説明

サイレージ飼養動物の乳および/または肉の量を増加させる方法

本発明は、ステップ a)植物および/または繁殖材料および/または植物が生長しているまたは生長すると予想される場所を少なくとも一種のストロビルリン化合物で処理すること、ステップ b)ステップ a)により処理された植物からサイレージを製造すること、ステップ c) ステップ a)により処理された植物から作られる、ステップ b)により製造されるサイレージを、乳および/または肉を生産する動物に与えること、を含む、サイレージ飼養動物の乳および/または肉の量を増加させる方法に関する。さらに、本発明はサイレージを製造する前に、少なくとも一種のストロビルリン化合物で処理された植物から製造される飼養動物のためのサイレージに関する。加えて、本発明はサイレージ飼養の乳を生産する動物の乳の量を増加させる、少なくとも一種のストロビルリン化合物の使用に関する。さらに、本発明はサイレージ飼養の肉を生産する動物の肉の量を増加させる、少なくとも一種のストロビルリン化合物の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、a)植物および/または繁殖材料および/または植物が生長しているまたは生長すると予想される場所を少なくとも一種のストロビルリン化合物で処理するステップ、b)ステップ a)により処理された植物からサイレージを製造するステップ、c) ステップ a)により処理された植物から作られる、ステップ b)により製造されるサイレージを、乳および/または肉を生産する動物に与えるステップを含む、サイレージ飼養動物の乳および/または肉の量を増加させる方法に関する。
【0002】
一つの実施形態において、本発明は、ステップc)においてサイレージが乳を生産する動物に与えられる、ステップa)〜c)を含む、サイレージ飼養の乳を生産する動物の乳の量を増加させる方法に関する。
【0003】
別の実施形態において、本発明は、ステップc)においてサイレージが肉を生産する動物に与えられる、ステップa)〜c)を含む、サイレージ飼養の肉を生産する動物の肉の量を増加させる方法に関する。
【0004】
さらに、本発明はサイレージを製造する前に、少なくとも一種のストロビルリン化合物で処理した植物から製造した、飼養動物のためのサイレージに関する。
【0005】
加えて、本発明はサイレージ飼養の乳を生産する動物の乳の量を増加させるための、少なくとも一種のストロビルリン化合物の使用に関する。
【0006】
さらに、本発明はサイレージ飼養の肉を生産する動物の肉の量を増加させるための少なくとも一種のストロビルリン化合物の使用に関する。
【背景技術】
【0007】
今日、乳(ミルク)および肉の生産は工業規模で行われている。乳および肉は、健康なヒトの栄養の不可欠な部分であると考えられる。さらに、乳はまた、バター、ヨーグルトまたはチーズなどの多様な乳製品に加工することもできる。世界的規模の肉の消費はここ数年で著しく増加した。国際連合の国連食糧農業機関(FAO)によると、食料消費の様式は肉類および乳製品などのより高品質かつより高価な食品へと移行している(FAO, 2002)。しかしながら、肉および乳の生産は大量の飼料を必要とする。そのような飼料の入手を保証するために、連続的に増加する耕地量は、人間のための食料を生産する代わりに飼料の生産のために使用されている。さらに、耕地の全体量は限られており、世界的な人口増加のために最近数十年間に渡って減少している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、本発明の目的はサイレージ飼養の乳および/または肉を生産する動物の乳および/または肉の量を増加させるための方法を提供することであった。
【0009】
本発明による目的の一つは、サイレージ飼養の乳を生産する動物の乳の量を増加させるための方法を提供することであった。
【0010】
本発明による別の目的は、サイレージ飼養の肉を生産する動物の肉の量を増加させるための方法を提供することであった。
【課題を解決するための手段】
【0011】
驚いたことに、本発明者は、サイレージ(その後乳および/または肉を生産する動物に与えられる)を最終的に生産するために使用される土地、繁殖材料(propagules)および/または植物に少なくとも一種のストロビルリン化合物を施用することによりこの目的を達成することができることを発見した。特に、式Iのストロビルリン類は、本発明の目的のために有用である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
長い間、ストロビルリン化合物は殺菌剤として公知であった。一部の例では、ストロビルリン化合物はまた、殺虫剤としても記載されている(EP-A 178826; EP-A 253213; WO 93/15046; WO 95/18789; WO 95/21153; WO 95/21154; WO 95/24396; WO 96/01256; WO 97/15552; WO 97/27189)。ここ数年、ストロビルリン化合物はまた、植物の健康状態を増大させることについても公知となっている(WO 01/82701; WO 03/075663; WO 07/104660)。
【0013】
本発明により使用される化合物(特に式Iの化合物)は、サイレージを製造する前に少なくとも一種のストロビルリン化合物で処理された植物に由来するサイレージを与えられる動物の乳および/または肉の量を増大させることができる。
本発明によると、乳を生産する動物に、本発明による少なくとも一種のストロビルリン化合物で処理された植物から得られたものではないサイレージを与えた後に得られる乳の量と比較して乳の量は、少なくとも3%、好ましくは5〜10%、さらに好ましくは10〜20%または20〜30%も増大する。
【0014】
本発明によると、肉を生産する動物に、本発明による少なくとも一種のストロビルリン化合物で処理された植物から得られたものではないサイレージを与えた後に得られる肉の量と比較して肉の量は少なくとも3%、好ましくは5〜10%、さらに好ましくは10〜20%または20〜30%も増大する。
【0015】
本発明に適するストロビルリン類の具体例は、下記式Iの化合物、または、
メチル(2-クロロ-5-[1-(3-メチルベンジルオキシイミノ)エチル]ベンジル)カルバメート、メチル(2-クロロ-5-[1-(6-メチルピリジン-2-イルメトキシイミノ)エチル]ベンジル)カルバメート、2-(2-(6-(3-クロロ-2-メチル-フェノキシ)-5-フルオロ-ピリミジン-4-イルオキシ)-フェニル)-2-メトキシ-イミノ-N-メチル-アセトアミドおよび3-メトキシ-2-(2-(N-(4-メトキシ-フェニル)シクロ-プロパン-カルボキシイミドイル-スルファニル-メチル)-フェニル)-アクリル酸メチルエステルからなる群より選択されるストロビルリン化合物、または農業に有用なこれらの塩である。である。
【化1】

【0016】
式中、可変物は下記に定義される通りである。
【0017】
Xはハロゲン、C1〜C4アルキル基またはトリフルオロメチル基である;
mは0または1である;
Qは、C(=CH-CH3)-COOCH3、C(=CH-OCH3)-COOCH3、C(=N-OCH3)-CONHCH3、C(=N-OCH3)-COOCH3、N(-OCH3)-COOCH3または基Q1である。
【化2】

