付けることができる。非限定的な例として、塑性変形性機械的締結要素は、ファスナのねじ部分の穴に挿入されるナイロンプラグを含むことができる。そのような塑性変形性要素は、ねじファスナをねじ穴の中に保定し、振動を減らすことを支援する。しかし、プラグの塑性変形の量がごくわずかであるならば、ねじファスナは、わずかな力だけでねじ穴から取り外し可能であろう。別の非限定的な例として、2パーツ剪断ピンが後方ボディ部材を前方ボディ部材に機械的に締結することもできる。剪断ピンは、外側の塑性変形性スリーブおよび内側の非変形性ピンを含むことができる。このピンは、後方ボディ/前方ボディ部材のラグおよびクレビス装置に接合することができる。具体的には、後方ボディ/前方ボディ部材のラグおよびクレビスを位置合わせし、外側の塑性変形性スリーブを位置合わせしたラグおよびクレビスの穴に挿入したのち、内側の非変形性ピンをスリーブに挿入することができる。内側ピンの挿入が外側スリーブを変形させて、それにより、滑りおよび振動のない接合を提供することができる。後方ボディ部材を前方ボディ部材から取り外すためには、内側ピンを穴から引き抜き(または押し出し)、それにより、変形した外側スリーブを穴から取り出すことができるようにする。本開示の恩典を与えられた当業者には明らかであるように、他の塑性変形性機械的ファスナを使用することもできる。
【0052】
さらには、本発明を逸脱することなく、後方または副ボディ部材を前方または主ボディ部材に取り外し可能に取り付けるための手段は、機械的要素および接着要素の両方を含むことができる。
【0053】
本発明を逸脱することなく、他のクラブヘッドコンポーネントがクラブヘッド構造中に提供されることもできる。たとえば、本発明の例の少なくともいくつかのゴルフクラブヘッドはウェイト部材を含むことができる。場合によっては、ウェイト部材は、取り外し可能であり、および/またはゴルフクラブヘッド上の多様な場所に配置し直すことができ、それにより、クラブヘッド構造に関して多数のウェイト付け配設を提供することができる。
【0054】
本発明を逸脱することなく、ゴルフクラブヘッドの様々なパーツは、任意の適当な材料または所望の材料、たとえば鋼(ステンレス鋼を含む)、チタン合金、マグネシウム合金、アルミニウム合金、炭素繊維複合材料、ガラス繊維複合材料、炭素プリプレグ材料、ポリマー材料などでできていてもよい。さらには、本発明を逸脱することなく、様々なパーツは、任意の適当なやり方または所望のやり方、たとえば鋳造、鍛造、成形(たとえば射出またはブロー成形)、プレス成形、スタンピングなどで製造することができる。クラブヘッド構造の様々なパーツに含めることができるポリマー材料の例は、熱可塑性樹脂(たとえば、射出またはブロー成形法における使用に適したもの、たとえば熱可塑性ポリウレタンなど)、ナイロン、ポリエステルなどを含む。望むならば、ポリマー材料はまた、たとえば強度に影響する、および/または重さもしくは密度を制御するために、金属または金属合金成分を含むこともできる。本開示の恩典を与えられた当業者には明らかであるように、本発明を逸脱することなく、非限定的な例として先に具体的に挙げたもの以外の材料をゴルフクラブヘッドの様々なパーツに使用することもできる。
【0055】
前方または主ボディ部材が一体構造として形成されないならば、任意の適当なやり方または所望のやり方で、たとえば非限定的な例として、機械的コネクタ、接着剤、セメント、溶接などを使用して、前方ボディ部材の様々なパーツを一体構造として合わせて保持してもよい。同様に、後方または副ボディ部材が一体構造として形成されないならば、任意の適当なやり方または所望のやり方で、たとえば非限定的な例として、機械的コネクタ、接着剤、セメント、溶接などを使用して、ボディ部材の様々なパーツを一体構造として合わせて保持することができる。さらには、本開示の恩典を与えられた当業者には明らかであるように、本発明を逸脱することなく、前方ボディ部材および/または後方ボディ部材の様々なパーツは、あるならば、場合によっては、異なる材料で構成されてもよい。
【0056】
本発明の局面はまた、上記ゴルフクラブヘッド構造を含むゴルフクラブに関する。そのようなクラブは、たとえば、上記タイプのクラブヘッドおよびヘッドから延びるシャフトを含むことができる。シャフトは、当技術分野で公知であり、使用されている従来のやり方を含む任意の適当なやり方または所望のやり方、たとえば、接着剤、セメント、溶接、はんだ付け、機械的コネクタ(たとえばねじ、保定要素など)、取り外し可能な接続などを介して、ヘッドに取り付けることができる。さらに、本開示の恩典を与えられた当業者には明らかであるように、シャフトは、液化性接着剤によってゴルフクラブヘッドに取り外し可能に取り付けることもできる。シャフトは、当技術分野で公知であり、使用されている従来の材料を含む任意の適当な材料または所望の材料、たとえばグラファイト系材料、他の複合材料、鋼材料(ステンレス鋼を含む)、アルミニウム材料、他の金属合金材料などでできていることができる。
【0057】
