説明

ゴルフボール適性分析のための方法及びシステム

【課題】 ゴルファーに相応しいゴルフボールを選択するに当たって、必要な情報を比較的短時間に収集すること、情報と推薦ボールとの相関を分かり易い方法で提示すること、及び、深い知識又は経験を要せずに選択を実行可能とすること。
【解決手段】 本発明は、ゴルファーによって打ち込まれるゴルフボールの飛行特徴を、特定のスウィングパラメータと連結するゴルフボールの飛行特徴のデータベースと比較することによって、ゴルファーのスウィングパラメータに相関するゴルフボール推薦値を提供する。データベースにおけるスウィングパラメータは、経験試験によって定められるゴルフボール飛行特徴と相関させることが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴルファーのゲーム及び練度に適合させるゴルフボール適性分析のための方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
ゴルフボールデザインにおける進歩、及び、特定のプレイレベルのために設計されるゴルフ道具への意識が高まり、そのような道具が出回るにつれ、ゴルファーに合った適切なゴルフボールの選択にも関心が高まっている。ゴルファーに合うゴルフクラブの選択(適性)は周知されており、ゴルフプロショップでは通例のサービスとなっているが、ゴルフボールの適性は、比較的新しいプロセスであり、その多くは今でも単純にゴルファーに対して課せられる一連の質問によっている。質問は、一般に、ゴルファーの平均スコア、ハンディキャップ、彼らのゲームにおける目標、及び、ゴルフボールのコントロール、距離、及び操作性に関する、しばしば齟齬する目標に対する願望に関するものである。あるゴルフボール適性調査では、プレイ条件、例えば、ある任意のコースにおけるグリーンの速さ、ターフの堅さ、高度、気候及び大気状態に対して考慮が払われている。回答が寄せられた後、プロ又は適性判定員は、必要な妥協点を考慮し、そのプレイヤーに相応しいゴルフボールを推薦する。この質問・回答プロセスは純粋に主観的であり、測定可能な基準をあまり考慮していない。ゴルファーが申告する平均スコア又はハンディキャップは単純に受け容れられる。このプロセスは、距離、コントロール、そのゴルファーがどのくらい頻繁にボールをスライスする傾向があるかなどについて、該ゴルファーが、実際のものではなくむしろこうであればと願望する回答を無意識に提供するという事実を考慮に入れていない。
【0003】
ゴルフボール適性における最近の進歩は、純粋に主観的な質問・回答プロセスの欠点のいくつかに対し、ゴルファーにボールを打ち込ませ、一方、打ち上げモニター、ビデオ装置、及びその他の測定装置で監視することによって対処してきている。一般に採取される測定値は、クラブヘッドスピード、ボールスピード、打ち上げ角度、アタック角度、バックスピン、サイドスピン、及び総距離などの範囲に亘る。既存のボール適性法では、これらの測定値は、いくつかの仮定の枠組みの中に納まると想定される。ゴルフボールが、ドライバー、フェアウェイメタル、又はロングアイアンによって打たれると、該ボールは衝撃時変形されるが、大きな変形は、比較的小さいスピン及び比較的長いキャリーを意味することが知られる。従来のボール適性法において使用される仮定の例として、ある特定のゴルフスウィングに対し適切な変形量が得られるようにボールを選択した場合、距離が最大になるというのがある。この既存のボール適性法では、ゴルフボールは主にスピン及び感触にしたがって分類され、測定値及び質問調査は、この種の二次元ボールプロフィールによるゴルフボール推薦のために使用される。この既存のボール適性法は、測定パラメータを用いてある推薦値に到達するに当たって、検査員の側に、ある程度の知識及び主観的判断を要求する。
【0004】
調査法、及び測定及び試験法のいずれにおいても、できれば広範囲のパラメータ及びインプットが得られるならばその方が望ましいと考えられる。しかしながら、ボール適性に関する一回の検査状況において、ゴルファーに面倒をかけずに比較的短時間に大量の情報を収集することは難しい課題である。もう一つの克服すべき課題は、収集される情報と、推薦ゴルフボール(単数又は複数)との間の相関を簡単に理解可能なやり方で提示することである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
当該技術分野では、上述の従来技術の欠点に対処する、ゴルフボール適性分析法及びシステムが求められている。具体的には、ゴルフボール適性分析セッションを実行するに際し、検査員に対し深い知識又は経験を要求することのない方法である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、各種スウィングパラメータを定量するためにヒトゴルファーによって打たれるボールの飛行パターンを用いるシステム及び方法を提供する。要約すると、本発明は、客観的基準、すなわち、グリッドに向かって打たれるボールのグリッド位置を、該ボールの一つ以上の飛行特徴に相関させることによって得られる基準を用いて計算されるボール適性値に相関するゴルフボール推薦値を提供することであってもよい。次に、この情報は、該ゴルファーの、一つ以上のスウィング特徴に対し、例えば、コンピュータ化システム又はテーブルによって相関される。このグリッド情報は、ゴルフ適性分析システムに直接的又は間接的に送信され、送信は、ただしこれらに限定されないが、インプット/アウトプットデバイスを介するユーザーからの直接入力、無線通信によるゴルフボールからの直接的情報伝達、無線又は有線通信によるグリッドからの直接入力、又は、無線又は有線通信によるグリッド連結システムからの直接入力であってもよい。
【0007】
一局面は、ゴルフボール適性値を定量する方法であって:ゴルファーにゴルフクラブによってゴルフボールをグリッドの中に打ち込ませること;該ゴルファーによって打ち込まれるゴルフボールの飛行特徴を定量すること;該ゴルファーによって打ち込まれるゴルフボールの飛行特徴を用いて該ゴルファーのスウィングパラメータを推定すること;及び、該ゴルファーの推定スウィングパラメータを用いて、該ゴルファーのスウィングに相応しいゴルフボールを選択することを含み、スウィングパラメータが、クラブヘッドスピード、打ち上げ角度、及びアタック角度の内の一つ以上を含み、ゴルフボールの飛行特徴が、ボールスピード、ボールスピン、ボール軌道、及び総距離の内の一つ以上を含む方法である。
【0008】
別の局面は、ゴルファーに適合するゴルフボール選択用システムのためのデータベース編集法であって、該データベースが、下記の工程:ロボットにゴルフクラブを振らせ、ゴルフスウィングパラメータを種々に組み合わせてゴルフボールをグリッドの中に打ち込ませること;及び、該種々に組み合わせたゴルフスウィングパラメータに対応するゴルフボールの飛行特徴に関する情報を保存すること、によって編集され、且つ、ゴルフボールの飛行特徴が、ボールスピード、ボールスピン、ボール軌道、及び総距離の内の一つ以上を含み、ゴルファースウィングのパラメータが、クラブヘッドスピード、打ち上げ角度、及びアタック角度の内の一つ以上を含むことを特徴とする方法である。
【0009】
別の局面は、コンピュータ用ゴルフボール適性分析システムであって:少なくとも一スケール値による保存ゴルフボールプロフィールのデータベース;ゴルフボールの飛行特徴に関する客観的データを入力するためのインプットデバイス;ゴルフボールの飛行特徴に関する客観的データの保存参照テーブル;ゴルファーのスウィング力学に関する客観的基準を入力するためのインプットデバイス;及び、客観的基準を表すスケールにおいて客観的ボール適性値を決定するためのデバイスを含むシステムである。
