説明

サイフォン作用による塊状物流し込み補助機能を有する圧力式トイレット

圧力式トイレット(10)は、「必要に応じて」(塊状物に応じて)サイフォン作用による補助機能を提供するトラップ通路(18)を有する。液体汚物又は少量の塊状汚物の正常な水洗中は、トラップ通路の中にサイフォンは形成されず、ボウル中の水及び軽い汚物は加圧水ジェットの力の下でのみ排出される。ダム(28)の近傍又はそのすぐ下流に大容積領域(30)が備えられおり、水ジェットからの吹き出し物を収容する。下向き脚部分(32)において塊状汚物の濃度が閾値に達することによってのみ、トラップ通路はサイフォンを引き出す。下向き脚部分の下部における水平バッフル(36)が、十分な濃度の塊状汚物の蓄積を補助して、トラップ通路の中にサイフォンを確立する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トイレットに関し、特にサイフォン作用による補助機能を有する圧力式トイレットに関する。
【背景技術】
【0002】
ボウルが糞便、トイレットペーパー、及びその他の固形物で満たされたときにトイレットの効果的な水洗を達成することは、特に節水型トイレットでは容易ではない。また、いくつかの節水型トイレットでは特に、トイレットを2回又はそれ以上水洗して、満足するまでボウルを洗浄することはユーザにとってよく行なわれることである。これはユーザにとっては苛立たしく、時間の浪費であるのみならず、多くの地域で水洗1回当り1.6ガロン(6.1リットル)を超えてはならない水の消費を規定する多くの管轄区において行なわれている、環境上の努力及び節水の努力を無にすることになる。
【0003】
従来のトイレットは、通常は1つ又は2つの主要部材として形成されたボウル及び貯蔵タンクを有している。一般的に「トラップ通路」と呼ばれる蛇行通路が、ボウルの内容物を建物の汚物用配管へ送るための導管としてボウルの背後下方に位置している。トイレットのトラップ通路の精密な構成はさまざまであるが、トラップ通路はすべて一般に上向き脚部分を有しており、この上向き脚部分は通常は水で満たされており、その下流に下水ガスを「トラップして(閉じ込めて)」、これらのガスが建物の中に入ってくることを防止している。ボウルの開口部よりも上方に位置する、トラップ通路の弧状の堰、即ち、ダムによって、ボウル及びトラップ通路の上向き脚部分の中に水が維持される。こうして、トラップ通路は、水洗の前にボウルの中に水を保留する助けともなる。
【0004】
水洗サイクル中は、ボウル内の水及び汚物は、上向き脚部分を越えて通過し、ダムを越え、下向き脚部分を下方に流れて、出口を通って配管へと流れる。水洗奔流を作り出すためのメカニズムは、圧力式水洗トイレットと重力式水洗トイレットとでは異なる。後者は、下向き脚部分における空気と、上向き脚部分において、ダムを越えるように作用する圧力水頭とを利用して、トラップ通路の中にサイフォンを確立し、このサイフォンが水及び汚物をボウルから引き出してトラップ通路から引き出す。ボウルが空になると、空気がトラップ通路に入り、サイフォンを壊し、タンクからの新しい水がボウルを再び満たす。
【0005】
加圧式トイレットでは、管路の圧力、タンク内に貯蔵された加圧水、又は水溜めからポンプ輸送された水のうちの1つ又は組合せが使用され、加圧された水流がトラップ通路又はボウルの中に噴射されて、ボウルの内容物をトラップ通路へと吹き飛ばす。従来の重力式トイレットにおいて生成されたタイプのサイフォンは、一般的に加圧式トイレットでは使用されない。しかし、ある種の加圧式トイレット(例えば米国特許第6219855号)はサイフォンも使用していると記載されている。
【0006】
従来の圧力式トイレットのトラップ通路において、一貫して維持されたサイフォンを実現することは困難である。その理由は、従来の圧力式トイレットのトラップ通路には、大半の場合、重力式トイレットとは異なる設計がなされているからである。特に、圧力式トイレットにおけるトラップ通路は、通常、上向き脚部分から下流に大きな区域を有している。この拡張区域は、水ジェットによってボウルから急速に排出されてトラップ通路の中に入った液体及び塊状汚物を収容する。これがなければ、水及び汚物は上向き脚部分を通って押し戻されてボウルに戻る虞があり、これが有効な水洗を妨げる虞がある。
