説明

サイネージ案内図作成装置およびサイネージ案内図作成プログラム

【課題】広告主のコンテンツ作成の負担を軽減し,簡易に広告効果の高い広告コンテンツを提示できるようにする。
【解決手段】コンテンツ登録部11は,コンテンツとともに,案内図を貼りたい表示位置と,広告主店舗の場所情報を記述した案内図情報を入力する。案内図展開部15は,コンテンツを表示する個々のディスプレイ21の設置場所に関するデータを使って,設置場所から案内図情報における目的地までの経路を含む案内図を作成し,コンテンツ上に案内図を配置する。配信制御部16は,自動作成された案内図付きのコンテンツを各ディスプレイ端末20に配信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,ネットワーク化されたデジタルサイネージシステムにおいて,個々のディスプレイ設置場所から特定の場所への案内図を簡易に作成することを可能とする技術である。
【背景技術】
【0002】
店舗・施設・街頭に設置されたディスプレイに対して,主に広告を目的としたコンテンツを配信するシステムが従来から知られており,デジタルサイネージシステムあるいは単にサイネージと呼ばれている。非特許文献1に記載されているデジタルサイネージ技術では,広告主が一元的な配信を行うサイネージ配信制御サーバに対して広告を出稿することで,多種・複数のサイネージシステムのディスプレイに広告を表示できるようになっている。特に,非特許文献1の図3(メタデータマッチング技術の枠組み)に示されるように,ディスプレイの設置場所に関するメタデータと,入稿された広告に関するメタデータをマッチングさせることで,ディスプレイの設置場所に応じた適切なコンテンツを表示させることが記載されている。このことにより,広告主は個々のサイネージディスプレイの詳細な状況を意識することなく広告配信することが可能になっていた。
【0003】
なお,本発明の実施にあたって利用可能な技術の一例としては,特許文献1に記載されているように,自動的にデフォルメされた案内図を作成する技術がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3402981号
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】鈴木,他,「メタデータを用いた配信・管理の統合化技術」,NTT技術ジャーナル,2009.7,p12-15
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
サイネージに限ったことではなく,一般に広告には,その広告主の店舗あるいは広告主に深く関連する場所(以下,広告主店舗という)への誘導を目的としているものがあり,そのために案内図を付けることが多い。例えば,美容室の広告の場合,店舗へ来てもらうことが最重要であり,その美容室までの案内図を広告に付けることが一般的である。また,特定のエリアで複数の店舗をチェーン展開している居酒屋の例では,広告に複数店舗への案内図を掲載している。
【0007】
ただし,紙媒体での広告や,テレビCM等での広告の場合,その広告を利用者が参照している場所が不確定であるため,その案内図は最も一般的な場所,例えば最寄り駅から目的とする広告主店舗への案内図,という想定で作成されていることが多い。想定された場所以外からその広告主店舗へ行こうとする利用者は,自分の持つ土地勘によるか地図等を参照するかして,その広告主店舗までの経路を決める必要がある。
【0008】
一方で,サイネージの場合,通常ディスプレイは固定して設置してあり,利用者が参照する場所は,電車等の移動体に設置される場合のような例外を除き,そのディスプレイ設置場所に限定される。そのため,このようなディスプレイにおいては,その設置場所から広告主店舗への案内図が表示できるほうが,利用者の利便性が向上し,このことは広告主にとっても広告効果が向上することを意味する。
【0009】
しかしながら,非特許文献1に記載されている技術で考えられているのは,ディスプレイ設置場所によって適切なコンテンツを選択して表示することであって,コンテンツの一部である案内図を書き換えることではない。そのため,従来技術においては,広告主は,個々のディスプレイ設置場所からの案内図ではなく,紙等の従来メディアと同様に「最寄り駅からの案内図」といった方法をとっていた。あるいは,広告主が,各ディスプレイの設置場所・設置向き等を理解した上で,各ディスプレイごとに個別の案内図を用意し,それぞれに配信する必要があった。このことは,広告主のコンテンツ作成の負担を大きくするとともに,非特許文献1の効果を著しく減じることとなっている。
