説明

ゴルフクラブ

【課題】グリップの使用感が良好であり、グリップ装着の作業性が高いゴルフクラブの提供。
【解決手段】ゴルフクラブ2は、シャフト6と、上記シャフト6の先端部に設けられたヘッド4と、上記シャフト6の後端部に設けられたグリップ8とを備えている。更にゴルフクラブ2は、上記グリップ8と上記シャフト6との間に設けられた両面粘着テープ10を備えている。両面粘着テープ10は、上記シャフト6に接する第一粘着層12と、上記グリップ8に接する第二粘着層14と、上記第一粘着層12と上記第二粘着層14との間に設けられている繊維層16とを有している。好ましくは、上記繊維層16は、和紙である。また、好ましくは、繊維層16は、不織布である。繊維層16とともに、樹脂フィルム層が用いられてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴルフクラブに関する。
【背景技術】
【0002】
ゴルフクラブには、グリップが装着されている。グリップは、握りやすさや滑りにくさに寄与する。
【0003】
グリップは、シャフトの後端部に接着される。特許第4028736号は、グリップとシャフトとを接着する両面粘着テープを開示する。
【0004】
【特許文献1】特許第4028736号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
両面粘着テープを用いてグリップをシャフトに接着する工程は、グリップ装着工程とも称される。このグリップ装着工程では、両面粘着テープが貼り付けられたシャフトが、グリップの内部に挿入される。この挿入の際には、溶剤が用いられる。両面粘着テープの表面に溶剤を付着させた状態で、シャフトがグリップの内部に挿入される。グリップは、ゴム等の弾性材料からなる。この挿入では、グリップが半径方向外側に拡張されつつ、シャフトが挿入(圧入)される。即ち、この挿入は、グリップの内径を拡張しつつなされる。この挿入中において、シャフト及び両面粘着テープには、グリップが半径方向内側に収縮しようとする力(収縮力)が作用する。
【0006】
グリップ装着工程では、両面粘着テープとグリップとが擦れ合う。上記収縮力に起因して、この擦れ合いにおいて、グリップはテープを押圧している。この擦れ合いにより、両面粘着テープは引っ張られる。この擦れ合いにより、両面粘着テープが引き裂かれうる。通常の用途と比較して、グリップ接着用の両面粘着テープには、強度が要求される。
【0007】
グリップが交換される場合がある。例えば、使用によりグリップが摩滅した場合、グリップが交換される。このグリップ交換工程では、先ず、使用済みのグリップG1が引き抜かれ、次に、新しいグリップG2が接着される。使用済みグリップG1の引き抜きが、グリップ引き抜き工程とも称される。グリップ引き抜き工程の際に、グリップG1とシャフトとを接着していた両面粘着テープR1は、引っ張られる。両面粘着テープが引き裂かれた場合、このテープR1は、グリップ内面又はシャフト外面に残存しうる。特にグリップ内面に残存する両面粘着テープR1は、除去しにくい。両面粘着テープR1が引き裂かれる場合、グリップ交換の作業性が低下しうる。
【0008】
グリップ装着工程はグリップ交換工程において、両面粘着テープに、破れ、皺及びテープ剥離が生じうる。破れ、皺及びテープ剥離により、テープが存在しない部分とテープ同士が重なった部分とが混在しうる。この混在が顕著である場合、グリップ外面の凹凸が増加する。この凹凸は、ゴルファーにとって不快である。この凹凸は、グリップの使用感(握り心地)を低下させうる。
【0009】
本発明の目的は、グリップの使用感が良好であり、グリップ装着の作業性が高いゴルフクラブの提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るゴルフクラブは、シャフトと、上記シャフトの先端部に設けられたヘッドと、上記シャフトの後端部に設けられたグリップと、上記グリップと上記シャフトとの間に設けられた両面粘着テープとを備えている。上記両面粘着テープは、上記シャフトに接する第一粘着層と、上記グリップに接する第二粘着層と、上記第一粘着層と上記第二粘着層との間に設けられている繊維層とを有している。
【0011】
好ましくは、上記繊維層は和紙又は不織布である。好ましくは、上記繊維層が和紙である。