【0007】
従って、残念ながら、上向き脚部分から下流の大きな空間はサイフォンの実現及び持続を困難にする。このための1つの理由は、トラップ通路の吹き出し領域における大きな断面積は、これを満たすためにより多くの液体と汚物を必要とすることである。別の理由は、水洗サイクルを開始する前の下向き脚部分における空気が、水及び汚物を排出することによって占有されていないこの拡張領域の一部を通って、上向き脚部分の中に押し戻される虞があることである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、加圧式トイレットではサイフォンの使用に関して改良が必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、「必要に応じて」、即ち、トイレットの塊状物の流し込み量が増加している間に、サイフォン作用による補助機能をもたらす圧力式トイレットを提供するものである。液体汚物の正常な水洗中又は少量の塊状物の水洗中は、トラップ通路においてサイフォンは発生せず、ボウル中の水及び軽い汚物は、加圧水ジェットの力の下で適切に排出される。ダムの近く又はそのすぐ下流において余分の容積が備えられて、水ジェットからの吹き出し物を収容する。下向き脚部分において塊状汚物の濃度が閾値に達する場合(例えば、糞便及びトイレットペーパーがトラップ通路の中に存在するとき)にのみ、トラップ通路にサイフォンを生じさせる。下向き脚部分の下部における水平バッフルが、十分な濃度の塊状汚物の蓄積を補助して、トラップ通路中にサイフォンを確立することができる。
【0010】
ある態様では、本発明は、ボウルと、ボウル開口部と出口開口部との間に伸びるトラップ通路の中に(直接又は先ずボウルを通過してのいずれかによって)加圧水を噴射するための加圧水供給源とを有するトイレットを提供する。トラップ通路は、その中における塊状汚物の閾値濃度レベル未満ではサイフォンが発生しないように、濃度が閾値以上の場合のみサイフォンをもたらす。
【0011】
トラップ通路は上向き脚部分を有しており、この上向き脚部分は、ボウル開口部から下向き脚部分へのボウル開口部の上の湾曲水ダムへ、上向き及び後向きに伸びており、そして、下向き脚部分は下向き及び前向きに傾斜して出口と連絡している。より大きな断面積の拡張容積吹き出し部分が、トラップ通路において上向き脚部分又はダムのすぐ下流側に設けられ、こうして、上向き脚部分を通じてボウルの中に吹き戻すことなく、圧力ジェットによる汚物の急速な排出「吹き出し」を受け入れる。
【0012】
塊状汚物の濃度の閾値は、トラップ通路自体ではなく、トラップ通路内部のすべての物質の2〜5重量パーセントであることが好ましい。濃度レベルは、トラップ通路の下向き脚部分の内部で測定されることが好ましい。汚物濃度がこれよりも低い場合は、液体のみの汚物を含む軽量汚物流し込みに対応し、一般に圧力ジェットを補助するためのサイフォンを必要としない。また、汚物濃度がこれと等しいか、又は、これよりも高い場合は、大きな力による流し込みに対応し、その際、サイフォンが十分な水洗の達成のために大きく貢献する。
【0013】
トラップ通路は、また本質的に水平なバッフルを有していてもよい。この水平バッフルは、下向き脚部分の下部に隣接した位置で、下向き脚部分の後壁から前方に向かって伸びている。このバッフルは、トラップ通路の下向き脚部分の中に塊状汚物を蓄積する作用を有しているので、かなりの量の塊状汚物をトラップ通路に通過させようとするときに、塊状汚物の濃度がその閾値に達し、水洗サイクルにおいて、より早い段階でサイフォンをもたらすことができる。サイフォン及びその早期の開始は、節水型トイレットにおいても汚物を1回の水洗で確実に排出する助けとなる。
【0014】
好ましい形では、上向き脚部分と下向き脚部分とは、ダムにおける0.5〜1インチ(1.3cm〜2.5cm)の半径曲線部分によって分離されている。上向き脚部分は、トイレットの底部又は出口開口部を含む水平面に対して、30〜45度の角度で伸びていてもよく、下向き脚部分は、この水平面に対して40〜60度の角度で伸びていてもよい。ダムは、ボウル底部の上4〜6インチ(10.2cm〜15.2cm)の高さの位置にあることが好ましい。水平バッフルは、下向き脚部分の後壁から測って0.5インチ〜2.5インチ(1.3cm〜6.4cm)の長さ、及び、下向き脚部分の底部から測って1インチ〜3.5インチ(2.5cm〜8.9cm)の高さを有していることが好ましい。