【0010】
本発明は,上記問題の解決を図り,広告主のコンテンツ作成の負担を軽減し,簡易に広告効果の高い広告コンテンツを提示できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために,本発明は,広告主がコンテンツを出稿する場合に,案内図を貼りたい表示位置と,広告主店舗の場所情報のみを案内図情報のデータとして記述し,サイネージシステムがコンテンツを配信する際に,個々のサイネージディスプレイの場所に関するデータを使って案内図に変換して配信することにより,個々のディスプレイ設置場所から広告主店舗までの案内図が付加されたコンテンツ表示を可能とする。
【0012】
もしくは,本発明は,広告主がコンテンツを出稿する場合に,案内図を貼りたい表示位置と,広告主店舗の場所情報のみを案内図情報のデータとして記述し,サイネージシステムがコンテンツを配信する際に,コンテンツとともに案内図情報をサイネージディスプレイに配信し,個々のサイネージディスプレイでは,そのディスプレイの設置場所に関するデータと案内図情報とを使って,地図イメージの案内図を作成し,個々のディスプレイ設置場所から広告主店舗までの案内図が付加されたコンテンツ表示を可能とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明により,広告主にとっては簡易に広告効果の高い広告コンテンツを配信することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1の例のサイネージ案内図作成装置の構成例を示す図である。
【図2】登録されるコンテンツデータの例を示す図である。
【図3】案内図展開部の処理フローチャートである。
【図4】第1の例の効果を示す図である。
【図5】第2の例のサイネージ案内図作成装置の構成例を示す図である。
【図6】第3の例における登録されるコンテンツデータの例を示す図である。
【図7】第3の例における案内図展開部の処理フローチャートである。
【図8】第3の例の効果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に,本発明の実施形態について図面を用いながら説明する。
【0016】
〔第1の例〕
図1は,第1の例のサイネージ案内図作成装置の構成例を示す図である。このシステムは,コンテンツ配信装置10と,それぞれディスプレイ21−1,21−2,21−3(以下,21と表記)を備える複数のディスプレイ端末20−1,20−2,20−3(以下,20と表記)とが,ネットワーク40で接続される構成になっている。
【0017】
コンテンツ配信装置10は,CPUとメモリとを備えるコンピュータであり,広告主からの広告コンテンツ30および案内図情報31のコンテンツデータを入力して登録するコンテンツ登録部11と,コンテンツ登録部11によって登録されたコンテンツデータを記憶するコンテンツ・案内図情報記憶部12と,コンテンツ配信先のディスプレイの設置場所に関する地理的な位置情報を記憶するディスプレイ情報記憶部13と,地図データを記憶する地図データベース14と,案内図情報とディスプレイ情報と地図データに基づいて案内図を作成し広告コンテンツ上に重畳させた表示用データを作成する案内図展開部15と,案内図展開部15が作成した表示用データをディスプレイ端末20に配信する配信制御部16とを備える。
【0018】
案内図情報31は,広告コンテンツ30における広告の目的地とする場所の地理的な位置情報と,広告コンテンツ30上の案内図を表示すべき画面上の位置情報を含む情報である。広告コンテンツ30および案内図情報31は,コンテンツ配信装置10が備える入力装置またはネットワーク40に接続される広告主の端末(図示省略)から入力することができる。
【0019】
まず,コンテンツ登録部11は,広告主からの広告コンテンツ30および案内図情報31の登録要求を入力すると,それをコンテンツ・案内図情報記憶部12に格納して登録する。
【0020】
広告主が,広告したい情報として,コンテンツ配信装置10に対して行う登録要求の情報は,図2に一例として示すような,広告コンテンツとその広告コンテンツに表示したい案内図に関する情報である。
