サイロ等のような閉鎖系内の圧力衝撃を緩和するための装置
排出短管または胴板2上で揺動可能であるフラップ式蓋3を備え、このフラップ式蓋が平らな外側表面12を有し、爆発の場合に蓋3を当接させるための衝突板8が排出短管または胴板2に設けられている、サイロ、導管等のような閉鎖系内で起こり得る粉塵爆発またはガス爆発の際の圧力衝撃を緩和するための装置1において、フラップ式蓋の経済的な製作と共に、特に大幅な軽量化、損傷した場合の蓋の迅速交換または迅速な初期組み立ておよび系の保護作用の改善を達成すべきである。これは、フラップ式蓋3が炭素繊維材料/ガラス繊維材料によって形成されていることによって達成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排出短管または胴板上で揺動可能であるフラップ式蓋を備え、このフラップ式蓋が平らな外側表面を有し、爆発の場合に蓋を当接させるための衝突板が排出短管または胴板に設けられている、サイロ、導管等のような閉鎖系内で起こり得る粉塵爆発またはガス爆発の際の圧力衝撃を緩和するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
このような装置は例えば特許文献1によって知られている。爆発の際に開放するフラップ式蓋は金属薄板からなり、実際には例えばアルミニウム薄板によって作られている。爆発の際にフラップ式蓋は間にある空気を押しのけながら衝突板に当接し、衝突板はばねの力で戻り、そしてフラップ式蓋は閉鎖位置にはね返される。
【0003】
公知のフラップ式蓋は既に、比較的に軽い重量を有する。それにもかかわらず、そこで普及された技術は、製作方法と製作価格に関してだけでなく、慣性質量の低減に関しても、まだ明確に改良可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第95/10465号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明の目的は、フラップ式蓋の経済的な製作と共に、特に大幅な軽量化、損傷した場合の蓋の迅速交換または迅速な初期組み立ておよび系の保護作用の改善である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は冒頭に述べた種類の装置において、本発明に従い、フラップ式蓋が炭素繊維材料/ガラス繊維材料によって形成されていることによって達成される。
【0007】
基本的にはこのような材料は知られているが、この工業分野において今まではこのように使用されていない。
【0008】
本発明に係る炭素繊維材料/ガラス繊維材料が比較的に簡単に加工可能であり、特にこのような材料から、このようなフラップの所望形状の製作または成形を行うことができるので、本発明の実施形では、蓋本体が外壁を形成する炭素繊維マット/ガラス繊維マットによって形成され、このマットが例えば発泡材のような合成樹脂製の、蓋輪郭を形成する取り囲まれた本体を備えている。
【0009】
本発明の付加的な実施形は他の従属請求項から明らかである。その際例えば、炭素繊維マット/ガラス繊維マットによって取り囲まれた合成樹脂本体はほぼ球欠として形成されている。もちろん、類似の三次元形状、例えば角錐台、横断面が楕円形または放物面状の本体等々が可能である。
【0010】
蓋を補強するために、蓋の外壁を形成する炭素繊維マット/ガラス繊維マットの間に、支持構造体を形成するための多数の炭素繊維ローイング(Kohlefaserrowings)が設けられ、および/または炭素繊維ローイングの長さが蓋の外側エッジから蓋内部の方へ増大している。
【0011】
蓋の他の構造では、取り囲まれた発泡体の少なくとも一部が上下に配置された炭素繊維材料/ガラス繊維材料の層によって形成され、排出短管または胴板の内部へほぼ球冠状に蓋を延長させるために、ガラス繊維マットは層毎に小さくなる直径を有する。この場合にも、必要であれば炭素繊維ローイングを使用することができる。この炭素繊維ローイングはマット内の一致する穴を貫通する。これは特に、ガラス繊維マットと中間配置の発泡材ディスクとの交換が行われるときに使用される。
【0012】
構造とは関係なく、本発明では、外側に向いた多層の炭素繊維マット/ガラス繊維マット内に、随伴ヒータが積層されている。随伴ヒータは特に、蓋周囲の温度が凝固点未満であるときに、蓋の凍結を防止する働きをする。
【0013】
本発明では、炭素繊維/ガラス繊維蓋がほぼ円形に形成され、円形の蓋本体が炭素繊維マットとガラス繊維マットからなる揺動フレーム内に配置され、実施形では蓋本体と揺動フレームとの間に発泡材リング配置可能である。
