説明

ゴーグル

【課題】頭部に安定して装着することができるカチューシャ式のゴーグルを提供する。
【解決手段】ゴーグル10は、使用者の眼を保護するためのシールド部11と、シールド部11を保持するための保持部12と、保持部12に連結され、ゴーグル10を頭部に装着するための装着部20を備える。装着部20は、第1及び第2のテンプル部21、22と、係合部23を有する。第1及び第2のテンプル部21、22は、シールド部11から後方に向かって延び、頭部の側頭部に当接する。係合部23は、第1及び第2のテンプル部21、22から上方または上斜め前方に曲げられて、頭部の前頭部に沿って延び前頭部に係合し、第1及び第2テンプル部21、22の前方部を接続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カチューシャ式に頭部に巻き付けて装着されるゴーグルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、医療用途において血液の飛散から眼を保護するため、各種産業用途において粉塵等から眼を保護するため、または日光等の直射から眼を保護するための防眩用途に、シールド部が設けられたゴーグルが使用される。これら用途のゴーグルとしては、図6に示すようなカチューシャ式に頭部に巻き付けて装着されるカチューシャ式ゴーグル50が知られている。
【0003】
カチューシャ式ゴーグル50は、シールド51と、そのシールド51を保持する保持部52と、保持部52を支持する装着部53を備える。このゴーグル50においては、装着部53がヘアバンドのように頭部の形状に沿う略円弧上を呈し、頭部に巻き付くことで頭部に保持され、これによりゴーグル50が頭部に装着されている。カチューシャ式ゴーグル50は、このような構成を採ることにより、装着が容易であり、頻繁に着脱が必要とされる用途において有益に使用される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、シールド51は一定の重さを有し、頭部に装着したときに、シールド51の自重によりゴーグル50が下にずれてしまうことがある。そこで、ゴーグル50が下にずれることを防止するために、装着部53を上方に傾け頭部に対して斜めに装着することが考えられるが、このように装着すると、装着部53の一部が耳に当たり、装着部53が頭部にうまく密接しなくなり、ゴーグル50が頭部に安定して取り付けられなくなる。
【0005】
本願発明は、このような問題点に鑑みて成されたものであり、簡単な構成で頭部に安定して支持されるカチューシャ式ゴーグルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るゴーグルは、使用者の眼の前方に設けられるゴーグル部と、ゴーグル部から後方に向かって延び、頭部の側頭部に当接する第1及び第2のテンプル部と、第1及び第2のテンプル部から上方または上斜め前方に曲げられて、頭部の前頭部に沿って延び前頭部に係合し、これらテンプル部の前方部を接続する細長の係合部とを備える。このような構成によれば、係合部は、前頭部によって上向きの力によって支持されるので、ゴーグルを頭部に装着させた際に、ゴーグル部が下方向にずれることが防止される。なお、ゴーグル部は、例えば、眼を保護するためのシールド部、またはレンズ等から形成される。
【0007】
係合部は、第1及び第2のテンプル部に対して、例えば10乃至90°曲げられる。
【0008】
第1及び第2のテンプル部と、係合部は、一体に成形された方が良い。これにより、部品点数を少なくすることができるので、本発明に係るゴーグルをより容易に製造することができる。
【0009】
勿論、第1及び第2のテンプル部と、係合部は別体に成形されていても良い。この場合、係合部は、第1及び第2のテンプル部に対して相対的に回動可能に固定されても良い。そして、係合部は、第1及び第2のテンプル部から上方または上斜め前方に曲げられた位置に配置可能なように、回動可能に固定されていれば良い。勿論、10乃至90°の範囲のみで回動するように設計されても良い。
【0010】
ゴーグル部は、例えば、細長の保持部により支持され、保持部の両端が、それぞれ第1及び第2のテンプル部の各前方部に連結される。
【発明の効果】
【0011】
本発明において、係合部がテンプル部に対して、上方または上方斜め前方に曲げられて設けられることにより、係合部は、上方から覆うように前頭部に係合され、前頭部によって下方から支持されるので、ゴーグルは頭部に安定して装着させられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の第1の実施形態を図1〜図4を参照しつつ説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係るゴーグルの斜視図である。図2は、第1の実施形態に係るゴーグルの前面図、図3は上面図である。なお、以下の説明においては、ゴーグル10が頭部に装着されたとき、顔が向けられる方向を前方とし、その逆方向を後方とする。また、左右は前方から見たときの左右をいう。
【0013】
本実施形態に係るゴーグル10は、眼を保護するために、使用者の眼の前方に設けられるシールド部(ゴーグル部)11と、シールド部11を保持するための保持部12と、保持部12に連結され、ゴーグル10を頭部に装着するための装着部20を備える。
【0014】