【0015】
本発明のトイレットは改良された塊状汚物水洗特性を有しており、この特性は、水洗1回当りの少ない水消費量、好ましくは1.4ガロン(5.3リットル)で、また加圧式システムにおいて一般的に用いられているよりも低い水洗速度、好ましくは、毎秒8〜10メートルで達成可能であり、これによって水洗騒音は低くなる。それでも、約2インチ(5.1cm)又はそれ以上であることが好ましい適切な最低球体通過寸法は維持される。
【0016】
本発明の利点は、詳細な説明及び図面から明らである。次に本発明の好ましい一実施形態の説明のみを示す。好ましい実施形態は特許請求の範囲内の唯一の実施形態であることを意図するものではないので、本発明の全範囲を評価するためには、特許請求の範囲を参酌すべきである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1は、タンク12と、ボウル14と、ジェット導管16(図2を参照)と、本発明によるトラップ通路18とを有する圧力式トイレット10を示す。トラップ通路を除いて、トイレットを、任意の周知の方法で加圧された水流を供給したり、例えば直接水道管圧を使用したり、タンクの中にある容積の加圧水を蓄積したり、又はタンクの水を加圧するためにサンプポンプを準備したりすることにより、図1に示す2ピース型の小容量水洗設計のような、任意の適切な圧力式トイレットにすることができる。
【0018】
米国特許第5305475号及び同第5046201号は、そこでの使用に適した水ジェットを発生させるための機構を有する、圧力式補助トイレットの実施例を開示している。これらの特許における加圧水を発生して送り出すための特徴に関する開示内容は、これを参照することにより、本明細書に完全に述べられているものとして本明細書に組み込まれている。
【0019】
上記のいずれの場合にも、大気圧より高く加圧された水は、タンク12からジェット導管16を通じて移される。一般的に、ジェット導管16は、トイレットのガラス質の基部の中に形成された通路であり、ジェット導管の出口がトイレットの後部の方に向くようにボウル14の前部の周りに巻き付いている。ジェット導管16は、これがボウルの内部の汚物をトラップ通路18の中に押し込むように水ジェットを向けることを条件に、ボウル水溜め20の中、トラップ通路18の中(その上向き脚部分の中)、又はトラップ通路18とボウル開口部22との接合箇所において終端していてもよい。図1に示すトイレット10では、ジェット導管16はボウル水溜め20において終端し、水ジェットは開口部23を通過する。
【0020】
図1及び図2に示すように、トラップ通路18はボウル開口部22から、(図3及び図4に示すように)長円形又はこれに近い断面を有するほぼヘアピン形状を呈する蛇行経路に沿って伸びている。トイレット10の基部は、出口24を有しており、この出口は、汚物用配管(図示せず)の開放された端部の上に取り付けられたトラップ通路18の底部において、本質的に水平面の中に含まれていることが好ましい。こうしてトラップ通路18は、ボウル14内の内容物のための経路を形成して、水洗サイクル中に汚物管路に流す。
【0021】
図2を参照すると、トラップ通路18の上向き脚部分26は、ボウル開口部22から上方及び後方に向かって湾曲部の方へ後向きに伸びている。この湾曲部の内径は、堰即ち水ダム28を形成し、その後方部分において、水はトラップ通路18の下流部分を通過することができる。ダム28において、又はダム28のすぐ下流側に、拡張された容積を有する「吹き出し」領域30が設けられている。これは大きな断面積を有し、水ジェットによって上向き脚部分26を通じて急速に押し込まれた汚物及び水を収容する。その大きなサイズは、汚物がボウルの中へ吹き戻される可能性を減少させる。下向き脚部分32は、ダム28から下方及び前方に下降して、トイレット出口24と整合する開口部34まで伸びている。ダム28は、下向き脚部分32内の流れの方向を、上向き脚部分26内の流れの方向から約180度だけ変えるように、小さな半径を有している。
