説明

ゴーグル用保管ケース

本発明に係る保管ケース(1)は、ケース底部(3)及び二つのドア(4,5)とともに、フライト乗務員のゴーグル(2)のための保管ケースである。各ドア(4,5)は、ケース底部(3)とドア(4,5)との間にケース(1)にゴーグル(2)を載置し続ける閉鎖手段(13)を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フライト乗務員のための防煙ゴーグルのような保護ゴーグルの保管ケースに関する。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0002】
より詳細には、本発明は、ケース底部と、少なくとも二つのドアとを備えるものに関する。これら二つのドアは、ケースの底部とドアとの間のケース内に配された、ゴーグルを保持するための閉鎖手段を備えている。これらのドアは、ケース底部にて、保護ゴーグルの少なくとも一部を遮蔽する閉位置と、ケースから保護ゴーグルを取り出すために互いに離間して配されたドアの開位置との間で連結されている。
【0003】
これらの構成により、ケースは、保護ゴーグルを保管し、かつ、使用が望まれないときに保管した保護ゴーグルの少なくとも一部を保護することができる。
【0004】
本発明のより好ましい実施形態としては、以下に示す構成の一つ及び/又はその他のものを備えたものとすることができる。
・ 閉鎖手段が、保護ゴーグルがケースの底部に保持されていない場合でも、保護ゴーグルを保持するように、ドアを閉じた位置で安定した状態となる単一安定蝶番(mono-stable hinge)を備えていること。
・ ドアが、二段階安定蝶番(bi-stable hinge)によってケースの底部に関節結合されていること。この蝶番の第一安定位置は、保護ゴーグルがケース底部に保持されていない場合でも、保護ゴーグルを保持するようなドアの閉位置とされ、第二安定位置は、ドアが自身で閉まらないような開位置とされている。
・ ケース底部が、ケースが開いたときでもケース内の保護ゴーグルを保持する形状になっていること。
・ ケースの底部には、少なくとも一部が保護ゴーグルの幅よりも小さい距離で互いに離間した側壁が配されていること。
・ ケースが、ゴーグルの左右対称面に対応する中心平面に対して対称に配された二つのドアを備えていること。各ドアは、中心平面に接近してドアを閉鎖位置とする閉鎖端が配されている。この閉鎖端は、ゴーグルをケース内に保管したときに、ゴーグルを把持する少なくとも一つのくぼみが配されている。
・ 各ドアの閉鎖端には、ゴーグルをケース内に保管したとき、ゴーグルの鼻を覆う部分と一致するように少なくとも一つの下部くぼみが配されていること。この下部くぼみは、他方のドアのくぼみとともに、ゴーグルの鼻を覆う部分を介してゴーグルを把持することができるように、かつ、ドアを最初に開けなくても片手でケースからゴーグルを取り外すことができるようになっている。
・ 各ドアの閉鎖端に、二つのくぼみを有していること。即ち、ドアを最初に開けなくても片手でケースからゴーグルを取り外すために、他方のドアとともにゴーグルの端部に第一の指を掛けることができる上部くぼみ、及び、他方のドアとともにゴーグルの別の端部に第二の指を掛けることができる下部くぼみである。
・ ドアが透明であること。
【0005】
本発明に係る他の側面、目的、有利な点について、以下の実施形態についての説明から明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明の実施形態について、以下説明する。
【0007】
本実施形態に係るケース1は、保護ゴーグル2を保管するものである。このケース1は、飛行機のコクピットに通常配置されている。ゴーグル2は、例えば、防煙用のものである。
【0008】
図1に示すように、このケース1は、ケース底部3と二つのドア4,5を備えている。ケース1の他の形態としては、さらに多くのドアを備えてもよく、例えば、対角線に対して対称位置に四つのドアが配されたものとしてもよい。ドア4,5は、閉めた際にケース1の外側に突出するように形成されている。ドア4,5は、ケース1に保管されたゴーグル2を確認でき、かつ、これらのゴーグル2のレンズ部分の状態をチェック可能に透明部材からなる。
【0009】
ケース底部3は、二つの側壁6,7と、上部壁8と、下部壁9とにより略長方形状とされている。これら四つの壁部、即ち、二つの側壁6,7、上部壁8、下部壁9は、ケース底部3から略直角方向に延びて配され、開放部と略長方形面14を形成している。
【0010】