【0010】
本発明の他のシステム、方法、特色、及び利点は、当業者には明白であろうし、或いは、下記の図面及び詳細な説明を精査することによって明白となろう。そのような追加のシステム、方法、特色、及び利点は全て、本明細書及び本概要の範囲に含まれ、本発明の範囲に含まれ、且つ、下記の特許請求項によって保護されることが意図される。
【0011】
本発明は、下記の図面及び説明を参照することによってさらによく理解することが可能である。図面の成分は必ずしも実尺に合致するものではなく、強調はむしろ本発明の原理の具体的説明に置かれる。さらに、図面において、同じ参照数字は、種々の投影図を通じて対応する部品を表示する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明によるゴルフボール適性分析のための方法及びシステムの全体プロセスのフローダイアグラムである。
【図2】試験群における複数のゴルフボールの等級判定又はプロフィールを決定するためのパラメータを含む表である。
【図3A】図2の表にしたがって等級分けされる、試験群のボールAのプロフィールの図式表示である。
【図3B】図2の表にしたがって等級分けされる、試験群のボールBのプロフィールの図式表示である。
【図3C】図2の表にしたがって等級分けされる、試験群のボールCのプロフィールの図式表示である。
【図3D】ゴルファーのスウィングデータの図式表示である。
【図4】ゴルファーのスウィングの特徴を決定するために使用される例示グリッドシステムを示す。
【図4A】図4のグリッドシステムに使用される、グリッドの別実施態様を示す。
【図4B】図4のグリッドシステムに使用される、グリッドの別実施態様を示す。
【図4C】図4のグリッドシステムに使用される、グリッドの別実施態様を示す。
【図4D】図4のグリッドシステムに使用される、グリッドの別実施態様を示す。
【図5】相関データベースはどうしたら発達させることができるかという一実施態様を記述するフローチャートである。
【図6】図4に示すグリッドシステムと同様の、ボール適性分析用グリッドシステムを使用する方法の実施態様を説明するフローチャートである。
【図7】ゴルフボール適性分析用システムの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明のゴルフボール適性分析法の概観を図1に示す。本発明は、各種スウィングパラメータを定量するために、ヒトゴルファーによって打たれるボールの飛行パターンを使用するシステム及び方法を提供する。要約すると、本発明は、グリッドに向かって打ち込まれるボールのグリッド位置を、該ボールの一つ以上の飛行特徴に相関させることによって得られる客観的基準を用いて計算されるボール適性値に相関するゴルフボール推薦値を提供することであってもよい。次に、この情報は、該ゴルファーの、一つ以上のスウィング特徴に対し、例えば、コンピュータシステム又はテーブルによって相関される。
【0014】
本発明において考慮の対象とされるボール適性分析100の一般法は、ゴルファーに、ボールをグリッドに向かって打たせることである。第1ステップ110では、グリッドを叩くか、又は通過するボールの位置が定められる。必要に応じて実行される第2ステップ120では、第1ステップ110で定められたグリッド位置は、例えば、コンピュータのメモリーに保存される参照テーブルを用い、ユーザーに手動で該参照テーブルと照合させ、その情報をアルゴリスムに代入させるなどによって、一つ以上の飛行特徴と相関させられる。第3ステップ130では、スウィングプロフィール特徴は、第2ステップ120において定められる飛行特徴から推定されるか、又は、飛行特徴はグリッド位置から定めることが可能と考えられ、そのような方法と同様にして、直接グリッド位置から推定される。第4ステップ140では、このスウィングプロフィール特徴は、ゴルフボール適性分析システムに供給され、ゴルフボールがゴルファーのために選択される。これらのステップのそれぞれが、本明細書においてさらに詳細に説明される。
【0015】
ボール適性値は、いずれのタイプのスケール又は適性システムに基づいていてもよい。ある実施態様では、ボール適性値は、あるゴルフボールでプレイする際の難易度を定量するように工夫された1から5段階スケールに基づく構築体であってもよい。図2に、この1から5段階スケールを、ゴルフボールの種々の選択パラメータ:ドライバースピン、スウィングの一貫性、サイドスピン、アタック角度、及び打ち上げ角度と共に示す。これらのパラメータは客観的であり、本明細書において詳述するように簡単に測定される。比較的プレイするのが困難な1から比較的プレイするのが容易な5の範囲に亘る、このスケールは、本法及びシステムを通じて、この客観的基準をできる限り定量するために使用することが可能である。
【0016】
もっとも頻繁にプレイされるコース、及び、プレイする予定のコースは、必ずしも等級判定又はスケール決定の対象とはされないが、ゴルフボール適性分析のための追加パラメータとして使用されてもよい。インターネットの天候ウェブサイトによるリアルタイムの天候条件への参照を、本ゴルフボール適性分析法における別のインプットとして、ゴルフコースデータベースの中に組み込むことを伴う、コースの気象および高度条件を含むゴルフコースデータベースも、そうしようと思えば創出可能であると考えられる。気候、高度、及び天候条件は、プレイ中のゴルフボールの振る舞いに影響を及ぼす要因となると考えられるので、それらを考慮に入れるゴルフボール推薦値は、本発明のシステム及び方法の中に組み込まれてもよい。これはさらに、馴染みのないコースでプレイするために移動する予定を持つゴルファーにとって有用である可能性がある。例えば、ゴルファーのホームコースはオハイオにあるが、移動してデンバーのような、より高い土地でプレイすることが要求される場合、それに合わせたゴルフボール推薦値が次に求められよう。同様に、ゴルファーのホームコースは、ヒューストンのような雨の多い、湿った気候にあるが、移動してタスコンのような乾燥気候の中でプレイすることを要求される場合、それに合わせたゴルフボール推薦値が次に求められよう。この調整は、そうしようと思えば、プレイの予定コースが入力されるか、要求されるかした場合にのみ起動される別出力とすることも可能と考えられる。
【0017】
ボール選択はさらに、使用されるクラブのタイプにしたがって異なってもよい。例えば、ウェッジでは、ローハンディキャッププレイヤーはスピンの多い方を好むと考えられる。なぜなら、そのような上級ゴルファーは、望みのスピンを賦与するように自分のスウィングをコントロールすることが可能と考えられるからである。したがって、ウェッジにおいて高スピンを求める志向は、よりプレイすることが困難で、本発明のスケール上において1又は1により近い値に比定されるゴルフボールと相関すると考えられる。スケール適用のもう一つの例は、ドライバー/ウッド及びアイアンにおけるボールの飛行において見られる。すなわち、その場合、上級ゴルファーは、より操作可能なボールを望むことが考えられるが、一方、高ハンディキャップゴルファーは、飛行軌道がより真っ直ぐなボールを好むと考えられる。これは、プレイヤーの所有するコントロールレベルに関わり、ボールの飛行についてより操作性の高いものを求める志向は、プレイすることがより難しいボール、したがってスケールにおいて1か又は1により近い値に相関すると考えられる。
【0018】
ボール適性値は、ボール試験群のボールプロフィールと相関させてもよい。さらに、ボールプロフィールまたは等級は、図2の表と同じ、1から5段階の難度スケールを用いて計算してもよい。
