ゴルフ練習具
【課題】
スロースイングからフルスイングまで、正しいボディーターンと正確なスイングプレーンの両方を習得できるゴルフ練習具を提供する。
【解決手段】
請求項1に記載の発明は、スイング中にほとんど撓みを生じない硬質性のシャフトの外径を該シャフトの長手方向に亘って一定に形成すると共に、該シャフトの一端部に、両手の間隔を空けて握る長尺グリップを備え、
前記シャフトの長さ方向の中心よりも前記長尺グリップ側に重心を位置させつつ、前記シャフトの他端から長さ方向中心までの重量を増すウェイトを備えたゴルフ練習具である。前記シャフトの他端に通常の長さの通常グリップを備えることによって、前記ウェイトとすることも可能である。シャフトの一端から当該重心までの長さと、前記シャフトの他端から当該重心までの長さとが、1:1.3乃至1:2となる位置に、前記重心が設定されていることが好ましい。
スロースイングからフルスイングまで、正しいボディーターンと正確なスイングプレーンの両方を習得できるゴルフ練習具を提供する。
【解決手段】
請求項1に記載の発明は、スイング中にほとんど撓みを生じない硬質性のシャフトの外径を該シャフトの長手方向に亘って一定に形成すると共に、該シャフトの一端部に、両手の間隔を空けて握る長尺グリップを備え、
前記シャフトの長さ方向の中心よりも前記長尺グリップ側に重心を位置させつつ、前記シャフトの他端から長さ方向中心までの重量を増すウェイトを備えたゴルフ練習具である。前記シャフトの他端に通常の長さの通常グリップを備えることによって、前記ウェイトとすることも可能である。シャフトの一端から当該重心までの長さと、前記シャフトの他端から当該重心までの長さとが、1:1.3乃至1:2となる位置に、前記重心が設定されていることが好ましい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基本スイングの練習に好適なゴルフ練習具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ゴルフの正しい基本スイングを習得するには、一般に、『体と腕を正しく同調させる正しいボディーターンを習得する練習』と、『正しいスイング軌道を習得する練習』をすることが有効であると言われている。
【0003】
そして、正しいボディーターンを習得する練習をするには、手首の返しと、手打ちができない状況を強制的に作り出すことで、体全体を回転させて、体と腕を正しく同調させてスイングする練習が有効的である。
【0004】
又、正しいスイング軌道を習得するためには、スイングをゆっくりすることで、スイング軌道を確認し、スイングのスピードを徐々に高める練習をすることが有効である。
【0005】
一方、従来、ゴルフの練習としては、『ドライバーで素振りをする練習』、『ほうきを振る練習』、『硬質性のシャフトの一端にグリップを設け、他端に錘を設けた器具で行うスイングの練習』、『両端部にグリップが設けられた軟質性のシャフトを振る練習』、『通常のゴルフクラブのシャフトの両端に、通常のゴルフクラブのグリップを設けた器具で行うスイングの練習』等をすることが行われていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、ドライバーで素振りをする練習の場合には以下の欠点があった。ドライバーは、ヘッドが重く、重心がヘッド側にあるために、ドライバーをスイングした場合には、ドライバーをスイングした際に生じる大きな慣性力でドライバーが振り回され易い。このため、ドライバーで素振りをする練習の場合には手首が返り易く、又、手打ちになり易いという実情があった。
【0007】
つまり、ドライバーで素振りをする練習の場合には、手首が返ったり、手打ちになり易いために、体と腕とを同調させたボディーターンの練習をすることができにくい。
【0008】
又、ヘッド近傍のシャフトが細く、ヘッドが重いため、ドライバーをスロースイングした際にも、シャフトにブレとしなりが生じ、スイング軌道を確認しにくく、又、ヘッドの重みによって、疲れ易いというような様々な問題があった。更に、ドライバーをフルスイングした際にはヘッドに大きな慣性力が生じてシャフトがしなるため、シャフトのスイング軌道を確認しづらい。更に、ヘッドがあるために、ゴルフ練習者の注意がヘッドに向き易く、シャフトのスイング軌道を確認しづらいという問題点もあった。このように、ドライバーで素振りをする練習の場合には、『ボディーターンの練習』、及び、『正しいスイング軌道の習得』の双方の練習に不向きである。
【0009】
ほうきを振る練習の場合には、ほうきを振る際の空気抵抗が大きいために、練習者はこの大きな空気抵抗に打ち勝つように、体を回転させながら腕全体でスイングすることになるため、ボディーターンの練習には有効的であるが、練習者は、大きな空気抵抗に打ち勝つように、ほうきを振らなければならいために、練習を長時間することが困難であった。
【0010】
又、ほうきを振る練習においては、ほうきをゆっくり振った場合には、前述の大きな空気抵抗が生じないが、ほうきの形態は、実際のゴルフクラブとは大きく異なるために、実際のゴルフクラブを振った際における理想的なスイング軌道をほうきを振る練習によって習得することはできない。このように、ほうきを振る練習においては、『ボディーターンの練習』は可能であるとしても、『正しいスイング軌道の習得』をすることはできない。
【0011】
又、スイング練習器として市場に数多く流通しているものとして、図12に示すように、硬質性のシャフト100の一端にグリップ101を設け、他端に錘102を設けた器具が知られている。しかし、当該器具は、グリップ101を握って行うスイングによって筋肉を増強する、いわゆる、筋肉トレーニングの練習器であって、『ボディーターンの練習』及び『正しいスイング軌道を習得する練習』をするものではない。
【0012】
又、前述した軟質性のシャフトの両端にグリップを設けた器具はボディーターンの練習をすることを目的に考案された器具である。この器具を用いてスイングの練習をする場合には、シャフトが柔らかく、自重によって、いわゆる、くねくねと曲がり易いために、この軟質性のシャフトが曲がらないようにスロースイングすることで、体の回転と腕とを同調させたボディーターンの練習をするためには有効である。しかし、軟質性シャフトが曲がらないようにゆっくり振らなければならないために、軟質性シャフトをフルスイングする練習をすることはできない。このように、軟質性のシャフトの両端にグリップを設けた器具を用いたスイングの練習においては、スロースイングのボディーターンの練習は可能であるとしても、フルスイングのボディーターンの練習をすることはできない。又、シャフトが軟質性で、自重によって、いわゆる、クネクネと曲がり易いために、正しいスイング軌道の練習をすることもできない。