また、従来のように、グリップ要素または他のハンドル部材がシャフトに取り付けられる、および/またはシャフトから延びることができる。本発明を逸脱することなく、任意の所望のグリップ材料、たとえばゴム材料、皮革材料、中に埋め込まれたコードまたは他の布材料を含む材料、ポリマー材料などを使用することができる。グリップ要素は、当技術分野で公知であり、使用されている従来のやり方を含む任意の適当なやり方または所望のやり方で、たとえば、接着剤またはセメントを使用して、シャフトに取り付けることができる。シャフトから延びる別個のハンドル部材を含む構造の場合、ハンドル部材は、任意の適当なやり方または所望のやり方、たとえば溶接、はんだ付け、接着剤、機械的コネクタ(たとえばねじ、保定要素など)などを介して直接的または間接的にシャフトに接続することができる。
【0058】
特定の寸法、特性および/または寸法および特性の範囲(たとえば、Stitesらによって出願され、2005年10月27日に公開され、参照により全体として本明細書に組み入れられる「Golf Clubs and Golf Club Heads」と題する米国特許出願公開公報第2005/023957A1号に記載されている範囲)を所与のクラブヘッド構造に使用することができるが、当業者は、これらの寸法および範囲が、本発明の少なくともいくつかの例示的なクラブヘッド構造において使用することができる単なる例であることを理解するであろう。本発明を逸脱することなく、たとえばクラブのタイプ、ユーザの好み、ユーザスイング特性などに依存して、範囲ならびに具体的な寸法および特性における多くの変更を使用することができ、これらの特徴は、後方ボディ部材および/または前方ボディ部材の特性に依存して制御することができる。たとえば、たとえばゴルフクラブヘッドがドライバ、2番ウッド、3番ウッド、4番ウッド、5番ウッド、7番ウッド、9番ウッド、ウッドタイプハイブリッドクラブなどであるかに依存して、様々な寸法および/または特性(たとえば様々なロフト角、フェース角、ヘッド重量、ライ角、重心角、インセット距離、長さ、幅、高さ、フェース厚さ、クラウン厚さ、ソール厚さ、ボディ部材壁厚さ、ホーゼル直径、体積、バルジ半径、ロール半径、ボディ密度など)を達成することができる。また、様々な寸法および/または特性は、ユーザの好みおよび/またはスイング特性に合わせるため、所望の打ち出し角、キャリー距離および/またはクラブの他の特性を提供するため、などに提供されることもできる。さらには、様々な異なるシャフト特性(たとえば剛性、フレックスポイント、キックポイントなど)を使用して、クラブのおよびクラブヘッドの感触および特性の変更および制御をさらに可能にすることもできる。
【0059】
本発明の例のゴルフクラブヘッドは、他の所望のクラブヘッド特性を生じさせるためのクラブヘッド設計および/またはジオメトリを使用することができる。たとえば、本発明のいくつかのクラブヘッド構造において、クラブヘッドの前方ボディ部材は、クラブヘッドが、クラブヘッドの深さまたは幅(たとえば前後)に対して大きめのヘッドおよび/またはフェース長(たとえばヒール−トウ)ならびに「四角い」構造を有し、その結果、より引っ張り安定性(すなわち、より耐ねじれ性)であるクラブヘッドを生じさせ、それにより、より一貫した確実および/またはまっすぐなゴルフボールの飛びを生じさせるように設計される。本発明のこれら例示的な局面の少なくともいくつかのゴルフクラブヘッドおよびゴルフクラブは、少なくとも4.5インチ、少なくとも4.6インチ、少なくとも4.7インチ、少なくとも4.8インチまたはさらに少なくとも4.9インチのクラブヘッド全長寸法L、および0.9またはそれを超える、かつ1またはそれ未満の、クラブヘッド全長寸法に対するクラブヘッド全幅寸法の比を有するクラブヘッドボディを提供するためのサイズを有する前方もしくは主ボディ部材および/または後方もしくは副ボディ部材を含むことができる。本発明の少なくともいくつかの例のクラブヘッドは、少なくとも0.94、少なくとも0.95、少なくとも0.96、少なくとも0.97またはさらに少なくとも0.98の、クラブヘッド長に対するクラブヘッド幅の比を有する。
【0060】
本発明の少なくともいくつかの例のゴルフクラブヘッドにおいて、前方もしくは主ボディ部材および/または後方もしくは副ボディ部材は、クラブヘッド全幅B寸法が少なくとも4.2インチ、少なくとも4.3インチ、少なくとも4.4インチ、少なくとも4.5インチ、少なくとも4.6インチ、少なくとも4.7インチ、少なくとも4.8インチまたはさらに少なくとも4.9インチになるようなサイズを有することができる。上記の例と同じく、本発明のこの局面の少なくともいくつかの例のクラブヘッドボディは、クラブヘッド全長寸法Lが少なくとも4.7インチ、少なくとも4.8インチまたはさらに少なくとも4.9インチになる、および/またはクラブヘッドボディ全体サイズが500cm3またはそれ未満、470cm3またはそれ未満またはさらに460cm3またはそれ未満になるような寸法を有することができる。いくつかの例において、交換可能な後方または副ボディ部材は、クラブヘッドボディ全体サイズまたは体積が少なくとも350cc、少なくとも400cc、少なくとも420ccまたはさらに少なくとも450ccになるようなサイズおよび形状を有する。
【0061】
本発明の具体例を以下さらに詳細に説明する。読者は、これらの具体例が、本発明の例を示すために記載されるに過ぎず、本発明を限定するものと解釈されるべきではないということを理解すべきである。
【0062】
C. 発明の具体例