【0019】
本法では、図2の表に示すものと同様の、5分類の内の一つ以上を用いて、ゴルフボールの等級判定又はプロフィール決定を行う。これらのパラメータの理解は当業者の認識範囲内に十分納まるが、完全を期すため、ここでそれぞれについて手短に説明を行う。
【0020】
ドライバースピンとは、衝撃時ボールに賦与されるバックスピン及びサイドスピンを指す。ドライバースピンはさらに「合計スピン」と見なしてもよく、その際、バックスピンは、飛行方向とは反対のボールの回転であり、サイドスピンは、バックスピン以外の、ボールの全ての回転である。高バックスピンゴルフボールは、空中にあるとき多量のボールスピンを生ずるように設計されてもよい。高バックスピンボールは、衝撃時のバックスピンによってより長い飛距離を生ずるが、フェアウェイでは大きなランを与えないと考えられる。しかしながら、高バックスピンボールは、グリーン上では有利と考えられる。なぜなら、熟練ゴルファーは、望みのスピンを賦与するにはどのようにボールを叩けばよいかを知っているので、これによって、僅かではあるがより多くのコントロールが得られるからである。高バックスピンボールは、一般に、これらの特徴を生かすことのできる比較的低いハンディキャップのプレイヤーによって使用される可能性がある。このスペクトラムの他端には、空中移動時のスピン量を最小とするように特異的に設計される、低バックスピンゴルフボールがある。これらの低バックスピンボールは、サイドスピンの排除を助ける可能性があり、これは、バックスピンは、ボールをスライスまたはフックする機会を下げる可能性のあることを意味する。低バックスピンボールは、空中を比較的真っ直ぐ飛ぶ傾向を持つが、高スピンボールほど遠くまで飛ばない可能性がある。これは、ボールが着地すると若干補償される可能性がある。なぜなら、このボールはより遠くまで転がり、スピンバックすることがないからである。低バックスピンボールは、比較的高いハンディキャップを持つプレイヤーのために設計されてもよい。なぜなら、このボールでは、空中における比較的真っ直ぐなショット、および、フェアウェイにおける転がり移動が可能とされるからである。中等スピンゴルフボールは、この高および低スピンボールの間の隙間を埋めるものであるが、感触と距離の両方を最適化するように設計されてもよい。中等範囲のハンディキャップを持つゴルファーは、これらのボールが、距離とコントロールの間の適切な妥協点を提供するものと判断すると考えられる。スピンとの関連で言うと、図2に見られるように、ゴルファーは、ボールにスピンを賦与するのがどれくらい易しいかに応じて、プレイするのが難しいボール、またはプレイするのが易しいボールと呼ぶ。高スピンボールは、一般にプレイするのが比較的難しいと見なされ、低スピンボールは、プレイするのが比較的易しいと見なされる。
【0021】
スウィングパラメータの一貫性とは、単純に、同じ飛行軌道およびコントロールを実現するのに、あるボールが、プレイヤーのスウィングがきわめて一貫することを要求するかどうか、又は、プレイヤーのスウィングの一貫性の欠如に対して比較的寛容であるかどうか、を指す。
【0022】
サイドスピンパラメータは、ゴルフボールの同じ特徴が関与する可能性があるという意味で、ドライバースピンパラメータと連結すると考えられる。高スピンボールは、サイドスピンを賦与することが比較的容易であり、これは、ボールをスライス又はフックする機会が増す可能性があることを意味する。低スピンボールは、比較的スピンさせにくく、したがって、スライス性またはフック性打撃に対して比較的寛容であると考えられる。
【0023】
アタック角度は、クラブヘッドが、ゴルフボールに向かって移動し、接触する際に描く、クラブヘッド軌道の角度を表す。アタック角度は、ゴルファーのスウィング力学によって定量されてもよい。参照点として、大抵のゴルフ教程は、ゼロのアタック角度を、クラブヘッドが、衝撃時、グラウンドに対し等高に移動することを意味するものとする。これは時に、スウィープアタック角度とも呼ばれる。ゴルファーのスウィングは、正のアタック角度を生ずる確率の方がはるかに高い、すなわち、ボールの下に移動し、衝撃によって打ち上げることが多く、或いは、負のアタック角度を生じ、すなわち、ゴルフボールに向かって打ち下ろし、衝撃後ボールの下に移動する。したがって、ドライバーでは、「比較的平坦な」スウィングの方が、一般に、距離および正確性の両方を向上させる。浅いアタック角度は、比較的スピンの少ない、より確実なボール打撃をもたらし、比較的長く、真っ直ぐなショットを生じる。ディボットは、ゴルファーがアイアンで打つ場合に、そのアタック角度を見直す一つの方法となる場合がある。なぜなら、浅いアタック角度で打つゴルファーは、一般に、浅いディボットを残すが、一方、より急峻なアタック角度で打つゴルファーは、一般に、より深いディボットを残すからである。ツアープレイヤーなどの熟練プレイヤーでは、一般に、アタック角度は浅く、比較的ハンディキャップの高いプレイヤーでは、一般に、アタック角度はより急峻である。ゴルフボールは、図2の範囲に示すように、これらのスウィング力学に対する補償を助長するように設計される。
【0024】
打ち上げ条件とは、ボールが、衝撃時、クラブフェースからどのように離れるかを指す。距離に関して問題となるのは、例えば、三つの打ち上げ条件:(i)どのくらい速くボールが飛び出すか、初速、(ii)どのくらいのバックスピンをボールが持つか、ドライバースピン率、及び、(iii)上向き角度、上昇角度、であると考えられる。初速は、クラブヘッドスピードに依存し、後者は、ある程度はスウィング力学に依存し、ある程度はゴルファーの強度に依存すると考えられる。研究によって、ある任意のクラブヘッドスピードにおいて、距離を最大にするのに最適なドライバースピン率および上昇角度が存在することが示されている。距離は、上昇角度が高ければ高いほど、バックスピンが小さければ小さいほど増大すると考えられる。上昇角度は、水平線の上の角度で測定されるが、図2を参照すると、任意の打撃において、衝撃によってより高く上昇するように設計されるボールの方が、低い上昇角度を持つボールよりもプレイし易いボールであると考えられる。
【0025】
これらのパラメータを用いて、試験群のボールを、図2に示すように、1から5段階スケールによって評価または等級判定する。分かり易くするために、本出願では、試験群には3個のボール:ボールA、ボールB、およびボールCがあること、かつ、それぞれ異なるプロフィールを持つことを仮定する。これら五つのパラメータに基づく試験群のプロフィールを、それぞれ、図3A、3B、および3Cに、コンピュータモニターに表示されるままに図式的に示す。各プロフィールの周囲の、波状の境界線は、図が、コンピュータディスプレイの一部の上に表されることを示すことを意図する。
【0026】
一連の試験から得られるスウィングデータを用いてデータベースを創出してもよい。一組のゴルフクラブを用いて各種のゴルフボールを打つために、ロボットゴルファーなどの機械的ボール打撃機構を用いてもよい。このようなスウィングロボットは当該技術分野で周知であるが、いずれのタイプのものも、そうしようと思えば使用することが可能と考えられる。このロボットゴルファーにボールを打たせる前に、特に、ボールタイプ、クラブタイプ、アタック角度、及びクラブヘッドスピードなどの設定値を入力してもよい。
【0027】
ロボットゴルファーを用いる試験から得られる情報は、データベースに入力してもよいし、或いは、測定値をコンピュータに伝送する測定デバイスから自動収集し、それによって客観的基準に基づいてボール適性値を直接計算するようにしてもよい。データベースは、コンピュータ読み取り可能媒体のいずれか一つ、またはそれらの任意の組み合わせの上に保存されてもよい。