【0014】
雨水が滴り落ちるようにするために、本発明の他の実施形では、少なくとも蓋表面がロータス効果コーティングを備えている。
【0015】
本発明に係る装置は、蓋がきわめて軽量の構造であるというほかに、排出短管または胴板内において蓋の下方に、多数の貫通穴を有するかまたは蜂の巣構造の火炎遮断体が配置されていることを特徴とする。
【0016】
排出短管内に蜂の巣構造の火炎遮断体を設ける代わりにまたはそれに付け加えて、本発明に従い、蓋を備えた胴板の周りに、火炎遮断ケージを配置し、この火炎遮断ケージを火炎遮断網で包囲した支持台枠によって形成することができる。
【0017】
蓋を有するこのような胴板または排出短管が下側エッジ側の組み立てリングフランジを備え、この組み立てリングフランジが多数の穴を有し、この穴によって適当なフランジボルト止めが位置決めされることが基本的に知られている。その代わりに、本発明では、蓋を支持する排出短管が、急速組み立てのためのバンドバックルを備えている。
【0018】
このようなバンドバックルのきわめて有利な実施形では、このバンドバックルが少なくとも1個の急速作動バックルを備えた少なくとも1個のスチールバンドによって形成され、特に高負荷に耐える合成樹脂製の断面がほぼU字状の多数の挟持爪が、互いに間隔をおいて、スチールバンド上に配置されている。
【0019】
装置の搬送を非常に簡単にするために、本発明では、ばねで付勢された衝突板が搬送状態で、段階的な長さを有する多数の安全ワイヤによって保持される。この場合、ばねで付勢された衝突板の搬送姿勢の保持が段階的な安全ワイヤによって行われ、それによって安全ワイヤがほどけたときに、衝突板が先ず最初にあるストロークだけ進み、そして安全ワイヤの次の段に新たに保持される。この安全ワイヤがほどけると、他の段による保持のために、さらなる揺動が行われ、そして場合によっては衝突板を作業位置へ揺動させるために、最後に全体がほどける。それによって、搬送保持部が誤ってほどけるときに衝突板がその角度範囲全体にわたって揺動することが防止される。角度範囲全体にわたって揺動すると、すぐ近くにある物体が破壊されることになるだけでなく、偶然その周囲にいた人を負傷させることになる。
【0020】
本発明の他の特徴、詳細および効果が次の説明と図に基づいて明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係る装置の分解図である。
【図2】装置の蓋の部分分解図である。
【図3】ガラス繊維ローイング構造を示唆した蓋の平面図である。
【図4】図3のIV−IV線に沿った蓋の断面図である。
【図5a】蓋の実施形態の層構造の原理図である。
【図5b】蓋の他の実施形態の層構造の原理図である。
【図6】蓋の炭素繊維ローイングと排出短管の火炎遮断体の貫通構造を示唆した装置の側面図である。
【図7】胴板から短管への移行領域の部分断面図である。
【図8】締付け爪を有する締付けリングを示す図である。
【図9】図8のIX−IX線にほぼ沿った、締付け爪を有する締付けリングの断面図である。
【図10】搬送位置にある衝突板と、段階的な保持部を開放した後の衝突板を示す、本発明に係る装置の部分図である。
【図11】火炎遮断ケージ内の本発明に係る装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1の分解図に全体を1で示した装置は、胴板2または排出短管を備えている。この胴板は全体を3で示した蓋によって閉鎖されている。この場合、蓋は適当な回転金具4を介して胴板2のフランジ5に固定されている。
【0023】
フランジ5には一対の脚付きばね6が同様に固定されている。この脚付きばね6はヒンジ曲げ部7を付勢している。このヒンジ曲げ部は衝突板8を支持している。爆発の場合に装置の蓋3がこの衝突板に当接可能であるので、蓋はそれに接続された空気押しのけ部によって制動される。
【0024】
図1から同様に分かるように、胴板2は例えばサイロに連結した短管9に、締付けバンド10によって固定可能である。この締付けバンドは締付けバックル11を装備している。
【0025】
フラップ式蓋3の基本構造が図2の分解図に示してある。図2において3aで示した円形の蓋本体は、使用状態で上方に向いた平らな表面層12を備えている。この表面層は炭素繊維マットとガラス繊維マットの複合体からなっている。これについては図5に関連して詳しく説明する。
【0026】
胴板2の内部の方に向いた蓋の表面13は同様に、複合材料によって形成されている。この場合、両外側層12、13の間には発泡体14が配置されている。この発泡体は図4の断面図にほぼ示すように、球欠の形をしている。