【0021】
広告コンテンツとしては,図2(A)に示すような,JPEG形式の静止画データあるいはMPEG形式の動画データなど,従来技術において汎用的に使用される形式のデータを使用できる。ただし,従来技術とは異なり,広告コンテンツ内に記載する案内図の領域は,空白のままでよい。
【0022】
案内図に関する情報は,あらかじめ規定されたフォーマットに従って記述される。具体的にどのようなフォーマットで記述するかについては,本発明の内容とは無関係であり,コンピュータ上の処理モジュールが確実に解釈できるフォーマットであればよい。テキスト形式で記述される案内図情報の例を図2(B)に示す。また,XML形式で記述される案内図情報の例を図2(C)に示す。
【0023】
この案内図情報では,「広告コンテンツ上に案内図を出力する画像上の位置(動画コンテンツの場合には,さらに案内図が表示される時間的区間を,動画における開始タイムスタンプ値と終了タイムスタンプ値で指定)」,「案内すべき店舗の位置(緯度経度)」が指定される。広告コンテンツ上に案内図を出力する画像上の位置は,例えば表示領域の左上隅の座標(X0,Y0)と右下隅の座標(X1,Y1)で与える。図2(B),(C)に示すLAT0,LON0は,広告主店舗などの案内先(広告の目的地)の緯度・経度情報である。T0,T1は,動画コンテンツの場合の開始タイムスタンプ値と終了タイムスタンプ値である。
【0024】
さらに,色,線幅などといったより詳細な表現を指定可能な案内図展開部15(後述)により実施する場合は,オプションとしてこれらの情報を付加できるようにするのは本発明の実施例として好適である。
【0025】
コンテンツ登録部11の具体的な実施方法としては,上述したコンテンツのJPEGあるいはMPEG形式のファイルと,案内図情報のXML形式等のファイルを,利用者の操作により登録できるようなコンピュータ上のソフトウェアとして構築する。また,このような「登録機能」としては,WEBアプリと呼ばれるWEBサーバ上のソフトウェアモジュールとして構築しておくことで,実際の利用者(広告主)はリモートで,WEBブラウザソフトウェアを使用することによって登録操作を行うよう構築することも,近年の一般的な技術を用いて実現可能である。
【0026】
ディスプレイ情報記憶部13には,広告コンテンツ30の表示対象となる各ディスプレイ21の設置位置(緯度経路)の情報が記憶されている。非特許文献1に記載されている方法と同時に本発明を実施する場合は,このような情報は,「場所メタデータ」の一種としてサイネージ配信サーバに保持されているので,本発明の実施においてもそのデータを使用することができる。このディスプレイ情報に,さらにディスプレイの設置向きデータ,すなわちディスプレイ画面がどちらの方向を向いているかのデータを含むと,後述するように,より好適な実施例となる。
【0027】
また,地図データベース14には,少なくとも広告の目的地やディスプレイ21の設置位置を含む範囲の道路や施設などの地図データが格納されている。この地図データベース14は,ネットワーク40を介してアクセス可能な外部装置が保持するようなものであってもよい。
【0028】
案内図展開部15は,コンテンツ・案内図情報記憶部12に登録された広告コンテンツ30および案内図情報31と,ディスプレイ情報記憶部13が保持するディスプレイ情報と,地図データベース14が保持する地図データとから,地図イメージの案内図を作成し,広告コンテンツ30に埋め込んでコンテンツの表示用データを作成する。
【0029】
図3は,案内図展開部15の処理フローチャートである。案内図展開部15は,まず,コンテンツ・案内図情報記憶部12から登録されたコンテンツと案内図情報を取得する(ステップS1)。次に,広告コンテンツ30を表示するディスプレイ21の個数分,以下の「案内図展開処理」を繰り返す(ステップS2)。
【0030】
ディスプレイごとの案内図展開処理では,まず,ディスプレイ情報記憶部13に記憶されているディスプレイ情報を検索することにより,処理対象としているディスプレイの設置位置(および向き)を取得する(ステップS21)。次に,取得したディスプレイの設置位置から案内図情報の目的地の場所までの案内図を,地図データベース14に格納されている地図データを用いて作成する(ステップS22)。
【0031】