【0028】
このようなデータベースを創出する一方法を図5に示す。データベースは、任意の数のプログラムされた打撃によってこの方法500を繰り返すことによって反復的に創出されてもよい。第1の、データベース創出ステップ510では、ユーザーは、第1の、特異的スウィングプロフィールによってボールを打つようにロボットにプログラムする。第1の、特異的スウィングプロフィールは、他の公知のスウィング特徴の中でも、アタック角度及びスウィングスピードなどの特徴を含んでもよい。次に、第2データベース創出ステップ520では、ロボットは、第1の特異的スウィングプロフィールにしたがってゴルフボールをグリッドに向かって打ち込む。第3データベース創出ステップ530では、監視システムは、グリッドにおけるゴルフボールの位置を捕捉する。第4データベース創出ステップ540では、第1の、特異的スウィングプロフィール、及び対応するグリッド位置が、データベースに保存される。このプロセスは、第2特異的スウィングプロフィール、第3特異的スウィングプロフィール等々、第n番目特異的スウィングプロフィールに至るまで繰り返してもよい。スウィングプロフィールの数が多くなればなるほど、データベースはより正確になる。
【0029】
当業者であれば認めるであろうように、スウィングプロフィール特徴の異なる組み合わせが、同じか、又は近似のグリッド位置をもたらす場合がある。したがって、データベース構築における一つの可能な反復セットは、一つのスウィングプロフィール特徴を一定に保持し、一方、他のスウィングプロフィール特徴との種々の組み合わせについて、それらの間を周回することであってもよい。次に、このデータを分析して、そのグリッド位置に関して、どの特定のスウィングプロフィール特徴が、ある特定スウィングを支配しているのかを決定する。それとは別に、各グリッド位置は、ゴルファータイプに対応させてもよい。その際、ゴルファータイプは、特異的スウィングプロフィール特徴とはある程度独立すると見なされる。本ゴルフボール適性分析システムは、その打ち込まれたボールのグリッド位置によって、ある特定のゴルファータイプであると判定されるゴルファーは、それが誰であれ、同じタイプのボールを適切と認める可能性があると仮定してもよい。したがって、このボール適性分析システムは、このゴルファータイプに基づいて、1個のボールか、又は1群のボールを推薦することが可能である。
【0030】
データベースが創出された後、ゴルファーは、データベース創出時に使用されたものと同じ、ゴルフクラブとゴルフボールの組み合わせの内の一つ以上によって試験されてもよい。前述のようにして、ボールスピード、飛行軌道、及びスピンの内の一つ以上を定める同様の方法を、試験されるゴルファーに対して用いてもよい。このような情報がデータベースに含まれる場合、さらに、ゴルファーの試験中に遭遇する、温度、相対湿度、及びその他の環境条件の内の一つ以上を記録してもよい。
【0031】
ゴルファーは、ロボットゴルファーによる試験において使用したものと同じクラブ(単数又は複数)及びゴルフボール(単数又は複数)を使用してもよく、一方、他の実施態様では、ゴルファーは、該ゴルファーが通常プレイしているクラブ及びボールを使用することも可能である。正確性をさらに増すために、各ショットについてどのゴルフボール及びクラブが使用されるのかに関する情報をシステムに入力してもよい。
【0032】
グリッド位置の他に、種々の打撃結果、例えば、ボールスピード、ボール軌道、ボールスピン、距離、グラウンドとの最初の接触時におけるボールの位置、及び、ボールの最終的静止位置を測定することも可能である。一貫した結果を生じるよう、ボールの飛行に対する風の影響を最小にするために、試験は屋内ドライビング練習場において実行することが好ましいと考えられる。さらに、屋内練習場であれば、環境コントロール、例えば、HVACシステム、加湿器、除湿器などを用いることによって、温度及び湿度などのパラメータを変更することが可能と考えられる。
【0033】
グラウンドとの最初の接触時におけるボールの距離及び位置、ボールの最終的静止位置などの情報は、例えば、ボールがグラウンドを叩いた場所に残されるマークなどの手段、及び、ボールの最終的静止位置を測定することによって簡単に定めることが可能であるが、ボールスピード、ボール軌道、及びボールスピンはそれほど簡単に定めることはできない。
【0034】
仮想的なものであれ物理的なものであれ、飛ばされるゴルフボールの飛行経路に設置されるグリッドは、該ゴルフボールの飛行特徴の決定に使用することが可能である。ボールが打ち込まれるグリッドからの距離、及び、ボールが貫通するか、又は叩く場所を知ることによって、ゴルファーのスウィング特徴を決定するのに使用することが可能な情報が得られる。
【0035】
図4は、ゴルファーのスウィングの特徴を定めるのに使用される例示のグリッドシステム400を示す。ゴルファー410は、ゴルフクラブ420を用いて、既知の距離436からゴルフボール430をグリッド440に向かって軌道435にそって打ち込んでもよい。この実施態様では、複数のゴルフボール431が、グリッド440を貫通して打ち込まれている。別の実施態様では、ゴルフボール431は、グリッド440によって捕捉されてもよい。ボールが打たれる場所から、ボールがグリッドを貫通する場所へ引かれる直線は、ゴルフボールの近似軌道を提供する。フック又はスライスするボールは、もしもそのようなことがあれば、2点−ティー、及び、ボールがグリッドを貫通する場所−だけを用いて定められる軌道の正確度に影響を及ぼすと考えられる。さらに、重力作用による天然の放物曲線も作用因子となると考えられ、その場合、グリッドがティーに近ければ近いほど、測定軌道は、打ち上げ角度に近似する。しかしながら、グリッドがティーに近ければ近いほど、水平面における飛行方向の良好な読み取りが困難になる。この方法によって定められる飛行経路の正確度を増すために、直列に並べた一つを超える仮想又は現実グリッドを使用してもよい。そのような場合、1グリッドはティーに比較的近く、もう一つはティーより比較的遠くに置くことが考えられる。
【0036】
監視システム450は、ゴルフボール430が、打ち込まれた後、どの場所でグリッド440を貫通するかを記録してもよい。監視システム450は、ゴルフボール431のグリッド位置を定めるために使用することが可能なものであるならば、いずれのタイプのシステムであってもよい。ある実施態様では、監視システム450は、光線スペクトラムの任意の部分において画像を捕捉することが可能なスチール又はビデオカメラであってもよい。ボールの軌道を定めるには、ストロボ付き、又はストロボ無しのカメラを使用することが可能である。カメラはさらに、打ち放たれるゴルフボールにおけるスピンを定めるために使用することも可能である。
【0037】
ある実施態様では、監視システム450は、センサーのインパクト、例えば、圧センサーまたは感光受信機などを検出、解釈することの可能なコンピュータを含んでもよい。ある実施態様では、監視システム450はさらに、記録紙を持つ観察者、PDA、又はその他の記録デバイスを含んでもよく、その際、観察者は観察によって、ゴルファーがどのグリッド位置に打ち込んだかを認め、次にその場所を記録デバイスに書きつける。
【0038】