【0027】
外面12を内面13に連結するために、多数の炭素繊維ローイング15が設けられている。この炭素繊維ローイングは発泡体11の切欠きを貫通し、かつ使用状態で軽量構造の蓋2を安定させるために外面12と内面13との間の固定連結部を備えている。
【0028】
蓋本体3aは揺動フレーム16内で同様に炭素繊維とガラス繊維によって形成されている。この場合、揺動フレーム内には、発泡体18と炭素繊維ローイング15aが設けられている。
【0029】
図4から分かるように、発泡材リング17は、胴板2の上側縁部上の閉鎖位置に封止載置されるように、蓋のエッジ背部の溝内に配置されている。
【0030】
図5aに示すように、実施形態の場合、蓋構造体は外側の表面層12を有する。この表面層は炭素繊維層18と、ガラス繊維層19と、図示した例ではさらにフィルム状に形成れた随伴ヒータ20と、他のガラス繊維層19aとを備えている。上述のように、炭素繊維ローイング15が発泡体14を貫通している。この炭素繊維ローイングは載っているガラス繊維層19aに直接連結されている。
【0031】
発泡体14の湾曲した輪郭にならった内側寄りの層13は、図示した例では、互いに積層された3つの炭素繊維層18a〜18cによって形成されている。この場合、内側寄りの炭素繊維層18aは同様に炭素繊維ローイング15に固定連結されている。
【0032】
図5bには、蓋構造の変形された実施形態が示してある。この場合、炭素繊維ローイング15は外側および内側の炭素繊維層18と同様に、合成樹脂によって積層されているかあるいはこの合成樹脂によって取り囲まれて鋳込まれている。この領域は図5bにおいて28で示してある。
【0033】
図6に関連して例えば図1から分かるように、胴板2の内部には火炎遮断体21が設けられている。この火炎遮断体は図1から分かるように、蜂の巣状の構造を有することができる。
【0034】
この蜂の巣状の構造は図6に示すようなガス通路22を形成する。このガス通路により、爆発の場合に火炎の突き抜けが行われない。なぜなら、火炎が通路22を通り抜ける際に、胴板2の外面に達するときには既に火炎が消えているからである。
【0035】
図7〜9には、急速作動バックル11aを備えた締付けリング10aの詳細が、図1の実施形態の変形として示してある。特に図7から明らかように、胴板2はその下側の外側エッジ領域に、断面がほぼS字状の拡張部を備えている。図7にさらに示すように、短管9は断面がほぼU字状の、外側に型付けしたエッジビード9aを備えている。このエッジビードはエッジ2aに対応して形成され、かつこのエッジにかみ合うように形成されている。
【0036】
このように形成された外側ビードは、図1から明らかなように、断面がU字状の締付けバンドがかぶせられているかあるいは多数の挟持爪に挿通した締付けバンド10aによって取り囲まれている。この挟持爪29は内部切欠き30を有し、図9から分かるように、スチールバンド10aがこの内部切欠きを通過している。この挟持爪はスチール締付けバンド10aの挿通に基づいて高負荷に耐えることができ、かつ圧縮強さが大である。全体構造はきわめて簡単であり、それにもかかわらず短管9に対してまたは適当に形成された外側に向いている上側のエッジビード9aを備えた管部材に対して胴板2を保持するための要求を満足する。
【0037】
図10には、搬送状態での蓋3の上面に対する衝突板8の締付け固定が示してある。この締付け固定は段階的な長さを有する若干の安全ワイヤ23によって行われる。装置1が組み立てられてその機能位置にもたらされると、安全ワイヤ23が最も短いループから最も長いループまで順々に開放される。その際、衝突板8はばね6で付勢された適当な段階で、所望な開放位置に達するまで上方へ段階的に揺動する。
【0038】
胴板2内の火炎遮断体21が所望されないかまたは付加的な保護が達成されないときには、図11に示すように、装置1は全体を24で示す火炎遮断ケージを備えることができる。この場合、支持台枠25上に火炎遮断網26が張られている。この火炎遮断網は外側への火炎の突き抜けを防止する。
【0039】
本発明の上記実施形態はもちろん、基本思想を逸脱することなく、さまざまな観点から変形可能である。例えば、衝突板の不意の上方揺動を防止するワイヤは、穴あきバンドによって置換え可能である等々。
【技術分野】
【0001】