【0013】
更に、スイング軌道の練習をすることを目的に考案された、通常のゴルフクラブのシャフトの両端に、互いに同じ型の通常のゴルフクラブのグリップを設けたゴルフ練習用の器具も知られている。この器具を用いてスイングの練習をする場合、この器具は軽量のため、ゆっくりと目視でスイング軌道を確認することができ、又、疲労感も少ない。しかし、以下の問題点があった。
A.器具の重心がシャフトのほぼ中央のため、先端側に重量感覚がなく、体でスイング軌道を感じられない。
B.軽量過ぎて(約170グラムから200グラム)、実際のドライバー(約280グラム)とのスイング感覚があまりにも違う。
C.先端側が細いため、フルスイングした際にシャフトがしなって、スイング軌道を確認しずらい。
【0014】
以上のように、従来、行われていた練習方法においては、スロースイングからフルスイングまで、ボディーターンと、スイング軌道の矯正の両方を練習できる好適な器具がなかった。
【0015】
一方、特許文献1には、シャフトの両端に、通常のグリップの3/4程度の短い片手用グリップと、通常サイズの両手用グリップとが設けられた練習用ゴルフクラブが開示されている。その練習目的は、『片手用グリップを握ってスイング軌道の練習をする。』、『両手用グリップを握って、実際のゴルフクラブと同じ感覚でスイングの練習をする。』ことにある。しかし、当該特許文献1に記載の発明は、通常の両手用のグリップの他に片手用のグリップを設け、更に、片手用のグリップ側に錘を設けた構造である。この器具は、きき腕の反対側の腕でこの片手用のグリップを握ってスイングすることで、スイング軌道の練習をすることができる。しかし、この器具を用いたゴルフ練習においては、以下の問題点があった。
D.片手用のグリップを、利き腕と反対側の手で握ってスイング軌道の練習をすることは特別な方法であって、現実的な練習ではない。又、片手用グリップを握ってスイングする場合、片手用のグリップ側に設けられている錘のために、手元調子になって先端側に重量感覚が全くなく、体でスイング軌道を感じられない上に、当然、片手用グリップを握ってスイングする場合には、ボディーターンの練習にもならない。
E.両手用のグリップを握ってスイングする場合、錘の影響でドライバーのように、先調子になって、手首が返ったり、手打ちになり易いために、ボディターンの練習にはならないだけでなく、ドライバーのように先端が重く、正しいスイング軌道を習得する練習にもならない。
F.長さも野球用のバット程度であって、ゴルフ練習用としては実践的でない。
【0016】
本発明は、前記背景技術の問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、スロースイングからフルスイングまで、正しいボディーターンと正確なスイングプレーンの両方を習得できるゴルフ練習具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
請求項1に記載の発明は、スイング中にほとんど撓みを生じない硬質性のシャフトの外径を該シャフトの長手方向に亘って一定に形成すると共に、該シャフトの一端部に、両手の間隔を空けて握る長尺グリップを備え、
前記シャフトの長さ方向の中心よりも前記長尺グリップ側に重心を位置させつつ、前記シャフトの他端から長さ方向の中心までの重量を増すウェイト備えたことを特徴とするものである。
【0018】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記シャフトの他端に通常の長さの通常グリップを備えることによって、前記ウェイトとしたことを特徴とするものである。
【0019】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、両端にグリップが取り付けられた状態において、長手方向における重心が、長尺グリップの端から当該重心までの長さと、通常グリップの端から当該重心までの長さとが、1:1.3乃至1:2となる位置に設定されていることを特徴とするものである。
【0020】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至請求項2の何れか1項に記載の発明において、長さが、ドライバークラブにおけるヘッド部分を除いた長さとほぼ等しいことを特徴とするものである。
【0021】
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の発明において、硬質性シャフトが、円筒状に形成され、その直径は長手方向に亘って一定であると共に、当該直径は約13mm〜17mmであることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0022】
請求項1に記載の発明によれば、ゴルフ練習者は、長尺グリップを両手の間隔をあけて握ってスイングするために、スイングの際に手首の返しや手打ちになりにくい。このため、スイングの際に、体全体と腕とを同調させてスイングすることができることで、ボディーターンの練習をすることができると共に、その際の感覚を体感して記憶し、記憶した感覚を実際のゴルフプレーの際に生かすことができる。又、ゴルフ練習者は、両手の間隔を開けて長尺グリップを握っても、両手が長尺グリップからはみ出ない状態で、スイングすることができる。このため、ゴルフ練習者は、スロースイングからフルスイングに亘って、長尺グリップを、滑ることなく、しっかりと握って、正しいスイングを練習することができる。又、シャフトは、その外径が長さ方向に亘って一定である。このため、通常のドライバシャフトのように先端側へ向けてテーパになっている場合と異なって、ゴルフ練習者は、ゴルフ練習具をフルスイングしてもゴルフ練習具がブレやしなりが起きにくい状態で、スイングすることができる。又、先端に、重量を増すウェイトを備えているため、極端に軽過ぎず、ドライバーを意識できる重さでスイングすることができる。このように、請求項1に記載の発明によれば、スロースイングからフルスイングに亘って、実際のゴルフクラブの重量に近い感覚を維持しながら正しいゴルフスイングの練習をすることができ、正しいスイング感覚を体感することができる。