監視システム450が、グリッド440における打ち込み位置又は貫通位置−別に、ボールの「グリッド位置」とも呼ばれる−を決定したならば、監視システム450は、そのグリッド位置を、スウィングプロフィール決定モジュール460に通信する。ある実施態様では、スウィングプロフィール決定モジュール460は、そのグリッド位置を、推定スウィングプロフィールと相関させる、コンピュータプログラム、アルゴリスム、データベース、参照テーブルなどであってもよい。別の実施態様では、スウィングプロフィール決定モジュールは、グリッド位置を推定スウィングプロフィールと相関させるためにユーザーが使用することが可能な本又はテーブルであってもよい。
【0039】
グリッド440は、該グリッドにおける水平距離を定義する文字、及び、該グリッドにおける垂直距離を定義する数字、又はその逆を有していてもよい。グリッド位置を知ることは、ボール適性分析システムにおいて使用される飛行特徴及びスウィングプロフィール特徴の決定において重要なステップである。例えば、図4において、文字"B"の直下で、数字2の右側のグリッド位置は、グリッド位置"B2"と定義することが可能である。グリッド位置を特定し、表示するものであれば、当該技術分野のいずれの手段も使用が可能である。
【0040】
グリッド440は、該グリッド440が、ユーザー又は自動化システムに対し、グリッド440におけるゴルフボール430のグリッド位置の決定を可能にするものであるならば、どれほどの数の形状を取ってもよい。図4A-4Dに、グリッド440のいくつかの実施態様を示す。ある実施態様では、グリッド440は、図4Aに示すようなメッシュ441であってもよい。メッシュ441は、ロープ又は紐によって、スタンドに取り付けられるか、又は風景要素に取り付けられてもよい。メッシュ441は、屈曲性材料、例えば、編み物材料442、又は不織材料(図示せず)であってもよい。このようなシステムは、低コスト及び簡便という利点を有する。このようなグリッドの一つの欠点は、ボールの正確な位置づけを可能とするほど十分に細かいグリッドを形成するのに十分な数のメッシュ穴を欠く場合があること、及び、物理的グリッドは、ボールの飛行に干渉する可能性が比較的高く、ボールの着地場所、したがって、測定値の正確性に悪影響を及ぼす可能性のあることである。
【0041】
他の物理的グリッドを使用してもよい。例えば、別のタイプの物理的グリッドは、ゴルフボールを、接触時、表面に接着させる接着剤又はフォームを有する固相表面であってもよい。さらに別タイプの物理的グリッドとして、脆弱パネル有する剛体フレームを挙げてもよい。パネルは、ゴルフボールが該パネルを通過するとき破壊される。別の実施態様では、脆弱パネルは、破壊されると剛体フレームから飛び散るが、その他の場合は、ゴルフボールがフレームに衝突しても無傷のまま留まってもよい。図4Bに示す実施態様と同様の、ある実施態様では、グリッド440は、比較的屈曲性の低い、剛性の材料、例えば、金属又はPVCパイプから製造されるスタンドであってもよく、これは、フレーム443に成形される。フレーム443は、その内部にパネル444が設置される種々の開口を画定する。パネル444は、任意の材料から製造されてもよく、例えば、ゴルフボール430によって貫通されて、グリッド位置に関して視認可能なマークを残すことを可能とする脆弱材料から製造されてもよい。同様に、パネル444は、衝撃によって簡単にマークされる材料、例えば、感圧紙又はフィルムから製造されてもよい。パネル444は、センサー豊富であってもよく、ゴルフボール430の衝撃を検出するように較正される圧センサーを含んでもよい。パネル444は、当該技術分野で公知の任意の方法によって、例えば、接着剤、機械的ファスナーなどによってフレーム443に取り付けられてもよい。パネル444は、フレーム443に対しヒンジを介して取り付けられる剛性部材であってもよく、その際、ヒンジは、ある特定のパネルがゴルフボール430による衝撃によって動かされるとき、その時点を示すセンサーを含んでもよい。
【0042】
図4Cに示す別実施態様では、グリッド440は、変形可能フォームなどの、ゴルフボール430を捕捉することが可能な材料から成る単一パネル445であってもよい。ある実施態様では、パネル445は、グリッドパターンを描く区画446を含んでもよい。区画446は、当該技術分野で公知の任意の方法、例えば、ペインティング、接着剤、線刻、エンボス加工などによってパネル445上に配置されてもよい。ある実施態様では、パネル445の材料は、ゴルフボール430の高速衝撃によっても破壊されることなくゴルフボール430を捕捉することが可能なほど十分に変形可能であってもよい。別の実施態様では、パネル445の材料は破壊されて、ゴルフボール430のグリッド位置を示してもよい。
【0043】
図4Dは、グリッド440の、ある実施態様を示す。ここでは、グラウンドに対して平行、及びグラウンドに対して垂直な両方向を指向する、光学的検出器/トランシーバ447、448−レーザーを含む−を用いて仮想グリッドが設定されてもよい。光学的検出器及びトランシーバ447、448は、光学的検出器及びトランシーバ447、448を、既知の空間間隔距離において支えることが可能な剛性材料から製造されるフレーム443に取り付けられる。この仮想グリッドを通過するゴルフボール430は、光ビームを遮り、グリッド位置を提供してもよい。この情報は、打ち込まれたボールの近似軌道を提供してもよい。ボール軌道に関して追加情報を提供するために、ゴルファーのグリッドからの距離は変更してもよく、或いは、一つを超えるグリッドがあり、各グリッドは、ゴルファーから異なる距離に配置されてもよい。
【0044】
光の反射パルスを用いて距離及び方向を測定する方法の例が当該技術分野で知られる。このような方法は、パルス光送信機及び受信機のアレイを使用してもよい。送信光の経路における対象物は、光路の対象物によって反射され、受信機に向かって戻り反射されてもよい。光の転送時間から、システムは、送信機/受信機と、検出される対象物との間の距離を計算することが可能である。
【0045】
光信号は、光エミッタ/トランシーバデバイス447、448のいずれかから発射させてもよい。ゴルフボール430からの反射光は、光トランシーバ447、448に戻されてもよい。ゴルフボール430の、トランシーバからの距離は、反射光の戻り時間から求めることが可能である。複数の光ビームの干渉パターンは仮想グリッドを生みだす。各トランシーバは、この仮想グリッド作用を強調するために異なる周波数の光を発射してもよい。
【0046】
仮想グリッドを形成するために、検出フィールドにおける対象物によって反射される光パルスを受信する、複数光電素子のアレイを含む光学システムを使用してもよい。距離測定デバイスは、システムから対象物までの距離、及び、対象物が存在する対応方向を、駆動信号と、個々の光電素子による、対応反射光パルスの受信との間の遅延に基づいて求める。このシステムは、ゴルフボールがどこで仮想グリッドを貫通するかを求めるために使用してもよい。
【0047】
さらに、音波検出器が仮想グリッドを形成してもよく、その場合、ゴルフボールがグリッドを貫通する場所の特定は、エミッタから発せられ、反射によって該エミッタの近くに配置される受信機に戻り反射される音による。上述の光システムの場合と同様、ゴルフボールまでの距離は、音が、ゴルフボールから反射によって戻されるのに要する時間量によって求めてもよい。図4Dに示す光学システムと同様、互いにほぼ直角に登載される、そのような二つのデバイスを使用して、ゴルフボールの位置を求めることが可能である。
【0048】
もう一つのシステムは、打ち込まれるゴルフボールによって叩かれるスクリーン上の位置を求めるのに、様々な場所に配置される複数の音響検出器を使用してもよい。位置は、ボールがスクリーンを叩くときの音が各検出器に到達するタイミングによって求められる。ゴルフボールによる叩打位置を定めるために、任意の三つの音響検出器の時間差を使用することが可能である。