シールド部11は、無色透明または彩色が施された透光性のあるガラス、またはプラスチックによって形成される。シールド部11は、図3に示すように、その前方が平面形状を呈し、その左右は後方に向かって湾曲するように形成され、これにより、シールド部11は、顔の形状に沿うように形成される。
【0015】
保持部12は、細長の部材であり、当接部12aと、当接部12aに接続される2つの延出部12bを備える。当接部12aは、シールド部11の上方部において、シールド部11の背面に沿って左右に延び、その両端はシールド部11の湾曲に合わせて後方に湾曲する。延出部12bは、シールド部11の左端及び右端から、僅かに上方に曲げられつつ後方に向けて各々延出する。シールド部11は、その左端、右端及び中央部において、留具13により当接部12aに固定される。延出部12bのそれぞれの先端には、中央に第1の連結穴14が形成された環状部15が設けられる。
【0016】
装着部20は例えば合成樹脂から形成され、後方に向かって延びる第1及び第2のテンプル部21、22と、係合部23とが一体に成形されて構成される。第1及び第2のテンプル部21、22は、内側に湾曲しつつ、後方に向かって延び、使用状態において略水平面に沿って延びる。係合部23は、第1及び第2のテンプル部21、22から上斜め前方に曲げられて、第1及び第2テンプル部21、22の前方の端部を接続する。そして、係合部23は、細長の弧形状を呈し、上斜め前方に膨らむ。なお、係合部23の内周面23A(すなわち、頭部との接触面)とテンプル部21、22の内周面21A、22A(頭部との接触面)の前方部には、装着部20が頭部に係合しやすいように複数の突起29が設けられる。また、係合部23の内周面23Aは、前頭部F(図4参照)に係合しやすいように、前頭部Fの形状に沿って形成される。具体的には、係合部23の両側部23bにおける内周面23Aは、その中央部23aにおける内周面23Aに比べ、大きく湾曲している。
【0017】
第1及び第2のテンプル部21、22の前方の端部近傍には、それぞれ第1及び第2のテンプル部21、22の延びる方向に沿って並べられる3つの第2の連結穴26が設けられる。第1及び第2のテンプル部21、22の前方部の外周面21F、22Fは、第2の連結穴26が直線的に並べられるように、平面状に形成される。
【0018】
第1及び第2のテンプル部21、22の外側には、3つの第2の連結穴26のうち、1つの第2の連結穴26と、保持部12に設けられた第1の連結穴14の位置が一致するように、環状部15が重ねられる。穴の位置が一致した連結穴14、26には、ピン28(またはネジ)が挿通され、保持部12の両端部(環状部15)は、第1及び第2のテンプル部21、22に固定される。ここで保持部12は、ピン28を支点に、装着部20に対して相対的に上下に回動可能に固定されており、これにより、シールド部11は上下方向の位置調整が可能である。また、保持部12と装着部20は、3つの第2の連結穴26のうちいずれの連結穴を用いて連結させることも可能であり、ピン28を挿通させる第2の連結穴26を変更することにより、装着部20に対するシールド部11の前後方向の相対的な位置は調整可能である。なお、本実施形態においては、保持部12(環状部15)は、第1及び第2のテンプル部21、22に対して、一定の摩擦力が発生するようにネジ28により固定されている。したがって、シールド部11は、通常の使用状態において作用されるような力が作用されても、装着部20に対して相対的に回動することはない。
【0019】
図4は、本実施形態に係るゴーグル10を頭部に装着させたときの概略図である。ゴーグル10を頭部に装着させると、第1及び第2のテンプル部21、22(図1参照)は、側頭部Tに当接するとともに、係合部23は前頭部Fに係合し、これにより装着部20は、頭部Hに巻き付けられるように装着される。
【0020】
ここで係合部23は、第1及び第2のテンプル部21、22の延びる方向(使用状態における略水平面P)に対して上斜め前方に曲げられて延びるので、上斜め前から前頭部Fに係合する。したがって、係合部23は、前頭部Fによって斜め上向きの力で支持されるので、シールド部11の自重により、ゴーグル10が下向きにずれることが防止される。
【0021】
また、第1及び第2のテンプル部21、22は、側頭部Tの形状に合わせて内側に向けて湾曲しつつ後方に延び、一方係合部23は、上方斜め前方に向けて膨らむ弧形状を呈し、頭部の前頭部Fの形状に沿って延びる。したがって、装着部20は、頭部Hの形状に沿うように、頭部Hに巻きつくことができ、これによりゴーグル10は、大きな力が下向きに作用されても、頭部から外れにくい。
【0022】
本実施形態において、係合部23は、上斜め前方に曲げられ、その曲げられる角度θは、第1及び第2のテンプル部21、22の延びる方向(使用状態における略水平面P)に対して30°である。しかし、係合部23は、上方に向けて曲げられても良く、すなわち、角度θは90°であっても良い。勿論、角度θは上記角度に限定されるわけでなく、10°乃至90°の範囲であれば良い。なお、角度θは、10°より小さいと、係合部23が前頭部F(図4参照)によって上向きに支持されにくくなる一方、90°より大きいと、係合部23が前頭部Fに係合しなくなり、ゴーグル10が頭部Hに装着されにくくなるので、角度θは上記範囲が好ましい。
【0023】