本発明は、排出短管または胴板上で揺動可能であるフラップ式蓋を備え、このフラップ式蓋が平らな外側表面を有し、爆発の場合に蓋を当接させるための衝突板が排出短管または胴板に設けられている、サイロ、導管等のような閉鎖系内で起こり得る粉塵爆発またはガス爆発の際の圧力衝撃を緩和するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
このような装置は例えば特許文献1によって知られている。爆発の際に開放するフラップ式蓋は金属薄板からなり、実際には例えばアルミニウム薄板によって作られている。爆発の際にフラップ式蓋は間にある空気を押しのけながら衝突板に当接し、衝突板はばねの力で戻り、そしてフラップ式蓋は閉鎖位置にはね返される。
【0003】
公知のフラップ式蓋は既に、比較的に軽い重量を有する。それにもかかわらず、そこで普及された技術は、製作方法と製作価格に関してだけでなく、慣性質量の低減に関しても、まだ明確に改良可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第95/10465号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明の目的は、フラップ式蓋の経済的な製作と共に、特に大幅な軽量化、損傷した場合の蓋の迅速交換または迅速な初期組み立ておよび系の保護作用の改善である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は冒頭に述べた種類の装置において、本発明に従い、フラップ式蓋が炭素繊維材料/ガラス繊維材料によって形成されていることによって達成される。
【0007】
基本的にはこのような材料は知られているが、この工業分野において今まではこのように使用されていない。
【0008】
本発明に係る炭素繊維材料/ガラス繊維材料が比較的に簡単に加工可能であり、特にこのような材料から、このようなフラップの所望形状の製作または成形を行うことができるので、本発明の実施形では、蓋本体が外壁を形成する炭素繊維マット/ガラス繊維マットによって形成され、このマットが例えば発泡材のような合成樹脂製の、蓋輪郭を形成する取り囲まれた本体を備えている。
【0009】
本発明の付加的な実施形は他の従属請求項から明らかである。その際例えば、炭素繊維マット/ガラス繊維マットによって取り囲まれた合成樹脂本体はほぼ球欠として形成されている。もちろん、類似の三次元形状、例えば角錐台、横断面が楕円形または放物面状の本体等々が可能である。
【0010】
蓋を補強するために、蓋の外壁を形成する炭素繊維マット/ガラス繊維マットの間に、支持構造体を形成するための多数の炭素繊維ローイング(Kohlefaserrowings)が設けられ、および/または炭素繊維ローイングの長さが蓋の外側エッジから蓋内部の方へ増大している。
【0011】
蓋の他の構造では、取り囲まれた発泡体の少なくとも一部が上下に配置された炭素繊維材料/ガラス繊維材料の層によって形成され、排出短管または胴板の内部へほぼ球冠状に蓋を延長させるために、ガラス繊維マットは層毎に小さくなる直径を有する。この場合にも、必要であれば炭素繊維ローイングを使用することができる。この炭素繊維ローイングはマット内の一致する穴を貫通する。これは特に、ガラス繊維マットと中間配置の発泡材ディスクとの交換が行われるときに使用される。
【0012】
構造とは関係なく、本発明では、外側に向いた多層の炭素繊維マット/ガラス繊維マット内に、随伴ヒータが積層されている。随伴ヒータは特に、蓋周囲の温度が凝固点未満であるときに、蓋の凍結を防止する働きをする。
【0013】
本発明では、炭素繊維/ガラス繊維蓋がほぼ円形に形成され、円形の蓋本体が炭素繊維マットとガラス繊維マットからなる揺動フレーム内に配置され、実施形では蓋本体と揺動フレームとの間に発泡材リング配置可能である。
【0014】
雨水が滴り落ちるようにするために、本発明の他の実施形では、少なくとも蓋表面がロータス効果コーティングを備えている。
【0015】
本発明に係る装置は、蓋がきわめて軽量の構造であるというほかに、排出短管または胴板内において蓋の下方に、多数の貫通穴を有するかまたは蜂の巣構造の火炎遮断体が配置されていることを特徴とする。
【0016】
排出短管内に蜂の巣構造の火炎遮断体を設ける代わりにまたはそれに付け加えて、本発明に従い、蓋を備えた胴板の周りに、火炎遮断ケージを配置し、この火炎遮断ケージを火炎遮断網で包囲した支持台枠によって形成することができる。
【0017】
蓋を有するこのような胴板または排出短管が下側エッジ側の組み立てリングフランジを備え、この組み立てリングフランジが多数の穴を有し、この穴によって適当なフランジボルト止めが位置決めされることが基本的に知られている。その代わりに、本発明では、蓋を支持する排出短管が、急速組み立てのためのバンドバックルを備えている。