【0049】
辺縁に複数のセンサーを備えるバックストップ(又は、バックネット)を用いて、打ち込まれたボールがグリッドを叩く位置を求めることが可能である。打ち込まれたゴルフボールがバックストップを叩く場所は、該打ち込まれたボールがバックストップに及ぼす圧によって影響される該複数のセンサーの順序及びタイミングによって求めることが可能である。
【0050】
打ち込まれたボールがグリッドを叩く場所を求めるには、一平面において互いに平行に隔てられる導電子から製造されるグリッド−これは、第1平面に対して平行な第2平面における第2群の導電子の前にある−を使用することが可能である。グリッドが、打ち込まれるゴルフボールによって叩かれると、一方の群のある導電子が、別群の導電子に接触して回路を閉じ、ゴルフショットの方向及び速度に関する正確な測定値を与える。
【0051】
打ち込まれるゴルフボールの衝突位置を定めるもう一つの方法は、ティーとネットの間に配置される検出器によって画定される平面に対して平行なグリッドを画定するネットを使用してもよい。ネットの各隅角にはセンサーを配置してもよい。センサーは、ボールによってネットに印加される力の量を示す電圧信号を発生してもよい。4個のセンサーの間の電圧信号の差を用いて、打ち込まれたゴルフボールがネットを叩く場所を求めてもよい。
【0052】
打ち込まれるゴルフボールのスピードを求めるために、ゴルフボールがグリッドに到達するのに要する時間を求めるシステムが測定されてもよい。指定の量である、ティーからグリッドまでの距離をその時間で割ることによって、グリッドまでのゴルフボールの平均スピードを求めてもよい。グリッドが、その中心をティーに配置させる球形でない限り、ボールがグリッドに到達する特定の座標までの距離について補正を行わなければならない。それとは別に、ティーとグリッドの間のセンサーを通過するボールがタイマーを起動してもよく、その場合、ボールスピードを得るには、センサーを画定する平面と、グリッドを画定する平面の間の距離を、ボールが、センサーの通過後、グリッドに到達するまでに要する時間で割る。
【0053】
さらに、打ち込まれるゴルフボールのスピードは、車の運転スピードの検出又は野球のピッチャーの速度測定に使用されるものと同種の計測器によって求められてもよい。いくつかの平面においてスピード及び方向を検出するために、ゴルフ練習場の種々の場所に一つを超える計測器を配置してもよい。
【0054】
ゴルフボールが打たれる時点を求めるために種々の方法を用いてタイマーをスタートさせてよい。ある実施態様では、ボールが打たれる時点は、聴覚的又は光学的に決定されてもよい。ボールがグリッドに到達する時点は、ボールがグリッドを通過する場所を定めるのに使用されるものと同じ手段によって求めてもよい。
【0055】
ボールが打たれる時点を求める一つの方法は、ボールを打つクラブの音の、マイクロフォンによる検出を用い、この検出がカウンターを起動する。ボールが、ティーからグリッドに到達するまでに要する時間は、該ボールのスピード及び近似軌道を求めるのに使用される。
【0056】
光学的方法によるボールの打撃時点の決定は、ボール又はクラブによって横切られる複数の光ビームを含んでもよい。打たれるゴルフボールの飛行経路を定めるために、ティーとグリッドの間に配置される一対のセンサーを用いてもよい。これらのセンサーは、グラウンドに対して垂直な面を画定してもよい。ボールの速度は、ボールが、これらのセンサーによって画定される平面を通過して、センサーによって画定される該平面に対して平行な第2平面に到達するのに要する時間から計算されてもよい。
【0057】
ある実施態様では、さらに、打たれるゴルフボールのスピンも求められてもよい。スピンは、光学的方法で求めてもよいし、或いは、ゴルフボールスピンを求めるための、従来技術で公知の、他の任意の方法、例えば、典型的カメラモニターによって求めてもよい。スピンは、バックスピン及び/又はサイドスピンを含んでもよい。ある方法は、光源、複数の感光デバイス、及び反射面を備えるボールを用いて、打ち込まれるゴルフボールのスピンを求める。
【0058】
試験されるゴルファーから得られる情報−ボールスピード、ボールスピン、ボール軌道の内の一つ以上−は、コンピュータに入力され、データベースにおける許容範囲内の情報に適合させてもよい。この情報から、ゴルファーに対し適切なゴルフボールを選出するヒト又は自動化システムは、試験されるゴルファーの下記のスウィングパラメータ:クラブヘッドスピード、ボールスピード、打ち上げ角度、アタック角度、バックスピン、サイドスピン、及び総距離の内の一つ以上を求めてもよい。これらのパラメータは、該ゴルファーのために最善のゴルフボールを決定するのに使用されてもよい。
【0059】
本明細書の都合のため、ボールの試験群は、3個:ボールA、ボールB、及びボールCから成る。図2に示す1から5段階スケールに基づくこれらのボールのプロフィールを、図式的にそれぞれ、図3A、3B、及び3Cに示す。この図において、ゼロは、5本の軸の中心にある。図面において見られるように、この方式によるパラメータの図式化によって、ボールに関する独特の形状及び可能な特定因子の獲得が予想される。このスケールによって独特とされるボール性能プロフィールは、指紋、すなわちボール適性指紋に比定することが可能である。
【0060】
一実施態様では、ボール適性分析法の結果をゴルファーに提示する一つの方法は、図3Dに見られるように、そのスウィング試験の図式表現を用い、試験ボール群に対する相関を示すものであってもよい。この場合、これらのボール適性指紋が、コンピュータディスプレイにおいて並べて又は重ねて表示されたならば、ボールB、図3Bが、ゴルファー、図3Dのボール適性指紋に対しもっとも近い形状を有することが簡単に見てとれよう。これは、ゴルファーに対し、もっとも理解しやすいやり方で、ボールBが、客観的基準を用いて測定した場合の、彼のスウィングにとっての推薦ボールとされる理由を視覚的に立証することを可能とする。ゴルファーのスウィングデータのこのような図式化はさらに、そうしようと思えば、彼らのスウィング及びゲームにおける改善の余地を示すための教育的補助としても役立てることが可能であると考えられる。
【0061】
もちろん、他の図式的表現も可能であり、且つ、それらも完全に本発明の範囲内にある。例えば、五つのパラメータをバーでグラフ化し、ゴルファーのスウィングもバーでグラフ化し、そのようにしてボールプロフィールとのマッチ、又はマッチの近似度を示すことも、そうしようと思えば、可能と考えられる。本出願では、五つのパラメータを示し、詳細に論じているが、ボール適性値を計算し、結果を図式的に表すためには、そうしようと思えば、5よりも少数、又は、5よりも多数のパラメータを使用することも可能であると考えられる。さらに、詳述されるスケールは、1から5までの数値範囲にあるが、より少ないか、又はより多い段階を持つように、又は、異なる数値範囲を持つようにスケールを修飾することも本発明の範囲内にある。それとは別に、スケールは、そうしようと思えば、アルファベットスケール、カラースケール、又は他のタイプのスケールであることも可能であると考えられ、数値スケールに限定されない。本発明は、主観的基準の定量に関わるが、熟練者、及び、知識を持ちこれらの結果を保存する人々によって実行されてもよい。
【0062】