このステップS22の実施方法としては,さまざまな従来技術が使用でき,地図データベース14についても外部のデータベースを利用することができる。特に,近年,カーナビゲーションシステム(以下,カーナビという)やWeb上の地図サービスなどが実際に提供されており,これらのシステムにおいては,出発地と目的地を指定することにより,経路検索を行い,適切な縮尺で検索された経路を地図上に表示する機能が実現されている。なお,近年の計算機において「表示」するとは,主に画面出力に関連付けられたフレームバッファメモリ域に描画データを展開することであるため,そのような地図表示を可能とする従来技術により,画面等の出力装置に関連付けられていないメモリ域に展開することは容易である。
【0032】
次に,ステップS22で作成して案内図を,案内図情報で指定された広告コンテンツの画像上の位置へ貼り付けることより,ディスプレイへの表示用データを作成する(ステップS23)。広告コンテンツが静止画の場合には,案内図を貼り付けた静止画をJPEGファイルに保存し,広告コンテンツが動画の場合には,案内図を貼り付けた動画をMPEGファイルに保存する(ステップS24)。以上の案内図展開処理を各ディスプレイに対して繰り返す。
【0033】
なお,ステップS23において,案内図の画像データを,任意に拡大・縮小・移動して,他の画像データや動画データ上に重畳して表示することも,近年の計算機において標準的に提供される画面制御ライブラリあるいは,GPUと呼ばれる描画専用の処理プロセッサを使用することで,容易に実施できる。
【0034】
その他,ステップS22の実施に当たっては,より好適な実施方法として,下記に示すようなオプション構成方法もある。
【0035】
[オプション1]
ステップS22の実施に当たっては,特許文献1の方法を使用することもより好適である。すなわち,特許文献1の方法を使用すると,デフォルメされて見やすい経路案内図を作成することができる。
【0036】
例えば,次のようにしてデフォルメ地図を作成する。まず,ディスプレイの設置位置から案内図情報の目的地に至る経路に関連する範囲の地図データを,地図データベース14から抽出する。その地図データから,前記経路に対応して存在する道路における屈曲点と交差点とを含むノードの座標と,道路におけるノード間を繋ぐリンクの情報とを抽出した上で,各ノードに対応して存在する表示対象建物とその座標データとをノードごとに決定する。また,地図データにおける道路ネットワークに関して,該当する道路の接続関係をわかりやすく表現するため,道路の接続角度を正規化した上で,道路について回転,移動,拡大,縮小を含む操作により,該当する道路ネットワークについて座標を変換し,道路の接続を行う。また,座標変換された道路ネットワークと表示対象建物との位置関係が,元の地図データにおける関係と実質的に変わらないように,表示対象建物について回転,移動,拡大,縮小を含む操作により,表示対象建物の大きさと座標とを変更し,地図上に配置する。これにより,簡略化された見やすいデフォルメ地図を自動作成することができる。
【0037】
サイネージにおいては,通常,一定の時間で別の広告コンテンツに切り替わり,利用者(広告を見る人)が拡大縮小スクロールといった操作をできないため,短時間に利用者が理解しやすい経路案内図を表示することの効果は大きい。
【0038】
[オプション2]
経路案内を行う場合,特に最初にどの方向に進むべきかを利用者が理解しやすい形式で表示することは非常に大きな効果がある。一般に,従来の地図は北が上になるように表示されているが,特に地図理解が苦手な人が進むべき方向を確認する場合には,地図を回転させることが多い。そのような行動様式を技術的に具現化した例として,多くのカーナビにおいては,GPS(Global Positioning System )等のセンサにより取得できる車の進行方向に合わせて,地図を回転させて表示することにより,常時,利用者(この場合はドライバー)にとって,進行方向が上になるように表示される。
【0039】
サイネージにおいても,固定設置されたディスプレイにおいて経路案内図を表示するに当たっては,利用者(この場合はサイネージディスプレイを見ている人)がディスプレイに正対しているとして,その正面方向が上になるように表示することが,最も理解しやすい表示となる。
【0040】