本出願の様々な図面が、本発明の例において有用なゴルフクラブヘッド、ゴルフクラブヘッドシステムおよびゴルフクラブヘッドコンポーネントの例を示す。一つを超える図面で同じ参照番号が見られる場合、その参照番号は、本明細書および図面を通して同じパーツを指すために一貫して使用される。
【0063】
本発明のゴルフクラブヘッドの少なくともいくつかの例示的態様は、たとえばドライバ、フェアウェイウッド、ユーティリティまたはハイブリッドタイプクラブなどに有用な「ウッドタイプ」ゴルフクラブヘッドに関する。そのようなクラブヘッド構造は一般的にマルチピース構成および構造を含む。
【0064】
本発明は、様々な形態で具現化されることができる。図1〜5は、ゴルフクラブヘッド100の態様の特定の特徴を示す図である。ヘッド100は、副ボディ部材30に接続された主ボディ部材20を含む。一般的に、ヘッド100は、ゴルフクラブシャフト10に接続され(図1を参照)、それにより、完全なゴルフクラブを形成する。
【0065】
ヘッド100は、前11、後12、上13、下14、ヒール側15およびトウ側16を含む。
【0066】
図1〜5の図示される態様において、主ボディ部材20(または前方ボディ部材)はほぼカップ形であり(すなわち、実質的に相対的に薄肉のシェルとして形成され、内部凹所を画定する)、そして打面22(フェースプレートとも呼ばれる)、打面フレーム24およびソール部分26を含む。この態様において、主ボディ部材20はさらに、ゴルフクラブシャフト10をヘッド100に取り付けるための外部ホーゼル28を備えた状態で示されている。
【0067】
打面22は、ゴルフボールと係合し、ゴルフボールを所期の方向に推進するための接触区域を提供する。打面22は平坦な打面を有する必要はない。たとえば、打面は、水平方向の溝(図示せず)を含むこともできる。打面22はまた、たとえば、一般にゴルフクラブヘッド構造に含まれるような「バルジ」および「ロール」特徴を含むためにカーブしていてもよい。
【0068】
打面フレーム24が打面22に接続されている。フレーム24は、打面22と一体に形成されているか、または後で打面22に接合される(たとえば溶接によって)。図示される態様において、フレーム24は、打面22の周囲に延び、さらに、ヘッド100の後方部分12に向かって奥行き方向に延びる。一つの例示的態様において、フレーム24は、チタン金属または合金で形成されることができ(当技術分野で公知であり、使用されているように)、約0.01インチ〜約0.25インチの範囲の厚さおよび約0.1インチ〜2インチの範囲の奥行きを有することができる(存在するかもしれない任意のクラウンまたはソール部分を除く)。フレーム24の厚さおよび奥行き輪郭は一定である必要はない。さらに、フレーム24は、打面22の周囲に部分的にしか延びなくてもよい。なおさらに、フレーム24は連続的でなくてもよい。
【0069】
ソール部分26はヘッド100の下部分14に位置している。ソール部分26は、フレーム24の下縁から突出して、それにより、ヘッド100の後方部分12に向かって延びている。ソール部分26は、フレーム24と一体に形成されてもよく、または後でフレーム24に接合されてもよい。一つの例示的態様において、ソール部分26は、チタン金属または合金、鋼または他の材料で形成されてもよく、約0.01インチ〜約0.25インチの範囲の厚さおよび約1インチ〜5インチの範囲の両側間の幅を有してもよい。ソールプレート26の厚さおよび幅輪郭は一定である必要はない。ソール部分26は、ヘッド100の後縁までずっと延びてもよい。一つの態様において、ソール部分26は、ヘッド100の前後長さの半分を超えるところまで延びる。
【0070】
主ボディ部材20はホーゼル28(図1に示す)を含むことができる。ホーゼル28は、ゴルフクラブシャフト10をゴルフクラブヘッド100に取り付けるための取り付け接合面を提供する。ホーゼル28は、ヘッド100のヒール側部分15と上部分13とが合流するところに位置している。さらには、ホーゼル28は一般的に、後方部分12よりも前方部分11に近いところに位置する。ホーゼル28は主ボディ部材20と一体に形成されてもよい。または、ホーゼル28(またはその少なくともいくつかの部分)は、主ボディ部材20の残り部分とは別に形成されたのち、それに接合されることもできる。図1において、ホーゼル28は、フレーム24から突出する状態で示されている。別の可能な構成において、ホーゼルは、主ボディ部材20内に位置する穴として形成されることもできる(たとえば、「首なし」または内部ホーゼル構成)。
【0071】
副ボディ部材30(または後方ボディ部材)が主ボディ部材20に取り外し可能に取り付けられる。一つの局面においては、図1〜5に具現化されているように、副ボディ部材30は中空のボディとして形成されている。図5でよく見てとれるように、副ボディ部材30は、少なくとも部分的に壁34によって包囲された内部凹所32を含む。副ボディ部材30はさらに、主ボディ部材20に対面し、かつ副ボディ部材30の後方部分12とは反対側にある開口を含む。図示される態様において、副ボディ部材30は、主ボディ部材20の周フランジ45に相補的に挿入されるための周フランジ36を含む。副ボディ部材30が主ボディ部材20に取り付けられると、閉鎖された、または実質的に閉鎖された内部キャビティ33がクラブヘッド100内に形成される。または、望むならば、副ボディ部材30の周フランジ36が主ボディ部材20の周部材45の上に被さってもよい。場合によっては、望むならば、ノイズまたは振動を減衰する、またはがたつきを減らすために、ポリマー材料(たとえばゴム、ポリテトラフルオロエチレンまたは他の材料)、たとえばガスケットが副ボディ部材30と主ボディ部材20との間の接合部に提供されてもよい(たとえば、接合部の周囲の全部または一部に)。