【0018】
式中、♯はフェニル環への結合を示す;
Aは、-O-B、-CH2O-B、-OCH2-B、-CH2S-B、-CH=CH-B、-C≡C-B、-CH2O-N=C(R1)-B、-CH2S-N=C(R1)-B、-CH2O-N=C(R1)-CH=CH-Bまたは-CH2O-N=C(R1)-C(R2)=N-OR3であり、ここで、
Bは、フェニル、ナフチル、5員環もしくは6員環ヘテロアリール基または5員環または6員環ヘテロシクリルであり、1〜3個の窒素原子および/または1個の酸素原子もしくは硫黄原子または1個または2個の酸素原子および/もしくは硫黄原子を含み、環系は置換されていないか、1〜3個の基Raにより置換されている;
Raは互いに独立して、シアノ、ニトロ、アミノ、アミノカルボニル、アミノチオカルボニル、ハロゲン、C1-C6-アルキル、C1-C6-ハロアルキル、C1-C6-アルキルカルボニル、C1-C6-アルキルスルホニル、C1-C6-アルキルスルフィニル、C3-C6-シクロアルキル、C1-C6-アルコキシ、C1-C6-ハロアルコキシ、C1-C6-アルキルオキシカルボニル、C1-C6-アルキルチオ、C1-C6-アルキルアミノ、ジ-C1-C6-アルキルアミノ、C1-C6-アルキルアミノカルボニル、ジ-C1-C6-アルキルアミノカルボニル、C1-C6-アルキルアミノチオカルボニル、ジ-C1-C6-アルキルアミノチオカルボニル、C2-C6-アルケニル、C2-C6-アルケニルオキシ、フェニル、フェノキシ、ベンジル、ベンジルオキシ、5員環または6員環ヘテロシクリル、5員環または6員環ヘテロアリール、5員環または6員環ヘテロアリールオキシ、C(=NOR')-R”またはOC(R')2-C(R”)=NOR”であり、環状基はこれらの部分について置換されていないか、または1〜5個の基Rbにより置換されていてもよい;
Rbは互いに独立して、シアノ、ニトロ、ハロゲン、アミノ、アミノカルボニル、アミノチオカルボニル、C1-C6-アルキル、C1-C6-ハロアルキル、C1-C6-アルキルスルホニル、C1-C6-アルキルスルフィニル、C3-C6-シクロアルキル、C1-C6-アルコキシ、C1-C6-ハロアルコキシ、C1-C6-アルコキシカルボニル、C1-C6-アルキルチオ、C1-C6-アルキルアミノ、ジ-C1-C6-アルキルアミノ、C1-C6-アルキルアミノカルボニル、ジ-C1-C6-アルキルアミノカルボニル、C1-C6-アルキルアミノチオカルボニル、ジ-C1-C6-アルキルアミノチオカルボニル、C2-C6-アルケニル、C2-C6-アルケニルオキシ、C3-C6-シクロアルキル、C3-C6-シクロアルケニル、フェニル、フェノキシ、フェニルチオ、ベンジル、ベンジルオキシ、5員環または6員環ヘテロシクリル、5員環または6員環ヘテロアリール、5員環または6員環ヘテロアリールオキシまたはC(=NOR')-R”である;
R'、R”は互いに独立して、水素またはC1-C6-アルキルである;
R1は水素、シアノ、C1-C4-アルキル、C1-C4-ハロアルキル、C3-C6-シクロアルキル、C1-C4-アルコキシまたはC1-C4-アルキルチオである;
R2はフェニル、フェニルカルボニル、フェニルスルホニル、5員環または6員環ヘテロアリール、5員環または6員環ヘテロアリールカルボニル、5員環または6員環ヘテロアリールスルホニル(これらの環系は置換されていないか、または1〜5個の基Raにより置換されていてもよい)、C1-C10-アルキル、C3-C6-シクロアルキル、C2-C10-アルケニル、C2-C10-アルキニル、C1-C10-アルキルカルボニル、C2-C10-アルケニルカルボニル、C3-C10-アルキニルカルボニル、C1-C10-アルキルスルホニルまたはC(=NOR')-R''であり、炭素鎖は置換されていないか、または1〜5個の基Rcにより置換されていてもよい。
【0019】
Rcは互いに独立して、シアノ、ニトロ、アミノ、アミノカルボニル、アミノチオカルボニル、ハロゲン、C1-C6-アルキル、C1-C6-ハロアルキル、C1-C6-アルキルスルホニル、C1-C6-アルキルスルフィニル、C1-C6-アルコキシ、C1-C6-ハロアルコキシ、C1-C6-アルコキシカルボニル、C1-C6-アルキルチオ、C1-C6-アルキルアミノ、ジ-C1-C6-アルキルアミノ、C1-C6-アルキルアミノカルボニル、ジ-C1-C6-アルキルアミノカルボニル、C1-C6-アルキルアミノチオカルボニル、ジ-C1-C6-アルキルアミノチオカルボニル、C2-C6-アルケニル、C2-C6-アルケニルオキシ、C3-C6-シクロアルキル、C3-C6-シクロアルキルオキシ、5員環または6員環ヘテロシクリル、5員環または6員環ヘテロシクリルオキシ、ベンジル、ベンジルオキシ、フェニル、フェノキシ、フェニルチオ、5員環または6員環ヘテロアリール、5員環または6員環ヘテロアリールオキシまたはヘテロアリールチオであり、環状基は部分的または完全にハロゲン化されていてもよく、または、1〜3個の基Raにより置換されていてもよい;および、
R3は水素、C1-C6-アルキル、C2-C6-アルケニル、C2-C6-アルキニルであり、炭素鎖は1〜5個の基Rcに置換されていてもよい。
【0020】
本発明の一つの実施形態によると、サイレージを製造するために使用される土地、植物および植物の部分にストロビルリン化合物を施用することにより、上記のサイレージの消費の後に、乳を生産する動物により生産される乳の量は増加する。
【0021】
本発明の別の実施形態によると、サイレージを製造するために使用される土地、植物および植物の部分にストロビルリン化合物を施用することにより、上記のサイレージの消費の後に、肉を生産する動物により生産される肉の量は増加する。
【0022】
本発明の一つの実施形態によると、少なくとも一種のストロビルリン化合物が種子処理として施用される。
【0023】
本発明の一つの実施形態によると、ステップb)に記載のサイレージは消化率の改善を示す。
【0024】
本発明の別の実施形態によると、ステップb)によるサイレージはエネルギー含量の増大を示す。
【0025】
本発明の一つの実施形態によると、ステップc)によるサイレージ飼養動物は、牛(畜牛)、羊、豚、馬および/または山羊を含む。
【0026】
「植物」の語は、経済的重要性のある植物および/または人により栽培される(men-grown)植物として理解されるべきである。それらは好ましくは、農作物、育林植物、園芸植物(観賞植物を含む)から選択される。本明細書中で使用される「植物」の語は、植物の全ての部分(発芽種子、新生の苗木、草本植生など)および、全ての地下部分(根など)および地上部分を含む土着した森林植物(woody plants)を含む。植物の全部ではないが限定的なリストは、制限なく下記の属を含む。:イチビ属(Abutilon)、ウマゴヤシ属(Alfalfa)、ヒユ属(Amaranthus)、ヨモギ属(Artemisia)、トウワタ属(Asclepias)、カラスムギ属(Avena)、アクソノプス属(Axonopus)、ボレリア属(Borreria)、ブラキアリア属(Brachiaria)、アブラナ属(Brassica)、ブロムス属(Bromus)、アカザ属(Chenopodium)、アザミ属(Cirsium)、ツユクサ属(Commelina)、ヒルガオ属(Convolvulus)、シノドン属(Cynodon)、カヤツリグサ属(Cyperus)、メヒシバ属(Digitaria)、ヒエ属(Echinochloa)、オヒシバ属(Eleusine)、エゾムギ属(Elymus)、トクサ属(Equisetum)、エロディウム属(Erodium)、ヒマワリ属(Helianthus)、チガヤ属(Imperata)、サツマイモ属(Ipomoea)、コキア属(Kochia)、ドクムギ属(Lolium)、マルバ属(Malva)、オリザ属(Oryza)、オットクロア属(Ottochloa)、キビ属(Panicum)、パスパルム属(Paspalum)、ファラリス属(Phalaris)、ヨシ属(Phragmites)、タデ属(Polygonum)、スベリヒユ属(Portulaca)、ワラビ属(Pteridium)、クズ属(Pueraria)、キイチゴ属(Rubus)、オカヒジキ属(Salsola)、ライムギ属(Secale)、エノコログサ属(Setaria)、シダ属(Sida)、 カラシ属(Sinapis)、モロコシ属(Sorghum)、オオツメクサ属(Spergula)、トリフォリウム属(Trifolium)、コムギ属(Triticum)、ガマ属(Typha)、ハリエニシダ属(Ulex)、ソラマメ属(Vicia)、オナモミ属(Xanthium)およびゼア属(Zea)。
【0027】
本発明による一つの実施形態において、植物は農作物、育林植物および園芸植物から選択され、そのそれぞれは、天然のまたは遺伝子組み換え(GMO)が行われた形態である。かかるGMOは、改善されたストレス耐性ならびに生物的および非生物的ストレス要因(菌類、バクテリア、ウィルス、昆虫、熱ストレス、低温ストレス、干ばつストレス、UVストレスおよび/または塩分ストレスなど)に対する植物の抵抗性などの特性を改善することができる可能性がある。
【0028】
「繁殖材料(Propagules)」は全ての種類の植物繁殖物質である。この用語は種子、穀物(grains)、果実、塊茎(tubers)、根茎、胞子、挿し木(cuttings)、側枝、分裂組織、単独および複数の植物細胞ならびに完全な植物を得ることができる任意のその他の植物組織を含む。特定の繁殖材料の一つは、種子である。
【0029】
「乳(milk)」は、哺乳類の雌により生産される液体である。生乳の正確な組成は種により著しく変化する可能性がある。一般に、乳は豊富な量の飽和脂肪、タンパク質およびカルシウムを含む。乳は多種多様な方法で加工することができ、製品は乳製品と呼ばれる。
【0030】
「肉(meat)」は、例えば食料として利用される動物の組織である。「肉」の語は典型的には骨格筋および付随する脂肪を指すが、肺, 肝臓, 皮膚、脳、骨髄および腎臓などの非筋器官を指すこともできる。
【0031】
「乳を生産する動物」は例えば(畜)牛、羊、豚、山羊、馬、ラクダ、水牛および/またはヤクなどの哺乳類の綱からの全ての雌の動物として理解されるべきである。
【0032】
「肉を生産する動物」は(畜)牛、羊、豚、山羊、馬、ラクダ、家禽、水牛および/またはヤクなどの肉を生産するために利用される全ての動物として理解されるべきである。
【0033】