【0023】
請求項2に記載の発明によれば、ゴルフ練習者が、通常グリップを握ってスイングする場合、通常のドライバークラブと異なってヘッドがないために、先端側が極端に重くなく、従って、スイングの途中で大きな慣性力が発生してゴルフ練習具がブレることもなく、正しいスイング軌道を意識し、且つ、確認しながらスイングできる。
【0024】
請求項3に記載の発明によれば、長尺グリップを握ってスイングする場合、重心が、ゴルフ練習具の長手方向の中心より長尺グリップ側に接近した位置にあって、いわゆる手元調子になるため、ゴルフ練習具の先端側を重く感じることがない。その結果、スイングした際に、大きな慣性力が発生しないために、ゴルフ練習者はゴルフ練習具で振り回されるようにしてスイングすることがない。従って、ゴルフ練習者の手首が返ることが無く、又、手打ちにならない。又、このような効果と、両手の間隔を開けて長尺グリップを握ってスイングする練習との相乗効果で、より正しいボディーターンの練習をすることができる。一方、通常グリップを握ってスイングする際には、いわゆる先調子になる。つまり、スイング軌道を目視で確認するだけではなく、先端側に、長尺グリップによる、ある程度の重さが存在することでスイング軌道を体で感じながら正しいスイング軌道の練習をすることができる。
【0025】
請求項4に記載の発明によれば、全長が通常のドライバークラブのヘッドを除いた部分と同程度であるために、ヘッドの仮想位置をイメージし易く、実際のドライバークラブにおける正しいスイング軌道を確認しながらスイングすることができる。
【0026】
請求項5に記載の発明によれば、シャフトの外径が13mm以上であるために、フルスイングしてもブレることが無く、又、シャフトの外径が17mm以下であるために、実際のドライバーを持ったときと同じ感覚で練習することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】ゴルフ練習具の斜視図である。
【図2】ゴルフ練習具の断面図である。
【図3】ゴルフ練習具の側面図である。
【図4】ゴルフ練習具の作用を説明する図である。
【図5】ゴルフ練習具の作用を説明する図である。
【図6】ゴルフ練習具の作用を説明する図である。
【図7】ゴルフ練習具の作用を説明する図である。
【図8】ゴルフ練習具の作用を説明する図である。
【図9】ゴルフ練習具の作用を説明する図である。
【図10】ゴルフ練習具の変型例を示す側面図である。
【図11】ゴルフ練習具の別の使い方を示す図である。
【図12】背景技術のゴルフ練習具を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
ゴルフ練習具1は、円筒状で且つ棒状に形成された硬質性のシャフト2と、シャフト2の一端に設けられた長尺グリップ3と、他端に設けられた通常グリップ4とからから構成されている。そして、このゴルフ練習具1の全体の重量は好適には230グラムであり、実際のドライバーの重量である約280グラムより若干軽量となっている。
【0029】
前記シャフト2は、ゴルフクラブのシャフトと同質の素材で形成されている。ここで、硬質性とは、スイング中に、ほとんど撓みを生じない程度の硬さをいうものとする。尚、この硬さは、実際のドライバーに用いられるシャフトの手元の太い部分の硬さと同程度である。又、このゴルフ練習具1の全長は約1070mmであって、通常のドライバークラブからヘッドを除いた長さとほぼ同じに設定されている。又、シャフト2の断面の直径は、シャフト2の長さ方向に亘って一定である。当該断面の外径は、約13mmから約17mmである。
【0030】
前記通常グリップ4は、一般のゴルフクラブに設けられているグリップと形態、材質において同様のものである。
【0031】
又、前記長尺グリップ3は、その素材は前記通常グリップ4と同様であるが、図3に示すように、長尺グリップ3の長さL1は、通常グリップの長さL2よりも長い。従って、長尺グリップ3の重量は、通常グリップ4の重量よりも重い。長尺グリップ3の重量は100グラム近傍の重量であり、通常グリップの重量は、約30グラムから約50グラムであり、長尺グリップ3を握ってスイングする際において、重量バランス用のウェイトとして機能するものである。前記L1の好適な長さは、約32cmであり、又、前記L2は、通常約25.5cmである。又、前記シャフト2の重量は、約80グラムである。
【0032】
前述のように、長尺グリップ3が通常グリップ4よりも重いために、ゴルフ練習具1の重心Gは、ゴルフ練習具1の長さ方向の中心Pよりも長尺グリップ3側に近寄った位置にある。ここで、前記重心Gの位置は、前記長尺グリップ3の重量と、通常グリップ4の重量との兼ね合いによって定まるが、長尺グリップ3の端から重心Gまでの長さL3と、通常グリップ4の端から重心Gまでの長さL4とは、約1:1.3乃至1:2であることが好ましい。
【0033】
次に作用について説明する。先ず、ボディーターンの練習をする場合について説明する。図4に示すように、ゴルフ練習者Sは、ゴルフ練習具の長尺グリップ3を両手5,6で握る。この際、左右の手5,6は、一握りないし二握りの拳の幅程度を開ける。長尺グリップ3は、その長さが通常グリップ4よりも長いために、左右の手5,6の間を開けて長尺グリップ3を握っても、手5,6が長尺グリップ3からはみ出ることはなく、ゴルフ練習者Sは、長尺グリップ3を滑ることなく、しっかりと握ることができる。
【0034】
この握りのまま、ゴルフスイングの練習をするのであって、先ず、図5に示すように、アドレスをとる。次に、図6に示すようにゴルフ練習具1を振りかぶり、次に、図7に示すように、ゴルフ練習具1を振り下ろす。
【0035】
ところで、左右の手5,6同士を接触させて、通常通りにスイングする場合、手首が返り易く、手打ちになり易いという問題があった。しかし、前述のように、左右の手5,6の間に隙間を開けて長尺グリップ3を握った状態で、スイングした場合、手首が返ることがなく、又、手打ちを避けることができて、体を自然に回転させてスイングする練習をすることができる。つまり、手首の返しや手打ちを避けたまま体を回転させてスイングする状態を体感して記憶することができるため、理想的なボディーターンの練習をすることができる。