【0018】
このようなバンドバックルのきわめて有利な実施形では、このバンドバックルが少なくとも1個の急速作動バックルを備えた少なくとも1個のスチールバンドによって形成され、特に高負荷に耐える合成樹脂製の断面がほぼU字状の多数の挟持爪が、互いに間隔をおいて、スチールバンド上に配置されている。
【0019】
装置の搬送を非常に簡単にするために、本発明では、ばねで付勢された衝突板が搬送状態で、段階的な長さを有する多数の安全ワイヤによって保持される。この場合、ばねで付勢された衝突板の搬送姿勢の保持が段階的な安全ワイヤによって行われ、それによって安全ワイヤがほどけたときに、衝突板が先ず最初にあるストロークだけ進み、そして安全ワイヤの次の段に新たに保持される。この安全ワイヤがほどけると、他の段による保持のために、さらなる揺動が行われ、そして場合によっては衝突板を作業位置へ揺動させるために、最後に全体がほどける。それによって、搬送保持部が誤ってほどけるときに衝突板がその角度範囲全体にわたって揺動することが防止される。角度範囲全体にわたって揺動すると、すぐ近くにある物体が破壊されることになるだけでなく、偶然その周囲にいた人を負傷させることになる。
【0020】
本発明の他の特徴、詳細および効果が次の説明と図に基づいて明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係る装置の分解図である。
【図2】装置の蓋の部分分解図である。
【図3】ガラス繊維ローイング構造を示唆した蓋の平面図である。
【図4】図3のIV−IV線に沿った蓋の断面図である。
【図5a】蓋の実施形態の層構造の原理図である。
【図5b】蓋の他の実施形態の層構造の原理図である。
【図6】蓋の炭素繊維ローイングと排出短管の火炎遮断体の貫通構造を示唆した装置の側面図である。
【図7】胴板から短管への移行領域の部分断面図である。
【図8】締付け爪を有する締付けリングを示す図である。
【図9】図8のIX−IX線にほぼ沿った、締付け爪を有する締付けリングの断面図である。
【図10】搬送位置にある衝突板と、段階的な保持部を開放した後の衝突板を示す、本発明に係る装置の部分図である。
【図11】火炎遮断ケージ内の本発明に係る装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1の分解図に全体を1で示した装置は、胴板2または排出短管を備えている。この胴板は全体を3で示した蓋によって閉鎖されている。この場合、蓋は適当な回転金具4を介して胴板2のフランジ5に固定されている。
【0023】
フランジ5には一対の脚付きばね6が同様に固定されている。この脚付きばね6はヒンジ曲げ部7を付勢している。このヒンジ曲げ部は衝突板8を支持している。爆発の場合に装置の蓋3がこの衝突板に当接可能であるので、蓋はそれに接続された空気押しのけ部によって制動される。
【0024】
図1から同様に分かるように、胴板2は例えばサイロに連結した短管9に、締付けバンド10によって固定可能である。この締付けバンドは締付けバックル11を装備している。
【0025】
フラップ式蓋3の基本構造が図2の分解図に示してある。図2において3aで示した円形の蓋本体は、使用状態で上方に向いた平らな表面層12を備えている。この表面層は炭素繊維マットとガラス繊維マットの複合体からなっている。これについては図5に関連して詳しく説明する。
【0026】
胴板2の内部の方に向いた蓋の表面13は同様に、複合材料によって形成されている。この場合、両外側層12、13の間には発泡体14が配置されている。この発泡体は図4の断面図にほぼ示すように、球欠の形をしている。
【0027】
外面12を内面13に連結するために、多数の炭素繊維ローイング15が設けられている。この炭素繊維ローイングは発泡体11の切欠きを貫通し、かつ使用状態で軽量構造の蓋2を安定させるために外面12と内面13との間の固定連結部を備えている。
【0028】
蓋本体3aは揺動フレーム16内で同様に炭素繊維とガラス繊維によって形成されている。この場合、揺動フレーム内には、発泡体18と炭素繊維ローイング15aが設けられている。
【0029】
図4から分かるように、発泡材リング17は、胴板2の上側縁部上の閉鎖位置に封止載置されるように、蓋のエッジ背部の溝内に配置されている。
【0030】
図5aに示すように、実施形態の場合、蓋構造体は外側の表面層12を有する。この表面層は炭素繊維層18と、ガラス繊維層19と、図示した例ではさらにフィルム状に形成れた随伴ヒータ20と、他のガラス繊維層19aとを備えている。上述のように、炭素繊維ローイング15が発泡体14を貫通している。この炭素繊維ローイングは載っているガラス繊維層19aに直接連結されている。