【発明の効果】
【0012】
繊維層により、グリップ装着工程等において破れ、皺及びテープ剥離が生じにくい。よって、グリップ装着の生産性及びグリップの使用感が向上しうる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
【0014】
図1は、本発明の一実施形態に係るゴルフクラブ2の全体図である。ゴルフクラブ2は、ゴルフクラブヘッド4、ゴルフクラブシャフト6及びゴルフクラブ用グリップ8を有する。ヘッド4は、シャフト6の先端部に取り付けられている。グリップ8は、シャフト6の後端部に取り付けられている。
【0015】
ヘッド4は、限定されない。ヘッド4として、ウッド型ヘッド、アイアン型ヘッド及びパターヘッドが例示される。シャフト6は、限定されない。シャフト6として、いわゆるスチールシャフト及びいわゆるカーボンシャフトが例示される。
【0016】
図2は、図1におけるグリップ8部分の拡大図である。図3は、図2の断面図である。なお、グリップ8の外面には、溝が形成されているが、本願の図面では、この溝の記載が省略されている。
【0017】
図3が示すように、シャフト6は円筒状である。シャフト6の内部は空洞である。グリップ8は、略円筒状である。グリップ8の外面8aは、略円周面状の曲面である。グリップ8の内面8bは、略円周面状の曲面である。グリップ8は、いわゆるバックラインを有していてもよい。
【0018】
図2が示すように、グリップ8のグリップエンドは、凸曲面とされている。この凸曲面の頂点付近が、グリップ8の後端Btである。
【0019】
図3が示すように、グリップ8のグリップエンドに、貫通孔h1が設けられている。貫通孔h1は、グリップ8を貫通している。貫通孔h1は、グリップ8の外面8aから内面8bにまで延在している。貫通孔h1は、グリップ装着工程において、空気の向け穴として機能しうる。
【0020】
図3が示すように、グリップ8とシャフト6との間に、両面粘着テープ10が設けられている。
【0021】
図4は、図3において符号F4で示された円内の拡大図である。図3において両面粘着テープ10は1つの層として描かれているが、実際には、図4が示すように、3つの層よりなる。両面粘着テープ10は、シャフト6に接する第一粘着層12と、グリップ8に接する第二粘着層14と、上記第一粘着層12と上記第二粘着層14との間に設けられている繊維層16とを有している。両面粘着テープ10は、3層構造である。両面粘着テープ10は、第一粘着層12、第二粘着層14及び繊維層16のみから構成されている。両面粘着テープ10により、グリップ8がシャフト6に接着している。両面粘着テープ10は、本願において、単にテープとも称される。
【0022】
第一粘着層12は、粘着剤を含む層である。この粘着剤は限定されない。この粘着剤として、アクリル系粘着剤、エポキシ系粘着剤、ウレタン系粘着剤等が例示される。より詳細には、この粘着剤の基材ポリマーとして、アクリル系樹脂、アクリル系ゴム、エポキシ系樹脂、エポキシ系ゴム、ウレタン系樹脂、ウレタン系ゴム等が例示される。耐溶剤性の観点から、ゴム系の粘着剤が好ましい。ゴム系の粘着剤の基材ポリマーとして、前述のアクリル系ゴム、エポキシ系ゴム及びウレタン系ゴムが例示される。
【0023】
第二粘着層14は、粘着剤を含む層である。この粘着剤は限定されない。この粘着剤として、アクリル系粘着剤、エポキシ系粘着剤、ウレタン系粘着剤等が例示される。より詳細には、この粘着剤の基材ポリマーとして、アクリル系樹脂、アクリル系ゴム、エポキシ系樹脂、エポキシ系ゴム、ウレタン系樹脂、ウレタン系ゴム等が例示される。耐溶剤性の観点から、ゴム系の粘着剤が好ましい。ゴム系の粘着剤の基材ポリマーとして、前述のアクリル系ゴム、エポキシ系ゴム及びウレタン系ゴムが例示される。
【0024】
繊維層16は、繊維を含む。繊維層16では、繊維が引っ張り強度の向上に寄与している。
【0025】
好ましい繊維層16として、次の(a)、(b)、(c)及び(d)が例示される。
(a)繊維が織られている層
(b)織られていない繊維同士か絡み合っている層
(c)織られていない繊維同士が融着している層
(d)織られていない繊維同士が、接着剤により接着されている層
【0026】