「サイレージ(Silage)」は保存飼料の一種である。一般に、サイレージはエンシレージ(ensilage)と呼ばれるプロセスにおいて、植物から作られる。このプロセスの間、植物または植物部位は嫌気発酵を受ける。嫌気発酵は、常在微生物(例えば、Lactobacillus specの様な乳酸菌の1以上の菌株)により引き起こされ、糖類を酸に変換し、穀物材料中に存在する酸素を使い果たし、飼料を保存可能とする。使用される植物に依存して、サイレージに代えて、例えば、オートムギについてオートレージ(oatlage)、ムラサキウマゴヤシについてヘイレージ(haylage)などのその他の名前が用いられる。サイレージは乳牛および肉牛などの乳および肉を生産する動物に餌を与えるために広く利用される。
【0034】
「サイレージ製造(producing silage)」の語は、乳および肉を生産する動物に餌を与えるのに適したサイレージを得る方法についてのプロセスを表している。サイレージは収穫された植物バイオマス(biomass)を飼料収穫機(forage harvester)で切り刻むことにより、植物から製造される。好適な植物はトウモロコシ(maize)、小麦、ライ麦もしくは大麦などの穀類、牧草、クローバー、ムラサキウマゴヤシおよびその他の豆科作物などの飼料作物、ヒマワリおよび任意のエンシリング(ensiling)に適する植物ならびに任意の上記植物の混合物であってもよい。
【0035】
植物は、エンシリング(ensilling)中の最適な発酵プロセスを可能にし、かつ発酵中の損失を最小限に抑えるために、約30〜40%の乾燥物質含有量で収穫される。牧草、クローバー、ムラサキウマゴヤシ、これらの混合物およびその他の作物については、草の刈り取り後でかつ、飼料収穫機で切り刻む前に、乾燥物質が30〜40%に到達するように植物材料を田畑で寝かせて乾燥させることが必要である可能性がある。その様な材料はヘイレージ(haylage)として知られている。トウモロコシまたは穀類については、穀物(grain)は植物の残りの部分と一緒に収穫される。穀物中の栄養素を飼養動物の腸管での摂取に利用可能とするために、飼料収穫機中で切り刻むプロセス中に、穀類を砕くことが必要になることがある。収穫され、刻まれた植物材料はサイロへ移される。サイロはバンカーサイロ(bunker silo)、サイレージヒープ(silage heap)もしくはコンクリートステイブサイロ(concrete stave silo)またはタワーサイロ(tower silo)であることができる。サイロ中で、刻まれた植物材料は嫌気発酵を可能にする目的で、植物物質から空気を排除するために圧縮される。使用するサイロの種類に応じて、プラスチックフィルム(サイレージフィルム)でサイロを密閉することが必要となる場合がある。エンシリング(ensiling)中の発酵のために、植物材料を圧縮し、密閉する別の方法としては植物物質をベール梱包し、密閉するためにサイレージフィルムでベールを包むことが挙げられる。発酵を改善するために補助剤を植物材料に加えてもよい。補助剤は、微生物添加物(Lactobacillus sppおよびその他の接種材料)、または酸(プロピオン酸、酢酸もしくはギ酸など)、または糖類もしくは糖蜜のような糖を含む物質であり得る。しかしながら、サイレージを製造するその他の方法もまた、使用することができる。サイレージを製造する(ensilage)プロセスの一つの利点は、このプロセスが、上記サイレージを製造するために使用される植物材料に含まれる栄養物質の組成、量または有効性に影響を与えないという事実である。それどころか、プロセスそのものの目的はサイレージを製造するためのその様な材料を使用する前の植物材料の品質を保つことだけでなく、飼料を保存可能とし、かつ収穫が行われた後長く飼料として使用できるように、長期間、植物材料の有益な特性を保存することである。
【0036】
「消化率(Digestibility)」は糞を通して排出されないが、植物、植物の部分、植物の混合物、飼料の組成物または植物から加工された動物飼料(サイレージ等)を与えられる動物の腸管で吸収される栄養素(栄養物質)の相対量を表す、植物、植物の部分、植物の混合物、飼料の組成物または植物からの動物の飼料(サイレージ等)の栄養価に寄与する植物、植物の部分、植物の混合物、飼料の組成物または植物から加工された動物飼料(サイレージ等)の特性であり、上記動物の能力に影響を与える。飼料の消化率を表現するパラメーターは例えば、中性デタージェント繊維消化率(NDFD)、酸性デタージェント繊維(ADF)および乾燥物質の%としての可消化養分総量(TDN % DM))である。
【0037】
「中性デタージェント繊維消化率(Neutral Detergent Fiber Digestibility)(NDFD)」の語は、飼料の品質および消化率を決定する際の補助としての、中性デタージェントによる消化後の繊維の尺度として理解されるべきである。高いNDFDが望ましい。NDFDのための飼料の消化率の評価は、全飼料消化率の予測を補助するために実施されている。
【0038】
「酸性デタージェント繊維(Acid Detergent Fiber)(ADF)」は、セルロース、リグニンおよび熱でダメージを受けるタンパク質を含む、飼料の消化されにくい部分を示す。ADFは飼料の消化率に密接に関連する。低いADFは飼料がより消化されやすいことを暗示する。ADFの低い濃度が望ましい。
【0039】
「乾燥物質のパーセントとしての可消化養分総量 (Total Digestible Nutrients as percent of Dry Matter)(TDN % DM)」の語は、飼料の有効エネルギーおよび動物のエネルギー必要量を測定することによる可消化養分の総量を表す。これは飼料消化率の尺度である。高い可消化養分総量(TDN % DM)が望ましい。
【0040】
「エネルギー含量」の語は、植物、植物の部分、植物の混合物、飼料の組成物または植物から加工された動物飼料(サイレージ等)で餌を与えられる動物の生体機能(動物の基礎生理学プロセス(basic physiological processes)等)の維持および上記動物の能力(泌乳中の牛、羊、山羊もしくは豚の乳生産高および/または体重増加等)のために上記動物のエネルギー需要に応えることに寄与する、植物、植物の部分、植物の混合物、飼料の組成物または植物から加工された動物飼料(サイレージ等)の成分の含有量を含む。飼料のエネルギー含量を表す一つのパラメーターは中性デタージェント繊維(NDF)である。
【0041】
「中性デタージェント繊維(Neutral Detergent Fiber)(NDF)」の語は、飼料の繊維含有量の尺度として理解されるべきである。飼料の繊維成分は、非繊維成分よりも消化されにくい。低いNDFレベルの飼料はより高いエネルギーを有する。従って、低いNDF含有量が望ましい。
【0042】
「澱粉」の語は、繊維の可消化成分を加えた、飼料の澱粉含有量として理解されるべきである。澱粉は、例えばコーンサイレージのエネルギーの大部分を占める。
【0043】
「乾燥物質(DM)」の語は、飼料の全重量から飼料中の水分の重量を引いた重量として理解されるべきであり、パーセンテージとして表現される。
【0044】
「土地(site)」または場所の語は、特定の時期に、農業生産、園芸生産または育林生産に使用される、存在する植物の生長、発生(development)および収穫高に影響を与える全ての生物的(植物、動物、菌類等)および非生物的(気候、土壌の種類、水の利用性等)パラメーター全体の影響を受ける特定の場所として定義される。
【0045】
「作物(crop)」の語は、例えば、正確な意味においての果物、野菜、堅果穀果(nuts)、穀物(grains)、種子、木材(wood)(例えば、育林植物(silbicultural)の場合等)、花(例えば、園芸植物および観賞植物の場合等)等、収穫後さらに利用される任意の植物生産物として理解されるべきであり、植物により生産される経済価値のある任意のものを意味する。
【0046】
「少なくとも一種のストロビルリン化合物」の語は、1種、2種、3種またはそれ以上のストロビルリン類として理解されるべきである。
【0047】
本発明によると、ストロビルリン化合物(特に式Iの化合物)を、サイレージを製造するために使用される植物に施用する。
【0048】
本発明の一つの実施形態によると、乳および肉を生産する動物に餌を与えるために使用されるサイレージは、本発明によるサイレージを製造する前に少なくとも一種のストロビルリン化合物で処理されたトウモロコシ(Zea mays)(maize)、牧草、クローバー、モロコシ(sorghum)、オート麦、ライ麦、カラスノエンドウ(ベッチ)(vetch)、ムラサキウマゴヤシ、牧草混合物および/または雑草から得られる。
【0049】
本発明の一つの実施形態によると、少なくとも一種のストロビルリン化合物を、トウモロコシ(Zea mays)(maize)、牧草、クローバー、モロコシ(sorghum)、オート麦、ライ麦、カラスノエンドウ(ベッチ)(vetch)、ムラサキウマゴヤシ、牧草混合物および/または雑草を含む植物および/またはその繁殖材料に施用する。
【0050】
本発明の好ましい実施形態によると、乳および肉を生産する動物に餌を与えるために使用されるサイレージは、本発明によるサイレージを製造する前に少なくとも一種のストロビルリン化合物で処理されたトウモロコシ(Zea mays)植物から得られる。
【0051】
本発明の一つの実施形態によると、乳および肉を生産する動物に餌を与えるために使用されるサイレージは、本発明によるサイレージを製造する前にピラクロストロビン(化合物I-5)で処理されたトウモロコシ(Zea mays)植物から得られる。
【0052】
本発明の別の実施形態によると、動物に餌を与えるために使用されるサイレージは、サイレージを製造する前にクレソキシム-メチル(kresoxim-methyl)(化合物II-1)で処理されたトウモロコシ(Zea mays)植物から得られる。
【0053】
本発明の一つの実施形態において、乳の量を増加させるために使用される本発明によるサイレージは、好ましくは乳牛である畜牛に与えられる。
【0054】
本発明の一つの実施形態において、肉の量を増加させるために使用される本発明によるサイレージは、好ましくは肉牛である畜牛に与えられる。
【0055】
本発明の別の実施形態において、乳の量を増加させるための本発明によるサイレージは馬に与えられる。
【0056】
本発明の別の実施形態において、肉の量を増加させるための本発明によるサイレージは馬に与えられる。
【0057】
本発明の一つの実施形態において、冒頭に定義したような式Iの化合物が使用される。
【0058】
さらに、下記の表中に記載された以下の化合物を本発明により好ましく使用することができる。
【表1】