【0072】
図1〜5の態様において、副ボディ部材30は、ねじファスナ40によって主ボディ部材20に取り外し可能かつ交換可能に結合されている。図1および2に示すように、一つのねじファスナ40aがヘッド100のトウ側に位置し、他方のねじファスナ40bがヒール側に位置している。これらのねじファスナそれぞれは、打面22の面に対して概ね垂直に向く縦軸を有する。副ボディ部材30は、正しい角度でのねじファスナ40の挿入および取り外しを可能にするための皿座ぐり部分31を含む。図5でよく見てとれるように、この特定の態様において、ファスナごとに、主ボディ部材20は、内側壁に取り付けられた、または形成されたボス27を含む。ファスナ40aのねじ部分の端部がボス27の中に、および/またはボス27を通過して延びる。
【0073】
先に提示したように、図1〜5の態様の主ボディ部材20はソール部分26を含む。この例示的構造においては、弾性変形性要素が副ボディ部材30をソール部分26に結合する。具体的には、ソール部分26の最後方端がタブ49を含む。タブ49は、副ボディ部材30中に画定されたスロット46に滑り込み、それにより、ソール部分26を副ボディ部材30の下部に結合するように設計されている。タブ49は弾性変形性であり、それにより、スロット46へのタブ49の挿入を容易にし、さらに、主ボディ部材20に対する副ボディ部材30の偏りを提供する。偏りを使用して、二つの取り外し可能に取り付けられた部材の間の望まれないあそびを除くことができる。当業者は、本開示の恩典を与えられると、ソール部分26を副ボディ部材30に取り外し可能に取り付けるために他の締結機構を使用することもできることを理解するであろう。
【0074】
図6および7の態様において、ソールプレート26は、ソール部分26をねじファスナによって副ボディ部材30に締結することができるよう(たとえば、ボディ部材構造とともに含まれるボスまたは取り付けられたナット部材にねじ込まれる)、その最後方端に貫通孔を含む。
【0075】
図8および9の態様において、主ボディ部材20はクラウン部分21を含む。クラウン部分21は打面フレーム24の上部分から後方に突出する。この特定の態様において、クラウン部分21はフレーム24と一体に形成されている。クラウン部分21の最後方端には、副ボディ部材30を主ボディ部材20に取り外し可能に取り付けるために、ねじファスナ40cが提供されている。望むならば、さらなるファスナが他の場所に提供されてもよい。
【0076】
副ボディ部材30は、壁34によって部分的に包囲された凹所32を含むことができる。副ボディ部材30の後壁の上寄り部分は、打面22に向かって延び、ファスナ40cのねじ部分を受けるためのプラットフォームを提供する。副ボディ部材30の下部分では、フランジ36が、フレーム24の下部分に形成された相補的なフランジ45に重なっている。この態様において、剥離可能な液化性接着剤50の層が二つのフランジ45と30との間に位置している。さらに、剥離可能な液化性接着剤50の層は、主ボディ部材20の、それが副ボディ部材30と対面する側壁およびクラウン部分に沿って延びている。副ボディ部材30を主ボディ部材20から取り外すためには、ファスナ40cを取り外したのち、剥離可能な接着剤を融解するまで加熱する。接着剤が液化すると、副ボディ部材30が簡単に主ボディ部材20から滑り、分離するよう、副ボディ部材30を主ボディ部材20から剥離させる。
【0077】
図10および11の態様において、主ボディ部材20はクラウン部分21およびソール部分26を含む。副ボディ部材は、壁34によって部分的に包囲された凹所32を含む。この態様において、壁34は、凹所32の略U字形の囲いを形成し、二つの側壁が後壁部分から前に延びている。クラウン部分21は打面フレーム24の上部分から後方に突出している。ソール部分26は打面フレーム24の下部分から後方に突出している。この特定の態様において、クラウン部分21およびソール部分26の両方はフレーム24と一体に形成されている。
【0078】
図11でよく見てとれるように、クラウン部分21の最後方端には、ピン42aの一部を受けるための貫通孔が設けられている。ピン42aの異なる部分を受けるための対応する貫通孔が副ボディ部材30の上後方部分に設けられている。ソール部分26の最後方端には、ピン42bの一部を受けるための貫通孔が設けられている。ピン42bの異なる部分を受けるための対応する貫通孔が副ボディ部材30の下後方部分に設けられている。ピン42a、42bは、副ボディ部材30の後方部分を主ボディ部材20の後方部分(すなわち、クラウン部分21の後方部分およびソール部分26の後方部分)に取り外し可能に取り付ける。この特定の態様において、ピン42aおよび42bは弾性変形性ロールまたはスプリングピンである。場合によっては、別の態様において、ピン42aおよび42bは、弾性変形性スリーブおよび中心の(本質的に)非変形性のピンを含むことができる。
【0079】