繊維層16に含まれる繊維は限定されない。この繊維として、合成繊維、天然繊維及び再生繊維が例示される。合成繊維として、ビニロン繊維、ポリエステル繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維、ナイロン繊維等が挙げられる。天然繊維として、パルプの繊維、麻の繊維等が例示される。再生繊維として、レーヨンが例示される。耐引き裂き性の観点からは、合成繊維が好ましい。また、前述の通り、グリップ装着工程において、溶剤が用いられる場合がある。耐溶剤性の観点からは、天然繊維が好ましい。
【0027】
この繊維層16として、織布、不織布及び紙が例示される。なお本願において、「紙」とは、和紙又は洋紙を意味する。本願において「不織布」は、上記紙を含まない概念と定義される。
【0028】
上記和紙の原料として、楮(コウゾ)、雁皮(ガンピ)及び三椏(ミツマタ)が例示される。強度の観点から、この和紙における繊維長は、3mm以上が好ましく、5mm以上がより好ましく、10mm以上がより好ましく、15mm以上がより好ましい。和紙における繊維長は、通常、25mm以下である。和紙は、手漉きであってもよいし、機械漉きであってもよい。
【0029】
上記洋紙の原料は、広葉樹又は針葉樹である。洋紙における繊維長は、通常、0.8mm以上であり、5mm未満である。洋紙は、機械漉きにより得られる。
【0030】
不織布は限定されない。不織布として、湿式不織布及び乾式不織布が例示される。
【0031】
不織布の製造方法は限定されない。この不織布の製造方法として、サーマルボンド法、ケミカルボンド法、ニードルパンチ法、スパンレース法(水流絡合法)、ステッチボンド法及びスチームジェット法が例示される。繊維としてポリエステル繊維又はナイロン繊維が用いられる場合、生産性及び強度の観点から、サーマルボンド法により製造された不織布が好ましい。
【0032】
強度、柔軟性及びカット容易性を考慮した総合性能の観点から、繊維層16は、不織布又は和紙が好ましい。強度をより一層高くする観点からは不織布が好ましく、カット容易性の観点からは和紙が好ましい。カット容易性とは、両面粘着テープ10を必要な長さに切断するときの容易性である。
【0033】
両面粘着テープ10は、シャフト6とグリップ8との間の少なくとも一部に設けられる。両面粘着テープ10が存在している部分と、両面粘着テープ10が存在していない部分とで、グリップ表面に凹凸が生じうる。この凹凸の高さの差が大きい場合、グリップを握ったゴルファーが、違和感を覚える。この凹凸を抑制する観点から、両面粘着テープ10の厚みA1は小さいのが好ましい。厚みA1を小さくする観点からは、繊維層16は、不織布よりも和紙が好ましい。
【0034】
三層構造である両面粘着テープ10の具体例として、日東電工社製の商品名「No.513」が挙げられる。この「No.513」の繊維層16は、和紙である。この「No.513」の厚みA1は、0.13mmである。この「No.513」の粘着層は、ゴム系の粘着剤よりなる。具体的には、この「No.513」の粘着層の基材は、アクリル系ゴムである。
【0035】
他に、三層構造である両面粘着テープ10の具体例として、住友スリーエム社製の商品名「Y−9448」が挙げられる。この「Y−9448」の繊維層16は、不織布である。この「Y−9448」の厚みA1は、0.15mmである。
【0036】
繊維層16は、4層以上であってもよい。繊維層16の層数の上限は限定されない。
【0037】
図5は、他の実施形態に係る両面粘着テープ20が用いられたゴルフクラブの断面図である。図5は、両面粘着テープ20近傍を拡大した断面図である。両面粘着テープ20は、4つの層よりなる。両面粘着テープ20は、シャフト6に接する第一粘着層22と、グリップ8に接する第二粘着層24と、上記第一粘着層22と上記第二粘着層24との間に設けられている繊維層26と、上記第一粘着層22と上記第二粘着層24との間に設けられている樹脂フィルム層28とを有している。図5の実施形態では、繊維層26は、第一粘着層22と樹脂フィルム層28との間に設けられている。繊維層26と樹脂フィルム層28とが入れ替わってもよい。
【0038】
樹脂フィルム層28は、気泡を有さない樹脂層である。樹脂フィルム層28は、未発砲の樹脂フィルムである。樹脂フィルム層28は、樹脂フォーム層ではない。樹脂フィルム層28を形成する樹脂の種類は限定されない。この樹脂フィルム層28の基材樹脂として、アクリル系樹脂及びポリエステル系樹脂が例示される。気泡を有さない樹脂層により、両面粘着テープ20の強度が向上しうる。
