説明

サイレントチェーン

【課題】スプロケット歯との噛み合い開始時に生じがちな衝撃音や衝撃力を大幅に低減して長期のチェーン寿命を発揮するサイレントチェーンを提供すること。
【解決手段】ガイド列プレート110に形成された外側噛み合い面112aの噛み合い開始に先立ってスプロケットに当接する噛み合いピン140が一対のガイドプレート111間に架設され、ガイドプレート111への荷重を吸収緩和する切り欠き状変形許容部111aがガイドプレート111に形成され、ガイド列プレート112の外側噛み合い面112aへのスプロケット当接を許容する噛み合いピン退避部112bがガイド列プレート112の外側噛み合い面112a側に形成され、関節列プレート121への荷重を吸収緩和する湾曲状変形許容部121bが関節列プレート121に形成されて、外側噛み合い面112a、121aがスプロケットに噛み合い開始して着座しながら動力伝達するサイレントチェーン100。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車、産業機械等の動力伝達機構、搬送機構などに用いられるサイレントチェーンに関するものであって、特に、自動車エンジンのクランクシャフトとカムシャフトとの間の動力伝達に用いられてスプロケットの噛合い時に発生する騒音を低減させるとともにチェーン寿命を向上させる構造を備えたサイレントチェーンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、一対のガイドプレートと該一対のガイドプレート間に配置した複数のガイド列プレートとで構成されるガイドリンク列と複数の関節列プレートで構成される関節リンク列とが交互に屈曲自在に連結ピンによりチェーン長手方向に連結されたサイレントチェーンとして、既にスプロケット歯に一対の噛合い部のそれぞれの外側噛み合い面で着座を完了しているプレートの後寄りの連結ピンを中心に相対的に回動して、プレート前寄りの噛合い部の内側噛み合い面と、このプレートの後続するプレートの前寄りの噛合い部の内側噛み合い面とがそれぞれスプロケット歯と順次干渉してスプロケット歯を摺動しながら動力伝達するサイレントチェーンが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特許第3054144号公報(第1頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、このような従来のサイレントチェーンは、スプロケット歯との噛み合い時に生じがちな摺動音を内側噛み合い面により低減させているが、スプロケット歯との噛み合い開始時に生じがちな衝撃音や衝撃力を十分に配慮されておらず、更なる低騒音化の要求に期待することができないという問題があり、また、スプロケット歯との噛み合い開始時に生じがちな衝撃力が集中的に負荷される内側噛み合い面に早期の摩耗が生じる虞れがあるという問題があった。
【0004】
本発明の目的は、スプロケット歯との噛み合い開始時に生じがちな衝撃音や衝撃力を大幅に低減して長期のチェーン寿命を発揮するサイレントチェーンを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本請求項1に係る発明は、一対のガイドプレートと該一対のガイドプレート間に配置した複数のガイド列プレートとで構成されるガイドリンク列と複数の関節列プレートで構成される関節リンク列とが交互に屈曲自在に連結ピンによりチェーン長手方向に連結されて、前記ガイド列プレートと関節列プレートにそれぞれ形成された外側噛み合い面がスプロケットに噛み合い開始して着座しながら動力伝達するサイレントチェーンにおいて、前記ガイド列プレートに形成された外側噛み合い面の噛み合い開始に先立ってスプロケットに当接する噛み合いピンが前記一対のガイドプレート間に架設され、前記噛み合いピンのスプロケット当接時に惹起するガイドプレートへの荷重を吸収緩和する切り欠き状変形許容部が前記噛み合いピンの非当接側近傍を囲むようにガイドプレートに形成され、前記噛み合いピンのスプロケット当接後にガイド列プレートの外側噛み合い面へのスプロケット当接を許容する湾曲状の噛み合いピン退避部が前記ガイド列プレートの外側噛み合い面側に形成され、前記関節列プレートに形成された外側噛み合い面のスプロケット当接時に惹起する関節列プレートへの荷重を吸収緩和する湾曲状変形許容部が前記噛み合いピンの近傍を囲むように関節列プレートに形成されていることにより、前述した課題を解決するものである。
【0006】
そして、本請求項2に係る発明は、請求項1に係るサイレントチェーンの構成に加えて、前記ガイドプレート、ガイド列プレート、関節列プレートのプレート形状がチェーン長手方向で前後対称にそれぞれ形成されていることにより、前述した課題をさらに解決するものである。
