説明

サイドエッジ型面状発光装置

【課題】LEDチップからの熱は導光板の入光端面部分でヒートスポットを構成し、放熱効果が不充分であった。
【解決手段】導光板1の出光面1c側に拡散板11を配置し、反出光面1d側に反射シート12と共に配光性グラファイトシート13を配置する。導光板1の入光端面1a、1bに線状発光ユニット2,3を配置する。導光板1等及び線状発光ユニット2,3は金属板4を介して筺体5に固定される。線状発光ユニット2,3のLEDチップ21,31からの熱は配光性グラファイトシート13全体に迅速に拡散し、金属板4を介して筺体5に効率的に放熱される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は線状の発光素子パッケージたとえば発光ダイオード(LED)パッケージよりなる線状発光ユニットを導光板と組合わせたサイドエッジ型面状発光装置に関する。サイドエッジ型面状発光装置は液晶表示(LCD)装置のバックライト光源として用いられる。
【背景技術】
【0002】
LCD装置のバックライト光源として用いられる面状発光装置は冷陰極蛍光ランプ(CCFL)の代りにLEDチップを用いたものが主流となっている。これにより、薄型化、軽量化、省電力化等を図っている。LEDチップを用いた面状発光装置はサイドエッジ型と直下型とに大別されるが、サイドエッジ型面状発光装置は直下型面状発光装置に比較して薄型化の点で特に優れている。
【0003】
一般に、LCD装置に用いられるサイドエッジ型面状発光装置は、LCDパネルの背面に設けられた導光板と、導光板の入光端面に設けられた複数のLEDチップよりなる線状発光ユニットと、導光板の背面に設けられた反射板と、導光板、線状発光ユニット及び反射板を覆う黒色樹脂よりなる筺体とにより構成されている。この場合、高出力化したLEDチップの発熱により導光板特に入光端面部分に熱が滞り、ヒートスポットとなる。この結果、LEDチップ子自体の温度上昇と共に導光板の入光端面部分の熱膨張による変形を招く。従って、LEDチップの温度上昇を抑制しかつ導光板の変形を抑制するために、LEDチップの電流を制限しなければならず、LEDチップの輝度の低下を招くことになる。このため、LEDチップの温度上昇及び導光板の変形を抑制するためにLEDチップの放熱対策が必要である。
【0004】
第1の従来のサイドエッジ型面状発光装置においては、LEDチップ及び導光板の入光端面部分に高熱伝導率の放熱板を接触させてLEDチップの熱を放熱させている(参照:特許文献1)。
【0005】
また、第2の従来のサイドエッジ型面状発光装置においては、LEDチップの背面及び導光板の出光面に対向する反出光面全体に導体配線が施された可撓性放熱基板を設けてLEDチップの熱を放熱させている(参照:特許文献2)。
【0006】
さらに、第3の従来のサイドエッジ型面状発光装置においては、LEDチップ直下にリードフレームを介して放熱性樹脂層を設け、さらに、その直下に面方向に高い熱伝導率の配向性グラファイトシートを設け、LEDチップの熱を放熱させている(参照:特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−4581号公報
【特許文献2】特開2008−171797号公報
【特許文献3】特開2007−184237号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述の第1の従来のサイドエッジ型面状発光装置においては、ヒートスポット、つまり、導光板の入光端面部分に滞った熱は導光板と放熱板との小さな接触部分のみで放熱されるので、導光板の入光端面部分の熱の放熱は不充分である課題がある。尚、特許文献1には、ペルチェ素子による熱引きも開示しているがこれは製造コストの上昇を招く。
【0009】
また、上述の第2の従来のサイドエッジ型面状発光装置においては、LEDチップ及び導光板に設けられている可撓性放熱基板はその熱伝導率が1〜10W/mkと小さいので、LEDチップ及び導光板の入光端面部分からの放熱は不充分である課題がある。
【0010】