そのため,ディスプレイ情報における「場所メタデータ」の登録に当たって,設置されたディスプレイの向きを登録しておき,ステップS22の処理において,地図をその向きにあわせて回転処理をかけることは,より好適な実施例となる。前述したオプション1の実施方式をとる場合にも,特許文献1の段落[0028]の処理にあたり,その向きでオフセットした状態から,角度の正規化処理を行うことで,利用者が十分理解できる範囲で利用者の正面方向が上になるようなデフォルメ表示が可能となる。
【0041】
[オプション3]
経路検索結果を表示する線の色や幅などは,そのような経路検索を実施するソフトウェアモジュールの構成としては,指定可能なパラメータであることが多い。そのため,そのようなモジュールにより,ステップS22の処理を実施する場合,必要なパラメータを広告主が指定できるようにすると,広告主の指定に合わせて結果を表示することができる。コンテンツ登録部11において,案内図情報31にそのようなパラメータを指定できるようにしておき,そのパラメータを取り出してステップS22を実現するようにソフトウェアモジュールを構成することは可能であり,それによって,広告主に合わせた結果表示を行うことができる。
【0042】
配信制御部16は,ネットワーク40の通信回線により結ばれたサイネージの各ディスプレイ端末20に対し,ディスプレイ21ごとに案内図展開部15により作成された案内図付きのコンテンツデータ(JPEGやMPEGなど)を配信するための機能モジュールである。このような機能を実現する方法としては,例えば,配信制御部16を,WEBサーバをベースとしたシステムとして構築し,各ディスプレイ端末20は,ディスプレイ端末20またはディスプレイ21を識別するIDを付加したHTTPリクエストにより,取得する方法や,逆に各ディスプレイ端末20側にファイルのアップロードを行うためのFTPサーバ機能を実装しておき,配信制御部16がFTPにより各ディスプレイ端末20に対して配信する,といった実装が可能である。
【0043】
さらに,非特許文献1には,それぞれ仕組みが違う既存デジタルサイネージシステムを共通インタフェース(IF)を通じて制御し,サイネージ配信制御サーバから一括して管理する方法が紹介されており,このようなサイネージ配信制御サーバにより,本発明の配信制御部16を構成することができる。
【0044】
図4は,第1の例により案内図付きのコンテンツデータを作成し,配信した場合の効果を示す図である。図4に示すように,各サイネージディスプレイ1〜3(図1に示すディスプレイ21−1〜21−3)に表示するコンテンツの案内図には,それぞれの位置を出発地とし,広告主店舗を目的地とする経路が描かれている。図の向きも,それぞれのディスプレイに正対する向きが上になるよう表示されているので,最初に向かうべき方向を利用者が理解しやすくなっている。一方で,広告主は,それぞれ異なる案内図を用意する必要がない。このことはディスプレイの数が増えても同じである。
【0045】
また,ディスプレイの新規設置,撤去,移動,向きの変更の際にも,ディスプレイ情報記憶部13に登録されたディスプレイ情報を変更してから,案内図展開部15以降の処理を行うことで,適切な案内図を表示することができる。
【0046】
〔第2の例〕
図5は,第2の例のサイネージ案内図作成装置の構成例を示す図である。このシステムは,コンテンツ配信装置50と,それぞれディスプレイ62−1,62−2,62−3(以下,62と表記)を備える複数のディスプレイ端末60−1,60−2,60−3(以下,60と表記)とが,ネットワーク40で接続される構成になっている。地図データベース70は,各ディスプレイ端末60が保持していても,ネットワーク40に接続されるサーバが保持していてもどちらでもよい。
【0047】
第2の例が,図1に示した第1の例と違うのは,案内図展開部61が各ディスプレイ端末60内に設けられ,配信制御部54と案内図展開部61の処理順序が逆になっていることである。また,ディスプレイ情報記憶部53は,第2の例の場合,配信先のアドレス情報だけを記憶すればよく,必ずしも第1の例のようにコンテンツ配信先のディスプレイの設置場所に関する地理的な位置情報を記憶する必要はない。
【0048】
コンテンツ登録部51の処理は,第1の例におけるコンテンツ登録部11と同様である。配信制御部54は,第1の例における配信制御部16と同様の仕組みにより,広告主が登録した広告コンテンツ30(案内図なし)と案内図情報31を,登録時のファイルのまま,各ディスプレイ端末60へ配信するように構成されている。
【0049】