【表2】

【表3】

【表4】

【表5】

【表6】

【表7】

【0059】
本発明による使用に好ましいのは、化合物I-5 (ピラクロストロビン)、II-1 (クレソキシム-メチル)、II-3 (ジモキシストロビン)、II-11 (E)-2-[2-(2,5-ジメチル-フェノキシメチル)-フェニル]-3-メトキシ-アクリル酸メチルエステル(ZJ 0712)、lll-3 (ピコキシストロビン)、IV-6 (トリフロキシストロビン)、IV-9 (エネストロブリン)、V-16 (オリサストロビン)、VI-1 (メトミノストロビン)、VII-1 (アゾキシストロビン)およびVII-11(フルオキサストロビン)などの、市販のストロビルリン化合物である。
【0060】
本発明により有用な式Iのさらなる化合物はフルアクリピリム(メチル(E)-2-{α-[2-イソプロポキシ-6-(トリフルオロメチル)ピリミジン-4-イルオキシ]-o-トリル}-3-メトキシアクリレート)である。
【0061】
本発明による使用に好ましいのは、ストロビルリン化合物I-5(ピラクロストロビン)、II-1 (クレソキシム-メチル)およびV-16 (オリサストロビン)である。
本発明による使用に特に好ましいのはストロビルリン化合物I-5(ピラクロストロビン)およびII-1(クレソキシムメチル)である。
【0062】
本発明による使用に好ましいのは、特にストロビルリン化合物I-5(ピラクロストロビン)である。
【0063】
本発明による使用に特別に好ましいのはまた、ストロビルリン化合物II-1(クレソキシム-メチル)である。
【0064】
本発明において、「式Iの化合物」の語は、式Iの中性化合物および冒頭に記載したその他のストロビルリン化合物を意味する。上記の式Iの化合物はそれらの農業的に有用な塩の形態で用いることもできる。これらは通常、無機酸もしくは有機酸または金属イオンとの塩または付加物、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩もしくはカルシウム塩などのようなアルカリ金属塩もしくはアルカリ土類金属塩である。
【0065】
無機酸の例としては、フッ化水素、塩化水素、臭化水素およびヨウ化水素などのハロゲン化水素酸、硫酸、リン酸および硝酸が挙げられる。
【0066】
好適な有機酸は、例えば、ギ酸、炭酸および酢酸、トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸、プロピオン酸などのアルカン酸、およびグリコール酸、乳酸、コハク酸、クエン酸、安息香酸、桂皮酸、シュウ酸、p-トルエンスルホン酸、サリチル酸、p-アミノサリチル酸、2-フェノキシ安息香酸または2-アセトキシ安息香酸である。
【0067】
好適な金属イオンは、特に、第1〜第8遷移族の元素、特にクロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、及びさらに第2主族の元素、特にカルシウム及びマグネシウム、並びに第3及び第4主族の元素、特にアルミニウム、スズ及び鉛のイオンである。必要に応じて、金属は取り得る様々な原子価で存在することができる。
【0068】
本発明の一つの実施形態において、ストロビルリン化合物はさらなる活性化合物と一緒にステップa)において使用される。
【0069】
本発明により使用されるストロビルリン化合物(特に式Iの化合物)は、上記の植物の全てだけではなく、それらと異なる種類の植物にも施用のために用いることができる。施用されるべき植物の部分に依存して、それらは、それ自体が知られており、農作業において通常使用される装置で施用することができ、水性スプレー溶液またはスプレー混合物の形態における施用が好ましい。
【0070】
本発明による方法は、生きている作物植物への葉面散布、種蒔きまたは植え付け(planting)より前の土壌への散布、例えば全体の土壌処理、畦間散布、特に植物繁殖物質に対する粉衣処理(dressing application)に適する。この用語(植物繁殖物質)は全ての種類(果実、塊茎、穀物など)の種子、挿し木、分けつ(cut shoot)などを包含する。一つの利用分野は全ての種類の種子の処理である。一つの好適な方法は飛行機による散布である。
【0071】
施用(散布)は流出点まで噴霧すること、または種子粉衣(seed dressing)により行う。植物の地上部の全て、あるいは花、葉もしくは果実などのその他の個々の植物の部分が処理される。処理されるべき個々の植物部分の選択は植物の種およびその発育段階に依存する。発育の後期では好ましくは葉への散布により処理することができる。一つの実施形態において、散布・施用は種子に対して行う。様々な発育段階における胚、苗木、芽および花、ならびに熟していない果実を処理することが好ましい。
【0072】
本発明により使用される化合物、特に式Iの化合物は、好ましくは施用量25〜1000 g/haで、特に好ましくは50〜500 g/ha 、特に50〜250 g/haで用いられる。
【0073】
本発明の別の実施形態は本発明による式Iの化合物で処理された種子に関する。
【0074】
種子の処理において、本発明による式Iの化合物の施用量は、種子の種類に依存して、一般に、種子100 kgに付き、1〜1000 g a.i.(活性成分)、5〜100 g a.i.、5〜20 g a.i.、5〜10 g a.i.、30 g〜3000 g a.i.、1 g〜100 g a.i.である。ある種の作物の種子においては、施用量はより高くてもよい。
【0075】
本発明による組成物はまた、その他の化合物、例えば、除草剤、殺虫剤、生長調整物質、殺菌剤と共に、または肥料と共に存在することもできる。
ストロビルリン化合物と一緒に使用できる殺菌剤、殺虫剤、生長抑制剤、およびプライマーの下記のリストは、可能な組み合わせを例示するものであり、これに限られない。
【0076】
カルボキサミド系
-カルボキサニリド系:ベナラキシル、ベナラキシル-M、ベノダニル、ビキサフェン、ボスカリド、カルボキシン、メプロニル、フェンフラム、フェンヘキサミド、フルトラニル、フラメトピル、メタラキシル、オフレース、オキサジキシル、オキシカルボキシン、ペンチオピラド、チフルザミド、チアジニル、2-アミノ-4-メチル-チアゾール-5-カルボン酸アニリド、2-クロロ-N-(1,1,3-トリメチル-インダン-4-イル)-ニコチン酸アミド、N-(4’-ブロモビフェニル-2-イル)-4-ジフルオロメチル-2-メチルチアゾール-5-カルボキサミド、N-(4'-トリフルオロメチルビフェニル-2-イル)-4-ジフルオロメチル-2-メチルチアゾール-5-カルボキサミド、(N-(4'-クロロ-3'-フルオロビフェニル-2-イル)-4-ジフルオロメチル-2-メチルチアゾール-5-カルボキサミド、(N-(3',4'-ジクロロ-4-フルオロ-ビフェニル-2-イル)-3-ジフルオロメチル-1-メチルピラゾール-4-カルボキサミド、N'-(3',4'-ジクロロ-5-フルオロビフェニル-2-イル)-3-ジフルオロメチル-1-メチルピラゾール-4-カルボキサミド、(N-(2-シアノフェニル)-3,4-ジクロロイソチアゾール-5-カルボキサミド、N-(2-(1,3-ジメチル-ブチル)-フェニル)-1,3,3-トリメチル-5-フルオロ-1H-ピラゾール-4-カルボン酸アミド、N-(4'-クロロ-3',5-ジフルオロ-ビフェニル-2-イル)-3-ジフルオロメチル-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボン酸アミド、N-(4'-クロロ-3',5-ジフルオロ-ビフェニル-2-イル)-3-トリフルオロメチル-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボン酸アミド、N-(3',4'-ジクロロ-5-フルオロ-ビフェニル-2-イル)-3-トリフルオロメチル-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボン酸アミド、N-(3',5-ジフルオロ-4'-メチル-ビフェニル-2-イル)-3-ジフルオロメチル-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボン酸アミド、N-(3',5-ジフルオロ-4'-メチル-ビフェニル-2-イル)-3-トリフルオロメチル-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボン酸アミド、N-(シス-2-ビシクロプロピル-2-イル-フェニル)-3-ジフルオロメチル-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボン酸アミド、N-(トランス-2-ビシクロプロピル-2-イル-フェニル)-3-ジフルオロメチル-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボン酸アミド;
-カルボン酸モルホリド系:ジメトモルフ、フルモルフ;
-ベンザミド系:フルメトベル、フルオピコリド、ピコベンザミド、フルオピラム、ゾキサミド、N-(3-エチル-3,5-5トリメチル-シクロヘキシル)-3-ホルミルアミノ-2-ヒドロキシ-ベンザミド;
-その他のカルボキサミド類:カルプロパミド、ジクロシメット、マンジプロパミド、オキシテトラサイクリン、シルチオファム、N-(6-メトキシ-ピリジン-3-イル) シクロプロパンカルボン酸アミド、N-(2-(4-[3-(4-クロロフェニル)プロプ-2-イニルオキシ]-3-メトキシフェニル)エチル)-2-メタンスルホニルアミノ-3-メチルブチルアミド、N-(2-(4-[3-(4-クロロフェニル)プロプ-2-イニルオキシ]-3-メトキシフェニル)-エチル)-2-エタンスルホニルアミノ-3-メチルブチルアミド。
【0077】
アゾール系
-トリアゾール系:アザコナゾール、ビテルタノール、ブロモコナゾール、シプロコナゾール、ジフェノコナゾール、ジニコナゾール、ジニコナゾール-M、エニルコナゾール、エポキシコナゾール、フェンブコナゾール、フルシラゾール、フルキンコナゾール、フルトリアホール、ヘキサコナゾール、イミベンコナゾール、イプコナゾール、メトコナゾール、ミクロブタニル、オキシポコナゾール、パクロブトラゾール、ペンコナゾール、プロピコナゾール、プロチオコナゾール、シメコナゾール、テブコナゾール、テトラコナゾール、トリアジメノール、トリアジメホン、トリチコナゾール、ウニコナゾール、1-(4-クロロ-フェニル)-2-([1,2,4]トリアゾール-1-イル)-シクロヘプタノール;
-イミダゾール系:シアゾファミド、イマザリル、イマザリル-スルファート(imazalil-sulfphat)、ペフラゾエート、プロクロラズ、トリフルミゾール;
-ベンズイミダゾール系: ベノミル、カルベンダジム、フベリダゾール、チアベンダゾール;
-その他: エタボキサム、エトリジアゾール、ヒメキサゾール。
【0078】
含窒素へテロシクリル化合物
-ピリジン系: フルアジナム、ピリフェノックス、3-[5-(4-クロロフェニル)-2,3−ジメチルイソオキサゾリジン-3-イル]-ピリジン、2,3,5,6-テトラクロロ-4-メタンスルホニルピリジン、3,4,5-トリクロロ-ピリジン-2,6-ジカルボニトリル、 N-(1-(5-ブロモ-3-クロロ-ピリジン-2-イル)-エチル)-2,4-ジクロロ-ニコチン酸アミド、N-((5-ブロモ-3-クロロ-ピリジン-2-イル)-メチル)-2,4-ジクロロ-ニコチン酸アミド;
-ピリミジン系: ブピリメート、シプロジニル、ジフルメトリム、フェリムゾン、フェナリモール、 メパニピリム、ニトラピリン、ヌアリモール、ピリメタニル;
-ピペラジン系:トリフォリン;
-ピロール系: フルジオキソニル、フェンピクロニル;
-モルホリン系:アルジモルフ、ドデモルフ、ドデモルフ-アセテート、フェンプロピモルフ、トリデモルフ;
-ジカルボキシイミド系:イプロジオン、フルオロイミド(fluoroimid)、プロシミドン、ヴィンクロゾリン;
-その他:アシベンゾラル-S-メチル、アニラジン、ブラストシジン-S、カプタン、 キノメチオナート、カプタホル、ダゾメット、デバカルブ、ジクロメジン、ジフェンゾクアット、ジフェンゾクアット-メチルスルファート(methylsulphat)、フェノキサニル、フォルペット、オキソリン酸、ピペラリン、フェンプロピジン、ファモキサドン、フェンアミドン、オクチリノン、プロベナゾール、プロキナジド、ピロキロン、キノキシフェン、トリシクラゾール、5-クロロ-7-(4-メチルピペリジン-1-イル)-6-(2,4,6-トリフルオロフェニル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン、2-ブトキシ-6-ヨード-3-プロピルクロメン-4-オン、N,N-ジメチル-3-(3-ブロモ-6-フルオロ-2-メチルインドール-1-スルホニル)-[1,2,4]トリアゾール-1-スルホンアミド。
【0079】
カルバメート系およびジチオカルバメート系
-ジチオカルバメート系:フェルバム、マンコゼブ、マネブ、メチラム、メタム、メタスルホカルブ、プロピネブ、チラム、ジネブ、ジラム;
-カルバメート系:ジエトフェンカルブ、ベンチアヴァリカルブ、フルベンチアヴァリカルブ、イプロヴァリカルブ、プロパモカルブ、プロパモカルブ塩酸塩、メチル 3-(4-クロロフェニル)-3-(2-イソプロポキシカルボニルアミノ-3-メチルブチリルアミノ)プロピオナート、4-フルオロフェニル N-(1-(1-(4-シアノフェニル)エタンスルホニル)ブタ-2-イル)カルバメート。
【0080】
その他の殺菌剤
-グアニジン系:ドジン、ドジン遊離塩基、グアザチン、グアザチン-アセテート、イミノクタジン、イミノクタジン-トリアセテート、イミノクタジン-トリス(アルベシレート);
-抗生物質:カスガマイシン、カスガマイシン塩酸塩水和物、ポリオキシンズ、ストレプトマイシン、ヴァリダマイシンA;
-有機金属化合物系:フェンチン塩(例えばフェンチンアセテート、フェンチンクロライド、フェンチンヒドロキシド);
-硫黄含有へテロシクリル化合物系: イソプロチオラン、ジチアノン;
-有機リン化合物系:エジフェンホス、フォセチル、フォセチル−アルミニウム、イプロベンホス、ピラゾホス、トルクロホス−メチル、亜リン酸およびその塩;
-有機塩素化合物系:チオファネート・メチル、クロロタロニル、ジクロフルアニド、 ジクロロフェン、フルスルファミド、フタリド、ヘキサクロロベンゼン、ペンシクロン、ペンタクロロフェノールおよびその塩、キントゼン、トリルフルアニド、N-(4-クロロ-2-ニトロ-フェニル)-N-エチル-4-メチル-ベンゼンスルホンアミド
-ニトロフェニル誘導体系:ビナパクリル、ジクロラン、ジノキャップ、ジノブトン、ニトロタール-イソプロピル、テクナゼン;
-無機活性化合物系:ボルドー液、銅塩(例えば酢酸銅、水酸化銅、オキシ塩化銅、塩基性硫酸銅)、硫黄;