【0039】
四層構造である両面粘着テープ20の具体例として、住友スリーエム社製の商品名「VHX−802」が挙げられる。この「VHX−802」の繊維層26は、不織布である。この「VHX−802」の厚みA1は、0.25mmである。この「VHX−802」の4層は、積層順で、アクリル系樹脂を基材とする粘着層、気泡を有さないアクリル系樹脂層、不織布層及びアクリル系樹脂を基材とする粘着層である。
【0040】
図6は、他の実施形態に係る両面粘着テープ30の断面図である。両面粘着テープ30は、5つの層よりなる。両面粘着テープ30は、シャフト6に接する第一粘着層32と、グリップ8に接する第二粘着層34と、上記第一粘着層32と上記第二粘着層34との間に設けられている繊維層36と、上記第一粘着層32と上記第二粘着層34との間に設けられている樹脂フィルム層38と、上記第一粘着層32と上記第二粘着層34との間に設けられている樹脂フィルム層40とを有している。繊維層36は、樹脂フィルム層38と樹脂フィルム層40との間に設けられている。
【0041】
樹脂フィルム層38、40は、気泡を有さない樹脂層である。樹脂フィルム層38、40は、未発砲の樹脂フィルムである。樹脂フィルム層38、40は、樹脂フォーム層ではない。樹脂フィルム層38、40を形成する樹脂の種類は限定されない。この樹脂フィルム層38、40の基材樹脂として、アクリル系樹脂及びポリエステル系樹脂が例示される。気泡を有さない樹脂層により、両面粘着テープ30の強度が向上しうる。
【0042】
この5層構造の両面粘着テープ30の具体例として、住友スリーエム社製の商品名「Y−4625」が挙げられる。この「Y−4625」の厚みA1は、0.25mmである。この「Y−4625」の5層は、積層順に、アクリル系樹脂を基材とする粘着層、気泡を有さないアクリル系樹脂層、不織布層、気泡を有さないアクリル系樹脂層及びアクリル系樹脂を基材とする粘着層である。
【0043】
両面粘着テープの厚みA1は限定されない。耐引き裂き性を高め、グリップ装着工程の作業性を向上させる観点から、厚みA1は、0.05mm以上が好ましく、0.08mm以上がより好ましく、0.10mm以上がより好ましい。グリップ表面の凹凸を抑制する観点から、厚みA1は、0.3mm以下が好ましく、0.2mm以下がより好ましく、0.15mm以下がより好ましい。
【0044】
グリップ装着工程は、例えば、以下の通りである。。
(工程1)シャフトの外面に両面粘着テープを貼り付け、この両面粘着テープの離型紙を剥がす。
(工程2)上記両面粘着テープの表面及び/又はグリップの内面を溶剤で濡らす。この溶剤は、両面粘着テープの粘着性を一時的に低下させる。なお溶剤としては、ホワイトガソリンや新日本石油化学社製の商品名「アイソゾール」等が用いられうる。
(工程3)グリップ内にシャフトが挿入される。
【0045】
なお、上記(工程3)の後、溶剤は自然に蒸発する。この蒸発により、両面粘着テープの粘着性が復活し、グリップとシャフトとが両面粘着テープにより接着される。
【0046】
このようなグリップ装着工程には、例えば、前述した特許第4028736号公報に記載されている装置が用いられうる。
【0047】
グリップは、弾性変形しうる。グリップは、半径方向外側に拡張された状態でシャフトに取り付けられる。シャフトに取り付けられたグリップは、半径方向内側に収縮しようとする。このグリップの弾性力(収縮力)により、シャフトとグリップとが密着している。なお半径方向とは、シャフトの半径方向を意味する。
【0048】
グリップをシャフトに挿入する工程中、常時、上記収縮力が作用する。このグリップの収縮力に起因して、グリップと両面粘着テープとが擦れ合う。また、この擦れ合いは、溶剤の存在下においてなされる。グリップ装着工程において、両面粘着テープの使用条件は過酷である。繊維層により、グリップ装着工程における耐引き裂き性が向上しうる。
【0049】
両面粘着テープが粘着層のみである場合、グリップ装着工程又はグリップ引き抜き工程において、皺、破れ及びテープ剥離が発生しやすい。この皺、破れ及びテープ剥離は、製品不良や作業性低下を招来し、また、グリップの接着強度を低下させうる。また、この皺、破れ及びテープ剥離により、テープが重なった部分や、テープが存在しない部分が増加しうる。これにより、グリップ表面の凹凸が顕在化し、使用感が低下しうる。本発明では、繊維層により、これらの欠点が改善されうる。。