【0022】
下向き脚部分32の下端部における開口部34に隣接して、トラップ通路18は、下向き脚部分32の後壁の間に伸びる短い平坦な水平バッフル36を有している。バッフル36は、下向き脚部分32を通る流れを乱す作用を有している。液体及び非常に少ない塊状汚物については、バッフル36は、下向き脚部分32において乱流の発生を少なくすることによって流れを改善する。より多い塊状汚物については、バッフル36は、下向き脚部分32において塊状汚物を蓄積し、サイフォン開始のために必要な塊状汚物の必要濃度を実現し、こうして水洗サイクルにおいてより早期にサイフォン作用をもたらす働きをする。
【0023】
トラップ通路18は具体的には、トラップ通路18の内部でサイフォン吸引を堅実に達成して、水洗サイクル中にボウル14から多量の塊状汚物を排出するときに水ジェットを補助するように構成されていると共に、寸法決定されている。トラップ通路18はさらに、塊状物質の閾値濃度がトラップ通路の内部に存在するときにのみ、即ち十分な固体汚物がトラップ通路18の中に存在するときにのみ、サイフォンを達成するように設計されている。液体のみ又は不十分な塊状汚物(濃度の閾値より低い)がトラップ通路の中に存在するときには、サイフォンは確立されない。下向き脚部分32内の塊状汚物濃度は特定の重要性を有すると考えられ、この領域において、塊状汚物の濃度の閾値が考慮されている。
【0024】
図5を参照して、トラップ通路のさまざまな設計パラメータに関して採用可能であり、好ましいと決定された値を下記表1に簡単に記す。
【0025】
【表1】

【0026】
上記パラメータに関して与えられた値は、ボウル内の水の容積、並びに、水洗サイクル中にジェット導管を通じて噴射される水の容量及び流量に依存する。これらの値を下記表2に記す。
【0027】
【表2】

【0028】
本発明者等は、ダム28の半径(r)と、水平パラメータからの上向き脚部分26の角度(θ)とは、塊状汚物とサイフォン達成能力とに関して最も敏感であることを、実験に基づいて決定した。下向き脚部分32の角度(θ)は、中位の効果を有し、バッフル34の位置(L)及び外形(h)も同じである。本発明者等はまた、このような構成を有するトラップ通路は、下向き脚部分32内の塊状汚物濃度が(液体質量を含めて)2重量%〜5重量%であり、塊状汚物の濃度の好ましい閾値が2.5重量%であるときに、サイフォンを発生させることができることも決定した。
【0029】
上向き脚部分26と下向き脚部分32との間のダム半径(r)を、0.5〜1.0インチ(1.3〜2.5cm)として設計することが好ましい。上向き脚部分26は、水平から30〜45度の角度θでボウル開口部22から上方及び後方に向かって伸びるように設計されている。さらに、下向き脚部分32は、水平から40〜60度の角度をなすことが好ましい。本発明者等は、上述のパラメータのためには、0.8インチ(2cm)のダム半径(r)、32.5度の上向き脚部分角度(θ)、及び50度の下向き脚部分角度(θ)が最も好ましいことを実験に基づいて決定した。これらの値はまた、塊状汚物を水ダム28の内部湾曲部を越えて、これから離れて下向き脚部分32の中へ運ぶ流れ曲線の発生を助けるために選択される。
【0030】
バッフル34は、1〜3.5インチ(2.5〜8.9cm)の高さ(h)で、0.5〜2.5インチ(1.3〜6.4cm)の長さ(L)に伸びることが好ましい。上述の他のパラメータの好ましい値に対応するこれらのパラメータの好ましい値は、それぞれ1.1インチ(2.8cm)及び1.2インチ(3.0cm)である。これらの値は、通路を過度に閉じることなく、下向き脚部分32の中に塊状汚物を蓄積するように、下向き脚部分32を通る流れを十分に妨げる。バッフル棚の高さ及び長さは、下向き脚部分の半径に比例して増減変化する。
【0031】
実験によって、本発明のトラップ通路を備えたトイレットは、他の類似の従来の圧力式トイレットと比較して、塊状汚物全体に亘って改良された性能を有することが立証された。塊状汚物を除去するためのこの改良された能力によって、トイレットは、従来のトイレットにおける水洗1回当り1.6ガロン(6.1リットル)と比較して、水洗1回当り1.4ガロン(5.3リットル)という非常に小さい水洗容積で、また好ましくは毎秒8〜10メートル(さらに好ましくは8.5m/秒)という低いジェット速度で動作することができる。こうして、改良されたトイレットはより少ない水を消費し、より静かに動作し、従来の圧力式トイレットよりも優れた塊状汚物処理を行う。