各ディスプレイ端末60では,案内図展開部61が図3で説明した処理フローに従った処理を実行する。ただし,この第2の例では,ディスプレイごとの繰り返し処理は必要ないので,図3のステップS21〜S24の案内図展開処理だけを実行すればよい。各ディスプレイ端末60は,自装置の設置場所に関する地理的な位置情報を記憶しているものとする。この第2の例の場合にも,第1の例と同様に,図4に示すような案内図付きのコンテンツを表示することができ,同じ効果を得ることができる。
【0050】
なお,各ディスプレイ端末60の設置場所に関する地理的な位置情報を,各ディスプレイ端末60が予め記憶するのではなく,配信制御部54からコンテンツおよび案内図情報とともに受け取るようにしてもよい。
【0051】
〔第3の例〕
ここでは,複数店舗をチェーン展開している広告主のように,広告主店舗が複数ある場合にも適用できる実施例について述べる。
【0052】
第3の例は,基本的には第1の例と同様に構築できるため,第1の例との差の部分について述べる。
【0053】
図6は,第3の例において,コンテンツ・案内図情報記憶部12に登録されるコンテンツデータの例を示している。コンテンツ登録部11では,登録される案内図情報の記述形式が拡張され,図6に示すように,目的地として複数の位置情報(緯度経度)が登録できるようになっている。
【0054】
第3の例の場合の案内図展開部15の処理フローを,図7に示す。図3との差は,図3のステップS22が,第3の例では,ステップS221とS222に置き換わったことである。ステップS221では,コンテンツ登録部11で登録された複数の目的地に対し,ディスプレイの設置位置からの距離を計算し,その距離が最小となる目的地を「最寄りの目的地」として検索する。なお,距離の計算においては,経路検索を行って道のりを求めることも可能であり,また,2点の緯度経度から単純に算出される直線距離を用いても,実用上,有効である。
【0055】
ステップS222では,第1の例のステップS22で説明した処理と同様な処理により,ディスプレイの設置位置から案内図情報の検索された最寄りの目的地の場所までの案内図を作成する。
【0056】
図8は,第3の例により案内図付きのコンテンツデータを作成し,配信した場合の効果を示す図である。この例では,図8に示すように,サイネージディスプレイ1,2(図1に示すディスプレイ21−1,21−2)に表示するコンテンツの案内図には,経路上,もっとも近いA支店への案内図が表示されており,サイネージディスプレイ3(図1に示すディスプレイ21−3)には,B支店への案内図が表示されている。
【0057】
なお,第3の例についても,図5に示すような構成により,第2の例と同様に実施することも可能である。
【0058】
以上説明したサイネージ案内図作成の処理は,コンピュータとソフトウェアプログラムとによって実現することができ,そのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録することも,ネットワークを通して提供することも可能である。
【符号の説明】
【0059】
10,50 コンテンツ配信装置
11,51 コンテンツ登録部
12,52 コンテンツ・案内図情報記憶部
13,53 ディスプレイ情報記憶部
14,70 地図データベース
15,61−1〜61−3 案内図展開部
16,54 配信制御部
20−1〜20−3,60−1〜60−3 ディスプレイ端末
21−1〜21−3,62−1〜62−3 ディスプレイ
30 広告コンテンツ
31 案内図情報
40 ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークで接続された,ディスプレイを有する複数のディスプレイ端末に対して,コンテンツを配信し表示させるデジタルサイネージシステムにおけるサイネージ案内図作成装置であって,
コンテンツにおいて目的地とする場所の地理的な位置情報と,コンテンツ上に案内図を表示すべき画面上の位置情報とを含む案内図情報を,コンテンツとともに入力し登録するコンテンツ登録手段と,
前記登録されたコンテンツと案内図情報を記憶するコンテンツ・案内図情報記憶手段と,
予め登録された複数のディスプレイのそれぞれの設置場所に関する地理的な位置情報を記憶するディスプレイ情報記憶手段と,