この特定の態様において、副ボディ部材30の最前方端には、一対のタブ46が提供されている。タブ46は、副ボディ部材30の残り部分と同じ材料で形成されることができ、さらに、副ボディ部材30と一体に形成されることもできる。取り付け構成において、タブ46は、主ボディ部材20の側壁の内面に沿って位置する。各タブ46は、主ボディ部材20の側壁に向かって外方に延び、かつ主ボディ部材20の開口23と係合する突起47を含む。図11では突起47はタブ46の反対側に位置するため、この図は突起47の輪郭を破線で示す。
【0080】
副ボディ部材30を主ボディ部材20から取り外すためには、ピンドライバによってピン42a、42bをキャビティ31の中に打ち込む。そして、工具を使用して突起47を内方に押すことにより、または副ボディ部材30の側壁を互いに向けて絞ることにより、突起47を開口23から係合解除する。当然、望むならば、図10および11に示す様々なクラブヘッドコンポーネントは、他のタイプのコネクタ、たとえば上記ねじ機械的コネクタを使用して接続することができる。
【0081】
任意の数の締結要素をゴルフクラブヘッド上に提供することができること、および本明細書に記載される締結要素の場所および向きが単に例示的であるということが理解されよう。本開示の恩典を与えられると、副ボディ部材30を主ボディ部材20に取り外し可能に取り付けるための他の適当な方法が当業者には明らかであろう。
【0082】
図12〜16に示す態様において、主ボディ部材20は、打面22、ソール部分26、クラウン部分21、および打面22とは実質的に反対側にある後面25を含む。この態様において、主ボディ部材は、少なくとも実質的に包囲された主ボディキャビティ29を画定する。
【0083】
副ボディ部材30は主ボディ部材20の後面25に取り外し可能に取り付けられる。図12〜16に示す態様において、副ボディ部材30は主ボディ部材20の後面25全体に延びている。したがって、この態様において、副ボディ部材30は、クラブヘッド100のヒール側15からクラブヘッドのトウ側16まで延び、さらに、主ボディ部材20のクラウン部分21から主ボディ部材のソール部分26まで延びる。または、副ボディ部材30は後面25の一部分だけに延びることもできる。
【0084】
三つのファスナ43a、43bおよび43cが、副ボディ部材30を主ボディ部材20に機械的に締結する。ファスナ43aは一般に、クラブヘッド100のトウ側16に隣接して位置し(図15を参照)、ファスナ43bは一般に、クラブヘッド100の後側12の中央領域に位置し(図13および14を参照)、ファスナ43cは一般に、クラブヘッド100のヒール側15に隣接して位置する(図16を参照)。副ボディ部材30は、ファスナ43a〜43cを受け入れるための貫通孔を含むことができる(図12(b)を参照)。
【0085】
図12(a)でよく見てとれるように、主ボディ部材20の後面25は、平坦である必要はなく、また打面22の輪郭に平行である必要もない。それどころか、後面25は、副ボディ部材30の取り付けを受け入れるための形状または輪郭を有することができる。さらに、図13〜16でよく見てとれるように、主ボディ部材20は、ファスナ43a〜43cのねじ部分を受けるための対応するボスを含むことができる。
【0086】
この態様において、副ボディ部材30は、内部凹所32がその中に画定されるよう、実質的にシェル様の構造として形成されている。したがって、副ボディ部材30が主ボディ部材20に取り付けられると、包囲された、または実質的に包囲された副ボディキャビティ38がそれらの間に形成される。
【0087】
場合によっては、後面25は、副ボディ部材30の適合面と相補的である輪郭を有することができる。後面25が副ボディ部材30の適合面と相補的である輪郭を有するならば、副ボディキャビティはそれらの間に形成されない。
【0088】
図13および14でよく見てとれるように、副ボディ部材30はクラウン部分37およびソール部分39を含むことができる。副ボディ部材のクラウン部分37の外面は、主ボディ部材のクラウン部分21の外面と実質的に同一平面に位置する。同様に、副ボディ部材のソール部分39の外面は、主ボディ部材のソール部分26の外面と実質的に同一平面に位置する。
【0089】
場合によっては、接着剤、たとえば液化性エポキシが副ボディ部材30および主ボディ部材20の相補面のいくつかまたはすべてに適用されてもよい。この接着剤は、機械的締結要素の代わりに、または機械的締結要素に加えて、適用されることができる。
【0090】
図17に示すように、本発明の態様のゴルフクラブヘッドシステムにおいて、一つまたは複数の後方または副ボディ部材30は、前方または主ボディ部材20への交換可能な取り付けのために構成されることができる。第一の後方ボディ部材30aが前方ボディ部材20に取り外し可能に取り付けられることができる(図17(a)を参照)。第一の後方ボディ部材30aと、取り付け可能に交換可能である少なくとも一つの他の後方ボディ部材30bが提供されることができる。第一の後方ボディ部材30aを前方ボディ部材20から取り外すと、その代わりに他の後方ボディ部材30bを前方ボディ部材20に取り付けることができる(図17(b)を参照)。したがって、後方ボディ部材30aまたは後方ボディ部材30bを前方ボディ部材20に交換可能に取り付けることができる。