-その他:ビフェニル、ブロノポール、シフルフェナミド、シモキサニル、ジフェニルアミン、メトラフェノン、ミルディオマイシン、オキシン銅、プロヘキサジオン-カルシウム、スピロキサミン、トリルフルアニド、N-(シクロプロピルメトキシイミノ-(6-ジフルオロメトキシ-2,3-ジフルオロ-フェニル)-メチル)-2-フェニルアセトアミド、N’-(4-(4-クロロ-3-トリフルオロメチル-フェノキシ)-2,5-ジメチル-フェニル)-N-エチル-N-メチル ホルムアミジン、N’-(4-(4-フルオロ-3-トリフルオロメチル-フェノキシ)-2,5-ジメチル-フェニル)-N-エチル-N-メチル ホルムアミジン、N’-(2-メチル-5-トリフルオロメチル-4-(3-トリメチルシラニル-プロポキシ)-フェニル)-N-エチル-N-メチル ホルムアミジン、N’-(5-ジフルオロメチル-2-メチル-4-(3-トリメチルシラニル-プロポキシ)-フェニル)-N-エチル-N-メチル ホルムアミジン。
【0081】
植物生長調節剤(PGRs):
-オーキシン(例えばβ-インドール酢酸(IAA)、4-インドール-3-イル酪産(IBA)、2-(1-ナフチル)アセトアミド(NAA))、サイトカイニン、ジベレリン、エチレン、アブシジン酸。
【0082】
生長抑制剤:
-プロヘキサジオンおよびその塩、トリネキサパック-エチル、クロルメコート、メピコート-クロリド、ジフルフェンゾピル。
【0083】
プライマー類:ベンゾチアジアゾール(BTH)、サリチル酸及びその誘導体、β−アミノ酪酸(BABA)、1−メチルシクロプロペン(1−MCP)、リポポリサッカライド類(LPS)、ネオニコチノイド類(例えばアセタミピリド、クロチアニジン、ジネトフラン、イミダクロプリド、チアクロプリド、チアメトキサム)。
【0084】
GABAアンタゴニスト化合物:例えば、フィプロニル。
【0085】
エチレンモジュレーター
-S−アデノシル-L-メチオニンから1-アミノシクロプロパン-1-カルボン酸(ACC)への変換を阻害するエチレン生合成阻害剤、例えばビニルグリシンの誘導体、ヒドロキシルアミン類、オキシムエーテル誘導体;
-ACCからエチレンへの変換を遮断するエチレン生合成阻害剤であって、植物利用可能な形態のCo++又はNi++イオンからなる群から選択されるもの;フェノール性ラジカル捕捉剤、例えば没食子酸n−プロピル;ポリアミン類、例えばプトレッシン、スペルミン又はスペルミジン;ACCの構造類似体、例えばα−アミノイソ酪酸又はL−アミノシクロプロペン-1-カルボン酸;サリチル酸又はアシベンゾラル−S−メチル;ACCオキシダーゼの阻害剤として作用するアスコルビン酸の構造類似体、例えばプロヘキサジオン-Ca又はトリネキサパク−エチル;並びにその主要作用がジベレリン生合成の阻害であるトリアゾリル化合物、例えばシトクロムP-450依存性モノオキシゲナーゼの阻害剤としてのパクロブトラゾール又はウニコナゾール;
-エチレンの構造類似体、例えば1-メチルシクロプロペンなどのシクロプロペン誘導体または2,5-ノルボルナジエンおよび3-アミノ-1,2,4-トリアゾールまたはAg++イオンからなる群から選択されるエチレンの作用の阻害剤。
【0086】
好ましい実施形態において、ストロビルリン化合物(特に式Iの化合物)は本発明によれば、例えば以下のものと組み合わせて使用される。
【0087】
アブシジン酸は(S)(+)-5-(1-ヒドロキシ-2,6,6-トリメチル-4-オキソ-2-シクロヘキセニル)-3-メチル-シス/トランス-2,4-ペンタジエン酸である。
【0088】
上記の活性化合物は一般に知られており、そして市販されている。
【0089】
本発明の一つの実施形態において、式Iの化合物はサイレージ飼養動物の乳の量を増加させるために使用される。
【0090】
本発明の別の実施形態において、式Iの化合物はサイレージ飼養動物の肉の量を増加させるために使用される。
【0091】
本発明による方法の一つの実施形態において、ステップa)による少なくとも一種のストロビルリン化合物の施用は有害生物のいない状態(absence of pest pressure)でなされ得る。
【0092】
本発明による方法の一つの実施形態において、ステップa)による少なくとも一種のストロビルリン化合物の施用は飛行機によりなされ得る。
【0093】
植物生理学において、「プライマー(primer)」は活性を促進する化合物として知られている。「促進する(priming)」という用語は、植物の生物的ストレス(例えば菌類病原体)および非生物的ストレス(例えば日照り)の両方に耐える、改善された能力を最終的にもたらすプロセスとして知られる。プライマーは植物中のシグナル伝達と複雑な様式で相互に作用するので、一般に、それらは生長調節剤の下位群として分類することができる。( Conrath et al. (2006) Priming: Getting ready for battle. Molecular Plant-Microbe Interactions 19: 1062-1071 参照)
「エチレンモジュレーター」は植物ホルモンエチレンの自然形成またはその働きを遮断する物質として理解されるべきである。[参照例 M. Lieberman (1979), Biosynthesis and action of ethylene, Annual Review of Plant Physiology 30: 533-591; S.F. Yang and N.E. Hoffman (1984), Ethylene biosynthesis and its regulation in higher plants, Annual Review of Plant Physiology 35: 155-189; E.S. Sisler et. al. (2003), 1-substituted cyclopropenes: Effective blocking agents for ethylene action in plants, Plant Growth Regulation 40: 223-228; WO/2005/044002]
本発明により使用されるストロビルリン化合物(特に式Iの化合物)またはこれらの上記記載の組み合わせは植物および/または繁殖材料および/または植物が生長しているまたは生長すると予想される土地に混合物としてまたは別々に施用することができる。;別々に施用する場合には、個々の成分は可能な限り短い間隔で施用しなければならない。
【0094】
典型的には、ストロビルリン化合物は上記ストロビルリン化合物を5〜1000ppmの量で含む水性スプレー液の形態で用いられる
本発明による少なくとも一種のストロビルリン化合物の施用量は25〜1000 g/haの範囲である。
【0095】
さらなる態様において、本発明は、本明細書中で定義される、本発明による組成物の一種を、活性成分5〜1000g/種子100kgの量で含む種子に関する。
【0096】
本発明により使用される化合物(特に式Iのストロビルリン化合物)またはそれらの上記の補助剤との組み合わせは、典型的には作物保護の分野において従来使用されているような製剤(formulation)として用いられる。
【0097】
本発明による活性化合物は例えば、直接噴霧可能な溶液、粉末および懸濁液の形態で、または高濃度の水性懸濁液、油性懸濁液もしくはその他の懸濁液、分散液、エマルション、油性分散物、ペースト、ダスト(dust)、拡散用組成物もしくは顆粒の形態で調製することができ、そして、噴霧、散布、散粉、散布(broadcasting)、散水、化学的散布(chemigation)(すなわち化学薬品をかんがい用水に注入すること、および作物もしくは田畑に多様な系を通して化学薬品を施用すること)またはそのままもしくは種子処理機械にて水ベースのスラリーとして施用される着色懸濁物、溶液、エマルションによって、施用することができる。使用形態は特定の目的に依存するが、いずれの場合にも本発明による混合物の可能な限り微細かつ均一な分布を保証しなければならない。
【0098】
製剤は公知の方法で調製される。(例えば、US 3,060,084, EP-A 707 445 (for liquid concentrates), Browning, ”Agglomeration”, Chemical Engineering, Dec. 4, 1967, 147-48, Perry’s Chemical EngineeR’s Handbook, 4th Ed., McGraw-Hill, New York, 1963, pages 8-57 and et seq. WO 91/13546, US 4,172,714, US 4,144,050, US 3,920,442, US 5,180,587, US 5,232,701, US 5,208,030, GB 2,095,558, US 3,299,566, Klingman, Weed Control as a Science, John Wiley and Sons, Inc., New York, 1961, Hance et al., Weed Control Handbook, 8th Ed., Blackwell Scientific Publications, Oxford, 1989 and Mollet, H., Grubemann, A., Formulation technology, Wiley VCH Verlag GmbH, Weinheim (Germany), 2001, 2. D. A. Knowles, Chemistry and Technology of Agrochemical Formulations, Kluwer Academic Publishers, Dordrecht, 1998 (ISBN 0-7514-0443-8を参照)。例えば、活性化合物を農薬の製剤に好適な補助剤、例えば、溶剤および/または担体、所望により乳化剤、界面活性剤および分散剤、防腐剤、消泡剤、凍結防止剤(種子を処理する製剤については、任意に着色顔料および/またはバインダーおよび/またはゲル化剤)を用いて希釈または増量することにより、調製する。
【0099】
好適な溶媒の例は水、芳香族溶媒(例えば、ソルベッソ製品、キシレン)、パラフィン(例えば、鉱油留分)、アルコール(例えば、メタノール、ブタノール、ペンタノール、ベンジルアルコール)、ケトン(例えば、シクロヘキサノン、ガンマ-ブチロラクトン)、ピロリドン(NMP、NOP)、酢酸エステル(グリコールジアセテート)、グリコール、脂肪酸ジメチルアミド、脂肪酸および脂肪酸エステルである。原則として、溶媒の混合物もまた、使用できる。
【0100】
好適な乳化剤は非イオン性およびアニオン性乳化剤(例えばポリオキシエチレン脂肪アルコールのエステル、アルキルスルホネートおよびアリールスルホネート)である。
分散剤の例としては、リグニンスルファイト廃液およびメチルセルロースが挙げられる。
【0101】
使用される好適な界面活性剤は、リグノスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、フェノールスルホン酸、ジブチルナフタレンスルホン酸のアルカリ金属、アルカリ土類金属およびアンモニウム塩、アルキルアリールスルフォナート、アルキルスルファート、アルキルスルホナート、脂肪族アルコールスルファート、脂肪酸および硫酸化脂肪族アルコールグリコールエーテル、さらにスルホン化ナフタレンおよびナフタレン誘導体とホルムアルデヒドの縮合物、ナフタレンもしくはナフタレンスルホン酸とフェノールおよびホルムアルデヒドとの縮合物、ポリオキシエチレンオクチルフェノールエーテル、エトキシル化イソオクチルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール、アルキルフェノールポリグリコールエーテル、トリブチルフェニルポリグリコールエーテル、トリステアリルフェニルポリグリコールエーテル、アルキルアリールポリエーテルアルコール、アルコールおよび脂肪族アルコール/エチレンオキシド縮合物、エトキシル化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、エトキシル化ポリオキシプロピレン、ラウリルアルコールポリグリコールエーテルアセタール、ソルビトールエステル、リグノ亜硫酸廃液およびメチルセルロースである。
【0102】
直接噴霧可能な溶液、エマルション、ペーストまたは油分散物の調製に好適な物質は、灯油またはジーゼル油などの中程度から高い沸点を有する鉱油留分、並びにコールタール油および植物または動物由来の油、脂肪族、環式および芳香族炭化水素、例えば、トルエン、キシレン、パラフィン、テトラヒドロナフタレン、アルキル化ナフタレンまたはその誘導体、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、シクロヘキサノール、シクロヘキサノン、イソホロン、強極性溶媒、例えばジメチルスルホキシド、N-メチルピロリドンおよび水である。
【0103】
グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコールなどの凍結防止剤および殺菌剤(bactericides)を製剤に加えることができる。
【0104】
好適な消泡剤は例えば、シリコンまたはステアリン酸マグネシウムをベースとした消泡剤である。
【0105】
好適な防腐剤は例えば、ジクロロフェンおよびベンジルアルコールヘミホルマールである。
【0106】
種子処理製剤はバインダーおよび任意の顔料を追加で含むことができる。
【0107】
バインダーは、処理後の種子上の活性化合物の付着性を改善する働きをする。好適なバインダーは、EO/POコポリマー界面活性剤、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリブテン、ポリイソブチレン、ポリスチレン、ポリエチレンアミン、ポリエチレンアミド、ポリエチレンイミン(Lupasol[登録商標]、Polymin[登録商標])、ポリエーテル、ポリウレタン、ポリビニルアセテート、チロースならびに上記のポリマーのコポリマーである。
【0108】
任意に、顔料もまた、製剤中に含むことができる。種子処理剤に好適な顔料または染料は、ローダミンB、C.I.ピグメントレッド112、C.I.ソルベントレッド1、ピグメントブルー15:4、ピグメントブルー 15:3、ピグメントブルー 15:2、ピグメントブルー 15:1、ピグメントブルー 80、ピグメントイエロー 1、ピグメントイエロー 13、ピグメントレッド 112、ピグメントレッド 48:2、ピグメントレッド 48:1、ピグメントレッド 57:1、ピグメントレッド 53:1、ピグメントオレンジ 43、ピグメントオレンジ 34、ピグメントオレンジ 5、ピグメントグリーン 36、ピグメントグリーン 7、ピグメントホワイト 6、ピグメントブラウン 25、塩基性バイオレット 10、塩基性バイオレット49、アシッドレッド 51、アシッドレッド 52、アシッドレッド 14、アシッドブルー 9、アシッドイエロー 23、塩基性レッド 10、塩基性レッド 108である。