【0007】
また、本請求項3に係る発明は、請求項1または請求項2に係るサイレントチェーンの構成に加えて、前記ガイド列プレートの噛み合いピン退避部と関節列プレートの湾曲状変形許容部とが、前記噛み合いピンを囲むように重なり合った状態で配置されていることにより、前述した課題をさらに解決するものである。
【0008】
さらに、本請求項4に係る発明は、請求項1乃至請求項3のいずれかに係るサイレントチェーンの構成に加えて、前記ガイドプレートの強度が前記ガイド列プレート、関節列プレートの強度よりも相対的に小さくなっていることにより、前述した課題をさらに解決するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明のサイレントチェーンは、一対のガイドプレートと該一対のガイドプレート間に配置した複数のガイド列プレートとで構成されるガイドリンク列と複数の関節列プレートで構成される関節リンク列とが交互に屈曲自在に連結ピンによりチェーン長手方向に連結されていることにより、ガイド列プレートと関節列プレートにそれぞれ形成された外側噛み合い面がスプロケットに噛み合い開始して着座しながら動力伝達することができるとともに、以下のような特有の構成により格別の効果を奏することができる。
【0010】
本請求項1に係るサイレントチェーンは、ガイド列プレートに形成された外側噛み合い面の噛み合い開始に先立ってスプロケットに当接する噛み合いピンが一対のガイドプレート間に架設され、噛み合いピンのスプロケット当接時に惹起するガイドプレートへの荷重を吸収緩和する切り欠き状変形許容部が噛み合いピンの非当接側近傍を囲むようにガイドプレートに形成され、噛み合いピンのスプロケット当接後にガイド列プレートの外側噛み合い面へのスプロケット当接を許容する湾曲状の噛み合いピン退避部がガイド列プレートの外側噛み合い面側に形成されていることにより、噛み合いピンがガイド列プレートの外側噛み合い面に先立ってスプロケット歯に当接する際にガイドプレートの切り欠き状変形許容部が噛み合いピンの非当接側で撓んでガイドプレートへの荷重を吸収緩和しながらクッション作用を発揮し、次いで、このガイドプレートの切り欠き状変形許容部の撓みによって噛み合いピンを噛み合いピン退避部内に退避させるとともにガイド列プレートの外側噛み合い面をスプロケット歯に当接させるため、ガイド列プレートの外側噛み合い面とスプロケット歯との噛み合い開始時に生じがちな衝撃音や衝撃力を大幅に低減させることができるとともにガイド列プレートの外側噛み合い面に生じがちな摩損を抑制して長期に亙ってチェーン寿命を発揮することができる。
【0011】
また、関節列プレートに形成された外側噛み合い面のスプロケット当接時に惹起する関節列プレートへの荷重を吸収緩和する湾曲状変形許容部が噛み合いピンの近傍を囲むように関節列プレートに形成されていることにより、関節列プレートの外側噛み合い面がスプロケット歯に当接する際に噛み合いピンの近傍を囲むように形成した湾曲状変形許容部が撓んで関節列プレートへの荷重を吸収緩和しながらクッション作用を発揮するため、関節列プレートの外側噛み合い面とスプロケット歯との噛み合い開始時に生じがちな衝撃音や衝撃力を大幅に低減させることができるとともに関節列プレートの外側噛み合い面に生じがちな摩損を抑制して長期に亙ってチェーン寿命を発揮することができる。
【0012】
そして、本請求項2に係る発明は、請求項1に係るサイレントチェーンが奏する効果に加えて、ガイドプレート、ガイド列プレート、関節列プレートのプレート形状がチェーン長手方向で前後対称にそれぞれ形成されていることにより、チェーン組み立て時にプレートの表裏を認識することなく無作為的な組み立てが可能になるため、チェーン組み立てを簡便に達成することができる。
【0013】
また、本請求項3に係る発明は、請求項1または請求項2に係るサイレントチェーンが奏する効果に加えて、ガイド列プレートの噛み合いピン退避部と関節列プレートの湾曲状変形許容部とが噛み合いピンを囲むように重なり合った状態で配置されていることにより、ガイド列プレートの外側噛み合い面、あるいは、関節列プレートの外側噛み合い面のそれぞれがスプロケット歯と噛み合うに際してガイド列プレートの噛み合いピン退避部と関節列プレートの湾曲状変形許容部とがガイド列プレート、あるいは、関節列プレートへの荷重を吸収緩和しながらクッション作用を発揮することができる。
【0014】