図7に示すように、システムは、インプットを集め、本明細書で論じる計算を実行するためのソフトウェアを走らせるコンピュータ800を含んでもよい。コンピュータ800は、有線を通じて、又は無線的に、各種測定デバイス、例えば、打ち上げモニター802、レーダースウィングスピード検出器804、運動捕捉デバイス806、または、任意の数の、そのようなデバイスに機能的に接続されてもよい。クラブのアタック角度および上昇角度を捕捉するには、場合によっては、パッティングモニターを使用することも可能と考えられる。ゴルファーの客観的データを集めるために、他の、様々な光学的、写真的、赤外線、強磁性、またはレーザーセンサーまたは測定デバイスを使用することも全て考慮の対象とされる。
【0063】
本法のためのソフトウェアは、そうしようと思えば、孤立型汎用コンピュータ800の上で走らせることが可能と考えられるが、同時に、コンピュータ600は、そうしようと思えば、インターネットに接続されるサーバーであることも可能であり、即ち、該ソフトウェアが搭載されるか、またはホストとされる場所から離れて、オンラインで、または、遠隔的に本法を使用するための端末であることも可能と考えられる。コンピュータはさらに、キーボード、マウス、および、ディスプレイカードによって制御されるモニターを含んでもよい。コンピュータはさらに、ハードディスク、または、他の、固定式の、高密度媒体ドライブ、および、取り外し可能な媒体ドライブであって、ディスクなどの取り外し可能な磁気・光学媒体が、挿入され、読み出しおよび/または書き込みされるドライブを含んでもよい。これらの個別成分は、適切なデバイス-バスを用いて接続される。コンピュータはさらに、インプット、中間計算、および推定オプション価格のいずれかの印刷リストを提供するために、プリンター(図示せず)に接続されてもよい。図7に示すシステム中に存在する、コンピュータ読み取り可能な媒体の例としては、メモリー、ハードディスク、および取り外し可能な媒体が挙げられる。本発明は、コンピュータ読み取り可能な媒体の内のいずれか一つ、またはそれらの組み合わせの上に保存され、コンピュータハードウェアを制御し、コンピュータとユーザー間の相互対話を可能とするソフトウェアを含んでもよい。ソフトウェアは、ただしこれらに限定されないが、デバイスドライバー、オペレーティングシステム、およびユーザーアプリケーションを含んでもよい。コンピュータ読み取り可能媒体はさらに、推定オプション価格を計算するための、本発明のコンピュータプログラム産物を含む。さらに、ゴルファーのインプットおよび情報を保存するために、コンピュータ800と共にフラッシュメモリー808などの取り外し可能な媒体デバイスを使用することも、そうしようと思えば可能であることが考えられる。これによって、ゴルファーは、しばらく経過した後再評価して、自分のゲームが時間と共にどのように変化したかを判断することが可能となると考えられる。これによってさらに、ゴルファーは、そうしようと思えば、異なる高度および気候を持つ異なる場所でプレイする場合、保存データに対しそれらのインプットを変えるだけで、その地でプレイする準備を整えることが可能となると考えられる。さらに、そうしようと思えば、移動または転居の際、その情報を携帯することも可能となると考えられる。
【0064】
取り外し可能なメモリーは、フラッシュメモリーとして描かれているが、他のタイプの媒体、例えば、磁気デバイス、光学デバイスなども、本発明の範囲内に入る。
【0065】
本法はさらに、そうしようと思えば、より広い競技選手のデータ保存、分析、および抽出システムの一部となることも可能であると考えられる。すなわち、そのゲームに適した新規装備を推薦するよう、その人口動態統計およびゲーム統計が、各種プログラムによる見直しまたは分析のために保存されるシステムである。このようなプログラムまたはデータは、スマートフォンなどの携帯デバイス、または、その他のパソコン装置の上で走らせることが可能であろうと考えられ、その場合、データ観察について互いに承認を与えたユーザー同士が、データを共有する可能性も考えられる。プライバシーに対する保護策も、本発明の意図の範囲内にあると考えられる。
【0066】
システムに関する上の記述は、ゴルファーに対し相応のゴルフボールを選ぶ、もっぱら客観的方法にばかり注目してきたが、本法は、ゴルフボール適性分析の主観的方法による方法と組み合わせてもよい。例えば、米国特許第____号、最近では、2009年7月7日出願、名称「ゴルフボール適合分析のための方法およびシステム」なる、米国特許出願公開第12/498,364号は、ゴルファーに対し相応のゴルフボールを選ぶ、主観的及び客観的方法を組み合わせた方法を開示する。なお、この特許文書の全体を引用により本明細書に含める。本明細書に記載される方法は、364出願において開示されるものと同様のシステム中の成分として使用してもよい。
【0067】
図6は、ボール適性分析システムの一部としてグリッドシステムを使用する方法600の一実施態様を示す。図6に示す実施態様では、ゴルファーは、第1グリッド使用ステップ610においてボールをグリッドに向かって打つ。第2グリッド使用ステップ620では、監視システムが、ゴルフボールのグリッド位置を捕捉する。次に、第3グリッド使用ステップ630において、ゴルフボールのグリッド位置は、スウィングプロフィール決定モジュールに通信される。このスウィングプロフィール決定モジュールは、例えば、グリッド位置を一つ以上のスウィングプロフィール特徴と相関させる情報を含むデータベースにアクセスすることによって、ゴルファーの一つ以上のスウィングプロフィール特徴を推定するか、又はその他のやり方で決定する。次に、第4グリッド使用ステップ640において、該一つ以上のスウィングプロフィール特徴はボール適性分析システムに通信される。第5グリッド使用ステップ650では、ボール適性分析システムは、ゴルファーに対し最高適性ボールか、又は、ゴルファーに対し一群の適切又は適正なボール選択を選出する。
【0068】
別の実施態様では、これらのステップの手法又は順序は変更してよい。ある実施態様では、種々のステップを省略してよい。例えば、グリッド位置がゴルファータイプと一致することが仮定される場合、スウィングプロフィール決定モジュールステップは省略されてもよく、グリッド位置そのものを直接ボール適正分析システムに通信してもよい。
【0069】
これまで本発明の各種実施態様が説明されてきたわけであるが、この説明は、限定的であるよりはむしろ例示的であることを意図するものであり、本発明の範囲内において、さらに多くの実施態様及び実行例が可能であることは当業者には明白であろう。したがって、本発明は、添付の特許請求項及びその等価物に徴することを除き、限定されてはならない。さらに、種々の改変及び変更が、添付の特許請求項の範囲内において実行することが可能である。
【符号の説明】
【0070】
100 ボール適性分析
110 第1ステップ
120 第2ステップ
130 第3ステップ
140 第4ステップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴルフボール適性値を定量する方法であって:
ゴルファーによってグリッドに向かって打ち込まれるゴルフボールのグリッド位置を決定すること;
該ゴルフボールの、少なくとも一つの飛行特徴を決定すること;
ゴルフボールの該少なくとも一つの飛行特徴を用いて該ゴルファーの少なくとも一つのスウィングプロフィール特徴を推定すること;
該少なくとも一つのスウィングプロフィール特徴を用いて、該ゴルファーに相応しいゴルフボールを選択することを含み、
該少なくとも一つのスウィングプロフィール特徴が、クラブヘッドスピード、打ち上げ角度、及びアタック角度の内の一つ以上を含み、且つ、
該少なくとも一つの飛行特徴が、ボールスピード、合計ボールスピン、ボール軌道、及び総距離の内の一つ以上を含むことを特徴とする、
前記方法。