さらに、上述の第3の従来のサイドエッジ型面状発光装置においては、LEDチップと高熱伝導性の配向性グラファイトシートとの間に熱伝素率が1〜10W/mkと小さい放熱性樹脂層を介在させているので、LEDチップの放熱は不充分であり、かつ、導光板には放熱構造がないので、ヒートスポットつまり導光板の入光端面部分の熱の放熱は不充分であるという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述の課題を解決するために、本発明に係るサイドエッジ型面状発光装置は、透明部材による導光板と、導光板の入光端面に設けられた線状発光ユニットと、線状発光ユニットに接触しかつ導光板の出光面に対向する反出光面全体に設けられた配向性グラファイトシートとを具備するものである。配向性グラファイトシートの面方向の熱伝導率は銅の熱伝導等の3倍から4倍、アルミニウムの熱伝導等の5倍から6倍と高いので、線状発光ユニットから配向性グラファイトシートへ直接伝達された熱及び線状発光ユニットから導光板の入光端面部分へ放射された熱は迅速に配向性グラファイトシート全体に拡散してヒートスポットを緩和する。
【0012】
また、上述のサイドエッジ型面状発光装置は、配向性グラファイトシートの導光板と反対側面に設けられた金属板を具備し、さらに、導光板、線状発光ユニット及び金属板を覆う筺体を具備する。これにより、配向性グラファイトシート全体に拡散した熱は配向性グラファイトシートと金属板との広い接触面積を介して筺体に放熱される。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、線状発光ユニットからの熱は配向性グラファイトシート全体に迅速に拡散するので線状発光ユニットの温度上昇を抑制でき、従って、その信頼性を確保できる。また、導光板の熱膨張も抑制でき、従って、導光板の変形を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係るサイドエッジ型面状発光装置の実施の形態を示す断面図である。
【図2】図1のサイドエッジ型面状発光装置の変更例を示す断面図である。
【図3】図1の配向性グラファイトシートの変更例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は本発明に係るサイドエッジ型面状発光装置の実施の形態を示す断面図である。図1においては、透明部材たとえばアクリル樹脂、ポリカーボネートよりなる導光板1の2つの対向する入光端面1a、1bに線状発光ユニット2,3を設けてある。また、導光板1及び線状発光ユニット2,3の下側には薄いアルミニウム等よりなる金属板4が設けられている。この金属板4の中央部には凸状になっている。さらに、全体は黒い樹脂よりなる筺体5内に収納される。
【0016】
導光板1は出光面1c及び出光面1cに対向する反出光面1dを有し、出光面1cに側に拡散板11が配置され、反出光面1d側に反射シート12が配置されている。さらに、導光板1の反出光面1d側で反射シート12の背面側に配向性グラファイトシート13が設けられている。
【0017】
配向性グラファイトシート13においては、面方向の熱伝導率が1200W/mkと銅の3倍以上、アルミニウムの5倍以上であり、他方、厚さ方向の熱伝導率が4〜6W/mkと非常に小さい。配向性グラファイトシート13としては、たとえば株式会社カネカのカネカグラファイトシート(商標)あるいはパナソニック株式会社の“PGS”グラファイトシート(商標)がある。
【0018】
線状発光ユニット2,3は同一構造をなしている。すなわち、線状発光ユニット2(3)は、複数のLEDチップ21(31)を線状に実装する実装基板22(32)、LEDチップ21(31)を封止する蛍光体入りの透明樹脂層23(33)、及びアルミニウムブロック24(34)よりなる。
【0019】
実装基板22(32)は、アノード電極パターン及びカソード電極パターンが形成されたプリント配線基板、あるいはスリットでアノード、カソードが分けられたAl板材、Cu板材にAgめっきした安価かつ放熱性の高い金属板である。尚、LEDチップ21(31)を直列接続する場合、アノード電極パターン及びカソード電極パターンあるいはアノード、カソードは不要である。
【0020】
LEDチップ21(31)の実装基板22(32)への実装はダイアタッチ剤(接着剤)を用いて行われる。ダイアタッチ剤としては、反射率が高い酸化チタン、酸化亜鉛及びアルミナのフィラーを添加した白いあるいは透明のシリコーン樹脂を用いる。熱抵抗を低下させるために銀(Ag)フィラーを添加したシリコーン樹脂を用いてもよい。尚、Agフィラー添加シリコーン接着剤は導電性を有するので、実装時に、隣接するLEDチップ、アノードカソードとの導通に注意が必要となる。LEDチップ21(31)が実装基板22(32)に実装された後に、必要なAuボンディングワイヤ(図示せず)を施す。
【0021】
実装されたLEDチップ21(31)及びAuボンディングワイヤは蛍光剤入りの透明樹脂層23(33)によって封止される。この封止方法は、ポッティング法、印刷方法、圧縮成形法、あるいは射出成形法によって行われる。