さらに、本請求項4に係る発明は、請求項1乃至請求項3のいずれかに係るサイレントチェーンが奏する効果に加えて、前記ガイドプレートの強度がガイド列プレート、関節列プレートの強度よりも相対的に小さくなっていることにより、噛み合いピンがガイド列プレートの外側噛み合い面に先立ってスプロケット歯に当接する際にガイドプレートの切り欠き状変形許容部がクッション作用をより一段と発揮し易く、衝撃音や衝撃力の低減ばかりでなく、ガイドプレートがガイド列プレート、関節列プレートの固有振動数に起因する振動騒音を吸収緩和することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明は、一対のガイドプレートと該一対のガイドプレート間に配置した複数のガイド列プレートとで構成されるガイドリンク列と複数の関節列プレートで構成される関節リンク列とが交互に屈曲自在に連結ピンによりチェーン長手方向に連結されて、ガイド列プレートと関節列プレートにそれぞれ形成された外側噛み合い面がスプロケットに噛み合い開始して着座しながら動力伝達するサイレントチェーンにおいて、ガイド列プレートに形成された外側噛み合い面の噛み合い開始に先立ってスプロケットに当接する噛み合いピンが一対のガイドプレート間に架設され、噛み合いピンのスプロケット当接時に惹起するガイドプレートへの荷重を吸収緩和する切り欠き状変形許容部が噛み合いピンの非当接側近傍を囲むようにガイドプレートに形成され、噛み合いピンのスプロケット当接後にガイド列プレートの外側噛み合い面へのスプロケット当接を許容する湾曲状の噛み合いピン退避部がガイド列プレートの外側噛み合い面側に形成され、関節列プレートに形成された外側噛み合い面のスプロケット当接時に惹起する関節列プレートへの荷重を吸収緩和する湾曲状変形許容部が噛み合いピンの近傍を囲むように関節列プレートに形成され、スプロケット歯との噛み合い開始時に生じがちな衝撃音や衝撃力を大幅に低減して長期のチェーン寿命を発揮するものであれば、その具体的な実施態様は如何なるものであっても良い。
【0016】
たとえば、本発明のサイレントチェーンで用いる連結ピンは、多数のガイド列プレート、関節列プレート、ガイドプレートを無端状に連結するピンであれば良く、丸ピンであっても良く、ロッカージョイントピンであっても何ら差し支えない。
【0017】
また、本発明のサイレントチェーンで用いるガイド列プレート、関節列プレートの外側噛み合い面は、通常のプレス打ち抜き加工した状態のもの、あるいは、その後加工としてシェービング加工を施したもの、ファインブランキング加工を施したものなどのいずれであっても良いが、シェービングを施したもの、ファインブランキング加工を施したものを採用した場合は、スプロケット歯に対して円滑に摺動しながら噛み合うために、優れた耐摩耗性を発揮することができる。
【実施例】
【0018】
以下、図面に基づいて本発明の一実施例であるサイレントチェーンを詳細に説明する。 図1は、本発明の一実施例であるサイレントチェーンの概観を示す斜視図であり、本実施例であるサイレントチェーンの平面図であり、図3は、図2のX−X線で示すサイレントチェーンの側面図であり、図4は、図2のY−Y線で示すサイレントチェーンの側断面図であり、図5は、図2のZ−Z線で示すサイレントチェーンの側断面図であり、図6は、ガイドプレートの拡大図であり、図7は、ガイド列プレートの拡大図であり、図8は、関節列プレートの拡大図である。
【0019】
まず、本発明の一実施例であるサイレントチェーン100は、図1乃至図3に示すように、自動車エンジンのクランクシャフトとカムシャフトとの間の動力伝達に用いられ、一対のガイドプレート111とこれらのガイドプレート111の間に配置した3枚のガイド列プレート112とで構成されるガイドリンク列110と4枚の関節列プレート121で構成される関節リンク列120とが交互に屈曲自在に丸ピンからなる連結ピン130によりチェーン長手方向に連結されて、図4乃至図5に示すように、ガイド列プレート112と関節列プレート121にそれぞれ形成された外側噛み合い面112a、121aがスプロケット(図示せず)に噛み合い開始して着座しながら動力伝達するものである。
【0020】
そこで、本実施例のサイレントチェーン100では、図1乃至図2に示すように、前述したガイド列プレート112に形成された外側噛み合い面112aの噛み合い開始に先立ってスプロケットに当接する噛み合いピン140が一対のガイドプレート111の間に架設されている。
そして、図6に示すように、前述した噛み合いピン140のスプロケット当接時に惹起するガイドプレート111への荷重を吸収緩和する切り欠き状変形許容部111aが、噛み合いピン140の非当接側近傍を囲むようにガイドプレート111に形成され、さらに、図7に示すように、噛み合いピン140のスプロケット当接後にガイド列プレート112の外側噛み合い面112aへのスプロケット当接を許容する湾曲状の噛み合いピン退避部112bが、ガイド列プレート112の外側噛み合い面112a側に形成されている。