【0031】
発泡体14の湾曲した輪郭にならった内側寄りの層13は、図示した例では、互いに積層された3つの炭素繊維層18a〜18cによって形成されている。この場合、内側寄りの炭素繊維層18aは同様に炭素繊維ローイング15に固定連結されている。
【0032】
図5bには、蓋構造の変形された実施形態が示してある。この場合、炭素繊維ローイング15は外側および内側の炭素繊維層18と同様に、合成樹脂によって積層されているかあるいはこの合成樹脂によって取り囲まれて鋳込まれている。この領域は図5bにおいて28で示してある。
【0033】
図6に関連して例えば図1から分かるように、胴板2の内部には火炎遮断体21が設けられている。この火炎遮断体は図1から分かるように、蜂の巣状の構造を有することができる。
【0034】
この蜂の巣状の構造は図6に示すようなガス通路22を形成する。このガス通路により、爆発の場合に火炎の突き抜けが行われない。なぜなら、火炎が通路22を通り抜ける際に、胴板2の外面に達するときには既に火炎が消えているからである。
【0035】
図7〜9には、急速作動バックル11aを備えた締付けリング10aの詳細が、図1の実施形態の変形として示してある。特に図7から明らかように、胴板2はその下側の外側エッジ領域に、断面がほぼS字状の拡張部を備えている。図7にさらに示すように、短管9は断面がほぼU字状の、外側に型付けしたエッジビード9aを備えている。このエッジビードはエッジ2aに対応して形成され、かつこのエッジにかみ合うように形成されている。
【0036】
このように形成された外側ビードは、図1から明らかなように、断面がU字状の締付けバンドがかぶせられているかあるいは多数の挟持爪に挿通した締付けバンド10aによって取り囲まれている。この挟持爪29は内部切欠き30を有し、図9から分かるように、スチールバンド10aがこの内部切欠きを通過している。この挟持爪はスチール締付けバンド10aの挿通に基づいて高負荷に耐えることができ、かつ圧縮強さが大である。全体構造はきわめて簡単であり、それにもかかわらず短管9に対してまたは適当に形成された外側に向いている上側のエッジビード9aを備えた管部材に対して胴板2を保持するための要求を満足する。
【0037】
図10には、搬送状態での蓋3の上面に対する衝突板8の締付け固定が示してある。この締付け固定は段階的な長さを有する若干の安全ワイヤ23によって行われる。装置1が組み立てられてその機能位置にもたらされると、安全ワイヤ23が最も短いループから最も長いループまで順々に開放される。その際、衝突板8はばね6で付勢された適当な段階で、所望な開放位置に達するまで上方へ段階的に揺動する。
【0038】
胴板2内の火炎遮断体21が所望されないかまたは付加的な保護が達成されないときには、図11に示すように、装置1は全体を24で示す火炎遮断ケージを備えることができる。この場合、支持台枠25上に火炎遮断網26が張られている。この火炎遮断網は外側への火炎の突き抜けを防止する。
【0039】
本発明の上記実施形態はもちろん、基本思想を逸脱することなく、さまざまな観点から変形可能である。例えば、衝突板の不意の上方揺動を防止するワイヤは、穴あきバンドによって置換え可能である等々。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
排出短管または胴板(2)上で揺動可能であるフラップ式蓋(3)を備え、このフラップ式蓋が平らな外側表面(12)を有し、爆発の場合に蓋(3)を当接させるための衝突板(8)が排出短管または胴板(2)に設けられている、サイロ、導管等のような閉鎖系内で起こり得る粉塵爆発またはガス爆発の際の圧力衝撃を緩和するための装置において、
フラップ式蓋(3)が炭素繊維材料/ガラス繊維材料によって形成されていることを特徴とする装置(1)。
【請求項2】
蓋本体(3a)が外壁(12、13)を形成する炭素繊維マット/ガラス繊維マット(18、19)によって形成され、このマットが例えば発泡材のような合成樹脂製の、蓋輪郭を形成する取り囲まれた本体(14)を備えていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
取り囲まれた合成樹脂本体(14)がほぼ球欠として形成されていること特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項4】