ケース底部3は、二つの脚部10が配されている。各脚部10は、側壁6,7に隣接してこれに略直交する表面11を備えている。この表面11には、フライト乗務員の手の届く範囲内でコクピットを仕切る支持部に固定するための二つの穴12が配されている。
【0011】
各側壁には閉鎖手段13が配されている。これら閉鎖手段13は、例えば、蝶番である。各蝶番13は、ドア4,5を支持し、かつ、開放面14の一つの小さい側面と略平行なZ軸回りに開閉させる。ドア4,5は、ケース底部3の少なくとも二つの終端位置、即ち、(図3に示す)ゴーグル2の少なくとも一部を覆う閉位置と、(図1及び図2に示す)ケース1からゴーグル2を取り出すことができるように互いに離間した開位置との間で移動可能にケース底部に取り付けられている。
【0012】
蝶番13は、二段階安定蝶番である。ヒンジの第一安定位置は、ドアを閉じた位置となっている(図3に示す。)。この位置にて、閉鎖手段13は、ゴーグルがケース底部3で保持されていない状態でも、ケース底部3とドア4,5との間で表面力によってケース1内にゴーグル2を保持するようになっている。蝶番13は、第二安定位置は、ドア4,5が開いた位置となっている。この第二安定位置は、自身によって閉じてしまうことのない位置となっている。これにより、ユーザは、ドア4,5を開けて片手のみでケース1の奥にゴーグル2を載置することができる。
【0013】
図2に示すように、側壁6,7間の距離eは、ドア4,5が開いた状態でもケース1内にゴーグル2を保持するように規定されている。そのため、この距離eは、両目方向と平行する方向のゴーグル2の幅よりも小さい。ケース底部3には、ゴーグル2を挿入しやすいように、かつ、ゴーグル2をケース底部3に導入するのに十分な力でゴーグル2の両端16を固定するように、表面11から開放面14に延びるガイド面15が配されている。そのため、ユーザは、片手でケース底部3にゴーグル2を固定することができ、ユーザが手を離してもその位置に留めてくことができる。
【0014】
図3に示すように、二つのドア4,5は、ゴーグルの両側を対称面とするケースの中央面Pに対して対称に配されている。
【0015】
各ドア4,5には、ドア4,5の閉位置にて中央面Pに接近する閉鎖端17が配されている。この閉鎖端17は、上部くぼみ18と下部くぼみ19とが配されている。
【0016】
ドア4の上部くぼみ18は、他のドア5の上部くぼみとともに、ゴーグル2の一端におけるH点に指を掛けられるようになっている。ゴーグル2がケース1内にあるときは、ゴーグル2の鼻を覆う部分に略沿って配されている。ドア4の下部くぼみ19は、他のドア5の下部くぼみとともに、略三角形状の凹部を形成し、ゴーグル2の他端におけるB点に第二の指を掛けられるようになっている。そのため、ユーザは、B点とH点との間で、二つの指でゴーグルを把持することができ、片手でケース3からゴーグル2を取り出すことができる。ドア4,5の凸部は、ゴーグルの引き出しを妨害することのないようにされており、最初にドア4,5を開ける必要がない。
【0017】
ドア4,5を閉じたときに下部くぼみ19によって形成される略三角形状の凹部は、ゴーグル2の鼻を覆う部分を介してゴーグル2を把持可能になっている。この配列は、特に、取外し可能なゴーグルを有するマスクに見られる。上述したように、最初にドア4,5を開けなくても、ケース底部3から片手でゴーグル2を取り出すことができる。
【0018】
本発明によれば、ケース1は、様々なタイプの防煙ゴーグルを保管することができる一方、保管されたゴーグル2を素早く取り出すことができる。そのため、本発明によれば、ユーザは、ケースに保管されたゴーグルを法で規定された15秒以内で着用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係るゴーグル保管用ケースの一実施形態において、ドアを開けた状態を示す背面斜視図である。
【図2】図1に示すケースの実施形態においてドアを開けた状態の概要を示す斜視図である。
【図3】図2に示すケースにおいて、ケースにゴーグルを保管してドアを閉めた状態を示す図である。
【符号の説明】
【0020】
1 ケース(保管ケース)
2 ゴーグル
3 ケース底部
4,5 ドア
6,7 側壁
13 蝶番(閉鎖手段)
17 閉鎖端
18 上部くぼみ
19 下部くぼみ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フライト乗務員のための防護ゴーグル(2)の保管ケース(1)であって、
ケース底部(3)と、