粉末剤、拡散用物質および散粉可能製品は、活性物質を固体担体と混合または一緒に粉砕することにより調製することができる。
【0109】
粒剤、例えばコーティング顆粒、含浸顆粒および均質顆粒は、活性化合物を固体担体に結合させることによって、調製することができる。
【0110】
固体担体の例としては、鉱物土類、例えばシリカゲル、ケイ酸塩、タルク、カオリン、アタクレー(attaclay)、石灰石、石灰、チョーク、粘土、黄土、クレー、ドロマイト、珪藻土、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、酸化マグネシウム、地面合成材料、肥料、例えば硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、尿素、並びに植物由来の製品、例えば穀粉、樹皮粉、木粉及び堅果殻の粉、セルロース粉末又は他の固体担体が挙げられる。
【0111】
一般に製剤は活性化合物を0.01〜95重量%、好ましくは0.1〜90重量%含む。この場合に、活性化合物は純度90重量%〜100重量%、好ましくは純度95重量%〜100重量%(NMRスペクトルによる)で用いられる。
【0112】
そのまま使用することができる調合液における活性化合物濃度は、比較的広い範囲で変化し得る。一般に、それらは、0.0001〜10重量%、好ましくは0.01〜1重量%である。
【0113】
活性化合物はまた、極微量法(ULV:ultra-low-volume)にて良好に使用することが可能であり、95重量%を超える活性化合物を含む製剤を施用するか、または活性化合物を添加剤無しで施用することが可能である。
【0114】
種子処理の目的で、それぞれの製剤を2〜10倍に希釈して、そのまま使用可能な調合液における活性化合物の濃度を0.01〜60重量%、好ましくは0.1〜40重量%とすることができる。
【0115】
式Iの化合物は、そのままで、それらの製剤の形で、またはそれらから調製された使用形態で、例えば、直接噴霧できる溶液、粉末、懸濁液もしくは分散物、エマルション、油分散物、ペースト、散粉用製品、散布用材料、または顆粒の形態で、スプレー、噴霧、散粉、散布または注入により使用することができる。使用形態は意図される目的に完全に依存するが、いずれの場合にも、それらは本発明による活性化合物の可能な限り微細な分布を保証することを目的とするものである。
【0116】
水性の使用形態は、水の添加により、エマルション濃縮物、ペーストもしくは湿潤性粉末(スプレー可能な粉末、油分散物)から調製することができる。エマルション、ペーストもしくは油分散物を調製するためには、物質をそのままで、または油もしくは溶剤に溶解させて、湿潤剤、粘着付与剤、分散剤もしくは乳化剤を用いて、水に均質化させることができる。あるいは、活性物質、湿潤剤、粘着付与剤、分散剤もしくは乳化剤、さらには場合に応じて、溶剤または油から構成される濃縮物を調製することができ、このような濃縮物は、水による希釈に適している。
【0117】
下に製剤の例を記載する。
【0118】
1. 葉面散布のために水により希釈する製品。種子処理の目的に関して、そのような製品を種子に対して希釈してまたは希釈しないで施用することができる。
【0119】
A)水溶性濃縮物(SL、LS)
10重量部の活性化合物を90重量部の水または水溶性溶媒に溶解する。あるいは、湿潤剤または他の補助剤を加える。活性化合物は水により希釈すると溶解する。この方法により、10重量%の活性化合物含有量を有する製剤が得られる。
【0120】
B)分散性濃縮物(DC)
20重量部の活性化合物を、10重量部の分散剤、例えばポリビニルピロリドンを加えて70重量部のシクロヘキサノンに溶解する。水により希釈すると分散物が得られる。活性化合物含有量は20重量%である。
【0121】
C)乳化性濃縮物(EC)
15重量部の活性化合物を、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウムおよびエトキシ化ひまし油(それぞれ5重量部)を加えて7重量部のキシレンに溶解する。水により希釈するとエマルションが得られる。製剤は15重量%の活性化合物含有量を有する。
【0122】
D)エマルション(EW、EO、ES)
25重量部の活性化合物を、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウムおよびエトキシ化ひまし油(それぞれ5重量部)を加えて35重量部のキシレンに溶解する。この混合物を、乳化機(例えば、Ultraturrax)を用いて30重量部の水に導入し、均一なエマルションを作る。水により希釈するとエマルションが得られる。製剤は25重量%の活性化合物含有量を有する。
【0123】
E)懸濁液(SC、OD、FS)
撹拌したボールミル中で、20重量部の活性化合物を、10重量部の分散剤および湿潤剤ならびに70重量部の水または有機溶媒を加えて粉砕して、微細な活性化合物の懸濁液を得る。水により希釈すると、活性化合物の安定な懸濁液が得られる。製剤中の活性化合物含有量は20重量%である。
【0124】
F)水分散性顆粒および水溶性顆粒(WG、SG)
50重量部の活性化合物を、50重量部の分散剤および湿潤剤を加えて微細に粉砕し、技術機器(例えば、射出機、噴霧塔、流動床)を用いて水分散性または水溶性顆粒を調製する。水により希釈すると活性化合物の安定な分散物または溶液が得られる。製剤は50重量%の活性化合物含有量を有する。
【0125】
G)水分散性粉末および水溶性粉末(WP、SP、SS、WS)
75重量部の活性化合物を、25重量部の分散剤、湿潤剤およびシリカゲルを加えてローターステーターミル(rotor-stator mill)中で粉砕する。水により希釈すると活性化合物の安定な分散物または溶液が得られる。製剤の活性化合物含有量は75重量%である。
【0126】
ゲル製剤(GF)
ボールミル中で、20重量部の活性化合物、10重量部の分散剤、1重量部のゲル化剤および70重量部の水または有機溶媒を粉砕して微細な活性化合物の懸濁液を得る。水により希釈すると、活性化合物の安定な懸濁液が得られる。製剤は20重量%の活性化合物含有量を有する。
【0127】
2. 葉面散布のために希釈せずに施用する製品。種子処理の目的に関して、そのような製品は希釈して種子に施用することができる。
【0128】
I)散粉用粉末剤(DP、DS)
5重量部の活性化合物を微細に粉砕し、95重量部の微細に粉砕したカオリンと緊密に混合する。これにより、5重量%の活性化合物含有量を有する散粉用製品が得られる。
【0129】
J)顆粒(GR、FG、GG、MG)
0.5重量部の活性化合物を微細に粉砕し、95.5重量部の担体と結合させる。これにより、0.5重量%の活性化合物を含む製剤が得られる。現在の方法は、押出、噴霧乾燥、または流動床である。これにより、葉面使用のための希釈せずに施用する粒剤が得られる。
【0130】
K)ULV溶液(UL)
10重量部の活性化合物を90重量部の有機溶媒、例えばキシレンに溶解する。これにより、10重量%の活性化合物含有量を有する希釈せずに施用する製品が得られ、葉面使用のために希釈せずに施用する。
【0131】
従来の種子処理製剤には、例えば、流動性濃縮物FS、溶液LS、乾燥処理用粉末DS、スラリー処理用水分散性粉末WS、水溶性粉末SSならびにエマルションESおよびECならびにゲル製剤GFが挙げられる。これらの製剤は種子に、希釈してまたは希釈せずに施用することができる。種子への施用は種蒔きの前に直接種子にたいして実施される。
【0132】
好ましい実施形態において、FS製剤は種子処理に使用される。典型的には、FS製剤は1〜800 g/lの活性成分、1〜200 g/lの界面活性剤、0〜200 g/lの凍結防止剤、0〜400 g/lのバインダー、0〜200 g/lの顔料および1リットルまでの、好ましくは水である溶媒を含むことができる。
種々のタイプの油、湿潤剤、補助剤、除草剤、殺菌剤(fugicides)、他の殺有害生物剤、または殺菌剤(bactericides)を、適切な場合には使用の直前に、活性化合物に加えることができる(タンクミックス)。これらの薬剤は、本発明の薬剤に、1:100〜100:1、好ましくは1:10〜10:1の重量比で混合することができる。
【0133】
この意味で好適な補助剤は、特に:有機改変ポリシロキサン、例えば Break Thru S 240(登録商標);アルコールアルコキシレート、例えば Atplus 245(登録商標)、Atplus MBA 1303(登録商標)、Plurafac LF 300(登録商標) 及び Lutensol ON 30(登録商標);EO/POブロック共重合体、例えば Pluronic RPE 2035(登録商標) 及び Genapol B(登録商標);アルコールエトキシレート、例えば Lutensol XP 80(登録商標);並びにジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、例えば Leophen RA(登録商標)である。
【0134】
下記の例は本発明を説明することを意図しているが、いかなる限定を課すものでもない。
【実施例】
【0135】
2006年および2008年に圃場にてstrip trialとして野外試験を実施した。農場の一部をHeadline(登録商標)として提供されたピラクロストロビンで処理し、その他の部分は未処理のままにしておいた。Headline(登録商標)はトウモロコシの穂の出現時(tassel emergence)に0.44 L/ha (110 g ピラクロストロビン/ha)で、高クリアランス噴霧器(high clearance sprayer)で空中散布または地上散布により施用した。全噴霧量は、地上散布については93.5〜187 L/ha、空中散布については18.7〜46.7 L/haであった。水はスプレー混合物を調製するために担体として使用した。
【0136】
試料(Trials)は市販の飼料収穫機を使用して、トウモロコシ(corn crop)が約30〜40%の乾燥物質含量に達した際に収穫した。農場の処理および未処理の場所は全バイオマス収量(ton/acre)を得るために、別々に収穫した。その後、収穫した植物物質はサイレージを製造するために使用した。
【0137】
収穫した植物からの飼料サンプルは、農場の処理および未処理の場所の両方から取得した。サンプルは、市販の収穫機で切り刻んだ後に、飼料ワゴン中の収穫した材料から取得した。複数の飼料サンプルを各試験において、両方の処理のそれぞれについて収穫の間、手作業で取得し、より大きなコンテナ(容器)で混合し、1.3〜2.25kgのサブサンプルを取得した。サブサンプルはビニール袋に収納し、密封し、冷却し、すぐに近赤外分光分析法(Near Infrared Reflectance Spectroscopy)(NIRS)分析のためにAgsource Soil and Forage Laboratory(106 North Cecil Street, Bonduel WI 54107, USA)に発送した。
【0138】
一般に、NIRS分析のためのサンプルは分析の前に、初めに、55〜65°Cで、24h〜48hで乾かす。それらの代表サブサンプルは、サンプルの乾燥物質含有量を評価するためにその後105℃で、さらに12h〜24h乾燥する。その後、残っているサンプルを粉砕し、均質化し、再び代表サブサンプルをNIRS分析に使用する。NIRS分析方法は得られたスペクトル反射情報に基づいてそれぞれの品質パラメーターの値を評価するために市販のキャリブレーションを使用する。キャリブレーションは公知の品質データを備えたサンプルの近赤外反射スペクトルに基づく。非公知の品質データを備えたサンプルのスペクトルと公知のサンプルのスペクトルとの比較により、興味のあるそれぞれの品質パラメーターの見積もりを計算することができる。
【0139】
NIRS分析により、乾燥物質データ、粗タンパク質データ、酸性デタージェント繊維(ADF)データ、中性デタージェント繊維(NDF)データおよびでんぷんデータを得た。計算には、水分量(moisture)、調節された粗タンパク質、可消化養分総量(TDN)、産乳に要する正味エネルギー(Net Energy for Lactation)(NEL)、成長のための正味エネルギー(Net Energy for Gain)(NEG)およびタンパク質溶解性を含ませた。
その後、これらの情報を、the MILK 2006 University of Wisconsin Corn Silage 評価システムに入力した。コーンバイオマス1トン当りの乳生産、エネルギー含量および消化性の計算は、次の文献に記載された計算方法を使用して実施した。
【0140】
a) Schwab, E. C., and R. D. Shaver. 2001: “Evaluation of corn silage nutritive value using MILK2000” (pages 21-24) in Proc. of 25th Forage Production and Use Symposium. WI Forage Council Annual Mtg. Eau Claire, WI.
b) Schwab, E. C., R. D. Shaver. J. G. Lauer, and J. G. Coors. 2003: “Estimating silage energy value and milk yield to rank corn hybrids”. J. Anim. Feed Sci. Technol. 109: 1-18. as well as in
c) Undersander, D.J., W.T. Howard, and R.D. Shaver. 1993: “Milk per acre spreadsheet for combining yield and quality into a single term”. J. Prod. Ag. 6: 231 235。
【0141】
実施例1
メリーランド 2006
2006年、全体で16回のstrip trialをメリーランド州のQuenn Ann Countyで実施した。試験のセットアップ(Trial setup)、処理、施用、収穫、サンプリング、および1トン当り、1エーカー当りの乳生産高の計算などの品質分析は前述の方法に従った。収穫したバイオマスの品質データおよび乳生産高のデータを表8に示す。
【0142】
表8:粗タンパク質含有量(% CP)、中性デタージェント繊維含有量(% NDF)、NDFの%として表現されるインビトロの48時間の可消化NDF(% NDFD)、澱粉含有量(%澱粉)、乾燥物質の%としての全可消化養分(TDN %乾燥物質)、およびサイレージ1トン当りの乳生産高の計算値(乳(kg/t))の平均値
【表8】