【0021】
これにより、噛み合いピン140がガイド列プレート112の外側噛み合い面112aに先立ってスプロケット歯に当接する際に、図4に示すように、ガイドプレート111の切り欠き状変形許容部111aが噛み合いピン140の非当接側で撓んでガイドプレート111への荷重を吸収緩和しながらクッション作用を発揮し、次いで、このガイドプレート111の切り欠き状変形許容部111aの撓みによって、噛み合いピン140を噛み合いピン退避部112b内に退避させるとともにガイド列プレート112の外側噛み合い面112aをスプロケット歯に当接させるようになっている。
なお、図4における符号Sで示す仮想線は、スプロケット歯の歯面である。
【0022】
また、図8に示すように、前述した関節列プレート121に形成された外側噛み合い面121bのスプロケット当接時に惹起する関節列プレート121への荷重を吸収緩和する湾曲状変形許容部121aが噛み合いピン140の近傍を囲むように関節列プレート121に形成されている。
【0023】
これにより、関節列プレート121の外側噛み合い面121aがスプロケット歯に当接する際に、図5に示すように、噛み合いピン140の近傍を囲むように形成した湾曲状変形許容部121bが撓んで関節列プレート121への荷重を吸収緩和しながらクッション作用を発揮するようになっている。
なお、図5における符号Sで示す仮想線は、スプロケット歯の歯面である。
【0024】
ここで、本実施例のサイレントチェーン100では、図6乃至図8に示すように、ガイドプレート111、ガイド列プレート112、関節列プレート121のプレート形状がチェーン長手方向で前後対称にそれぞれ形成されている。
これにより、チェーン組み立て時に、ガイドプレート111、ガイド列プレート112、関節列プレート121におけるそれぞれの表裏を認識することのない無作為的な組み立てが可能になり、チェーン組み立てが簡便となるようになっている。
なお、図6乃至図8に示す符号111c、112c、121cは、ガイドプレート111、ガイド列プレート112、関節列プレート121にそれぞれ設けたピン孔である。
【0025】
また、本実施例のサイレントチェーン100では、図3乃至図5に示すように、ガイド列プレート112の噛み合いピン退避部112bと関節列プレート121の湾曲状変形許容部121bとが噛み合いピン140を囲むように重なり合った状態で配置されている。
これにより、前述したガイド列プレート112の外側噛み合い面112a、あるいは、関節列プレート121の外側噛み合い面121aのそれぞれがスプロケット歯と噛み合うに際して、ガイド列プレート112の噛み合いピン退避部112bと関節列プレート121の湾曲状変形許容部121bとが、ガイド列プレート112、あるいは、関節列プレート121への荷重を吸収緩和しながらクッション作用を発揮するようになっている。
【0026】
さらに、本実施例のサイレントチェーン100では、前述したガイドプレート111の強度が、ガイド列プレート112、関節列プレート121よりもプレート厚みを薄くするなどして、ガイド列プレート112、関節列プレート121の強度よりも相対的に小さくなっている。
これにより、一対のガイドプレート111とこれらのガイドプレート111の間に配置した3枚のガイド列プレート112とで構成されるガイドリンク列110と4枚の関節列プレート121で構成される関節リンク列120との相互のプレート厚みの総量を均衡させるとともに、前述した噛み合いピン140がガイド列プレート112の外側噛み合い面112aに先立ってスプロケット歯に当接する際に、ガイドプレート111の切り欠き状変形許容部111aがクッション作用をより一段と発揮し易く、衝撃音や衝撃力の低減ばかりでなく、ガイドプレート111がガイド列プレート112、関節列プレート121の固有振動数に起因する振動騒音を吸収緩和するようになっている。
【0027】
このようにして得られた本実施例のサイレントチェーン100は、ガイド列プレート112と関節列プレート121にそれぞれ形成された外側噛み合い面112a、121aがスプロケットに噛み合い開始して着座しながら動力伝達することができるとともに、噛み合いピン140がガイド列プレート112の外側噛み合い面112aに先立ってスプロケット歯に当接する際にガイドプレート111の切り欠き状変形許容部111aが噛み合いピン140の非当接側で撓んでガイドプレート111への荷重を吸収緩和しながらクッション作用を発揮し、次いで、このガイドプレート111の切り欠き状変形許容部111aの撓みによって噛み合いピン140を噛み合いピン退避部112b内に退避させるとともにガイド列プレート112の外側噛み合い面112aをスプロケット歯に当接させるため、ガイド列プレート112の外側噛み合い面112aとスプロケット歯との噛み合い開始時に生じがちな衝撃音や衝撃力を大幅に低減させ、ガイド列プレート112の外側噛み合い面112aに生じがちな摩損を抑制して長期に亙ってチェーン寿命を発揮することができる。