【0050】
2つの粘着層と、それらの間に介在する樹脂層の三層構造であり、この樹脂層が気泡を有する両面粘着テープが知られている。この樹脂層は、発砲樹脂からなる。この両面粘着テープの場合も、グリップ装着工程又はグリップ引き抜き工程において、皺、破れ及びテープ剥離が起こりやすい。本発明の繊維層は、これらの不都合を抑制しうる。
【0051】
両面粘着テープ10の貼り方は限定されない。この貼り方として、以下の図7で示される形態及び図8で示される形態が例示される。図7及び図8は、両面粘着テープ10がシャフト6に貼り付けられた状態を示す図である。
【0052】
図7の実施形態において、両面粘着テープ10は、シャフト6の長手方向に沿って貼り付けられている。両面粘着テープ10は、第一の端10aと、第二の端10bと、折り返し部10cとを有する。第一の端10aから折り返し部10cまで、両面粘着テープ10は、シャフト6の長手方向に沿って貼り付けられている。両面粘着テープ10は、折り返し部10cにおいて折り返されている。折り返し部10cは、シャフト6の後端面の少なくとも一部を覆っている。折り返し部10cから第二の端10bまで、両面粘着テープ10は、シャフト6の長手方向に沿って貼り付けられている。第一の端10aから第二の端10bまで、両面粘着テープ10は連続している。図7の実施形態において、両面粘着テープ10同士は重なっていない。両面粘着テープ10同士は重ならないように、両面粘着テープ10の幅が決定される。シャフト6には、両面粘着テープ10によって覆われていない部分(テープ隙間)s1が存在する。以下、図7で示された両面粘着テープ10の貼り方が、「折り返しタイプ」とも称される。図3の実施形態では、「折り返しタイプ」が採用されている。
【0053】
図7の実施形態では、シャフト6の外径が、後端に近づくほど太くされている。一方、両面粘着テープ10の幅は一定である。よって、第一の端10aから折り返し部10cまでが第一部分p1とされ、折り返し部10cから第二の端10bまでが第二部分p2とされたとき、第一部分と第二部分との間のテープ隙間s1の幅は、シャフト6の後端に近づくほど広い。
【0054】
図8の実施形態において、両面粘着テープ10は、螺旋状に貼り付けられている。両面粘着テープ10は、第一の端10aと、第二の端10bとを有する。第一の端10aから第二の端10bまで、両面粘着テープ10は、シャフト6の外面に螺旋状に貼り付けられている。第一の端10aから第二の端10bまで、両面粘着テープ10は連続している。図8の実施形態において、両面粘着テープ10同士は重なっていない。シャフト6には、両面粘着テープ10によって覆われていない部分(テープ隙間)s1が存在する。このテープ隙間s1も螺旋状である。以下、図8で示された両面粘着テープ10の貼り方が、「螺旋タイプ」とも称される。
【0055】
精度よく巻き付けられる限り、上記「螺旋タイプ」は、テープ隙間s1を最小限としつつ、両面粘着テープ10同士の重なりを抑制することができる。よって、グリップ外面の凹凸を抑制する観点からは、「螺旋タイプ」が好ましい。
【0056】
「折り返しタイプ」は、テープ隙間s1が生じやすいものの、生産性に優れる。即ち、「折り返しタイプ」は、「螺旋タイプ」に比較して、テープの貼り付けが容易である。よって、生産性を重視する場合、「折り返しタイプ」が好ましい。
【0057】
なお、「折り返しタイプ」では、第一部分p1と折り返し部10cとの境界k1、及び、第二部分p2と折り返し部10cとの境界k2が存在する。境界k1及び境界k2は、シャフトの後端に位置する。グリップ装着工程において、境界k1及び境界k2には強い引き裂き力が作用する。即ち、グリップ装着工程において、境界k1及び境界k2によってグリップが押し広げられつつ、シャフトがグリップ内に挿入される。グリップ装着工程において、境界k1及び境界k2には、グリップからの収縮力が集中的に作用する。「折り返しタイプ」では、境界k1及び境界k2において、両面粘着テープ10は破れやすい。この破れに起因して、シャフトの挿入作業中において、両面粘着テープ10がめくれ上がりやすい。