【0143】
表8に示すように、ピラクロストロビン処理は消化率(% NDFD)を+3.9%、TDN (乾燥物質の%)を+3.6%、エネルギー含有量(% NDF)を-4.8% (NDF(%)の減少は結果としてエネルギー含有量の増加をもたらす)、澱粉を+10.2%、サイレージ1トン当りの乳生産高の計算値を+5.9%増大させた。
実施例2
ウィスコンシン 2006
2006年、全7回のstrip trialをウィスコンシン州のManitowoc Countyで実施した。試験のセットアップ(Trial setup)、処理、施用、収穫、サンプリング、および1トン当り、1エーカー当りの乳生産高の計算などの品質分析は前述の方法に従った。収穫したバイオマスの品質データおよび乳生産高のデータを表9に示す。
【0144】
表9:粗タンパク質含有量(% CP)、酸性デタージェント繊維含有量(% ADF)、中性デタージェント繊維含有量(% NDF)、NDFの%として表現されるインビトロの48時間の可消化NDF(% NDFD)、澱粉含有量(%澱粉)、乾燥物質の%としての全可消化養分(TDN %乾燥物質)、およびサイレージ1トン当りの乳生産高の計算値(乳(kg/t))の平均値
【表9】

【0145】
表9に示すように、ピラクロストロビン処理は消化率(% NDFD)を+13.2%、ADFを-16.2%(ADFの減少は結果として消化率の増加をもたらす)、エネルギー含有量(% NDF)を-13.4%(NDF(%)の減少は結果としてエネルギー含有量の増加をもたらす)、澱粉を+13.7%、サイレージ1トン当りの乳生産高の計算値を+14.0%増大させた。
【0146】
実施例3
ニューヨーク 2006
2006年、全2回のstrip trialをニューヨーク州のWaterlooで実施した。試験のセットアップ(Trial setup)、処理、施用、収穫、サンプリング、および1トン当り、1エーカー当りの乳生産高の計算などの品質分析は前述の方法に従った。収穫したバイオマスの品質データおよび乳生産高のデータを表10に示す。
【0147】
表10:乾燥物質含有量、粗タンパク質含有量(% CP)、中性デタージェント繊維含有量(% NDF)、NDFの%として表現されるインビトロの48時間の可消化NDF(% NDFD)、澱粉含有量(%澱粉)、乾燥物質の%としての全可消化養分(TDN %乾燥物質)、およびサイレージ1トン当りの乳生産高の計算値(乳(kg/t))の平均値
【表10】

【0148】
表10に示すように、ピラクロストロビン処理は消化率(% NDFD)を19.3%、エネルギー含有量(% NDF)を-16.8%(NDF(%)の減少は結果としてエネルギー含有量の増加をもたらす)、澱粉を+15.3%、サイレージ1トン当りの乳生産高の計算値を+21.2%増大させた。
【0149】
実施例4
ウィスコンシン2008
8種の異なるトウモロコシ雑種の野外実験を、2008年、ウィスコンシン州、Unityで行った。試験のセットアップ(Trial setup)、施用、収穫、サンプリング、および1トン当りの乳生産高の計算などの品質分析は前述の方法に従った。それぞれの雑種は上記に記載したようにピラクロストロビンで処理するか、または未処理であった。品質データは、上記の雑種それぞれについて、収穫したバイオマス1トン当りの乳生産高に変換した。
【0150】
表11:ピラクロストロビンで処理された、または処理されていない、異なるトウモロコシ雑種についての牛乳生産高の計算値
【表11】