前記ディスプレイ端末のディスプレイごとに,前記コンテンツ・案内図情報記憶手段が記憶する案内図情報と,前記ディスプレイ情報記憶手段が記憶するディスプレイ情報とをもとに,前記ディスプレイの設置場所から前記案内図情報における目的地までの経路を含む案内図を,地図データベースに格納された地図データを用いて作成し,前記コンテンツ・案内図情報記憶手段が記憶するコンテンツ上に前記案内図を重畳させた表示用データを作成する案内図展開手段と,
前記案内図展開手段により作成された表示用データを複数のディスプレイ端末に配信してディスプレイに表示させる配信制御手段とを備える
ことを特徴とするサイネージ案内図作成装置。
【請求項2】
ネットワークで接続された,ディスプレイを有する複数のディスプレイ端末に対して,コンテンツを配信し表示させるデジタルサイネージシステムにおけるサイネージ案内図作成装置であって,
コンテンツにおいて目的地とする場所の地理的な位置情報と,コンテンツ上に案内図を表示すべき画面上の位置情報とを含む案内図情報を,コンテンツとともに入力し登録するコンテンツ登録手段と,
前記登録されたコンテンツと案内図情報を記憶するコンテンツ・案内図情報記憶手段と,
前記コンテンツ・案内図情報記憶手段に登録されたコンテンツと案内図情報とを,前記複数のディスプレイ端末に対して配信する配信制御手段と,
前記各ディスプレイ端末において,自装置のディスプレイの設置場所に関する地理的な位置情報に関するディスプレイ情報と,前記配信制御手段により配信された案内図情報とをもとに,前記設置場所から前記案内図情報における目的地までの経路を含む案内図を,地図データベースに格納された地図データを用いて作成し,前記配信制御手段により配信されたコンテンツ上に前記案内図を重畳させた表示用データを作成してディスプレイに表示する案内図展開手段とを備える
ことを特徴とするサイネージ案内図作成装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2記載のサイネージ案内図作成装置において,
前記案内図展開手段は,前記案内図情報と前記ディスプレイの設置場所の位置情報により,地図データベースから取得した地図データをもとに,地図における道路および建物の表示位置の座標変換を行い,デフォルメされた案内図を作成する手段を有する
ことを特徴とするサイネージ案内図作成装置。
【請求項4】
請求項1,請求項2または請求項3記載のサイネージ案内図作成装置において,
前記ディスプレイ情報として,地理的な位置情報に加えて,ディスプレイの設置された向きに関する情報を持ち,
前記案内図展開手段は,案内図の作成に当たり前記ディスプレイの設置された向きの情報を用いて,ディスプレイに正対する方向が案内図の上方向になる案内図を作成する手段を有する
ことを特徴とするサイネージ案内図作成装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載のサイネージ案内図作成装置において,
前記コンテンツ登録手段において登録される案内図情報は,作成される案内図に関する作成パラメータの情報を含み,
前記案内図展開手段は,前記案内図情報における作成パラメータに従って前記案内図を作成する手段を有する
ことを特徴とするサイネージ案内図作成装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載のサイネージ案内図作成装置において,
前記コンテンツ登録手段において登録される案内図情報は,コンテンツにおいて目的地とする場所の地理的な位置情報を複数個含んでおり,
前記案内図展開手段は,前記案内図情報における複数個の目的地の位置情報から,当該コンテンツを表示するディスプレイの設置場所に対して最寄りとなる目的地を選択し,選択された目的地に対する案内図を作成する手段を有する
ことを特徴とするサイネージ案内図作成装置。
【請求項7】
コンピュータを,請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載のサイネージ案内図作成装置が備える各手段として機能させるためのサイネージ案内図作成プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−70044(P2011−70044A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−221868(P2009−221868)
【出願日】平成21年9月28日(2009.9.28)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】