蓋(3)の外壁(12、13)を形成する炭素繊維マット/ガラス繊維マット(18、19)の間に、支持構造体を形成するための多数の炭素繊維ローイング(15)が設けられていること特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項5】
ローイング(15)が合成樹脂本体(14)内に配置され、この合成樹脂本体を貫通し、および/またはローイング(15)が合成樹脂に鋳込まれていること特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項6】
炭素繊維マット/ガラス繊維マット(18/19)が使用状態で、互いに一致する穴を有し、炭素繊維ローイング(15)がこの穴を貫通していることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
外側に向いた多層の炭素繊維マット/ガラス繊維マット(18/19)内に、随伴ヒータ(20)が積層されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
炭素繊維/ガラス繊維蓋(3)がほぼ円形に形成され、円形の蓋本体(3a)が炭素繊維マットとガラス繊維マットからなる揺動フレーム(16)内に配置されていることおよび/または蓋本体(3a)と揺動フレーム(16)との間で、多角形の合成樹脂中空成形体としての発泡材リング(17)および/または補強リングが配置されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
少なくとも蓋表面(12)がロータス効果コーティングを備えていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
排出短管または胴板(2)内において蓋の下方に、多数の貫通穴を有するかまたは蜂の巣構造の火炎遮断体(21)が配置されていることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
蓋(3)を備えた胴板(2)の周りに、火炎遮断ケージ(24)が配置されていることおよび/または火炎遮断ケージ(24)が火炎遮断網(26)で包囲した支持台枠(25)によって形成されていることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
蓋(3)を支持する排出短管または胴板(2)が、急速組み立てのための圧縮強さを有するバンドバックル(10、11)を備えていることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
バンドバックル(10、11)が少なくとも1個の急速作動バックル(11)を備えた少なくとも1個のスチールバンド(10a)によって形成され、特に高負荷に耐える合成樹脂製の断面がほぼU字状の多数の挟持爪(29)が、互いに間隔をおいて、スチールバンド上に配置されていることを特徴とする請求項12に記載の装置。
【請求項14】
ばねで付勢された衝突板(8)が搬送状態で、段階的な長さを有する多数の安全ワイヤ(23)によって保持されていることを特徴とする請求項1〜13のいずれか一項に記載の装置。
【請求項1】
排出短管または胴板(2)上で揺動可能であるフラップ式蓋(3)を備え、このフラップ式蓋が平らな外側表面(12)を有し、爆発の場合に蓋(3)を当接させるための衝突板(8)が排出短管または胴板(2)に設けられている、サイロ、導管等のような閉鎖系内で起こり得る粉塵爆発またはガス爆発の際の圧力衝撃を緩和するための装置において、
フラップ式蓋(3)が炭素繊維材料/ガラス繊維材料によって形成されていることを特徴とする装置(1)。
【請求項2】
蓋本体(3a)が外壁(12、13)を形成する炭素繊維マット/ガラス繊維マット(18、19)によって形成され、このマットが例えば発泡材のような合成樹脂製の、蓋輪郭を形成する取り囲まれた本体(14)を備えていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
取り囲まれた合成樹脂本体(14)がほぼ球欠として形成されていること特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項4】
蓋(3)の外壁(12、13)を形成する炭素繊維マット/ガラス繊維マット(18、19)の間に、支持構造体を形成するための多数の炭素繊維ローイング(15)が設けられていること特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項5】