【0032】
本発明のトイレットとトラップ通路とによる改良された塊状汚物処理を立証するために実施された実験研究は、トイレットの水洗性能を試験するために産業分野における1人又は複数の関係者によって通常実施されるパルプパッド、パルプボール、及びペースト試験を含んでいる。本発明のトイレットでは、従来の圧力式トイレットと比較して、単一水洗でボウルから排出可能な(例えば、複数部分の多層トイレットペーパーで作られた)パルプパッドの数において、少なくとも15%、ある場合には33%の改善が認められた。紙球ローディング(トイレットペーパーをもみつぶして球体にしたもの)の試験では、本発明のトイレットは、第1水洗において50個の紙球の約90%を、及び60個の紙球の50%を排出することができ、残りを第2水洗で除去し、トラップ通路の詰りは全くなかったことが示された。このような結果が従来の圧力式トイレットにおいて再現されたことは認められていない。単層トイレットペーパーによる50個の1.5〜2インチ(3.8〜5.1cm)紙球は、ほぼ4%の塊状汚物濃度を示すことに留意すべきである。
【0033】
上述したものは、本発明の好ましい一実施形態であることを理解すべきである。しかし、この好ましい実施形態に対する多くの変更及び変形は当業者にとって明らかであり、これらは本発明の精神及び範囲内に含まれる。従って、本発明を上に説明した実施形態に限定すべきではない。本発明の技術的範囲を正確に確認するために、特許請求の範囲を参照すべきである。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明は、改良されたトラップ通路設計によって、十分な塊状汚物がトラップ通路の内部に存在するときに、トラップ通路内にサイフォン吸引を確立することによって、トイレットが塊状汚物をより効果的に水洗することを可能にする、圧力式トイレットを提供するものである。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】トラップ通路が適用されるトイレットを想像線で示した、本発明によるトイレットのトラップ通路の側面図である。
【図2】図1のトイレットの後方部分の、前方から後方に延びる中心線に沿った部分縦断面図である。
【図3】図2の3−3線に沿った部分断面図である。
【図4】図2の4−4線に沿った部分断面図である。
【図5】トラップ通路を概略的に示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボウルと、水を圧力下でトラップ通路の中に噴射するための導管を備えた加圧水供給源とを有し、前記トラップ通路は、ボウル開口部と出口との間に伸び、そして、上向き脚部分を有しており、前記上向き脚部分は、前記ボウル開口部から、前記ボウル開口部よりも上方に位置する水ダム領域に、上方且つ後方に向かって伸びて、下向き脚部分に接続されており、前記下向き脚部分は、下方且つ前方に傾斜して伸びて、前記出口に連通しているトイレットであって、前記トラップ通路において、塊状汚物の濃度が閾値に達した場合に、前記トイレットがサイフォン作用をもたらす一方、前記トラップ通路において、塊状汚物の濃度が前記閾値に達しない場合に、サイフォン作用をもたらさないことを特徴とするトイレット。
【請求項2】
前記トラップ通路の前記下向き脚部分において、塊状汚物の濃度が閾値に達した場合に、前記サイフォン作用をもたらすことを特徴とする、請求項1に記載のトイレット。
【請求項3】
塊状汚物の濃度の前記閾値が、前記トラップ通路全体ではなく、前記下向き脚部分内のすべての物質の2重量パーセントから5重量パーセントの間にある、請求項2に記載のトイレット。
【請求項4】
前記上向き脚部分と前記下向き脚部分とが、前記ダム領域において、0.5インチ(1.3cm)から1インチ(2.5cm)の間にある半径曲線部分によって分離されている、請求項1に記載のトイレット。
【請求項5】