【0036】
又、前述のように、長尺グリップ3を握った場合、ゴルフ練習具1の重心Gは、ゴルフ練習具1の長さ方向の中心Pよりもゴルフ練習者Sの手元に近い側にある。つまり、ゴルフ練習者Sがゴルフ練習具1を握った場合、ゴルフ練習具1の先端側は、通常のゴルフクラブを握った場合と比較して、重く感じない。その結果、ゴルフ練習具1をスイングした場合、大きな慣性力は発生しないために、ゴルフ練習具1で振り回されるようにしてスイングすることが無く、従って、手首が返ることもなく、手打ちにもならない。このように、ボディーターンの感覚を体感して記憶することで、記憶した感覚を実際のゴルフプレーに生かすことができる。
【0037】
次に、正しいスイング軌道を習得する練習をする場合について説明する。この場合、図8に示すように、一般のゴルフクラブを握る場合と同様に、通常グリップ4を両手で握る。ゴルフ練習具1は通常のドライバークラブと異なってヘッドがなくて軽量であり、又、シャフトが手元側から先端側まで一定の太さであるため、図9に示すように、ゴルフ練習者Sはスイング軌道Mを確認しながらゆっくりとスイングすることができる。
【0038】
しかも、ゴルフ練習具1は、通常のドライバークラブとは異なってヘッドが無いために、先端が極端に重くはなく、しかも、硬質性のシャフト2を用いているため、スイングの途中で、大きな慣性力が発生してゴルフ練習具1が揺れることもなく、更に、当該ゴルフ練習具1の全長が、通常のドライバークラブからヘッドを除いた長さと同程度であるため、ヘッドの仮想位置をイメージし易く、実際のドライバーにおける正しいスイング軌道Mを意識し、且つ、確認しながらスイングすることができる。
【0039】
更に、ゴルフ練習者Sがゴルフ練習具1の通常グリップ4を握った場合、ゴルフ練習具1の重心Gは、ゴルフ練習具1の長さ方向の中心Pよりも先端側に位置し、ゴルフ練習具1の先端側に、ある程度の重さを体感できる。
【0040】
又、ゴルフ練習具1のシャフト2の直径を13mm以上にした場合、当該直径を12mm未満にした場合と比較して、ゴルフ練習具1をフルスイングしてもシャフト2がブレたり、しなったりしないために、スイング軌道の確認を正確に行うことができる。又、当該シャフト2の直径を13mmから17mmにした場合、市場に流通している長尺グリップや通常グリップのほとんどがシャフト2の両端に取り付けられることができる。当該シャフト2の直径を15mmにした場合、この寸法は、一般のゴルフクラブのグリップ部の直径と同じであるために、通常のゴルフクラブを握っている感覚でゴルフ練習具1をスイングすることができる。又、通常のゴルフクラブのゴルフヘッドの重量が約150グラムであるのに対し、ゴルフ練習具1の長尺グリップ3の重量が約100グラムであるために、両者の差分(約50グラム)、ゴルフ練習具1が軽量になるため、このゴルフ練習具1を用いてスイングの練習をする場合、疲労感を感じることが少なく、かつ、ドライバーの重量に近い感覚でスイングできる。
【0041】
又、ゴルフ練習具1は、実際のドライバークラブや、背景技術で説明したいわゆる筋肉トレーニング用の練習器とは異なってヘッドが無く、軽量化されているために、持ち運びが容易で、練習中に誤って何かを強打する危険もなく、安全性に優れ、周囲に与える違和感を抑制できる効果も有する。
【0042】
更に、前述のように、当該ゴルフ練習具1は、通常のドライバークラブよりも軽量であるため、当該ゴルフ練習具1で練習した後に実際のドライバークラブをスイングしてみると、ヘッドの重みを実感できる。即ち、正しいスイングを習得できると同時に、ドライバークラブをスイングした時のヘッドの位置感覚が生じるため、正確にヘッドをゴルフボールに当てることができるようになる。
【0043】
以上の説明においては、シャフト2の一端に長尺グリップ3を設け、他端に通常グリップ4を設けたゴルフ練習具1を用いた場合について説明したが、図10に示すように、シャフト2の他端にウェイトWを設けることも可能である。このウェイトWは、前記シャフト2の長さ方向中心Pよりも前記長尺グリップ3側に重心Gを接近させつつ、前記シャフト2の他端から長さ方向中心Pまでの重量を増すように設定される。そして、長尺グリップ3を握ってスイングすることで、図4乃至図7に示すように、ボディーターンの練習をすることができる。このウェイトWの重量としては、約30グラムから約50グラム程度が好ましく、シャフト2の先端側に装着して固定する合成樹脂又はゴム等で形成することができる。
【0044】
更に又、図11に示すように、当該ゴルフ練習具1の両端のグリップ3,4を握って、ストレッチ運動もすることができる。
【0045】
尚、本発明は以上の実施形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で変更できるものである。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、ゴルフの正しい基本スイングを習得する際に用いられる。
【符号の説明】
【0047】
1 ゴルフ練習具
2 シャフト
3 長尺グリップ
4 通常グリップ
G 重心
P シャフトの長手方向中心
W ウェイト
【先行技術文献】
【特許文献】
【0048】
【特許文献1】特開2000−14850号公報
【技術分野】
【0001】
本発明は、基本スイングの練習に好適なゴルフ練習具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ゴルフの正しい基本スイングを習得するには、一般に、『体と腕を正しく同調させる正しいボディーターンを習得する練習』と、『正しいスイング軌道を習得する練習』をすることが有効であると言われている。
【0003】
そして、正しいボディーターンを習得する練習をするには、手首の返しと、手打ちができない状況を強制的に作り出すことで、体全体を回転させて、体と腕を正しく同調させてスイングする練習が有効的である。
【0004】
又、正しいスイング軌道を習得するためには、スイングをゆっくりすることで、スイング軌道を確認し、スイングのスピードを徐々に高める練習をすることが有効である。