【請求項2】
前記少なくとも一つのスウィングプロフィール特徴を推定する工程が、飛行特徴に一致するスウィングパラメータのデータベースにアクセスすることによって実行されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。

【請求項3】
前記データベースが、下記の工程:
ロボットに、ゴルフクラブを振ってゴルフボールをグリッドに向かって打ち込むように指令すること、その際、該ロボットは、スウィングプロフィール特徴を種々に組み合わせてゴルフクラブを振るようにプログラムされる;及び、
該種々の組み合わせのスウィングパラメータのそれぞれについてゴルフボールのグリッド位置の情報を収集すること;
によって創出されることを特徴とする、請求項2に記載の方法。

【請求項4】
前記グリッドが、一つ以上の光源及び一つ以上の受光器によって形成されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。

【請求項5】
前記グリッドがフレームによって形成されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。

【請求項6】
前記グリッドが、布から形成されるメッシュであることを特徴とする、請求項5に記載の方法。

【請求項7】
前記フレームが剛性部材を含み、該剛性部材の間にパネルが配置されることを特徴とする、請求項5に記載の方法。

【請求項8】
前記パネルが脆弱であることを特徴とする、請求項7に記載の方法。

【請求項9】
ゴルファーに相応しいゴルフボールを選択するためのシステム用のデータベース編集法であって、該データベースが、下記の工程:
ロボットにゴルフクラブを振らせ、種々のスウィングプロフィールの一つにおいてゴルフボールをグリッドに向かって打ち込むようにプログラムすること;
該ロボットに、該グリッドに向かって該ゴルフボールを打ち込むように指令すること;及び、
該種々の組み合わせのゴルフスウィングパラメータに対応するゴルフボールの飛行特徴に関する情報を保存すること、
によって編集され、
ゴルフボールの飛行特徴は、ボールスピード、ボールスピン、ボール軌道、及び総距離の内の一つ以上を含み、且つ、
ゴルファーのスウィングのパラメータは、クラブヘッドスピード、打ち上げ角度、及びアタック角度の内の一つ以上を含む、
ことを特徴とする方法。

【請求項10】
前記ロボットに、前記ゴルフクラブを振って前記ゴルフボールを前記グリッドに向かって打ち込むようにプログラムした後で、前記種々のスウィングプロフィール中の異なるスウィングプロフィールによって前記工程を繰り返すことを特徴とする、請求項9に記載の方法。

【請求項11】
前記種々のスウィングプロフィールが、ある特定数のスウィングプロフィールを含み、前記プロセスが、該特定数のスウィングプロフィールだけ繰り返されることを特徴とする、請求項10に記載の方法。

【請求項12】
前記グリッドが仮想グリッドであることを特徴とする、請求項9に記載の方法。

【請求項13】
前記グリッドが物理的グリッドであることを特徴とする、請求項9に記載の方法。

【請求項14】
グリッド;
監視システム;
スウィングプロフィール決定モジュール;及び、
ゴルフボール選択モジュール
を含むゴルフボール適性分析システム。

【請求項15】
前記グリッドがメッシュを含むことを特徴とする、請求項14に記載のゴルフボール適性分析システム。

【請求項16】
前記グリッドが光電システムを含むことを特徴とする、請求項14に記載のゴルフボール適性分析システム。

【請求項17】
前記グリッドが少なくとも一つのレーザーを含むことを特徴とする、請求項14に記載のゴルフボール適性分析システム。

【請求項18】
前記監視システムが、画像捕捉システムを含むことを特徴とする、請求項14に記載のゴルフボール適性分析システム。

【請求項19】
前記スウィングプロフィール決定モジュールが、前記グリッドにおける位置を、スウィングプロフィール特徴と相関させるデータベースを含むことを特徴とする、請求項14に記載のゴルフボール適性分析システム。

【請求項20】
前記ゴルフボール適性分析システムが、スウィングプロフィール特徴をゴルフボールと相関させるデータベースを含むことを特徴とする、請求項14に記載のゴルフボール適性分析システム。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図4】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−20131(P2012−20131A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−153619(P2011−153619)
【出願日】平成23年7月12日(2011.7.12)
【出願人】(505424859)ナイキ インターナショナル リミテッド (249)