ローイング(15)が合成樹脂本体(14)内に配置され、この合成樹脂本体を貫通し、および/またはローイング(15)が合成樹脂に鋳込まれていること特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項6】
炭素繊維マット/ガラス繊維マット(18/19)が使用状態で、互いに一致する穴を有し、炭素繊維ローイング(15)がこの穴を貫通していることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
外側に向いた多層の炭素繊維マット/ガラス繊維マット(18/19)内に、随伴ヒータ(20)が積層されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
炭素繊維/ガラス繊維蓋(3)がほぼ円形に形成され、円形の蓋本体(3a)が炭素繊維マットとガラス繊維マットからなる揺動フレーム(16)内に配置されていることおよび/または蓋本体(3a)と揺動フレーム(16)との間で、多角形の合成樹脂中空成形体としての発泡材リング(17)および/または補強リングが配置されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
少なくとも蓋表面(12)がロータス効果コーティングを備えていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
排出短管または胴板(2)内において蓋の下方に、多数の貫通穴を有するかまたは蜂の巣構造の火炎遮断体(21)が配置されていることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
蓋(3)を備えた胴板(2)の周りに、火炎遮断ケージ(24)が配置されていることおよび/または火炎遮断ケージ(24)が火炎遮断網(26)で包囲した支持台枠(25)によって形成されていることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
蓋(3)を支持する排出短管または胴板(2)が、急速組み立てのための圧縮強さを有するバンドバックル(10、11)を備えていることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
バンドバックル(10、11)が少なくとも1個の急速作動バックル(11)を備えた少なくとも1個のスチールバンド(10a)によって形成され、特に高負荷に耐える合成樹脂製の断面がほぼU字状の多数の挟持爪(29)が、互いに間隔をおいて、スチールバンド上に配置されていることを特徴とする請求項12に記載の装置。
【請求項14】
ばねで付勢された衝突板(8)が搬送状態で、段階的な長さを有する多数の安全ワイヤ(23)によって保持されていることを特徴とする請求項1〜13のいずれか一項に記載の装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5a】
【図5b】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5a】
【図5b】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2010−510937(P2010−510937A)
【公表日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−538629(P2009−538629)
【出願日】平成19年11月27日(2007.11.27)
【国際出願番号】PCT/EP2007/010265
【国際公開番号】WO2008/064853
【国際公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【出願人】(502322523)トーアヴェステン・ヴェント・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年11月27日(2007.11.27)
【国際出願番号】PCT/EP2007/010265
【国際公開番号】WO2008/064853
【国際公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【出願人】(502322523)トーアヴェステン・ヴェント・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング (1)
【Fターム(参考)】
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