【0005】
一方、従来、ゴルフの練習としては、『ドライバーで素振りをする練習』、『ほうきを振る練習』、『硬質性のシャフトの一端にグリップを設け、他端に錘を設けた器具で行うスイングの練習』、『両端部にグリップが設けられた軟質性のシャフトを振る練習』、『通常のゴルフクラブのシャフトの両端に、通常のゴルフクラブのグリップを設けた器具で行うスイングの練習』等をすることが行われていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、ドライバーで素振りをする練習の場合には以下の欠点があった。ドライバーは、ヘッドが重く、重心がヘッド側にあるために、ドライバーをスイングした場合には、ドライバーをスイングした際に生じる大きな慣性力でドライバーが振り回され易い。このため、ドライバーで素振りをする練習の場合には手首が返り易く、又、手打ちになり易いという実情があった。
【0007】
つまり、ドライバーで素振りをする練習の場合には、手首が返ったり、手打ちになり易いために、体と腕とを同調させたボディーターンの練習をすることができにくい。
【0008】
又、ヘッド近傍のシャフトが細く、ヘッドが重いため、ドライバーをスロースイングした際にも、シャフトにブレとしなりが生じ、スイング軌道を確認しにくく、又、ヘッドの重みによって、疲れ易いというような様々な問題があった。更に、ドライバーをフルスイングした際にはヘッドに大きな慣性力が生じてシャフトがしなるため、シャフトのスイング軌道を確認しづらい。更に、ヘッドがあるために、ゴルフ練習者の注意がヘッドに向き易く、シャフトのスイング軌道を確認しづらいという問題点もあった。このように、ドライバーで素振りをする練習の場合には、『ボディーターンの練習』、及び、『正しいスイング軌道の習得』の双方の練習に不向きである。
【0009】
ほうきを振る練習の場合には、ほうきを振る際の空気抵抗が大きいために、練習者はこの大きな空気抵抗に打ち勝つように、体を回転させながら腕全体でスイングすることになるため、ボディーターンの練習には有効的であるが、練習者は、大きな空気抵抗に打ち勝つように、ほうきを振らなければならいために、練習を長時間することが困難であった。
【0010】
又、ほうきを振る練習においては、ほうきをゆっくり振った場合には、前述の大きな空気抵抗が生じないが、ほうきの形態は、実際のゴルフクラブとは大きく異なるために、実際のゴルフクラブを振った際における理想的なスイング軌道をほうきを振る練習によって習得することはできない。このように、ほうきを振る練習においては、『ボディーターンの練習』は可能であるとしても、『正しいスイング軌道の習得』をすることはできない。
【0011】
又、スイング練習器として市場に数多く流通しているものとして、図12に示すように、硬質性のシャフト100の一端にグリップ101を設け、他端に錘102を設けた器具が知られている。しかし、当該器具は、グリップ101を握って行うスイングによって筋肉を増強する、いわゆる、筋肉トレーニングの練習器であって、『ボディーターンの練習』及び『正しいスイング軌道を習得する練習』をするものではない。
【0012】
又、前述した軟質性のシャフトの両端にグリップを設けた器具はボディーターンの練習をすることを目的に考案された器具である。この器具を用いてスイングの練習をする場合には、シャフトが柔らかく、自重によって、いわゆる、くねくねと曲がり易いために、この軟質性のシャフトが曲がらないようにスロースイングすることで、体の回転と腕とを同調させたボディーターンの練習をするためには有効である。しかし、軟質性シャフトが曲がらないようにゆっくり振らなければならないために、軟質性シャフトをフルスイングする練習をすることはできない。このように、軟質性のシャフトの両端にグリップを設けた器具を用いたスイングの練習においては、スロースイングのボディーターンの練習は可能であるとしても、フルスイングのボディーターンの練習をすることはできない。又、シャフトが軟質性で、自重によって、いわゆる、クネクネと曲がり易いために、正しいスイング軌道の練習をすることもできない。
【0013】
更に、スイング軌道の練習をすることを目的に考案された、通常のゴルフクラブのシャフトの両端に、互いに同じ型の通常のゴルフクラブのグリップを設けたゴルフ練習用の器具も知られている。この器具を用いてスイングの練習をする場合、この器具は軽量のため、ゆっくりと目視でスイング軌道を確認することができ、又、疲労感も少ない。しかし、以下の問題点があった。
A.器具の重心がシャフトのほぼ中央のため、先端側に重量感覚がなく、体でスイング軌道を感じられない。
B.軽量過ぎて(約170グラムから200グラム)、実際のドライバー(約280グラム)とのスイング感覚があまりにも違う。
C.先端側が細いため、フルスイングした際にシャフトがしなって、スイング軌道を確認しずらい。
【0014】
以上のように、従来、行われていた練習方法においては、スロースイングからフルスイングまで、ボディーターンと、スイング軌道の矯正の両方を練習できる好適な器具がなかった。
【0015】
一方、特許文献1には、シャフトの両端に、通常のグリップの3/4程度の短い片手用グリップと、通常サイズの両手用グリップとが設けられた練習用ゴルフクラブが開示されている。その練習目的は、『片手用グリップを握ってスイング軌道の練習をする。』、『両手用グリップを握って、実際のゴルフクラブと同じ感覚でスイングの練習をする。』ことにある。しかし、当該特許文献1に記載の発明は、通常の両手用のグリップの他に片手用のグリップを設け、更に、片手用のグリップ側に錘を設けた構造である。この器具は、きき腕の反対側の腕でこの片手用のグリップを握ってスイングすることで、スイング軌道の練習をすることができる。しかし、この器具を用いたゴルフ練習においては、以下の問題点があった。
D.片手用のグリップを、利き腕と反対側の手で握ってスイング軌道の練習をすることは特別な方法であって、現実的な練習ではない。又、片手用グリップを握ってスイングする場合、片手用のグリップ側に設けられている錘のために、手元調子になって先端側に重量感覚が全くなく、体でスイング軌道を感じられない上に、当然、片手用グリップを握ってスイングする場合には、ボディーターンの練習にもならない。