シャフトの挿入作業の進行に伴い、このめくれ上がりも進行しやすい。「折り返しタイプ」では、第一部分p1及び第二部分p2が軸方向に延在しており、且つ、グリップ装着工程におけるシャフトの挿入方向も、軸方向である。よって、境界k1及び境界k2での切断によりめくれ上がりが発生すると、シャフトの挿入につれて、両面粘着テープ10が剥がされやすい。このため従来、「折り返しタイプ」が採用される場合、耐引き裂き性を考慮して、厚い両面粘着テープが用いられていた。厚い両面粘着テープでは、テープ隙間s1と両面粘着テープ10の存在部分とで凹凸が大きくなり、グリップ外面の凹凸が大きくなる。また、厚い両面粘着テープは、クラブ重量を増加させる。本発明では、テープの強度が高いので、テープの厚みA1を薄くすることができる。このため、本発明は、「折り返しタイプ」が採用される場合に生じうる問題を効果的に抑制しうる。
【0058】
グリップの材質は限定されず、ゴム組成物や樹脂組成物が例示される。このゴム組成物におけるゴムとしては、例えば、天然ゴム(NR)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)などが用いられうるが、特に天然ゴム、又は天然ゴムに親和性の良いエチレンプロピレンジエンゴムもしくはスチレンブタジエンゴムなどをブレンド(混合)したものが好ましい。
【0059】
グリップの材質として、樹脂組成物も用いられうる。この樹脂組成物に含まれる樹脂として、熱可塑性樹脂が挙げられる。この熱可塑性樹脂は、射出成形に用いられうる。この熱可塑性樹脂として、熱可塑性エラストマーが好ましく、ソフトセグメントとハードセグメントとを含む熱可塑性エラストマーがより好ましい。グリップ性と耐摩耗性との両立の観点から、ウレタン系熱可塑性エラストマーがより好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明は、あらゆるゴルフクラブのグリップに適用されうる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係るゴルフクラブの全体図である。
【図2】図2は、図1のゴルフクラブにおけるグリップ付近の拡大図である。
【図3】図3は、シャフト軸線に沿った図2の断面図である。
【図4】図4は、図3の円内の拡大図である。
【図5】図5は、他の実施形態の拡大断面図である。
【図6】図6は、更に他の実施形態の拡大断面図である。
【図7】図7は、両面粘着テープの貼り方の一例を示す図である。
【図8】図8は、両面粘着テープの貼り方の他の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0062】
2・・・ゴルフクラブ
4・・・ヘッド
6・・・シャフト
8・・・グリップ
10・・・両面粘着テープ
12・・・第一粘着層
14・・・第二粘着層
16・・・繊維層
20・・・両面粘着テープ
22・・・第一粘着層
24・・・第二粘着層
26・・・繊維層
28・・・樹脂フィルム層
30・・・両面粘着テープ
32・・・第一粘着層
34・・・第二粘着層
36・・・繊維層
38・・・樹脂フィルム層
40・・・樹脂フィルム層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャフトと、
上記シャフトの先端部に設けられたヘッドと、
上記シャフトの後端部に設けられたグリップと、
上記グリップと上記シャフトとの間に設けられた両面粘着テープとを備え、
上記両面粘着テープが、上記シャフトに接する第一粘着層と、上記グリップに接する第二粘着層と、上記第一粘着層と上記第二粘着層との間に設けられている繊維層とを有しているゴルフクラブ。
【請求項2】
上記繊維層が和紙又は不織布である請求項1に記載のゴルフクラブ。
【請求項3】
上記繊維層が和紙である請求項2に記載のゴルフクラブ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−94413(P2010−94413A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−269730(P2008−269730)
【出願日】平成20年10月20日(2008.10.20)
【出願人】(504017809)SRIスポーツ株式会社 (701)
【Fターム(参考)】