図5は、本発明の第2の実施形態に係るゴーグルを示すための図である。第1の実施形態に係るゴーグルにおいて装着部20は一体に成形され、係合部23は、第1及び第2のテンプル部21、22に対して相対的に回動することができなかったが、本実施形態においては、係合部23は第1及び第2のテンプル部21、22(図1参照)に対して相対的に回動することが可能である。以下、第2の実施形態について、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。なお、以下の説明においては、同一の部材に対しては、第1の実施形態の符号と同一の符号を付す。
【0024】
図5に示すように、本実施形態に係るゴーグル10は、シールド部11と、保持部12と、装着部20とを備える。シールド部11と、保持部12は、第1の実施形態の構成と同様であるので、その記載は省略する。装着部20は、第1の実施形態と同様に、第1及び第2のテンプル部21、22を有し、第1及び第2のテンプル部21、22の前方の端部近傍には、各々第1の連結穴26が1つ設けられる。係合部23は、第1の実施形態と同様に弧形状を呈し、その両端部に第3の連結穴27が設けられる。保持部12の環状部15には、第1の実施形態と同様に第1の連結穴14が設けられる。
【0025】
第1及び第2のテンプル部21、22の前方の端部の外側には、第1乃至第3の連結穴14、26、27が一致するように、係合部23の端部及び環状部15がこの順に重ねられる。ここで、係合部23は、第1及び第2のテンプル部21、22に対して、上方または上斜め前方に曲げられるように、その端部が重ねられる。また、保持部12は、第1及び第2のテンプル部21、22の前方に連設されるように重ねられる。連結穴14、26、27には、ピン28(またはネジ)が挿通され、これにより第1及び第2のテンプル部21、22の前方の端部に、係合部23及び保持部12(環状部15)が固定される。
【0026】
係合部23は、第1及び第2のテンプル部21、22に対して相対的に、ピン28を中心に回動可能に固定されており、第1及び第2のテンプル部21、22の延びる方向(使用状態における略水平面P)に対して、上向きに10°乃至90°(角度θ)曲げられる範囲で、回動可能である。したがって、本実施形態においては、使用者の前頭部Fの形状に合わせて角度θを調整可能であり、係合部23を前頭部Fに密着させやすくすることができる。また、保持部12に関しても、第1及び第2のテンプル部21、22に対して、相対的にピン28を中心に上下方向に回動可能であり、これによりシールド部11の上下方向の位置も調整可能である。なお、本実施形態においても、保持部12(環状部15)は係合部23に対して、係合部23は第1及び第2のテンプル部21、22に対して、それぞれ一定の摩擦力が発生するようにネジ28により固定されている。したがって、シールド部11及び係合部23は、通常の使用状態において作用されるような力が作用されても、テンプル部21、22に対して相対的に回動することはない。
【0027】
以上のように、第1及び第2の実施形態においては、係合部23は、上方から覆うように、前頭部に当接し、前頭部から上向きの力によって支持されるので、装着部20が下向きにずれることが防止される。また、第1及び第2のテンプル部21、22は、側頭部Tに巻きついて装着され、耳に掛けて装着させる必要がなく、眼鏡等との併用も可能である。したがって、眼鏡とゴーグルの両方が必要な使用者にとっては特に有益に使用される。この場合、係合部23は下向きにずれることが防止されるため、テンプル部21、22が下にずれ、併用して使用される眼鏡を干渉することはない。
【0028】
なお、第1及び第2の実施形態において、ゴーグル部は、目を保護するためのシールド部11であるが、例えば、近眼用、老眼用のレンズ等であっても良い。なお第1の実施形態において、図1は、ピン28が、最も前方に位置する第2の連結穴26に挿通された状態を示すが、図4,5は、ピン28が、3つの連結穴26のうち、中央の連結穴26に挿通された状態を示す。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るゴーグルの斜視図である。
【図2】第1の実施形態に係るゴーグルの前面図である。
【図3】第1の実施形態に係るゴーグルの上面図である。
【図4】ゴーグルを頭部に装着させたときの装着状態を示す側面図である。
【図5】第2の実施形態に係るゴーグルを頭部に装着させたときの装着状態を示す側面図である。
【図6】従来のゴーグルを頭部に装着させたときの装着状態を示す側面図である。
【符号の説明】
【0030】
10 ゴーグル
11 シールド部(ゴーグル部)
12 保持部
20 装着部
21 第1のテンプル部
22 第2のテンプル部
23 係合部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の眼の前方に設けられるゴーグル部と、
前記ゴーグル部から後方に向かって延び、頭部の側頭部に当接する第1及び第2のテンプル部と、
前記第1及び第2のテンプル部から上方または上斜め前方に曲げられて、頭部の前頭部に沿って延び前記前頭部に係合し、これらテンプル部の前方部を接続する細長の係合部と
を備えるゴーグル。
【請求項2】
前記係合部は、前記第1及び第2のテンプル部に対して、10乃至90°曲げられることを特徴とする請求項1に記載のゴーグル。
【請求項3】
前記ゴーグル部は、細長の保持部により支持され、前記保持部の両端が、それぞれ前記第1及び第2のテンプル部の前記各前方部に連結されることを特徴とする請求項1に記載のゴーグル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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