E.両手用のグリップを握ってスイングする場合、錘の影響でドライバーのように、先調子になって、手首が返ったり、手打ちになり易いために、ボディターンの練習にはならないだけでなく、ドライバーのように先端が重く、正しいスイング軌道を習得する練習にもならない。
F.長さも野球用のバット程度であって、ゴルフ練習用としては実践的でない。
【0016】
本発明は、前記背景技術の問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、スロースイングからフルスイングまで、正しいボディーターンと正確なスイングプレーンの両方を習得できるゴルフ練習具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
請求項1に記載の発明は、スイング中にほとんど撓みを生じない硬質性のシャフトの外径を該シャフトの長手方向に亘って一定に形成すると共に、該シャフトの一端部に、両手の間隔を空けて握る長尺グリップを備え、
前記シャフトの長さ方向の中心よりも前記長尺グリップ側に重心を位置させつつ、前記シャフトの他端から長さ方向の中心までの重量を増すウェイト備えたことを特徴とするものである。
【0018】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記シャフトの他端に通常の長さの通常グリップを備えることによって、前記ウェイトとしたことを特徴とするものである。
【0019】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、両端にグリップが取り付けられた状態において、長手方向における重心が、長尺グリップの端から当該重心までの長さと、通常グリップの端から当該重心までの長さとが、1:1.3乃至1:2となる位置に設定されていることを特徴とするものである。
【0020】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至請求項2の何れか1項に記載の発明において、長さが、ドライバークラブにおけるヘッド部分を除いた長さとほぼ等しいことを特徴とするものである。
【0021】
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の発明において、硬質性シャフトが、円筒状に形成され、その直径は長手方向に亘って一定であると共に、当該直径は約13mm〜17mmであることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0022】
請求項1に記載の発明によれば、ゴルフ練習者は、長尺グリップを両手の間隔をあけて握ってスイングするために、スイングの際に手首の返しや手打ちになりにくい。このため、スイングの際に、体全体と腕とを同調させてスイングすることができることで、ボディーターンの練習をすることができると共に、その際の感覚を体感して記憶し、記憶した感覚を実際のゴルフプレーの際に生かすことができる。又、ゴルフ練習者は、両手の間隔を開けて長尺グリップを握っても、両手が長尺グリップからはみ出ない状態で、スイングすることができる。このため、ゴルフ練習者は、スロースイングからフルスイングに亘って、長尺グリップを、滑ることなく、しっかりと握って、正しいスイングを練習することができる。又、シャフトは、その外径が長さ方向に亘って一定である。このため、通常のドライバシャフトのように先端側へ向けてテーパになっている場合と異なって、ゴルフ練習者は、ゴルフ練習具をフルスイングしてもゴルフ練習具がブレやしなりが起きにくい状態で、スイングすることができる。又、先端に、重量を増すウェイトを備えているため、極端に軽過ぎず、ドライバーを意識できる重さでスイングすることができる。このように、請求項1に記載の発明によれば、スロースイングからフルスイングに亘って、実際のゴルフクラブの重量に近い感覚を維持しながら正しいゴルフスイングの練習をすることができ、正しいスイング感覚を体感することができる。
【0023】
請求項2に記載の発明によれば、ゴルフ練習者が、通常グリップを握ってスイングする場合、通常のドライバークラブと異なってヘッドがないために、先端側が極端に重くなく、従って、スイングの途中で大きな慣性力が発生してゴルフ練習具がブレることもなく、正しいスイング軌道を意識し、且つ、確認しながらスイングできる。
【0024】
請求項3に記載の発明によれば、長尺グリップを握ってスイングする場合、重心が、ゴルフ練習具の長手方向の中心より長尺グリップ側に接近した位置にあって、いわゆる手元調子になるため、ゴルフ練習具の先端側を重く感じることがない。その結果、スイングした際に、大きな慣性力が発生しないために、ゴルフ練習者はゴルフ練習具で振り回されるようにしてスイングすることがない。従って、ゴルフ練習者の手首が返ることが無く、又、手打ちにならない。又、このような効果と、両手の間隔を開けて長尺グリップを握ってスイングする練習との相乗効果で、より正しいボディーターンの練習をすることができる。一方、通常グリップを握ってスイングする際には、いわゆる先調子になる。つまり、スイング軌道を目視で確認するだけではなく、先端側に、長尺グリップによる、ある程度の重さが存在することでスイング軌道を体で感じながら正しいスイング軌道の練習をすることができる。
【0025】
請求項4に記載の発明によれば、全長が通常のドライバークラブのヘッドを除いた部分と同程度であるために、ヘッドの仮想位置をイメージし易く、実際のドライバークラブにおける正しいスイング軌道を確認しながらスイングすることができる。
【0026】
請求項5に記載の発明によれば、シャフトの外径が13mm以上であるために、フルスイングしてもブレることが無く、又、シャフトの外径が17mm以下であるために、実際のドライバーを持ったときと同じ感覚で練習することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】ゴルフ練習具の斜視図である。
【図2】ゴルフ練習具の断面図である。
【図3】ゴルフ練習具の側面図である。
【図4】ゴルフ練習具の作用を説明する図である。
【図5】ゴルフ練習具の作用を説明する図である。
【図6】ゴルフ練習具の作用を説明する図である。
【図7】ゴルフ練習具の作用を説明する図である。
【図8】ゴルフ練習具の作用を説明する図である。
【図9】ゴルフ練習具の作用を説明する図である。