【0151】
このデータは、遺伝的背景から独立している、試験を行った8種の異なるトウモロコシ雑種を通じて、ストロビルリン化合物であるピラクロストロビンは、餌を与えるためのサイレージを製造するために使用される、収穫したトウモロコシバイオマスの1トン当りの乳生産高を改善することを示す。
【0152】
本実施例において示されたように、餌を与えるためのサイレージを製造するのに使用されるトウモロコシは、タンパク質含有量、澱粉含有量、繊維含有量、消化率およびエネルギー含有量のような基本品質パラメーターを改善する。従って、ピラクロストロビンで処理され、エンシリングに使用される飼料の栄養価は改善され、結果として飼料またはサイレージのそれぞれの1トン当りの乳生産高をより多くする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)植物および/または繁殖材料(propagules)および/または植物が生長しているまたは生長すると予想される場所を少なくとも一種のストロビルリン化合物で処理すること
b)ステップa)により処理された植物からサイレージを製造すること
c)ステップa)により処理された植物から作られる、ステップb)により製造されるサイレージを、乳および/または肉を生産する動物に与えること
を含む、サイレージ飼養動物の乳および/または肉の量を増加させる方法。
【請求項2】
少なくとも一種のストロビルリン化合物が式Iの化合物
【化1】

[式中、可変物は下記に定義された通りである。
Xはハロゲン、C1〜C4アルキル基またはトリフルオロメチル基である;
mは0または1である;
Qは、C(=CH-CH3)-COOCH3、C(=CH-OCH3)-COOCH3、C(=N-OCH3)-CONHCH3、C(=N-OCH3)-COOCH3、N(-OCH3)-COOCH3または基Q1である。
【化2】

式中、♯はフェニル環への結合を示す;
Aは、-O-B、-CH2O-B、-OCH2-B、-CH2S-B、-CH=CH-B、-C≡C-B、-CH2O-N=C(R1)-B、-CH2S-N=C(R1)-B、-CH2O-N=C(R1)-CH=CH-Bまたは-CH2O-N=C(R1)-C(R2)=N-OR3であり、ここで、
Bは、フェニル、ナフチル、5員環もしくは6員環ヘテロアリール基または1〜3個の窒素原子および/または1個の酸素原子もしくは硫黄原子または1個または2個の酸素原子および/もしくは硫黄原子を含む5員環または6員環ヘテロシクリルであり、環系は置換されていないか、1〜3個の基Raにより置換されている;
Raは互いに独立して、シアノ、ニトロ、アミノ、アミノカルボニル、アミノチオカルボニル、ハロゲン、C1-C6-アルキル、C1-C6-ハロアルキル、C1-C6-アルキルカルボニル、C1-C6-アルキルスルホニル、C1-C6-アルキルスルフィニル、C3-C6-シクロアルキル、C1-C6-アルコキシ、C1-C6-ハロアルコキシ、C1-C6-アルキルオキシカルボニル、C1-C6-アルキルチオ、C1-C6-アルキルアミノ、ジ-C1-C6-アルキルアミノ、C1-C6-アルキルアミノカルボニル、ジ-C1-C6-アルキルアミノカルボニル、C1-C6-アルキルアミノチオカルボニル、ジ-C1-C6-アルキルアミノチオカルボニル、C2-C6-アルケニル、C2-C6-アルケニルオキシ、フェニル、フェノキシ、ベンジル、ベンジルオキシ、5員環または6員環ヘテロシクリル、5員環または6員環ヘテロアリール、5員環または6員環ヘテロアリールオキシ、C(=NOR')-R”またはOC(R')2-C(R”)=NOR”、環状基はこれらの部分について置換されていないか、または1〜5個の基Rbにより置換されていてもよい;
Rbは互いに独立して、シアノ、ニトロ、ハロゲン、アミノ、アミノカルボニル、アミノチオカルボニル、C1-C6-アルキル、C1-C6-ハロアルキル、C1-C6-アルキルスルホニル、C1-C6-アルキルスルフィニル、C3-C6-シクロアルキル、C1-C6-アルコキシ、C1-C6-ハロアルコキシ、C1-C6-アルコキシカルボニル、C1-C6-アルキルチオ、C1-C6-アルキルアミノ、ジ-C1-C6-アルキルアミノ、C1-C6-アルキルアミノカルボニル、ジ-C1-C6-アルキルアミノカルボニル、C1-C6-アルキルアミノチオカルボニル、ジ-C1-C6-アルキルアミノチオカルボニル、C2-C6-アルケニル、C2-C6-アルケニルオキシ、C3-C6-シクロアルキル、C3-C6-シクロアルケニル、フェニル、フェノキシ、フェニルチオ、ベンジル、ベンジルオキシ、5員環または6員環ヘテロシクリル、5員環または6員環ヘテロアリール、5員環または6員環ヘテロアリールオキシまたはC(=NOR')-R”である;
R'、R”は互いに独立して、水素またはC1-C6-アルキルである;
R1は水素、シアノ、C1-C4-アルキル、C1-C4-ハロアルキル、C3-C6-シクロアルキル、C1-C4-アルコキシまたはC1-C4-アルキルチオである;
R2はフェニル、フェニルカルボニル、フェニルスルホニル、5員環または6員環ヘテロアリール、5員環または6員環ヘテロアリールカルボニル、5員環または6員環ヘテロアリールスルホニル(これらの環系は置換されていないか、または1〜5個の基Raにより置換されていてもよい)、C1-C10-アルキル、C3-C6-シクロアルキル、C2-C10-アルケニル、C2-C10-アルキニル、C1-C10-アルキルカルボニル、C2-C10-アルケニルカルボニル、C3-C10-アルキニルカルボニル、C1-C10-アルキルスルホニルまたはC(=NOR')-R''であり、炭素鎖は置換されていないか、または1〜5個の基Rcにより置換されていてもよい。
Rcは互いに独立して、シアノ、ニトロ、アミノ、アミノカルボニル、アミノチオカルボニル、ハロゲン、C1-C6-アルキル、C1-C6-ハロアルキル、C1-C6-アルキルスルホニル、C1-C6-アルキルスルフィニル、C1-C6-アルコキシ、C1-C6-ハロアルコキシ、C1-C6-アルコキシカルボニル、C1-C6-アルキルチオ、C1-C6-アルキルアミノ、ジ-C1-C6-アルキルアミノ、C1-C6-アルキルアミノカルボニル、ジ-C1-C6-アルキルアミノカルボニル、C1-C6-アルキルアミノチオカルボニル、ジ-C1-C6-アルキルアミノチオカルボニル、C2-C6-アルケニル、C2-C6-アルケニルオキシ、C3-C6-シクロアルキル、C3-C6-シクロアルキルオキシ、5員環または6員環ヘテロシクリル、5員環または6員環ヘテロシクリルオキシ、ベンジル、ベンジルオキシ、フェニル、フェノキシ、フェニルチオ、5員環または6員環ヘテロアリール、5員環または6員環ヘテロアリールオキシまたはヘテロアリールチオであり、環状基は部分的または完全にハロゲン化されていてもよく、または、1〜3個の基Raに置換されていてもよい;および、
R3は水素、C1-C6-アルキル、C2-C6-アルケニル、C2-C6-アルキニルであり、炭素鎖は1〜5個の基Rcに置換されていてもよい]であるか、または、
メチル(2-クロロ-5-[1-(3-メチルベンジルオキシイミノ)エチル]ベンジル)カルバメート、メチル(2-クロロ-5-[1-(6-メチルピリジン-2-イルメトキシイミノ)エチル]ベンジル)カルバメート、2-(2-(6-(3-クロロ-2-メチル-フェノキシ)-5-フルオロ-ピリミジン-4-イルオキシ)-フェニル)-2-メトキシ-イミノ-N-メチル-アセトアミドおよび3-メトキシ-2-(2-(N-(4-メトキシ-フェニル)シクロ-プロパン-カルボキシイミドイル-スルファニル-メチル)-フェニル)-アクリル酸メチルエステルからなる群より選択されるストロビルリン化合物であるか、または農業に有用なこれらの塩である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
少なくとも一種のストロビルリン化合物が、ピラクロストロビン(pyraclostrobin)、クレソキシム-メチル(kresoxim-methyl)、ジモキシストロビン(dimoxystrobin)、(E)-2-[2-(2,5-ジメチル-フェノキシ-メチル)-フェニル]-3-メトキシ-アクリル酸メチルエステル (ZJ 0712)、ピコキシストロビン(picoxystrobin)、トリフロキシストロビン(trifloxystrobin)、エネストロブリン(enestroburin)、オリサストロビン(orysastrobin)、メトミノストロビン(metominostrobin)、アゾキシストロビン(azoxystrobin)またはフルオキサストロビン(fluoxastrobin)である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
少なくとも一種のストロビルリン化合物がピラクロストロビン(pyraclostrobin)またはクレソキシム-メチル(kresoxim-methyl)である請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
少なくとも一種のストロビルリン化合物が、ステップa)において更なる活性化合物と一緒に使用される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
植物および/または繁殖材料(propagules)がトウモロコシ(maize)、牧草(grass)、クローバー、モロコシ(sorghum)、オートムギ、ライ麦、カラスノエンドウ(ベッチ)(vetch)、ムラサキウマゴヤシ、牧草混合物および雑草から選択される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
ピラクロストロビン(pyraclostrobin)がトウモロコシ(maize)に施用される、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
クレソキシム-メチル(kresoxim-methyl)がトウモロコシ(maize)に施用される、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
少なくとも一種のストロビルリン化合物が種子処理として施用される、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
サイレージ飼養動物が畜牛、羊、豚、馬および山羊から選択される、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
サイレージ飼養動物の乳の量の増加が少なくとも3%である、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
サイレージを製造する前に、少なくとも一種の、請求項1〜4のいずれか1項に記載のストロビルリン化合物で処理した植物から製造される、動物に餌を与えるためのサイレージ。
【請求項13】
サイレージが改善された消化性を示す、請求項12に記載のサイレージ。
【請求項14】
サイレージが増加したエネルギー含量を示す、請求項12または13に記載の方法。
【請求項15】
サイレージ飼養の乳を生産する動物の乳の量を増加させる、少なくとも一種のストロビルリン化合物の使用。
【請求項16】
サイレージ飼養の、肉を生産する動物の肉の量を増加させる、少なくとも一種のストロビルリン化合物の使用。

【公表番号】特表2011−505857(P2011−505857A)
【公表日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−538643(P2010−538643)
【出願日】平成20年12月16日(2008.12.16)
【国際出願番号】PCT/EP2008/067609
【国際公開番号】WO2009/080609
【国際公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】