【0091】
後方ボディ部材30aは後方ボディ部材30bとは異なる特徴を有する。たとえば、後方ボディ部材30aは、後方ボディ部材30bと比べた場合、異なる外形、異なる重心および異なる慣性モーメント特性を有する。図17(a)に示すように、後方ボディ部材30aは丸みのある後面を有するが、図17(b)に示すように、後方ボディ部材30bはより四角い後面を有する。他の例として、後方ボディ部材30aおよび30bは、異なる材料で形成されることもできるし、異なる仕上げまたは外観を有することもできる。異なる特性を有する他の後方ボディ部材(図示せず)が、前方ボディ部材20との交換可能な取り付けのために提供されることができる。
【0092】
システムはさらに、後方ボディ部材30a、30bを前方ボディ部材20に取り外し可能に取り付けるための手段を含むことができる。上記に提示したように、そのような手段は、機械的締結要素(たとえば、非限定的な例として、ねじファスナ、弾性変形性要素、塑性変形性要素、タブ、ピンなど)および/または接着剤(たとえば、非限定的な例として、液化性エポキシ)を含むことができる。
【0093】
図18〜22に示す態様において、主ボディ部材20は、打面22、ソール部分26、クラウン部分21、および打面22とは実質的に反対側にある後面25を含む(図20および21を参照)。副ボディ部材30が主ボディ部材20の後面25に取り外し可能に取り付けられる。図18〜22に示す態様において、副ボディ部材30は、主ボディ部材20の後面25全体およびゴルフクラブヘッド100のソールの一部に延びている。図19でよく見てとれるように、副ボディ部材30の外部ソール部分39の一部が主ボディ部材20のソール部分26の両側に延びている。
【0094】
三つのファスナ43d、43eおよび43fが副ボディ部材30を主ボディ部材20に機械的に締結する。ファスナ43d〜43fは一般に、ソール部分26に対して直角に延びる、すなわち、クラブが打球位置にあるときには垂直に延びる。三つのファスナが示されているが、副ボディ部材30を主ボディ部材20に取り付けるために、より少数またはより多数のファスナが使用されてもよい。
【0095】
図20に示すように、後面25は副ボディ部材30の取り付けを受け入れるための形状または輪郭を有することができ、たとえば、後面25はファスナ43d〜43fを受け入れるためのボスを含むことができる。この態様において、副ボディ部材30はまた、内部凹所32がその中に画定されるような、実質的にシェル様の構造として形成されている。したがって、副ボディ部材30が主ボディ部材20に取り付けられると、包囲された、または実質的に包囲された副ボディキャビティ38がそれらの間に形成される。
【0096】
本明細書に記載されるタイプの変換可能または転換可能なクラブヘッドは、ゴルフクラブシャフトへの取り外し可能な接続を有するホーゼル部材とともに、および/または様々なクラブヘッド特性の調節(たとえばホーゼルに対するシャフトの相対的配置を調節することにより、たとえば、ライ角、ロフト角またはフェース角の調節)を可能にするホーゼル部材とともに使用することができる。本発明を逸脱することなく、任意の所望の取り外し可能および/または調節可能なクラブヘッド/シャフト接続構造、たとえば当技術分野で公知である、市販されている、および/または使用されているような接続構造を使用することができる。いくつかのより具体的な例として、本明細書に記載されるタイプのクラブヘッドは、2005年5月10日にBurrowsに発行された「Temporary Golf Club Shaft-component Connection」と題する米国特許第6,890,269号、2004年9月30日にBurrowsによって出願された「Temporary Golf Club Shaft-component Connection」と題する米国特許出願公開公報第2005/0049072号、2007年7月6日にTavaresらの名義で出願された「Releasable and Interchangeable Connections for Golf Club Heads and Shafts」と題する米国特許出願第11/774,513号、2007年7月6日にThomasらの名義で出願された「Releasable and Interchangeable Connections for Golf Club Heads and Shafts」と題する米国特許出願第11/774,519号、2007年7月6日にStitesらの名義で出願された「Releasable and Interchangeable Connections for Golf Club Heads and Shafts」と題する米国特許出願第11/774,522号、2007年8月28日にStitesらの名義で出願された「Releasable and Interchangeable Connections for Golf Club Heads and Shafts」と題する米国特許出願第11/846,370号および2008年7月22日にThomasらの名義で出願された「Releasable and Interchangeable Connections for Golf Club Heads and Shafts」と題する米国特許出願第12/177,778号に記載されている取り外し可能および/または調節可能なクラブヘッド/シャフト接続機構とともに使用することができる。これらの特許、公開公報および係属出願それぞれが参照により全体として本明細書に組み入れられる。