【図10】ゴルフ練習具の変型例を示す側面図である。
【図11】ゴルフ練習具の別の使い方を示す図である。
【図12】背景技術のゴルフ練習具を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
ゴルフ練習具1は、円筒状で且つ棒状に形成された硬質性のシャフト2と、シャフト2の一端に設けられた長尺グリップ3と、他端に設けられた通常グリップ4とからから構成されている。そして、このゴルフ練習具1の全体の重量は好適には230グラムであり、実際のドライバーの重量である約280グラムより若干軽量となっている。
【0029】
前記シャフト2は、ゴルフクラブのシャフトと同質の素材で形成されている。ここで、硬質性とは、スイング中に、ほとんど撓みを生じない程度の硬さをいうものとする。尚、この硬さは、実際のドライバーに用いられるシャフトの手元の太い部分の硬さと同程度である。又、このゴルフ練習具1の全長は約1070mmであって、通常のドライバークラブからヘッドを除いた長さとほぼ同じに設定されている。又、シャフト2の断面の直径は、シャフト2の長さ方向に亘って一定である。当該断面の外径は、約13mmから約17mmである。
【0030】
前記通常グリップ4は、一般のゴルフクラブに設けられているグリップと形態、材質において同様のものである。
【0031】
又、前記長尺グリップ3は、その素材は前記通常グリップ4と同様であるが、図3に示すように、長尺グリップ3の長さL1は、通常グリップの長さL2よりも長い。従って、長尺グリップ3の重量は、通常グリップ4の重量よりも重い。長尺グリップ3の重量は100グラム近傍の重量であり、通常グリップの重量は、約30グラムから約50グラムであり、長尺グリップ3を握ってスイングする際において、重量バランス用のウェイトとして機能するものである。前記L1の好適な長さは、約32cmであり、又、前記L2は、通常約25.5cmである。又、前記シャフト2の重量は、約80グラムである。
【0032】
前述のように、長尺グリップ3が通常グリップ4よりも重いために、ゴルフ練習具1の重心Gは、ゴルフ練習具1の長さ方向の中心Pよりも長尺グリップ3側に近寄った位置にある。ここで、前記重心Gの位置は、前記長尺グリップ3の重量と、通常グリップ4の重量との兼ね合いによって定まるが、長尺グリップ3の端から重心Gまでの長さL3と、通常グリップ4の端から重心Gまでの長さL4とは、約1:1.3乃至1:2であることが好ましい。
【0033】
次に作用について説明する。先ず、ボディーターンの練習をする場合について説明する。図4に示すように、ゴルフ練習者Sは、ゴルフ練習具の長尺グリップ3を両手5,6で握る。この際、左右の手5,6は、一握りないし二握りの拳の幅程度を開ける。長尺グリップ3は、その長さが通常グリップ4よりも長いために、左右の手5,6の間を開けて長尺グリップ3を握っても、手5,6が長尺グリップ3からはみ出ることはなく、ゴルフ練習者Sは、長尺グリップ3を滑ることなく、しっかりと握ることができる。
【0034】
この握りのまま、ゴルフスイングの練習をするのであって、先ず、図5に示すように、アドレスをとる。次に、図6に示すようにゴルフ練習具1を振りかぶり、次に、図7に示すように、ゴルフ練習具1を振り下ろす。
【0035】
ところで、左右の手5,6同士を接触させて、通常通りにスイングする場合、手首が返り易く、手打ちになり易いという問題があった。しかし、前述のように、左右の手5,6の間に隙間を開けて長尺グリップ3を握った状態で、スイングした場合、手首が返ることがなく、又、手打ちを避けることができて、体を自然に回転させてスイングする練習をすることができる。つまり、手首の返しや手打ちを避けたまま体を回転させてスイングする状態を体感して記憶することができるため、理想的なボディーターンの練習をすることができる。
【0036】
又、前述のように、長尺グリップ3を握った場合、ゴルフ練習具1の重心Gは、ゴルフ練習具1の長さ方向の中心Pよりもゴルフ練習者Sの手元に近い側にある。つまり、ゴルフ練習者Sがゴルフ練習具1を握った場合、ゴルフ練習具1の先端側は、通常のゴルフクラブを握った場合と比較して、重く感じない。その結果、ゴルフ練習具1をスイングした場合、大きな慣性力は発生しないために、ゴルフ練習具1で振り回されるようにしてスイングすることが無く、従って、手首が返ることもなく、手打ちにもならない。このように、ボディーターンの感覚を体感して記憶することで、記憶した感覚を実際のゴルフプレーに生かすことができる。
【0037】
次に、正しいスイング軌道を習得する練習をする場合について説明する。この場合、図8に示すように、一般のゴルフクラブを握る場合と同様に、通常グリップ4を両手で握る。ゴルフ練習具1は通常のドライバークラブと異なってヘッドがなくて軽量であり、又、シャフトが手元側から先端側まで一定の太さであるため、図9に示すように、ゴルフ練習者Sはスイング軌道Mを確認しながらゆっくりとスイングすることができる。
【0038】
しかも、ゴルフ練習具1は、通常のドライバークラブとは異なってヘッドが無いために、先端が極端に重くはなく、しかも、硬質性のシャフト2を用いているため、スイングの途中で、大きな慣性力が発生してゴルフ練習具1が揺れることもなく、更に、当該ゴルフ練習具1の全長が、通常のドライバークラブからヘッドを除いた長さと同程度であるため、ヘッドの仮想位置をイメージし易く、実際のドライバーにおける正しいスイング軌道Mを意識し、且つ、確認しながらスイングすることができる。
【0039】
更に、ゴルフ練習者Sがゴルフ練習具1の通常グリップ4を握った場合、ゴルフ練習具1の重心Gは、ゴルフ練習具1の長さ方向の中心Pよりも先端側に位置し、ゴルフ練習具1の先端側に、ある程度の重さを体感できる。
【0040】
又、ゴルフ練習具1のシャフト2の直径を13mm以上にした場合、当該直径を12mm未満にした場合と比較して、ゴルフ練習具1をフルスイングしてもシャフト2がブレたり、しなったりしないために、スイング軌道の確認を正確に行うことができる。又、当該シャフト2の直径を13mmから17mmにした場合、市場に流通している長尺グリップや通常グリップのほとんどがシャフト2の両端に取り付けられることができる。当該シャフト2の直径を15mmにした場合、この寸法は、一般のゴルフクラブのグリップ部の直径と同じであるために、通常のゴルフクラブを握っている感覚でゴルフ練習具1をスイングすることができる。又、通常のゴルフクラブのゴルフヘッドの重量が約150グラムであるのに対し、ゴルフ練習具1の長尺グリップ3の重量が約100グラムであるために、両者の差分(約50グラム)、ゴルフ練習具1が軽量になるため、このゴルフ練習具1を用いてスイングの練習をする場合、疲労感を感じることが少なく、かつ、ドライバーの重量に近い感覚でスイングできる。