前記上向き脚部分が、前記出口を含む水平面に対して、30度から45度の間にある角度をなして伸びている、請求項1に記載のトイレット。
【請求項6】
前記下向き脚部分が、前記出口を含む水平面に対して、30度から60度の間にある角度をなして伸びている、請求項1に記載のトイレット。
【請求項7】
前記導管を通過する前記水の速度が、1秒当り8から10メートルで水を送り出すことができる、請求項1に記載のトイレット。
【請求項8】
前記ダム領域が、前記ボウルの底部から上方に、4インチ(10.2cm)から6インチ(15.2cm)の間の高さの位置に設けられている、請求項1に記載のトイレット。
【請求項9】
前記トラップ通路が、実質的に水平なバッフルを有しており、前記バッフルは、前記下向き脚部分の下部に隣接した位置で、前記下向き脚部分の後壁から前方に向かって伸びている、請求項1に記載のトイレット。
【請求項10】
前記バッフルが、前記下向き脚部分の前記後壁から測って0.5インチ(1.3cm)から2.5インチ(6.4cm)の間の長さを有する、請求項9に記載のトイレット。
【請求項11】
前記バッフルが、前記下向き脚部分の底部から測って1インチ(2.5cm)から3.5インチ(8.9cm)の間の高さを有する、請求項9に記載のトイレット。
【請求項12】
前記トラップ通路が、前記上向き脚部分よりも大きな断面積を有する吹き出し領域を有する、請求項1に記載のトイレット。
【請求項13】
ボウルと、水を圧力下でトラップ通路の中に噴射するためのジェット導管を備えた加圧式タンクとを有し、前記トラップ通路は、ボウル開口部と出口との間に伸び、そして、上向き脚部分を有しており、前記上向き脚部分は、前記ボウル開口部から、前記ボウル開口部よりも上方に位置する湾曲水ダム領域に、上方且つ後方に向かって伸びて、下向き脚部分に接続されており、前記下向き脚部分は、下方且つ前方に傾斜して伸びて、前記出口に連通しているトイレットであって、
前記トラップ通路の前記下向き脚部分において、塊状汚物の濃度が、前記トラップ通路全体ではなく、前記下向き脚部分内のすべての物質の2重量パーセントから5重量パーセントの間の閾値に達した場合に、前記トラップ通路がサイフォン作用をもたらすことを特徴とするトイレット。
【請求項14】
前記上向き脚部分が、前記出口を含む水平面に対して、30度から45度の間にある角度をなして伸びている、請求項13に記載のトイレット。
【請求項15】
前記下向き脚部分が、前記出口を含む水平面に対して、40度から60度の間にある角度をなして伸びている、請求項13に記載のトイレット。
【請求項16】
前記下向き脚部分が、実質的に水平なバッフルを有しており、前記バッフルは、前記下向き脚部分の下部に隣接した位置で、前記下向き脚部分の後壁から前方に向かって伸びている、請求項13に記載のトイレット。
【請求項17】
開口部を有するボウルと、
大気圧より高い圧力に加圧された水を供給するためのタンクと、
前記タンクから加圧水を送り出すためのジェット導管と、
前記ボウルの開口部と出口との間に伸びるトラップ通路と
を備えたトイレットであって、
前記トイレットの水洗サイクルが、前記トラップ通路を通して前記ボウルの中に汚物を押し込むように、前記ジェット導管を通じて加圧水流を噴射することを含み、そして、前記トラップ通路において、塊状汚物の濃度が閾値に達した後のみに、前記トラップ通路内においてサイフォン作用をもたらすことを含む
ことを特徴とするトイレット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2008−533332(P2008−533332A)
【公表日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−500779(P2008−500779)
【出願日】平成18年3月3日(2006.3.3)
【国際出願番号】PCT/US2006/007683
【国際公開番号】WO2006/096541
【国際公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【出願人】(591024889)コーラー、カンパニー (15)
【氏名又は名称原語表記】KOHLER COMPANY
【Fターム(参考)】