【0097】
システムは、公知のシステムによって他のやり方で得られるであろうものを超越するさらなる程度の個人ゴルフクラブテーラーメイド化を提供するために使用することができる。たとえば、ゴルファーは、カスタマイズされたクラブを購入する前に、店舗で多数のゴルフクラブヘッド構成を容易に試すことができる。さらに、ゴルファーはまた、一つを超える取り外し可能に交換可能な後方または副ボディ部材を購入する、または家に持ち帰ることを選択し、それにより、様々なプレーヤのため、様々なコースのため、様々な天候条件のため、様々なスイングスタイルを実践するためなどに自らのゴルフクラブを変換またはテーラーメイド化する利用し易いオプションを有することもできる。小売業者は、これらの変換しやすいゴルフクラブヘッドを、一つを超える取り外し可能に交換可能なボディ部材とともに販売される場合、二つで一つの価格の特売品として、多数のカスタマイズされたクラブ構成を所有する費用効果的な方法として、交換可能な部材を更新するだけで最新のゴルフ技術について行くための費用効果が高い方法としてなど、市販することもできる。
【0098】
さらなるカスタマイズオプションとして、プロゴルファーまたは他の著名人が使用するクラブの特性または仕様に適合する(または関連する)特定のボディ部材を製造することもできる。したがって、小売業者は、消費者お気に入りの著名なゴルファーが使用するクラブと類似した特性を有するクラブを試す機会を消費者に提供することができる。さらに、小売業者は、一つまたは複数の他の交換可能なボディ部材が消費者によって購入される場合、著名なゴルファーに関連する交換可能なボディ部材を無料で(または割引価格で)含めることにより、カスタマイズ可能なクラブヘッドの販売を促進することができる。
【0099】
操作中、前記特徴が、個々に、および/または任意の組み合わせで、ゴルフクラブの質量特性を任意の個々のゴルファーのためにカスタマイズし、後に修正する能力を改善する。カスタマイズされた質量特性を有するゴルフクラブは、ゴルファーのスイング制御およびスイング補正を改善することを意図したものである。ゴルフクラブヘッド100の様々な特徴がともに作用して前記利点を達成するが、これらの特徴すべてを採用する必要なく、個々の特徴およびこれらの特徴の組み合わせを使用して前述の利点のいくつかを得ることもできることが理解されよう。
【0100】
D. 結び
上記および添付図面において、多様な態様を参照しながら本発明を開示した。しかし、本開示によって果たされる目的は、本発明の範囲を限定することではなく、本発明に関連する様々な特徴および概念の例を提供することである。当業者は、添付の請求の範囲によって画定される本発明の範囲を逸脱することなく、上記態様に対して数多くの変形および改変を加えることができることを理解するであろう。そのような改変および適合はすべて請求の範囲によって包含されるものと解釈される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
打面、ソール部分、クラウン部分、および該打面とは実質的に反対側にある後面を有し、少なくとも実質的に包囲された主ボディキャビティを画定する主ボディ部材、ならびに
該主ボディ部材に取り付けられ、かつ少なくとも実質的に該主ボディ部材の該後面全体に延びる副ボディ部材
を含む、ゴルフクラブヘッド。
【請求項2】
副ボディ部材が複数の機械的要素によって主ボディ部材に取り外し可能に取り付けられている、請求項1記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項3】
副ボディ部材が接着剤によって主ボディ部材に取り外し可能に取り付けられている、請求項1記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項4】
接着剤が、200℃未満の剥離温度を有するエポキシ接着剤である、請求項3記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項5】
副ボディ部材が機械的に、かつ接着して主ボディ部材に取り外し可能に取り付けられている、請求項1記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項6】
副ボディ部材がソール部分を含む、請求項1記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項7】
副ボディ部材がクラウン部分を含む、請求項1記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項8】
主ボディ部材と副ボディ部材との間に副ボディ部材キャビティが画定されている、請求項1記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項9】
打面を有し、かつ少なくとも実質的に包囲された第一のキャビティを画定する主ボディ部材、ならびに
該主ボディ部材に取り付けられた副ボディ部材
を含むゴルフクラブヘッドであって、