【0028】
また、関節列プレート121の外側噛み合い面121aがスプロケット歯に当接する際に噛み合いピン140の近傍を囲むように形成した湾曲状変形許容部121bが撓んで関節列プレート121への荷重を吸収緩和しながらクッション作用を発揮するため、関節列プレート121の外側噛み合い面121aとスプロケット歯との噛み合い開始時に生じがちな衝撃音や衝撃力を大幅に低減させることができるとともに関節列プレート121の外側噛み合い面121aに生じがちな摩損を抑制して長期に亙ってチェーン寿命を発揮することができるなど、その効果は甚大である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の一実施例であるサイレントチェーンの概観を示す斜視図。
【図2】本実施例であるサイレントチェーンの平面図。
【図3】図2のX−X線で示すサイレントチェーンの側面図。
【図4】図2のY−Y線で示すサイレントチェーンの側断面図。
【図5】図2のZ−Z線で示すサイレントチェーンの側断面図。
【図6】ガイドプレートの拡大図。
【図7】ガイド列プレートの拡大図。
【図8】関節列プレートの拡大図。
【符号の説明】
【0030】
100 ・・・サイレントチェーン
110 ・・・ガイドリンク列
120 ・・・関節リンク列
111 ・・・ガイドプレート
111a・・・切り欠き状変形許容部
111c・・・ピン孔
112 ・・・ガイド列プレート
112a・・・外側噛み合い面
112b・・・噛み合いピン退避部
112c・・・ピン孔
121 ・・・関節列プレート
121a・・・外側噛み合い面
121b・・・湾曲状変形許容部
121c・・・ピン孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対のガイドプレートと該一対のガイドプレート間に配置した複数のガイド列プレートとで構成されるガイドリンク列と複数の関節列プレートで構成される関節リンク列とが交互に屈曲自在に連結ピンによりチェーン長手方向に連結されて、前記ガイド列プレートと関節列プレートにそれぞれ形成された外側噛み合い面がスプロケットに噛み合い開始して着座しながら動力伝達するサイレントチェーンにおいて、
前記ガイド列プレートに形成された外側噛み合い面の噛み合い開始に先立ってスプロケットに当接する噛み合いピンが前記一対のガイドプレート間に架設され、
前記噛み合いピンのスプロケット当接時に惹起するガイドプレートへの荷重を吸収緩和する切り欠き状変形許容部が前記噛み合いピンの非当接側近傍を囲むようにガイドプレートに形成され、
前記噛み合いピンのスプロケット当接後にガイド列プレートの外側噛み合い面へのスプロケット当接を許容する湾曲状の噛み合いピン退避部が前記ガイド列プレートの外側噛み合い面側に形成され、
前記関節列プレートに形成された外側噛み合い面のスプロケット当接時に惹起する関節列プレートへの荷重を吸収緩和する湾曲状変形許容部が前記噛み合いピンの近傍を囲むように関節列プレートに形成されていることを特徴とするサイレントチェーン。
【請求項2】
前記ガイドプレート、ガイド列プレート、関節列プレートのプレート形状が、チェーン長手方向において前後対称にそれぞれ形成されていることを特徴とする請求項1記載のサイレントチェーン。
【請求項3】
前記ガイド列プレートの噛み合いピン退避部と関節列プレートの湾曲状変形許容部とが、前記噛み合いピンを囲むように重なり合った状態で配置されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載のサイレントチェーン。
【請求項4】
前記ガイドプレートの強度が、前記ガイド列プレート、関節列プレートの強度よりも相対的に小さくなっていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のサイレントチェーン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−144742(P2009−144742A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−319611(P2007−319611)
【出願日】平成19年12月11日(2007.12.11)
【出願人】(000003355)株式会社椿本チエイン (861)