【0041】
又、ゴルフ練習具1は、実際のドライバークラブや、背景技術で説明したいわゆる筋肉トレーニング用の練習器とは異なってヘッドが無く、軽量化されているために、持ち運びが容易で、練習中に誤って何かを強打する危険もなく、安全性に優れ、周囲に与える違和感を抑制できる効果も有する。
【0042】
更に、前述のように、当該ゴルフ練習具1は、通常のドライバークラブよりも軽量であるため、当該ゴルフ練習具1で練習した後に実際のドライバークラブをスイングしてみると、ヘッドの重みを実感できる。即ち、正しいスイングを習得できると同時に、ドライバークラブをスイングした時のヘッドの位置感覚が生じるため、正確にヘッドをゴルフボールに当てることができるようになる。
【0043】
以上の説明においては、シャフト2の一端に長尺グリップ3を設け、他端に通常グリップ4を設けたゴルフ練習具1を用いた場合について説明したが、図10に示すように、シャフト2の他端にウェイトWを設けることも可能である。このウェイトWは、前記シャフト2の長さ方向中心Pよりも前記長尺グリップ3側に重心Gを接近させつつ、前記シャフト2の他端から長さ方向中心Pまでの重量を増すように設定される。そして、長尺グリップ3を握ってスイングすることで、図4乃至図7に示すように、ボディーターンの練習をすることができる。このウェイトWの重量としては、約30グラムから約50グラム程度が好ましく、シャフト2の先端側に装着して固定する合成樹脂又はゴム等で形成することができる。
【0044】
更に又、図11に示すように、当該ゴルフ練習具1の両端のグリップ3,4を握って、ストレッチ運動もすることができる。
【0045】
尚、本発明は以上の実施形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で変更できるものである。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、ゴルフの正しい基本スイングを習得する際に用いられる。
【符号の説明】
【0047】
1 ゴルフ練習具
2 シャフト
3 長尺グリップ
4 通常グリップ
G 重心
P シャフトの長手方向中心
W ウェイト
【先行技術文献】
【特許文献】
【0048】
【特許文献1】特開2000−14850号公報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スイング中にほとんど撓みを生じない硬質性のシャフトの外径を該シャフトの長手方向に亘って一定に形成すると共に、該シャフトの一端部に、両手の間隔を空けて握る長尺グリップを備え、
前記シャフトの長さ方向の中心よりも前記長尺グリップ側に重心を位置させつつ、前記シャフトの他端から長さ方向中心までの重量を増すウェイトを備えたことを特徴とするゴルフ練習具。
【請求項2】
前記シャフトの他端に通常の長さの通常グリップを備えることによって、前記ウェイトとしたことを特徴とする請求項1に記載のゴルフ練習具。
【請求項3】
前記シャフトの一端から当該重心までの長さと、前記シャフトの他端から当該重心までの長さとが、1:1.3乃至1:2となる位置に、前記重心が設定されていることを特徴とする請求項2に記載のゴルフ練習具。
【請求項4】
長さが、ドライバークラブにおけるヘッド部分を除いた長さとほぼ等しいことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載のゴルフ練習具。
【請求項5】
硬質性シャフトが、円筒状に形成され、その外径は13mm〜17mmであることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに記載のゴルフ練習具。
【請求項1】
スイング中にほとんど撓みを生じない硬質性のシャフトの外径を該シャフトの長手方向に亘って一定に形成すると共に、該シャフトの一端部に、両手の間隔を空けて握る長尺グリップを備え、
前記シャフトの長さ方向の中心よりも前記長尺グリップ側に重心を位置させつつ、前記シャフトの他端から長さ方向中心までの重量を増すウェイトを備えたことを特徴とするゴルフ練習具。
【請求項2】
前記シャフトの他端に通常の長さの通常グリップを備えることによって、前記ウェイトとしたことを特徴とする請求項1に記載のゴルフ練習具。
【請求項3】
前記シャフトの一端から当該重心までの長さと、前記シャフトの他端から当該重心までの長さとが、1:1.3乃至1:2となる位置に、前記重心が設定されていることを特徴とする請求項2に記載のゴルフ練習具。
【請求項4】
長さが、ドライバークラブにおけるヘッド部分を除いた長さとほぼ等しいことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載のゴルフ練習具。
【請求項5】
硬質性シャフトが、円筒状に形成され、その外径は13mm〜17mmであることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに記載のゴルフ練習具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−178943(P2010−178943A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−25693(P2009−25693)
【出願日】平成21年2月6日(2009.2.6)
【出願人】(303011275)株式会社ジャパーナ (43)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年2月6日(2009.2.6)
【出願人】(303011275)株式会社ジャパーナ (43)
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