該副ボディ部材および該主ボディ部材が、少なくとも実質的に包囲された第二のキャビティをそれらの間に画定する、ゴルフクラブヘッド。
【請求項10】
副ボディ部材が複数の機械的締結要素によって主ボディ部材に取り外し可能に取り付けられている、請求項9記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項11】
副ボディ部材が接着剤によって主ボディ部材に取り外し可能に取り付けられている、請求項9記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項12】
接着剤が、200℃未満の剥離温度を有するエポキシ接着剤である、請求項11記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項13】
副ボディ部材が機械的に、かつ接着して主ボディ部材に取り外し可能に取り付けられている、請求項9記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項14】
副ボディ部材がソール部分を含む、請求項9記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項15】
主ボディ部材がヒール側およびトウ側を含み、かつ
副ボディ部材が少なくとも実質的に該ヒール側から該トウ側まで延びる、請求項9記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項16】
主ボディ部材がクラウン部分およびソール部分を含み、かつ
副ボディ部材が少なくとも実質的に該主ボディ部材の該クラウン部分から該ソール部分まで延びる、請求項9記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項17】
ゴルフクラブシャフト、および
請求項1記載のゴルフクラブヘッド
を含む、ゴルフクラブ。
【請求項18】
打面を有し、かつ少なくとも実質的に包囲された第一のキャビティを画定する主ボディ部材、
該主ボディ部材に取り外し可能に取り付けられた第一の副ボディ部材であって、該第一の副ボディ部材および該主ボディ部材が、少なくとも実質的に包囲された第二のキャビティをそれらの間に画定する第一の副ボディ部材、および
該第一の副ボディ部材と、取り付け可能に交換可能な少なくとも一つの他の副ボディ部材
を含む、ゴルフクラブヘッドシステム。
【請求項19】
各副ボディ部材が重心および慣性モーメント特性の異なる組み合わせを有する、請求項18記載のゴルフクラブヘッドシステム。
【請求項20】
各副ボディ部材が異なる外形を有する、請求項18記載のゴルフクラブヘッドシステム。
【請求項21】
主ボディ部材がクラウン部分およびソール部分をさらに含む、請求項18記載のゴルフクラブヘッドシステム。
【請求項22】
副ボディ部材の少なくとも一つがクラウン部分およびソール部分の少なくとも一つをさらに含む、請求項18記載のゴルフクラブヘッドシステム。
【請求項23】
第一の副ボディ部材が複数の機械的要素によって主ボディ部材に機械的に締結されている、請求項18記載のゴルフクラブヘッドシステム。
【請求項24】
第一の副ボディ部材が主ボディ部材に接着して締結されており、かつ接着剤が液化性エポキシである、請求項18記載のゴルフクラブヘッドシステム。
【請求項25】
それぞれが主ボディ部材への交換可能な取り付けのために構成された、二つまたはそれ以上の副ボディ部材を含み、
各副ボディ部材が内部凹所を画定し、
各副ボディ部材が異なる外形を有し、かつ
各副ボディ部材が重心および慣性モーメント特性の異なる組み合わせを有する、
ゴルフクラブヘッドをカスタマイズするためのシステム。
【請求項26】
各副ボディ部材を主ボディ部材に取り外し可能に取り付けるための手段をさらに含む、請求項25記載のゴルフクラブヘッドシステム。
【請求項27】
取り外し可能に取り付けるための手段が、200℃未満の剥離温度を有するエポキシ接着剤を含む、請求項26記載のゴルフクラブヘッドシステム。
【請求項28】
取り外し可能に取り付けるための手段が複数の機械的要素を含む、請求項26記載のゴルフクラブヘッドシステム。
【請求項29】
主ボディ部材をさらに含み、該主ボディ部材が、打面を有し、かつ少なくとも実質的に包囲されたキャビティを画定する、請求項25記載のゴルフクラブヘッドシステム。
【請求項30】
各副ボディ部材がソール部分を含む、請求項25記載のゴルフクラブヘッドシステム。
【請求項31】
各副ボディ部材がソール部分およびクラウン部分を含む、請求項25記載のゴルフクラブヘッドシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公表番号】特表2012−500044(P2012−500044A)
【公表日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−523128(P2011−523128)
【出願日】平成21年8月12日(2009.8.12)
【国際出願番号】PCT/US2009/053502
【国際公開番号】WO2010/019635
【国際公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【出願人】(505087849)ナイキ インコーポレーティッド (123)
【Fターム(参考)】