【0022】
樹脂封止された実装基板22(32)はアルミニウムブロック24にピン(図示せず)等を用いて固定される。
【0023】
アルミニウムブロック24(34)のLEDチップ21(31)の反対側は中空部となっており、その中空部にLEDチップ21(31)の通電用配線(図示せず)が設けられている。また、アルミニウムブロック24(34)はコの字断面形状をなしており、つまり、LEDチップ21(31)を覆う側壁を有している。この側壁の内面には、リフレクタ特性を上げるために、Ag蒸着等による反射層24a(34a)が設けられている。
【0024】
次に、図1のサイドエッジ型面状発光装置の組立方法について説明する。
【0025】
始めに筺体5上に薄いアルミニウム等よりなる金属板4を接着剤等を用いて接着する。次いで、線状発光ユニット2,3を金属板4及び筺体5にねじ固定する。
【0026】
次に、配向性グラファイトシート13、反射シート12、導光板1、及び拡散板11を順次配置する。この場合、金属板4の中央部は厚くなって凸状となっており、従って、反射シート12及び配向性グラファイトシート13は金属板4によって押圧され、この結果、反射シート12、配向性グラファイトシート13及び金属板4の間は隙間なく確実に密着することになる。
【0027】
尚、中央部が凸状の金属板4はプレス加工等によって形成されるが、図2に示すごとく、板状の金属板を用い、折り曲げることにより金属板4と同様の金属板4’を形成できる。
【0028】
次に、図1のサイドエッジ型面状発光装置の放熱効果について説明する。
【0029】
LEDチップ21(31)からの熱は2つの経路によって放熱される。1つの経路は熱伝達であり、つまり、実装基板22(32)→アルミニウムブロック24(34)→配光性グラファイトシート13である。他の1つは幅射であり、つまり、樹脂層23(33)→空気→導光板1の入光端面1a(1b)部分→配光性グラファイトシート13である。いずれの経路でも、配光性グラファイトシート13に到達した熱は配光性グラファイトシート13の面方向に迅速に拡散し、熱は配光性グラファイトシート13全体に一時的に滞留する。そして、配光性グラファイトシート13全体に滞留した熱は配光性グラファイトシート13のほぼ全体に密着している金属板4あるいは4’に伝達され、さらに筺体5に伝達される。このように、LEDチップ21(31)からの熱は、ヒートスポットを構成することなく、筺体5に効率的に放熱される。
【0030】
上述の実施の形態における配光性グラファイトシート13の厚さは、通常、10〜100μmと小さい。従って、図3に示すごとく、複数の配光性グラファイトシート13−1、13−2、…、13−(n−1)、13−nを、熱伝導率が約0.5W/mkのシリコーン接着剤13aによって積層すると、面方向の放熱経路が増加し、放熱効果をさらに向上させることができる。
【0031】
尚、上述の実施形態においては、2つの線状発光ユニット2、3を設けているが、本発明は1つの線状発光ユニットを有するサイドエッジ型面状発光装置にも適用し得る。
【符号の説明】
【0032】
1:導光板
1a、1b:入光端面
1c:出光面
1d:反出光面
2、3:線状発光ユニット
4、4’:金属板
11:拡散板
12:反射シート
13、13−1、13−2、…配光性グラファイトシート
13a…シリコーン接着剤
21、31…LEDチップ
22、32…実装基板
23,33…樹脂層
24,34…アルミニウムブロック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明部材よりなる導光板と、
該導光板の入光端面に設けられた線状発光ユニットと、
該線状発光ユニットに接触しかつ前記導光板の出光面に対向する反出光面
全体に設けられた配光性グラファイトシートと
を具備するサイドエッジ型面状発光装置。
【請求項2】
さらに、前記導光板と前記配光性グラファイトシートとの間に設けられた反射シートを具備する請求項1に記載のサイドエッジ型面状発光装置。
【請求項3】
さらに、前記配光性グラファイトシートの前記導光板と反対側面に設けられた金属板を具備する請求項1に記載のサイドエッジ型面状発光装置。
【請求項4】
前記金属板の前記配光性グラファイトシートに対向する部分が凸状になっている請求項3に記載のサイドエッジ型面状発光装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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