該ケース底部(3)との間でゴーグル(2)を保持するための閉鎖手段(13)と一体とされ、前記ゴーグル(2)の少なくとも一部を覆う位置を閉位置、かつ、互いに離間して前記ケース(1)から前記ゴーグル(2)を取り出し可能な位置を開位置として、少なくとも前記閉位置と前記開位置との間で、前記ケース底部(3)に繋げられた二つのドア(4,5)とを備えてなるものにおいて、
前記二つのドア(4,5)が、前記ゴーグル(2)の左右対称面に対応するケース(1)の中央面(P)に対して対称に配され、
前記各ドア(4,5)には、ドア(4,5)の前記閉位置にて前記中央面(P)に接近する閉鎖端(17)が配され、
該閉鎖端(17)が、前記ゴーグル(2)を内部で把持可能な少なくとも一つのくぼみ(18,19)が配されていることを特徴とする保管ケース。
【請求項2】
請求項1に記載のケースであって、
前記閉鎖手段(13)が、一つの安定位置を有する蝶番とされ、
前記ゴーグル(2)が前記ケース底部(3)に保持されていない状態であっても、ケース(1)に前記ゴーグル(2)を保持可能に前記ドア(4,5)が閉じられる前記閉位置が、前記蝶番(13)の安定位置であることを特徴とする保管ケース。
【請求項3】
請求項1に記載の保管ケースであって、
前記ドア(4,5)が、前記ゴーグル(2)が前記ケース底部(3)に保持されていない状態であっても、ケース(1)に前記ゴーグル(2)を保持する前記ドア(4,5)の前記閉位置に相当する第一安定位置と、ドア(4,5)が自身では閉まらない前記開位置に相当する第二安定位置とを有する二段階安定蝶番(13)によって、前記ケース底部(3)に関節結合されていることを特徴とする保管ケース。
【請求項4】
請求項1から請求項3の何れか一つに記載の保管ケースであって、
前記ケース底部(3)が、前記ドア(4,5)が開いた状態でもケース(1)に前記ゴーグル(2)を保持するように形成されていることを特徴とする保管ケース。
【請求項5】
請求項4に記載の保管ケ−スであって、
ケース底部(3)が、側壁(6,7)を備え、
これら側壁(6,7)の互いの距離(e)は、少なくとも一部が前記ゴーグル(2)の幅よりも小さいことを特徴とする保管ケース。
【請求項6】
請求項1から5の何れか一つに記載の保管ケースであって、
前記ゴーグル(2)を保管した際、前記ゴーグル(2)の鼻を覆う部分に略沿うように、前記各ドア(4,5)の閉鎖端(17)に少なくとも一つの下部くぼみ(19)が配され、
該下部くぼみ(19)が、前記ドア(4,5)の他方に配された前記下部くぼみ(19)とともに、前記ゴーグル(2)の鼻を覆う部分を介して前記ゴーグル(2)を把持可能に、かつ、前記ドア(4,5)を最初に開けることなく片手でケース(1)内から前記ゴーグル(2)を取り出し可能に形成されていることを特徴とする保管ケース。
【請求項7】
請求項1から6の何れか一つに記載の保管ケースであって、
前記各ドア(4,5)の閉鎖端(17)に、それぞれ二つのくぼみ(18,19)が配され、
一方を上部くぼみ(18)、他方を下部くぼみ(19)とするとき、
前記上部くぼみ(18)が、他方のドア(4又は5)に配された上部くぼみ(18)とともに、載置された前記ゴーグル(2)の一端に第一の指を掛けられるように形成され、
前記下部くぼみ(19)が、他方のドア(4又は5)に配された下部くぼみ(19)とともに、前記ゴーグル(2)の他端に第二の指を掛けられるように形成されて、最初に前記ドア(4,5)を開けることなく、片手でケース(1)から前記ゴーグル(2)を取り出し可能になっていることを特徴とする保管ケース。
【請求項8】
請求項1から7の何れか一つに記載の保管ケースであって、
前記ドア(4,5)が、透明部材で構成されていることを特徴とする保管ケース。

【図2】
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【図3】
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【図1】
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【公表番号】特表2006−511308(P2006−511308A)
【公表日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−566976(P2004−566976)
【出願日】平成15年12月3日(2003.12.3)
【国際出願番号】PCT/FR2003/003576
【国際公開番号】WO2004/064564
【国際公開日】平成16年8月5日(2004.8.5)
【出願人】(591264636)インターテクニーク (5)